国際会議「IEEE MEMS 2022」採択と発表決定のお知らせ

2021 年 11 月 29 日
各 位
会 社 名 株式会社多摩川ホールディングス
代表者名 代表取締役社長 桝沢 徹
(JASDAQ・コード6838)
問合せ先 経営企画部 山内 加奈
電話番号 03-6435-6933


国際会議「IEEE MEMS 2022」採択と発表決定のお知らせ

この度、当社で進めております小型原子時計向けのガスセル開発の成果に関する論文が、MEMS(Micro
Electro Mechanical Systems)分野における世界最高峰の国際 会議の一つである「The 35th International
Conference on Micro Electro Mechanical Systems」(IEEE 主催、以下「IEEE MEMS2022」
)にて採択され、発
表することが決定いたしましたのでお知らせいたします。





1.概要
現在、Society5.0 や Post COVID-19 の世界を見据え、社会や産業のデジタルトランスフォーメーション
(DX)が加速する中、人やモノを接点とする膨大なデータをつなぐ基盤である通信・エネルギーインフラに
は更なる開発が期待されております。
2021 年 9 月 10 日付「あたらしい小型原子時計のガスセルの作製成功と販売に関するお知らせ ~超高精
度磁気センサからジャイロセンサまで新規市場参入へ~」にて公表しておりましたとおり、弊社は小型原
子時計の性能を大きく支配する重要な構成部品のガスセルを小型かつ低コストに製造する方法(特許出願
中)の実証に成功いたしました。
その成果に関する論文が IEEE MEMS2022 にて採択され、発表することが決定いたしました。弊社で共
同研究開発を進めております東北大学工学研究科・小野崇人教授と、東北大学マイクロシステム融合研究
開発センター・古屋泰文学術研究員(元東北大学特任教授、弘前大学名誉教授)との共著になります。開
発した成果を国際会議で発表することにより、国内外を問わない事業展開を期待しており、さらに、専門
家との意見交換や交流により今後の開発の飛躍が期待されます。


2.発表情報
会議名 The 35th International Conference on Micro Electro Mechanical Systems (IEEE MEMS 2022)
開催日程 2022 年 1 月 9 日~13 日(現地(東京)/オンライン同時開催)
発表タイトル MICRO VAPOR CELLS SEALED BY TWO-STEP BONDING FOR MINIATURE ATOMIC
CLOCKS
発表番号 150-h
国際会議 URL https://ieeemems2022.org/
発表概要 小型原子時計のためのガスセルについての内容で、半導体製造装置を用いたマイクロ
ファブリケーションによる新手法の提案と実証について報告する。図 1(a)には、小型
原子時計の測定系の概要図を示した。レーザー光源には、795 nm 波長域の VCSEL
(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が用いられ、そこに 3.41GHz のマイクロ波が印加
されて強度変調による CPT 共鳴線の検出をする構成になっている。図 1(b)には、提案
し た 手 法 に よ り 作 製 し た ガ ス セ ル を 用 い て 、 測 定 し た CPT (Coherent Population
Trapping) 共鳴線のグラフを示した。6.83 GHz の変調周波数に対して半値全幅 4.0 kHz
のピークが得られており、Q 値(Quality Factor)が 170 万以上得られていることがわか
る。




(a) (b)

図1
(a) ガスセル(Vapor cell)を用いた小型原子時計の測定システムの概要図
(b) CPT 共鳴線の測定結果。Q 値が 170 万以上ある。



3.用語の説明
◆MEMS(メムス、Micro Electro Mechanical Systems)
スマートフォン、自動車、ゲーム機等で使われるセンサ、プロジェクターで光を制御するミラーデバイ
ス、イヤホンの超小型マイクなど、様々な製品を支える必要不可欠なデバイスとして活用されている。 主
要部分は半導体製造技術を応用しており、立体形状や可動構造を形成するためのプロセスをも作製するこ
とができる。


◆小型原子時計
人工衛星等や通信基地局に搭載されている時計で、一般的な水晶振動子を用いた時計より高精度な位置
情報や時刻の情報を得ることができる。近年、スマートフォンや自動車等の移動体通信機器にも搭載する
ことで、高精度なナビゲーションや高速大容量通信をすることが期待されている。


◆CPT (Coherent Population Trapping)共鳴
2 つの基底準位と共通の 1 つの励起準位に対し 2 本のレーザー光を照射することで生じる量子干渉現象
で、2 つのレーザーの周波数の差が基底準位間の周波数差に一致したとき原子と相互作用しなくなる原子
状態のことを示す。
◆ガスセル
アルカリ原子を封入したガラス容器で、小型原子時計、磁気センサ、ジャイロセンサ等に応用される。
多くは、レーザー光を用いた光量子現象に利用され、近年、MEMS 技術を用いた小型なものが主流になり
つつある。図2には応用先の概要図を示した。




図2:ガスセルの応用先の概要図
小型原子時計では現在も広く利用されている。磁気センサでは、超高精度化が実現でき脳波計など
に応用される。ジャイロセンサでも超高精度化が実現でき、自動運転システムのためのスリップ防
止のセンサとして期待されている。ガス計測等の分光器では光の波長の基準にガスセルが用いられ
ており、新たな市場として期待されている。



今後も、当社は SDGs (Sustainable Development Goals) を念頭とした、
「通信」「エネルギー」分野での

ソリューションを提供し、「脱炭素社会」の実現に貢献して参ります。
以上

7161