東京建物株式会社と株式会社内田洋行との協働実証実験について

2021 年 1 月 19 日
各位
会社名 株式会社TOKAIホールディングス
代表者名 代表取締役社長 鴇田 勝彦
(コード番号 3167 東証第1部)
問合せ先 常務執行役員・IR室担当 谷口 芳浩
(TEL. 03-5404-2891)



東京建物株式会社と株式会社内田洋行との協働実証実験について
~AI でオフィスの空調を制御し、約 5 割の消費エネルギー削減効果を確認~


当社の 100%子会社である TOKAI コミュニケーションズ(TOKAI COM)が、東京建物株式会社と
株式会社内田洋行と協働して行っている、AI によるオフィスの空調制御の実証実験について、別添の
通りお知らせいたします。


以 上
2021 年 1 月 19 日
各位
東京建物株式会社
株式会社TOKAIコミュニケーションズ
株式会社内田洋行



オフィスの空調を AI で制御する実証実験を実施
温度ムラの解消と約 5 割の消費エネルギー削減効果を確認

~より快適なオフィス空間の提供を目指して~



東京建物株式会社(以下、東京建物)、株式会社TOKAIコミュニケーションズ(以下、TOKA
、株式会社内田洋行(以下、内田洋行)は、東京建物八重洲ビル 7 階の東京
Iコミュニケーションズ)
建物ビル事業本部のオフィスフロア(以下、本フロア)にて、AI による空調制御の実証実験を実施しま
した。今回の実証実験では、本フロアにおける温度ムラの解消と約 5 割の消費エネルギー削減を達成し
ています。

■実証実験の背景
個別空調を採用しているオフィスビルでは、ゾーンごとに空調機が設置され、それぞれの空調機が人
によって好みの温度に設定できるようになっています。しかし直近では、在宅勤務やテレワークの進展、
フリーアドレス導入など、オフィスワーカーの働き方の多様性が広がり、ゾーンごとの滞在人数やパソ
コン等の稼働熱量などは日々異なります。そのため、個人による空調温度設定では、日々刻々と変化す
る多様なオフィスワーカーのニーズに即時に合わせることが難しくなっています。また、隣接する空調
機がそれぞれに異なる設定温度を維持しようと干渉し合ってしまうと、不要な負荷が発生し、空調費用
の増加などの課題が生じてしまうことがあります。


■実証実験の今後の展開について
本実証実験では、上記課題を解決するため本フロアに 65 個の無線センサーを設置し、それらのデー
タを基に AI が本フロアの 39 台の空調機制御を行なった結果、夏期と秋期における温度ムラの解消と秋
期における約 5 割の消費エネルギー削減に至りました。今後は四季を通して AI による空調制御を実現
させるために、冬期から春期における実証実験の実施やオフィスの人口密度などの要素が変わった場合
でも、同様の効果が得られるかを検証する予定です。加えて、東京建物八重洲ビル内で実証対象フロア
の拡大も予定しています。
AI
実証実験の検証結果を踏まえ、 による空調制御に用いるパラメータの調整を行い、 更なる快適なオ
フィス空間の提供と省エネルギーの達成を実現してまいります。
<図 1:オフィスでの AI による空調制御の実証実験システム構成図>




■実証実験の概要
①オフィス空調機器の課題
 個別空調方式では、空調機とセンサーが 1 対 1 の関係で温度制御を行う方式が一般的である。隣
接する空調機がそれぞれに異なる設定温度を維持しようとした場合、相反する運転となり、空調
費用が増加してしまう可能性がある。
 オフィスワーカーの人数やパソコンの内部熱負荷の変化があった場合、即時に追従できない。
 AI を用いずに多数のセンサーデータで多数の空調機を制御しようとした場合、制御ロジックが過
剰に複雑化してしまう。


②実証実験の詳細
本実証実験は第一段階として位置付け、夏と秋の空調を対象に実施しました。下記の利点を享受
できる AI 技術により、AI の事前学習を行った後、2020 年 7 月 27 日~11 月 27 日の期間に、本フ
ロア全体が 26℃を中心に±2℃の範囲を維持するようにシステムを設計・運用しました。なお、無
線センサーは、ワイヤレス通信の技術を用いて、立って仕事をする場所や座って仕事をする場所な
どに合わせて、オフィスワーカーが温度を体感できる位置に設置しています。
 室内に設置した多数の無線センサーのデータをもとに、多数の空調機を AI にて制御する空調機の
群管理が可能
 無線センサーからデータを収集、インターネットを経由してクラウド上の AI へ送信、AI が空調
機に対する操作指令を送信することで「空調操作の自動化」を実現
 大量のデータを基に統合的に空調機の群管理を行うことで、個人の感じ方の差に影響を受けず、
データに基づいた制御を行うことが可能
 AI は強化学習モデルを利用しており、運用を続けることにより空調制御の精度が向上
7 階フロアの様子 個別空調を AI にて制御



■結果詳細
今回の実証実験では、①「夏期における温度ムラの解消」と②「秋期における消費エネルギーの削
減」を達成しています。


① 「夏期における温度ムラの解消」 月 27 日から 8 月 31 日まで実証)
(7
AI 制御の場合、室内の利用状況の変化等によって、一時的に 26±2℃の目標温度帯を外れてしま
う箇所が発生したケースでも、目標温度帯に復帰しています(図 2:
「AI 制御時」参照)。
一方で、人が室温設定操作をした場合、暑く感じたオフィスワーカーが 20℃に設定したケースで
は、長時間にわたり 26±2℃から外れたエリアが発生しました(図 2:
「手動制御時」参照)

このように、AI が多量のデータを分析し、手動制御よりも高頻度(6 分間に 1 回)での温度変更
を行うことで、人が操作することを前提とした従来の空調制御では対応しきれなかったような環境
変化にも追従できたものと判断しています。


<表:AI と人的操作による温度調整差異>
26±2℃に復帰しなかった 復帰までに要した時間 備考
回数 (平均値)
AI 空調制御 0回 6.4 分 8/18,19 の合計
人的操作による空調 9回 36.3 分 8/20,21 の合計
<図 2:本フロアにおける空調の手動制御と AI 制御による室温変化>




(10 月 5 日から 11 月 27 日まで実証)
② 「秋期における消費電力の削減」
下記グラフの通り、 月と 11 月の秋期において、 による空調制御を行った 7 階の空調消費電
10 AI
力は、東京建物が同規模の面積を利用している 8-10 階の平均と比べて消費電力を 50%程度に抑え
ることが出来ました。早朝以外暖房を使わずほとんどの時間を冷房モードのみで 26±2℃の目標温
度帯を維持することが出来ました。個人の感覚ではなく、データを基に不要な暖房を減らせたこと
が消費電力削減の要因です。


<図 3:東京建物八重洲ビルフロア別消費電力の変化(青色線グラフが本フロア消費電力)>
■本実証実験の各社取組経緯
各社の強みやノウハウを活かして、本実証実験を三社協働で推進しています。今後は、本実証実験で
得られた成果を活かし、更なる快適なオフィス空間の提供と省エネルギーの達成を目指してまいります。
①東京建物
オフィス、商業施設等の多様な不動産の開発、運営・管理事業において、新しいデジタルテクノロ
ジーの活用によるお客様満足度および事業収益性の向上に取り組んでおり、毎年「ビル環境・スタッ
フ対応についてのお客様満足度調査」を実施しています。昨今の調査では、
「空調温度、湿度の設定・
管理」についてのご意見・ご要望が多数あり、当社としても改善の余地があると考えていました。
本実証実験において、当社のオフィスを実証実験の場として環境整備し、提供するとともに、全体
の取りまとめを行うことで、施設管理現場の課題解決・生産性向上に向けた様々なデジタルトランス
フォーメーション(DX)活動を更に強化してまいります。


②TOKAIコミュニケーションズ
豊富なシステム開発実績やクラウド導入実績をベースに、 AI
データセンター事業者に向けて、 を利
用したサーバルーム空調機の自動制御機能を構築、 空調機電力量を最大 30%削減するという実績をあ
げてまいりました。また、同時に各種センサーデータの見える化を実施し、AI と合わせデータセンタ
ー運用の DX に貢献してまいりました。今般 AI の自社開発とシステム構築を通じ、クラウドエンジ
ニアと AI エンジニアの技術力向上にも取り組んでいます。
本実証実験において、空調制御を行う AI の構築と調整を行いました。


③内田洋行
クラウドを用いたビルの多棟管理、空調や照明など各種設備の遠隔稼働監視、異常検知、さらには
ビル設備を手元のスマートフォンやタブレットで操作するなど、IoT インテグレータとしてスマート
オフィスの実現を支援しています。
本実証実験において、無線センサーの設置とセンサーデータを収集するシステムの構築に加え、制
御信号を AI から受信し、空調機へ送信をするシステムの構築を行いました。




【各社概要】
■東京建物株式会社
本社所在地 :東京都中央区八重洲 1-4-16
創立 :1896 年 10 月 1 日
資本金 :924 億円(2019 年 12 月 31 日現在)
代表者 :代表取締役社長執行役員 野村 均
従業員数 :655 名(2019 年 12 月 31 日現在)
主な事業内容 :オフィスビル・商業施設等の開発、賃貸及び管理、マンション・
戸建住宅の開発、販売、賃貸及び管理、不動産の売買、仲介及び
コンサルティング・駐車場の開発、運営、リゾート事業、資産運
用事業、海外事業、不動産鑑定業
ホームページ :https://www.tatemono.com/
■株式会社TOKAIコミュニケーションズ
本社所在地 :静岡県静岡市葵区常磐町 2-6-8
創立 :1977 年 3 月 18 日
資本金 :12 億 2,148 万円(2020 年 3 月 31 日現在)
代表者 :代表取締役社長 福田 安広
従業員数 :1,268 名(2020 年 3 月 31 日現在)
主な事業内容 :通信事業、データセンター事業、システムインテグレーション事
業等
ホームページ :https://www.tokai-com.co.jp/


■株式会社内田洋行
本社所在地 :東京都中央区新川 2-4-7
創立 :1910 年 2 月
資本金 :50 億円(2020 年 7 月 20 日現在)
代表者 :代表取締役社長 大久保 昇
従業員数 :3,184 名(連結) (2020 年 7 月 20 日現在)
主な事業内容 :民間・公共向け環境構築関連事業、民間・公共向け ICT 関連事業
ホームページ :https://www.uchida.co.jp/


以上



* 記載されている会社名、製品名、サービス名、ロゴ等は各社の商標または登録商標です。



【本件に関するお問い合わせ】
東京建物株式会社 コーポレートコミュニケーション部 担当:山口、野口
TEL:03-3274-1984


株式会社TOKAIコミュニケーションズ IoT ソリューション推進部 担当:山田
TEL:03-5404-3292 MAIL: SFM_INFO@tokai-grp.co.jp


株式会社内田洋行 広報部 担当:佐藤、深澤
TEL:03-3555-4061

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