2023年1月期 通期決算説明会書き起こし記事掲載のお知らせ

2023 年4月5日
各 位


会社名 ベステラ株式会社
代表者名 代表取締役社長 本田 豊
(コード番号:1433 東証プライム)
問合せ先 執行役員企画部長 池田 真也
(TEL.03-3630-5555)


2023 年1月期 通期決算説明会書き起こし記事掲載のお知らせ


2023 年3月 10 日に開示した「2023 年1月期決算説明資料」について、同日開催した
「2023 年1月期決算説明会」の書き起こし記事が掲載されましたのでお知らせいたします。





【概要】
開催日:2023 年3月 10 日
登壇者:代表取締役社長 本田 豊
執行役員企画部長 池田 真也


【書き起こし記事】
https://finance.logmi.jp/377872



以 上
開催日
2023 年3月 10 日


登壇者
代表取締役社長 本田 豊
執行役員企画部長 池田 真也
本田豊(以下、本田):本日はお忙しいところ貴重なお時間をいただきありがとうご
ざいます。ベステラ株式会社社長の本田と申します。2 月 1 日から現職を務めており
ます。前職は企画部長として管理部門全般を担当しており、以前よりこの説明会でも
決算の詳細を説明させていただいておりました。今後とも引き続きよろしくお願いい
たします。

今期は減収減益の赤字決算となり、非常に心苦しく感じています。スライド 25 ページ
でその背景についてご説明します。昨年の 2022 年 1 月期決算説明会では、過去最高の
売上と利益だとお伝えしていましたが、この市場の伸びと比較すると、実はその時も
売上・利益はそれほど伸びていませんでした。

スライドのグラフは建設投資額の推移です。プラント設備の耐用年数は約 50 年もある
ため、グラフの右側で示しているように、高度経済成長期に作ったプラントの解体需
要が 50 年後に大きく伸びてくる市場です。

しかしながら、市場の建設投資額に合わせて、売上や利益が伸び悩み、今期は赤字決
算となりました。これについて、経営陣も猛省し、仕組み、構造、体制等を抜本的に
変えようと考え、今回の中期経営計画を作っています。
基本方針は「脱炭素経営と企業風土の変革による収益力の向上」としていますが、今
回の中期経営計画では 3 本の柱を作っています。

1 つは脱炭素経営です。「脱炭素解体ソリューション(工法によるイノベーショ
ン)」と記載していますが、当社の本業である工事の部分で、脱炭素経営を推進して
いるお客さまへさまざまな提案を行い、先ほどのグラフで示した成長路線に乗せてい
きます。

もう 1 つは DX です。こちらは本業とのシナジーということもありますが、それ以上に
当社の新しい柱として、今までのノウハウを活かした新たな提案を行っていきます。

また、先ほどの反省点を踏まえ、人事戦略として採用を積極的に行い、教育など、さ
まざまな抜本的見直しに取り組んでいます。
決算説明です。まず、売上高は 54 億 5,800 万円、対前年で 5 億 800 万円減となりまし
た。

「今期中に着工予定であった大型工事の受注遅延等が影響」と記載していますが、製
鉄所関連で大きな工事の失注があり、それに対して別の工事の受注を考えて予算を組
んだところ、その工事の着工が延びたもので、その部分が売上ベースで 12 億円程度あ
りました。そのため、スライドには対前年で記載していますが、対予算でも大きくマ
イナスとなっています。

売上総利益率は 16.3 パーセントで、例年の 21 パーセントから 22 パーセントの数字と
比べ、低い利益率になっています。売上総利益については、低利益率の工事の影響の
ほか、先ほどお話しした失注を補うための急な受注によって、工事の原価回収が困難
な部分がありました。

営業利益は、その他販管費として役員退職慰労金などの引当があり、マイナス 2 億
1,500 万円となりました。

一方、受注高が過去最高となり、年間の受注工事高は 70 億円となっています。こちら
はストック型工事と小規模工事、大型工事と両方の受注増加がありました。
以前から、当社はフローからストックに転換するとお伝えしてきました。そして、大
型工事から小規模工事まで数多く受注するために、地方事務所を充実させてきまし
た。実は今回、受注に関してはそのような取り組みが少しずつ実ってきています。

例えば、製鉄所に常駐すると、製鉄所内の細かい工事も受注します。そのため、高炉
の改修であれば、改修に関係するさまざまな工事も発注していただきます。今回の売
上高には、JFE 千葉の高炉改修工事も含まれています。

通期業績予想では、売上高 78 億円の V 字回復を目指しています。脱炭素アクションプ
ラン 2025 については後ほどご説明します。
損益計算書です。売上高は先ほどお伝えしたとおりです。対前年で、売上総利益はマ
イナス 4 億 6,700 万円、販管費はプラス 2 億 3,600 万円、営業利益はマイナス 7 億
400 万円、経常利益はマイナス 8 億 1,600 万円となっています。

当期純利益に関しては、スライド右下の注釈のとおり、前期はリバーホールディング
ス社の経営統合に伴う株式移転により、営業外収益と特別利益に、特殊要因の利益が
計上されていることが主因です。
当初計画との比較です。先ほども少し触れましたが、前期の売上高は 67 億円で、今期
は 54 億 5,800 万円、対前年で約 12 億円マイナスとなりました。こちらは大型工事の
失注に伴い、その他工事の延期があったためです。

営業利益は対前年でマイナス 8 億 3,500 万円となりました。売上の減少要因は 3 つあ
ります。1 つは失注によるマイナス約 3 億円で、次に代わりに受注した低利益率工事
の損失がマイナス約 3 億円となりました。その他に、役員退職慰労金の引当等の販管
費が約 2 億円という構成になっています。
12 月 8 日に行った下方修正との比較です。2 日ほど前に上方修正を行い、赤字が多少
改善しています。施工後の追加工事や、その他の原価軽減に努めた結果、若干ではあ
るものの、売上高は約 2 億円、営業利益、経常利益は約 5,000 万円、親会社株主に帰
属する当期純利益は税効果等の影響もあり、1 億 3,500 万円の改善となっています。
完成工事高の構成比率です。ご覧のとおり、バランスはとれていると思っています。
製鉄が少し伸びていますが、こちらは先ほどお伝えしたように、製鉄所に常駐するこ
とでストック型工事を上手く受注できているためです。
完成工事高の四半期ごとの推移です。例年、当社は下期に偏る傾向があります。第 1
四半期と第 4 四半期が多い時もありますが、いわゆる一般企業の年度決算である 3 月
に合わせて売上が上がるかたちとなります。
完成工事高に占める元請案件の推移です。当社は元請工事の受注に努めており、スラ
イドには四半期ごとの数字を示しています。今期はグラフの赤い部分の 4 億 1,300 万
円、8,700 万円、4 億 600 万円、4 億 800 万円が元請の売上で、カッコ内には利益率を
記載しています。

利益率は 33.9 パーセント、15.3 パーセント、5.7 パーセント、8.7 パーセントと推移
しており、元請にしては利益率が低いと思われるかもしれません。以前の説明会で、
当社の工事は一次請けの場合の利益率がおよそ 20 パーセント、元請で受注した場合に
はそれに 10 パーセント程度プラスされるとお伝えしていました。

前期の第 4 四半期は 33.7 パーセントと高い利益率になっていますが、今回はこのよう
な結果となっています。もちろん新しいお客さまから受注する時には低利益率になる
ことはあります。しかし、会社全体で利益を出していくためにも、当社としてはさま
ざまな体制を見直し、組織的な営業を行うことで、きちんと利益を確保できる工事を
受注していきたいと考えています。
スライドには元請全体の数字は出ていませんが、前年は 19 億 6,900 万円、利益率は
28.4 パーセントで、売上全体の 34 パーセント程度を占めていました。今期は 13 億
1,500 万円、利益率 16.1 パーセントで、売上全体の約 25 パーセントとなっていま
す。
当社の売上構成は製鉄、電力、石油・石化で約 30 パーセントずつになっていますが、
石油・石化の化学部分で元請工事を多く受注しているため、元請工事の売上の割合と
しては 3 分の 1 程度が目安です。
販管費についてはスライドのとおり、人件費では退職金等の部分が一番大きなプラス
となっています。その他には、開発済みの天井クレーン検測ロボットの研究開発費が
少し増えています。

営業協力費用には、営業顧問の方への報酬やシステム改良費用等が含まれます。採用
に関しては大変順調ですが、広告媒体を紹介型に切り替えている部分もあり、若干減
っています。

広告宣伝費は展示会等を増やしているため、増えています。また、昨年はゼロだった
教育研修費が若干増えています。

全体では人件費が増えているものの、その他は赤字決算ながら前向きな販管費の支出
をしています。
人員計画です。今まで当社の最大のボトルネックは人員でした。投資家のみなさまか
らも「採用はどのようになっていますか?」と問い合わせをいただいていましたが、
昨年より非常に順調なかたちになってきています。

従来は、計画では工事部員を年間 6 名採用する予定が結局 3 名だったり、採用しても
辞める人がいて横ばいになったりしていました。しかし現時点では、工事監督者数は
50 名となり、予定していた 6 名全員を採用できています。

また、抜本的な見直しの 1 つとして、2024 年 1 月期は採用予定人数を一気に 18 名増
やし、68 名を目標としています。今までも採用には力を入れてきましたが、現在はさ
らにいろいろなリソースを割いて採用活動を行っています。

その結果、新しい期ではすでに 10 名増の体制を整えており、今後、目標の 18 名を必
ず達成できると見込んでいます。採用コストはかかりますが、人手が足りずに売上が
伸びないという事態にならないよう、力を入れて取り組んでいきたいと思っていま
す。
営業利益の増減要因分析です。繰り返しになりますが、減収の要因は失注と低利益率
の工事による原価の増加で、販管費については退職金となっています。
貸借対照表です。中期経営計画にも記載していますが、株式会社クラッソーネさまに
出資しています。解体工事業界では非常に珍しい IT 関連の会社で、多くの地方自治体
とのつながりを持っています。こちらの会社と一緒にさまざまなサービスを展開して
いきたいと考え、5 億円ほどの出資を行っています。そのほか、自己資本比率が若干
上昇しています。
貸借対照表の増減分析に影響している、キャッシュ・フローについてです。クラッソ
ーネさまへの出資や税金の納付があったものの、もともとの利益の部分が少ないた
め、現金増減額はマイナス 7 億 8,400 万円となっています。
受注状況です。先ほど少し触れましたが、受注工事高については極めて順調です。今
回の 70 億円の内訳を記載していませんが、石油、化学の部分が多くなっています。

また、製鉄も 20 パーセントほどで受注が伸びています。電力は 10 パーセントです。
ただし、今後、電力、鉄でかなり有力な案件が控えているため、中間決算の時点では
だいぶバランスのとれた内容になってくると思います。
受注残高の構成比率です。受注残高は 33 億 5,200 万円と、過去最高ではないものの、
前期の受注残高に比べて大幅に増えています。また、石油・石化が大きく増えていま
す。

先ほど少しお伝えしたように、鉄と電力も有力な案件が控えていますが、大規模な石
油関連の工事が入ったため、いったんそちらが大きく増えています。

今後、石油・化学の割合に合わせて元請比率が大きく変わるのかというと、もちろん
化学の部分は元請を狙っていますが、化学の会社の中にはエンジニアリングの子会社
を持つ子会社などもあるため、元請ではない部分も少しあります。
業績予想です。売上高の 78 億円は必達目標として考えています。営業利益は 5 億
1,000 万円、経常利益は 5 億 8,600 万円、当期純利益は 4 億円、配当は引き続き 20 円
を予定しています。利益の増減に合わせて配当も鑑みることになります。
中期経営計画の振り返りです。直近 2 ヶ年の実績については、先ほどお伝えしたため
割愛します。
主要施策実績です。1 点目の革新的な解体技術の提供については、各種提携事業を取
り上げています。例えば、日立パワーソリューションズさまとは、風車解体に関する
契約を締結しました。三谷産業さまとは、PCB 含有塗膜の剥離作業において業務提携
を行っています。

2 点目の営業活動の強化については、新規元請案件を過去 2 年間で増やしてきまし
た。なお、以前に 5 ヶ年計画としての中計を発表していましたが、今回はその最後の
3 年となる部分を変更し、新たに「脱炭素アクションプラン 2025(新中期経営計
画)」を出しています。
スライド 34 ページの棒グラフについて、オレンジ色の部分をご覧ください。「新計
画」と記載しているところが、新中計の目標数値です。以前の 5 ヶ年計画では、5 年
目にあたる 2026 年 1 月期の売上目標を 100 億円としていましたが、それを 120 億円に
引き上げました。

これはつまり、今回の新中計の 2 年目にあたる 2025 年 1 月期に、100 億円の売上を達
成するということです。今回の実績が赤字決算にも関わらず、このような目標が達成
できるのかと思われるかもしれません。しかし、先ほど 25 ページでご説明したとお
り、事業環境として市場は拡大しており、需要は伸びるトレンドにあると見ていま
す。実際に引き合いはとても多い状況です。

今までは何がボトルネックだったのか、その原因をさまざまな角度から分析した上
で、人材の採用と育成が重要な対応策になると考えています。これが、主要施策の 3
点目となる採用活動の強化です。この部分を強化していけば、基本的に本業での売上
は伸ばしていくことができると考えています。
続いて、主要施策の 5 点目に挙げた DX の推進についてご説明します。クレーンレール
検査ロボットを開発して提携しました。また、クラッソーネさまとの資本業務提携も
実施しました。詳しくは、スライドの 33 ページでご説明します。
DX プラントソリューションという記載がありますが、この事業で売上を 30 億円に増
やしていくことが目標です。売上全体では 120 億円を目指します。
売上目標を達成するために、脱炭素事業推進部を作りました。こちらは、当社の掲げ
る 3 本柱の 1 つである、脱炭素解体ソリューションに該当します。

推進事業の 1 つ目は、脱炭素解体に資する新規の工法開発です。2 つ目は、解体工事
のリユース・リサイクル率の向上です。これらの各種施策に加え、脱炭素経営に紐づ
いた新規ビジネスの創出のため、新体制で活動しています。
脱炭素解体ソリューションについてです。スライドには旧来当社の強みとしている、
解体工法を各種記載しています。左上の脱炭素解体は、高炉や石油精製設備などの大
規模な設備の解体のことです。

その他、転倒工法、風力発電設備解体、土壌汚染対策工事などの案件も新しく増えて
きています。有害物質の処理については、子会社分も含めて今工事を行っています。
そして、根本には無火気工法というものがあります。
スライドの 40 ページで 1 つ目にご紹介した、脱炭素解体についてです。41 ページの
写真は、今まで行ってきた大規模な工事の様子で、右端の写真は高炉の解体です。
今、製鉄会社がさまざまな休止や廃止の計画を発表していますが、その工事を積極的
に担っていきたいと考えています。

解体工事を単独で行える解体専業の会社は少ないと思っているため、この分野には力
を入れていきます。なお、左上の写真は、よくテレビに出ているリンゴ皮むき工法で
す。
技術特許一覧です。特許も引き続きどんどんと増やしていく方針です。現時点で、こ
れほど多くあります。
転倒工法についてです。スライドの写真は煙突の解体の光景になっていますが、この
工法は今、煙突以外にも、例えば風力発電における風車の解体などで多く使われてい
ます。

転倒の実際の映像をご覧ください。こちらは長崎県で実施した工事です。

https://www.youtube.com/embed/wS50AlaytmA

転倒というと「倒せばよい」と思われるかもしれません。しかし、スライドの写真か
らもわかるとおり、正確な場所に向けて倒さなければならず、少しでもずれると大変
なことになります。そのため、予定どおり、場所をずらさずに解体する技術が求めら
れます。

しかも強制転倒のように、無理やり引っ張るのではなく、基礎の部分を削ることによ
って、自然転倒のかたちで倒すことが大事です。そして、この部分の技術力があるこ
とが、当社の特徴になっています。いろいろな倒し方がありますが、当社では各種特
許を取って対応しています。
風力発電の解体に関しては、転倒以外の方法もあります。スライドの左下にマトリョ
ーシカ式工法と記載していますが、正確にはマトリョーシカというよりも、釣り竿な
どを落としていくような仕組みです。こちらの映像もご覧ください。

https://www.youtube.com/embed/V2sWJu8QQWA

塔は完全にまっすぐ同じ太さで立っているのではなく、少しずつ下のほうが広がるか
たちで立っています。そのため、釣り竿と同じような方法で落としていくと、中身が
自然に下方向に落ちます。

当社では、先ほどの転倒工法もこのマトリョーシカ式工法も、その他すべての工法に
おいて、高所作業を避ける方針が基本になっています。これは工事で一番災害が多い
のが、墜落であるためです。反対に、一番安全なのは低いところで工事を行うことで
す。

そのため、まずは倒すか、下ろしてしまいます。今まではよく「作った人には壊せな
い」と言ってきました。一般的には、作った人が解体を行うと、作った工程の逆で進
めるため、高所作業が残る状態になります。しかし、当社ではそのような高所作業を
なるべく避けて工事を実施します。
結果的に、低い場所で作業したほうが安全かつ早く完了することもあります。工期が
短くなれば安価にもできるため、工事の品質と価格を最も追求しているかたちです。
リンゴ皮むき工法は、球形のガスホルダー、ガスタンクを解体する工法ですが、その
他のタンクの解体も行えます。作った順番の逆で解体を進めると、周囲に足場を組
み、組んでいる鉄板を 1 枚ずつクレーンで取って下ろすという手順になります。

しかし、そのような手順ではなく、リンゴの皮をむくように切っていきます。この場
合、鉄板が自重で下に落ちていくため、足場を組む必要もなく、安全性も高まりま
す。また、コストは従来の方法の 3 分の 1 くらいとなります。先ほどの転倒工法も含
め、このような工法をいろいろなところで手掛けていきたいと思っています。

そして、工期が短くなれば、CO2 を削減でき、環境にも優しい事業にもなります。そ
のため、お客さまへの提案時にも、当社ならではの進化した工法によって工期が短く
なり、脱炭素にも貢献できるという点をお伝えしています。

その他にも、リユース・リサイクル率を増やしており、廃棄物問題へのソリューショ
ン事業が進められることも、当社の強みです。現在、そのような環境に貢献できる部
分を数値化し、それを見積もりに入れていくという取り組みを進めています。
無火気工法は当社の技術力の根本であり、ノウハウとしてずっと積み上げてきた工法
です。プラントの中ではなるべく火を使わず、火災を起こさないように解体すること
が重要となります。

スライドの写真はカッターやワイヤーソーで切っている様子です。この工法には当社
の強みがあるため、引き続き伸ばしていきます。
PCB 含有塗膜の剥離についてです。こちらは、新たな需要を作っていく試みとなりま
す。PCB とはポリ塩化ビフェニルのことで、従来は油によく含まれていた有害な物質
で、問題となっていました。その物質が塗装にも使われているため、その部分を剥離
して工事するということを進めています。
アスベストの除去技術についてです。アスベストはほとんど除去されたと思われてい
るかもしれませんが、実はまだ残っており、そのような工事はあります。また、法律
が変わり、解体するものに対しては事前調査がほぼ確実に必要となる予定で、それに
比例して工事も増えています。今は調査の部分が非常に多く、忙しい状態です。
土壌汚染対策工事についてです。土壌汚染に関しても少し前に法律が変わり、厳しく
なっているため、対策工事の需要が増えてきています。スライドの左側のグラフをご
覧ください。赤い部分は当社がプラント解体工事を行う際、通常深く関わっている分
野です。

一番面積が大きいのは輸送用機械器具で、つまり自動車のことです。それに次いで、
当社が解体する鉄鋼業や化学工業などのプラントも、敷地面積が非常に広くなってい
ます。更新工事の場合は上のものを解体し、土地はそのまま使うことがありますが、
今はプラントをそのまま全部更地にして一般の商業施設にするという事例が増えてい
ます。

そのような場合は必ず、土壌汚染対策という局面が出てくるため、このあたりの工事
も、今後新たな需要として増えてくる見込みです。
拠点の充実は、先ほど少しずつ実績が出てきているとお伝えした、フロー型からスト
ック型への受注スタイルの移行に伴う施策です。広島県福山市にある西日本事務所か
ら近い、北九州市や倉敷市に事務所を新設しました。

もともと、当社は東日本での工事案件が多い会社ですが、西日本の工事がとても増加
しているため、このエリアへの対応を進め、より多くのストック型工事の案件を獲得
していく方針です。
以前からの協業先である企業も多いですが、さらに他の会社さまとも連携を進めてい
きたいと考えています。
元請案件の受注拡大にも、引き続き取り組んでいきます。
DX プラントソリューションの事例として、3D 計測とモデリングについてご説明しま
す。こちらは以前から行っているものですが、現地で機器を使った 3D レーザー計測を
行い、スライドの左下に点群データ化とあるように、x 軸、y 軸、z 軸の座標を持った
点の集まりのデータを作成します。

当社はこのように、測量と同じ価値のあるものを撮るということを中心に事業を展開
してきました。子会社の 3D ビジュアルおよび当社本体でも行っています。

さらに、その点群データをモデリングといって、3D CAD に落とす事業も行っていま
す。作る側では 3D CAD を使用するノウハウはかなり進んでいますが、解体工事では既
存のデータが 2 次元のものも多いため、2 次元上のデータを 3 次元に落としていま
す。

中には図面がない場合もあるため、点群データを撮って 3D にモデリングしていくとい
うことも、継続的に行ってきました。
このような 3D 計測、モデリング技術をより発展させるために、子会社の 3D ビジュア
ル株式会社が「AUSE(アウゼ)」というソフトを開発しました。今、さらに機能をア
ップさせているところです。

こちらはプラントの設計に非常に役立つソフトで、2 次元では AUTODESK さまの
「AutoCAD」というソフトがほぼすべてのシェアを獲得している状態です。その上に当
社が乗り、プラント設計時に役に立つソフトを開発したというものです。

この機能をどんどんと拡張させていき、ゆくゆくは 3D 関係につなげていきたいと思っ
ています。そして、このあたりの拡販が、DX プラントソリューションの 1 つの柱とな
ります。
先ほど研究開発費を使ったとお話しした、クレーンレール検査ロボットについてで
す。スライドの写真のとおり、クレーンレールは大きな工場の設備の中にあります。

これの法定点検と自主点検を、上に登って実施しないといけません。しかし、これも
高所作業で非常に危険が伴います。この作業を安全にする方法はないかと考えていた
ところ、3D 計測を進める中で気づき、「診レール」というロボットを開発しました。

当社のお客さまはプラントで、写真のようなクレーンをたくさん持っています。その
ようなお客さまのニーズに合わせ、ロボットを使って検査手法の変革を進めていきた
いと考えています。

さらに普段の解体工事では、その設備を解体する時しかお客さまとお付き合いができ
ないケースが多いため、今後はこの検査ロボット事業を通して、普段のメンテナンス
や点検の部分から継続的にサービスを提供していくことも目標です。
クラッソーネさまとの業務提携です。先ほどもお話ししましたが、クラッソーネさま
は IT 関連の技術に長けており、当社は解体工事のノウハウに秀でています。そのた
め、お互いに協力し、新しいシナジーを生み出していきたいと考えています。
人事戦略についてです。どの会社でも言われていることですが、当社は人材が財産だ
と考えています。普通の解体工事会社は重機をたくさん保有していることや、多様な
設備を持っていることなどが強みになっています。しかしながら、当社は持たざる経
営を推進しており、なにより人材こそが一番の強みだと思っています。

人材を育成し、いろいろな取り組みを行っていく方針です。企業風土の改革と言って
も、過去のものを全否定するわけではありません。今までもよいものがたくさんあり
ましたので、従来の強みをより進化させられるように、フラットな組織に変えていき
たいと思っています。
採用の強化については先ほど説明した内容と同じです。その他には、女性の採用など
も進めていく予定です。
ナレッジマネジメントについてお話しします。当社の解体のノウハウは、実は意外と
体系化されていない部分があります。いろいろな種類のプラントがあり、同じ設備と
いうのは実はほぼありません。そのため、ケースバイケースで工事を進めていること
が多く、さまざまな設備の工事に対応できるところが当社の強みでもありますが、そ
のノウハウが形式化されてない面があり、今そこに取り組み始めています。

最終的には、データベースとしてノウハウを共有することを目指しています。そのよ
うなものがなければ、たくさんの人を雇ってもなかなか教育できないため、教育プロ
グラムの確立と両輪のようにしてデータベース化を進めているところです。
その他には、表彰制度を導入するなど、従業員が長く安心して働ける仕組みを取り入
れていく方針です。

ご説明は以上となります。ご清聴いただき、ありがとうございました。
質疑応答:代表取締役社長交代のタイミングと再登板について

質問者:御社は創業者のお父様から息子へ、円滑にバトンタッチした印象がありま
す。業績が少し厳しかったこともあるかもしれませんが、なぜこのタイミングでバト
ンタッチに至ったのでしょうか? また、今後再登板があるのかどうかを教えてくだ
さい。

本田:当社は創業後、上場企業となり、組織的な経営による拡大を目指してきまし
た。ただ、最初に少し触れましたが、市場の伸びに対し、そこまで業績が伸びていな
いのではないかと考えています。今回は赤字だったこともありますが、解体工事会社
の規模は基本的に、大きくても 50 億円から 100 億円くらいです。

これは個人的な意見ですが、結局それぞれがオーナー企業で、オーナーの目が届くの
がだいたいそれくらいの範囲になります。それよりも規模を大きくするためには、や
はり組織的に仕組みを作り、活動していくことが重要です。そして、組織的により大
きくしていくためにはどのようにすればよいかを話し合った結果、いわゆるオーナー
家の色ではなく、新しい布陣で臨むことになりました。これにより、執行役員の年齢
が若返っています。

質問者:本田社長の代になることで、どのような取り組み方に変わるのでしょうか?
元請になるかたちを進め、自分たちでコントロールできる収益性などの範囲を増やし
ていくということは、以前からの大方針ではないでしょうか?

本田:基本的なところになりますが、要は権限委譲と後方支援を行うということで
す。権限委譲をどんどんと進めていき、例えば地方事務所で採用したり、受注したり
するような権限を持たせ、いわゆる利益センターとしていき、そのようなところをど
んどんと広げていきます。

組織も本社部隊もやはり管理の幅というものがあります。「組織的に」というのは、
権限委譲を進めて、組織を大きくするということです。
質疑応答:解体の原価増加要因と業界状況の見通しについて

質問者:スライド 12 ページと 14 ページで、営業利益の増減要因は販管費の増加であ
ることがわかりました。12 ページに記載している原価増加要因については、解体の場
合どのようなものが該当するのでしょうか? また、今期の業界状況の見通しでは、
原価増加要因はどのようになると想定されていますか?

本田:原価増加要因と書いていますが、いわゆる低利益率工事を受注してしまったた
め、その原価が増えているというかたちです。ですので、高利益率工事を受注した場
合には、原価が改善されてプラスに影響します。

池田真也(以下、池田):補足になりますが、原価が増えたから低減したということ
ではありません。仮に 5 億円の工事を受注した場合、本来はその 20 パーセントの 1 億
円の利益が出て、原価は 4 億円になります。しかし、赤字工事になると、例えば 5 億
円の工事で 1 億円のマイナスとなった場合、原価は 6 億円になります。

このようなことで前期は失注したこともあり、際どい見積もりを入れて、低利益率工
事、一部赤字工事を受注したことによって、営業利益に与える影響から見ると、結果
的に原価が増えてしまったということです。

例えば、人件費や原材料価格の高騰で原価が増えたということではなく、本来取れる
べき工事の原価が適切にコントロールできずに、原価が少しオーバーしてしまったと
いうことになるかと思います。

質問者:前期の受注額は過去最高の 70 億円でした。今期の売上の原価率と営業利益率
は、すでにある程度読めている部分があると思います。2024 年 1 月期の営業利益率
は、2 年前の 2022 年 1 月期の営業利益率よりまだ 2 ポイントぐらい低くなっています
が、低採算の受注を行ってしまった工事の売上が今期も続き、収益がまだ戻らないと
いうことでしょうか?

本田:そのようなことではありません。営業利益率はまだ低いように見えるかもしれ
ませんが、それは研究開発や採用関連の費用を使うためです。粗利ベース、売上総利
益ベースでは上がっていきます。

先ほどの説明に少し漏れていたため補足しますが、当社の原価は外注費がほとんどを
占めています。それも結局、人件費に関連するため、人件費の高騰などは原価に影響
しますが、資源高はあまり関係ありません。

目安としては、元請ではなく普通の工事の場合は粗利が 20 パーセント、元請の場合は
30 パーセントくらいだと考えています。
質問者:つまり、今期については下請が 20 パーセント、元請がプラス 10 パーセント
の 30 パーセントに戻す 1 年になるということでしょうか?

本田:おっしゃるとおりです。
質疑応答:子会社化や資本出資の今後の活用予定について

質問者:人員計画についてです。人材費用がけっこう高くなっていますが、矢澤社が
子会社化したことや、クラッソーネ社との資本提携の出資を、今後どのような分野で
どのように活用していく予定なのでしょうか? 可能な範囲で教えてください。

本田:株式会社矢澤は、アスベスト対策工事を行っている会社です。監督の会社では
なく、いわゆる職長が数多く在籍している、営業計画などを立てる会社となっていま
す。ただ、実はこの会社も持たざる経営を行っている部分があります。

実際にアスベストを剥ぐ作業をする人たちではなく、アスベストをいかに飛散させな
いかを考え、風圧を変えるなどの計画を立てて工事するという強みを持っています。
例えば、大型ビルでは複数の場所で工事を行いますが、それを実行する職長がいると
いうことです。そのため、監督ではないものの、当社と同じように人で勝負している
部分があり、知識や経験、ノウハウなどを活かしている会社です。

当社の人間と相互で動くかというと、もちろん強みや求められる資格などは違います
が、今は少し人員を移動させたり、交換したりしているかたちです。今後は、株式会
社矢澤とベステラの両方の人員を交換しながら、その相乗効果で売上を上げていくと
いうこともあると考えています。

また、クラッソーネさまはもともと見積もりの比較サイトなどのプラットフォームを
運営されていましたが、そこからどんどんと発展していき、今は AI で一軒家の見積も
りなどを行っている会社です。

言えない部分も多いのですが、当社の行っている工事にもそのプラットフォームを活
かすなど、考えられる部分は数多くあります。今はいろいろなアイデアを出し合いな
がら、話しているところです。
質疑応答:外注先の会社との共有について

質問者:外注先の会社では、売上を拡大するための特許工事の共有などにスムーズに
取り組めるのでしょうか?

本田:外注先や協力会社さまは十分に足りています。ゼネコンなどの作る側では協力
会社の確保が非常に大変なところがありますが、当社は全国各地に長くお付き合いし
ている会社が広くあります。

今回、当社の強みを再整理した結論として、この動員力も強みの 1 つであり、十分に
確保できていると思っています。




質疑応答:中計の DX プラントソリューション売上の内訳について

司会者:「中計の DX プラントソリューション売上については、具体的にどのような内
訳でしょうか?」とのご質問です。

本田:DX プラントソリューションの売上の内訳については公表していませんが、先ほ
どお話ししたように、既存のいわゆるプラントなどの設備を 3D で計測してモデリング
する仕事や、従来どおり 3D CAD を使って設計する仕事もあります。

DX プラントソリューションで 3 億 4,700 万円とお伝えしたのは、3D 計測や 3D に関す
る設計の部分の売上になります。

「AUSE」ソフトの拡販とクレーン検査ロボットについては、今まではまったく売上に
含まれていませんでいたが、今後はこの 2 つも売上を増加させていく予定です。

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