第22期定時株主総会(2024年3月19日開催)質疑応答要旨

2024 年 4 月 4 日
各 位


会 社 名 株式会社エル・ティー・エス
代 表 者 名 代表取締役社⻑執⾏役員 樺島 弘明
(コード番号:6560 東証プライム)
問い合わせ先 取締役副社⻑執⾏役員 李 成一
Mail. ir_info@lt-s.jp



第 22 期定時株主総会(2024 年 3 月 19 日開催)質疑応答要旨


日頃より、当社へのご関心をいただきありがとうございます。
第 22 期定時株主総会にて投資家の皆様より頂戴した主なご質問とその回答についての要旨を、下記
の通り、開示いたします。


【質問①】
2024 年度の売上高 165 億円、営業利益 12.5 億円を達成できる根拠は何か。また業績向上に向けた改
善点は何か。


【回答①】(樺島)
まず前提として、当社の当期業績予想に対するスタンスを説明します。
中⻑期の目標とは異なり、当期の業績予想については、チャレンジングな数値を掲げるのではなく、
ある程度保守的な水準、結果として期初予想を上回ることが可能な水準を開示する、という方針をもっ
ております。たしかに、2023 年 12 月期こそ、上場企業である HCS ホールディングスを子会社化した
ことに伴い、初めて業績予想を下方修正するということになりましたが、上場来 5 年間、期初予想を上
回る実績数字で着地してきました。
2024 年 12 月期についても、このような開示方針に従って、売上高 165 億円および営業利益 12.5 億
円という業績予想を出しています。今後四半期実績を開示していく中で、安心感を持っていただけるよ
うに努力してまいります。
続きまして、当期業績の達成に向けた展望についてご説明いたします。
過去数年間推し進めてきた基本シナリオについては、手ごたえを感じていますが、業績に反映される
タイミングについては一部遅れが生じております。パートナーとしての関係性を築いている主力のお客
様の中で、当社は企業変革プロジェクトを企画する側のポジションを取っています。立ち上がったプロ
ジェクトに対して、以前であればコンサルティングのみ、データアナリティクスのみの支援を⾏ってい
ました。しかしながら、IT が絡むプロジェクトの場合、コンサルティング領域はプロジェクト予算の 3
割ほどで、残りの 7 割は IT の実装やオペレーションに関わる領域が占めています。そのため、エンジ
ニア体制を強化することで、コンサルティング領域の支援だけではなく End to End で顧客の企業変革


全体を支援していくという方針を定め、採用強化や M&A 推進などを通じてエンジニア体制の強化を進
めてきました。
この基本シナリオ自体は、概ね想定通りの効果を上げているのですが、業績に大きなインパクトを与
えるような案件をワンストップで支援していくという部分については、2021 年当時に想定していたよ
りも 2024 年段階では案件の積み上げに遅れが生じています。
大型の End to End 案件の受注を加速していくためのポイントは、デリバリ・営業体制の再構築で
す。
2024 年 1 月より、デジタル事業本部およびマーケティング&セールス部を新設しました。デジタル事
業本部は、コンサルタントとエンジニアが分かれていた従来の組織運営を改め、IT が絡んだ提案および
デリバリを⾏うビジネスについては、1 つの組織にまとめて一体的な営業・アサイン・育成を実施する
ように事業運営を一元化しました。
マーケティング&セールス部の中に設置した営業推進チームは、サービス提供部門とは別個に顧客経
営層に対して戦略的・継続的に営業活動を⾏い、End to End の大型 IT 案件を早めに発掘し、提案体制
を組み、受注し、デリバリしていくための側面支援を⾏っています。
これらのデリバリ・営業体制が機能することによって遅れを取り戻し、基本シナリオ通りの業績成⻑
を果たしていく予定です。




【質問②】
来期 2025 年以降も、25 パーセント超の売上高成⻑率を継続できるのか。


【回答②】(樺島)
当社は上場以来、30%を超える年平均成⻑率でビジネススケールを拡大してまいりました。年々事業
規模が大きくなってきていますので、一般的な基調としては、オーガニック・グロースとしての成⻑率
は落ち着いていくとは考えております。従って、オーガニック・グロースについて、今後は売上高成⻑
よりも営業利益率の向上、結果としての営業利益額の成⻑を重視していきたいと考えています。
一方で、当社も過去 4 件の M&A の実績があり、業績・事業・組織面で成⻑を加速させております。
PMI をうまくやっていく組織運営力も向上してきましたので、引き続き M&A を積極的に⾏い、M&A
を通じた成⻑もまた合わせて追求してまいります。
2025 年以降の事業成⻑を数値的にどう捉えるのかということについては、今年度中に検討し、2025
年 2 月の本決算および来期業績の見通しを開示する際に公表する予定です。その際には、売上高成⻑率
25%ありきではなく、中⻑期でどのような数値を目標として追っていくのか、またどのような状態を目
指すのかという定性的な目標や、どのようなシナリオで業績を推移させていくのかという過程目標につ
いても表すことで、新たな成⻑シナリオを開示していく予定です。


【質問③】
HCS ホールディングスを子会社化したことでエンジニアの数が大幅に増えた。コンサルタントとエン
ジニアの比率が変わったことで、ビジネスに悪影響を及ぼすのではないか。

【回答③】(樺島)
HCS ホールディングスの子会社化により、当初想定していたよりもかなり早く、コンサルタントとエ
ンジニアの一体体制を構築することができました。その結果、現状ではエンジニアのほうがコンサルタ
ントよりも人数が多い組織になっています。
先ほどもご説明しました通り、当社が既存顧客に提案し立ち上げていくプロジェクトは、コンサルテ
ィング・サービスのみのフェーズは予算の 3 割ほどで、残りの 7 割についてサービス提供していくため
には、エンジニアリングやオペレーションの領域を担うメンバーが必要となります。HCS ホールディン
グスを子会社化したことによってエンジニア体制が拡充し、コンサルタントとエンジニアが一体となっ
た提案とサービス提供が可能になりました。もともと描いていた事業成⻑の基本シナリオに沿った体制
が作れたことはとても重要な前進であると捉えています。
また、組織についても、コンサルティングとエンジニアリングが分かれた組織ではなく、両者を一体
的に運営するためにデジタル事業本部を作り、コンサルタントとエンジニアが協働しながらサービス提
供を⾏い、付加価値を上げていくための組織づくり、風土・文化づくりを始めており、現時点では特に
マイナス影響はないと捉えておりますので、ご安心いただきたいと思います。


【質問④】
今後は受注する案件規模が大きくなってくるので、今までであればバッティングしなかったような企
業と競合し、LTS の強みが発揮できなくなるリスクはないのか。


【回答④】(樺島)
当社が想定している大型案件とは、予算としては 1 億円から 30 億円ぐらいの規模を指します。
代表的なプレイヤーである外資系大手コンサルファーム等の場合、おおよそ 50 億円から 100 億円の、
30 億円を超えるような規模の案件を優先的に受注し、体制を作って人を充てています。その反面、1 億
円から 10 億円くらいのサイズのプロジェクトについては、大手ファーム等にとっては収益性の壁があ
るため、積極的に受注しにいきづらいという事情がございます。30 億円以上の案件を受注すれば、大き
な売上が確保でき、また数百名単位でコンサルタント・エンジニアがアサインできますが、10 億円規模
の案件では、その半分もいきません。この 2 つの案件があった場合に、どちらの案件に注力するのかと
いうと、大手ファームとすると経済合理性から前者を優先することとなります。
一方で、1,000 名に満たないような規模感の IT コンサルティング企業にとっては、1 億円から 10 億
円規模のプロジェクトを自分たちだけで提案できるかというと、そもそもデリバリ体制をつくれないと
いう体制の壁があるので、こちらもなかなか手が出せません。
そこで当社としては、超大手も小規模ファームも、どちらも入ってこられない、この 1 億円から 30
億円を超えないサイズのプロジェクトをワンストップで提案してデリバリしていくことを基本戦略とし
ています。このレンジよりもプロジェクト規模が大きいものについては、コンサルティングのみである
とか、データ解析のみであるとか、フェーズを限定して参画するという方針をとっています。





顧客にとってのプロジェクト成果をしっかり出せて、且つ、当社の収益も確実に確保できるゾーンで
勝負していくことは、結果として、これまで競合してこなかった大手とバッティングする領域に乗り出
していくということにはならない、ということをご理解いただけばと思います。


【質問⑤】
資本提携している、FPT グループと YOKOGAWA グループについて、提携の現況と今後の見通しに
ついて教えて欲しい。


【回答⑤-1】(樺島)
FPT グループとの協業の目的には、国内向けビジネス、海外向けビジネス、そして人材・組織の強化
という、3 つがあります。
国内向けのビジネスについては、当社と FPT の合弁会社である FPT コンサルティングジャパンを立
ち上げ、積極的な事業展開の結果、計画を上回る成果を収めています。FPT コンサルティングジャパン
の体制も 500 名に拡大し、当社とコラボレーションする案件の数も順調に増えています。また、当社の
顧客に FPT を紹介したり、逆に FPT の顧客に当社のサービスを提供したり、一体的に提案する機会も
増えており、国内向けビジネスは計画通り進展しています。
次いで、海外向けのビジネスについてですが、国内で培った当社と FPT との関係性に基いて、FPT
の持つ顧客基盤に当社のサービスを提供していく取り組みを本格化するための打ち合わせを始めていま
す。
最後に、組織・人材についてですが、先ほどのご説明のとおりビジネスで連携するだけではなく、
FPT の AI 研究所と当社のデータサイエンティストのチームが、ハノイにて共同でハッカソンを実施す
るなど、人的交流や技術情報の共有の取り組みを⾏っています。


【回答⑤-2】(金川)
YOKOGAWA グループとの協業は、主として横河デジタルを通じたソリューション・パートナーと
しての YOKOGAWA と、クライアントとしての YOKOGAWA と、2 つの側面がございます。
まず、横河デジタルとの協業についてですが、当社のコンサルタントが関わることで、IT と OT を絡
めた顧客支援を展開できており、この協業の形については今期さらに加速させる予定です。また、FPT
グループと同様に YOKOGAWA グループも海外に多数の顧客を持っているため、当社の海外ビジネス
を展開していく上で、YOKOGAWA グループの持つ顧客や体制を組み合わせていくいことは、とても
有力な選択肢になるのではないかと考えています。
次いで、クライアントとしての YOKOGAWA グループですが、グループ全体で非常に業績は好調で
ある反面、旺盛な需要に対してエンジニアリングのケイパビリティが不足しています。この課題を解消
するために、当社のエンジニアリングチームがサポートしています。また、YOKOGAWA グループで
は、OT のコンサルタントは多数抱えているものの、IT のコンサルタントはまだそれほど多くありませ
ん。製造プロセスに対してのコンサルティングという意味では強いものの、IT や DX に関しては手薄な
ため、当社および FPT でサポートをしながら、協働して受注を拡大していこうという動きをとってい
ます。

さらに、国内・海外ともに横河電機が必要としているリソースを M&A で埋めていくという観点で、
M&A のコンサルティングというサービスも当社にて提供しており、全体的に協業は非常に順調に進ん
でおります。


【質問⑥】
業績は出ているのに、なぜ株価が上がらないのか。


【回答⑥】(樺島)
現在の株価水準につきまして、経営陣としてはただただ申し訳なく感じております。株価が上がらな
い原因については、いくつかの仮説はございますが、それらの原因を解消すれば即座に株価に反映され
るというわけでもないため、ここでは参考的なコメントとして、ご理解いただければと思います。
株価については、EPS と PER と出来高が影響しております。着実に EPS を上げることで、PER も上
がり、そして取引量を支える出来高があれば、株価は好循環で上がっていくと想定しています。
当社は、上場以来業績は右肩上がりで向上させてまいりましたが、PER は不安定です。PER を高い
水準で安定させていくためには、ただ EPS を上げるだけではなく、機関投資家や個人投資家の皆様と当
社の成⻑性についてのコミュニケーション、つまり IR についての戦略や実⾏が鍵を握っていると考え
ております。過去には、せっかく当社に注目いただいても「投資したいが出来高が少ないから購入に踏
み込めない」という機関投資家の方たちも一定数いらっしゃいました。当社としては、今後業績を上げ
ることは当然のことながら、PER を高めるための市場とのコミュニケーションや、出来高を高めるため
の機関投資家および個人投資家の皆様向けのコミュニケーションを、従来よりも強化してまいります。


【質問⑦】
当社の第 3 位の大株主である株式会社クレスコとは、どのような関係にあるのか。


【回答⑦】(樺島)
株式会社クレスコ(以下、クレスコ)に当社の株主になっていただいたのは 2012 年で、当時は協業
できる企業に株式を持ってもらうという資本政策をとっていました。
当時の当社にはエンジニアのチームがなく、コンサルタントのみで事業展開しておりましたが、お客
様の変革を成功させるというミッションを果たしていく上では、エンジニアリング・サービスを提供す
る必要がございました。当社単独でのエンジニア採用やチーム作りが難しかったため、エンジニアリン
グ会社との協業により体制を作っていくという方針の中で、協業を一歩進めて資本提携まで⾏うという
ことで、クレスコに株主になっていただきました。
2012 年から上場する 2017 年までの期間では、当社の顧客に対してエンジニアリング・サービスを提
供する際にはクレスコに相談しながら体制構築を進め、一方ではクレスコの顧客に対して当社のコンサ
ルティング・サービスを提供する、という形での協業を続けてきました。上場後は、当社がエンジニア
リング子会社を複数持ち始めたこともあり、これまで蓄積されてきた信頼関係の中で保有株式数を徐々
に減らしながら、現在に至っております。



なお、当社の売上高に占めるクレスコとの取引の割合はわずか数パーセント程度でして、大株主であ
るクレスコに依存したビジネスモデルにはなっておりません。当社がお付き合いする顧客やビジネスパ
ートナーは年々増えておりますので、クレスコとの間のビジネスボリュームが全体に対して占める割合
は、結果として徐々に下がってきておりますが、ビジネス上の関係性や取引については、信頼できるパ
ートナーとして引き続き継続してきたいと考えております。





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