タデアイ(藍)フラボノイドの潰瘍性大腸炎モデルマウスでの抗炎症作用を確認国際医薬学誌Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysisで発表

News Release
2020 年 11 月 17 日 寿スピリッツ株式会社


各 位
会 社 名 寿スピリッツ株式会社
(URL https://www.kotobukispirits.co.jp/)
代 表 者 名 代表取締役社長 河越誠剛
(コード:2222 東証第一部)




タデアイ(藍)フラボノイドの潰瘍性大腸炎モデルマウスでの抗炎症作用を確認

国際医薬学誌 Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis で発表


当社のグループ会社であります寿製菓株式会社(鳥取県米子市 代表取締役社長 城内正行)は、
2013 年より国立大学法人島根大学生物資源科学部の横田一成教授とタデアイ(以下、藍と表記)の機
能性について共同研究を行っております。
この度、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)により誘発された潰瘍性大腸炎モデルマウスでの藍フ
ラボノイドの抗炎症作用について、 国際医薬学誌 Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis
で発表しましたのでお知らせします。

今回の研究成果は、2021 年 1 月 30 日発行の Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis,
Volume 193: Article 113716(doi: 10.1016/j.jpba.2020.113716)に掲載予定であります。
オンライン版は 2020 年 11 月 15 日より
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0731708520316022 で公開されておりま
す。
論文名:Anti-inflammatory and bioavailability studies on dietary
3,5,4'-trihydroxy-6,7-methylenedioxyflavone-O-glycosides and their aglycone from
indigo leaves in a murine model of inflammatory bowel disease
著者:Hideto Kimura, Shota Tokuyama-Nakai, Yu Hirabayashi, Tomoe Ishihara, Mitsuo Jisaka,
Kazushige Yokota

(発表内容のまとめ)
藍葉の熱水抽出物から主要な 4 つのフラボノイド配糖体を得ました。これらは以前に報告した
3,5,4'-トリヒドロキシ-6,7-メチレンジオキシフラボン(以下、TMF)をアグリコンとする配糖体(以
下、TMF 配糖体)です。リポポリサッカライド(LPS)刺激した動物細胞(マクロファージ細胞)を使
った実験で、遊離の TMF は炎症性サイトカインの遺伝子発現を抑制し、一方で、炎症を抑制するサイ
トカイン発現を増加させました。なお、サイトカインとは生体内の免疫や炎症など生体反応に関する
生理活性物質です。さらに、in vivo の動物実験系である DSS 誘発性の潰瘍性大腸炎モデルマウスでの
抗炎症作用を評価したところ、TMF 配糖体および遊離の TMF は大腸の炎症を有意に抑制しました。TMF
配糖体を投与したマウスの糞中には、遊離の TMF が主に含まれていました。そして、肝臓中には TMF
のグルクロン酸抱合体が確認されました。このことから、マウスに投与された TMF 配糖体は消化管で
遊離の TMF に分解されて体内に吸収されて抗炎症作用を示すことが明らかになりました。これらの結
果から、藍由来の TMF 配糖体は民間薬的あるいは食品として生体内の炎症を抑えることが期待されま
す。
(横田教授コメント)
藍葉に豊富に含まれる独特の化学構造をもつフラボノール配糖体に属する TMF 配糖体が消化吸収に
より遊離の TMF へ変換されて生体内で抗炎症作用を示すことを証明した有意義な研究です。これまで
の培養細胞系での研究では、 アグリコンである遊離の TMF の抗炎症効果は明らかでしたが、TMF 配糖体
の効果は遊離の TMF に比べて弱いものでした。しかし、今回の動物実験系で食餌として投与した TMF
配糖体は、遊離の TMF と同じように潰瘍性大腸炎を予防することを明らかにしました。このように、
藍葉の TMF 配糖体は、健康食品や医薬品資源の開発に有用といえます。

(研究の目的)
藍は染料や食品として利用される一方で、古くから、解毒、解熱、消炎などさまざまな薬用効果が
あるといわれてきました。しかしながら、藍には未確認の物質が多数存在したことより、2015 年には
成分分析の結果、藍の主要な成分は TMF をアグリコンとする TMF 配糖体であることを明らかにしまし
た。さらに 2018 年には、細胞レベルでの TMF 配糖体およびアグリコンの TMF の抗炎症作用について発
表いたしました。
過去の報告で、フラボノイドであるケルセチンが潰瘍性大腸炎モデルラットでの実験で抗炎症作用
を示すことが報告されていました(1) 。藍にはフラボノイドである藍特有の TMF 配糖体が多く含まれ
ていることと、前述の細胞レベルでの実験で抗炎症作用を確認していることから、藍フラボノイドの
生体内での抗炎症作用を明らかにする目的で、 誘発性の潰瘍性大腸炎を起こしたマウスで実験を行
DSS
いました。

(1)参考文献:D.Dodda, R. Chhajed, J. Mishra, Protective effect of quercetin against acetic acid induced
inflammatory bowel disease (IBD) like symptoms in rats: Possible morphological and biochemical alterations,
Pharmacol. Rep. 66 (2014) 169–173.

(試験方法および結果)
1.LPS によるマクロファージ細胞での炎症性サイトカインの遺伝子発現
藍葉の熱水抽出物から、 つの TMF 配糖体を含むフラクションを得ました。 配糖体から遊離の TMF
4 TMF
を調製しました。マクロファージ細胞に LPS を加えることで炎症性サイトカイン遺伝子が発現する環
境で遊離の TMF を加え、これらの遺伝子発現を抑制するかを調べました。この結果、遊離の TMF を加
えた試験区では、無投与区に比べインターロイキン(IL)-1IL-6, 誘導性 NO 合成酵素 (iNOS) 及び腫
瘍性壊死因子(TNF)-の遺伝子発現を抑制しました。 一方で、炎症を抑制するサイトカインである IL-10
の発現を増加させました。
2.DSS 潰瘍性大腸炎モデルマウスで抗炎症作用
DSS をマウスに与えると潰瘍性大腸炎を引き起こすことが知られています。この際、体重減少や、大
腸組織の損傷、大腸長の短縮などの症状が見られます。
今回、 を投与し潰瘍性大腸炎を誘導したマウスに TMF 配糖体および遊離の TMF を投与したところ、
DSS
大腸組織の損傷、体重の低下、大腸長の短縮が抑制されました。

※潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎は、大腸粘膜に炎症がおこり、びらんや潰瘍ができる炎症性疾患です。この原因として
食習慣やストレスなどが関係しているといわれていますが、原因解明には至っておりません。潰瘍性
大腸炎は、指定難病とされており、この患者数は年々増加しております。
本研究の要約図




【本リリースに関しての問合わせ先】
寿製菓株式会社 研究開発部 部長 木村英人
鳥取県米子市旗ヶ崎 2028 TEL:0859-22-7456(代表)
E-mail:kotobukiRD@kozuchi-net.jp
以上

問合わせ先:寿スピリッツ株式会社 取締役経営企画部長 松本 真司
TEL:0859-22-7477(代表)

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