CMMIレベル5継続達成に向けたプロジェクトを発足

2021 年4月 13 日
株式会社システム情報
https://www.sysj.co.jp/



CMMI®レベル5継続達成に向けたプロジェクトを発足

株式会社システム情報(本社:東京都中央区、代表取締役:鈴木 隆司、東証第一部:3677)は、CMMI®(*1)
の最高位であるレベル5の継続達成に向けて、社内プロジェクトを発足いたしました。
CMMI®レベル5を達成している国内企業は、2021 年3月 30 日時点で7社ございます。そのうち全社で達成しているの
は、当社を含め3社しかございません。CMMI®は評定の満了が3年となっており、当社はこれまで、2012 年、2015 年、
2018 年にレベル5を3回達成し、今回は 2021 年 10 月で満了となります。そこで、達成に向けた社内プロジェクトを立ち上
げることといたしました。


■プロジェクト詳細
社内外より、CMMI®の有識者を集めて評定プロジェクトを発足いたします。評定メンバは、約半年かけて当社のプロジェクト、
及び組織が、CMMI®レベル5の要件を満たしているか評価するとともに、組織に対して更なる改善の提言を行います。評定は、
最新の CMMI® Version 2.0 モデルを使用し、公認のリードアプレイザのもとで実施されます。




CMMI®レベル 5 評定メンバ
後列(左より):山本、磯野、永田、小澤
前列(左より):師橋、鈴木社長、塩田



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■CMMI®レベル5を目指す意義
【鈴木社長より】
CMMI®レベル5を継続する価値は、事業環境が変化し、会社も変化する中で、組織の事業目標達成に向けて組織のプ
ロセスを改善し続けることにあります。また、AI やクラウド技術などを活用した DX 領域へサービスを広げる中で、アジャイル(*2)
などを取り入れた従来とは異なるアプローチを適用した開発プロセスが求められています。当社の得意としている CMMI®や
PMBOK®(*3)といった枠組みを活用することで、こうした変化への対応も着実に行うことができます。


■前回の CMMI®レベル5達成までの取り組み(~2018 年 10 月)
【評定メンバ(山本)より】
●ステークホルダー管理の強化
PMBOK®も第5版から、ステークホルダー管理の知識エリアが独立しましたが、当社としてもプロジェクトの成功においてステ
ークホルダー管理の強化は重要なポイントと考えています。
そこで、「アカウント・マネジメント・レビュー」という名称で、ステークホルダー・エンゲージメント(*4)が正しく計画され、計画
通り実施されているかについて、経営陣、事業部門上位者、品質管理部門がレビュアとなり、チェックと支援を行う場を設けまし
た。「アカウント」とは、PMBOK®で「プログラム」と称されている、関連性のあるプロジェクト群の集まりのことで、当社では主にお
客様単位でプロジェクトをまとめてアカウントとしており、アカウントごとにアカウント・マネージャーがいます。当レビューは 2016 年
に開始後、現在も続いており、お客様とより良好な関係を築くことで、プロジェクトの成功、また、その先の売上・利益の向上に貢
献していると考えています。


●アジャイル開発プロセスの充実
前回のCMMI®更新の前には、当社の標準プロセスであるSICP(*5)に、アジャイル開発の標準プロセスを策定しました。
CMMI®はウォーターフォール(*6)用ではと言われることもありますが、アジャイルにも対応しており多くのヒントを与えてくれまし
た。現在では、社内に認定スクラムマスター(*7)も複数人おり、大規模アジャイル用フレームワークである、Scaled Agile
Framework®(SAFe®)(*8)を提供する Scaled Agile, Inc.とのパートナー契約も締結していますが、それらの知見を
活用し、継続的に内容を充実させています。


■今回の CMMI®レベル5達成(継続)に向けての取り組み(2018 年 10 月~)
【評定メンバ(磯野)より】
●UX を中心とした上流工程の強化
当社は 2019 年3月に東証第一部に指定されましたが、会社の規模拡大に伴い、上流工程から参画するプロジェクトが増
えました。現場の状況からも、今後の事業戦略をふまえても、上流工程の強化が必要だと考え、テーマを「UX(ユーザーエク
スペリエンス)」(*9)としました。「UX」と聞くと、画面デザインや操作性を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、UX はユ
ーザがどのような人で、どのような行動を取っているかをふまえて、ユーザに提供する体験を考えるものと捉えています。これまでは、
「どのような機能が必要ですか?」「どのような画面がよろしいですか?」と問いかけていたものを、「どのようなユーザを想定してい
ますか?」「そのユーザにどのような価値を提供したいですか?」「そのユーザに体験してもらうストーリーとはどのようなものでしょう
か?」に変えていく必要があると考えました。
ユーザを定義する「ペルソナ」、ユーザの体験をデザインする「カスタマージャーニーマップ」、アイデアを創出する「デザイン思考」
など、UX に関するツールや考え方を SICP に取り込んでいるところです。




-2-
●アジャイルのサービス化
AI(*10)など先端技術を活用する案件では、PoC(*11)といって、新たなアイデアやコンセプトの実現可能性やそれに
よって得られる効果などについて検証を行うためにアジャイルが採用されることが多く、通常のシステム開発の案件でもアジャイル
が採用されることが増えています。しかし、成功するかどうかはプロジェクトごとに差がある状況でした。そこで、CMMI®のノウハウ
をふまえてアジャイルのプロジェクトを分析、プロセスを見直し、成功する可能性を高めるとともに、当社らしい、より事業価値のあ
るアジャイルの検討を進めています。
特にアジャイルは、ゴールや全体像が不明瞭なままスタートしたり、ゴールを見失い迷走したりするケースがあります。それに対
して、プロジェクト管理の要素のなかでも「スコープ管理(見える化)」を取り入れることで対処しようと考えています。また、はじ
めから決めておく必要がある部分はウォーターフォールの進め方でしっかりと整え、スピードと柔軟性が重視される部分はアジャイ
ルとする、「ハイブリッド型」を中心に、当社のアジャイルをブラッシュアップし、お客様に「迷走しないアジャイル」を当社独自のサ
ービスメニューとして提供できるまでを目指しています。


●ファシリテーション力の強化
アジャイルでも、ウォーターフォールでも、プロジェクトを確実にゴールに導くカギはファシリテーション力だと考えます。ファシリテー
ションは一般的に、会議を円滑に進める進行スキルのイメージがありますが、当社はそれを進化させ、プロジェクトを牽引する「プ
ロジェクト・ファシリテーション」を SICP(当社独自の開発標準)に定義しています。当社は従来、プロジェクト・マネジメント力の
強化と定着に注力してきましたが、それはプロジェクトを十分に計画し、計画に沿った形で着実に実行する力です。今後増えて
いくと思われる、不確実性が高く、困難な状況に柔軟に対応していく必要があるプロジェクトでは、プロジェクト・マネジメント力に
加えて、チームやお客様との協働体制を構築し、モチベーションを維持してゴールに向かっていくプロジェクト・ファシリテーションの
力が必要になると考えています。



当社は本年中に CMMI®レベル 5 継続達成をご報告できるよう、また、この機会に更なるプロセス改善の成果をお示しでき
るよう、全力を挙げて取り組んでまいります。今後ともご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。




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(*1) CMMI®(Capability Maturity Model Integration)
米国カーネギーメロン大学(CMU)のソフトウェア工学研究所(SEI)が開発したソフトウェア開発プロセスの能力成熟度モデル。組
織のプロセス能力(成熟度)を 5 段階で評価し継続的な改善を促す、体系的なプロセス改善のためのモデルで、現在ではソフトウェ
ア開発能力を測る国際標準的な指標となっている。
審査満了日(Appraisal Expiration Date)は評定から 3 年後の日付となり、その日が来るまで、CMMI Institute のサイトに会
社名・評定内容・評定結果などが掲示される。


(*2) アジャイル開発
アジャイル(Agile)とは、直訳すると「素早い」「機敏な」「頭の回転が速い」という意味。アジャイル開発は、システムやソフトウェア開
発におけるプロジェクト開発手法のひとつで、小単位で実装とテストを繰り返して開発を進めていく。従来の開発手法に比べて開発期
間が短縮されるため、アジャイル(素早い)と呼ばれている。


(*3) PMBOK® ( A Guide to the Project Management Body of Knowledge )
アメリカの非営利団体 PMI(Project Management Institute)が策定した、プロジェクト・マネジメントの知識体系。事実上の標
準として世界中で広く受け入れられている。


(*4) ステークホルダー・エンゲージメント
ステークホルダー(利害関係者)と良好な関係を築き、プロジェクトへの適切な関与を促すこと。


(*5) SICP (SI&C system Integration Control Process)
® ®
国際資格/標準である PMBOK 、CMMI をベースに 40 年に及ぶ SI&C の開発ノウハウを注入して 作成した開発標準。SI&C
では SICP を全てのプロジェクト開発に適用し、お客様より高い評価を得ている。


(*6) ウォーターフォール開発
システムの開発を「基本計画」「外部設計」「内部設計」「プログラム設計」「プログラミング」「テスト」という工程に分けて順に段階を経て
行う開発手法。前の工程には戻らない前提であることから、下流から上流へは戻らない水の流れにたとえてウォーターフォールと呼ばれ
ている。日本ではアジャイルよりも広く利用されてきた。


(*7) 認定スクラムマスター
スクラムマスターとは、アジャイル開発手法のうち、スクラムと呼ばれるフレームワークでの促進・支援役のこと。認定団体による研修を受
講し、試験に合格することで認定スクラムマスターの資格を保有することができる。


(*8) SAFe®(Scaled Agile Framework®)
リーン、アジャイル、DevOps を大規模に実践するための、実証済みの原則、プラクティス、コンピテンシーがまとめられたオンラインのナ
レッジベース。 Dean Leffingwell 氏が中心になって開発された。企業の規模の拡大に合わせてアジャイルを拡張するための体系
的なアプローチを提供されており、アジャイルの段階的な拡大に対応している。
当社は 2021 年より、SAFe®の著作権を保有する Scaled Agile, Inc.(米国コロラド州、CEO:Chris James、以下、SAI)と
パートナー契約を締結し、Scaled Agile Partner Network に Bronze Partner として加入している。


(*9) UX(User Experience)
ユーザが製品やサービスを通して得られる体験や経験のこと。ユーザの体験を改善することで、製品・サービスの質を向上させることを目
的としている。

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(*10) A.I. ( Artificial Intelligence ) 人工知能
「『計算(computation)』という概念と『コンピューター(computer)』という道具を用いて『知能』を研究する計算機科学
(computer science)の一分野」を指す語。「言語の理解や推論、問題解決などの知的行動を人間に代わってコンピューターに
行わせる技術」、または、「計算機(コンピュータ)による知的な情報処理システムの設計や実現に関する研究分野」ともされる。現
在、A.I でできることは以下の 7 つのスペクトラムで表現されることが多い。
1) 認知 :音声・画像・感情のデータからパターンを読み取る
2) 通知 :必要な「適切な情報」を「適切なタイミング」で「適切なユーザ」に提供
3) 提案 :過去の行動データをもとに、ユーザへのリコメンドを実施
4) 自動化 :ユーザが抱えるタスクを自動で肩代わりする
5) 予測 :過去に蓄積されたデータをもとに予測する
6) 予防 :起こりえる問題を予測し、潜在的なリスクを回避
7) 環境認知 :人がすべきことを判断する際の手助け


(*11) PoC(Proof of concept) 概念実証
新たな概念やアイデアの実現可能性を示すために、簡単かつ不完全な実現化(または概要)を行うこと。あるいは原理のデモンスト
レーションによって、ある概念や理論の実用化が可能であることを示すこと。


以上
<お問合せ先>
技術監理本部 品質監理部
E-mail:hinkan@sysj.co.jp




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