TCFD提言に基づく情報開示

TCFD 提言に基づく情報開示




2024 年2⽉ 14 日
当社グループは、「独創の技術で新たな価値を創造し、お客様とともに持続可能な社会の実現に
挑戦する」という2030年ビジョンのもと、事業活動を通して界⾯価値創造を実現することで豊か
で潤いのある社会と環境づくりに貢献するために、経営として取り組むべき6つのマテリアリティを
特定しています。ものづくり企業として気候変動を重要な経営課題と位置付け、
「環境保全」をマテリ
アリティの一つとして特定しており、2023 年 2 月に TCFD 提言への賛同を表明し、気候変動が事業
にもたらすリスクと機会および対応策について、同提言に沿った情報開⽰を⾏い、活動を推進してい
ます。


ガバナンス

当社は、研究開発型企業として気候変動を重要な経営課題と位置づけ、活動を推進しています。
当社を取り巻く気候変動のリスク・機会とその推進案につきましては、代表取締役社⻑を委員⻑と
する ESG 委員会(※)において審議・策定された後、取締役会に提言されます。
取締役会は、ESG 委員会から提言された内容について、実効性の監督を⾏います。


(気候変動関連のガバナンス体制図)




※ESG 委員会

コーポレート・ガバナンスの改⾰、社会的責任の遂⾏、環境保全への取り組みをそれぞれが共に連携して

(共進的)一体となって進めるための経営戦略(ESG 経営戦略)を策定し、提言することを目的としています。

委員会の提言によって、会社は経営戦略の広がりと多様性を実現するとともに、社員、お客様、社会および⾃然

環境への豊かな関わり合いを通じて、中⻑期的に企業価値を創造しています。

委員⻑は代表取締役社⻑が務め、独⽴社外取締役が過半数を占める委員構成となっています。

開催頻度は年 4 回程度であり、事務局は ESG 推進部門が担っています。



戦略

TCFD は、気候変動に関連するリスク・機会が企業の財務にどのような影響を及ぼすか開⽰を求めて
います。TCFD 提言では、気候変動関連リスクは「移⾏リスク」
「物理リスク」のカテゴリーに分類さ
れています。当社ではその提言に基づき、目指すべきビジョンを掲げている 2030 年をターゲット年
とし、リスク項目を検討しました。その中で、当社事業と関連性が深いリスク項目の洗い出しを⾏い、
特に重要なリスクを特定しました。また、気候変動に伴う環境問題や事業環境の変化とその影響から
生じる機会についても把握に努め、リスク同様に洗い出しを⾏いました。


Step1 Step2 Step3 Step4


リスク・機会の シナリオ群の 事業インパクト
対応策設定
抽出と評価 特定 評価

(影響評価プロセス)


(リスクと機会を踏まえたシナリオ分析)
パリ協定では、世界全体の平均気温の上昇を産業⾰命以前に比べ 2℃より十分低く保つとともに、
1.5℃に抑える努⼒を追求するとされています。
当社は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告や国際エネルギー機関の世界
エネルギー⾒通しなどを参考に、
「現⾏政策に基づくシナリオ」
「2℃未満シナリオ」
「1.5℃シナリオ」
から 2030 年を想定し、事業経営における移⾏リスクと物理リスクの検討から開始しました。気候
変動対策が進む「1.5/2℃シナリオ」では、カーボンニュートラル実現に向けて政策規制が強化され、
社会全体が積極的に気候変動対策に取り組むシナリオで、環境に配慮した製品への需要の高まりや、
新市場に係る機会の創出が考えられ、また、炭素税の導⼊などによる生産や原料調達コストの上昇
といった影響が想定されます。
「4℃シナリオ」は、脱炭素の施策が十分に推進されず、洪水などの⾃然災害の頻発化や激甚化に
よる影響の可能性が高まると考えられます。
気候変動関連リスクと機会を評価するにあたり、当社およびステークホルダーにとっての重要度を
相対的に検討しました。発生(顕在化)時期は、
「中期」を中期経営計画(Phase3)の最終年度である
2030 年まで、「⻑期」は 2031 年以降といった時間軸を考慮し、影響度は、発生頻度や⾦額的影響度
の⾯から、
「小」ほとんど影響なし、
「中」事業の一部に影響がある、
「大」事業の停止もしくは大幅な
縮小・拡大するほどの影響があると定義し重要度評価を実施しています。





■気候変動に関し想定するリスク一覧
・生産コストの増加
技術 ・環境配慮型製品開発の遅れ
・環境配慮型製品開発投資コストの増加

移 政策・ ・炭素税の導⼊/拡大による操業コストの増加

規制 ・各国の法規制による原材料の調達困難化や原料/製品の生産、販売の制限/禁止

市場 ・大量の水が使⽤される商材の需要減少

評判 ・評価基準の厳格化と開⽰要請分野の拡大への対応遅れによる企業ブランドや評価の低下

急性 ・異常気象/⾃然災害の頻発化/激甚化


慢性 ・水/電⼒/原材料、⾃然資源の供給不安



上表、リスク一覧から特に重要度が高いと考えるリスクを下表のとおり特定した。


■気候変動に関するリスク(1.5/2℃未満シナリオ)低炭素経済への「移⾏」に関するリスク
影響度 発生時期
想定されるリスク 当社の対応
小 中 大 中期 ⻑期

顧客において環境に配慮した

術 生産工程の変化が起き、当社が
・ 〇 〇 〇 〇
市 これに追随できないことによ

る売上の減少
各国の法規制による原材料の ・市場ニーズの早期収集

⾏ 調達困難化や原料/製品の生 ・環境配慮型製品の先⾏開発
〇 〇 〇
政 産、販売の制限/禁止による当 ・SCM の強化

・ 社売上の減少


炭素税の導⼊/拡大による操業
〇 〇 〇
コストの増加





■気候変動に関するリスク(4℃以下シナリオ)「物理的」変化に関するリスク
影響度 発生時期
想定されるリスク 当社の対応
小 中 大 中期 ⻑期


異常気象や⾃然災害の深刻化・
・代替生産体制の維持強化
増加による事業所・工場の稼働
物 急 ・SCM の強化
理 性 停止や交通網遮断に起因する 〇 〇 〇 〇
・BCP の整備/強化
仕⼊・出荷停止による売上の減
(柔軟な勤務体制等)




気候変動に伴う環境問題や事業環境の変化とその影響から生じる機会は下表のとおり特定した。


■気候変動に関する機会
影響度 発生時期
想定される機会 当社の対応
小 中 大 中期 ⻑期



源 DX・GX の進展に伴う当社環境
効 〇 〇 〇 〇
率 配慮型製品の売上増加



移 ・市場ニーズの早期収集

⾏ 途 DX・GX の進展に伴う半導体・
・環境配慮型製品の先⾏開発

製 デジタル産業の成⻑と発展お

・ よび AI 技術活⽤領域の拡大に 〇 〇 〇 〇

よる当社関連の電子部品の需

ス 要拡大による売上増加




リスク管理

当社では、TCFD 検討チームが気候変動関連に関する「リスクと機会」を抽出し、関連部門と連携し
その認識に努めています。そして、評価プロセスによって特定した重要度の高いリスクへの対策を、
ESG 委員会等で協議・決定しています。





指標と目標

当社グループは、「環境保全」に関する気候変動問題への対応として、2030 年の定性的目標に
次の2つを掲げています。
・社会の持続的な成⻑のため、地球環境問題に真摯に取り組む

・エネルギー使⽤の削減とネットゼロに向けての取り組みを実施
具体的に、次のように CO2 削減目標を定め取り組んでいます。
・2030 度までに国内の Scope1・2 の総排出量実質 50%削減(基準年度︓2017 年度)


以 上


当社グループの CO2 排出量の推移
■Scope1・2 CO2 排出量(t-CO2)
2017 年 12 月期 2021 年 12 月期 2022 年 12 月期
-国内
Scope1・2 1,363 1,345 1,423
国内合計 1,363 1,345 1,423
2017 年 12 月期比 -1.3% +4.4%
-海外
Scope1・2 - - 949
海外合計 - - 949
合計 - - 2,372
(注)Scope1(燃料)・Scope2(電気・熱)に関する CO2 排出量については、2022 年度からグループ
全体にて算定しました。グループ全体の削減目標値は設定後、あらためて開⽰する予定です。
■Scope3 CO2 排出量(t-CO2)
カテゴリー 項目 2022 年 12 月期
カテゴリー5 事業から出る廃棄物 176
カテゴリー6 出張 39
カテゴリー7 雇⽤者の通勤 117
合計 332
(注1)Scope3 に関する CO2 排出量については、2022 年度実績から⾃社排出である国内のカテゴリー
5、6、7 の排出量を算定しました。
(注 2)算定の対象範囲は、当社のみとなります。
(注 3)算定には、環境省が公開している算出資料「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出
原単位データベース(Ver.3.3) 」を使⽤しました。




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