2020年12月末における再保険子会社のヨーロピアン・エンベディッド・バリューの開示について

I.


令和 3 年 5 月 13 日
各 位
大 阪 市 中 央 区 瓦 町 三 丁 目 5 番 7 号
株 式 会 社 ア ド バ ン ス ク リ エ イ ト
代 表 取 締 役 社 長 濱 田 佳 治
(コード番号:8798 東証第一部)
(連絡先)総合企画部長 岩井 暁
電話 06-6204-1193


人とテクノロジーを深化させ進化する会社

2020 年 12 月末における再保険子会社の
ヨーロピアン・エンベディッド・バリューの開示について

株式会社アドバンスクリエイト(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:濱田佳治、東証一部上場、
証券コード:8798、以下「当社」
、https://www.advancecreate.co.jp/ )は、グループの企業価値の参考
指標として、当社が 100%保有する再保険子会社 Advance Create Reinsurance Incorporated
(以下、
「A
CR」)に見込まれる株主配当可能利益等の現在価値(ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー。以
下、「EEV」)を別紙のとおり開示いたします。
EEVは企業価値を示す一つの指標とされています。


別紙 2020 年 12 月末ヨーロピアン・エンベディッド・バリューの開示について




<概要>


2020 年 12 月末EEV(ACR社) 3,470 百万円




以 上





別紙 2020 年 12 月末ヨーロピアン・エンベディッド・バリューの開示について


株式会社アドバンスクリエイト(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:濱田佳治、東証一部上場、
証券コード:8798、以下「アドバンスクリエイト」
、https://www.advancecreate.co.jp/ )は、再保険子
会社である Advance Create Reinsurance Incorporated(以下、
「ACR」
)の生命再保険事業の企業価
値を評価するための参考指標として、2012 年 12 月末より半期毎にヨーロピアン・エンベディッド・バ
リュー原則(以下、
「EEV原則」)に従い計算したACRのヨーロピアン・エンベディッド・バリュー
(以下、「EEV」)を算出し、開示しております。
今般、「2020 年 12 月末のACRのEEV」を算出いたしましたので、以下のとおりお知らせいたし
ます。





目次


1. EEVについて
1-1 EEV原則
1-2 EEVの計算手法


2.2020 年 12 月末EEV計算結果
2-1 EEVの計算結果
2-1-1 修正純資産
2-1-2 保有契約価値
2-1-3 新契約価値
2-2 2020 年 6 月末EEVからの変動要因


3.2020 年 12 月末EEVの感応度分析


4.第三者機関による報告書




付録A EEVの計算手法の詳細
付録B EEVの計算における主な前提条件
付録C 用語集





1.EEVについて


1-1 EEV原則
エンベディッド・バリューの計算手法、開示内容について一貫性および透明性を高めることを目的に、
2004 年 5 月に、欧州の大手保険会社のCFO(最高財務責任者)から構成されるCFOフォーラム
(European Insurance CFO forum:以下、
「CFOフォーラム」 により、EEV原則およびそれに

関するガイダンスが制定されています。さらに 2005 年 10 月には、EEVの感応度と開示に関する追
加のガイダンスが制定されています。なお、これらはソルベンシーⅡの導入を踏まえて、2016 年 5 月
に改正されています。


1-2 EEVの計算手法
今回のEEVの計算にあたり、アドバンスクリエイトは市場整合的手法を用いています。
市場整合的手法とは、資産・負債のキャッシュ・フローを市場で取引されている金融商品と整合的に
評価しようとするものであり、欧州を中心に多くの会社で採用されています。
アドバンスクリエイトでは、市場整合的な手法を取り入れつつ、EEV 原則に準拠し、EEV を計算し
ております。





2. 2020 年 12 月末EEV計算結果


2-1 EEVの計算結果
2020 年 12 月末におけるACRのEEVは以下のとおりです。
(百万円)
2020 年 6 月末 2020 年 12 月末 増減
EEV 3,332 3,470 138
修正純資産 731 760 29
保有契約価値 2,600 2,710 110


2019 年度上期 2020 年度上期 増減
新契約価値 134 280 146




2-1-1 修正純資産
修正純資産は、株主に帰属すると考えられる純資産で、資産時価が法定責任準備金およびその他負債
を超過する額です。
一般的には、貸借対照表の純資産の部に、負債中の内部留保、一般貸倒引当金、時価評価されていな
い資産・負債の含み損益、退職給付の未積立債務およびこれらに係る税効果等を調整した額になります。




2-1-2 保有契約価値
保有契約価値は、確実性等価将来利益現価からオプションと保証の時間価値、必要資本維持のための
費用および非フィナンシャル・リスクに係る費用を控除した金額であり、その内訳は以下のとおりです。
(百万円)
2020 年 6 月末 2020 年 12 月末 増減
保有契約価値 2,600 2,710 110
確実性等価将来利益現価 2,604 2,714 110
オプションと保証の時間価値 △2 △1 1
必要資本維持のための費用 0 0 0
非フィナンシャル リスクに係る費用
・ △2 △2 0





2-1-3 新契約価値
新契約価値は、当年度に獲得した新契約の契約獲得時点における価値(契約獲得に係る費用を控除し
た後の金額)を表したものであり、その内訳は以下のとおりです。
(百万円)
2019 年度上期 2020 年度上期 増減
新契約価値 134 280 146
確実性等価将来利益現価 134 280 146
オプションと保証の時間価値 0 0 0
必要資本維持のための費用 0 0 0
非フィナンシャル リスクに係る費用
・ 0 0 0


なお、新契約マージン(新契約価値の収入再保険料現価に対する比率)は以下のとおりです。
(百万円)
2019 年度上期 2020 年度上期 増減
新契約価値 134 280 146
収入再保険料現価(注) 985 1,662 677
新契約マージン 14% 17% 3%
(注) 将来の収入再保険料を、新契約価値の計算に用いたリスク・フリー・レートで割り引いています。





2-2 2020 年 6 月末EEVからの変動要因


(百万円)
修正純資産 保有契約価値 EEV
2020 年 6 月末EEV 731 2,600 3,332
(1)2020 年 6 月末EEVの調整 - - -
2020 年 6 月末EEV(調整後) 731 2,600 3,332
(2)2020 年度上期新契約価値 0 280 280
(3)期待収益(リスク・フリー・レート分) 0 0 0
(4)期待収益(超過運用収益分) 0 0 0
(5)保有契約価値からの移管 46 △46 0
うち 2020 年 6 月末保有契約 44 △44 0
うち 2020 年度上期新契約 2 △2 0
(6)前提条件(非経済前提)と実績の差異 △10 0 △10
(7)前提条件(非経済前提)の変更 0 △47 △47
(8)前提条件(経済前提)の変更および
△8 △75 △83
実績との差異
(9)その他の要因に基づく差異 0 △2 △2
2020 年 12 末EEV 760 2,710 3,470




(1)2020 年 6 月末EEVの調整
貸借対照表の修正または配当等社外流出に関する調整を表すものですが、2020 年度上期については
特段の調整をしていません。


(2)2020 年度上期新契約価値
新契約価値は、2020 年度上期に新契約を獲得したことによる契約獲得時点における価値を表したも
のであり、契約獲得に係る費用を控除した後の金額が反映されています。


(3)期待収益(リスク・フリー・レート分)
保有契約価値の計算にあたっては、将来の期待収益をリスク・フリー・レートで割り引いていますの
で、時間の経過とともに割引の影響が解放されます。なおこれには、オプションと保証の時間価値、必
要資本維持のための費用および非フィナンシャル・リスクに係る費用のうち 2020 年度上期の解放分を
含みます。修正純資産からは、対応する資産からリスク・フリー・レート分に相当する収益が発生しま
す。





(4)期待収益(超過運用収益分)
EEVの計算にあたっては、将来の期待収益としてリスク・フリー・レートを用いますが、実際には
リスク・フリー・レートを超過する利回りが期待されます。2020 年度上期の超過運用収益を計算する
ために使用した期待利回りは、付録Bをご参照ください。


(5)保有契約価値からの移管
2020 年度上期に実現が期待されていた利益(法定会計上の予定利益)が、保有契約価値から修正純
資産に移管されます。 2020 年 6 月末の保有契約から期待される 2020 年度上期の利益と、
これには、 2020
年度上期に獲得した新契約から期待される契約獲得に係る費用を含めた 2020 年度上期の損益が含まれ
ます。
これらは保有契約価値から修正純資産への振替えであり、その合計であるEEVの金額には影響しま
せん。


(6)前提条件(非経済前提)と実績の差異
2020 年 6 月末の保有契約価値の計算に用いた前提条件(非経済前提)と、2020 年度上期の実績との
差額です。


(7)前提条件(非経済前提)の変更
保有契約価値の計算に用いる前提条件(非経済前提)を洗い替えたことにより、2020 年度下期以降
の収支が変化することによる影響です。


(8)前提条件(経済前提)の変更および実績との差異
市場金利やボラティリティ等の経済前提が、2020 年 6 月末EEV計算に用いたものと異なることに
よる影響です。当該影響は、2020 年度上期の実績および 2020 年度下期以降の見積もりの変更を含みま
す。


(9)その他の要因に基づく差異
上記の項目以外にEEVを変動させた要因による影響です。





3.2020 年 12 月末EEVの感応度分析
前提条件を変更した場合のEEVの感応度は以下のとおりです。感応度は、一度に1つの前提のみを
変化させることとしており、同時に2つ以上の前提を変化させた場合の感応度は、それぞれの感応度の
合計とはならないことにご注意ください。
なお、いずれの感応度においても、保険会社の経営行動の前提は基本シナリオと同様としています。
(百万円)
前提条件 EEV 増減額
2020 年 12 月末EEV 3,470 -
感応度 1:リスク・フリー・レート 100bps 上昇 3,079 △391
感応度 2:リスク・フリー・レート 100bps 低下 3,711 241
感応度 3:株式・不動産価値 10%下落 3,470 0
感応度 4:事業費率(維持費率)10%減少 3,541 71
感応度 5:解約失効率 10%減少 3,770 300
感応度 6:保険事故発生率 5%低下 3,786 316
感応度 7:金利スワップションの
3,469 △1
ボラティリティ 25%上昇


感応度 1~3 について、EEVの修正純資産の変化額は以下のとおりです。なお、感応度 4~7 につい
ては保有契約価値のみの変化額となります。
(百万円)
前提条件 修正純資産 増減額
2020 年 12 月末修正純資産 760 -
感応度 1:リスク・フリー・レート 100bps 上昇 760 0
感応度 2:リスク・フリー・レート 100bps 低下 760 0
感応度 3:株式・不動産価値 10%下落 760 0





前提条件を変更した場合の新契約価値の感応度は以下のとおりです。
(百万円)
前提条件 新契約価値 増減額
2020 年度上期新契約価値 280 -
感応度 1:リスク・フリー・レート 100bps 上昇 237 △43
感応度 2:リスク・フリー・レート 100bps 低下 307 27
感応度 3:株式・不動産価値 10%下落 280 0
感応度 4:事業費率(維持費率)10%減少 285 5
感応度 5:解約失効率 10%減少 314 34
感応度 6:保険事故発生率 5%低下 299 19
感応度 7:金利スワップションの

ボラティリティ 25%上昇




○感応度 1
リスク・フリー・レートが 100bps 上昇した場合の影響を表しています。保有する債券や貸付金の価
格変化により修正純資産が変化すると同時に、将来の運用収益等が変化することにより保有契約価値も
変化します。


○感応度 2
リスク・フリー・レートが 100bps 低下した場合の影響を表しています。なお、リスク・フリー・レー
トは 0%を下限としています。


○感応度 3
株式および不動産の価格が 10%下落した場合の影響を表しています。


○感応度 4
契約維持に係る事業費率が 10%減少(ベースとなる事業費率×0.9)した場合の影響を表しています。


○感応度 5
解約失効率が 10%減少(ベースとなる解約失効率×0.9)した場合の影響を表しています。


○感応度 6
保険事故発生率が 5%減少(ベースとなる保険事故発生率×0.95)した場合の影響を表しています。


○感応度 7
金利スワップションのボラティリティが 25%上昇した場合の影響を表しています。オプションと保証
の時間価値が変化することにより保有契約価値が変化します。





4.第三者機関による報告書


Advance Create Reinsurance Incorporated 社の 2020 年 12 月 31 日現在のエンベディッド・バリュー
について


有限責任監査法人トーマツ(以下、「トーマツ」)は、株式会社アドバンスクリエイト(以下、「アド
)の依頼により Advance Create Reinsurance Incorporated 社(以下、
バンスクリエイト」 「ACR」)
の 2020 年 12 月 31 日現在のエンベディッド・バリューの開示資料(以下、
「開示資料」
)に記載された
エンベディッド・バリューがヨーロピアン・エンベディッド・バリュー原則(以下、
「EEV原則」
)に
基づいて計算されているか否かの検討を行いました。
エンベディッド・バリューは、EEV原則に基づいたものとして、開示資料に記載された方法でアド
バンスクリエイトにより計算されたものであり、エンベディッド・バリューの計算方法、計算前提、開
示資料内の情報は全てアドバンスクリエイトの取締役会の責任のもとに設定されました。
トーマツが検討した対象は、設定された計算方法および計算前提、アドバンスクリエイトが計算した
2020 年 12 月 31 日現在のエンベディッド・バリュー、2020 年度上期(2020 年 7 月 1 日から 2020 年
12 月 31 日、以下同様)の新契約価値、2020 年度上期中のエンベディッド・バリューの増減、ならび
に、前提を変えた場合のエンベディッド・バリューの感応度です。
トーマツは、アドバンスクリエイトが示した計算方法および計算前提を把握し、EEV 原則および保
険数理に関する実務慣行に基づき、アドバンスクリエイトが計算したエンベディッド・バリューを検討
しました。その結果、当該エンベディッド・バリューの計算に重要な誤りがないことを確かめました。
トーマツが検討した点は以下のとおりです。
1 設定された以下の計算方法等が、EEV原則に準拠しているかどうか。即ち、再保険引受等のAC
Rの事業にかかるリスク全体を反映しているかどうか。
1.1 計算対象範囲
1.2 修正純資産の計算方法
1.3 保有契約価値の計算方法
1.4 新契約価値の計算方法
2 設定された計算前提は、EEV原則に準拠しているかどうか。即ち、過去、現在および将来期待さ
れる実績を考慮しているかどうか。具体的には、以下のとおりです。
2.1 死亡率、発生率、継続率、事業費等の事業前提は、ACRの事業の特性を考慮し、過去、現在
および将来期待される実績を考慮した最良推計に基づき、保険数理に関する実務慣行に照ら
し合理的に設定されているかどうか。
2.2 経済前提は、前提相互間で整合的であり、計算基準日時点の経済状況を参照して設定されてい
るかどうか。
なお、トーマツは、計算モデル、計算過程および計算内容について上記の検討を行いましたが、完全な
検討を行ったわけではありません。


トーマツの作業はアドバンスクリエイトより提供されたデータと資料に依拠しています。そのため、
これらの資料は、トーマツが独立した第三者の立場から確かめたものではありません。




また、トーマツは、アドバンスクリエイトおよびACRの財務諸表(連結財務諸表を含む、以下同様)
の監査はしておりません。そのため、財務諸表の正確性を確かめたものではありません。


エンベディッド・バリューの計算で使用する将来予測は、現在および将来の事業環境について設定さ
れた様々な前提に基づいて計算されますが、その多くはアドバンスクリエイトの管理が及ぶ範囲ではな
く、一般に、前提条件と将来におけるその実現値とは異なる可能性があります。前提条件と実現値との
乖離は、計算結果に重大な影響を及ぼす場合があります。


エンベディッド・バリューは、実際の市場価値についての意見を表明することを意図するものではあ
りません。市場価値の形成に必要とされる多くの要素をすべて織り込んでいるわけではないため、その
ように解釈されるべきではありません。


この報告書はアドバンスクリエイトとの契約に基づき、アドバンスクリエイトのみに対して提供され
るものです。適用される法律において許容される限り、トーマツは、トーマツが行った検討やトーマツ
が確かめた内容およびその結果に関する記述について、アドバンスクリエイト以外のいかなる第三者に
対しても、一切の責任、注意義務あるいは債務を負いません。


以上





付録A EEVの計算手法の詳細
アドバンスクリエイトが 2020 年 12 月末EEVを算出するために用いた計算手法は市場整合的手法で
あり、2004 年 5 月にCFOフォーラムにより制定されたEEV原則および 2005 年 10 月に制定された
感応度と開示に関する追加のガイダンスに準拠しています。なお、これらはソルベンシーⅡの導入を踏
まえて、2016 年 5 月に改正されています。


1. 対象事業
計算の対象範囲は、ACRが行う再保険事業の全てです。対象外とした事業はありません。


2. 修正純資産の計算手法
修正純資産は、貸借対照表の純資産の部の金額としています。


3. 保有契約価値の計算手法
保有契約価値は、確実性等価将来利益現価から、オプションと保証の時間価値、必要資本維持のため
の費用および非フィナンシャル・リスクに係る費用を控除することにより算出しています。


4. 確実性等価将来利益現価
確実性等価将来利益現価は、将来キャッシュ・フローを決定論的手法で算定し、それによる将来の税
引後利益をリスク・フリー・レートで割り引いたものです。資産運用に係るキャッシュ・フローについ
ては、全ての資産の運用利回りがリスク・フリー・レートに等しいとして計算しています。
確実性等価将来利益現価には、保険契約に含まれるオプションと保証の価値のうち、本源的価値が反
映されています。


5. オプションと保証の時間価値
オプションと保証の時間価値は、確実性等価将来利益現価と、市場で取引されているオプション価格
と整合的な前提により確率論的に計算された将来の税引後利益現価の平均との差額をとることにより
計算しています。
オプションと保証の時間価値の計算において、資産配分は評価日時点の資産占率が将来にわたり維持
されるものとしており、運用方針について会社の裁量は織り込んでいません。
保険契約には様々なオプションが内包されていますが、ACRのEEVの算出にあたって勘案した要
素は契約者行動です。契約者は経済環境に応じ、様々な行動を取るオプションを有していますが、ここ
では、貯蓄性商品における予定利率と金利に応じた選択的解約のコストを反映しています。


6. 必要資本維持のための費用
市場整合的手法ではフリクショナル・コストと呼ばれます。保険会社は健全性維持のために負債の額
を超えて必要資本を保有する必要があります。この必要資本に係る運用収益に対する税金と、必要資本
に係る資産運用費用をフリクショナル・コストに含めています。
必要資本の水準について、EEV原則では法令で定められた水準を上回ることが求められております。
必要資本は、法令で定められた最低資本水準(US$100,000)と同額に設定しています。




7. 非フィナンシャル・リスクに係る費用
EEV原則では、EVは「対象事業のリスク全体を考慮した上で、対象事業に割り当てられた資産か
ら発生する分配可能利益の中の株主分の現在価値」と定義されており、全てのリスクを勘案してEVを
算出することが求められています。
非フィナンシャル・リスクから生じる収益の不確実性の大部分は分散可能と考えられます。そのため、
例えば死亡率の変動といった非フィナンシャル・リスクについては、確実性等価将来利益現価の計算に
用いた最良前提(以下、
「ベスト・エスティメイト前提」
)が、株主が期待する損益の平均値となってい
る場合には、追加的な調整が不要となります。
一方、非フィナンシャル・リスクの中には、ベスト・エスティメイト前提だけではその価値を評価出
来ていないものもあります。このような例として、一般的にはオペレーショナル・リスクが挙げられま
す。
アドバンスクリエイトでは、簡易モデルによりこの非フィナンシャル・リスクの定量化を行っていま
す。


8.新契約価値の計算手法
2020 年度上期の新契約価値は、2020 年 7 月 1 日から 2020 年 12 月 31 日までの半年間にACRが引
き受けた再保険契約の価値であり、保有契約価値と同様の手法で計算しています。
なお、経済前提および非経済前提はともに 2020 年 12 月末時点のものを用いています。





付録B EEVの計算における主な前提条件


1. 経済前提
(1)リスク・フリー・レート
確実性等価将来利益現価の計算においては、市場の流動性を考慮し、リスク・フリー・レートとして
評価日時点の日本円国債の利回りを使用しています。
なお、リスク・フリー・レートの参照金利および超長期金利の補外手法については、欧州のソルベン
シーⅡ導入時の活発な議論に加え、CROフォーラム等においても様々な議論がなされています。超長
期金利の補外手法について、ソルベンシーⅡにおいては、長期均衡的なフォワード・レート(ultimate
forward rate)を用いて補外する方法に基づき様々な通貨の超長期満期までの金利期間構造が設定され
ています。
日本円国債の 40 年超のリスク・フリー・レートについては、市場における超長期ゾーンの流動性が
十分になく、標準的な補外手法が存在しないことから、41 年目以降のリスク・フリー・レートについ
て、40 年目のフォワード・レートを横ばいとしています。実際に使用したリスク・フリー・レート(フ
ォワード・レート)は以下のとおりです。


2020 年 6 月末 2020 年 12 月末
1 年目 0.000% 0.000%
2 年目 0.000% 0.000%
3 年目 0.000% 0.000%
4 年目 0.000% 0.000%
5 年目 0.094% 0.000%
10 年目 0.114% 0.605%
15 年目 1.687% 0.622%
20 年目 0.001% 1.150%
30 年目 1.126% 1.184%
40 年目 0.266% 0.333%
(データ:Bloomberg(補整後)






(2)金利モデル
金利モデルは、保険数理の実務で広く用いられているハル・ホワイト・モデルを採用しています。金
利モデルのパラメータは、各年度末の市場にキャリブレートされており、パラメータはイールド・カー
ブおよび期間の異なる複数の金利スワップションの市場取引値から推計しています。なお、従来より市
場取引値として使用していたインプライド・ボラティリティが近年の金利低下の影響により取得できな
くなったため、2016 年 6 月末からは代わりに時価を補整して使用しています。オプションと保証の時
間価値を算出するための確率論的手法では 1,000 シナリオを使用しています。
シナリオのキャリブレーションに使用した金利スワップションの市場取引値は以下のとおりです。


金利スワップション 2020 年 6 月末 2020 年 12 月末
オプション期間 スワップ期間 時価(bps) 時価(bps)
5年 5年 172.0 ―
5年 7年 251.9 251.5
5年 10 年 386.8 386.6
7年 5年 218.0 221.9
7年 7年 317.7 321.4
7年 10 年 486.8 494.1
10 年 5年 287.9 300.0
10 年 7年 416.0 431.0
10 年 10 年 646.7 666.0
(データ:Bloomberg)



(3)予定収益計算上の各資産の期待収益率
「2-2 2020 年 6 月末EEVからの変動要因」の期待収益(超過運用収益分)の計算に用いた預金
金利の期待収益率は 0.01%です。


(4)為替レート
ACRのEEVは、米ドルを日本円換算した後に日本円で計算されています。
米ドルを日本円に換算するために用いた為替レートは、2020 年 6 月末で 1 米ドル=107.74 円、2020
年 12 月末で 1 米ドル=103.50 円です。将来の為替レートは 2020 年 12 月末のレートが維持されるもの
としています。





2. 非経済前提
保険料、事業費、保険金・給付金、解約返還金、税金等のキャッシュ・フローは、契約消滅までの期
間にわたり、保険種類別に、直近までの経験値および期待される将来の実績を勘案したベース(ベスト・
エスティメイト前提)で予測しています。ベスト・エスティメイト前提は、過去、現在の実績および将
来期待される経験に基づき設定しています。





付録C 用語集


用語 説明・補足
あ EEV原則 CFOフォーラムにより 2004 年 5 月に発表されたもの
であり、2005 年 10 月には開示に関する追加のガイダン
スが発表されています。これらは、保証とオプションの
取扱いに焦点をあて、センシティビティと開示に関する
改善を図るものです。なお、これらはソルベンシーⅡの
導入を踏まえて、2016 年 5 月に改正されています。
インプライド・ オプションの市場価格から逆算されるボラティリティで
ボラティリティ す。
オプションと保証の オプション価値は、本源的価値と時間価値という2つ要
時間価値 素を持っています。本源的価値は、評価日時点の条件の
下で計算されるオプションの価値のことであり、その価
値の本質となるものです。時間価値とは、満期前に将来
の期待を反映するものであり、オプション価値のうち本
源的価値以外の価値です。
か 確実性等価 全ての資産の運用利回りをリスク・フリー・レートとし
将来利益現価 て計算した、将来の税引後利益の現在価値です。
確率論的手法 計算結果に影響を与える、前提条件の将来の変動を反映
させる手法です。
さ CFOフォーラム 財務報告の発展や投資家に対する透明性の向上等に関す
る議論を行うため、欧州主要保険会社のCFO(Chief
Financial Officer:最高財務責任者)により構成される
組織であり、2002 年に設立されました。
市場整合的手法 将来のキャッシュ・フローを、市場で取引される資産の
価格と整合的に評価することが出来る経済前提を用いる
測定手法です。
スワップション 権利行使日に、一定条件の金利スワップ取引を行うこと
ができる権利を売買するオプション取引です。
ソルベンシーⅡ ソルベンシーⅡは、欧州の保険会社に対する新しいソル
ベンシー規制です。定量的要件として経済価値ベースに
基づく資本規制が 2016 年から導入されています。
は 必要資本 対象事業に係る負債に対応する資産を超えて会社が保有
することが求められる資産であり、株主への分配に制限
があります。
必要資本維持のため 必要資本に係る運用コストおよび必要資本を運用するこ
の費用 とで得られる収益に係る税金相当額です。





用語 説明・補足
非フィナンシャル・ オペレーショナル・リスクといった、非対称性を持つ非
リスクに係る費用 フィナンシャル・リスクに係る費用です。
ベスト・エスティメイ 前提が、将来取り得る範囲における期待値です。
ト前提
ら リスク・フリー・ デフォルトや信用リスクが無い証券における将来の期待
レート 利回りです。





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