分散型台帳技術を用いたセキュリティファイナンス取引の実証研究報告書について

2023年5月30日
各 位
会 社 名 日 本 証 券 金 融 株 式 会 社
代表者名 代 表 執 行 役 社 長 櫛 田 誠 希
(コード番号8511 東証プライム)
問合せ先 コーポレートガバナンス統括室長 日比 健太郎
( T E L .03-3666-3184 )


分散型台帳技術を用いたセキュリティファイナンス取引の実証研究報告書について


日本証券金融株式会社(以下「日本証券金融」)と国立大学法人東京大学大学院工学系研
究科(以下「東京大学」 は、
) 2021 年4月以降、レポ取引や証券貸借取引(以下総称して「セ
キュリティファイナンス取引」
)において、分散型台帳技術の活用により、トークン化した
有価証券や担保の円滑な取引が可能かについて検証する実証研究に取り組んでまいりまし
たが、本年3月に実証研究が終了し、その成果を報告書として取り纏め本日付で公表しまし
た(※)

実証研究において、日本証券金融は、主として実験コンセプトやスキームの立案、関係市
場実務の調査、本報告書の取りまとめ、東京大学は、データ分析や DLT に関する基本的な
技術・システム面の検討を担当しました。
本研究の成果は、証券分野をはじめとして今後の様々な分野への社会実装への活用が期
待されます。また、産学連携の推進により、日本証券金融が認識するサステナビリティに関
する重要課題、とくに学術研究活動の推進、証券・金融市場インフラの貢献の取組みに成果
が現れたものと考えております。


(※)報告書は下記より閲覧することができます。
「分散型台帳技術を用いたセキュリティファイナンス取引に関する実証研究」
https://www.jsf.co.jp/media/report_dlt_230530_ja.pdf
概要については下記資料をご覧ください。
「分散型台帳技術を用いたセキュリティファイナンス取引に関する実証研究について」
https://www.jsf.co.jp/media/presentation_dlt_230530_ja.pdf


<該当する SDGs の目標>
今回の実証研究では、以下のとおり3点の検証を行い、5つのインプリケーションを得ま
した。

➢ 検証内容
・セキュリティファイナンス取引の実施に関する検証(個別のバイラテラルな取引)
・市場全体を想定したパフォーマンスの検証
・担保銘柄の分散や閾値の設定による純与信額や所要流動性への影響に関する市場急変
時を含めた検証


【個別のバイラテラルな取引の概要図】


トークン化担保差入

トークン化有価証券貸付
A社 B社
同時履行


日々値洗い・担保授受




➢ インプリケーション
(1)取引のフィージビリティ
各種のセキュリティファイナンス取引について、異種通貨建資産を交えたものや
証券のトークンと証券のトークンを含め、取引開始から期中のマージンコール、終了
まで、円滑に実施可能。
(2)決済リスクの削減とくに異種通貨建て取引の同時履行
トークンとトークンの交換を、裏付資産が異種通貨建てであっても、同時に時差な
く自動的に交換可能。また、マージンコールについては、取引当事者のオペレーショ
ンを要することなく自動的に実施。
(3)信用リスクの削減や流動性節約の柔軟化
マージンコールが自動化されることで事務負担が軽減されマージンコールを行い
やすくなり、信用リスクを削減できる可能性がある。また、銘柄分散効果とマージン
コールの閾値の設定の適切な組み合わせにより、特に市場急変時に、信用リスクの削
減効果や流動性節約効果が得られる。
(4)事務の効率化
決済やマージンコール関連事務の自動化に伴い、セキュリティファイナンス取引
事務の STP 化・効率化、事務リスク管理を図ることができる。特に外国との取引情
報のやり取りやステータス確認に要する事務・時間を大幅に削減し、取引の効率化が
図れる可能性。
(5)流動性が低い資産の活用
流動性が低い資産について、トークン化をすることにより容易に権利を移転する
ことが可能となると考えられるため、そのような資産であっても保有するのみでな
く、セキュリティファイナンス取引の担保として活用できる余地が生まれる可能性
(利用価値が向上するに伴い、原資産の評価自体が向上する可能性)



本実証実験を通じて、セキュリティファイナンス取引にブロックチェーンを結び付ける
ことにより、上記のような様々な活用可能性があることが分かりました。今後とも内外の技
術革新動向に目を配りつつさらに研究を重ねてまいります。


以 上




<本件についてのお問い合わせ先>
日本証券金融株式会社 業務開発部
Email: bddept@jsf.co.jp
東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻 准教授 田中謙司
Email: info@ioe.t.u-tokyo.ac.jp

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