重要投資先Satsuma社が開発中の偏頭痛治療薬 臨床フェーズ3試験結果に関する当社コメント

PRESS RELEASE

2022 年 11 月 24 日
重要投資先 Satsuma 社が開発中の
偏頭痛治療薬 臨床フェーズ3試験結果に関する当社コメント

株式会社新日本科学(以下、「当社」)の経鼻投与基盤技術のライセンス先であり、かつ重要
投資先である Satsuma Pharmaceuticals, Inc.(以下、「Satsuma 社」)は、米国で開発中の偏頭痛
治療薬(開発コード:STS101)の臨床フェーズ3試験結果について、2022 年9月 20 日付で長期
安全性試験(試験名:ASCEND 試験)の結果を、2022 年 11 月 14 日付で有効性確認試験(試験
名:SUMMIT 試験)の結果をそれぞれ発表しています。これらの臨床フェーズ3試験の結果に
関して、当社から補足説明を含めたコメントをさせていただきます。

まず、ASCEND 試験では、偏頭痛の急性治療において、STS101_5.2mg を6か月もしくは1年
以上使用した時の安全性を評価するために、450 例以上の偏頭痛患者に対して STS101 を非
盲検で投与を行いました。主要評価項目として STS101_5.2mg の忍容性と安全性の評価を、副次
評価項目として STS101_5.2mg の有効性をそれぞれ評価しました。なお Satsuma 社は、ASCEND
試験の実施中に投与デバイスの改良を実施しており、これを用いて、合計 340 名以上の偏頭痛
患者に対し合計 6900 回以上の投与を行いました。ASCEND 試験の結果 *注 1 としては、
STS101_5.2mg 投与により主に軽微な鼻の局所症状が観察されたものの、長期使用において
良好な忍容性及び安全性が認められました。また、STS101_5.2mg を投与した 172 例を対象に
各種有効性を評価した結果、投与後2時間の痛みの消失(Pain Free)については 34.2%、光恐怖
症、音声恐怖症、嘔気の中から最も煩わしい症状の消失(MBS Free)については 53.4%、等の
良好な結果が認められております。

今回の SUMMIT 試験では、偏頭痛の急性治療における STS101_5.2mg(改良デバイスと組み
合わせたもの)の単回投与時の有効性等を評価するために、1400 例以上の偏頭痛患者に対して、
プラセボ(有効成分を含まない偽薬)を対照とした無作為化二重盲検比較試験を実施しました。
米国食品医薬品局(FDA)による急性偏頭痛の治療薬開発ガイダンス*注 2 に基づき、主要評価
項目として、投与後2時間における Pain Free と MBS Free の両方を設定し、STS101_5.2mg 投与
による効果がプラセボ投与を統計学的有意*注3に上回るかどうか検証を行いました。また、同ガイ
ダンス等に基づき、副次的評価項目として、投与後2時間以降における痛みの緩和(Pain Relief)
や、投与後 24 時間及び 48 時間における他の偏頭痛治療薬投与の必要性等を設定し、STS101
投与による効果がプラセボ投与を統計学的有意に上回るかどうか検証を行いました。SUMMIT
試験の結果*注 4 として、図1~3に2つの主要評価項目である投与2時間における Pain Free と
MBS Free の結果を、図4に副次評価項目の1つである投与後2時間における Pain Relief の結果
をそれぞれ示しました。図1に示しましたように、STS101_5.2mg の投与2時間における Pain Free
と MBS Free は、プラセボ投与によるそれらと統計学的有意な差はありませんでした。この要因の
1つとして、投与後2時間におけるプラセボ投与群の反応率が Pain Free では 17.5%、MBS Free
では 32.9%と高く観察されたことが挙げられます。他の急性偏頭痛薬(経口剤)の開発における
有効性確認のための臨床フェーズ3試験では、投与後2時間における Pain Free に対するプラ
セボ投与群の反応率が 11.8%~14.3%*注 5 と比較的低値であったことから、当社としましては、
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STS101 の場合には、投与後2時間までの投与初期においては、プラセボ投与においても被験者
の期待値を高めてしまったのではないかと考えております。一方で、図2と図3に示しましたように、
これらの Pain Free と MBS Free は、投与後3時間から 48 時間まで継続して、STS101_5.2mg の
効果がプラセボを統計学的有意に上回る結果が得られており、長時間にわたって、Pain Free と
MBS Free を安定して達成できることが明らかになりました。また、図4に示しましたように、副次的
評価項目として評価した Pain Relief については、STS101_5.2mg の効果が投与後2時間からプラ
セボを統計学的有意に上回る結果が得られていることから、投与後早期においても痛みを軽減
できることが明らかになっております。さらに、投与後 48 時間までの間に、偏頭痛の症状を抑える
ために、他の偏頭痛治療薬の投与を必要としたかについても、STS101 の効果がプラセボを統計
学的有意に上回る結果が得られたことから、STS101 のみの投与で確実に長時間症状を抑え
られることが明らかとなりました。このように、本有効性確認試験では、主要評価項目である痛み
の消失を達成することはできませんでしたが、STS101 は偏頭痛の症状を長時間にわたって再発
させることなく、確実かつ安定して抑えることが明らかとなりました。

Satsuma 社は、2022 年 11 月 14 日付のプレスリリースにおいて、これまでの FDA との協議に
基づき、実施済の血中濃度評価試験及び ASCEND 試験は STS101 の承認申請と医薬品承認を
サポートするであろうと説明しております。

当社の代表取締役会長兼社長である永田良一は、次のように申しております。
「ASCEND 試験では忍容性と安全性とが確認され、かつ SUMMIT 試験では痛みの消失(Pain
Free)と煩わしい随伴症状の抑制(MBS Free)が、投与後3時間から 48 時間まで継続してプラ
セボを統計学的有意に上回る良好な結果が得られております。このように有用かつ膨大な
データを獲得した臨床試験の結果より、STS101 が既存薬よりも患者様の生活の質向上に貢献
できると確信しております。当社は使命として、“創薬と医療技術の向上を支援し、人類を苦痛
から解放すること”を掲げております。当社も、偏頭痛に苦しむ患者様に STS101 が1日でも早く
届くことを強く願っております。」




注2
図1. SUMMIT試験結果 :投与後2時間におけるPain FreeとMBS Freeの反応率
(STS101_5.2mg vs. プラセボ)
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図 2. SUMMIT 試験結果 注 2:Pain Free の反応率の時間推移
(STS101_5.2mg vs. プラセボ)




図 3. SUMMIT 試験結果 注 2:MBS Free の反応率の時間推移
(STS101_5.2mg vs. プラセボ)




図 4. SUMMIT 試験結果 注 2:Pain Relief の反応率の時間推移
(STS101_5.2mg vs. プラセボ)
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<Satsuma 社について>
Satsuma Pharmaceuticals, Inc. (NASDAQ:STSA)は、2016 年に米国で設立され、新日本科学からジヒ
ドロエルゴタミンを経鼻投与基盤技術に応用したジヒドロエルゴタミン経鼻剤のライセンスを受け、
STS101 の開発を行っている。

<注釈/引用>
注 1 : Satsuma ’ s Press Release, Sep 20, 2022. (https://investors.satsumarx.com/2022-09-20-
Satsuma-Pharmaceuticals-Announces-Positive-Results-from-the-Ongoing-STS101-ASCEND-
Phase-3-Open-label,-Long-term-Safety-Trial)
注2:Migraine: Developing Drugs for Acute Treatment. Guidance for Industry. FDA, February 2018.
注3:統計的解析において、観察された影響や効果をその確実性について評価し、偶然によって生ず
る確率が低い場合には「統計的有意」と呼ばれ、真の影響や効果を示すとみなされます。
注4:Satsuma’s Presentation Material for SUMMIT Phase 3 Efficacy Trial Topline Results Confe
rence Call, Nov. 14, 2022. (https://investors.satsumarx.com/download/Satsuma+SUMMIT+results
+Nov.+14%2C+2022.pdf)
注5:急性偏頭痛治療薬である Ubrogepant 及び Rimegepant の有効性確認のための米国臨床フェー
ズ3試験結果


<新日本科学について>
株式会社新日本科学(2395:東証プライム)は、国内外の製薬会社や研究機関、バイオベンチャー
のパートナーとして医薬品開発業務の受託研究を行う、1957 年創業の国内初の CRO(Contract
Research Organization)です。新日本科学グループは、「環境、生命、人材を大切にする会社であり
続ける」という企業理念のもと、CRO 事業においては、基礎研究・創薬を含めた医薬品開発の
全ステージを受託できる国内唯一の企業としてパートナーの新薬開発支援に取り組むとともに、
トランスレーショナルリサーチ事業では、独自開発した経鼻投与製剤技術やデバイスを活用した
自社開発品のライセンス活動に注力しています。また、鹿児島県指宿市では、広大な森林と自然を
活用したメディポリス事業を行っており、地熱発電やリゾートホテル運営などを通じて地域経済の
振興と環境保全を推し進めるとともに、人々のウェルビーイング(Well-being)と生活の質の向上に
貢 献 し 、 幸 せ の 連 鎖 を 創 造 す る 活 動 を 展 開 し て お り ま す 。 詳 細 に つ い て は 、 HP
(https://www.snbl.co.jp/)をご覧ください。


以 上



【本件に関するお問い合わせ】
(株)新日本科学 IR 広報統括部 岩田 俊幸
TEL: 03-5565-6216
E-mail: ir@snbl.com
ホームページ:https://www.snbl.co.jp/

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