ドローンを活用した水力発電所鉄管の点検に関する業務提携について

ドローンを活用した水力発電所鉄管の点検に関する業務提携について
2019年5月24日
関西電力株式会社
株式会社NJS
株式会社環境総合テクノス

関西電力株式会社(以下、関西電力)、株式会社NJS(以下、NJS)、
株式会社環境総合テクノス(以下、環境総合テクノス)の3社は、本日、国内外
の水力発電所鉄管※1におけるドローンを活用した点検事業への参入を目的に、
業務提携に関する契約を締結しました。
関西電力は、水力発電所の鉄管内部について、およそ6年に1回の頻度※2で目
視点検※3を実施しています。
さらに鉄管内部の錆や劣化状況などの詳細な確認が必要な場合は、鉄管内部に
足場を設置して調査員による目視確認や、点検ロボットを搬入するなどして点検
を実施しており、相応の費用と時間を要しています。
そこで関西電力、NJSの2社は、NJSが開発※4した、下水道内などの水平な閉鎖
的空間で点検できるドローン※5を改良し※6、関西電力の水力発電所において実証試験を
※7
実施した結果、傾斜 のある鉄管内部の鮮明な画像を取得することに成功しました。
これにより、従来よりも鉄管内部の点検の安全性が向上するとともに、点検日
数・費用を約50%以上削減することが可能です。
なお、ドローンを活用した、 閉鎖的な空間で傾斜のある構造物を点検する技術
の確立は国内で初めてとなります。
関西電力で活用するだけでなく、国内外で、より高品質で廉価な点検サービス
を提供していくため、関西電力とNJSの2社に加え、鉄管他の構造物の点検・
調査 診断業務にノウハウを有する環境総合テクノスの3社で業務提携し、
・ 今後、
事業開始に向けた詳細な検討を進めていきます。
関西電力と環境総合テクノスは、引き続き、デジタルトランスフォーメーショ
ンにより、生産性の向上と新たな価値の創出を目指します。また、NJSは、
インフラメンテナンスやインフラマネジメントを支えるソフトウェアを提供し、
インフラの健全性向上をサポートいたします。
※1:鉄管には水圧鉄管と余水管がある。水圧鉄管は、発電のために貯水池や河川から取り入れた水を発電
用水車まで送水する鉄管。一方、余水管は、自然災害などにより、発電を停止した際、水槽に貯まっ
た水を河川に放水する鉄管
※2:電気事業法に基づき、関西電力が定めた規定により、発電所の状況に応じて、3・6・9年に1回、
点検を実施(大半の発電所の点検頻度は6年に1回)
※3:水圧鉄管では複数設置しているマンホールを開けて、また余水管では水槽内部等から、各々の周辺を
目視点検
※4:株式会社自律制御システム研究所と2017年4月に共同開発
※5:閉鎖空間でもWi-Fiを活用し、ドローンの操縦が可能。さらに羽根を本体内部に収納しているた
め、管内で壁に衝突しても問題なく飛行が可能
※6:ドローンの後方に「テール」を設置することで、常に鉄管とテールの先端部分が接触し、安定的な飛
行が可能
※7:最大45度の傾斜で点検に成功

以 上
別 紙:ドローンを活用した水力発電所鉄管の点検に関する技術の概要
参考資料:関係各社の概要
別 紙


ドローンを活用した水力発電所鉄管の点検に関する技術の概要

1.概要
〇これまで、水力発電所鉄管(水圧鉄管および余水管)内部の点検では、以下の
点検手法により、異常の有無を確認(図1)していましたが、相応の費用と時
間を要しています。

(図1:鉄管内部の点検のイメージ)




①目視点検 :およそ6年に1回の頻度で、水圧鉄管では複数設置しているマンホールを開け、
また余水管では水槽内部等から、各々の周辺を目視点検



②詳細点検 :①の結果、鉄管内部の錆や劣化状況等の詳細確認が必要な場合は、鉄管内部に足場
を組み、調査員が点検したり、点検ロボットを搬入するなどして点検を実施

(1):足場を設置しての作業 (2):点検ロボットによる作業 (3):ロープを活用しての高所作業




点検ロボット概要
大きさ:40×20×24[cm]
重量:30.0[kg]
走行速度:5m/分
〇ドローンを活用した水力発電所鉄管内部の点検は、水槽開口部から内部にドロ
ーンを搬入し、遠隔操作で離陸させます。常に鉄管とドローンの後方に設置し
たテールの先端部分を接触させながら、鉄管下部まで安定的に飛行(図2)さ
せ、高画質カメラで動画を撮影します。

(図2:鉄管内のドローン飛行・撮影のイメージ)

<テール設置前>
傾斜のある鉄管内部において、テール設置前
のドローンを飛行させると、何度も尻餅を
つきながら、バウンドするように降下する
こととなり、点検に活用できる鮮明な動画
を撮影することが困難であった。




ドローンの後方に、新たに「テール」を設置

<テール設置後>
テール 【ドローンのスペック(テール部分を含む)】
重量:2.0kg
全幅:280mm
全長:790mm
高さ:70~190mm




常に鉄管とテールの先端部分を接触
させることなどにより、安定的な飛行
が可能となり、鮮明な動画を撮影する
ことに成功した。




【各調査員の役割】 【ドローンの飛行条件】
①鉄管上部のWi-Fi環境を構築 ・Wi-Fiを利用できる環境
②リードによるドローンの飛行を補助※ ・鉄管の長さ(最大約500m)
③鉄管下部のWi-Fi環境を構築 ・鉄管の直径(0.7m~2.4m)
④リモコンでドローンを操縦 ・鉄管の傾斜角度(最大45度)
⑤モニターを確認し、飛行指示 ・最長飛行時間(5分)
※飛行位置を確認できるよう機体にリードを設置し、
・ドローン飛行の出入り口があること
そのリードが鉄管内を移動するための補助を行う。
2.関係各社の役割
・関 西 電 力:ドローンを、閉鎖的な空間で傾斜のある構造物の点検に導入するため
の知見ならびに実設備を利用した実証試験環境の提供、ドローン改
良結果評価、点検の計画・診断結果の評価、営業(主に電気事業者)
・N J S:閉鎖的な空間点検用ドローンの提供と操作・撮影、機体・制御ロジ
ック・撮影方法の改良、実証試験実施、点検業務補助、営業(主に
電気事業者以外)
・環 境 総 合 テ ク ノ ス:ドローン点検の現場管理・実施、撮影した映像による閉鎖的な空間の
点検診断、報告書作成、営業(主に電気事業者)


3.業務提携までの経緯と今後の予定
2018年7月:関西電力は、NJSが開発した、下水道の管路内などの水平
な閉鎖的空間で飛行が可能であるドローンを水力発電所鉄
管内部の点検に活用することについて、NJSに協力依頼。
NJSとしても、ドローンの活用領域を拡大できると考え、
共同で実証試験を行うことで合意。
2018年9月 NJSのドローンの後方にテールを配置するなどの改良を行

おんたけ
い、関西電力の御岳水力発電所の鉄管※1で実証試験を実施し、
錆や劣化状況を確認。
※1:管径1.2m~2.4m、延長約356mの水圧鉄管

2019年2月:関西電力の御岳水力発電所での実証試験の結果を踏まえ、ド
ローンのブレを抑制するため、テール構造を最適化し、矢田
川水力発電所の鉄管※2と岩中水力発電所の鉄管※3で実証試
験を実施し、錆や劣化状況をより的確に確認することに成功。
※2:管径1.5m~2.3m、延長約170mの余水管
※3:管径1.2m~1.9m、延長約48mの余水管

2 0 1 9 年 5 月 2 4 日:実証試験の結果を踏まえ、ドローンによる水力発電所鉄管内
部の点検の実用化の目途が立ったことから、3社は、国内外
の水力発電所鉄管におけるドローンを活用した点検事業へ
の参入を目的に、点検業務提携に関する契約を締結。
2 0 1 9 年 度 上 期:点検サービスの提供開始を予定。

<参考:実証試験を兼ねて点検した水力発電所の概要>
最大出力
発電所名 (千 kW) 水系 運転開始年月 方式 号機数 所在地
御岳 68.6 木曽川 1945 年 6 月 ダム水路式 3 長野県木曽郡木曽町
矢田川 11.0 矢田川 1958 年 12 月 ダム水路式 1 兵庫県美方郡香美町
岩中 2.5 円山川 1957 年 1 月 水路式 1 兵庫県豊岡市日高町
参 考


関係各社の概要

<関西電力株式会社>
設 立:1951年(昭和26年)5月
代 表 者:取締役社長 岩根 茂樹
所 在 地:大阪府大阪市北区中之島3丁目6番16号
事業概要:電気事業、熱供給事業、電気通信事業、ガス供給事業等

<株式会社NJS>
設 立:1951年(昭和26年)9月
代 表 者:代表取締役社長 村上 雅亮
所 在 地:東京都港区芝浦1丁目1番1号浜松町ビルディング14階
事業概要:上下水道等のインフラに関するコンサルティング、調査・
設計・施工管理・経営コンサルティング、環境計画・環境
アセスメント・防災減災対策等

<株式会社環境総合テクノス>
設 立:1974年(昭和49年)1月
代 表 者:代表取締役社長 中山 崇
所 在 地:大阪府大阪市中央区安土町1丁目3番5号
事業概要:環境・土木・建築に関する調査、分析、コンサルティング、工事



<報道機関からのお問い合わせ先>
・関西電力株式会社
広報室 報道グループ
電話:06-7501-0242

・株式会社NJS
企画広報室
電話:03-6324-4361

・株式会社環境総合テクノス
企画総務部 総務グループ
電話:06-6263-7300

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