日本のドラッグロス解消を目指す新しいビジネスモデルへの参画について

2024 年 2 月 14 日
各 位
会 社 名 株式会社バイタルケーエスケー・ホールディングス

代 表 者 名 代表取締役社長 村井 泰介

会社所在地 東京都世田谷区弦巻1丁目1番12号

(コード番号 3151 東証プライム)

問 合 せ 先 執行役員コーポレートコミュニケーション部長 佐藤 健太

TEL 022-266-8330



日本のドラッグロス解消を目指す新しいビジネスモデルへの参画について



当社は、この度、株式会社ケアネット(東証プライム上場、コード番号2150、以下「ケアネット」
という)、株式会社フォレストホールディングス(以下「フォレストHD」という)、株式会社メディ
カルインキュベータジャパン(以下「MIJ」という)の3社と協働で、株式会社LinDo(以下「LinDo」
という)への資本参加を行いました。また、MIJが設立した新ファンドのMIJ BG2 Limited
Partnership(以下「本ファンド」という)にも、フォレストHDと共にストラテジックLPとして出資を
行いました。
LinDoは、欧米で開発されているにも関わらず日本では開発計画が無い新薬を日本で開発・販売する
ことを目的として設立された製薬会社(シードインキュベーター)であり、「ドラッグロス解消新ビ
ジネスモデル」を構築することを目指しております。また、本ファンドは「国内外の新興製薬企業
(Emerging Biopharma(注1):以下「EBP」という)への株式投資」と「日本のドラッグロス解消」の
2つの目的を兼ね備えた総額200億円規模の投資ファンドです。
当社は、このLinDo、ケアネット、フォレストHD、MIJ並びに本ファンドと協働で、日本のドラッグ
ロス解消を目指す取り組みを通じて、小児科領域を含む希少疾病や難病など国内で新しい治療薬の登
場を待ち望む患者さんとその家族、治療を担当する医師、医療従事者の皆様の治療薬の選択肢拡大に
貢献してまいります。
(注1) Emerging Biopharma とは、IQVIA レポートで、年間売上高5億ドル未満かつ年間研究開発費2億ドル未満の新興製薬企業と

定義されている。






1.出資の目的
当社は、2023 年 4 月に「長期ビジョン 2035」を「垣根を越えて 薬の先へ “つなぐ”ことで医療の
未来を革新する」として策定しました。この長期ビジョンのもと、自立と連携により医薬品・メディカ
ル関連商品の持続可能な流通体制を構築するとともに、社会課題の解決、健康寿命の延伸に寄与するこ
とを目的に医療周辺ビジネスを拡大してまいります。
その具体的な施策の一つとして、かねてより、製薬メーカーの製品物流の代行を受託する3PL 事業に





着手しここ数年その実績を着々と積み上げてきており、今後もこの事業領域の拡大を図っていく計画で
す。
そのような中、当社は、今回の LinDo と本ファンドの設立趣旨に大いに賛同し出資を行いました。将
来、当社は LinDo が日本市場で開発・販売する希少疾病や難病などの治療薬について、製品の輸入から
国内向けパッケージングのほか、市販後の流通全般をフォレスト HD と共に担っていく所存です。


2.本ビジネスモデルの全体像
(1)ドラッグロスとは
欧米では、新しい作用機序で根本的治療効果が期待できる薬剤が毎年数多く開発され医療現場で使
用されています。一方日本では、これら欧米で新しく承認される薬剤のうち約 70%(注2)が未申請・
未承認であり、その割合はここ数年増加傾向にあります。特に患者数の少ない小児領域などでは、こ
れらの薬を必要とする日本の患者さんが治療を受けられずにいる事が大きな社会問題となっていま
す。
(注2)出典は、医薬産業政策研究所 政策研ニュース№63(2021 年 7 月)
「ドラッグ・ラグ:国内未承認薬の状況とその特徴」より。



(2)ドラッグロスの主な要因
近年、欧米で承認されている新薬の約 70%(注3)は海外の EBP が創薬しており、大手の製薬企業か
ら生み出される 30%の創薬数の割合を大きく上回っています。大手製薬企業が独自に創薬、開発する
製品や EBP が開発し大型化が期待される一部の製品は、遅かれ早かれ日本でも開発・販売されていま
す。一方、日本に開発や販売機能を持たない EBP が創薬した製品の多くが日本では開発されておりま
せん。したがって、ドラッグロス解消のために、これら EBP 製品の日本での開発促進こそが取り組む
べき主な課題であると言えます。
スタートアップ企業が多い EBP は、資金調達を繰り返しながら限られた資金での開発事業を進めて
います。調達した資金は最も大きな売り上げと早期上市が期待できる欧米市場での開発・販売に投入
され、企業価値を高める事を目指します。また、日本での開発費用が欧米に比べ高いことも懸念点と
なっています。それに加え、EBP は日本のマーケット、開発・承認・薬価収載プロセス等に関する理
解が不十分であったり、言語の違いなどのため、日本での開発に消極的であることも日本への参入障
壁となっています。
EBP 製品の日本での開発や販売の受け皿となる国内製薬企業側の要因としては、効果が高く有望な
新薬であっても、売り上げ規模が小さい希少疾病、難病等の製品や小児疾患用製品等は大型製品に比
べ収益性が低いことから、積極的に開発を進めることが困難であることと、有望な海外 EBP にタイム
リーにアクセスできないことが、EBP 製品が日本市場に導入されない状況を生んでいると考えられま
す。
(注3)出典は、IQVIA「Global Trends in R&D Overview through 2021」(2022 年 2 月)より。



(3)ドラッグロス解消新ビジネスモデルの始動
この度、当社を含む上記の 5 社は、上記のドラッグロスの原因を解消し、日本に導入が難しい希少
疾病や難病等の新薬開発と販売を行うシードインキュベーターの LinDo の設立と MIJ の新規投資ファ





ンド(本ファンド)組成を機に、新しいビジネスモデルをスタートさせました。
このビジネスモデルは、医療領域に特化したベンチャーキャピタルである MIJ の 3 号ファンドに当
たる本ファンドと連携することで有望 EBP の探索と国内臨床開発費の安定調達を行います。また、
LinDo の株主であるケアネットグループと協業することで、これまでの製薬モデルとは異なる効率性
を高めたリーンな開発・販売体制を実現します。さらに、LinDo の株主かつ本ファンドに LP としても
出資した当社とフォレスト HD がサプライチェーンを担う事で最小限の費用で、且つスピーディに開
発・販売できる体制を構築することができます(※下記ビジネスモデルの概略図を参照)

当社を含む5社は、患者数が少ない希少疾病・難病等の新薬導入に向け、経験豊富なメンバーと効
率的な社内組織と強力なネットワークで、ドラッグロスの解消にチャレンジしてまいります。


(4)本ビジネスモデルの各プレイヤーの役割
本ビジネスモデルの各プレイヤーの主な役割は次のとおりです。
❶有望 EBP シーズの探索と導入
海外 EBP への投資に豊富な経験と強いパイプを持つ MIJ が行います。MIJ は独自のグローバルエ
コシステムとのネットワークを有しており、これまでの 1 号・2 号ファンドでの国内外新薬スター
トアップ企業への投資活動を通して、世界の革新的 EBP の探索と毎年 200 を超える評価を行ってき
た実績があります。
➋本ファンドからの DLE(Drug-Loss Elimination)
(注4)資金調達

LinDo は本ファンドから DLE 解消に向けた開発費用を調達します。
本ファンドの目標額である 200
億円規模で最終組成された場合、15-20 品目への充当を想定しています。
➌LinDo 株主並びに本ファンドのストラテジック LP 企業との戦略提携
国内臨床開発から承認申請、販売、流通、市販後の安全性情報収集等の一連の工程を、LinDo と
当社を含む各業界の大手企業4社との提携により最適な管理運営を実現します。


さらに、LinDo がアウトソースする具体的な機能・役割を示すと次のとおりです。
〇ケアネットグループに対して
・22 万人の医師会員と専門医の Database の活用
・医療 DX による治験の効率化(施設選定や参加患者の抽出及び CRO(注4)機能での連携)
・DX コミュニケーションプラットフォームと CSO(注5)機能による効率的なマーケティング及び
販売
〇当社並びにフォレスト HD に対して
・製品の輸入、国内向けパッケージング
・市販後の流通全般


(注4)DLE(Drug-Loss Elimination):ドラッグ・ロス解消の意。

(注5)CRO:医薬品開発業務受託機関 (Contract Research Organization)の略称。

(注6)CSO:医薬品販売業務受託機関(Contract Sales Organization)の略称。





【ビジネスモデルの概略図】




3.今後の見通し
本ビジネスモデルは日本においては極めて新しい試みでありますが、既に興味を示す EBP も複数存在
しています。現在、LinDo 及び本ファンドがそれらの EBP と日本導入に向けた交渉を行っており、早期
の開発開始を目指しています。今後数年内には、毎年複数製品の開発開始を計画しております。
したがいまして、本件に伴う当社の業績への影響は当面の間軽微なものと見込んでおりますが、中長
期的には当社グループの企業価値向上に大いに資するものと考えております。




【各社の紹介と本件に関するお問い合わせ先】

〇株式会社ケアネット

・代表者:代表取締役社長 藤井勝博
・所在地:東京都千代田区富士見1ー8−19 住友不動産千代田富士見ビル
・事業内容:製薬企業向けの医薬営業支援サービス、医師・医療者向けの医療コンテンツサービスなど
を提供しています。
・ホームページ:https://www.carenet.co.jp
・問い合わせ先:管理本部 鹿目 電話 03-5214-5800


〇株式会社フォレストホールディングス
・代表者:代表取締役社長 吉村 次生
・所在地:大分県大分市西大道二丁目3-8
・事業内容:フォレストグループは、医療用医薬品をはじめとして医療機器、材料、診断薬など医療機
関向けの商材、一般用医薬品や薬粧品、動物用医薬品や食品など「医・健・食」を中心に





多様な事業を展開しています。
・ホームページ:https://www.forestg.jp/
・問い合わせ先:経営企画部 平尾 電話 092-477-5894

〇株式会社メディカルインキュベータジャパン

・代表者:代表取締役社長 桂 淳
・所在地:東京都港区赤坂一丁目 11 番 28 号
・事業内容:ヘルスケアビジネスと投資のプロ集団による、医療に特化した独立系投資事業会社。革新
的スタートアップを探索し、患者さんに希望を、投資家に利益をもたらすエキサイティン
グな投資活動を行っています。 号ファンド、 号ファンドでは欧米、
1 2 日本のライフサイエ
ンスベンチャーへの投資実績があります。
・ホームページ https://www.medicalincubatorjapan.com/
・問い合わせ先:管理部 高橋 電話 03-6426-5308

〇株式会社 LinDo(リンドウ)

・代表者:代表取締役社長 桂 淳
・所在地:東京都港区赤坂一丁目 11 番 28 号
・事業内容:欧米で開発されているにも関わらず日本では開発・承認申請の計画が無い新薬を日本で開
発・承認取得・販売することで、いわゆるドラッグロスの解消を目指して事業を開始致し
ました。小児科領域を含む希少疾病や難病など国内で新しい治療薬の登場を待ち望む患者
さんとその家族、治療を担当する医師、医療従事者の皆様の治療薬の選択肢拡大に取り組
んでまいります。
・ホームページ:https://www.lindosi.com/
・問い合わせ先:管理部 高橋 電話 03-5545-5272

〇株式会社バイタルケーエスケー・ホールディングス

・代表者:代表取締役社長 村井 泰介
・所在地:東京都世田谷区弦巻一丁目1番 12 号
・事業内容:東北・新潟・北関東・首都圏で営業展開するバイタルネットと関西で営業展開するケーエ
スケーが 2009 年に統合して出来た医療用医薬品卸売企業。グループで薬局事業、医療用
機器・診断薬・材料等卸売事業、動物用医薬品卸売事業、農薬・農業用資材等の卸売事業
を展開しています。
・ホームページ:https://www.vitalksk.co.jp/
・問い合わせ先:コーポレートコミュニケーション部 佐藤 電話:022-266-8330


以上





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