温度応答型調光材料の開発に関するお知らせ

2019 年9月 30 日
各 位
会社名 大阪有機化学工業株式会社
代表者名 代表取締役社長 上林 泰二
(コード番号:4187 東証第一部)
問合せ先 取締役執行役員管理本部長
本田 宗一
TEL 06-6264-5071(代表)


温度応答型調光材料の開発に関するお知らせ


当社は、国立研究開発法人 産業技術総合研究所、神戸市立工業高等専門学校と共同で、独自の
アクリル酸エステル化技術を駆使し、液晶とアクリルモノマーの複合材料からなる温度応答型調光材料
を開発いたしましたので、その概要につきまして下記のとおりお知らせいたします。



1)概要
この度開発した、温度応答性調光材料を用いた調光ガラスは、温度変化で透明と白濁が切り換わり、
太陽光透過率を 20%以上変化させることが可能です。このような温度応答型の調光ガラスを窓に使用す
ることで、煩雑な配線などが不要で、季節の移り変わりによる温度変化だけで室内に入ってくる日射を
制御できる可能性があります。今回の開発は、住宅や移動体などの暖冷房負荷を抑える省エネ部材と
して期待できます。


2)背景
近年、省エネが求められる中、住宅やオフィスビルといった建物の暖冷房負荷の低減にも注目が集
まっております。その一つとして、窓から入る太陽光の制御は重要であり、さまざまな方式で太陽光を制
御できる調光ガラスが非常に有望視されています。例えば、電気で切り換える調光ガラスは、ユーザー
の好みで自由に調光でき、建物だけでなく航空機や自動車などに普及し始めております。
しかしながら、配線が必要であり内部構造も複雑であるため、設置条件やコスト面で課題があります。


3)特徴
この度、液晶とアクリルモノマーからなる温度応答型の高分子ネットワーク液晶材料(図1)の開発に
成功いたしました。本材料を使用した調光ガラスは生活温度付近の温度変化で、透明と白濁状態が切
り換わり(図2)、太陽光透過率が大きく変化させることが出来ます。
これまでの液晶を用いた調光ガラスでは、プライバシーガラスとしての用途がほとんどでありましたが、
本材料を用いた温度応答型の調光ガラスは、生活温度付近で太陽光の透過を制御出来るため、冷暖
房負荷を通年で抑えられる可能性があり、新たな用途の展開が考えられます。
また、従来の調光ガラスと比較すると、作製工程や動作原理が単純であり、製造・施工・運用の面でも
優位性があると考えられます。
入射光 入射光


調光



高分子 液晶
透過 散乱
低温:透明 ⾼温:⽩濁 約 25℃ 約 50℃

図1.温度応答型高分子ネットワーク 図2.本開発品での低温時の透明状態(左)と
液晶材料の調光原理 高温時の白濁状態(右)の写真




図3.本開発品を調光させた際の窓外景色の様子




本材料は、自社開発のアクリル酸エステルや当社が長年蓄積してきた独自性の高い紫外線硬化技
術、特殊重合技術が応用されております。現在はサンプルワークの段階であり、数年後に売上に貢献
出来るよう、今後、更なる日射制御性能と耐久性の向上、並びにフィルム基材への適用に取り組むとと
もに、建材用の窓ガラス、農業用フィルム分野などを中心に市場開拓を進めて参ります。




以上

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