TCFD提言に基づく情報開示の更新のお知らせ

2023 年 3 月 23 日
各 位
会 社 名 株 式 会 社 ア ダ ス ト リ ア

代 表 者 代 表 取 締 役 社 長 木 村 治

(コード番号2685 東証プライム市場)
上 席 執 行 役 員
問合せ先 岩越 逸郎
管 理 本 部 長
( T E L : 0 3 - 5 4 6 6 - 2 0 6 0 )




TCFD 提言に基づく情報開示の更新のお知らせ


当社は、2023 年 3 月 14 日のサステナビリティ委員会にて TCFD 提言に基づく情報開示の更新内容を決
議し、2023 年 3 月 22 日の取締役会にてこれを承認しましたので、下記の通りお知らせいたします。









当社では気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD: Task Force on Climate-related Financial
Disclosures)に賛同することを 2022 年 9 月 20 日に表明し、気候変動が事業に与える可能性があるリス
クを捉えながら適切に情報開示することとしています。更新内容は、以下の通りです。


1. ガバナンスに関する更新内容
2023 年 3 月 1 日よりに新たに設置されたサステナビリティ委員会の目的、役割・機能に関する言及
について


2. 戦略に関する更新内容
気候変動によって影響を受ける当社ビジネスのリスクと機会について


3. 財務インパクト評価に関する更新内容
移行リスクおよび物理リスクに関する当社事業へのインパクト、気候変動シナリオに基づく財務影響
に関する評価について
当社グループでは、重要な経営課題の一つである気候変動対策の目標として、2050 年までのカーボン
ニュートラル実現を掲げています。その一環として、2022 年 9 月 20 日に TCFD に賛同することを表明、
2023 年 3 月 1 日に取締役会における非財務領域での戦略推進を強化することを目的に、サステナビリテ
ィ委員会を新たに設置しました。当社では今後も持続可能な成長に向けてサステナビリティ推進体制の
拡充を図ってまいります。


なお、上述の詳細については
[https://www.adastria.co.jp/sustainability/theme/environment/sales]をご参照ください。


以 上
アダストリアグループ TCFD 提言に基づいた情報開示
2023 年 3 月 22 日


当社グループはサステナビリティポリシーに「ファッションのワクワクを、未来まで。」を掲げ、重点テーマ「環境を守る」「人を輝かせる」「地域と成長す
る」のもと、様々な取り組みを進めています。当社グループの事業は原材料の調達や生産、輸送、販売に至るまでサプライチェーンを通じて自然環境と密接に
関係しており、持続的な成長を遂げるためには健全な自然環境が必要不可欠です。このことから、気候変動への対応をサステナビリティにおける重要課題の一
つとして位置づけ、2050 年までにカーボンニュートラルを実現することを目指しています。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同する
ことを 2022 年 9 月 20 日に表明し、気候変動が事業に与える可能性があるリスクを捉えながら適切に情報を開示しています。今後も、持続的な社会の形成と
当社グループの成長を目指し、一つひとつ取り組みを進めてまいります。




■ガバナンス
当社グループでは、気候変動への対応をサステナビリティにおける重要課題の一つと位置づけ、気候変動がもたらす影響および当社の取り組み状況をサ
ステナビリティ担当役員が取締役会に定期的に報告しています。取締役会は、社外取締役 5 名を含む取締役 10 名で構成され、代表取締役会長が議長を務め、
グループ全体の経営意思決定の最高機関として重要事項を審議・決議しています。また、取締役会での非財務領域での戦略推進をより一層強化することを
目的に、2023 年 3 月 1 日付でサステナビリティ委員会を新たに設置しました。サステナビリティ委員会では、気候変動をはじめとする当社グループのサス
テナビリティ方針や中長期の目標策定、特定したマテリアリティに対する進捗管理を行っており、定期的に取締役会または執行会議へ報告・提言を行うこ
とで、グループにおける推進体制をさらに強化、持続的に企業価値を高めています。


■戦略
気候変動によって原材料価格の高騰やサプライチェーンの分断、消費者の購買活動の変化などさまざまな影響を受けることから、当社グループは気候変動
を重要な経営リスクの一つに位置づけています。当社グループは、気候変動による事業へのリスクを予防・軽減し、適切に管理・対応することで、将来に渡
るビジネスへの財務影響を最小限にすることを目的に中長期的な戦略を策定することが、事業の持続的な成長に不可欠だと考えています。このため、売上の
約 90%を占める主力事業の商品販売事業に関して、2050 年までを対象にしたリスクと機会を、2℃シナリオと 4℃シナリオに分けて分析しています。特に重
要性が高いと評価したリスクと機会については、気候変動による事業および財務への影響を定量的に試算しています。2023 年度以降は、対象とする事業や
領域を広げ、リスク・機会の分析の高度化を進めていく考えです。
2℃シナリオ
分類 要因 事業へのインパクト
炭素税等の導入によって化石燃料の調達コストが増加し、生産・物流・店舗営業等のコストが
カーボンプライシングの導入
増加するリスク
再生可能エネルギーの調達競争に優位に立てなかった場合、価格合理性の低い再生可能エネル
再生可能エネルギーの調達競争の激化 ギーを調達することによってコストが増加、または再生可能エネルギーの確保ができなくなる
政 リスク
策 情報開示に対応できず ESG 評価が下がる、または対応コストが増加するリスク

規 環境指標における情報開示の厳格化 商品の環境負荷値を LCA(ライフサイクルアセスメント)で評価されることが義務化された
制 場合、トレーサビリティの確保が困難、または確保に時間とコストがかかるリスク

商品の原料、付属品、包装資材等の見直しにより環境配慮型素材を使用することで調達コスト
環境負荷の高い素材に対する使用規制
リ が増加するリスク

ス 拡大生産者責任の高まりによる、販売数量
行 衣料品回収活動の回収量が増えることに伴い、資源再生コストが増加するリスク

に応じた衣料品回収の義務化
お客さまによる環境志向の高まり(環境負
ニーズに対応できない場合、売上が低下するリスク
市 荷の少ない商品を好まれるようになる)

お客さまの購買行動の変化(新しく衣服を
小売以外のサービス・事業が拡大しない場合、売上が低下するリスク
購入することが少なくなる)
取り組みが不十分だった場合、ESG 評価によりレーティングが低下し、資本調達コストが増加
ESG 投資の拡大
するリスク

判 学生など将来世代の価値観の変化(サステ
当社の取り組みが不十分だった場合、採用が困難となり採用のためのコストが増える、または
ナビリティに注力する企業を就職先とし
人員不足により事業自体が継続できなくなるリスク
て選択する)
スタッフボードの活用やインスタグラムのライブ配信など、当社スタッフのオンライン接客の
EC 購買率の拡大 ノウハウを活用することによって EC の売上が拡大
資 店舗内装投資や保証金、敷金など、資産の保有を抑えてアセットライトな経営へとシフト
機 源
学生など将来世代の価値観の変化(サステ
会 効 当社のサステナビリティへの取り組みが評価され、優秀な人材を獲得しやすくなる
率 ナビリティに注力する企業を選択する)
拡大生産者責任の高まりによる、販売数量 衣料品回収活動「Play Cycle!」によって衣料品を回収する仕組みをすでに構築しており、対応
に応じた衣料品回収の義務化 のための追加コストが僅少、また効率の良い衣料品回収が可能
分類 要因 事業へのインパクト
製 お客さまによる環境志向の高まり(環境負
品 環境に配慮した商品やサービスが支持され、売上が拡大
荷の少ない商品を好まれるようになる)

サ 環境配慮型素材へのニーズの高まりと
環境配慮型素材の需要が高まり、素材開発部による to B 事業の売上が拡大
Ⅰ 素材開発部による独自素材の開発
ビ 環境負荷低減を目的とした3DCG 等の
ス 商品の企画効率が上がり、トレンド性ある商品をスピーディーに生産できるため、売上が拡大
新技術の活用

会 市 既存のオフプライス事業およびアップサイクル事業等、サーキュラーエコノミー型ビジネスの
サーキュラーエコノミー市場の拡大
場 拡大による事業機会の獲得


リ 再生可能エネルギープログラムへの参加 安価で質の高い再生可能エネルギー・水素の調達により、エネルギーコストの削減、
エ 及び省エネ対策の採用 企業イメージの向上




4℃シナリオ
分類 要因 事業へのインパクト

急 大規模な自然災害による店舗の休業 店舗が営業できないことによって売上が低下するリスク
性 大規模な自然災害によるサプライチェー
リ 物 的 納品遅れ、商品破損等により在庫が不足し売上が低下するリスク
ス 理 ンの断絶
ク 的 慢
気候の変化から商品企画やお客さまのニーズを予測することが困難となり、当社がニーズに
性 気候パターンの変化
的 対応できない場合、売上が低下するリスク




機 マルチカテゴリー戦略により気温の上昇に対応した素材開発、商品企画ができた場合、
サ 気候パターンの変化
会 当社シェア率の拡大



財務インパクト評価


[移行リスク]
財務
項目 時間軸 可能性 事業へのインパクト 2℃ 4℃
インパクト

化石燃料の調達コストが増加し、生産・物流・店舗営業等の経費
が増加する可能性があります。
約 300~400 炭素税は
カーボン 間接費 現在の当社の店舗営業に関わる Scope1,2 排出量に対して炭素税
中期 高い 百万円 導入されな
プライシング制度 の増加 が課されたと仮定すると、財務影響額は全店舗排出量:
(年間) いと想定
27,192t-CO2×120 ドル/t=3,263,040 ドル、日本円で約 300~400
百万円のコスト増の影響が出る可能性があります。

※算出前提:120 ドル/t-CO₂(IEA「World Energy Outlook2021」より試算)
、2030 年時点


[物理的リスク]
財務
項目 時間軸 可能性 事業へのインパクト 2℃ 4℃
インパクト

気候変動に起因する洪水等の浸水リスクにより店舗休業を余儀な
くされ、売上が減少する可能性があります。2021 年度においては
大雨の影響により、福山、鳥取、平塚にある 3 店舗の営業時間短
縮の影響が発生しました。
店舗休業に伴う 同地域の洪水ハザードマップによると、0.5m~3m 未満の浸水予
洪水 短期 高い 59 百万円 108 百万円
売上減少 想となっており、実際浸水した場合には 3 店舗合計で最大 67.6 日
間の休業を余儀なくされ、 売上に対して 27 百万円の影響が出る可
能性があります。気候変動が進行した場合、日本においては洪水
発生頻度が 4 倍に至ると想定されており、108 百万円の影響がで
る可能性があります。

※算出前提:2021 年度の浸水店舗の実績を用いてハザードマップおよび国土交通省「治水経済調査マニュアル」より試算
■リスク管理
当社グループは、事業が気候変動によって受ける影響を把握し評価するため、サステナビリティ担当部門を中心とする社内のタスクフォースを通じてシ
ナリオの分析を定期的に行い、気候変動リスク・機会を特定しております。特定した重要なリスク・機会は危機管理担当取締役に報告したうえで、タスク
フォースと該当部門が連携しながら具体的なリスク対策を行ってまいります。なお、自然災害に起因する物理リスクへの対応については、危機管理担当取
締役を委員長とする危機管理委員会において BCP をはじめとする事業継続マネジメントの実行体制を整備しています。



■指標と目標
当社グループは、2050 年カーボンニュートラルの実現を目指し、取り組みの指標としてサプライチェーンにおける CO₂排出量を設定しております。
排出量[t-CO2]
Scope およびカテゴリ 比率 備考
2022 年 2 月期
Scope1+2+3 516,600 100.0%
Scope1(直接排出) 0 0.0 対象外
Scope2(エネルギー利用に伴う間接排出) 34,791 6.7%
Scope3(バリューチェーンからの間接排出) 481,808 93.3%
カテゴリ1 購入した製品・サービス 406,528 78.7%
カテゴリ2 資本財 23,737 4.6%
カテゴリ3 Scope1・2に含まれない燃料およびエネルギー活動 5,433 1.1%
カテゴリ4 輸送、配送(上流) 5,991 1.2%
カテゴリ5 事業から出る廃棄物 665 0.1%
カテゴリ6 出張 450 0.1%
カテゴリ7 雇用者の通勤 3,704 0.7%
カテゴリ8 リース資産(上流) - - 対象外
カテゴリ9 輸送、配送(下流) 645 0.1%
カテゴリ10 販売した製品の加工 - - 対象外
カテゴリ11 販売した製品の利用 - - 対象外
カテゴリ12 販売した製品の廃棄 34,655 6.7% 着用後、不要になった衣類を廃棄と想定
カテゴリ13 リース資産(下流) - - 対象外
カテゴリ14 フランチャイズ - - 対象外
カテゴリ15 投資 - - 対象外
※集計範囲:国内グループ会社(Adastria eat Creations とゼットンを除く)
排出係数:環境省排出原単位データベースおよび IDEAv2 より引用

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