AIを搭載した大腸内視鏡診断支援ソフトウェア第二弾 医薬品医療機器等法(薬機法)承認取得

PRESS RELEASE
2020 年 1 月 29 日
各 位
サイバネットシステム株式会社


AIを搭載した大腸内視鏡診断支援ソフトウェア第二弾
医薬品医療機器等法(薬機法)承認取得
昭和大学・名古屋大学と共同開発した、
内視鏡検査中に大腸ポリープの検出を支援する AI
サイバネットシステム株式会社(本社:東京都、代表取締役 社長執行役員:安江 令子、以下「サイバネット」 )は、
昭和大学横浜市北部病院消化器センターの工藤進英教授、 名古屋大学大学院情報学研究科の森健策教授らのグループと共
同で、人工知能(AI) ※1を用いて大腸内視鏡診断におけるポリープなどの病変の検出を支援するソフトウェア
「EndoBRAIN®-EYE(エンドブレインアイ)
」を開発し、2020 年 1 月 24 日、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安
全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」※2に基づき、クラス II・管理医療機器※3として承認を取得したことをお
知らせします。




人工知能(AI)を用いた大腸内視鏡診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN®-EYE」
AI
サイバネットは、 を搭載した大腸内視鏡診断支援ソフトウェア第一弾として、 超拡大内視鏡の画像を対象に“診
断”を支援する「EndoBRAIN®(エンドブレイン) ※4の医薬品医療機器等法の承認を既に取得しています(2018

年 12 月)
。今回開発された内視鏡画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN®-EYE」は“病変の発見”を補助するも
ので、昭和大学横浜市北部病院、国立がん研究センター中央病院、静岡県立静岡がんセンター、東京医科歯科大学
附属病院、 がん研究会有明病院の国内5施設共同の臨床性能試験を経て、 医薬品医療機器等法に基づき、 クラス II・
管理医療機器として承認(承認番号:30200BZX00021000)を取得しました。
「EndoBRAIN®-EYE」は、大腸内視鏡で撮影された内視鏡画像を AI が解析し、ポリープなどを検出すると警告
を発し、医師による病変の発見を補助するソフトウェアです。設計上、あえて検出した病変の位置まで特定するこ
とはせずに、音と画面上の色によって医師に警告を発するにとどめています。これにより医師の診断する余地を残
しつつ検出を支援することが可能で、医師の診断に寄り添った設計になっています。なお本ソフトウェアはオリン
パス社製の汎用大腸内視鏡(ハイビジョン画質以上)に使用でき、多くの内視鏡機種と組み合わせて使用すること
ができます。
本ソフトウェアは AI の一種であるディープラーニング※5を採用しており、先進的な AI 研究で実績のある名古屋
大学大学院情報学研究科森健策研究室にて研究されてきたアルゴリズム・ノウハウを実装しています。前述の国内
5施設から集積した動画から抽出された約 395 万枚の内視鏡画像を学習し、 臨床性能試験では感度 95%、特異度 89%
※6
の精度で病変の検出が可能で、内視鏡医の支援に足る十分な精度を達成しています。なお、本品は市販後に自律
的な学習による性能向上はしませんが、 学習画像数の増加やアルゴリズムの改良で性能向上が期待できる場合には、
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請し、承認取得後、適宜バージョンアップを行う方針です。



〒101-0022 東京都千代田区神田練塀町3 https://www.cybernet.jp/
※記載されている会社名および製品名は、各社の商標および登録商標です。 REV202001
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開発の背景
大腸がんは日本人女性のがん死亡数の1位、男性でも3位※7で、効果的な対策が求められるがん種です。その対
策として、大腸内視鏡で早期がんや前がん病変である腫瘍性ポリープを切除することで、大腸がんによる死亡を大
幅(53-68%)に減らせることが知られています(Zauber et al. N Engl J Med 2012, Nishihara et al. N Engl J Med 2014)。
しかし、 1回の検査当たり腫瘍性ポリープの約 22%が見落とされている可能性が指摘されていました (van Rjin JC
et al. Am J Gastroenterol 2012) 。見落としの内訳として、大腸のヒダや便に隠れてしまって描出ができていない場
合と、画面上にポリープが描出されていてもヒューマンエラーによって見落とされてしまう場合があります。サイ
バネットは、昭和大学横浜市北部病院消化器センター及び名古屋大学大学院情報学研究科の森健策研究室と連携し
て、特に後者による見落としを防ぐことを主眼として、医師による内視鏡検査を補助する AI を 2013 年より研究・
開発してきました。


開発の意義
大腸の長短や形状の個人差が大きいことで難しいとされる大腸内視鏡の検査は、経験豊富な医師でも負担の大き
い複雑な検査と言われています。 「EndoBRAIN®-EYE」を使用することで、医師の内視鏡観察を支援し、病変の発
見割合が向上することが期待されています。また、既に販売されている「EndoBRAIN®」との連携によって病変検
出から診断の一連の工程を AI が支援する環境が整うことで、内視鏡検査に携わる医療従事者の負担を軽減させ、
ポリープなどの検出率を更に高めることが期待されます。


サイバネットの医療分野への取り組み
サイバネットでは、仮想気管支鏡ナビゲーションソフトウェア「DirectPath(ダイレクトパス)」、汎用 DICOM※8
データ 3D エディタ「INTAGE Station(インテージ・ステーション)」シリーズ、 内臓脂肪面積計測ソフトウェア
「SlimVision(スリムヴィジョン) 」や、肺計測ソフトウェア「LungVision(ラングヴィジョン)」など、長年、医療
用製品の開発・販売を行ってきました。2016 年からは国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の委託
を受け、昭和大学、名古屋大学と AI を用いた高精度な画像診断支援ソフトウェアの共同研究を続けています。


本研究への支援
なお本研究開発は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)医療機器開発推進研究事業「人工知能とデー
タ大循環によって実現する、大腸内視鏡診療の革新的転換」(研究開発代表者・工藤進英教授)の支援を受けて実施
されました。

注釈
※1:人工知能(AI)
:EndoBRAIN®-EYE が採用している AI はディープラーニングと呼ばれる機械学習の一種であり、市販後に自ら学習を繰り返
して性能が向上するタイプの AI ではない。
※2:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法):薬機法ともよばれる法律で、医薬品・医
薬部外品・化粧品・医療機器および再生医療等製品の品質、有効性および安全性を確保し、医療機器の安全対策強化や、医薬品・医療機
器・再生医療等製品などの承認・規制を目的とするもの。この法律では診断・治療を目的としたソフトウェアも対象となる。
※3:医療機器は多種多様であるため、患者に与えるリスクに応じて、一般医療機器(クラスⅠ) 、管理医療機器(クラスⅡ)
、ならびに高度管
理医療機器(クラスⅢとクラスⅣ)に分類されている。クラス II・管理医療機器は不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが比較的低
いと考えられるもので、レントゲン撮影装置や心電計、注射針、さらには EndoBRAIN®-EYE のような一部の診断支援プログラムが該当す
る。
※4:EndoBRAIN®:超拡大内視鏡の画像を対象に人工知能(AI)を用いて大腸内視鏡診断での前がん病変※9である腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポ
リープを推測し、腫瘍の可能性(パーセンテージ)とともに医師に提示するソフトウェア。サイバネットが製造開発/製品化を担当し、
オリンパス株式会社から 2019 年 3 月に販売開始されている。「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医
薬品医療機器等法)」クラスⅢ・高度管理医療機器承認(承認番号:23000BZX00372000)。
※5:ディープラーニング(深層学習):音声認識や画像の特定など、人間が行うようなタスクを実行できるようコンピュータに学習させる機
械学習の手法。人間の脳細胞を模倣した多層構造のニューラルネットワークに、大量の画像、テキスト、音声データなどを入力すること
で、データに含まれる特徴を各層で自動学習させることが可能。人工知能(AI)の開発や発展を支える技術の一つ。
※6:
「感度」「特異度」
・ :感度とは画像中に病変があるときに AI が正しく病変があると判定できる確率であり、特異度とは画像中に病変がな
いときに AI が正しく病変がないと判定する確率である。つまり感度が高ければ高いほど AI による見落としが減り、特異度が高ければ高
いほど誤検出が減ることを意味する。
※7:大腸がん死亡者:国立がん研究センターが発表する 2019 年 10 月 04 日付「最新がん統計“2017 年の死亡数が多い部位” 」がん情報サービ
ス統計値(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html)より。
※8:DICOM:Digital Imaging and Communications in Medicine。CT や MRI、CR などで撮影した医用画像のフォーマットと、それらを扱う医
用画像機器間の通信プロトコルを定義した標準規格。
※9:前がん病変:がんに移行する過程、または、がんの初期状態で治療することで治癒可能なもの。


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サイバネットについて
サイバネットシステム株式会社は、CAE のリーディングカンパニーとして、30 年以上にわたり製造業の研究開発・設計関係部門、大学・政府
の研究機関等へ、ソフトウェア、教育サービス、技術サポート、コンサルティングを提供しています。また ICT 分野では、最新のセキュリティ
ソリューションのみならず、企業のセキュリティ向上に欠かせない IT 資産管理ツールや IT 運用管理ツールを提供しています。近年では、IoT
やデジタルツイン、ビッグデータ分析、AI 領域で、当社の得意とする CAE や AR/VR 技術と組み合わせたソリューションを提案しています。
ブランドメッセージは「つくる情熱を、支える情熱」。日々、多様化・複雑化する技術課題に向き合うお客様に、
「まずはサイバネットに聞い
てみよう」と思っていただける企業を目指しています。
サイバネットシステム株式会社に関する詳しい情報については、下記 Web サイトをご覧ください。
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本件に関するお問い合わせ サイバネットシステム株式会社
 内容について  報道の方は  投資家の方は
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