ROHM Integrated Report2021

Electronics for the Future




ROHM
Integrated Report 2021
CONTENTS

第1章 価値を創造する 第3章 未来を支える
ロームのビジョン 高品質と革新性 2 イノベーション 34

The Cover Story 持続的な成長を目指して 4 環境 36

At a Glance 6 人財 38

イノベーションの歴史 8 サプライチェーン・BCP 40

ロームの価値創造プロセス 10 コーポレートガバナンス 42

価値創造のしくみ(ビジネスモデル解説) 12 役員一覧 48

外部環境・リスクと機会の認識 14 新任社外取締役メッセージ 49

ロームのマテリアリティ 16 コンプライアンス 50

財務・非財務ハイライト 18 リスクマネジメント 51



第2章 未来を創る データ編
社長メッセージ 20 11カ年の主要財務・非財務データ 52

中期経営計画 MOVING FORWARD to 2025 24 財務諸表 54

中期経営計画の概要 24 連結貸借対照表 54

成長戦略 26 連結損益計算書及び連結包括利益計算書 56

成長を支える基盤 28 連結キャッシュ・フロー計算書 57

財務戦略 30 用語集 58
ESG への取組み 32
グローバルネットワーク 60

会社概要/株式情報 62

IR FAQ 63




編集方針

ロームは、ステークホルダーの皆様の期待に応えられる高品質の製品を提供し、文化の進歩向上、社会の発展
に貢献することを「企業目的」に掲げています。「ROHM Integrated Report 2021」では、顧客、株主・投資
家、取引先、従業員をはじめとするステークホルダーの皆様に、ロームの企業目的を実現するための取組みに
ついて、より一層ご理解いただくことを目的としており、2030年を見据えた中期経営計画「MOVING FORWARD
to 2025」を中心に、事業や財務・非財務情報、価値創造の基盤となるESG への取組み内容やCSRといった
企業活動とも、関連づけてご紹介しています。


対象期間 2020年度
(2020年4月1日∼2021年3月31日)
※ 一部、2021年4月以降の情報を含みます。


発行時期 2021年10月

参考にしたガイドラインなど
国際統合報告評議会
(IIRC)「国際統合報告フレームワーク」

※ IIRCは2021年6月にValue Reporting Foundation
(VRF)に改組しました。
他の報告媒体との関係
価値創造ストーリー


ROHM
Integrated Report
(統合報告書)


非財務 財務

サステナビリティWebサイト ESGデータ 有価証券報告書/ 株主向け報告書
ロームのサステナビリティ Index :ガイドライン対照表 四半期報告書 (報告書・中間報告書)
CSVへの取組み コーポレートガバナンス報告書 決算説明会資料 投資家情報ウェブサイト
環境マネジメント ロームグループ
人財マネジメント コーポレートプロファイル
調達マネジメント FACT BOOK
事業活動の基盤 英文財務諸表
社会貢献活動



網羅性
刊行物のご案内

ROHM 財務・非財務情報から企業価値向上に直結する特に重要度の高い情報を集約し、 掲載し ています。

Integrated Report(統合報告書) https://www.rohm.co.jp/investor-relations/library/rohm-group-integrated-report


ロームグループ 品質への取組みや製品・テクノロジー注力領域などについてコンパクトにまとめて掲載しています。
コーポレートプロファイル https://www.rohm.co.jp/investor-relations/library/rohm-group-report



経営内容や財務状況などの事実関係をまとめ、投資家・株主の皆様向けに作成した資料集です。
FACT BOOK
https://www.rohm.co.jp/investor-relations/library/factbook



事業の概況や設備の状況、財務状況まで様々な情報を掲載しています。
有価証券報告書・四半期報告書
https://www.rohm.co.jp/investor-relations/library/annual-interim-securities-business-report



決算説明会で発表した内容や、中期経営計画の説明資料を掲載しています。
決算説明会資料
https://www.rohm.co.jp/investor-relations/library/materials-for-financial-results-briefing



東京証券取引所に提出した、コーポレートガバナンスの基本的な考え方や体制の状況などを記述した報告書です。
コーポレートガバナンス報告書
https://www.rohm.co.jp/investor-relations/library/corporate-governance



事業や企業価値向上のための取組みについて半期ごとにまとめ、株主の皆様にお送りしています。
株主向け報告書
https://www.rohm.co.jp/investor-relations/library/annual-interim-business-report




ウェブサイトのご案内

IR 関連情報をまとめたウェブサイトです。業績の概要や株式情報などを掲載しています。
投資家情報
https://www.rohm.co.jp/investor-relations



CSV への取組みや環境マネジメント、人財マネジメント、社会貢献活動などの CSR 情報を掲載しています。
ロームのサステナビリティ
https://csr.rohm.com/jp/



ロームの 環境、社会、ガバナンスに関するデータを掲載しています。

主要な ESGデータ https://csr.rohm.com/jp/esg/




ROHM Integrated Report 2021 1
ロームのビジョン




高品質と革新性
半導体・電子部品は、
「産業の米」とも言われており、例えばスマートフォン1台に、
数百個に及ぶ電子部品が使われています。
エレクトロニクス製品が、世界中でなくてはならない存在となっている中、
使われている電子部品の数は、天文学的な数字になります。ロームは企業目的に「品質第一」を掲げ、
自動車や社会インフラなど、人々の安全や生活基盤を支えています。




2 ROHM Co., Ltd.
第1章 価値を創造する




半導体メーカー
「ROHM」
の社名は、

創業当時の生産品目である抵抗器(Resistor)の頭文字「R」


抵抗値の単位Ω
「ohm」
を組み合わせたものです。

「R」
は信頼性(Reliability)にも通じており、品質を第一とする

ロームのポリシーを表しています。




企業目的
われわれは、
つねに品質を第一とする。
いかなる困難があろ と
う も、
良い商品を国の内外へ永続かつ大量に供給し、
文化の進歩向上に貢献することを目的とする。



ステートメント

Electronics for the Future
ロームは、エレクトロニクスの技術で、
社会が抱える様々な課題を解決し、
未来に向けて、人々の豊かな暮らしと、
社会の発展を支え続けていきます。



経営ビジョン
パワーとアナログにフォーカスし、
お客様の 省エネ・ 小型化 に寄与することで、
社会課題を解決する




ROHM Integrated Report 2021 3
The Cover Story


持続的な成長を目指して
ロームでは、社会の持続的発展を目指し、さまざまな取組みを行っています。

2020 年
・ 「Nano CapTM」
4 月 省エネ 小型化 コンデンサ容量を大幅に低減できる電源技術 を確立
自動車や産業機器をはじめとする各種電源回路の外付けコ 回路設計負荷が大幅に軽減します。今後、ほかのアナログ
ンデンサ容量が極小のnF
(ナノファラッド)でも安定制御で ICでも「Nano Cap」を搭載した製品を開発し、コンデン
きる電源技術「Nano Cap」を確立しました。この技術に サの削減や容量低減を通して、資源の有効活用や環境負荷
よりリニアレギュレータ出力側のコンデンサが不要となり、 の低減を実現していきます。


2020 年
6月 価値共創 ローム Vitesco Technologies
(ドイツ)
自動車の電動化におけるリーディングサプライヤーである Vitesco Technologies
持続可能な自動車のための最先端パワートレイン技術の世界的なメーカー。
Vitesco Technologiesと、電気自動車向けパワーエレクトロ
コンチネンタルグループの Vitesco は、電気、ハイブリッド、内燃自動車向
ニクスにおけるパートナーシップを2020年6月より開始しまし けのスマートシステムソリューションと部品の提供により、環境に優しく、
高効率で、手ごろな自動車の実現に貢献する。
た。SiCパワーデバイスを使用することで、電気自動車の航続
距離伸長や、バッテリーサイズの削減を実現します。


2020 年
12月 省エネ 小型化 第5世代 Pch MOSFETで業界トップクラスの低オン抵抗を実現


FA 機器やロボット、空調機器などに最適な、24V 入力対 Pch MOSFET 従来品と新製品のオン抵抗改善結果
応の−40V 及び−60V 耐圧 Pch MOSFET 計24製品をラ -40V 耐圧品 -60V 耐圧品
インアップ。豊富な実績を誇るロームの Pch MOSFETと
RonA VGS=10V)




RonA VGS=10V)




62% 減 52% 減
して、第5世代にあたる新微細プロセスの採用により、業界
トップクラスとなる単位面積当たりの低オン抵抗を実現し










ました。オン抵 抗は−40V 耐 圧 品で従 来 品比 62% 減、
−60V 耐圧品で従来品比52% 減となり、機器の省エネと
従来品 新製品 第5世代 従来品 新製品 第5世代
小型化、高品質が求められる産業機器の長期安定動作に
低オン抵抗化により、機器の省エネと小型化に貢献
貢献します。


2020年
12月 成長戦略 ローム アポロ筑後工場に新棟竣工、
・ SiCパワーデバイスの生産能力強化
省エネ ・ 小型化 が求められる中、 コンカーバイ (SiC
シリ ド :
炭化ケイ素、以下、SiC)
を使用したパワーデバイスの需要が
急速に増加しています。SiCウエハの主要サプライヤである
SiCrystalをグループに持つロームは、SiCパワーデバイスの
さらなる安定供給のため、ローム アポロ
・ (株)
筑後工場に新棟
を建設、2020年12月に竣工しました。国内12年ぶりとなる
新棟は、従来設備と比較してCO2排出量を20%
(約7,000t
分)低減、さらに100% 再生可能エネルギーを採用しており、
より環境負荷の少ない製品を顧客に提供し、脱炭素社会の
構造:地上5階/竣工:2020年12月
実現に貢献します。 稼働予定:2022年




4 ROHM Co., Ltd.
第1章 価値を創造する



2021年
4月 ESG 「ロームグループ 環境ビジョン2050」を策定
2021年4月、持続可能な社会の実現に向けて、2050年に 役割を果たします。顧客の 省エネ ・ 小型化 に貢献する
おけるロームのあるべき姿を示した「環境ビジョン2050」 ことに加え、主要事業所や SiC ウエハ製造の主要な生産
を策定しました。「脱炭素」社会の実現に向けて、ローム 工程を再生可能エネルギー100%とするなど、環境配慮型
の主力製品である半導体は、全世界の電力消費量の大半 の事業体制構築にも取り組んでいます。 詳細 ≫ P36


を占めると言われるモーターや電源の効率改善に大きな


2021 年
5 月 成長戦略 初の中期経営計画を公表、5年間で4,000億円の成長投資
2021年5月、ロームとして初となる中期経営計画を発表し 中期経営計画 2021年度∼2025年度 2030年度

ました。2026年3月期までの5年間で計4,000億円の成 車載 海外 での成長実現と グローバル
さらなる成長に向けた基盤作り メジャーへ
長投資を行うことなどを打ち出しています。成長実現の
2年以内に
売上高 成長加速
ためにパワーとアナログにフォーカスし、顧客の 省エネ ・ 過去最高
売上更新
4,700 億円
売上高
小型化 に寄与していくとともに、
「車載向け市場の取り 3,598億円

込み」 「海外売上の拡大」
と を成長の2つの柱としてこの
5年間で成長軌道に乗せ、2025年度以降のさらなる成 営業利益率 10.7%
: 営業利益率:17%
ROE: 5.0% ROE: 8%
長の基盤を作りグローバルメジャーへの歩みを進めてい
きます。 詳細 ≫ P24∼ 21/3月期 26/3月期 31/3月期
(実績) (計画) (イメージ)




2021年
6月 省エネ SiC-MOSFET 内蔵 AC/DCコンバータICで、
産業機器の劇的な小型化・高信頼化・省電力化に貢献
大電力を扱う汎用インバータやACサーボ、産業用エアコン、 への自動実装を可能にするとともに、1パッケージ化により
街灯などの産業機器に最適なSiC-MOSFET 内蔵 AC/DC 大幅な部品点数削減を実現。工場での実装コストの大幅
コンバータICを開発しました。 削減や部品故障リスクの低減を可能にしたうえで、最大5%
 新製品は、圧倒的な省電力性能を誇るSiC-MOSFETと、 の電力高効率化を達成しており、産業機器の劇的な小型
産業機器の補機電源に最適化された制御回路を、業界で 化・高信頼化・省電力化に貢献します。
初めて小型面実装パッケージに同梱したものです。基板



2021年
7月 成長戦略 スタートアップ企業向けに50億円の投資枠を新設
新たな事業モデルの創出を加速させる取組みとして、ス 主な投資対象
タートアップ企業を対象としたコーポレートベンチャーキャ
半導体材料、半導体製造技術、 半導体周辺技術
ピタル(CVC)活動を開始し、総額50億円の投資枠を新設 事業強化
(接合、パッケージ等) 組み込みアルゴリズム 他


しました。
事業領域 車載・産業機器等のローム注力市場における新たな
 これまでのベンチャー企業との協業・業務提携や大学と 製品・技術、サービスを提供するスタートアップ
拡大
の共同研究に加え、今回の CVC 活動により、社内外の技
新領域 環境ビジネス分野(脱炭素、温室効果ガス削減等)

術や知恵を融合するオープンイノベーション活動をさらに
開拓 他
加速し、10年先の成長の種となる新規事業の創出を目指
します。



ROHM Integrated Report 2021 5
At a Glance
(2021年3月期)


主な製品 セグメント別 連結売上高 営業利益 営業利益率
売上構成比
3,598億円 384億円 10.7%



PMIC
(システム電源)


L 1,681億円
S 47% 前年同期比 9.4%
I 高耐圧ファン
モータドライバ -1.4% 157億円
前年同期比

+25.2%
絶縁素子内蔵
ゲートドライバ




MOSFET





導 SiC-MOSFET 1,423億円

素 40% 前年同期比
210億円
14.8%
子 +2.4%
測距用センサ 前年同期比
向けレーザー
+102.3%

高輝度3色タイプ
小型チップ LED




モ 産業機器向け超高速
292億円
ジ サーマルプリントヘッド

ュ 8% 前年同期比 21億円 7.3%
ー 前年同期比
ル -12.2%
ワイヤレス
-38.6%
チャージャー
モジュール


ハイパワーシャント
抵抗器




201億円
の PSRシリーズ 6% 前年同期比 18億円 9.1%
他 前年同期比
+0.2%
-5.2%
GMRシリーズ


※売上高は外部顧客に対するもの。



6 ROHM Co., Ltd.
第1章 価値を創造する



用途別売上構成比 地域別売上構成比

事務機・電算機 ヨーロッパ
11% 6%
自動車 国内
通信
36% アメリカ 36%
8%
5%

民生機器 産業機器 アジア
32% 13% 53%


主な用途
自動車 産業機器 民生機器 通信
エアコン電動 基地局 エアコン スマートフォン
コンプレッサー
産業用モータ 掃除機 ウェアラブル機器
パワー
無人搬送車 洗濯機
コントロール
ユニット スマートメータ 冷蔵庫 事務機・電算機
車載充電器 太陽光パネル 電磁調理器 PC
自動運転ユニット 充電ステーション ゲーム機器 オフィス機器
LED ライト データストレージ
メーターパネル




ロームのキーテクノロジー



Power
SiCパワーデバイス(SiC-MOSFET、 SiC-SBD)

Siパワーデバイス(IGBT、Si-MOSFET、 SBD、FRD)
パワー
パワーデバイス(パワー半導体) 電気エネルギーの変換や供給に
は、
用いられる半導体素子のことを指します。高耐圧で大電流に対応する
ことを求められます。ロームは2010年に世界に先駆けて、より電力の
低損失化が可能な SiC-MOSFET の量産を開始しています。




Analog
パワーマネジメントIC
(PMIC) ドライバIC、
、 オペアンプ/コンパレータ
IC
(LSI) デジタル技術とアナログ技術で構成されています。アナ
は、
アナログ
ログ技術は連続的に変化する情報をコントロールするもので、世界中
で大量に使われるパワーマネジメントなどに広く応用されています。
ロームはアナログ技術をキーテクノロジーと位置づけ、長い時間をか
けて、技術を蓄積してきました。




ROHM Integrated Report 2021 7
イノベーションの歴史



1950 年代 1960 年代 1970 年代 1980 年代
エレクトロニクスの進化

●トランジスタラジオ ●カラー TV ●ポータブル ● VTR
カセットオーディオ ● CDプレーヤー




ロームのイノベーション

事業及び M&A
1954年12月 1966年8月 1970年8月 1983年11月
東洋電具製作所を創業。 岡山県に製造会社 「ワコー電器 米国カリフォルニア州に販売会社 大阪証券取引所市場第二部に上場
炭素皮膜固定抵抗器の開発販 株式会社 (現ローム ワコー株式
・ 「ROHM CORPORATION」を設立
1989年1月
売を開始 会社) を設立
」 (以後世界各地に開発 製造 販売
・ ・
東京証券取引所市場第一部に上場
(以 後 国内各 地に製 造 拠 点を 拠点を設置)
1958年9月
設置)
資本金2,000千円で株式会社 1970年10月
東洋電具製作所を設立 半導体工場を建設


民生機器メーカーの需要に応えたカスタム製品の生産 世界的なIC 需要の高まり

1954 1967∼  1971∼ 1984
抵抗器の実用新案成立 半導体への進出 ローム初の IC 商品化 半導体レーザー実用化
大幅な小型化を実現した 「平行 巨額の投資を必要とするIC へ カセットテープレコーダー用の CD プレーヤーのピックアップ
リード型固定抵抗器の実用新案 の進出は当時の規模からすると オーディオプリアンプがローム 用に広く採用されました。
を取得。 トランジスタラジオの大 無謀ともいえるものでした。そ 初の ICとして量産されました。
ブームと共に成長を始めました。 の中で、 1968年についにローム


(億円) 初の半 導 体 商 品となる「N4」
世界初
6,000 • 「P4」 と名づけられたダイオード
角型固定抵抗器を商品化
アレイが完成。
電子部品の小型化・高機能化
に大きく寄与しました。


5,000 •
● 高品質・高信頼な製品の供給 ● 安定供給を支える生産体制の整備


日系企業で初めて
米・ シリコンバレーに進出
4,000 •


社長賞のスタート
1966 トランジスタのダイボディング工程のコストダウンを実現した
3,000 •
企業目的制定 従業員に初の社長賞を贈呈。1979年には式典化。現在も続く
ロームでは、モノの質、人の質、 社長賞は従業員のモチベーション向上に大きく寄与し ています。
行動の質。品質はすべてにある
1954 と考えています。
創業 「品質第一」の精神は今もなお、

2,000 • 物置になっていた京都の町屋で、 ローム従業員一人ひとりに根 総合部品メーカー「ローム」へ
ロームの前身となる東洋電具製 付いています。 商標をR.rohm(アール・オーム)から
作所を創業(京都市上京区)。 ROHM(ローム) に変更。半導体の売
り上げが抵抗器の売り上げを上回った
のを機に、 商標を変更。
1,000 •




0 • 1950 1960 1970 1980



8 ROHM Co., Ltd.
第1章 価値を創造する




1990 年代 2000 年代 2010 年代 2020 年代

●デジタルカメラ ●パソコン ●液晶テレビ ●スマートフォン ●タブレットPC
● DVD ●携帯電話 ●カーナビゲーション ●ハイブリッドカー ●電気自動車




2008年10月
沖電気工業株式会社から半導体事業部門を買収
2009年11月
MEMS加速度センサ製造の米国のカイオニクス社(Kionix, Inc.)を買収
2009年7月
シリコンカーバイドウエハ製造のドイツのサイクリスタル社(SiCrystal AG)を買収



環境への配慮意識の高まりから大幅な省電力化に貢献 革新的な生産技術と生産革新による地球環境負荷の軽減

1990∼  2000∼ 2010 2020
「カスタム IC のローム」 新素材であるSiC への注力 世界初 SiC 第4世代 MOSFET の
デジタル機器市場で成長 次世代の半導体材料 SiC での SiC-MOSFET の量産を開始 商品化
AV 機器、デジカメ、携帯電話、 SBD、MOSFET の基礎研究を SiCはSiに比べて電力損失が小 第3世代 MOSFETより、 さらに
パソコンなどのデジタル機器市 開始しました。 さく、 高速動作と高温特性に優 単位面積当たりのオン抵抗を
場にカスタマイズしたICの採用 れており、 劇的な省エネと小型 40% 改善し、 業界最高水準の
が増加しました。 化、 軽量化への貢献が期待され MOSFETを開発しました。
ています。産業機器をはじめと
して、 自動車や民生機器などで
採用されています。


● デジタル社会を高い技術力で支える ● パワー・アナログで社会課題を解決する会社へ


ISO9001取得 IATF16949取得 売上高


ISO14001取得


2021∼2025
中期経営計画




新ブランドロゴを導入 初めての中期経営計画
営業利益 創業50周年を機に新ロゴを導入。 「MOVING FORWARD to 2025」を策定
四角い形は半導体を、 赤はベンチャー 開発・製造・販売が一体となり、 エレクトロニ
精神を表しています。新しいことに果敢 クス製品の 省エネ ・ 小型化 に寄与すること
に挑戦していく企業風土は、 創業時 で社会課題解決に貢献し、 持続可能な社会を
から変わらないロームの強みです。 実現する未来を目指します。








ROHM Integrated Report 2021 9
ロームの価値創造プロセス

ロームは、つねに品質を第一とし、良い商品を国の内外へ永続かつ大量に供給することで、顧客の
省エネ ・ 小型化 に寄与し、企業価値の向上と社会課題の解決を目指しています。開発から営業・
販売まで一体となり、独自の生産技術を駆使し、顧客に喜んでいただける、コスト競争力のある高品質
な新製品の開発を進めます。




社会課題 マテリアリティ インプット ビジネス
詳細 ≫ P14 詳細 ≫ P13 詳細 ≫ P12




技 術 財務資本
企業目的に掲げた「品質第一」を守り
生活の利便性向上 自己資本比率 83.0% するさまざまな技術を組み合わせて顧
につながる
社会変化に対応する 製品技術の進化 現預金+有価証券 3,194億円 していきます。
エレクトロニクス製品
の需要の高まり 製造資本
設備投資額
高品質な製品
顧客の信頼と期待に (過去5年間) 2,384億円
の安定供給
応えるモノづくり 開発
生産拠点数(グローバル) 18カ所
イノベーションを
製造技術開発 生み出す体制
(生産効率向上のための自社開発)
ナレッジ共有
環 境 持続可能な技術の 省人化・無人化製造ラインの開発 システム
強化、
革新的な
製品の開発、供給
気候変動がもたらす 知的資本
負の影響 気候変動
強み 営業 販売

への対応 長年の開発で社内に蓄積された
ノウハウ 詳細 ≫ P13 幅広いラインアッ
からのソ ュー

プ 企業
資源の枯渇の 研究開発費売上比率 8.8% ション提案
資源の
深刻化 有効活用 産学連携学校数 41校 直販営業
品質
産学連携研究(案件)数 59件 キー
テクノロジー
社 会 従業員 パワー
サ エンゲージメ ト
ン 人的資本
の強化 アナログ 製造

連結従業員数 22,370人
テ 詳細 ≫ P7 IDM(垂直統合)による
うち、連結外国人従業員数 16,402人 高品質・安定供給の実現
労働力人口減少下 ナ ダイバーシティ
推進 フレキシブルラインに
における人財の確保 ビ 女性比率 21.7%(ローム単体)
よるBCP対応力強化
リ 新卒採用 131名 生産システム
テ 従業員の健康と の自社開発
品質第一の人財育成
ィ 安全の確保

点 社 会・関 係 資 本
ガバ ナンス 課
コーポレート 長年培った半導体市場における
題 ガバナンスの強化
ロームブランド
経営基盤及び
事業活動基盤の強化
取引先 1,488社 成長戦略/中期経営計画
リスク RBAに準拠した MOVING FOWARD to 2025
マネジメント 「取引基本契約書」 の締結
詳細 ≫ P24∼
サプライチェーン
ローム ミュージックファンデーション

全般にわたる
社会的責任の遂行 持続可能な
サプライチェーン 自然 資 本 事業戦略 伸ばす
マネジメント
製品の安全性の確保・ 水資源投入量 10,963.6千㎥

製品品質の強化 エネルギー使用量
製品安全・
品質の強化  消費電力 1,558千 MWh ESG戦略 気候変動・環境
 ガス 2,623千㎥




10 ROHM Co., Ltd.
第1章 価値を創造する




Electronics for the Future
ロームは、 エレクトロニクスの技術で、 社会が抱える
様々な課題を解決し、 未来に向けて、人々の豊かな
暮らしと、社会の発展を支え続けていきます。




社会価値 経済価値


モデル アウトプット/アウトカム
詳細 ≫ P13



財務資本
ながら、パワー・アナログをはじめと 2020年度セグメント別売上高
客のニーズを先取りした製品を提供 株主還元 150円/株
過去10年間のTSR +128.7%(年率8.6%)

業績向上による株価の上昇
その他 LSI 10,810円(前期比+82.3%)
201億円 1,681億円
6% 47%
合計 製造資本
モジュール
3,598
フレキシブルラインの開発完了& 国内マザー
(億円)
292億円 工場に展開
8%
国際的な品質認証を取得
設計 生産拠点:IATF16949、ISO 9001
半導体素子 本社開発:ISO26262
顧客のニーズに 1,423億円
40% 情報セキュリティ:ISO27001
合わせた製品設計
成長戦略/
知的資本
中期経営計画
目的 「MOVING FOWARD
to 2025」 2020年度地域別売上高
高い技術開発力
顧客の詳細なニーズに合わせた
第一 トータルソリューション提案
省エネ社会の実現
調達 ヨーロッパ
国内
豊富な製品ラインナッ (抵抗からLSIまで)

228億円
社会的責任を 1,277億円
6%
果たすCSR 36% 人的資本
調達 合計
アメ カ
リ 品質第一を意識して行動している従業員の割合
3,598
179億円 (億円)
74.5%
5% 有給休暇取得者率 62%
アジア 女性従業員育児休業取得率 100%
1,913億円
男性従業員育児休業取得率 15.5%
53%

社 会・関 係 資 本
お取引先様のCSR活動の達成状況:
評価A、A-の割合(5段階) 81%
ローム ミ
・ ュージックフ ンズ 約30年間で4,636名

寄附金・協賛金(BNCT 除く) 63.2百万円
BNCT 寄附金 1,406.1百万円
※京都府立医科大学へのホウ素中性子捕捉療法(BNCT)

よる最 新がん治療 研究 施設の寄附。



事業 進化する事業 創る事業 自然 資 本
排水量 8,173千㎥
温室効果ガス排出量 675.02千 t-CO2
廃棄物排出量 13,690t
問題への取組み 人財育成・ガバナンス改革 BCM 体制の強化
廃棄物リサイクル率 97.4%




ROHM Integrated Report 2021 11
価値創造のしくみ(ビジネスモデル解説)

外部環境とロームにとっての社会課題

ロームは、
「品質を第一とする。文化の進歩向上に貢献する」と掲げる「企業目的」を礎に、パワーとアナログの
技術を進化させ、社会課題を解決していきます。社会課題解決のためには常に市場の変化やリスクへの迅速な
対応が求められます。私たちは変化をチャンスと捉え、イノベーションを起こしながら成長していきます。

技術 世界中で、電気自動車や再生可能エネルギーの活用など環境負荷の軽減に向けた技術革新が進ん
でいます。ロームでは、3,000名に近い技術者が、強みとしている「パワー」
「アナログ」技術を開発・
活用し、革新的な製品の開発を進めています。

環境 気候変動に対する対応はグローバル規模で喫緊の課題といえます。ロームでは、環境問題は事業活
動そのものを脅かす課題であると認識し、
「環境ビジョン2050」を策定しました。地球環境をより良い
状態で次世代へ引き継ぐために、製品と日々のオペレーションを通じての課題解決を図っていきます。

社会 良い商品を国の内外へ永続かつ大量に供給していくためには、優秀な人財の確保が必要です。エン
ゲージメント・ダイバーシティの推進を強化し、主体的に考え行動できる人財が活躍する職場環境
を実現します。

ガバナンス 経営基盤及び事業活動基盤の強化を目指し、経営層の多様性の確保、取締役会の適正な体制及び運
営の強化を進めています。また、サプライチェーン全般にわたる社会的責任の遂行のためサプライヤー
とのコミュニケーションを図るとともに、顧客視点を取り入れた適正品質の実現を目指しています。




インプット

ロームのビジネスは、6つの資本に支えられています。すべての資本を積極的に活用することで社会課題を解決
し、持続可能な社会形成に貢献していきたいと考えています。

財務資本 ロームは財務の健全性の維持と成長のバランスを図り、資本コストをベンチマークすることで資本
効率を高め、株主の期待に応えるTSR
(Total Shareholders Return)の実現を目指しています。

製造資本 ロームの強みは、材料段階から完成品まで垂直統合された一貫生産体制と擦り合わせ技術による製品
競争力にあります。これにより安定的な材料調達や、顧客の期待に応える製品 品質を担保しています。


知的資本 ロームでは顧客のニーズを先取りする迅速な新製品に注力することに加えて、長期的な視野での
技術革新にも努めています。10年後、20年後のロームのイノベーションに向かって、多くの企業
や大学、研究機関と連携し毎年研究テーマの見直しを行いながら研究開発を進めています。

人的資本 優秀な人財を獲得するために、ダイバーシティの推進と働き方改革を進めています。例えば、女性が
働きやすい制度の整備や、テレワークを推進する等、ワークライフバランスの最適化を進めています。

社会関係資本 ロームは2030年度に「グローバルメジャー」になることを目指しています。世界中で認知され、社会
や顧客、パートナーに「ロームに頼めば大丈夫」と思われるようにブランド力を高め、社会に必要と
される企業を目指しています。

自然資本 ロームは、さまざまな資源やエネルギーを消費しています。地球温暖化や気候変動による大規模自然
災害、食料・水不足など数多くの課題解決に向けて、モノづくりにおける環境対策と、新製品の技術
開発などによる貢献といった二つの切り口から環境保全に取り組んでいます。 小型化 や 省エネ
を目指した革新的な製品を開発し、カーボンニュートラルに貢献、社会課題解決を図ることを目指
しています。



12 ROHM Co., Ltd.
第1章 価値を創造する




ビジネスモデル

ビジネスモデルを支える企業目的
世界に広がるロームグループに 品質第一 の企業目的が掲げられ、ロームの企業経営は、すべてこの企業目的に律されて
います。品質の基本要素である4つの M、Mankind
(人) Machine
、 (機械) Material 材料) Method
、 ( 、 (方法) その

いずれもが最高の水準を保持できるよう、グループが一丸となり、
「ONE ROHM」として経営ビジョンの実現を目指すべ
く取組んでいます。
 4つの M の中で中心となる「人財」を育成するため、
「品質スキル教育」だけでなく「品質マインド醸成」にも重きを置いた
品質教育体制を構築、 品質第一 を実践できる人財育成に努めています。また、2019年度以降はさらに飛躍した「行動に
つなげる」に注力した教育活動、環境整備を推進しています。

ビジネスモデル
品質は、顧客の満足度を表すものとしても重要なテーマです。
「擦り合わせ技術」
「IDM(垂直統合)
」「幅広い商品群」
「顧客
志向」といった、ロームが強みとする要素を結集し、顧客にとっての価値最大化、有事の対応力や徹底した品質管理、安定
供給、コスト競争力を実現します。また、受動部品からパワーデバイス、LSI に至る幅広い製品ラインアップを組み合わせて
ソリューション提案を行い、顧客視点での 品質第一 を実現しています。
 製造部門だけでなく、開発、営業、管理系部門も含めてすべての従業員が 品質第一 という企業目的を念頭に置き、日々
努力をしています。


ロームの強み
創業以来掲げてきた【企業目的】は不変とし、培ってきた強みを活かしこれからも成長する

有事の対応力
要素技術を結集し
擦り合わせ IDM 徹底した品質管理
価値を最大化できる
技術 (垂直統合) 安定供給
開発力
コスト競争力
品質第一
文化の進歩向上
受動部品から
幅広い 顧客視点での
パワーデバイス、 顧客志向
商品群 ソリューション提案
LSIに至る総合力




アウトカム

10年後、2030年度を一つの目標としてロームのあるべき姿を描く中で策定したのが、中期経営計画「MOVING
FORWARD to 2025」です。2025年度にロームが目指す姿は 車載 ・ 海外 での成長実現とさらなる成長に

向けた基盤づく と定め、
り」 その先の2030年度にはグローバルメジャーを目指しています。売上の成長を通じて、より
多くの社会貢献につなげていくことに加えて、環境やダイバーシティへの取組みなど、より大きな社会的役割や責任
を果たしていきたいと考えています。
 ロームでは早い段階から、企業価値を創造するCSV
(共通価値の創造)
を軸として、エネルギー問題などの解決
に向けて、開発、生産、販売を行ってきました。企業規模や経営環境は変化していますが、CSVをロームの企業目的
と重なるDNAとして受け継いでいます。従業員一人ひとりが「企業目的」
「経営基本方針」を実践し、SDGsを尊重
することが CSVを生み出す源泉と捉え、革新的な製品開発や高品質なモノづくりを目指しています。
 諸資本のインプットと独自のビジネスモデルを通じて提供される製品やサービスがロームのアウトプットとアウト
カムを創出します。 う
こ した成果を高めることで、
インプットを増加することが可能になり、
さらなる価値創造に結びつき
ます。 う
こ した正の循環がステークホルダーの皆様の満足度向上につながり、未来への経済価値と社会価値へと結
びつくと考えます。このロームの価値創造プロセスを通じて、企業と社会がともに成長できることを目指しています。


ROHM Integrated Report 2021 13
外部環境・リスクと機会の認識

外部環境認識
ロームにとって長期的に重要な社会の変化と課題を整理し、 てマテリアリティを特定しました。開発・製造・販売が一体
ステークホルダーの皆様の関心や、事業への影響を考慮し となって事業を通して社会課題を解決します。



社会課題(ステークホルダーからの要請) リスク・機会の内容

リスク ・自動車の高機能化などテクノロジーの進化への対応の遅れ
社会変化に対応する ・新興国を含む競合の台頭によるマーケットシェアの低下
技 エレクトロニクス製品の
需要の高まり 機会 ・電子機器の高機能化に伴う電子部品搭載点数の増加
術 ・高付加価値製品の開発による売上の増加


顧客の信頼と期待に リスク ・製品の品質低下や欠陥などによる顧客からの信頼の低下
応えるモノづくり ・製品の欠陥に起因する損害賠償請求


リスク ・電力消費量の拡大による電力不足
・省エネ製品の開発停滞による売上の低下
・GHG 排出量削減の義務化や GHG 排出量に応じた炭素税の本格導入
環 気候変動がもたらす負の影響
・地球温暖化による気温上昇に伴うエネルギーコストの増加
・希少金属などの資源不足に伴う材料価格の高騰

・水不足による生産活動の制限
資源の枯渇の深刻化
機会 ・電気自動車市場の新車販売台数拡大による電子部品需要の高まり
・再生可能エネルギーの導入に伴う太陽光パネル向けなど産業機器市場向け
売上の拡大
・最小の資源やエネルギーで最大の効果を生み出す循環型社会の実現


リスク ・人財確保の競争激化、定着率の低迷
ササ 社 ・高齢人口の増加や少子化による人手不足
会 労働力人口減少下
ス における人財の確保
・ハードウェア人財の採用難
・女性の社会進出の遅れ

・従業員の健康・安全の確保に対する意識の欠如

ビビ

テ リスク ・脆弱なガバナンス体制による不祥事の発生
・マネジメントの多様性の欠如や外部からの低評価による業績・財務への悪影響

・大規模災害の増加 (地震、洪水、台風、火災など)
重 ・IT 資産の不正利用
点 ・サイバー攻撃などによるサプライチェーンへの影響
経営基盤及び
課 事業活動基盤の強化
・セキュリティ違反による情報漏洩
題題 ガ
・法令違反及び企業倫理違反
・他社の保有する特許権等の知的財産権侵害などの法的訴訟
バ ・国際情勢の変化による、 海外企業との取引停止や希少金属などの材料供給停止
ナ ・生産拠点の稼働停止や稼働率の低下による顧客への安定供給の停止
ン 機会 ・ガバナンス強化による経営の進化
スス (迅速な意思決定とリスクの低減、 変化への適切な対応等)



リスク ・サプライチェーン上の人権侵害
・使用禁止物質の調達によるコンプライアンス違反
サプライチェーン全般にわたる
・サプライチェーンの分断による重要材料の不足
社会的責任の遂行
・国際情勢の変化による、海外企業との取引停止や希少金属などの材料供給停止
・生産拠点の稼働停止や稼働率の低下による顧客への安定供給の停止

製品の安全性の確保・ リスク ・製品の品質低下や欠陥などによる顧客からの信頼の低下
製品品質の強化 ・製品の欠陥に起因する損害賠償請求



14 ROHM Co., Ltd.
第1章 価値を創造する




リスク・機会への対応 マテリアリティ

・省エネ、小型デバイスなどの先端技術開発
・顧客ニーズを先回りで理解し商品企画へとつなげる、マーケティング機能の構築
・海外売上を飛躍的に拡大させるための営業改革 生活の利便性向上につながる
詳細 ≫ P24∼ 製品技術の進化
・顧客との技術共同開発やコラボレーション
・産学連携による新技術開発 詳細 ≫ P34


・IDM(垂直統合)による品質保証
・顧客のニーズに応える製品品質の確保 高品質な製品の安定供給
・品質第一の企業目的の実践による従業員の徹底した品質意識 詳細 ≫ P13



持続可能な技術の強化、
・省エネ製品の開発、 市場への供給による貢献
革新的な製品の開発、供給
・小型化製品の開発供給による貢献
・GHG 排出量削減
・エネルギー消費量削減
気候変動への対応
・再生可能エネルギーの導入促進
・省エネ化、 小型化に寄与する製品開発・生産による資源使用量の削減
・廃棄物量の削減
・水リサイクルシステムの導入などによる水使用量の削減 資源の有効活用
詳細 ≫ P36∼


・チャレンジを生み出す風土の醸成
従業員エンゲージメントの強化
・次世代リーダー育成
・働きがいの向上
・グローバルレベルでの能力開発と人財配置 ダイバーシティ推進
・シニア人財、女性活躍の推進
・働き方改革、健康経営、労働安全衛生体制の強化の推進
従業員の健康と安全の確保
・職場における感染症対策やテレワークの導入 詳細 ≫ P38∼


・監査等委員会設置会社への移行
・経営者の多様性の確保
・情報開示の透明性の確保(スキル・マトリックスの導入の開始) コーポレートガバナンスの強化
・中長期的企業価値向上に向けた報酬制度の見直し
・経営の実効性の担保 詳細 ≫ P42∼


・付帯設備の洪水対策
・生産工場の免震設計
・複数生産体制によるリスク分散
・フレキシブルライン、省人化ライン導入
・ウイルス対策や情報システムの脆弱性対策の実施 リスクマネジメント
・変化の激しい時代に対応できるグループ全体の IT 環境を構築
・セキュリティリテラシー向上のための研修
・法令違反リスクの防止に向けたコンプライアンス委員会の設置
・コンプライアンス違反 / 侵害リスクの低減に向けた研修 詳細 ≫ P50∼


・調達先、 顧客の分散
・「OECD デュー・ディリジェンス・ガイダンス」に沿った管理体制の構築
・生産の複数拠点化 /OSAT の活用 持続可能なサプライチェーンマネジメント
・フレキシブルライン導入
・地政学的リスク (生産・調達・販売)の回避 詳細 ≫ P40∼


・顧客のニーズに応える製品品質の確保
製品安全・品質の強化
・顧客に選ばれる商品・サービスの創出 詳細 ≫ P13




ROHM Integrated Report 2021 15
ロームのマテリアリティ
ロームでは、抽出したマテリアリティに対し、以下の取組みを実施し、目標とするKPIを定めています。
2025年度の目標実現に向けて、全社一体となって取組みを進めます。

マテリアリティ 取組み


・グローバルに戦える商品を作る開発体制の強化:
PME の配置(尖った製品の開発、生産)
生活の利便性向上につながる ・顧客視点でのソリューション提案
製品技術の進化 ・要素技術を結集し価値を最大化できる開発力 (ナレッジ共有システム)
技 ・受動部品からパワーデバイス、 LSI に至る総合力



・IDM(垂直統合)
高品質な製品の安定供給 ・組み立て工程の生産性向上 &自動化を加速(フレキシブルラインの開発)
・徹底した品質管理




・省エネ製品の開発、市場への供給による貢献
持続可能な技術の強化、革新的な製品の開発、供給 ・小型化製品の開発供給による貢献
・機能安全を追求した製品の開発供給による貢献




環 ・温室効果ガス削減
気候変動への対応 ・再生可能エネルギーの導入促進
境 ・緑化の促進




・資源の削減
資源の有効活用 ・廃棄物量の削減
・化学物質管理の徹底

ス ・エンゲージメントサーベイの実施
テ 従業員エンゲージメントの強化 ・組織風土改革、働き方改革推進

ビ 社
リ 会 ダイバーシティ推進
・女性のキャリア形成促進
テ ・女性、外国人のマネジメント層への登用



点 従業員の健康と安全の確保
・安全な職場の確保
・健康経営の推進

題題 ・ガバナンス改革
 - 取締役会の多様性の確保
コーポレートガバナンスの強化  - 中長期的企業価値向上に向けた報酬制度の見直し
 - 経営の実効性の担保


ガガ
バ リスクマネジメント ・BCM 管理体制の強化
バナ
ナン
ンス ・コミュニケーション
ス ・グリーン調達の推進
持続可能なサプライチェーンマネジメント ・CSR 調達活動の推進
- CSR 調達:BCM 体制 /ESG 取組みの整った購買先から調達
- BCP 対応:サプライチェーンの把握により有事の迅速な影響調査を実現

・フロントローディングによる品質保証の体制構築と定着
製品安全・品質の強化 ・顧客視点を取り入れた適正品質の実現




16 ROHM Co., Ltd.
第1章 価値を創造する




2020年度の実績(これまでの取組み) KPI SDGs
・売上実績:3,598億円 ・売上高4,700億円以上 (2025年度目標)
・営業利益率実績:10.7% ・営業利益率17%以上 (2025年度目標)
・過去5年間の設備投資金額:2,384億円 ・成長投資を5年間で4,000億円 (2025年度目標)
・半導体素子売上実績:1,423億円 ・2020年度比で半導体素子の売上1.5倍 (2025年度目標)
・LSI 売上実績:1,681億円 ・2020年度比で LSI の売上1.25倍(2025年度目標)
・海外系顧客売上比率:38% ・海外系顧客売上比率:45% 以上 (2025年度目標)
・SiCマーケットシェア:18% (2019年 Yole 資料よりローム推定) ・SiCマーケットシェア:30% (2030年度以降目標)
・顧客の品質満足度スコア3.59/5ポイント (2020年度) ・顧客の品質満足度スコア+10% 改善 (2020年度比、2025年度目標)

・成長投資を5年間で4,000億円 (2025年度目標)
・高効率生産ラインを5年間で2倍 (2025年度目標)
・過去5年間の設備投資金額:238,439
(百万円)
・従来ライン比で人生産性2倍に向上
・フレキシブルラインの開発完了& 国内マザー工場に展開
・フレキシブルラインを国内マザー工場への増設展開 & 海外工場への大量生
・2020年12月にSiC 新棟竣工
産展開
・12インチウエハ材料の内製化及び12インチ、 130mmアナログプロセス
・SiC 生産能力5倍以上 (2019年度比、 2025年度目標)
開発完了済み
・主力BiCDMOSの大口径 (12インチ)増強、 12インチウエハ能力倍増(2019
年度比、 2025年度目標)


・売上実績:3,598億円 売上を社会貢献の総量として、売上高4,700億円以上を達成する


・温室効果ガス削減 温室効果ガス削減
 - 照明の LED 化   排出量:50.5% 削減
・ (2018年度比、 2030年度目標)
 - 省エネポンプ導入、 インバータ化   排出量原単位:45% 削減
・ (2018年度比、 2030年度目標)
・再生可能エネルギーの導入促進 再生可能エネルギーの導入促進
 - ローム アポロ筑後工場における使用電力量の全量に再エネを導入
・   2050年度に導入比率100%を目指し、
・ 再生可能エネルギー化を促進
 - SiCrystal における使用電力量の全量の再エネ導入を決定 緑化の促進
・緑化の促進   各拠点において工場緑化を促進

 - ABINC、 SEGES の認定取得   地域ごとに生息している生物の保全状況を改善


資源の削減
・資源の削減
  水の回収 再利用率5.5%向上
・ ・ (2019年度比、2030年度目標)
- ローム アポロ広川工場においてRO 水の排水回収設備導入を決定

廃棄物量の削減
・廃棄物の削減
  2030年度に廃棄物のゼロエミッション化

- 廃棄物リサイクル率:97.4%
化学物質に関する世界各国の政策・規制への対応・管理の徹底、 使用量削減

・エンゲージメントサーベイ調査:準備中 エンゲージメントスコアで下記を達成
・全従業員へのテレワークの拡大・推進   毎年のスコア改善

・ワークフローシステムの導入(ペーパーレス・ハンコレス)   業界平均以上

・社長と幹部社員との座談会   グループ全体で導入完了


・限定基幹職から基幹職へのコース転換制度の導入
・育児休業制度女性従業員取得率:100%
・2025年度にロームグループ全体の女性管理職比率を15% にし、
・育児休業制度男性従業員取得率:15.5%
2030年度には20%を目指す
・ロームグループ全体の女性管理職比率:9.9%
・2025年度に女性または外国人エグゼクティブ(役員)比率を10% にする
・女性取締役員数:1人
・連結外国人従業員数:73%(16,402人 /22,370人)

・ロームグループでの休業災害発生件数「0」を達成・維持する
・労働災害発生件数:8件 (ロームグループ全体)
・グループレベルでの未知なる感染症への防疫体制を確立・維持する
・労働災害度数率:0%
・ローム単体の運動習慣比率を全国平均値以上に向上・維持する
・ISO45001、OHSAS18001認証取得率:92%
・運動習慣定着に向けた取組みをグループレベルで行う

・取締役会及び経営執行会議の役割・運営等の明確化
・2025年度女性または外国人エグゼクティブ(役員)比率を10%にする
・譲渡制限付株式報酬制度の導入
・独立社外取締役の比率のさらなる引き上げ
・役員報酬制度の抜本的な見直し及び取締役の個人別の報酬等の
・中期経営計画に連動した報酬制度導入
決定方針の策定

・組織環境の分析、 重要リスクの特定・分析・評価・対策、
PDCAサイクルを回す
・「リスク管理・BCM 委員会」の定期開催 ( 四半期に1回 )
・自然災害 (地震・風水害・噴火) 新興感染症、
、 地政学的リスク
・国内主要建屋へ地震時の 「建物安全度判定支援システム」 を導入
(米中摩擦など) への継続的な対応
・自然災害 TOPリスクを踏まえたBCP 在庫設計見直し
・生産復旧計画の策定、 BCP 在庫設計・運用、生産地の多拠点化、
・新型コロナウイルス感染・拡大防止策等の実施 リスク低減活動を実施
・パンデミック・自然災害等における安全・安心のガイドラインを策定

・1次サプライヤーの生産拠点調査:本社で100% ・1次サプライヤーの生産拠点調査実施 グループ全体で100%
・重要サプライヤーの有事対応事前合意調査開始 (2025年度目標)
※1 重要材料を扱うサプライヤーを「重要サプライヤー」と定義し、彼らとの ・重要サプライヤーの有事対応事前合意率100% (2025年度目標)
サプライチェーンリスクを低減させる取組みの実施 ・CSR 調達評価 B+* 以上からの購入比率90% 以上(グループ全体)
・CSR 調達評価 B+* 以上からの購入比率:89.4%(本社のみ) ※2 A ∼ D のランク付けで A が最高ランク


・顧客の品質満足度スコア:3.59/5ポイント
(2020年度) ・顧客の品質満足度スコア+10% 改善(2020年度比、2025年度目標)




ROHM Integrated Report 2021 17
財務・非財務ハイライト

財務ハイライト(連結)

業績 自己資本・総資産
(億円) (%) (億円) (%)
4,000 20 10,000 100
3,971.06 3,989.89 9,262.40
8,345.03 8,700.34 8,744.27 8,488.73
3,520.10 3,628.85 3,598.88
8,000 7,514.25 7,662.66 7,689.72 94
3,000 14.4 14.0 15 7,249.86 7,149.90

10.7 6,000 88
2,000 9.0 8.1 10 86.9 86.4 87.6
4,000 84.2 82
559.09 83.0
570.04
318.27 542.13 646.89 294.89 384.88
1,000 357.74 5
355.79 372.49 454.41 406.72 2,000 76
264.32 256.32 370.02

2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期

■■ 売上高 ■■ 営業利益 ■■ 経常利益  ■■ 自己資本 ■■ 総資産  ● ● 自己資本比率
■■ 親会社株主に帰属する当期純利益  ● ● 営業利益率
有価証券や投資有価証券、 たな卸資産等が増加したことにより、
前半は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて業績は大き く 総資産は前期末に比べて773億6千7百万円増加し、 自己資本は
落ち込みましたが、後半は自動車関連市場をはじめと て市場は回復
し 539億8千2百万円増加して7,689億7千2百万円となりました。
傾向に向かいました。また、
テレワークの普及やライフスタイルの変化 自己資本比率は前期末の84.2%から83.0%に低下しました。
に対応し PC市場や、
て、 一部の民生機器市場が好調に推移しました。


ROE 研究開発費・売上高比率
(%) (億円) (%)
10 400 388.52 395.78 20
372.77
333.84
8 315.37

6.0

5.0 5.0 10.6 9.8 9.9
200 9.2 10

3.7 3.5 8.8






2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期

営業利益の増加及び法人税額の減少により、 親会社株主に帰属 ■■ 研究開発費(左軸) ●
  ● 売上高比率
する当期純利益が改善し、ROEも改善しました。 ロームでは継続して積極的に研究開発費を投入しています。組織
の見直しも含めた研究開発効率の改善に継続して取組んでい
ます。




1株当たり当期純利益・1株当たり純資産 1株当たり配当金・連結配当性向
(円) (円) (%)
8,000 7,835.49 250 240 75
7,104.04 7,332.04 7,185.83 110
6,854.01 68.2 60.6

6,000 52.0




4,000 80 65 75 39.9
100 34.8 30

2,000 75 75 75



249.88 352.14 431.29 247.66 376.24

2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期

■■ 1株当たり当期純利益 ■■ 1株当たり純資産 ■■ 1株当たり中間配当金 ■■ 1株当たり期末配当金 
■ 1株当たり記念配当金  ● ● 連結配当性向(右軸)
変動の激しい半導体業界において、強固な財政基盤を維持するこ
とが重要と考えています。また、業績の回復により1株当たり当期 ロームでは安定配当を基本方針としており、連結配当性向30%
純利益の改善にも努めています。 以上を目安として、業績の改善により徐々に配当金の増加に努め
ています。




18 ROHM Co., Ltd.
第1章 価値を創造する


非財務ハイライト(連結)

CO2排出量(スコープ1、 3)
2、 廃棄物等総排出量、廃棄物リサイクル率
(千t-CO2)
1,600
(t)
20,000 94.6 94.4 95.9 96.5 97.4 (%)

1,476.9
38.4 1,340.1
1,299.7 1,260.7
36.0 579.4 32.5 16,000 15,382.4 80
1,200 1,168.7 36.9 14,114.3 13,987.0
35.1 547.7 13,690.1
559.5 548.7 12,651.4
530.1 12,000 60
800 859.1
704.2 759.9 8,000 40
675.0
603.5

4,000 20



2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期

■ スコープ1 ■ スコープ2 ■ スコープ3 ■■ 廃棄物等総排出量  ● ● 廃棄物リサイクル率(右軸)

ロームではCO2排出量の削減に努めており、スコープ1、2は順調 廃棄物の削減と再資源化に努めるため、 資源活用専門部会が中
に削減を続けています。スコープ3に当たるバリューチェーンの 心となり、廃棄物の削減等に努めています。廃棄物のリサイクル
CO2排出量削減にも引き続き取組んでいきます。 率は年々向上しており、2021年3月期には97.4%となりました。




水資源投入量、総排水量 従業員数(単体)
(千㎥) (人) (人)
12,000 4,000 4
11,164.5 11,138.5 10,963.6
10,340.7 10,268.9 3,448
3,135 3,143 3,166 3,176 748

9,000 8,340.5 8,172.9 3,000 738 718 3 3
2,461 3
7,335.8 2,700
6,253.6 2,397 2,425 2,497
6,000 5,913.3 2,000 2 2



3,000 1,000 1 1



2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期

■■ 水資源投入量 ■■ 総排水量 ■■ 男性 ■■ 女性  ● ● 女性管理職者数(右軸)

半導体ウエハ製造は水を大量に消費します。半導体製造用に投 ロームは、人を最も大切な財産・資源としています。女性の活躍
入する原水は超純水に加工し利用する高コスト資源であるため、 推進に力を入れており、優秀な人財の確保につなげています。
節水のためリサイクル・再利用に努めています。




労働災害度数率 1人当たり年間総実務労働時間(単体)
(h)
1.95 2,500
2.0 1.83 1.80
1.63 1.66 2,057.4 2,110.0
1,951.7
2,000 1,822.2
1.5 1,793.8

1,500
1.0
1,000
0.58 0.54 0.52
0.51 0.45
0.5

0.05 0.04 0.12
0.00 0.00

2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期

● ローム  ● 電気機械器具製造業  ● 全産業 ロームでは、付加価値(アウトプット)の向上に重点を置きながら
2021年3月期の労働災害度数率は0%を達成することができま 労働時間の削減を目指す 「働き方改革」 を推し進めています。
した。今後も安全で快適な職場環境づくりに取組んでいきます。




ROHM Integrated Report 2021 19
社長メッセージ




ロームにとって売上は社会
大きな売上成長を通じて、
省エネ ・ 小型化 を実現
代表取締役社長
社長執行役員 CEO

松本 功




20 ROHM Co., Ltd.
第2章 未来を創る




への貢献総量です。
エレクトロニクスの分野で
し、社会課題解決を図ります。

われわれは、つねに品質を第一とする。
企業 いかなる困難があろうとも、良い商品を国の内外へ永続かつ大量に供給し、
目的 文化の進歩向上に貢献することを目的とする。



Electronics for the Future
ステート ロームは、エレクトロニクスの技術で、
メント 社会が抱える様々な課題を解決し、 未来に向けて、
人々の豊かな暮らしと、社会の発展を支え続けていきます。




経営 パワーとアナログにフォーカスし、
ビジョン お客様の 省エネ ・ 小型化 に寄与することで、社会課題を解決する




経営ビジョンの実現と、社会の持続可能な成長に貢献する
ロームは、創業当初より「企業目的」に基づき、高品質な につなげていくという決意を込めています。今回、経営
商品を通じて文化の進歩向上に貢献してきました。また、 ビジョンを策定する際、企業目的にある「文化の進歩向上
経営基本方針の中で「適正な利潤を確保する」ことを定め に貢献する」 「事業で社会課題を解決する」
を と読み替え
ており、企業目的の実現が利益につながるしくみを構築し ています。世界中の人々が文化的な生活を送るためには、
てきました。この不変の企業目的を再認識するとともに、 そのための環境づくりが不可欠と考えました。そして、経営
新たな社会基盤におけるロームの使命を明確にするため ビジョンの実現により安定した利益を生み出し、新しい価値
に、2020年に新しい経営ビジョンを策定しました。この経 の創造につなげていきたいと考えています。
営ビジョンには、ロームにとって売上は社会への貢献総量  また、今年5月には経営ビジョンを達成するために、中期
であり、大きな売上成長を通じて、より多くの社会貢献 経営計画「MOVING FORWARD to 2025」の策定と、サス


ROHM Integrated Report 2021 21
テナビリティ重点課題の再特定及び目標の設定を行いま ベクトルを向き、全従業員の共感のもとに全体最適で物事
した。この中期経営計画は、10年後、2030年度に向けて を進める風土をつくっていかなくてはなりません。全社が
の飛躍的な成長を見据え、強固な経営基盤を構築するた 一丸となり、財務・非財務の両面で、KPI の達成に向けて
めの5か年計画として策定したものです。ロームはこれまで、 取組むことにより、ロームが掲げる経営ビジョンの実現と、
事業部毎の個別最適で進める傾向がありましたが、将来に 社会の持続可能な成長に貢献していきます。
わたって成長し続ける会社となるためには、全従業員が同じ




社会の変化へ対応し、社会に必要とされる会社になる
現在、地球温暖化による気候変動や、それに伴う大規模自然 いますし、海外では自動車の電動化への動きが早いため、こ
災害、 ・
食料 水不足など数多くの社会課題があります。これ れに対応した車載関連の製品の需要が伸びています。ローム
らの課題を解決するイノベーションが強く求められている中、 はエレクトロニクスの分野の中でカーボンニュートラルに貢
2020年に社会全体に大きな打撃を与えたのが新型コロナ 献するさまざまな製品群を開発しており、 省エネ を実現
ウイルス感染症です。この脅威は、産業界全体に多大なダ する我々の商品を使っていただく とで、
こ 社会課題解決に貢献
メージを与えただけでなく、人々の生活様式も変えてしまう できると考えています。
など、私たちの暮らしに大きな影響を及ぼしました。ローム  マーケットが大きく変化する中で、市場全体の動きを
でも、海外拠点において稼動が一時制限されるなど、生産活 把握するとともに、柔軟な生産体制や開発体制、各拠点の
動への影響がありました。エレクトロニクス業界のサプライ 配置の最適化等を進め、自然災害リスクに加えて地政学
チェーン全体にも大きな影響を与え、一時的に経済活動は リスクも含めた変化に対応できる会社でなければなりま
停滞しましたが、2020年秋以降は車載市場の回復もあり需 せん。そのためには、経営陣や専門組織が判断すれば良い
要が戻り、現在では半導体や電子部品など幅広い分野で需 わけではなく、従業員一人ひとりが経営方針を理解し、共感
給が逼迫する状態になっています。 う
こ した大きな環境変化 していることが重要です。社長就任以降、世界中に広がる
の中でも、短期的な市場の動きに一喜一憂せず、長期的な視 ローム従業員が、我々の進むべき方向を理解できるよう
点で施策を進めていくことが必要だと強く認識しています。 経営ビジョンを策定し、情報発信を充実してきました。私
 そして、社会課題の中で、気候変動問題が最も重要だと 自身は、さらに踏み込んで従業員との直接対話を重視して
ロームでは考えています。特にロームの注力分野でもある おり、座談会など、膝を合わせた議論を継続して進めてい
車載市場では変化が早く、電動化の加速によってプレイヤー ます。対話を繰り返し、従業員が共感してくれることで、全社
が変わるかもしれないほどの大きな変革が起きています。 が一丸となり、変化に対応できる組織が構築できると考え
カーボンニュートラルへの取組みは非常に大きな課題となって ています。




ロームの重要課題(マテリアリティ)への取組み
今回、2030年に向けた中期経営計画を策定する過程で、 安定供給を重要課題
(マテリアリティ)
に定めました。それら
ロームのあるべき姿を徹底的に議論し、その議論の結果、 に加え、ロームにとって優先度の高いサステナビリティ重点
「社会課題を解決する」という経営ビジョンが生まれました。 課題を包括したものを、経営の重要課題(マテリアリティ)
売上を社会への貢献の総量として、さまざまな側面から求め として特定しました。これは、事業活動を行うことと、社会
られる社会課題の解決に取組み、またそのことによって成長 に貢献すること、この2つを両立させるために必要な基盤
し、利益を生み出していきます。企業目的にある「良い商品 が、ESGであると考えているためです。地球存続・事業継
を国の内外へ永続かつ大量に供給し、文化の進歩向上に貢 続の大きな脅威となる気候変動課題や、企業の成長の原
献する」 CSVの考えに通じています。そのため、
は、 生活の 動力となる人財育成とガバナンス改革、また社会的責任を
利便性向上につながる製品技術の進化や高品質な製品の 果たすためのサプライチェーンの構築、またそれらを継続


22 ROHM Co., Ltd.
第2章 未来を創る




して行うためのリスクマネジメントなどについてもKPIを示  また、社会課題を解決する会社になるためには、ローム
し、目標を明確にしました。 で働くすべての従業員が、活き活きと働くことができる会社
 非財務目標の中で最も優先度が高いのは、先ほどご説 でなくてはなりません。そのためには、さまざまなライフ
明したカーボンニュートラルや気候変動への対応です。こ スタイル・ライフステージに身を置く従業員一人ひとりが、
れに加えて、ダイバーシティの面では、女性の管理職比率 働きやすく、成果を上げることができる環境を整えること
の引き上げなど、多様な人財の登用を目指して、目標を設 が重要です。
定しました。また、コーポレートガバナンス体制の強化も  ロームは、あらゆる職場で失敗を恐れず果敢に挑戦し続
重点テーマと捉え、監督と執行の分離や、社外取締役の機 ける企業風土の醸成と、新常態に対応した多様な働き方
能の強化、女性や外国人の役員などの多様性に向けた取 を積極的に推進していきます。従業員一人ひとりが認めら
組みを進めています。今後、課題毎の目標達成に向けた れているという実感を持ち、活き活きと働きながら成果を
取組みを進め、実績や残された課題、目標達成に向けた進 実感できる職場環境をつくるために、透明性のある人事制度
捗を年次で報告していきます。 や人財育成のしくみづくりを目指しています。




成長を支える財務戦略
現在、ロームの財政基盤は非常に安定しています。変動の  経営ビジョンの実現には、従業員一人ひと 「企業目的」
りが
激しい半導体業界において、強固な財務基盤に基づく柔軟 を実践すること、そして国内外のグループ会社が一丸となっ
な設備投資やM&Aを実行できることは、ロームの成長に て、経営課題に取組んでいくことが重要です。企業活動を
とって強みであると考えています。中期経営計画期間では、 通じて社会に貢献し、ステークホルダーの皆様のご期待に
この強みを活かしてポートフォリオのさらなる拡大や生産 応えられる企業を目指してまいります。引き続きご支援の
能力の強化を進め、成長をより一層加速するためにM&A ほど、どうぞよろしくお願いいたします。
も積極的に行い、成長投資に4,000億円を投じる予定です。
2021年9月
また、財務効率の改善と株主還元の強化にも継続して取 代表取締役社長
組み、株主価値の向上を図ります。 社長執行役員 CEO




ROHM Integrated Report 2021 23
中期経営計画 MOVING FORWARD to 2025

中期経営計画の概要




生産効率改善と人財育成に重点投資し
高い成長を実現する

取締役 専務執行役員 COO 

東 克己




2030年、グローバルメジャーを目指して の強化、海外販社のFAE(Field Application Engineer)の

10年後、2030年にロームが目指す姿を描く中で策定したの 教育等によって、グローバルに戦える商品を生み出す開発

が、中期経営計画「MOVING FORWARD to 2025」です。 体制、海外売上を高める営業・拡販体制を強化しています。

2025年度までの経営テーマを 車載 ・ 海外 での成長実現
「 一方のモノづくり改革は、製造工程の歩留まり改善や生産

とその後のさらなる成長に向けた基盤づく と定め、
り」 2030 性向上にとどまらず、省人化・自動化を推進していきます。

年にグローバルメジャーになることを目指しています。グロー その第一歩が、フレキシブルラインの完成です。これは今まで

バルメジャーとは、売上を大きく成長させることだけではなく、 にないコンセプトでの生産ラインですが、目指す姿は、ゼロ

世界中で認知され、社会や顧客から「ロームなら大丈夫」と ディフェクト・完全自動化の夢工場です。各工場が持って

安心感を持ってもらえ、社会に必要とされる会社として認め いる製造技術やノウハウを集約し進化させていくため、モノ

られることだと考えています。 づくり革新のための開発拠点を本社敷地内に設置し、ローム

 そのためには、良い商品を永続的に供給し続けるだけにと グループすべての「知」を結集し、ONE ROHMで技術の伝承

どまらず、社会課題である「カーボンニュートラル」の実現に と革新を目指していきます。

向けての取組む姿勢も大切になってきています。ロームの主  こうした成長の原動力となるのは、人財であると考えてい

力商品である半導体の性能を上げ、省エネ・小型化に貢献す ます。イノベーションを創出する組織体制と人財育成への継

るのはもちろんのこと、生産工程などの事業活動全般におけ 続投資を最も重要な経営課題と捉え、次世代リーダーの育成

る環境負荷軽減に取組むことも、持続可能な社会の実現に向 プログラム、個々人の特性に合わせた教育プログラムの策定

けて不可欠になってきています。 を進めています。また、優秀な人財を外部から招聘すること

 ロームの強みである「擦り合わせ技術」
「IDM」
「顧客志 にも積極的に取組み、そのための人事制度改革を進めてい

向」
「幅広い商品群」をより強固なものとするため、商品群 ます。

毎に「伸ばす」
「進化させる」
「創る」を明確にし、さらなる  中期経営計画では、これらの「やるべきこと(課題)」を10

成長を目指します。 年後のあるべき姿からバックキャスティングの考え方で作成し

 一方で、この成長戦略を支える基盤はまだ盤石なものとは ました。そのためには全従業員と目指すべき姿(あるべき姿)

なっていません。 こ PME(Product Marketing Engineer)
そ で、 がしっかりと共有できないと実現できません。短期的な視点

の海外への派遣、SSE(System Solution Engineering)本部 に捉われず、全社一丸となって取組んでいきます。


24 ROHM Co., Ltd.
第2章 未来を創る




経営方針の全体像
経営ビジョン パワーとアナログにフォーカスし、お客様の 省エネ ・ 小型化 に寄与することで、社会課題を解決する


2025年度で目指す姿 車載 海外 での成長実現とさらなる成長に向けた基盤作り

ロームの強み 擦り合わせ技術 IDM 顧客志向 幅広い商品群



伸ばす 進化する 創る
成長の核となる事業で 高付加価値化や海外シフト等 2025年度以降の
売上を大きく伸ばす 質的変換を図る 成長の種を新たに仕込む
成長戦略
パワーデバイス 汎用デバイス GaN・パワーモジュール

車載 LSI 民生 LSI 自動運転支援モジュール



グローバルに戦える商品 海外売上を高める
成長戦略を支える基盤 を作る開発体制の強化 営業・拡販体制
モノづくり改革


ESGへの取組み ESG 重要課題への貢献

資本政策 効率的な資本活用




中期経営計画の位置付けと目標
成長軌道へ戻す5年。グローバルトップシェア商品を確立し、海外売上比率を45%に
車載 海外 での成長実現とさらなる成長に向けた基盤作り グローバルメジャーへ
2030年度

● 成長軌道へ戻す5年   ● 電動車市場でグローバルトップシェア商品の確立 (SiC、絶縁ゲートドライバ)
● 海外売上比率45% 以上  ● 収益体質の強化(高付加価値商品による単価アップと生産効率のさらなる向上)  
● グローバルで戦える営業・開発体制の確立

売上高
売上高 4,700 億円以上 成長加速
3,598億円
2年以内に
過去最高
営業利益率: 17% 以上
営業利益率:10.7% 売上更新
ROE: 8% 以上
ROE: 5.0%


'21/3期(実績) '26/3期(計画) '31/3期(イメージ)




2025年度の経営目標
財務目標 非財務目標


売上高 4,700億円以上 環境
● 温室効果ガス排出量50.5% 削減(2018年度比)

( 21/3期実績 3,598億円) ● 再生可能エネルギー2050年度導入比率100% へ向け推進
(2030年度)
● 廃棄物ゼロエミッション化
営業利益率 17% 以上
( 21/3期実績 10.7%) ダイバーシティ、 ● グローバル女性管理職比率15%
従業員 ● 従業員エンゲージメントスコア業界平均以上
ROE 8% 以上
( 21/3期実績 5.0%) お客様 ● 品質満足度スコア+10% 改善(2020年度比)




ROHM Integrated Report 2021 25
成長戦略




経営ビジョンの達成に向け戦略推進



取締 常務執行役員 CSO 兼 
取締役

経理
経理本部長


伊野 和英




中期経営計画が描く成長戦略
今回の中期経営計画では、パワーとアナログという2つの  車載市場向けには、こうしたコア技術を応用した付加価
注力事業領域を掲げています。2025年度の中期計画達成 値の高い商品ラインアップの展開と、売り込みの成果を確
に向けて、パワーを中心とする半導体素子事業は2020年度 実に販売につなげ、今後5年間で着実に売上を伸ばしてい
比で1.5倍、アナログ LSI 事業は同1.25倍にそれぞれ売上 きます。もう一つの注力領域である産業機器分野では、今
を成長させていきます。 後5年間で製品ラインアップをさらに強化し、その先5年間
 今年策定した中期経営計画では、2030年に向けての での本格的な売上成長の基盤作りを進めていきます。
ビジョンを描いたうえで、2025年までの目標達成に向けての  ロームは、半導体メーカーとしては珍しく、パワーとアナ
具体策を各部門に落とし込んでいっています。今後は、進 ログの要素技術を高い水準で併せ持ち、 「モノづく
かつ り」
捗状況をモニタリングし、必要に応じた軌道修正を加えな との擦り合わせ技術も有するグローバルでも数少ない企業
がら、目標の達成に取組んでいきます。 です。今後はこれらの強みを結集し、価値を最大化できる
 ロームは過去、日系デジタル家電などの民生機器分野に強 商品を開発し、
これらを組み合わせたソ ューションを顧客に

みを発揮していましたが、
この10∼15年ほどの間に、車載分野 提案していくことが戦略上重要です。
及び産業機器分野へ事業領域の転換を進めてきました。併せ  今回の中期計画では、オーガニック成長を基本としてい
て、将来に向けたコア技術の開発にも取組み、SiCパワーデバ ますが、M&A 投資にも積極的に取組み、成長を加速させ
イス、絶縁ゲートドライバICといった成果が出てきています。 ていきたいと考えています。


各事業の成長方針
伸ばす 成長の核となる事業で 進化する 高付加価値化や海外シフト等 創る 2025年度以降の
売上を大きく伸ばす 質的変換を図る 成長の種を新たに仕込む

車載 産機 民生

• SiC-MOSFET 第4世代シェア拡大
半 • Si-MOS 第6世代5G/6Gサーバ・基地局参入 • 省エネ家電向け高効率商品を
導 パワー 拡大、海外展開加速
体 デバイス • EV 主機インバータ向けSiC パワーモジュール開発
素 IGBT / FRD / Si-MOS
• 電動車主機インバータ向けIGBT デバイス開発

汎用 • 小型化による高付加価値化とキャッシュカウ事業としてトップシェアの維持
デバイス • 需要変動に対応できる生産体制構築
• 電動車向け商品強化
• 小型化 高効率商品で民生売上を維持

• 海外車載参入拡大 • 基地局/データセンター向け
LSI 省エネ家電向け
絶縁ゲート ドライ バ/電源 LSI
(PMIC) 新商品開発
IPM/ACDC/スマホカメラ制御 IC
/ LEDドライバ
モジュール その他 • 自動運転支援モジュールやセキュリティ(認証)向けのセンシングデバイスに注力



26 ROHM Co., Ltd.
第2章 未来を創る




半導体素子 さまざまな高付加価値商品が生まれるようになっています。
これらのコア技術は、回路設計者とプロセス設計者が議論
既存製品に加え、新製品でもトップシェアを目指す
を繰り返すことで初めて生まれる高度な擦り合わせ技術で
半導体素子では、パワーデバイス、汎用デバイス、オプトデバ あり、差別化の源泉となります。ロームではIDMのメリット
イスなど市場を横断して必要とされる商品を網羅しています。 を最大限に活かし、これら「尖った」コア技術のラインアップ
長年培ってきた技術の蓄積による幅広い製品ラインアップを を広げ、進化させていきます。
武器に、さらに売上を成長させていく計画です。特に成長期  マーケティング面でロームが取組んでいるのは、PMEの
であるSiCやSi-MOS、IGBTにおいては、2050年カーボン 配置による市場のニーズの収集と、ニーズに合わせた商品企
ニュートラル、脱炭素社会に向け、電動化が急激に進む車載 画力の強化です。グローバル市場においては、今まで以上
市場において大きな伸びが期待されており、生産能力の強 にマーケット情報が必要です。マーケットを理解し、アプリ
化、安定した供給体制の整備を積極的に進めていきます。 ケーション軸で、顧客にとって必要な性能を製品仕様に落と
 研究開発・事業化において先行したSiCに関しては、よう し込むことが大切ですが、その役割を担うのがPMEです。
やく市場の成長期に入った段階であり、2025年前後の急激  今後、海外での売上を伸ばしていくためには、各地域に根
な市場立ち上がりに向け、先行した投資で生産能力をあら ざしたマーケティング機能の強化が重要であり、PMEを海
かじめ確保し、拡大する需要に備える体制を構築します。同時 外に新たに配置します。より多くの顧客に採用いただけるよ
に6インチから8インチ基板への大口径化も含めた投資を うな最適化されたASSPを先行して開発することで、世界で
実施し、コスト競争力を高めていきます。商品においては、 勝ち抜く商品をグローバルに展開していきます。
業界トップ性能のデバイス開発、研究開発により創り出した
独自の材料技術・モノづくりを取り込んだモジュール商品
開発を推進し、グローバルトップシェアを目指していきます。
 現在、成熟期にある汎用デバイスは、トップシェアを維持
しながら、さらに競争力を高めていきます。安定供給を重 LSI 事業本部
事業部統括 部長
視しつつ、高効率の生産ラインを5年間で2倍に増やし生産
福本 憲一
体制を強化します。また、 協働 ロボットの導入により、人
生産性を2倍にすることを目指します。特定アプリケーショ
ン向けの超小型・省スペース商品を高付加価値商品として
リリースすることと併せキャッシュカウ事業として、さらなる
シェアアップを目指します。 PME が牽引し、市場を成長させ、
プロダクトライフサイクル 世界で頼られる存在となることを
導入期 成長期 成熟期 衰退期 目指す
トップシェア維持
ロームの強みは、
「顧客密着」
「IDM」です。この
Si-MOS 汎用デバイス
IGBT 強みをさらに強化して大きく成長するために、エンジ
成長する海外市場へ主戦場を移す ニアが企画を行うPMEを組織化し、企画力を強化
SiC ベアチップ+ディスクリートに特化
しました。
技術力・生産力で先行し続ける
ディスクリート・モジュール全方位戦略  LSI 事業では顧客の課題解決、未来の商品への
GaN
2022年度量産開始 貢献、新市場創出といった付加価値の高い商品を
創造し続けることが必要です。牽引するPME の大

ライフサイクル毎の売上推移イメージ
きな特徴は、ロームの開発現場や持っている技術、
特徴をよく知っていることに加え、市場や顧客のこ
LSI とも理解しているエンジニアであるということです。
PME の活躍でグローバルに戦う ロームの力を市場価値のある商品とし、顧客ととも
LSIに関しては、さらなる技術開発力の強化により、最先端 に市場を成長させ、世界で頼られる存在となること
の高度なコア技術を既に開発しており、これらコア技術から を目指しています。
小型化・超低消費電力・高いロバスト性といった特徴のある

ROHM Integrated Report 2021 27
成長を支える基盤


グローバルに戦える商品をつくる開発体制の強化
ロームでは、これからの成長を支える基盤づくりに向けて、 グローバルレベルで市場のニーズを先取りする新製品の商
グローバルに戦える商品開発に取組んでいます。下の図は、 品企画と製品の詳細仕様の落とし込みを行います。これに
PMEを例にとった開発体制を示しています。グローバルな より、幅広い地域の顧客に喜んでいただける新製品の市場
競争力を持つ商品開発を行うために、技術や市場に精通し へのインプット数を増やしていきます。
たPMEを海外に派遣し、欧州、中国、台湾、米国を中心に、



PME

PME


PME
欧州 HQ
米国
ターゲット
● 車載 ● 産機 ターゲット
台湾
PME ● 通信 ● 車載 ● 産機
売上 ターゲット
中国
● 通信 ● 産機
ターゲット
21/3期 26/3期
● 車載 ● 家電 ● 通信 21/3期 26/3期

21/3期 26/3期




PME
(Product Marketing Engineer)
21/3期 26/3期 先端技術を熟知し新商品開発権限を有する人財



海外売上を高める営業・拡販体制
海外市場での売上を上げるため、営業と拡販体制の整備を 技術情報を熟知したFAE
(Field Application Engineer)
進めていきます。ロームの営業組織はこれまで、地域毎に営 を中心に据えた「SSE
(System Solution Engineering)
業本部を設け、その地域における最適化を図ってきました。今 本部」を立ち上げ、ソリューション提案力の強化を進めてい
回、これらの営業本部を一つにまとめ、世界中の販売ネット ます。営業担当者とFAEとの連携によって、顧客が求める
ワークが全体最適の戦略の下に活動できる販売体制を整え 最適なソリューション提案ときめ細かな技術サポートが全
ました。また、顧客である完成品メーカーの開発動向などの 世界で提供できる体制になっています。

従来の体制 新しい営業拡販体制

顧客 顧客
ソリューションでの商品提案
各拠点毎の個別最適な営業戦略 潜在要求収集
技術サポート

営業本部
営業本部 システムソリューション
東日本 中国 米州 韓国
国内 海外 エンジニアリング (SSE)本部
西日本 欧州 アジア 台湾 営業本部 営業本部 FAE


海外市場を全体で捉えた営業
事業単位での個別商品提案 世界で戦える商品 企画提案
戦略とリソース配分が可能に

事業本部 事業本部


28 ROHM Co., Ltd.
第2章 未来を創る




モノづくり改革
中期経営計画「MOVING FORWARD to 2025」 は、
で 多品種

2025年度の売上高を4,700億円以上と掲げています。こ
要素技術展開
の売上目標を達成するために、継続的な生産能力の強化と フレキシブル
ライン
生産効率の改善を進めています。現在、半導体市場では需
給が逼迫しており、短期的に生産装置の調達が難しくなっ 高効率
フープライン ワイドフレーム
ていることもあり、OEE
(設備総合効率)の指標を取り入 少量生産 大量生産
(既存) ライン
(既存)
れ、手待ちや点検の無駄を省いて効率生産を推進すること
で、目標としている4,700億円の売上に余裕を持って対応
できるよう、生産能力確保に着手していきます。
同一品種
 モノづくり改革に関しては、今回のコロナ禍もあり、人手
に頼った生産からの脱却を大きなテーマとして取り上げ、組  さらに、う
こ したモノづくり改革を継続し、
スピー ッ
ドア プするた
立工程において人を介さずに多品種少量生産を効率的に実 めの拠点と て、
し モノづくり開発拠点を設置します。この拠点で
現する、フレキシブルラインの開発に取組んできました。ほ は、
国内のマザー工場、
海外工場での生産技術に関する情報
ぼ無人化を達成したこの新ラインは、2021年の春までに開 を集約し、
ONE ROHMでモノづくり改革を続けていきます。さ
発が完了し、まず国内マザー工場において、汎用デバイスの らなる高品質化と自動化を達成し、
モノづくりでもしっかりと成
生産を開始しました。新型コロナウイルス感染症の影響に 長の基盤を確立する戦略です。
より人の移動が制限されるリスクが高まる中、BCP 対策と  DXの活用では、
顧客毎にカルテを作成し、
季節変動などの
しても大きな効果を期待しています。今後は、このフレキシ 受注の特徴や受注精度をデータ し
と て見える化し、
日々の生産
ブルラインを海外にも展開し、また対象となる製品分野も、 管理に活用することで、
顧客への安定供給と生産効率向上に
汎用デバイスから、パワーデバイス、LSIなどへ順次拡大し、 役立てています。
ローム全体のサプライチェーンの強靭化を図ります。  また、 統括本部を軸に、
IT サプライチェーン全体にわたる
 今回、 ・
開発 導入を進めているフレキシブルラインは、
効率 データの管理及び分析を一元化することで需給動向、生産
的な多品種少量生産を実現するだけでなく 人の手を介さな
、 状況を包括的に判断し、生産現場でのブレーキやアクセル
いことによる
「ゼロディフェク を目指した高信頼性の製造ラ
ト」 のタイミングを見極め、効率よく生産を行える体制を整備し
インであり、
さらなる高品質化にも貢献できると考えています。 ています。



ロームの技術力を集結し、人手に頼らない、不良をつくらない、完全自動化、無人化を目指して、
モノづくり改革を続けていく

ONE ROHM <モノづくり開発拠点設立> 品質第一 コントロールルーム
自動化・IT 化・省人化
多品種・少量



マザー マザー
工場 新商品、新ライン開発 工場
治工具 重要加工点の
自動交換 常時モニター
マザー マザー
工場 マザー 工場 品質第一
工場
海外 海外 自動化・IT 化・省人化
工場 量産検証・海外展開 工場
多品種・少量
海外 海外 金型 メッキ液
工場 海外 海外 工場
工場 工場 自動交換 自動濃度管理

量産・現場改善活動


自動供給 材料
ロボット 自動供給




ROHM Integrated Report 2021 29
財務戦略


成長戦略を支えて株主価値を 投資を実施し、グローバルメジャーの成長の基盤づくりを
重要なテーマとしています。
向上させる
 また、積極的な成長投資と売上成長の両立を目指しな
事業の持続的な成長を支え、強い企業となるためには、確
がら、株主還元の充実と、資本コスト重視の経営、収益体
固たる経営基盤を確立する必要があります。ロームの財
質の強化によって、一層の資本効率向上を進め、中長期
務基盤は、ここ数年安定的に推移しています。
的な企業価値向上に取組んでいくよう努めます。
 中期経営計画「MOVING FORWARD to 2025」では、
キャッシュ・フローを創出して次の成長につなげるための

財務の状況
2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期
資産合計(百万円) 874,427 848,873 926,240
自己資本(百万円) 766,266 714,990 768,972
現預金+有価証券(百万円) 289,745 315,723 319,430
自己資本比率(%) 87.6 84.2 83.0
配当性向(%) 34.8 60.6 39.9
(%)
ROE 6.0 3.5 5.0




成長投資とキャッシュ・フローの創出 投資に充当する予定であり、この投資資金は事業活動によ
り創出されるキャッシュ・フローをベースとします。
2021年にスタートした中期経営計画「MOVING FORWARD
 4,000億円の中身に関しては、約3,000億円をオーガニッ
to 2025」
では、
これまでに築き上げた強固な財務基盤のもと、
クの投資へ振り分け、M&Aには約1,000億円を充当する予
本格的な 攻め の経営へシフトしていきます。成長投資に
定ですが、半導体市場は変化が激しく、またM&Aの規模も
よって事業成長を実現することが、株主価値の向上や社会
予想が困難であり、状況により自己株式取得や資金調達な
貢献につながるという考えのもと、中期経営計画目標の達成
どを組み合わせ、柔軟に対応してまいります。
に向けて努力していきます。
 中期経営計画5年間でM&Aを含め計4,000億円を成長



成長投資と株主還元

● 手元資金を5年間で段階的に圧縮し、2025年度には年間売上の50% 程度とする
● 5年間で4,000億円を事業の成長に向け投資し、加えて積極的な株主還元を実施する


● パワーデバイス(SiC 新棟8インチ生産ライン、Si-MOS、IGBT 生産ライン増強)
成長投資 ● LSI
(12インチBi-CDMOS 生産ライン、絶縁ゲートドライバ生産ライン増強)
5年間累積
● 本社敷地内にモノづくり開発拠点設立
4,000億円
● 事業拡大や技術獲得の M&A、資本提携




● 継続的な自己株式取得
株主還元 ● 連結配当性向30% 以上(150円から業績に応じて徐々に引き上げ)
● フリー・キャッシュ・フロー適時還元




30 ROHM Co., Ltd.
第2章 未来を創る




3つのバランスと企業価値向上

株主還元




効率的な資本
の活用




海外売上を
成長投資 モノづくり 収益性向上
高める営業・
改革
拡販体制




収益性と資本効率向上  ROE改善策としては、売り上げの成長に伴う限界利益の増
加が中心となりますが、 財務レバレッジの最適化」
「 なども併せ
収益性の向上を図るため、1人当たりの開発効率を上げ、付加
て進めていきます。
価値を引き上げることで、利益率の改善に努めていきます。加
えて、それに結びつく受注精度の向上や設備総合効率の改善
株主還元
を実施します。
株主還元に関しては、連結配当性向30%以上を維持すると
 資本効率については、資本コストを意識し、ROEを2020年
ともに、業務の改善により1株当たり配当金を年間150円
度の5%から2025年度には8%以上へ向上させることを目標と
から徐々に引き上げる方針です。キャッシュ フローの状況

していますが、2030年にはさらなる改善を目指します。
に応じて自社株買いなどの追加還元も検討していきます。



TSR(10年、配当込)
(%)
300 ■
ローム   ■
TOPIX












(年 /月) 2011/3 2012/3 2013/3 2014/3 2015/3 2016/3 2017/3 2018/3 2019/3 2020/3 2021/3

1年 3年 5年 10年
累積 年率 累積 年率 累積 年率

ローム +84.8% +11.2% +3.6% +145.1% +19.6% +128.7% +8.6%

TOPIX +42.1% +22.1% +6.9% +62.3% +10.2% +179.4% +10.8%
※ TSRの計算は、ロームは累積配当額と株価変動により、 TOPIXとTOPIX 機械は配当込の株価指数により算出(Bloombergデータ等により当社作成)
※ グラフの値は、2011年3月末日の終値データを100としてTSRによる時価を指数化したもの (保有期間は2021年3月末まで)




ROHM Integrated Report 2021 31
ESG への取組み


環境課題への取組み ∼
「環境ビジョン2050」
とSDGs ∼
ロームでは、
「環境ビジョン2050」を策定し、環境課題へ ます。この3つの柱でCO2排出実質ゼロ、 ・
ゼロ エミッション
の取組みを強化しています。持続可能な社会の実現に向 へ向け、温室効果ガスの削減や再生可能エネルギーの導入
け、気候変動、資源循環、自然共生の3つの柱を定めてい などについてKPIを定め、2030年度の目標を達成します。




ロームが目指すサステナビリティ経営における重要課題

気候変動 SDGs 重要課題 項目 2030年度へ向けた目標


気候変動 排出量を2030年度に2018年度比50.5% 削減
環境 CO2排出量実質ゼロ
温室効果ガス削減
排出量原単位を2030年度に2018年度比45% 削減
ビジョン
自然 2050  資源 再生可能エネルギー 2050年度に導入比率100%を目指し、再生可能エネルギー
の導入促進 化を推進
 共生 循環
資源循環
ゼロエミッション
資源の削減 水の回収・再利用率を2030年度に2019年度比5.5% 向上


2050年度 持続可能な未来 廃棄物量の削減 2030年度に廃棄物のゼロエミッション化

2030年度 持続可能な未来に向けての
自然共生 各拠点において工場緑化を促進
分岐点と認識 自然サイクルと
緑化の促進
地域ごとに生息している生物の保全状況を改善
事業活動の調和
2021年度 環境負荷軽減に向けたKPI の設定
化学物質に関する世界各国の政策・規制への対応・管理の
TCFD 賛同表明 化学物質管理の徹底
徹底、化学物質の使用量削減




 環境の取組みとしては、再生可能エネルギーを積極的 製造工程においても再生可能エネルギーを100%使用する
に用いる方針です。特に、SiC デバイスは、車の電動化も 工場で行うなど、製造段階も含めた総合的な環境性能を
含めて商品そのものが省エネに役に立っていますが、その 高めていきます。




「再生可能エネルギー100% 使用」環境配慮の生産工場

電気自動車(EV)
省エネ向けSiC の主要工程は全て再生可能エネルギーで生産

SiC 基板の生産工程 SiCデバイスの前工程

SiCrystal GmbH(ROHM Group) ローム・アポロ
(株)筑後工場内に新設
バッテリー




電源
2021年度より再生可能エネルギー 2022年度稼動の再生可能エネルギー
電動機・発電機
100% 使用の工場 100% 使用の新工場


出所:一般社団法人次世代自動車振興センター ※ロームアポロには、2019年度より再生可能エネルギーを導入済み




32 ROHM Co., Ltd.
第2章 未来を創る




持続的成長のための人財育成とガバナンス改革
人財育成とガバナンス改革も中期的に重要なテーマの一つ
です。豊かな人間性と知性を磨いた多様な従業員が、高い ダイバーシティ
の推進
エンゲージメントを維持して、継続的にイノベーションを創出
する体制を構築し、実効性のあるガバナンス改革と併せて イノ




持続的 ムの




ベ 創出






企業の持続的な成長を実現していきます。組織風土改革









ショ
ロー
や働き方改革にも対応しながら、従業員のモチベーションと




ンの
社会貢献
エンゲージメントの向上を図ります。
 ダイバーシティの推進については、女性のキャリア形成 従業員 豊
エンゲージメント かな 性と ガバナンス
の取組みも含め、KPI を設けて実施していきます。また独 知 性 人間 成 改革
の向上 の醸
立社外取締役の比率の向上など、ガバナンス改革も積極
的に進めます。
2025年度目標 ● グローバル女性管理職比率15%
● 女性または外国人の本社役員比率10%
● エンゲージメントスコアで下記を達成
・ 毎年のスコア改善
・ 業界平均以上
・ グループ全体で導入完了




BCM 体制の強化で社会的責任を果たす
商品の安定供給はわれわれの社会的な責任です。今回の サプライヤー
コロナ禍では、一部の海外の拠点において現地政府の発 BCM 体制 /ESG 取組みの
CSR 調達
整ったサプライヤーから調達
令・指導に従い、一時的な稼動停止・稼働率の低下を余
儀なくされた工場もありましたが、従業員の安全確保及び
持続可能
感染防止の徹底を図るとともに、事業継続に向けた対応 n 次サプライチェーンの把握 な調達 リスク診断と対策の妥当性評価
により有事の迅速な影響 代替工場、複数社購買、
に取組みました。 調査を実現 現地在庫
BCP 対応 事業の健全性
 また、BCM 推進をグループの重要課題と捉えており、
具体的には、社長自らが委員長を務める「CSR 委員会」 2025年度目標 ● 1次サプライヤーの生産拠点調査100%
● 重要サプライヤーの有事対応事前合意率100%
のもとに「リスク管理・BCM 委員会」を組織し、ロームグ
● CSR 調達評価 B* 以上からの購入比率90% 以上
ループにおいて業務遂行上発生する可能性のある重要リ ( A ∼ D のランク付けで A が最高ランク)
*

スクを抽出・分析・統括管理しています。各リスク主管担
自社生産工場
当部署の活動状況を検証するとともに、事業継続計画 新型コロナウイルス感染症を受けBCP 見直し
(BCP)の策定を進め、あらゆる事前対策や準備に努める リスクアセスメント見直し リスク対策
● 自然災害 ● 在庫設計の見直し
よう、全社に徹底を図っています。
地震
● リスク分散(複数拠点)
津波
 今後は、自社生産の工程の改善だけにとどまらず、サプ 洪水
台風 ● ハード面の対策
強風
豪雨
竜巻
ライチェーンの維持にも取組んでいきます。サプライヤー

の皆様との関係、資材の持続可能な調達についても、健 落雷 黄砂
生産 大雪
全なサプライチェーンの維持のために具体的な K P I を 拠点 1階床かさ上げ(マレーシア工場)

情勢 火災
設定し、商品のより強固な安定供給体制を確立してい 不安 爆発

きます。 新興 サイバー
感染症 攻撃

免震構造(浜松工場)




ROHM Integrated Report 2021 33
イノベーション

ロームの研究体制



ロームのキーテクノロジーを融合した
ソリューションを提供


取締役 上席執行役員 CTO

立石 哲夫




ロームの研究体制
ロームは「パワー」
「アナログ」の2つを融合したソリュー 可能にする力の強化を図ります。
ションを提供したいと思っています。  具体的な配分としては、研究開発リソースの50%を注力
 ロームでは、5年後、10年後、さらに20年、30年先を見 する現有技術分野に配分し、注力市場のうち新しい技術
据え、持続的成長に向けての研究開発を進めています。今 が必要なところや、技術は同じでも異なる市場に適用する
後5年程度以内の売上拡大につながるテーマに重点的にリ ところへは各々20%ずつを、残りの10%については、新しい
ソースを配分しますが、その先に想定される新規分野にも 技術を使った新しい市場に配分しています。社内でカバー
一定のリソース配分を行い、長期にわたって持続的成長を しにくい分野は社外との協業も行います。

ロームの研究開発体制とリソース配分についての考え方
市場 そ
技術
注力市場 車載・産機(特定)
・民生 新規市場 産機 の





現有技術
50% R&Dリソース
配分比率
開拓
20% C


Power R&Dリソースを重点配置 R&Dリソースを戦略的に配置 等
Analog を
事業部と協力 活
New CTO 室に技術マーケティングを組織し、 用
R&D へ研究テーマ候補をインプット し

チャレンジ T
先駆 O

新規技術 20% 10% 室


R&Dリソースを戦略的に配置 R&Dリソースを先行投資として配置 バ



その他 New CVC 等を活用しCTO 室がカバー




高付加価値を実現する「擦り合わせ技術」
強みである要素技術「パワー」 「アナログ」
や の擦り合わせ技 続けてきた商品ですが、
ここに来て電気自動車での採用が増
術は、開発や生産の現場における最適化の技術でもあります。 加しており、今後は、高品質かつ高性能な製品をタイムリー
ロームは創業以来「モノづく の技術を磨いてきた会社で
り」 にお客様に届けることにより、ロームの成長の一つの柱とし
す。ロームの擦り合わせ技術の源流は「モノづく なのです。
り」 て売上を大きく伸ばすことができると考えています。SiCだ
 ロームは、幅広い製品・技術のラインアップを持っていま けでなく、シリコンのパワー MOSFET、IGBTを取り揃え、さ
すが、例えば最先端分野では、大幅な高効率化が可能なSiC らにはGaN等の化合物半導体デバイスも含めて、総合的な
パワーデバイスが注目されています。1990年代から開発を パワーデバイスのラインアップ強化に取組んでいます。


34 ROHM Co., Ltd.
第3章 未来を支える


ロジックやメモリLSI などには、微細加工技術が必要とさ 製品ラインアップに合わせた最適化が可能です。回路設計
れますが、パワーデバイス、アナログ LSIでは、レガシーと 者とプロセス設計者が議論を繰り返して密接に連携し、IDM
言われるプロセスを使用します。パワーデバイスやアナロ のメ トを最大限に活かしながら、
リッ 擦り合わせ技術を進化
グ LSIではこのプロセスを製品の要求性能に合わせて最適 させていきます。
化することが非常に重要です。また、多品種少量生産を要  ロームは、パワーデバイス、パワー &アナログ LSI、受動
求されるアナログ LSIでは、一つのプロセスラインで多くの 素子やモジュールなど幅広い製品を融合した付加価値の
分野のLSI 製品をつくり込む必要があります。ロームでは、 高いソリューションを提供していきます。
長い歴史の中で積み上げてきた生産技術を駆使し、幅広い



市場のニーズを先取りした製品企画
自動車の電動化など変化の激しい市場においては、あらかじ  ロームの研究開発力を強化していく上で、優れたエンジニ
め市場要求を調査し、市場が求める機能を集めたASSPを アを育成する体制づくりも重要です。エンジニアのキャ アプ

先行して開発する戦略を打ち出しています。そのためにLSI ランについて、技術のスペシャ ス
リ ト職に必要とされる要件を
のPME部隊が、製品企画を絞り込んでいきます。PMEは市 「ロームの永続的な発展のために技術的に貢献すること」と
場動向や顧客要求を嚙み砕き、市場のニーズを先取りした質 定義しています。スペシャリスト職とはロームの発展に技術
の高いイ ベーティ
ノ ブな企画を実現し、開発をリードして製品 的に貢献できる人財であり、また、次世代のスペシャ ス
リ ト職
を顧客に届けることが使命です。質の高い製品企画を開発 を育てることができる人です。どのように環境が激しく変化
者に伝え、他社に先駆けて開発を行い、そこから生まれる新 しようとも対応できるように、お客様に対して最適なソリュー
規技術を特許化し、ロームの知的財産を強固なものにしてい ションを提案できる一流のエンジニアであってほしいと思い
く上でも非常に大切です。 ます。CEOが目指すゴールを必ず実現できるように技術力
 10年後あるいはそれ以上先の将来に関しては、国内外の多 を高めることはCTOの使命です。ロームの技術力は進化し
くの大学との共同研究など、外部との連携を強化しています。 ており、
これらの技術を駆使してしっかり市場にフォーカスし、
 さらに、新たな事業モデルを創出する取組みとしてCVC 2030年にグローバルメジャーとしてのポジションを確立でき
(Corporate Venture Capital)をスタートしました。 るよう取組みを進めていきます。




立命館大学 同志社大学 京都大学 精華大学
集積回路設計などハードウェア 情報メディア関連の 物性を中心とした 先端技術開発の共同研究、
関連の教育 研究を推進
・ ソフトウェアエンジニアを育成 次世代デバイスの研究を推進 技術交流を推進



Column 未来への挑戦/顧客と一緒に開発
世の中に貢献する製品で省エネ・小型化を実現
私は、入社から10年近く、液晶テレビ向けの電源 LSIを開発し、その後、ロームが注力する車載分野に
シフトし、車載向けの ADASや自動運転につながる電源のソリューションを日本や欧州の大手メーカー
を中心に提案しています。
 LSI の開発はこのように最先端の技術に携わることができ、また、顧客企業とともに開発できる点が、
仕事として本当に面白いと思っています。例えば車載向けでは、今年カメラ用の電源 LSIと通信 LSI 製品
LSI 事業本部 事業部統括
をリリースしましたが、これにより、従来比10% の省エネが可能になります。また、20 20mmサイズと 電源 LSI 事業部 商品設計担当
小型化が進む車載カメラモジュールの中にさまざまな部品を搭載するために、これまでは2枚の基板が 電源 LSI 商品設計2課
課長
必要だったところを、製品やその周辺の部品を小型化することで1枚の基板で実現することを可能にし、
製品が広く世の中に普及していくために必要な価格低減にも貢献しています。今後もさまざまな顧客
川田 真司
企業とのやり取りから、世の中に貢献する技術を見出し、製品化していきたいと思います。



ROHM Integrated Report 2021 35
環境

環境方針
われわれは、つねに地球環境保全に配慮し、人類の健康的な存続と企業の恒久的な繁栄に貢献するものとする。
1. 省エネルギーをすべての企業活動で創意工夫し徹底する。
2. 環境配慮型製品を開発し、製品のライフサイクルを通して環境負荷の最少化を追求する。
3. 材料・副資材の調達や製品の購入は、より環境負荷の少ないものを優先する。
4. 持続可能な社会の実現に向け、資源の有効活用を促進すると共に、汚染の予防と生物多様性の保全に配慮する。
5. 国内外の環境法規制や地域協定および、その他の同意したお客様等の要求事項を遵守する。
6. 生活環境や地球環境に配慮する社員の育成と関係者の啓発に努める。
7. 地域環境への貢献や環境情報の適切な開示により、社会との健全な連携を図る。
8. 環境パフォーマンス向上のため、環境目標、実施計画を立案、実行することで課題を継続的に改善する。



環境ビジョン2050
ロームは、地球環境課題に対する企業の社会的責任を果たす 資源循環
ため、2050年におけるロームグループのあるべき姿を示した 開発から調達・生産・販売までの一連の事業活動を通し、
「環境ビジョン2050」を策定しました。気候変動、資源循環、 限りある資源の無駄をなくすため、資源循
自然共生の3つを柱に、カーボンゼロ
(CO2排出量実質ゼロ) 環の最大化に取組みます。
及びゼロエミッションを目指し、生物多様性の保護に向けて
自然共生
自然サイクルと調和した事業活動を推進していきます。
地球の生物多様性が生み出す自然の恵みを大切にし、地球
気候変動 環境をより良い状態で次世代に引き継いで
「気候変動」対策を持続可能性の実効性を図る重要な指標 いきます。
とし、事業活動により発生する2050年度の
環境ビジョン2050 ➡
CO2排出量実質 ゼロ を目指します。 https://www.rohm.co.jp/company/environment



ローム環境管理推進体制
ロームでは、環境マネジメ トシステムの国際規格 ISO14001
ン  環境保全対策委員長は CSR 委員会(委員長は社長)に
に則った環境マネジメントシステムをグループ全体で構築・ おいてリスクへの対応状況を報告し、指示や支援を受けて
運用することで、環境負荷削減をはじめとする環境保全に います。
向けた継続的な環境改善を進めています。 ローム環境管理推進体制
 取組みにあたっては、
ローム本社に設置した
「環境保全対策 CSR 社長
委員会」が中心となり、生産する製品や各拠点における活動・ 委員会
環境管理総括者
環境保全対策 環境内部
サービスに起因する環境影響を管理し、拠点ごとの内部監査 監査員
委員長 環境管理責任者
で明らかになった問題点の改善策などをグループ各社に対し
環境保全対策
管理本部 生産本部 事業本部 営業本部
委員会
水平展開しています。また、気候変動への対応など、持続可
環境管理室 気候変動対策専門部会
能な社会の実現に向けてロームグループが解決すべき課題も 環境負荷削減専門部会
事務局 資源活用専門部会
環境規制物質専門部会
選定し、経営課題の一つとして積極的に取組んでいます。
サステナブル社会検討ワーキンググループ



気候変動への対応
ロームでは、気候変動対策を持続可能性の実効性を図る から排出されるCO2 排出量の低減に取組むため、自社の
重要な指標とし、事業活動により発生する2050年度のCO2 算定範囲であるスコープ1・2だけでなく、バリューチェー
排出量実質 ゼロ を目指します。積極的な再生可能エネ ン全体の CO2排出量であるスコープ3まで拡大し、算定し
ルギーの導入や緑化活動等を通じてロームグループ全体 ています。2020年度は、①バリューチェーンCO2を2020
の CO2 排出量実質 ゼロ を目指しており、全ての事業所 年度に2010年度実績より10% 削減する、②環境配慮型

36 ROHM Co., Ltd.
第3章 未来を支える


製品の開発割合を2020年度に100%とするという目標を の供給・提案を通じて、お客様とともにCO2の削減に貢献
掲げ、いずれも達成しました。 するとともに、生産・業務プロセス及び従来の工法を抜本
 また、優れた省エネルギー製品やシステム、 ューション
ソリ 的に見直し、グリーンファクトリー化にも挑戦しています。

CO2排出量(単位:t-CO2)
2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
スコープ1 35,079.7 36,002.0 38,361.8 36,888.1 32,473.7
スコープ2 530,081.0 559,484.3 579,437.6 548,734.2 547,725.8
スコープ3 603,504.4 704,242.2 859,110.3 675,042.0 759,904.9
合計 1,168,665.1 1,299,728.5 1,476,909.7 1,260,664.3 1,340,104.4



資源の有効利用
ロームでは、地球環境負荷を軽減する仕組みや生産技術を新 体でゼロエミッション(海外を含め埋め立て処理1% 以内)
たに構築することで、地球環境への負荷を最小限に抑える循 を目指しています。また、半導体製造用に投入する原水は
環型経営を追求しており、開発から調達・生産・販売までの 超純水に加工し利用する高コスト資源であるため、使い捨
一連の事業活動を通し、限りある資源の無駄をなくすため、 てではなくリサイクルする節水努力が必要です。取水量削
資源循環の最大化に取組んでいます。 減に向け、水資源利用の高効率化に取組むことで、気候変
 資源活用専門部会が中心となり目標達成に向け、年度毎 動で渇水となっても、節水対応により事業継続へのリスク
に実施計画を立て活動を進めており、ロームグループ全 を低減できると考えています。


再生可能エネルギーの導入
2020年12月に竣工したローム・アポロ筑後工場の SiC パネル導入を予定し、浜松では年間約363MWh、マレー
生産棟は、使用する電力を100% 再生可能エネルギーで シアでは年間約1,500MWh の電力の発電が可能になる
まかなう環境配慮型の最新工場です。また、2017年には など、各拠点での再生可能エネルギ―の導入を進めてい
ローム浜松で、2021年度にはマレーシアの拠点で太陽光 ます。


指標と目標
ロームでは、 2排出量の増加と気候変動に伴う台風や洪水、
CO ① 2030年度にGHGを2018年度比50.5%削減する
渇水等の物理的被害をリスクとして考えており、ローム本社 ② 2030年度に排出量原単位を2018年度比45%削減する
③ 2050年度に導入比率100%を目指し、再生可能エネルギー化
ではグループ全体のGHG排出源を把握するとともに、数値 を推進する
化した目標値を設定しています。  資源の有効活用に関しては、2030年までの目標を次の
 事業活動により発生するCO2排出については、2050年まで 通り定めています。
① 2030年度に水の回収・再利用率を2019年度比5.5%向上さ
に実質ゼロとすることを目指しており、2030年度へ向けた目
せる
標を次の通り定めています。 ② 2030年度に国内 海外連結で廃棄物ゼロエミ
・ ッションを目指す



Column 未来への挑戦/環境負荷の低減
環境にとってより良い、社会を良くするための製品開発
私はさまざまな分野の部品を統合し 顧客の商品の設計を考えたモジュール提案を行っています。
て、 昨
年はヨーロッパの学会で発表する機会があり、
世界からの注目分野であることにやりがいを感じています。
 ロームが現在力を入れているSiC は、
電力の損失を大きく低減し、
電力変換の高効率化が可能という
特長があり、
太陽光発電の DC/DCコンバータで最大50% の電力損失削減ができたというデータもある、
まさにロームの環境ビジョンを体現する製品です。私は現在、
電動車用主機インバータ向けの SiCのモー
ハイパワーデバイス事業部 パワーSiC
ルドモジュールを開発しており、
ロームの SiCを使った場合、
Siに対し インバータの性能がどれく
て らい改善 商品開発課 SiCモジュール開発 G
するのか、
定量的な評価も行っています。自分が作っているものが環境にとってより良いものであり、
社会 技術員 

を良くするための仕事だということに誇りを持って取組んでいます。 柴田 幸太郎


ROHM Integrated Report 2021 37
人財

基本方針
ロームは、従業員に対して、安全・快適で働きやすい職場 です。ロームは従業員とのエンゲージメントの強化を通じ
環境を確保するとともに、人間性と個性を尊重し、公正で て、あらゆる職場で失敗を恐れず果敢に挑戦し続ける企
明るい職場をつくり、一人ひとりの働きがいを高めること 業風土の醸成と、挑戦を促す職場環境の整備に取組ん
を目指しています。そのためにはさまざまなライフスタイ でいます。
ル・ライフステージに身を置く従業員一人ひとりが、働きや 人財マネジメ ト ➡


すく、成果を上げることができる環境を整えることが重要 https://csr.rohm.com/jp/human-capital/




持続的な成長を実現する人財の採用・育成戦略
教育・研修体系 グレード別教育、キャリア教育、組織長教育の 4 項目を柱

ロームでは、教育訓練を通じてどのような人財を育成して とした教育・研修体系を構築し、さまざまな教育機会を

いくべきかを、創業以来普遍の理念として存在している企 従業員に提供しています。また、従業員のキャリアアップ

業目的・方針の中にある「教育訓練基本目標」に定めてお のために必要な資格取得や E ラーニング、海外語学留学等

り、企業目的・方針の実現と実践に向け、OJT・専門教育、 への補助も行っています。

企業目的・方針の実践

OJT・専門教育 グレード別教育 キャリア教育 組織長教育

昇格者研修 キャリアデザイン研修(50代、
40代) 役割別研修(部長・課長・GL)
グレード別
海外トレーニー グレード2昇格者研修 アセスメント研修(部長・課長)
教育
ジョブ ローテーション
・ フォロー プ研修
アッ (1年後 3年後)
・ メンター・
メンター・メンティ 新入社員研修 メンティ



共通教育
すべての社員に求められる知識 行動を理解する

グローバル コミ
・ ュニケーション 品質 CSR
・ 安全衛生 企業目的・方針



グローバル人財の採用・育成 スペシャリスト職制度
ロームでは、グローバルビジネスのさらなる拡大に向けて 専門職(部下を持たず、自身の専門性を高めるキャリア)の
研究、技術・営業・管理といった、あらゆる分野でロームが 中でも、特に高度な専門性を社内外に認められている従業
必要とする技術 専門知識を有する従業員を、
・ 国籍を問わず 員を「スペシャリスト」として認定しています。その道の
採用できるような活動を推進しており、毎年留学生を中心 第一人者としてのキャリアパスを明確化することで、自身
とした一定数の外国籍従業員の採用を実施しています。 の役割・期待を認識してさらなる知見・技術向上へのモチ
 また、経済のグローバル化が進行する中、社会に新しい ベーションにつなげ、従業員と会社のさらなる成長を図り
価値を生み出すためには各地域における異なる背景、価値 ます。
観を受容することが必要不可欠であり、ロームでは「国際
企業理念の浸透
社会に貢献できるグローバル人財の育成」に向け、教育体
国内外の全ローム従業員が、
「つねに品質を第一とする」と
系の整備に取組み、従業員に対し 「自ら学びながら成長で
て、
いう企業目的や方針を「共通言語」として理解し、世界中
きる」機会を提供しています。2010 年より海外グループ会
どの国にいても、全員が同じゴールを目指して活躍できる
社からの人財受け入れを制度化し、これまで中国・ASEAN
よう、2011年から理念浸透教育を実施しています。中核
地域を中心に累計100名を超える従業員を受け入れていま
となる社員に対する企業目的 経営基本方針のワークショッ

す。2015年度からは、若手従業員を対象に海外のグループ
プは終了し、現在は各拠点にて自発的な理念浸透教育が
会社で1年間異なる業務を経験できる「海外トレーニー
継続しています。累計1万4,898名がワークショップに
制度」を導入し、グローバルな視野で自ら考え、チャレンジで
参加しました。
きる人財の発掘・育成を目指しています。


38 ROHM Co., Ltd.
第3章 未来を支える


ダイバーシティ& インクルージョン
ロームは、世界各地に生産・販売拠点を有しており、従業 など、さまざまな研修を実施しています。
員の国籍もさまざまです。多様なバックグラウンドを持つ  現在は2019年4月∼2022年3月をターゲットとした女性
従業員が集まりチームワークを発揮することが企業のイノ 活躍推進・次世代育成支援に関する行動計画を策定し、目
ベーションにつながり、社会課題の解決と企業価値の向上 標達成に向けてさまざまな取組みを行うことで多様な価値
につなげることができると考えています。ロームは、ダイ 観に合わせた働き方の実現を目指しています。
バーシティ&インクルージョンを推進していくために5つの
分野に注力しています。
シニア人財の活躍
シニア層の従業員が長年のキャリアで培った経験、スキル、
グローバル
人材の 社内外における人脈などといった資産はロームにとっても
発掘・育成
貴重な財産です。シニア層向けのジョブ・ポスティング制度
LGBTへの
ダイバーシティ 女性活躍
取組み を運用開始し、シニア層がチャレンジし、活躍できる環境
&
インクルージョン
の推進
を整備し、大きなアウトプットを継続して生み出せるよう

障がい者 シニア人財
な組織体制の強化を図っています。
の活躍 の活躍

障がい者の活躍
女性活躍の推進 障がいを持つ従業員が活躍できる職場環境の実現を目指
女性の就業を支えるための制度構築や風土醸成だけでな して積極的に障がい者雇用・活躍推進に取組んでいます。
く、キャリア形成などあらゆる角度から働く女性を支援して 2020年3月時点の雇用率は2.38%
(グループ全体) 法定
で、
います。本人向けの研修から部の責任者向け、上司向け 雇用率(2.30%)を上回っています。



健康経営・働き方改革の推進
ロームでは、ワーク(職業生活)とライフ(個人生活)の双方  ロームでは、安全衛生方針に基づき、全従業員の安全確保
の充実を図る、ワーク ライフ インテグレーションの考え方
・ ・ と心身の健康の保持増進を図るとともに、快適な職場環境
の浸透と推進が従業員の幸福感を高め、会社の生産性向 の形成を促進するため、中央安全衛生委員会のもと、6つ
上や成長につながると考えています。従業員一人ひとりの の専門部会と2つの委員会を組織して安全衛生活動を推進
ライフスタイルや置かれている状況、価値観に応じて、柔軟 しています。その取組みが評価され、経済産業省と日本健
かつ健康に働くことができる環境の整備も従業員の業務 康 会 議が 主 催する
パフォーマンスを高めるための重要な課題です。働き方改革 「健康経営優良法人
を推進し、一人ひとりがそれぞれのライフスタイル、ライフ 2021
(大 規 模 法 人
ステージに合わせて柔軟に働くことができるよう、テレワーク 部門) に4年連続で

やコース転換など諸制度の導入を行っています。 認定されました。



Column 未来への挑戦/多様な働き方の実現に向けて
制度の変更で柔軟な働き方が可能に
私は子どもが2人いますが、
年を追うごとに会社の制度が子育てしやすいよ に変わっ ま
う てき した。今は勤務の開
始時間 終了時間を選べるほか、
・ 15分単位の時短勤務が可能となっており、
育休の延長も可能なので、
ほとんど
の人が産休と育休を取って復帰しています。今後は男性も積極的にこの制度を利用してほしいと思っています。
 昨年から普及した モー ワークによ 通勤時間がな なる分、
リ ト り、 く 在宅勤務の日は時短の必要がな なり した。
く ま
導入当初はコミュニケーションが取りに いかと思っ
く ていましたが、 ブ会議で海外の人と ぐに会議がで
ウェ もす LSI事業本部 技術開発担当LSI開発
きて心ゆくまで話せる環境になり、 っ
かえ て仕事がやりやす なり した。
く ま 支援部レイアウ ト課 KTCレイアウト2G
主任
 私が所属する部署は、
海外とのやり取りが多く 交流言語が英語です。
、 さまざまな講座を受けられる補助制
度があるので、
これを利用して英語力の向上にも取組みたいと考えています。
吉村 枝里子


ROHM Integrated Report 2021 39
サプライチェーン・BCP

ロームの調達活動について




リスクに対する感度を高くし、
サプライチェーンとしての責任を果たす

取締役 上席執行役員 
SCM 本部長、管理本部長 兼 サステナビリティ担当

山本 浩史




リスクへの対応の迅速化と調達の精緻化
半導体業界は寡占化が進んでおり、
ロームはカスタム性が  調達活動は、
情報が生命線です。何か問題が起きたとき
強い材料もたくさんあるため、
すべての材料で複数の調達 に、
デリバリーへの影響などを確認し、
大きな問題になる前
先を見つけることは容易ではありません。事業を進めてい に各事業部や製造部の方へも情報を共有し、
前もっ リ
て スク
くには、 庫の管 理を精緻化するとともに、
在 技術者にマル に対応できる体制を整えられるようにしています。
チ化できるような材料にしてもらうといったことを働き掛け  この中期経営計画の期間で、何か問題が起きたときに顧
ています。また、
経済動向に左右されずに供給を受けられ 客にいつ どのような影響が出るか、
・ 瞬時に把握できるよう
るよう、
サプライヤーとの信頼関係の構築にも取 組んでい なシステムをつくりたいと考えています。日々状況が変わる
ます。調達の精緻化や効率化によって収益を向上させ、
売 中ではより早く正確に情報を手に入れる必要があるため、本社
上成長を通じて、 の社会貢献につなげるというロームの
多く と工場の情報をつなげて共有化し、材料不足などのリスク
使命を果たすことができると考えています。 に対して早く手が打てるようにしていきます。



調達方針
社会のニーズに応えられる高品質な商品を安定的に世の
1. 相互信頼・相互繁栄
中に送り出すには、強固な調達体制の確立が不可欠であ
2. 公平・対等な取引
り、その実現のためには、取引先との強いパートナーシッ
3. 公正な選定
プの構築が欠かせません。ロームは、取引先を重要なパー 4. 製品・サービスの付加価値の適切な評価と配分
トナーとして認識し、信頼関係・協力関係を基本軸として、 5. CSR 調達
健全なサプライチェーンの構築と持続可能な調達の実現
ロームグループ調達方針 ➡
を目指しており、右記の5つの方針に基づき、調達活動を
https://www.rohm.co.jp/company/procurement/policy
展開しています。



CSR 調達
ロームは、健全かつ持続的な調達活動を目指すため、RBA イン」をすべての取引先に配付し、 ドラインに基づいた
ガイ
行動規範を採用しています。取引先を選定する際には、品 活動の推進を依頼しています。取引先の CSR 活動の達成
質、価格、納期、安定供給、環境、財務、人権、倫理など合 状況を確認するために、 「労働
毎年 (人権を含む) 安全衛


理的な基準に基づいて判断しており、ロームグループのCSR 生」 環境」 倫理」 マネジメントシステム」 調達 BCP」
「 「 「 「 等
調達に対する考え方を具体的に示した「CSR 調達ガイドラ に関して自己評価を依頼しており、2020年度は、国内外の


40 ROHM Co., Ltd.
第3章 未来を支える



取引先1,538社のうち高評価 および A-)
(A の割合が81% 越えた新たな連携」
、「振興基準」 の遵守に取組み、取引先
となりました。 と公正かつ倫理的な取引を行っていきます。
 なお、取引先が取引に関するコンプライアンス上の問題を ※親事業者と下請事業者との望ましい取引慣行のこと。 ロームでは取引適正化
の5分野((1) 価格決定方法の適正化、 型管理の適正化、 現金払いの原則
(2) (3)
相談 通報できる窓口として
・ 「お取引先様向けコンプライアン の徹 底、 知財 ノウハウの保護、 働き方改革等に伴う
(4) ・ (5) しわ寄せ防止)
を重点
項目と設定。
スホットライン」を設置しています。正当な目的の通報である
場合は、通報を理由とした不利益な取扱いは一切行いません。
 2021年1月にロームは「パートナーシップ構築宣言」を掲げ
ました。
「サプライチェーン全体の共存共栄と規模 系列等を





製品含有化学物質管理
ロームでは、持続可能な社会の実現に貢献するため、環
法規制・国際ルール・業界自主基準への適合
境配慮型製品の開発など、国内外の環境法規制や顧客の
要求事項を遵守し、環境負荷の少ない材料調達への取
グリーン調達 ロームグループ
管理体制調査 要求基準
設計開発
組みを実施しています。EU RoHS 指令、EU REACH デザインレビューで環境負荷
取 物質を確認
規則、中国 RoHS 指令など、製品化学物質管理に関わる 含有化学物質 含有化学物質 顧
引 情報入手 情報伝達
製造 客
法規制がますます強化される中、グリーン調達基準書を 先 調達材料の検証(受入検査)
・禁止物質 識別管理 ・顧客
定め、原材料や部品などに含まれる化学物質情報を正確 不使用 変更管理 フォーマット
証明書 異常品対応 ・chemSHERPA
・chemSHERPA など
に把握することで各法規制への適合を確認しています。 など
製造時使用材料の検証
(出荷検査)




BCP
ロームでは、
「CSR委員会」の下に「リスク管理・BCM委員 あらゆる事前対策や準備に努めています。災害等が発生し
会」を組織し、業務遂行上発生する可能性のある重要リスク た場合にも円滑に事業継続または復旧を行うための対策
を抽出・分析・統括管理し、各リスク主管担当部署の活動状 を講じ、有事の際でも顧客の事業を中断させないような体
況を検証するとともに、事業継続計画(BCP)の策定を進め、 制を整備し、代替材料を準備する取組みを進めています。



労働安全衛生
ロームは世界各地に生産拠点を持っており、工場の安全 に基づき、安全衛生リスクの低減・管理に向け、法令遵守
操業、従業員の安全を確保するためにISO45001に基づ を含む、ロームが掲げた安全衛生目標を達成するための
いたマネジメントシステムを運用しています。このシステム 取組みを行っています。



Column 品質管理への取組み
調達から納品までサプライチェーン全体の品質を重視
ロームの企業目的「われわれは、つねに品質を第一とする。にある
」 「品質」 作業員の環境やコス デリバ
は、 ト、
リーといった部分まで含んだ「品質」だと捉えています。現場のデータを集めて統計的手法を用いたデータ
分析をしており、それによって品質の向上や作業環境の自動化や省人化につなげていきたいと考えています。
 私が入社した2011年は、タイで大洪水があり、ロームの工場も大きな被害を受けました。BCP の観点
から生産をフィリピンに移すという業務に関わり、有事の際の対応も大きなポイントだと感じました。
AP 生産本部 AP 品質管理部
ロームは現在、多品種少量生産に柔軟に対応できるフレキシブルラインを立ち上げています。用途や目的に LSI品質管理課 社外品質保証 G
かなったサプライチェーンを構築し、調達から納品までサプライチェーン全体の品質を重視して、顧客の 技術員

要望に応えていきます。 中島 正皓


ROHM Integrated Report 2021 41
コーポレートガバナンス

基本的な考え方
ロームでは、 企業目的」 経営基本方針」
「 「 などの目的・方針 基本方針
を実現するため、常に最良のコーポレートガバナンスを追求 1. 株主を始めとするステークホルダーと適切に協働する
しています。 と共に、 (環境・社会・統治)
ESG の課題に適切に配慮・
対応します。
 また、企業が、顧客、お取引先様、従業員、株主・投資家
の皆様、そして社会・地域の皆様等の全てのステークホル 2. 株主の権利を尊重し、平等性を確保すると共に、企業

ダーに支えられた存在であるとの認識に基づき、企業の運 価値の向上に資するため株主との間で建設的な対話に
努めます。
営及び行動が公正性、健全性、透明性に根ざしたものでな
ければならないと考え、ステークホルダーの立場に立って、 3. 会社情報を適時・適切に開示し、透明性を確保します。

企業の持続的な成長と中長期的な企業価値を最大化する 4. 取締役会等の役割・責任を明確にし、適時適切に開催
ことをコーポレートガバナンスの基本的な考え方とし、以下 し、迅速な意思決定を行うと共に、社外取締役が独立
の基本方針に沿って、コーポレートガバナンスの充実に取 した客観的な立場から積極的に意見を述べ、取締役会
による業務執行の監視・監督機能を確保します。
組んでいます。




ガバナンスの改革及び強化
ロームでは、コーポレートガバナンスを経営上最も重要な 経営の客観性・透明性を図り、執行役員制度の導入と合わ
課題の一つと て、
し その改革 強化に取組んでいます。
・ 2019年 せ、機動的な意思決定をより可能なものとする組織づくり
には監査等委員会設置会社へ移行し、監視機能を強化し を進めています。



ガバナンス改革の変遷
1981∼2000年 2001∼2010年 2011∼2017年 2018年 2019年 2020年 2021年

1981年「取締役会規則」制定 2015年「ローム コーポレートガバナンス ポリシー」
・ ・ 及び 2021年 取締役
「社外役員の独立性基準」 「役員候補者の選考基準」 制定 の個人別の報酬
等の決定方針を
方針 策定
2018年「ローム コーポレートガバナンス ポリシー」
・ ・ 改正

2006年「内部統制システム構築の基本方針」策定


2008年 社外取締役の選任 2019年 女性取締役の選任 2021年 経営経
社外取締役 験を有する社外
2011年 社外取締役の複数選任 取締役の選任



社外監査役 2001年 社外監査役5名体制


2016年「取締役会の実効性 2019年「監査等委員会 2020年 譲渡制限付株式報酬制度の
評価」 導入 設置会社」 への移行 導入

制度の導入 2012年「取締役報酬協議会」発足 2019年「経営執行会議」の設置

2018年「役員指名協議会」 2019年 執行役員制度の導入
発足



2007年「コンプライアンス委員会」発足
内部通報制度 (コンプライアンス ホッ
・ トライン)
設置
各種委員会
2011年「CSR 委員会」発足




42 ROHM Co., Ltd.
第3章 未来を支える


コーポレートガバナンス体制
ロームは、コーポレートガバナンスの一層の充実及び企 的経営システムとして有効と考えています。ロームの取締
業価値の向上を図ることを目的に、取締役会の監督機能 役会は11名(うち社外取締役5名) 監査等委員会は5名

を強化し、2019年6月27日開催の株主総会の決議を経 (うち独立社外取締役4名)で構成されており、独立社外取
て、監査等委員会設置会社に移行しました。 締役が取締役会の3分の1以上となっています。取締役会
ロームでは経営環境変化が激しい半導体・電子部品業 は、透明・公正な体制のもとに建設的な議論を経て、迅速
界の中で、事業及び技術に精通した取締役が執行権限を な意思決定を行っています。
持つと同時に、相互に監督し合うことが、機動的かつ実効


コーポレートガバナンス体制図

株主総会
選解任


取締役報酬協議会
諮問・答申 監査・監督 連携
取締役会 監査等委員会
役員指名協議会 会

監査・ 監査等委員会事務局 監
選解任・監督 監督 査
連携 人
意思決定を補佐 連携
経営執行会議 代表取締役 内部監査部


CSR 委員会 執行委員

サステナビリティ推進室
(事務局) 研 生 営 品 管 内部監査 会計監査
究 産 業 質 理
中 コ 情 環 働 ・ 部 部 部 部
央 リ ン 報 境 C き 開 門 門 門 門
安 ス プ 開 保 S 方 発
ク ラ 部
全 管 示 全 R推 改
イ 門
衛 理 ア 委 対 進 革
生 ・ 員 策 委 委
B ン
委 C ス 会 委 員 員
員 M 委 員 会 会
会 員 会 グループ関係会社

員 会 (国内 海外)






各機関の構成員

社内 社外役員

機関 取締役会 監査等委員会 経営執行会議 役員指名協議会 取締役報酬協議会



議長 委員長 社長 議長 議長
構成

取締役11名 監査等委員5名 執行役員11名 取締役3名  取締役3名 
(うち社外取締役5名) (うち社外取締役4名) (取締役含む) (うち社外取締役2名) (うち社外取締役2名)

2020年度
の開催実績
15回 14回 15回 8回 8回




ROHM Integrated Report 2021 43
取締役会の役割・取締役の選任理由
ロームの取締役は、その役割・責務を実効的に果たすため や経営計画等について建設的な議論を行い、重要な業務
の知識・経験・能力を有し、取締役会においてロームの持 執行の決定を行っています。
続的成長と中長期的な企業価値の向上のため、企業戦略


監査等委員でない取締役6名の選任理由・2020年度における会議の出席状況
2020年度における会議の出席状況
所有
氏名 選任理由 監査等 役員指名 取締役報酬
株式数 取締役会
委員会 協議会 協議会
松本 功 事業部門での豊富な知識や経験及び海外で培ったグローバル
な視点を活かし、代表取締役社長として強力なリーダーシップ
3,802株 15回 /15回 - 7回 /7回 7回 /7回
をもってロームグループの企業価値の向上に貢献しているため、
取締役として適任と判断しました。

東 克己 半導体・電子部品の生産部門での業務等を通じて製品の品質
向上や生産技術に関して豊富な知識と経験を有し、 戦略的に
2,722株 15回 /15回 - 1回 /1回 1回 /1回
事業を統括・推進する能力に優れていることから、取締役とし
て適任と判断しました。

伊野 和英 パワーデバイス等の技術開発部門での業務を通じて豊富な知
識と経験を有しており、CSO(最高戦略責任者)としてローム
1,176株 11回 /11回 - - -
グループの事業を戦略的に推進する能力に優れていることから、
取締役として適任と判断しました。

立石 哲夫 開発者として高度な専門知識と豊富な経験を有しており、 半導
体技術に広く精通し、CTO(最高技術責任者)としてロームグ
1,001株 15回 /15回 - - -
ループの事業を戦略的に推進する能力に優れていることから、
取締役として適任と判断しました。

山本 浩史 開発・生産部門での業務等を通じて豊富な知識と経験に基づ
いて、ロームグループにおけるサプライチェーン(SCM)やリス
1,624株 - - - -
クマネジメント、環境保全等に関する業務を推進する能力に優
れていることから、取締役として適任と判断しました。

南雲 忠信 世界各地に事業を展開する上場企業の経営者として培われた豊
富な知識と経験を有しており、グローバル戦略を積極的に推進
した実績に加え、技術者としてモノづくりの分野に高い見識を兼
- - - - -
ね備え、独立した立場から業務執行の監督機能強化への貢献
及び国際的・実践的な視点で幅広く経営に対する助言が期待で
きるため、取締役として適任と判断しました。




監査等委員である取締役5名の選任理由・2020年度における会議の出席状況
2020年度における会議の出席状況
所有
氏名 選任理由 監査等 役員指名 取締役報酬
株式数 取締役会
委員会 協議会 協議会
山﨑 雅彦 総務や人事、法務等の管理部門での業務等を通じて豊富な知識
と経験を有しており、長年にわたりロームグループの管理部門を
6,401株 15回 /15回 - 8回 /8回 8回 /8回
統括した実績を踏まえ、経営の監査・監督機能の強化が期待で
きるため、監査等委員である取締役として適任と判断しました。

仁井 裕幸 金融機関等において長年にわたる業務で培われた幅広い知識・
見識、海外勤務を通じて養われた豊かな国際性、また当社常勤
監査役及び常勤監査等委員として携わった豊富な経験等を活か
1,700株 15回 /15回 14回 /14回 8回 /8回 8回 /8回
し、独立した立場から、内部監査部門等との連携や経営の監査・
監督機能の強化が期待できるため、監査等委員である社外取締
役として適任と判断しました。

千森 秀郎 弁護士として培われた専門的な知識・経験、幅広い見識等を活
かし、独立した立場から、取締役会の意思決定における透明性・
300株 15回 /15回 14回 /14回 8回 /8回 8回 /8回
公正性の確保及び経営の監査・監督機能の強化が期待できるた
め、監査等委員である社外取締役として適任と判断しました。

宮林 利朗 公認会計士として培われた専門的な知識・経験、 幅広い見識等
を活かし、独立した立場から、取締役会の意思決定における透明
- 14回 /15回 14回 /14回 - -
性・公正性の確保及び経営の監査・監督機能の強化が期待でき
るため、監査等委員である社外取締役として適任と判断しました。

田中 久美子 公認会計士として培われた専門的な知識・経験、 海外勤務を通
じて養われた豊かな国際性等を活かし、 独立した立場から、取締
役会の意思決定における透明性 公正性の確保及び経営の監査
・ ・ - 15回 /15回 14回 /14回 - -
監督機能の強化が期待できるため、 監査等委員である社外取締
役として適任と判断しました。



44 ROHM Co., Ltd.
第3章 未来を支える


社外取締役
取締役会における社外取締役の割合 社外取締役のうち独立役員の割合




45%
(2021年6月)
100%
(2021年6月)




2020年度においても取締役11名のうち、5名が社外取締 社外取締役5名すべてが、一般株主と利益相反が生じる
役であり、2019年度に引き続き全取締役に占める社外取締 おそれのない独立役員であり、独立した立場から経営に対
役の割合は45%となっています。 する監督・助言を行っています。



社外役員の独立性基準
当社の社外役員は、以下の項目に該当しない者を選任しています。

1. 当社の主要株主またはその業務執行者 6. 当社グループから一定額を超える寄付
①当社の総議決権の10% 以上を有する者 または助成を受けている者
または法人の業務執行者 年間1千万円超。当該助成を受けている者が法人、組合等の
②当社グループの取締役、 執行役、社員、使用人 団体である場合は、当該団体の理事その他の業務執行者

2. 当社が主要株主である会社の業務執行者 7. 当社の会計監査人の代表社員、社員または従業員

3. 当社グループの主要な取引先またはその業務執行者 8. 当社の主要な借入先の業務執行者
当社の年間連結売上高の2% 超の支払いを行っている会社 当社の連結総資産の2%を超える金銭の借入先

4. 当社グループを主要な取引先とする者 9. 上記1∼8に過去3年間において該当していた者
またはその業務執行者
10. 当社グループから取締役を受け入れている者
年間売上高の2% 超の支払いを当社から受けている会社
またはその業務執行者
5. 当社グループから役員報酬以外に一定額を超える金銭
11. 当社グループの重要な業務執行者の配偶者
その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家
または二親等以内の親族
または法律専門家
取締役(社外取締役を除く)
および部長級以上の上級管理職の
個人は年間1千万円超、法人は総収入の2% 超。当該財産を
配偶者または二親等以内の親族
得ている者が法人、組合等の団体である場合は、 当該団体に
所属する者




取締役報酬協議会・役員指名協議会の設置
役員の報酬及び指名に関して、独立性 客観性 透明性を高
・ ・ (会)に答申しています。
めるため、取締役会の諮問機関として、独立社外取締役が  役員指名協議会は、取締役社長、役付取締役及び役付執
過半数を占める取締役報酬協議会及び役員指名協議会を設 行役員(上席執行役員を除く)の選解任並びに取締役の候
置しています。 補者の指名に関して協議し、その協議結果を取締役会に答
 取締役報酬協議会は、取締役の報酬体系及びこれに基づ 申しています。
く各取締役の報酬に関して協議し、監査等委員でない取締  両協議会はいずれも、代表取締役社長 松本功が議長を務
役に関する協議結果については取締役会に答申し、監査等 め、社外取締役 千森秀郎及び南雲忠信の3名で構成してい
委員である取締役に関する協議結果については監査等委員 ます。


ROHM Integrated Report 2021 45
役員報酬
ロームの取締役の報酬及び賞与(以下、
「報酬等」という)
は、  具体的には、業務執行取締役の報酬は、定額である固定
その経営責任を明確にし、企業の持続的な成長と中長期的 報酬、業績連動報酬及び非金銭報酬(株式報酬)から構成
な企業価値の向上に向けた健全なインセンティブとして十分 し、独立社外取締役の報酬は、業務執行から独立した立場
に機能するよう、株主利益と連動した報酬体系とし、個々の での監督機能を担う観点から、固定報酬のみを支払うこと
取締役の報酬決定に際しては、各職責を踏まえた適正な としています。
水準とすることを基本方針としています。


業務執行取締役 独立社外取締役 固定報酬・業績連動報酬・非金銭報酬の
割合(%)のイメージ
固定報酬 月例の現金報酬とし、役位・職 月例の現金報酬とする (業績目標を100% 達成した場合)
責に応じる 100
非金銭報酬:10%

業績連動 直近の連結売上高及び連結営 業績連動報酬:30%
報酬 業利益額の目標値に対する達 −
成度合いに応じる 50

非金銭報酬 譲渡制限付株式報酬制度を 固定報酬:60%

(株式報酬) 導入(2020年6月)




2020年度における取締役の報酬等の総額

報酬等の総額 報酬等の種類別の総額(百万円) 対象となる役員の
区分
(百万円) 固定報酬 業績連動報酬 非金銭報酬 員数(名)

取締役(うち社外取締役) 300
(12) 184
(12) 87
(−) 28
(−) 9
(1)

取締役 監査等委員)


(56) 56
(56) −(−) −(−) 4
(4)
(うち社外取締役)

合計(うち社外取締役) 357
(68) 240
(68) 87
(−) 28
(−) 13
(5)

(注) 1. 上表には、
  2020年6月26日開催の第62期定時株主総会終結の時をもって退任した取締役2名を含んでおります。
2. 取締役の報酬等の額には、 使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれておりません。




取締役会の実効性評価
ロームでは、持続的な企業価値の向上のためには、取締役 各役員を対象に取締役会の実効性評価アンケートを実施
会がその機能を十分に発揮し、ガバナンスの強化を図るこ し、その実施結果をもとに取締役会において協議する方法
とが重要であると考えており、2016年には「取締役会の によって前年度の取締役会の実効性について分析・評価
実効性評価」を導入しました。本制度の導入以来、毎年 を行い、その機能向上に努めています。


実効性評価プロセス

取締役全員による無記名式アンケート調査
評価項目(15∼22問)
① 取締役会の運営について(審議項目、開催頻度、議案資料、自由活発な議論、審議時間、結
果報告等)
取締役会による分析・評価
独立社外取締役から代表取締役社長へインタビュー ② 取締役会の役割・機能について(適切な意思決定、経営全般に対する監督機能、規模・多様
性等)
③ 取締役の役割・責務について(社外取締役としての役割・責務、社外取締役相互の情報・意
実効性向上に向けた課題や今後の取組みを議論
見交換等)
④ 昨年からの改善について(昨年の設問別平均点が低いものに関する改善)
⑤ 取締役報酬協議会・役員指名協議会の機能・運営について(協議事項、開催頻度、審議時
取組み 間等)




46 ROHM Co., Ltd.
第3章 未来を支える


2020年度の評価結果と2021年度の対応方針

2019年度の評価結果 ● 適切な開催日程・頻度のもと、重要な業務執行の決定等を通じて適切な意思決定を行っていること、 過去に決議され
た案件の経過・結果が適切に報告されていること等については、2019年度も引き続き高い評価となった。
● 資料の配布時期や審議に十分な時間を確保することについては、改善が必要。
● 取締役の報酬体系が持続的な成長に向けた健全なインセンティブの一つとして機能していることについては、さら
なる向上の余地がある。

2020年度の取組み ● 新社長のもと、取締役会のあるべき姿やガバナンスの改善、各会議体の役割・運営等について、徹底的に議論を行った。
● 取締役の報酬体系が持続的な成長に向けた健全なインセンティブの一つとして機能するよう、 譲渡制限付株式報酬
制度を導入するとともに、取締役の報酬体系を抜本的に見直し、取締役の個人別の報酬等の決定方針を策定した。
● 中期経営計画の策定を通じて、5年後、10年後のロームが目指す姿やその実現に向けた成長戦略等について、取締役
会で深い議論を交わした。



2020年度の評価結果
2020年度の取組みを受け、取締役会全体の実効性は概ね確保されているものとして総じて高い評価となった。
● 適切な開催日程・頻度のもと、重要な業務執行の決定等を通じて適切な意思決定を行っていること、 過去に決議された案
件の経過・結果が適切に報告されていること等については、2020年度も引き続き高い評価となった。
● 経営全般に対する監督機能の発揮による経営の公正性・透明性を確保していること、取締役会が経営ビジョン・社長方針
の実現、中期経営計画の策定に向けて機能を果たしていること、取締役報酬協議会及び役員指名協議会が適切に機能して
いること等についても高い評価となった。

2021年度の課題
実施結果をもとに取締役会において分析及び評価を行い、また独立社外取締役から代表取締役社長へインタビューを行うこ
とで、取締役会の実効性向上に向けた課題や今後の取組みを議論するとともに、取締役会のあるべき姿やさらなるガバナン
スの改善について意見交換がされた。
その結果、取締役会の構成・多様性の確保、資料の配布時期、社外取締役の理解促進のための事前説明の充実等について、
さらなる向上の余地があり、今後の課題として認識された。




株主・投資家との建設的かつ積極的な対話
ロームでは、株主・投資家の皆様へ適時かつ適切に情報を 株主総会の活性化・議決権行使の円滑化
開示するとともに、双方向のコミュニケーションを積み重 英文の株主招集通知の制作およびホームページや投資
ねることが、継続的な企業価値の向上に寄与すると考えて 家プラットフォームサイトへの掲載、インターネットを通じ
おり、その土台となるIR 体制を構築し、株主及び投資家 た議決権行使の受付など、議決権を行使しやすい環境の整
の皆様との活発なコミュニケーションを展開しています。 備に努めています。また、外国人株主判明調査に基づくIR
活動や議決権行使促進などの取組みを行っています。
幅広い株主のニーズに応えるためのさまざまな IR
 株主総会においては、定められた報告と決議だけでなく、
活動、 イベント
IR
映像による業績や市場動向、経営方針の説明や、投資家の
幅広い株主の皆様の多様なニーズにお応えするため、ローム
皆様からよくいただく質問へのスクリーンによる説明を行う
ではさまざまなIRイベントを開催しています。年2回のアナ
ことで、双方向によるコミュニケーションの促進に努めて
リスト向け決算説明会に加えて、海外投資家訪問、個人投資
います。

家向け会社説明会など、1年を通じてさまざまな株主及び
 また、広くステークホルダーの皆様にご覧いただくため、
投資家の皆様とのコミュニケーションを図っています。
今年から、株主総会当日の模様の一部を、ホームページに
 また、ESGに対する関心が高まる中、ESGにテーマを絞っ
おいて動画配信しました。
たESGミーティングを積極的に行っています。




ROHM Integrated Report 2021 47
役員一覧

マネジメントチーム




❾ ❼ ❽

❺ ❹ ❶ ❷ ❸ ❻

取締役 執行役員
役名 氏名 役名 氏名 担当
❶ 代表取締役社長 松本 功 社長執行役員 松本 功 CEO
❷ 取締役 東 克己 専務執行役員 東 克己 COO
❸ 取締役 伊野 和英 常務執行役員 伊野 和英 CSO 兼 経理本部長
❹ 取締役 立石 哲夫 上席執行役員 立石 哲夫 CTO
❺ 取締役 山本 浩史 上席執行役員 山本 浩史 SCM 本部長、 管理本部長 兼 サステ
❻ 社外取締役 南雲 忠信 ナビリティ担当
❼ 取締役(常勤監査等委員) 山﨑 雅彦 執行役員 八木 正幸 システムソリューションエンジニアリ
❽ 社外取締役(常勤監査等委員) 仁井 裕幸 ング本部、 国内・海外営業本部担当
❾ 社外取締役(監査等委員) 千森 秀郎 執行役員 青木 哲夫 営業改革本部 本部長
社外取締役(監査等委員) 宮林 利朗 執行役員 鐘ヶ江 浩 AP 生産本部 本部長
社外取締役(監査等委員) 田中 久美子 執行役員 東田 祥史 WP 生産本部 統括部長
執行役員 藤川 昭夫 LSI 事業本部 統括部長
執行役員 三木 隆司 品質本部 統括部長

取締役のスキル・マトリックス
取締役会が備えるべきスキル
(知識 経験 能力等)
・ ・ の分野を特定しており、各取締役に対して特に期待する分野は次の通りです。

特に期待する分野
ガバナンス・ イノベーション 法務・コンプラ
・ 半導体
氏名 企業経営 グローバル 財務・会計 M&A 人財開発
リスク管理 技術 イアンス 業界知見
松本 功 ● ● ● ● ● ● ● ● ●

東 克己 ● ● ● ● ● ● ● ● ●

伊野 和英 ● ● ● ● ● ●

立石 哲夫 ● ● ● ● ● ● ●

山本 浩史 ● ● ● ● ● ●

南雲 忠信 ● ● ● ● ● ●

山﨑 雅彦 ● ●

仁井 裕幸 ● ● ●

千森 秀郎 ● ●

宮林 利朗 ● ●

田中 久美子 ● ● ●




48 ROHM Co., Ltd.
未来を支える
新任社外取締役メッセージ 第3章




自動車市場・海外市場への一層の注力を後押しするため、

これまでの経験や知見を活かしていきます。


私は1969年に横浜ゴム株式会社に入社して以来  ロームの事業活動は、 のステークホルダーの
多く

タイヤの開発に約23年携わり、
工場、
技術、
製造など 皆様のご支援に支えられています。企業の持続的成

幅広い現場を経験してきました。2004年には代表 長のためには、お客様、お取引先様、従業員ととも

取締役社長に就任し、
売上高と営業利益の大幅な に成長する姿勢が必要であり、ステークホルダーの

改善に貢献しました。また、
2006年から2008年には 皆様のご支援なしに持続的成長はありえません。

日本自動車タイヤ協会会長、
2014年から2018年に  皆様とともにロームの持続的成長を支えるため、

は日本ゴム工業会会長を経験しています。 私の自動車市場での経験や海外での知見を活かし

 昨今、
新型コロナウイルス感染症が、
私たちの暮らし てさまざまな提言を行い、
社外取締役と ての職責


や社会のあり方に大きな影響を与えています。ローム を果たしていきます。

でも省人化ラインやリモー ワークの導入などに力を


入れていますが、
今後もさまざまな社会変化に対応で

きるよう、
柔軟に取組んでいく必要があります。

 近年、
国内自動車市場は海外にシフ し
ト ており、
それ

に応じて部品メーカーの海外進出が進み、
海外での

生産 販売比率が高まっ
・ ています。 ういった市況の


中で、
海外市場にも積極的に進出していく とが、
こ 今後

の戦略において非常に重要となります。ロームも今回

中期経営計画で発表したよ に、
う 自動車市場 海外市


場への一層の注力を図っています。
社外取締役

南雲 忠信




略歴


1969年 4月 横浜ゴム株式会社入社 2015年 6月 日本ゼオン株式会社社外取締役(現任)


1999年 6月 同社取締役 2016年 3月 横浜ゴム株式会社代表取締役会長


2004年 6月 同社代表取締役社長 2019年 3月 同社相談役(現任)


2011年 6月 同社代表取締役会長兼 CEO 2021年 6月 ローム株式会社社外取締役(現任)
日本ゼオン株式会社社外監査役




ROHM Integrated Report 2021 49
コンプライアンス

基本的な考え方
ロームは、お客様、お取引先様、地域の皆様など、事業活  「会社は社会の公器である」という自覚と責任を持ち、
動に関わるあらゆるステークホルダーの皆様から信頼され 「ロームグループ倫理方針」 「ロームグループ行動指針」

る存在であり続けるために、常に法令や国際規範、企業倫 に従ってコンプライアンス遵守の体制を確立し、法令違反
理、社内規則等を遵守し、企業の社会的責任を果たして 及び企業倫理違反リスクの管理の徹底に取組んでいます。
います。 ロームグループのコンプライアンス ➡

https://csr.rohm.com/jp/foundation/compliance.html



推進体制
グループ全体でのコンプライアンスを推進するため、CSR また、RBA 行動規範に準じて、企業倫理の遵守にも取組
委員会の傘下にコンプライアンス委員会を組織していま み、労働面、企業倫理におけるリスク・課題を労働・倫理
す。委員長は取締役が務め、関連部門長が委員となって マネジメントシステムを通じてローム本社がグループ全体
おり、監査等委員である社外取締役及び内部監査部長が を統括管理しています。この体制の下、企業倫理に関す
オブザーバーとして委員会に出席しています。 る重大な課題を特定し、適切な対応策・社内外の監査・
 ロームでは、適宜法令の新規制定・改定状況を把握し、 継続的改善を経てコンプライアンスの推進・強化を図っ
グループが新たに遵守すべき項目に対して適切な対応・ ています。
展開につなげ、法令違反リスクの防止を図っています。



ロームグループ行動指針
ロームでは、日々の事業活動の中で遵守すべき倫理上の ライアンス意識の浸透及び向上を図って毎年継続的に
基本的なルールを明らかにした「ロームグループ行動指 研修会や eラーニングなどの社内教育・啓発活動を実施
針」を7カ国語に翻訳し全社に展開するとともに、コンプ しています。



教育・研修
企業倫理の遵守・徹底には、従業員一人ひとりのコンプライ 定期的に実施しています。また、従業員のグレード、役割
アンスリテラシーのレベルを上げることが重要です。ローム に応じた階層別のコンプライアンス研修を実施し、各階
では、コンプライアンス意識の浸透及び向上のため、労 層が遵守すべきルールの理解や知識の習得につなげてい
働・倫理に関するeラーニングのほか、競争法や契約書に ます。
関するリーガル eラーニングなどの社内教育・啓発活動を



通報制度
ロームでは、従業員一人ひとりが守るべきコンプライアンス 方が通報を理由に不利益を受けることのないよう社内規定
の項目が書かれた「ROHM Compliance Card」を配布し を定めています。
ています。本カードには通報窓口となる外部の法律事務 2020年度の通報
所の情報も掲載されており、非正規雇用を含む全従業員 受付件数は10件
から国内グループにおけるコンプライアンス違反に関する でした。
通報 相談を受け付けています。
・ また、
海外関係会社において
も、各社にコンプライアンス・ホットラインを設置しており
ます。本制度を適切に運用するため、報告・相談された



50 ROHM Co., Ltd.
未来を支える
リスクマネジメント 第3章




基本的な考え方と推進体制
経済のグローバル化や社会の変化とともに企業を取り巻く また、各リスク主管担当部署の活動状況を検証するととも
リスクが多様化する中、ロームでは、その発生により業務 に、事業継続計画(BCP)の策定を進め、あらゆる事前対策
および業績に支障をきたすおそれのある事象を「リスク」と や準備に努めるよう、全社に徹底を図っています。
して捉え、その発生を最小限に止めるとともに、災害等が  反社会的勢力排除に向けた社内体制としては、総務部
発生した場合においても円滑に事業継続または復旧を行う に危機管理室を設置し、警察等外部の専門機関との連携・
ための対策を講じています。 情報交換を行い、排除のための具体的活動の展開・徹底

「CSR 委員会」の下に組織した「リスク管理・BCM 委員 を図っています。
会」では、研究開発・生産・管理部門などの社内部門が横 ロームグループのリスクマネジメ ト ➡


断的に参画し、ロームにおいて業務遂行上発生する可能 https://csr.rohm.com/jp/foundation/governance/risk-
management.html
性のある重要リスクを抽出・分析・統括管理しています。


リスクマネジメント体制
代表取締役



・主管担当部署に対するリスク CSR 委員会 事業部門(主管担当部署)
管理体制の確認と指導 ・リスク予防及びリスク発生時の
・CSR委員会への報告 リスク管理 BCM 委員会
・ 対応の実務
・関係会社への指導 展開、
・ 確認

関係会社
・ロームからの指導に基づく
リスク予防実施
・ローム主管担当部署への報告




情報セキュリティ
ロームでは、事業活動を行う中で知り得た機密情報や、お客 環境を整備しました。通信経路やデータの暗号化、紛失時
様・お取引先様から取得した第三者の機密情報、関係者 の遠隔初期化等、テレワークに必要な情報セキュリティ対
のプライバシーに関わる情報及び個人情報について、情報 策を実施しています。
セキュリティ方針及び機密情報管理方針を定め管理徹底を  また、テレワークの拡大により、情報セキュリティの重要
図っています。 性の再認識のため、全従業員向けにオンライン情報セキュ
リティ教育を実施しております。
ロームグループ情報セキュリティ方針(抜粋)

1. 情報漏えいに有効なデータ保護対策を講ずる。
ロームグループ機密情報管理方針(抜粋)
2. あらゆる状況下で事業継続を可能とするシステムとネットワークを
1. 機密情報の利用・管理にあたり、各種法令、規則、国・地域が定め
確保する。
る指針、契約、その他の社会的規範を遵守します。
3. すべての社員は、情報漏えい等のセキュリティ事故防止に努めな
2. トップマネジメントの指揮のもと、機密情報管理体制を確立し、こ
ければならない。
れを運用します。
3. 人的・組織的・技術的・物理的に適切な安全管理措置を講じます。
 本社にあるIT 統括本部のもと、グループ全体で情報セ
キュリティ管理体制を確立しています。さらなるセキュリティ  ロームでは機密情報マネジメント委員会のもと、機密情報
レベル向上を目標とした継続的な取組みの一環として 管理体制を構築・運用し、自社機密及び他社機密の適切な
ISO/IEC27001を取得 運用し
・ ており、事業上の重要なデー 管理ならびに全従業員への継続的な教育・啓発活動に取
タなどの機密情報について、漏えいの防止、不正利用の排 組んでいます。
除などの適切な情報管理を推進し、ビジネスリスクを低減 ロームグループの情報セキュリティ ➡
しています。 https://csr.rohm.com/jp/foundation/information-

 2020年度はコロナ禍において事業を継続するため、全従 security.html

業員にモバイルノートPC を配布し、テレワークが行える



ROHM Integrated Report 2021 51
11カ年の主要財務・非財務データ

会計年度: 11/3 12/3 13/3


売上高 341,885 304,652 292,410


売上原価 219,149 209,046 213,275


販売費及び一般管理費 89,999 89,253 80,056


営業利益又は営業損失(-) 32,736 6,352 -921


税金等調整前当期純利益又は税金等調整前当期純損失(-) 19,400 -2,696 -52,414


法人税等 9,524 13,374 9


親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(-) 9,632 -16,106 -52,464


設備投資額 40,042 51,117 42,817


減価償却費 37,216 35,915 38,879




1株当たり情報(単位:円)


1株当たり当期純利益又は当期純損失 (円)
(-) 88.07 -149.41 -486.63


潜在株式調整後1株当たり当期純利益(円) ‒ ‒ ‒


1株当たり配当金(円) 130 60 30




会計年度末:

流動資産 436,247 434,457 423,064


流動負債 64,333 74,337 55,750


純資産 668,778 634,280 613,647


総資産 759,988 737,326 699,014



グループ従業員数(人) 21,560 21,295 20,203


注記:1. 過年度の金額は、一部当期の表示形式に合わせ、組替えて表示しております。
2. 2019年、2018年、2017年、2016年、2015年、2014年及び2011年3月31日に終了した会計年度における潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存
在していないため開示を省略しております。2013年3月31日及び2012年3月31日に終了した会計年度における潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、 1株当たり当
期純損失であり、 また、 潜在株式が存在していないため開示を省略しております。
3. 2010年4月1日に開始する会計年度から、 当グループは次のとおり、新会計基準を適用しております:
資産除去債務に関する新会計基準を適用しております。この新基準の適用により2011年3月31日に終了した会計年度における「営業利益」は73百万円減少し、
「税金等調整前
当期純利益」 は784百万円減少しております。
4. 2019年3月31日に終了した会計年度から、当グループは次のとおり、新会計基準を適用しております:
「 『税効果会計に係る会計基準』 の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を適用し、繰延税金資産は投資その他の資産の区分に表示し、繰延税金負債は固定負
債の区分に表示する方法に変更しております。
5. 2020年3月31日に終了した会計年度から、当グループは次のとおり、新会計基準を適用しております。米国を除く在外連結子会社では、当期からIFRS 第16号「リース」
(2016
年1月13日)を適用しており、借手は原則として全てのリースを資産及び負債として認識しております。当該会計基準の適用については、経過的な取扱いに従って、 累積的影響を適
用開始日に認識する方法を採用しております。




52 ROHM Co., Ltd.
データ編


(百万円)




331,087 362,772 352,397 352,010 397,106 398,989 362,885 359,888


227,014 235,042 230,662 234,967 252,591 254,727 251,125 242,252


80,437 88,929 88,099 85,215 87,510 88,352 82,269 79,146


23,635 38,800 33,635 31,827 57,004 55,909 29,489 38,488


40,179 55,239 31,537 32,377 46,512 60,923 38,018 40,512


8,056 9,897 5,835 5,927 9,247 15,454 12,362 3,478


32,091 45,296 25,686 26,432 37,249 45,441 25,632 37,002


31,754 48,739 56,686 42,182 55,911 57,291 38,941 44,114


25,559 34,467 38,338 40,801 43,407 45,415 44,328 40,167




297.65 420.16 241.91 249.88 352.14 431.29 247.66 376.24


‒ ‒ ‒ ‒ ‒ ‒ 244.90 363.93







461,745 523,376 473,570 495,958 513,539 511,002 517,888 555,823


52,954 69,660 62,352 69,050 78,055 76,174 62,367 73,379


663,387 752,433 706,251 725,452 751,877 766,754 715,479 769,490


754,407 864,380 804,134 834,503 864,272 874,427 848,873 926,240



19,985 20,843 21,171 21,308 23,120 22,899 22,191 22,370




ROHM Integrated Report 2021 53
財務諸表

連結貸借対照表
(百万円)

資産の部 20/3 21/3
 現金及び預金 298,296 261,292
 受取手形及び売掛金 74,834 86,287
 電子記録債権 5,604 6,043
 有価証券 17,427 58,138
 商品及び製品 27,616 33,426
 仕掛品 48,352 52,811
 原材料及び貯蔵品 35,753 42,522
 未収還付法人税等 488 4,013
 その他 9,639 11,402
 貸倒引当金 -123 -115

流動資産合計 517,888 555,823

 建物及び構築物 241,085 263,766
  減価償却累計額 -169,849 -177,587
  建物及び構築物(純額) 71,236 86,178
 機械装置及び運搬具 586,018 607,487
  減価償却累計額 -516,163 -545,385
  機械装置及び運搬具(純額) 69,855 62,102
 工具、器具及び備品 51,267 53,935
  減価償却累計額 -44,012 -47,460
  工具、器具及び備品(純額) 7,255 6,475
 土地 66,594 66,601
 建設仮勘定 26,207 21,691
 その他 4,036 7,054
  減価償却累計額 -1,401 -2,735
  その他(純額) 2,635 4,318

有形固定資産合計 243,784 247,367

 のれん 1,391 1,093
 その他 3,208 5,552

無形固定資産合計 4,599 6,645

 投資有価証券 66,237 95,749
 退職給付に係る資産 1,340 3,010
 繰延税金資産 4,862 8,156
 その他 10,232 9,571
 貸倒引当金 -72 -83

投資その他の資産合計 82,600 116,404

固定資産合計 330,984 370,417

資産合計 848,873 926,240




54 ROHM Co., Ltd.
データ編




(百万円)

負債の部 20/3 21/3
 支払手形及び買掛金 11,024 14,078
 電子記録債務 3,838 3,834
 未払金 20,803 23,778
 未払法人税等 3,990 3,671
 その他 22,710 28,016

流動負債合計 62,367 73,379

 社債 40,935 40,735
 繰延税金負債 17,430 28,149
 退職給付に係る負債 10,908 11,198
 その他 1,752 3,286

固定負債合計 71,026 83,370

負債合計 133,393 156,750



純資産の部 20/3 21/3
 資本金 86,969 86,969
 資本剰余金 102,403 102,403
 利益剰余金 644,563 609,280
 自己株式 -88,726 -39,947

株主資本合計 745,210 758,706

 その他有価証券評価差額金 22,015 47,001
 為替換算調整勘定 -47,517 -33,878
 退職給付に係る調整累計額 -4,716 -2,856

その他の包括利益累計額合計 -30,219 10,266

非支配株主持分 488 518

純資産合計 715,479 769,490

負債純資産合計 848,873 926,240




ROHM Integrated Report 2021 55
連結損益計算書及び連結包括利益計算書
(百万円)


売上高 362,885 359,888
売上原価 251,125 242,252
売上総利益 111,759 117,635
販売費及び一般管理費 82,269 79,146

営業利益又は営業損失(-) 29,489 38,488

 受取利息 3,824 1,653
 受取配当金 1,033 746
 為替差益 401 ‒
 その他 1,491 1,030

営業外収益合計 6,750 3,430

 支払利息 107 95
 為替損額 ‒ 1,062
 和解金 162 ‒
 社債発行費 81 ‒
 その他 113 88

営業外費用合計 465 1,246

経常利益又は経常損失(-) 35,774 40,672

特別利益合計 5,714 1,528
特別損失合計 3,470 1,687

税金等調整前当期純利益又は税金等調整前当期純損失(-) 38,018 40,512

 法人税、住民税及び事業税 9,822 7,343
 法人税等調整額 2,539 -3,864
法人税等合計 12,362 3,478

当期純利益又は当期純損失(-) 25,656 37,033

非支配株主に帰属する当期純利益又は非支配株主に帰属する当期純損失(-) 23 31

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(-) 25,632 37,002

当期純利益又は当期純損失(-) 25,656 37,033

その他の包括利益
 その他有価証券評価差額金 -6,835 24,986
 為替換算調整勘定 -12,023 13,660
 退職給付に係る調整額 -1,071 1,860

 その他の包括利益合計 -19,930 40,507

包括利益 5,725 77,541

(内訳)
親会社株主に係る包括利益 5,695 77,488
非支配株主に係る包括利益 30 53




56 ROHM Co., Ltd.
データ編



連結キャッシュ・フロー計算書
(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー 20/3 21/3
 税金等調整前当期純利益又は税金等調整前当期純損失(-) 38,018 40,512
 減価償却費 44,328 40,167
 減損損失 429 807
 貸倒引当金の増減額(-は減少) -572 -3
 退職給付に係る負債の増減額(-は減少) -833 433
 退職給付に係る資産の増減額(-は増加) 120 261
 特別退職金 1,250 ‒
 受取利息及び受取配当金 -4,858 -2,399
 為替差損益(-は益) 1,544 -1,785
 有価証券及び投資有価証券売却損益(-は益) -5,020 -1,392
 有価証券及び投資有価証券評価損益(-は益) 936 ‒
 固定資産売却損益(-は益) -289 120
 災害による損失 ‒ 340
 売上債権の増減額(-は増加) 8,149 -9,650
 たな卸資産の増減額(-は増加) 7,091 -14,073
 仕入債務の増減額(-は減少) -703 1,243
 未払金の増減額(-は減少) 164 383
 その他 -438 343

 小計 89,317 55,309

 利息及び配当金の受取額 5,046 2,500
 利息の支払額 -9 -6
 法人税等の支払額又は還付額(-は支払) -12,953 -11,219
 特別退職金の支払額 -2,269 -609

営業活動によるキャッシュ・フロー 79,130 45,975



投資活動によるキャッシュ・フロー 20/3 21/3
 定期預金の増減額(-は増加) 17,737 -10,470
 有価証券及び投資有価証券の取得による支出 -6,908 -9,334
 有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入 25,421 12,652
 有形固定資産の取得による支出 -41,880 -32,377
 有形固定資産の売却による収入 652 153
 その他 -3,698 -1,466

投資活動によるキャッシュ・フロー -8,676 -40,844



財務活動によるキャッシュ・フロー 20/3 21/3
 社債の発行による収入 40,918 ‒
 自己株式の取得による支出 -41,295 -8,715
 配当金の支払額 -15,675 -14,822
 その他 -1,022 -1,302

財務活動によるキャッシュ・フロー -17,075 -24,840

現金及び現金同等物に係る換算差額 -5,904 6,338

現金及び現金同等物の増減額(-は減少) 47,474 -13,371

現金及び現金同等物の期首残高 228,065 275,539

現金及び現金同等物の期末残高 275,539 262,168




ROHM Integrated Report 2021 57
用語集
用語 意味

AC/DC Alternating Current 交流)
( とDirect Current 直流)
( の略。


ADAS Advanced Driving Assistance System ( 先進運転支援システム)の略。ドライバーの運転
操作を支援するシステムのこと。


ASSP Application Specific Standard Product 特定用途向け汎用製品)
( の略。


BCM Business Continuity Management 事業継続マネジメント)
( の略。


BCP Business Continuity Plan
(事業継続計画)
の略。


BiCDMOS Bipolar バイポーラ)
( プロセス、CMOSプロセス、DMOSプロセスの3種類のプロセスを同時に
実現する製造技術。LSIの製造プロセスの一つで、アナログ向けBipolarプロセス、デジタル向け
CMOSプロセスおよびパワー ・ 高耐圧素子向け DMOSプロセスの3種類を1チップ上に形成
するプロセス技術。


chemSHERPA サプライチェーン全体で利用可能な製品含有化学物質を情報伝達するための共通スキーム。


CSV Creating Shared Value 共通価値の創造)
( の略。


CVC Corporate Venture Capital
(コーポレートベンチャーキャピタル)の略。事業会社が自己資金
でファンドを組成し、主に未上場の新興企業(ベンチャー企業)に出資や支援を行う活動組織の
こと。


DX Digital Transformation
(デジタルトランスフォーメーション)の略。企業がビジネス環境の
激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品や
サービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土
を変革し、競争上の優位性を確立すること。


EU RoHS 指令 電気・電子機器における特定有害物質の使用制限に関するEUの法律。


FAE Field Application Engineer フィールドアプリケーションエンジニア)
( の略。製品開発部
には紐づかず、顧客あるいは地域に紐づいて製品の売り込みに責任を持つ職種。顧客への製品、
各種アプリケーションへ技術サポートを行うエンジニア。


FRD Fast Recovery Diode
(ファストリカバリーダイオード)の略。一般的なダイオードより高速性が
特徴。


GaN 窒化ガリウムの略。次世代パワーデバイスに用いられる化合物半導体材料のこと。一般的な
半導体材料であるシリコンに対して物性に優れており、高周波特性を活かし採用が始まっている。


GHG Green House Gas 温室効果ガス)
( の略。


IDM(垂直統合) Integrated Device Manufacturer の略。自社で製品の開発から製造までの全工程を一貫
して行える設備を有していること。


IGBT Insulated Gate Bipolar Transistor 絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)
( の略。MOSFET
とバイポーラトランジスタを複合化したトランジスタで、低オン抵抗と比較的速いスイッチング
特性の両方を備えており、現在、大電力を電圧制御する分野で幅広く使用される。


IPM Intelligent Power Module
(インテリジェントパワーモジュール)の略。IGBTデバイスに最適な
駆動回路、保護機能を1パッケージ化した製品。機器の高効率化、設計簡略化に貢献する。電力
を制御するパワー MOSFETや絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ
(IGBT)などのパワーデバイス
の駆動回路や自己保護機能を組み込んだモジュール。



58 ROHM Co., Ltd.
データ編


用語 意味

LDO Low Dropout の略。低い入出力間電位差でも動作するリニアレギュレータのこと。低損失型
リニアレギュレータや低飽和型リニアレギュレータと呼ぶ場合もある。


LSI Large-Scale Integration
(大規模集積回路)
の略。IC
(Integrated Circuit)
とも言う。


MOSFET Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor の略。トランジスタの一種でバイ
ポーラトランジスタと比較して、低消費電力や高速スイッチングが可能で、各種電子機器に幅広く
使われている。


NANO CAP™ ロームの垂直統合型生産体制において、
「回路設計」
「レイアウト」
「プロセス」の3つの先端アナ
ログ技術を結集することで実現する超安定制御技術。小型化、省エネ化を追求してきたロームの
電源技術。これまで培ったアナログ技術を駆使し生み出された革新的電源技術がNanoシリーズ
で、NANO CAP 技術は、自動車や産業機器をはじめとする各種電源回路の外付けコンデンサ
容量により、極小の nF オーダーでも安定制御でき、外付け部品の小型化に貢献する。


OECD デュー・ディリジェンス 「OECD 多国籍企業行動指針」で勧告されているデュー・ディリジェンスの実施方法について、
実務的かつ明快な解説を示し、企業を支援するもの。


OSAT Outsourced Semiconductor Assembly and Test の略。半導体製造における後工程で
ある組み立てとテストを請け負う製造業者のこと。


PME Product Marketing Engineer の略。先端技術を熟知し、新商品開発権限を有する人財。
製品開発部に紐づき、その開発組織で開発する製品の企画と売上の両方に責任を持つ職種。


PMIC Power Management IC(電源 IC)の略。ロームは、リニアレギュレータやスイッチングレギュ
レータ、パワーマネジメントスイッチIC、システム電源、漏電検出 IC、電池管理 ICをラインアップ
している。これらの技術 / 回路を組み込んだ(複合的な)電源 IC。


SiC Si
(シリコン) (炭素)
とC で構成される化合物半導体。従来用いられているSiと比べて、さらに
高耐圧、低オン抵抗、高速動作の特長を持ち、電力変換効率を飛躍的に改善できる。また、高温
でも安定して動作するという特長も持つ。


TCFD Task Force on Climate-related Financial Disclosures
(気候関連財務情報開示タスク
フォース)の略。金融安定理事会(FSB)によって、気候関連の情報開示および金融機関の対応
を検討するために設立された。


TSR Total Shareholders Return
(株主総利回り)の略。ある一定期間における「株主にとっての
投資収益性」を示す株価指標。


スペシャリスト職 ロームの永続的な発展のために技術的に貢献できる人財。その担当する分野に特化した専
門性とスキルを持つ。


絶縁ゲートドライバ IC SiCやIGBTなどのパワー半導体を駆動し、人体・システム保護に必須の絶縁素子を内蔵したIC。


汎用デバイス トランジスタやダイオードなど、幅広い分野で汎用的に使用可能な電子部品のこと。


フープライン 大量生産に対応した生産ライン。


フレキシブルライン/ 省人化ライン 1つの生産ラインで多品種の製品を、人手に頼らずに製造できる生産ラインのこと。


ローム・ミュージックファンデーション 継続的に音楽文化の普及と発展に寄与することを目的に、創業者の佐藤研一郎が1991年に設立
した公益財団法人。若い音楽家の育成に力を入れており、支援した音楽家「ロームミュージック
フレンズ」は約30年間で4,636名(2021年3月末時点)



ワイドフレームライン 少量多品種に適した生産ライン。




ROHM Integrated Report 2021 59
グローバルネットワーク

海外拠点 ● 営業拠点 ● 開発拠点 ● QAセンター ● 生産拠点




主要営業拠点 QAセンター

ASIA ROHM Semiconductor Korea Corporation ASIA Shanghai QA Center
ROHM Semiconductor (Beijing) Co., Ltd. Shenzhen QA Center
ROHM Semiconductor (Shanghai) Co., Ltd. Taiwan QA Center
ROHM Semiconductor (Shenzhen) Co., Ltd. Korea QA Center
ROHM Semiconductor Hong Kong Co., Ltd. Thailand QA Center
ROHM Semiconductor Taiwan Co., Ltd. AMERICA Americas QA Center
ROHM Semiconductor Singapore Pte. Ltd.
ROHM Semiconductor Philippines Corporation EUROPE Europe QA Center
ROHM Semiconductor (Thailand) Co., Ltd.
ROHM Semiconductor Malaysia Sdn. Bhd. 生産拠点
ROHM Semiconductor India Pvt. Ltd.
ASIA ROHM Korea Corporation
AMERICA ROHM Semiconductor U.S.A., LLC ROHM Electronics Philippines, Inc.
LAPIS Semiconductor America ROHM Integrated Systems (Thailand) Co., Ltd.
EUROPE ROHM Semiconductor GmbH ROHM Semiconductor (China) Co., Ltd.
ROHM Electronics Dalian Co., Ltd.
テクニカルセンター ROHM-Wako Electronics (Malaysia) Sdn. Bhd.
ROHM Mechatech Philippines, Inc.
ASIA Korea Technical Center ROHM Mechatech (Thailand) Co., Ltd.
Beijing Technical Center AMERICA Kionix, Inc.
Shanghai Technical Center
Shenzhen Technical Center EUROPE SiCrystal GmbH
Taiwan Technical Center
ROHM LSI Design Philippines, Inc.
India Technical Center / India Design Center
AMERICA Americas Technical Center (Santa Clara)
EUROPE Europe Technical Center
Finland Software Development Center




国内拠点 ● 営業拠点 ● 開発拠点 ● 生産拠点 ● 物流拠点




営業拠点 生産拠点
京都 名古屋 西東京 ローム株式会社
東京 宇都宮 仙台 ローム浜松株式会社
横浜 松本 高崎 ローム・ワコー株式会社
ローム・アポロ株式会社
テクノロジーセンター ローム・メカテック株式会社
ラピスセミコンダクタ株式会社
京都テクノロジーセンター(本社)
京都テクノロジーセンター(京都駅前) 物流拠点
横浜テクノロジーセンター
ローム・ロジステック株式会社




60 ROHM Co., Ltd.
データ編


主な生産拠点における各セグメントとの関連

セグメント別 製品・サービス
セグメントの名称 主な製品及び事業の名称
LSI アナログ、ロジック、メモリ

半導体素子 ダイオード、トランジスタ、発光ダイオード、半導体レーザー

モジュール プリントヘッド、オプティカル・モジュール、パワーモジュール

その他 抵抗器、タンタルコンデンサ



会社名 LSI 半導体素子 モジュール その他
ローム浜松(株) ● ●

ローム・ワコー(株) ● ●

国内 ローム・アポロ(株) ● ● ● ●

ローム・メカテック(株) ● ● ● ●

ラピスセミコンダクタ(株) ● ● ●

ローム・コリア・コーポレーション ● ●

ローム・エレクトロニクス・フィリピンズ・インク ● ● ●

ローム・インテグレイテッド システムズ・タイランド
・ ・カンパニー・
● ● ● ●
リミテッド

ローム・セミコンダクタ・チャイナ・カンパニー・リミテッド ● ●

ローム・エレクトロニクス・ダイレン・カンパニー・リミテッド ●
海外
ローム・ワコー・エレクトロニクス・マレーシア・センディリアン・

バハッド

ローム・メカテック・フィリピンズ・インク ● ● ●

ローム・メカテック・タイランド・カンパニー・リミテッド ● ● ●

カイオニクス・インク ●

サイクリスタル・ゲーエムベーハー ●




「ROHM Integrated Report 2021」発行にあたって

 ロームでは、中長期的な成長や企業価値向上につい  本報告書は、広報 IR 室が編集の中心となって関係部
てステークホルダーの皆様にご理解をより一層深めてい 署と協力し、制作したものです。統合報告書の制作責
ただけるよう、2018年3月期より「統合報告書」を発行 任を担う部門として、その制作プロセスが正当であり、
しています。 かつ記載内容が正確であることを表明します。
 本年度の統合報告書では、ロームが目指す方向性と長  本報告書が、株主・投資家をはじめとする幅広い
期的な価値創造プロセス、5月に発表した中期経営計 ステークホルダーの皆様に、ロームの成長と企業価値
画を中心にご紹介しています。また、ESG情報の充実も 向上および持続可能な社会の実現に向けた取組みを
図り、気候変動への取組みやコーポレートガバナンスに ご理解いただく一助となれば幸いです。
関する情報を拡充しました。 経営戦略本部 広報 IR 室




ROHM Integrated Report 2021 61
会社概要/株式情報

商 号 ローム株式会社 発行可能株式総数 300,000,000株

設立年月日 1958
(昭和33)年9月17日
発行済株式総数 103,000,000
(自己株式4,859,134株を含む)
本社所在地 〒615-8585
京都市右京区西院溝崎町21
TEL:
(075) 311-2121 株主数 26,781名
FAX:
(075) 315-0172
上場証券取引所 東京証券取引所 市場第一部
資本金 86,969百万円(2021年3月31日現在)
証券コード 6963
代表者 代表取締役社長 松本 功

株主名簿管理人 三菱 UFJ 信託銀行株式会社
売上高 連結 359,888百万円(2021年3月期)

従業員数 連結 22,370名(2021年3月31日現在) 独立監査法人 有限責任監査法人トーマツ




大株主(上位10名)

株主名 持株数(千株) 持株比率(%)

公益財団法人ロームミュージックファンデーション 10,385 10.58

日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 8,996 9.16

株式会社日本カストディ銀行(信託口) 5,224 5.32

株式会社京都銀行 2,606 2.65

GIC PRIVATE LIMITED-C 1,738 1.77

STATE STREET BANK WEST CLIENT - TREATY 505234 1,404 1.43

株式会社日本カストディ銀行(信託口5) 1,274 1.29

GOVERNMENT OF NORWAY 1,238 1.26

THE BANK OF NEW YORK 134088 1,132 1.15

株式会社日本カストディ銀行(信託口6) 1,130 1.15

※1 持株数は千株未満を、 持株比率は小数点第2位未満を、それぞれ切り捨てて表示しています。
※2 当社の自己株式(4,859千株) 上表から除外しています。なお、
は、 自己株式には株式付与 ESOP 信託が保有する当社株式(5千株)を含んでいません。
※3 持株比率は発行済株式の総数から自己株式を除いた数に基づき算出しています。




■ 自己名義
4.72%

■ 個人その他 ■ 金融機関
7.94% 26.38%

■ 外国法人等 所有者別
44.90%
株式分布状況
■ 金融商品取引業者
3.11%
■ その他の法人
12.95%




詳し は当社ウ ブサイ ご覧く
く ェ トを ださい。➡
https://www.rohm.co.jp/investor-relations/stock-information




62 ROHM Co., Ltd.
データ編
IR FAQ


Q1 営業利益率17% 以上を目標にされていますが、今回の中期経営計画
でどのように達成していくのでしょうか。

A パワーとアナログで車載と海外市場を中心に売上を大きく伸ばし、高付加価値製品の開発、生産効率
の改善で、営業利益率の目標17% の達成は十分に可能だと考えております。




Q2 中期経営計画の4,000億円の成長投資についてご解説ください。

A 注力分野における新製品を中心とした生産能力増強や、フレキシブルラインをはじめとする省人化、
自動化、品質改善のためのリニューアル投資に3,000億円、さらにM&A のための資金に1,000億円
と位置づけています。




Q3 資本政策に関して、手元資金を5年間でどのように圧縮していくの
でしょうか。

A 毎年発生するフリー・キャッシュ・フローは、将来の成長に向けての投資に積極的に使っていきま
す。加えて、継続的に自己株式取得を進める等、成長投資と株主還元を組み合わせて手元資金を
圧縮していく予定です。




Q4 どのような M&A 案件を検討しているのでしょうか。

A 特定の事業テーマや地域に限定するのではなく、ロームの成長につながるような案件を幅広く検討
したいと思っています。M&A の規模は未定ですが、状況により1,000億円を超える可能性もあり
ます。




Q5 SiC 市場においてのロームの強みを教えて下さい。

A ①ウエハからパッケージ・モジュールまでの一貫生産体制による安定供給、②20年以上にわたる
研究開発による最先端のデバイス技術、③周辺部品も含めた顧客へのトータルソリューション提案
が強みです。




Q6 新型コロナウイルス禍における事業環境について教えて下さい。

A 新型コロナウイルス禍におきまして、海外工場において、現地政府の発令・指導に従い、一時的な
稼動停止、稼働率低下を余儀なくされた工場がありました。いずれの工場におきましても、従業員
の健康と安全を第一に、検温やマスクの着用、衛生管理など万全の防疫体制を整えたうえで、当局の
許可を得て、2021年9月現在では通常稼動となっております。


ROHM Integrated Report 2021 63
https://www.rohm.co.jp

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