住宅地における自動移動サービスの実証実験の実施について

2018 年 12 月 14 日
各 位
大和自動車交通株式会社



住宅地における自動移動サービスの実証実験の実施について
~車内コミュニケーションやデータ利活用等も含め実証~



大和自動車交通株式会社(代表取締役社長:前島忻治、以下「大和自動車交通」)は、株
式会社日本総合研究所(代表取締役社長: 渕崎正弘、以下「日本総研」)が主催する「まちな
か自動移動サービス(※1)事業構想コンソーシアム」(以下「まちなかコンソーシアム(※2)」)
における、自動運転技術を活用した近隣移動をサポートするサービス(以下「まちなか自動移
動サービス」)の実証実験(以下「本サービス実証」)に参画します。本サービス実証は、2018
年 12 月 16 日から 2019 年 2 月 1 日まで、神戸市北区の住宅地で実施する予定です。
本サービス実証は、まちなか自動移動サービスを将来的に実現させることを目的として行う
ものです。具体的には、住宅地内を低速で走行する乗合の移動サービスをはじめ、近隣店舗
の広告や防災など地域情報の配信サービス、さらに移動サービスに付随して得られるデータ
の利活用等について実証を行います。
本サービス実証によって、まちなか自動移動サービスの受容性を検証すると共に、需要見
込みとコスト試算等、事業化に必要な情報を収集・分析します。これらの成果をもとに、2020 年
に実装できる自動運転移動サービスの事業仮説を構想する計画です。
大和自動車交通は、本サービス実証に準備段階から参画し、当社乗務員がテストドライバ
ーとして自動運転車両の運行を担います。また、ハイヤー・タクシー事業者としての日頃の経
験と業務ノウハウを活かした車両の運行管理支援を通じて、自動移動サービスにおける交通
事業者としての運行管理のあり方の研究を推進します。
2018 年 5 月、大和自動車交通は、全国で初めてハイヤー・タクシー事業者が実施主体とな
る「自動運転移動サービス公道実証実験」を東京都江東区猿江の公道で実施しました。2018
年 9 月には東京都江東区豊洲の公道で「複数の自動運転車両を用いたオンデマンド移動サ
ービスの実証実験」を実施しています。これらの成果と経験を活かして、本サービス実証にも
取り組んで参ります。
また、大和自動車交通は、自動運転技術を活用した移動サービスの検討においては、乗務
員の心身への影響や働き方の多様化についての研究を推進し、乗務員の負担軽減や健康的
な働き方の実現を通じてハイヤー・タクシー事業者の発展に貢献することを目指しています。
本サービス実証を通じて得た経験、課題やノウハウなどは、本サービス実証の運行主体である
神戸自動走行研究会メンバー会社の近畿タクシー株式会社(代表取締役社長:森崎清登)、
神戸空港タクシー株式会社(代表取締役:東裕子)と共に地元のハイヤー・タクシー業界に向
けて情報共有し、自動運転時代のハイヤー・タクシー事業者のあり方について検討して参りま
す。



■本実証実験の内容
(1)実施概要
・実施場所: 神戸市北区筑紫が丘、広陵町、小倉台および桜森町の町内
・実施期間: 2018 年 12 月 16 日(日)~2019 年 2 月 1 日(金)(運休日有)
※12 月 16 日は出発式(本サービス実証の住民向け説明・試乗会)を実施
・運行時間: 8:30~20:30 (12 月 17 日以降)
・利用対象者: 神戸市北区筑紫が丘、広陵町、小倉台、桜森町の住民(登録制)
・運賃: 無料
・車両: 自動運転車(ミニバン車両を改造したもの): 1 台
普通乗用車(軽自動車を改造したもの): 2 台
・最高速度: 時速 20 キロメートル
・乗合可能人数: 最大 5 名
・利用方法等 車両の呼び出しや現在位置確認はウェブサイトから行う(一部の利用登
録者には、AI スピーカーで車両の呼び出しができる環境を提供)
・実施主体: まちなかコンソーシアム(主催: 日本総研)
・運行主体: 神戸自動走行研究会(代表: みなと観光バス株式会社)
・自動運転車の公道実証は、警察庁「自動走行システムに関する公道実証実験のための
ガイドライン」に則って実施します(運転手が運転席に同乗する形で運行)。
・本サービス実証は、近畿運輸局の指導の下で行います。

(2)実証内容
本サービス実証で実証する内容は以下のとおりです。
各項目は、筑紫が丘地区における 2016 年度と 2017 年度の実証実験で明らかになった課
題の解決やニーズの充足が図られるよう設計されています。


1. 運行方法とルートの受容性検証
 本サービス実証では、4 つの定ルートを設定し、それぞれのルート上に乗降ポイント
を設けます(別紙参照)。利用者は、ウェブサイト・電話・AI スピーカーを通じて利用
区間のリクエストを行います。リクエストを受けた配車システムが車両に走行ルートの
指示を行い、乗降ポイントまで配車します。
 4 つの定ルートはいずれも、スーパーマーケットや郵便局、自治会館が集積する筑紫
が丘の中心地を起点とし、筑紫が丘(65 歳以上比率 44.2%)、広陵町(同 37.3%)、小
倉台(同 17.5%)、桜森町(同 1.7%)の各地区内を巡回するよう設定されています。年
齢構成や地形など、それぞれ特徴が異なる地区における利用の状況を比較検討す
ることで、今後のサービス設計に役立てます。
2. 適切な車両サイズ・車内空間のあり方の検証
 本サービス実証では、昨年度の実証で使用した大型ミニバンのほか、軽のワゴン車
を改造した車両も併せて導入します。大型ミニバンと軽のワゴン車との比較評価をす
ることで、住宅地内の走行に適切で、高齢者にとっても快適な車両のあり方を検討し
ます。
3. 広告・販促支援サービスの実証
 本サービス実証では、車両を介した情報伝達の方法として、車内で広告や販促支援
を提供するサービスを実証します。具体的には、車内にディスプレーを設置し、目的
地や利用者の属性に応じたタイムリーな広告やクーポン等を表示・配布します。クー
ポンの利用結果等を通じて、広告・販促支援・送客効果を実証します。
4. 防災をはじめとした地域情報提供サービスの実証
 車内に設置されるタブレットでは、ハザードマップや避難所マップ等、神戸市が保有
する防災情報や自治活動等の地域情報を表示する実証を行い、伝達効果を検証し
ます。
5. 会話ロボットによるコミュニケーションの実証
 狭い車両における乗合運行に対しては、知らない人と乗り合わせた際の気まずさな
どへの懸念を持つ住民も存在します。そこで、本サービス実証では、会話ロボットを
車両に搭載し、利用者へ語りかけることで、車内の雰囲気がどのように変わるかを実
証します。
6. 車両から得られるリアルタイムデータの活用実証
 本サービス実証では、まちなか自動移動サービスと公共交通とのシームレスなネット
ワークの構築を目的に、実証車両の位置情報、乗降人数・乗降場所などの情報を公
共交通(バス)とデータ連携させることを実証します。
■実証実験のルートと乗降ポイント
Google Map を利用

広陵町 小倉台
ルート ルート




標高低い




桜森町
標高高い ルート
筑紫が丘
ルート 乗降ポイント



(参考)各地区の人口構成等




(※1)まちなか自動移動サービスについて
住宅地内の店舗や公共施設、病院、バス停等までの、いわゆるラスト&ファーストマイルの移動
サービスです。また、移動サービスを通じて取得される各種データを活用し、公共交通とのシーム
レスな乗り継ぎや店舗への販促支援、住民への情報配信などの付加価値サービスも提供します。
まちなか自動移動サービスは、移動サービスや各種サービスの提供を通じて、住宅地としての機
能を高め、人の往来を増やして地域を活性化する “ローカル MaaS”のモデルとなることを目指して
います。
(※2) まちなか自動移動サービス事業構想コンソーシアムについて
まちなか自動移動サービスの事業構想を策定することを目的として日本総研が設立した、産官
学民によるコンソーシアムです(活動予定期間: 2018 年 8 月 29 日~2019 年 3 月 31 日)。
自治会、自治体を含む産官学民が連携して、まちなか自動移動サービスの社会実装に必要な
車両のほか、システムの仕様や事業仮説について検討します。
大和自動車交通は、まちなかコンソーシアムに協力会員として参画しています。


(コンソーシアムメンバー)
主催:
株式会社日本総合研究所
一般会員:
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、株式会社 NTT データ、沖電気工業株式会社、関西電
力株式会社、ダイハツ工業株式会社、株式会社電通、丸紅株式会社 ほか
オブザーバー:
一般財団法人日本自動車研究所
協力会員:
群馬大学、神戸市、神戸市北区筑紫が丘自治会、大和自動車交通株式会社、みなと観光バス株
式会社
(五十音順)


まちなか自動移動サービス事業構想コンソーシアム設立について(2018 年 8 月 29 日)
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=33228


■参考資料
まちなか自動移動サービス 実証実験の実施概要
https://www.jri.co.jp/file/pdf/company/release/2018/1214/outline.pdf


【本件に関するお問い合わせ先】
大和自動車交通株式会社 営業室 片根・松元 03-6757-7171

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