和製ハーブ「クロモジ」エキスの抗ウイルス作用を確認 ヒト試験ではインフルエンザ感染予防に有意差

2018 年 6 月 5 日



報道関係者各位


和製ハーブ「クロモジ」エキスの抗ウイルス作用を確認
ヒト試験ではインフルエンザ感染予防に有意差
2018 年 6 月 2 日 (土 ) 日 本 感 染 症 学 会 学 術 講 演 会 にて
国立国際医療研究センター、愛媛大学医学部附属病院との研究結果を発表

養命酒製造株式会社(本店:東京都渋谷区 代表取締役社長 塩澤太朗)は、2018 年 6 月 2 日
(土)、日本感染症学会学術講演会にて、国立研究開発法人国立国際医療研究センター研究所
感染症制御研究部(以下、NCGM)、および愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センター
との研究による「クロモジエキスの抗ウイルス作用」について発表しました。



【インフルエンザ感染者数に有意差】 【クロモジエキスがインフルエンザ
ウイルスの増殖を抑制】




看護師ら男女 134 名を 2 グループに分け、それぞれクロモジ ウイルスに感染させた細胞を培養すると、ウイルスが増殖
エキスを配合していない試験品(プラセボ)とクロモジエキス して感染した周辺の細胞が死滅し、プラーク(白く抜け
を配合した試験品を 1 日 3 回、12 週間毎日摂取してもらっ た部分)ができる(左)。一方、クロモジエキスを添加
たところ、インフルエンザ感染者数は、前者が 9 名、後者が 2 名 したシャーレではウイルスの増殖が抑制され、プラーク形
で、クロモジエキスを摂取した群の方が有意に少なかった。 成ができない(右)。

愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センターにて 国立研究開発法人国立国際医療研究センター研究所
2017 年 12 月~2018 年 3 月に実施 感染症制御研究部による実験




クロモジは日本の山地に自生するクスノキ科の落葉低木で、高級楊枝としての利用や精油が有名です。
今回、愛媛大学医学部附属病院に勤務する看護師ら男女 134 名を対象に、二重盲検試験を実施し
ました。クロモジエキスを 12 週間、毎日 3 回摂取したグループは、プラセボ試験品を摂取したグループ
より、インフルエンザ感染者数が有意に少ない結果になりました。
このヒト試験は、NCGMの基礎研究により、クロモジエキスはウイルスを不活化するだけでなく、細胞
に感染したウイルスの増殖を抑制する作用が明らかになったことを受けて実施されたものです。
また、これらの働きはインフルエンザウイルスだけでなく、ノロウイルスやロタウイルスにも同様に確認さ
れました。


■ヒト試験について

愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センター
センター長 伊賀瀬道也氏

「愛媛大学医学部附属病院看護部に全面協力していただきました。被験者
全員にインフルエンザワクチンを接種してもらい、二重盲検法により、3 ヶ月間
試験を実施してもらったところ、インフルエンザに罹患した人数および割合は、
クロモジエキスを摂取した群で 2 人(3%)、プラセボの群では 9 人(13%)となり、
明らかにインフルエンザに罹患する確率が下がりました。」


■抗ウイルス作用について

ウイルスは細 胞 内 の活 性 酸 素 を増 やし、細 胞 を弱 らせることで増 殖 します。クロモジエキスに
含 まれるポリフェノール「プロアントシアニジン」は、細 胞 内 の抗 酸 化 酵 素 を活 性 化 させ 、活 性
酸 素 を中 和 することで、間 接 的 にウイルスの増 殖 を抑 えます。この抗 ウイルス作 用 は非 特 異 的
なので、インフルエンザに限 らず、ノロウイルスやロタウイルスなどの感 染 に対 しても予 防 が期 待
できます。
また、NCGMの研 究 により、「プロアントシアニジン」が、ウイルスの表 面 に直 接 接 触 して膜 を
破 壊 し、ウイルスを不 活 化 させることもわかっています。

【活性酸素のある環境でウイルスが増殖】 【クロモジエキスがウイルスを抑制】




ウイルスが細胞内に侵入すると、細胞内に活性酸素が プロアントシアニジンが、①細胞に触れることで、細胞内の抗酸化
増え、細胞が弱まり、ウイルスが増殖する。 酵素を活性化させ、活性酸素を減らし、ウイルスの増殖を抑制
する。また、②ウイルスの表面に吸着することで膜を破壊する。

国立国際医療研究センター研究所感染症制御研究部
客員研究員 吉仲由之氏

「クロモジエキスのポリフェノールにはカテキンがたくさんつながった状態の『プロアン
トシアニジン』が多く含まれています。この成分は、細胞に触れることで『AMPK(AMP
活性化プロテインキナーゼ)』と呼ばれる酵素を活性化し、細胞の活性酸素を減らす
酵素『マンガンスーパーオキシドディスムターゼ(Mn-SOD)』の量を増加させることが
確認できました。プロアントシアニジンが細胞内の活性酸素を減少させ、抗ウイルス
作用を示したと考えられます。私はこれまで、植物が持つ抗ウイルス作用を調べてき
ましたが、古くから日本に自生している植物のこうした働きが明らかにされました。新
しい抗ウイルス剤開発の標的とし、汎用ワクチン開発の可能性を考えたいと思います。」
◆試験主体: 国立研究開発法人国立国際医療研究センター研究所感染症制御研究部 特任部長・秋山徹、客員研究員・吉仲由之
◆細胞株: MDCK 細胞(腎臓上皮由来細胞)
◆感染処理: 単層培養を準備し、培地中へインフルエンザウイルスを接種し 60 分間感染させた。
◆被験物処理:感染後、クロモジエキスを含む培地で培養した。
◆染色方法: 培養後、細胞を固定し、クリスタルバイオレット溶液で染色し、プラークを観察した。


■クロモジについて

クロモジは、日本の山地に自生するクスノキ科の落葉低木で、枝葉によい香
りがあるため、山地の人々や登山愛好家に親しまれてきた植物です。樹皮にあ
る黒い斑点を文字に見立て、クロモジ(黒文字)という名前が付けられました。


クロモジの枝

クロモジの枝には甘い芳香があります。この香りがあるから、または抗菌作用
があるから、など諸説ありますが、古くから皮付きのまま削って楊枝として使わ
れ、今では和菓子に添えられる高級楊枝として知られています。

ク ロ モ ジ の楊枝

蒸留によって採取される精油も有名です。香りの主成分は、リラックス作用が
期待できるリナロールです。また、「ウショウ(烏樟)」の名で生薬としても使われ
てきました。

春 には花 を咲 かせます 当社は、今後もクロモジエキスの新たな健康素材としての可能性の研究を続
け、新製品開発に活かして参ります。




本リリースに関する問い合わせ先
クロモジ研究会広報事務局
担当: 柳町 (rei.yanagimachi@kataraiz.com) ・ 山名 (yuki.yamana@kataraiz.com)
TEL : 03-5777-0660 (カタライズ内)




養命酒製造株式会社 コード番号 2540 東証・名証 第1部
代表者名:代表取締役社長 塩澤太朗 東京都渋谷区南平台町 16-25 www.yomeishu.co.jp



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