大阪大学大学院医学系研究科、日本イーライリリーと運動器慢性疼痛と運動の関連に関するデータを公表

2021 年9月 28 日

各 位
会 社 名 株式会社カーブスホールディングス
代表者名 代表取締役社長 増本 岳
(コード:7085、東証第一部)
問合せ先 取締役管理本部長 松田 信也
(TEL.03-5418-9922)




大阪大学大学院医学系研究科、日本イーライリリーと

運動器慢性疼痛と運動の関連に関するデータを公表



当社連結子会社である株式会社カーブスジャパン(本社:東京都港区、代表取締役会長 増本 岳)は、
国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科、日本イーライリリー株式会社(本社:兵庫県神戸市、代表
取締役社長:シモーネ・トムセン)と、女性を対象とした肩、腰、手足の関節などの慢性的な痛みと運
動の関連に関するデータを公表いたしましたので、お知らせいたします。

詳細につきましては、以下の添付資料をご覧ください。

以 上
(添付資料)




2021 年 9 月 24 日
国立大学法人大阪大学
株式会社カーブスジャパン
日本イーライリリー株式会社




大阪大学大学院医学系研究科、カーブスジャパン、日本イーライリリー、
女性を対象とした肩、腰、手足の関節などの慢性的な痛みと運動の関連に関するデータを公表




国立大学法人大阪大学(以下、大阪大学)大学院医学系研究科、株式会社カーブスジャパン(本
社:東京都港区、代表取締役会長:増本 岳、以下、カーブス)と日本イーライリリー株式会社(本
社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:シモーネ・トムセン、以下、日本イーライリリー)は、運動器
慢性疼痛と運動の関連に関するデータを公表いたしましたので、お知らせいたします。




<背景>
「第 2 次健康日本 21」でも示されているように、超高齢化社会を迎えている日本において、健康寿
命の延伸は、重要な課題のひとつと位置付けられています※1。中でも女性の「日常生活に制限の
ある期間の平均」(平均寿命と健康寿命の差)は 12.34 年であり※2、男性と比較しても長く、依然と
して取り組むべき課題のひとつです。


肩、腰、手足の関節などの慢性的な痛みの軽減に運動が有効であることは、ガイドラインでも示さ
れています ※3。日本人女性における病気やけが等の有訴者率は、肩こり(11%)、腰痛(11%)、手
足の関節の痛み(7%)が上位に挙げられており※4、運動器疼痛への適切な対処・治療が求められ
ています。しかし、運動する意欲があるにも関わらず、痛みのために運動に支障をきたす女性が
どの程度の割合で存在するのか、また、運動習慣によって痛みや日常生活における困難さがど
の程度軽減するのか、その学術的データは明らかになっていません。
(添付資料)




<本共同研究データの内容>
大阪大学 中田 研 教授(大学院医学系研究科 健康スポーツ科学講座 スポーツ医学)を中心
に、カーブス、日本イーライリリーが参画し三者共同で研究を行い、女性に特化したフィットネスク
ラブであるカーブスにおいて、運動を開始する女性会員に対して調査を実施し、痛みと運動習慣
について多面的にデータ収集を行い、運動器慢性疼痛の状態や運動における障壁、そして運動
を励行できた場合の疼痛を軽減する効果についてデータをまとめ、Scientific Reports 誌にて結果
を公表しました。


論文概要
Seira Sato, Sho Ukimoto et al., Chronic musculoskeletal pain, catastrophizing, and physical
function in adult women were improved after 3-month aerobic-resistance circuit training,
Sci Rep. 2021 Jul 22;11(1):14939.


【背景】3ヶ月以上継続、または、反復する運動器慢性疼痛(CMP)は成人の 20%に見ら
れ、女性に多く、身体・心理・社会的要因が相互に関与する。身体機能低下、抑うつ、QOL
低下などを引き起こし、経済損失は年間 2000 億ユーロと報告され医療上の重大な課題で
ある。治療は運動療法が第一選択とされるが、未だ確立された方法はない。
短時間に有酸素運動と抵抗運動(筋力トレーニング)を繰り返すサーキット式 Aerobic-
resistance training は、複数人が同時に運動参加可能で少ない運動時間で十分な運動効果
を得られるが、CMP への効果はまだ明らかでない。
【目的】
CMP を有する成人女性の3ヶ月間のサーキット式 Aerobic-resistance training の
効果を評価する。
【方法】2,600 名のフィットネスクラブ女性新規会員に入会時にアンケートを行い、
Numeric Rating Scale (NRS) 4 以上の CMP を有する女性参加者 139 名に対し、3ヶ月間
のトレーニング(30 分/回)後に再度アンケートを行った。痛みの強さを Numeric Rating
Scale (NRS)、疼痛による破局的思考を Pain Catastrophizing Scale (PCS)、 腰・肩・膝の
自覚的機能をそれぞれ、RDQ, Shoulder36,KOOS を用いて評価を行い、入会時と3ヶ
月後で比較した。
【結果】
NRS、PCS、腰、膝の ADL スコアは3ヶ月間で有意な改善を認めた(p<0.0001,
p=0.0013, 0.0004, 0.0295)が、肩機能の改善は認めなかった。運動頻度により参加者を 3
群(Low, Moderate, High-dose group)に分けると、NRS は運動頻度に関係なく全群で有意
に改善し、PCS、 腰、膝は Moderate-dose と High-dose 群で有意な改善を認め、これは
週 2 回以上の運動に相当していた。
(添付資料)




Table 2. Comparison of pain and associated functions between baseline and 3 months after intervention. NRS score,
number of pain site, and the prevalence of pain in the low back and shoulder were significantly reduced after the
intervention relative to baseline. In the psychological assessment, all PCS subdomain scores and the total score, were
significantly improved after the intervention relative to baseline. For physical disability assessment, RDQ and the KOOS
domain score for ADL were significantly increased, but Shoulder36 score did not significantly change, after the
intervention relative to baseline. Group comparisons for continuous data were performed by Wilcoxon signed-rank test,
and McNemar test was used for categorical variables. NRS: numeric rating scale; PCS: pain catastrophizing scale; RDQ:
Roland-Morris disability questionnaire; KOOS: knee injury and osteoarthritis outcomes survey; MCID: minimal
clinically important difference; SD: standard deviation; ADL: activities of daily living. Significant differences are
indicated in bold.

【総括】 分のサーキット式 Aerobic-resistance training を3ヶ月間継続した参加者では


CMP の改善を認め、特に週 2 回以上の運動参加により、破局的思考、腰と膝の機能改善
を認め、効率的な運動として臨床的有用性が期待される。
(添付資料)




<大阪大学大学院医学系研究科 健康スポーツ科学講座 スポーツ医学 中田 研 教授 のコメ
ント>
我々の研究室では、スポーツをはじめ、身体活動に伴う外傷の診断や治療、予防に関する研究を
行っています。運動器慢性疼痛の緩和を目的とした運動については様々な角度からの検討が必
要とされており、今回の共同研究が、今後のより深い学術的考察のきっかけとなることを期待して
います。


<株式会社カーブスジャパン 代表取締役会長 増本 岳 のコメント>
カーブスは今まで運動とは無縁だった 40 歳代~70 歳代の女性を中心に、最高齢 100 歳の
方まで通っていただいています。運動プログラムは大学や専門研究機関との共同研究で、生活習
慣病の予防改善・介護予防・認知機能改善・各種運動機能の向上など様々な運動効果のエビデ
ンスを保有しています。今回の共同研究によって、より有効な健康への提案ができるようになるこ
とで、一人ひとりのお客様の健康で豊かな人生に貢献したいと考えています。


<日本イーライリリー株式会社 研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部
バイオ医薬品領域本部&臨床薬理メディカル 本部長 宗和 秀明(医師/医学博士) のコメント>
日本イーライリリーは、女性をはじめ多様な社員が力を発揮できる働きがいのある職場づくりを早
くから推進しており、女性の健康関連 QoL を高く維持することについても重要視しています。今
後、この運動器疼痛に関するプロジェクトが、日本の女性の健康を推進することに貢献し、すべて
の人が自分らしく輝ける社会づくりに、少しでも寄与することができればと考えています。
(添付資料)




<参考情報>
国立大学法人大阪大学について
大阪大学は 1931 年、医学部と理学部の 2 学部からなる第 6 番目の帝国大学として大阪中
之島の地に創設されました。2007 年には大阪外国語大学(1921 年設立)と統合し、現在は、11
の学部、16 の研究科、5 つの附置研究所を擁する我が国有数の研究型総合大学となりました。
精神的源流である懐徳堂と適塾の思想・精神を継承しつつ、社会の安寧と福祉、世界平和、人類
と自然環境の調和に貢献する大学となることを志し、多様な知の協奏と共創によって、学問の真
髄を極める高いレベルの教育研究を追求しようとしています。また、新たな学術領域の創生、専門
分野を超えた知の統合学修を通じて地球規模の社会問題を解決し、人間性豊かな社会の創造に
大きく貢献する人材を輩出することが課題です。それらを着実に遂行することによって、「世界屈
指の研究型総合大学」へ発展することを目指しています。 なかでも大学院医学系研究科では、
基礎医学、臨床医学の各領域における研究の実績を活かし、先端的で特色ある研究を推進し、
新たな医療技術の開発や医療水準の向上を目指しています。 https://www.osaka-u.ac.jp


カーブスジャパンについて
株式会社カーブスジャパンは超高齢社会において生じる様々な社会問題を、正しい運動習慣を広
めることを通じて解決することを標榜し 2005 年 2 月に設立。女性だけの 30 分健康体操教室
「カーブス」を全国 約 2,000 店舗展開し、40 歳代~70 歳代を中心に 約 68.6 万人※(2021 年 2
月末日現在)の会員をサポートしています。カーブス独自のトレーニングは、30 秒の「筋力トレー
ニング」と 30 秒の「有酸素運動」を交互に実施し、1 回 30 分で女性にとって必要なすべてのト
レーニングを行うことができます。また、カーブスのマシンは、女性や高齢者が無理なく使用できる
よう開発され、体力や筋力に合わせて動かす速さで負荷が変わる油圧式のため、病院のリハビリ
テーション等にも使用されており、体力に自信がない方、高齢の方でも安心して筋力トレーニング
いただけます。
※ 約 83 万人(2020 年 2 月末日時点)の会員が、新型コロナウイルス感染症の影響により約 68. 6 万人(2021 年 2 月末日現在)となっ

ております。




日本イーライリリーについて
日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。人々が
より長く、より健康で、充実した生活を実現できるよう、革新的な医薬品の開発・製造・輸入・販売
を通じ、がん、糖尿病、筋骨格系疾患、中枢神経系疾患、自己免疫疾患、成長障害、疼痛、など
の領域で日本の医療に貢献しています。詳細はウェブサイトをご覧ください。
https://www.lilly.co.jp
(添付資料)




Reference
※1 厚生労働省『国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針』

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_01.pdf

※2 平成 30 年 3 月 9 日 第 11 回健康日本21(第二次)推進専門委員会 資料 1-2、様式 2、「1. 健康寿命の延伸・健康格差の縮小」

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000166297_5.pdf

※3 「慢性疼痛診療システムの均てん化と痛みセンター診療データベースの活用による医療向上を目指す研究」研究班監修/慢性疼痛診療ガ

イドライン作成ワーキンググループ編集『慢性疼痛診療ガイドライン』2021

※4 厚生労働省「平成 31 年 国民生活基礎調査」

14018