Nature誌への当社プログラム医療機器に関連する記事掲載のお知らせ

2024 年 3 月 18 日
各 位


会 社 名 株式会社レナサイエンス
代表者名 代表取締役社長 内藤 幸嗣
(コード:4889 東証グロース)
問合せ先 管理部
(TEL.03-6262-0873)


Nature 誌への当社プログラム医療機器に関連する記事掲載のお知らせ


当社は東北大学をはじめとする複数の大学・医療機関、日本電気株式会社(NEC)及び
NECソリューションイノベータ株式会社(NES)と共同で、糖尿病インスリン治療や維持
血液透析医療を支援するプログラム医療機器(SaMD)を開発しています。国際的な総合
科学雑誌Nature3月14日号(冊子及びオンライン版)に、当社SaMDに関連する内容が記
事広告「A HOTSPOT FOR RESEARCH AND DEVELOPMENT OF MEDICAL AI」として掲載
(特集企画Nature Index Health Sciencesの一部)されましたのでお知らせいたします。


記事広告 URL:https://www.nature.com/articles/d42473-023-00376-2


以下はNature誌2024年3月14日号に掲載された記事広告を、当社の文責にて日本語訳し
たものです。



「医療AI研究開発のホットスポット」
日本の医師と AI 専門家の協力に基づく、
診断から治療までの新しいヘルスケアソリューション開発


人工知能(AI)は、医療の改善に計り知れない進歩をもたらします。AI は既に「診断」
に広く利用されていますが、東北大学の研究者たちは、糖尿病インスリン治療や維持血液
透析など「治療」を改善するための AI を開発しています。
東北大学大学院医学系研究科は、AI研究開発の初期段階からAI専門家やヘルステック企
業の参加が必要であると考え、医師、AI研究者、ヘルステック企業を結びつけ、実臨床
で活用できるAIを活用した医療ソリューションを開発するため研究プラットフォーム
『メディシナル・ハブ』を設立しました。
「メディシナル・ハブは、医師、AI研究者、ヘルステック企業が協力して医療用AIを開
発します。特に、医学的知識や医療データを持つ医師の積極的な関与が成功の鍵で
す。」とメディシナル・ハブの推進者である宮田敏男教授は言います。
メディシナル・ハブに集う研究者の半数は、日本電気株式会社(NEC)などIT企業出身
者です。NECのAI研究者である外川遼介氏は、宮田氏と3年間一緒に研究をしてきまし
た。外川氏は、「医療に役立つAIソリューションの開発には、医療専門家の存在が欠か
せない」「医療現場で活用できるAIを開発するためには、その精度を高めるだけでな
く、さまざまな状況で使用できるように機能を向上させるため、医療専門家の意見を取
り入れることが不可欠です。」と外川氏は言います。


インスリン治療のためのAI
「糖尿病専門医の経験を学習したAIは、非専門医に貴重な情報を提供することができ
ます。」と宮田氏は言います。理想的には、糖尿病専門医が強化インスリン療法を行
い、血糖値を厳密に管理し、糖尿病合併症を予防します。 糖尿病専門医は、様々な患者
に最適なインスリン投与量を処方する知識と経験を持っています。しかし現実的には、
糖尿病専門医ではない医師がインスリンを投与することが多く、過剰なインスリン投与
は低血糖など合併症を引き起こす可能性もあります。
「特に地方での糖尿病専門医が不足しています。」と宮田氏は言います。彼は、糖尿
病専門医以外の医師が強化インスリン療法を行い、入院患者に最適なインスリン投与量
を提供できるよう支援するAI を開発するプロジェクトに取り組んでいます。
開発中のAI は、専門家のスキル(能力や経験)を学習し、その行動パターンを予測す
るために、NEC 北米研究所の研究者によって独自に開発され模倣学習技術というアルゴ
リズムに基づいています。宮田氏と戸川氏のチームはそれを医療用にカスタマイズし、
糖尿病専門医と協力して、入院患者に最適なインスリン投与量を提供できるよう開発し
ました。
東北大学病院に入院した糖尿病患者の5年間に亘るビッグデータを学習した結果、研究
チームは非常に少ない誤差でインスリンの推奨投与量を提供するクラウドベースのAI
(DM-SAiL)を開発しました。現在では、このAIは入院患者対象に開発されています
が、将来的には自宅でのインスリン療法を支援するためにも応用されることを宮田氏は
期待しています。
このプロジェクトは日本医療研究開発機構(AMED)の事業に採択され、薬事承認申
請を目指して2024年に臨床性能試験が実施される予定です。


維持血液透析のためのAI
東北大学では、維持血液透析患者において最適な除水量を予測するAI開発にも取り組
んでいますが、このプロジェクトもAMED事業に選ばれています。このプロジェクトで
は、宮田氏と東京大学大学院医学系研究科の南学正臣教授が中心となって、維持血液透
析を最適化し非専門医による血液透析療法を支援するAIを開発しています。
末期腎不全患者は週に3回の維持血液透析療法が必要で、体内から血液を採取し、電
解質を補正し、老廃物や余分な水分を除水した後に循環に戻します。適切な除水は、血
液透析治療において重要かつ難しい部分です。除水が不十分の場合は心肺機能に負担が
かかり、過剰な除水は血圧低下などの有害事象に繋がります。
日本の3,000人の血液透析患者(約80万回の透析)の医療データを学習させることで、
宮田氏と南学氏はNECと共同で、除水量を最適化し、透析中の血圧降下を予測できるAI
を開発しました。さらに、個別患者ごとのデータをそのモデルに追加学習させ、より正
確に予測できるAIを開発しました。
南学氏によれば、このAIはプログラム医療機器(SaMD)として、クラウドや医療機関
のパソコン上で動作させることで、目標除水量と透析中の血圧低下の生じる確率を高い
精度で予測することができます。将来的には、このAIを透析医療機器に搭載すること
で、除水量や血流量をリアルタイムで制御できる透析装置を開発できる可能性がありま
す。
「AIの開発により、最終的には在宅治療が容易になり、それによって診療所の負担が
軽減され、遠隔地での診療も改善されるでしょう。」と南学氏は言います。


将来を考える
糖尿病インスリン治療と維持血液透析のプロジェクトはいずれも2024年の臨床性能試
験を目指しています。「異なる医療分野のプロジェクトが他にいくつか進行中であり、
今後も質が高く豊富な医療データ、専門医の関与、事業化の可能性などの基準に基づい
てプロジェクトを選択し、増やしていく予定です。」「(AIにもいろいろな種類があり
ますが)、特定のAIを活用できる医療課題を探すのではなく、特定の医療課題を解決す
るために最適なAI(の種類)を選択または新たに開発する必要があります。」「私たち
は、医療課題を出発点とし、医療現場で最適化する手法である “バイオデザイン” に基
づいて開発しています。」と宮田氏は言います。
外川氏は、生成AIの出現は医療研究を含む社会全体に大きな影響を与えるだろうと考
えています。「将来的には、生成AIは既存のAIアプリケーションを統合するために使わ
れるかもしれません。例えば、画像診断と電子カルテを連携させることで、人間の意思
決定を支援する一貫した分析を可能にするかもしれません。」「しかし、AI技術の開発
には、質の高い豊富なデータが不可欠であることに変わりはありません。医療用AIの研
究開発には、医療データを吟味し収集できる経験豊かな医師との連携が非常に重要で
す。」と外川氏は言います。
以上

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