国立研究開発法人防災科学技術研究所・白山工業株式会社と地盤の「微動探査」に関する産学共同研究を締結

イベント PRESS
RELEASE

2016 年 10 月 18 日

地盤ネットホールディングス株式会社



住宅地盤調査における地震動に対する地盤評価を実用化へ

国立研究開発法人防災科学技術研究所・白山工業株式会社と
地盤の「微動探査」に関する産学共同研究を締結
~地震による地盤の揺れやすさ評価、流通促進が求められる既存住宅の地盤評価に向けて~



“生活者の不利益解消”という正義を貫き、安心で豊かな暮らしの創造を目指す地盤ネットホールディングス子会
社の地盤ネット総合研究所株式会社(以下、地盤総研)は、地震動に対する高度な地盤構造評価手法を個別の住宅に
おける地盤・建物調査へ活利用すべく、国立研究開発法人防災科学技術研究所(本所所在地:茨城県つくば市)、白山
工業株式会社(本社所在地:東京都府中市)と地盤の「微動探査」に関する産学共同研究を締結いたしました。


微動探査とは、常に体感できないほど僅かに振動している地盤の動き(微動)を観測する地盤調査手法で、微動の
地盤中の伝わり具合を観測することで、地盤の硬さや地下構造、地震に対する揺れやすさなどを調べることができる
調査手法です。地盤ネット社の「地盤安心マップ」掲載の「地震動予測地図」についても、防災科学技術研究所によ
る地震記録や微動探査等が集積されたデータから、地震による地域の揺れやすさを示す地図として公開されておりま
すが、今後は微動探査を取り入れたモデルからの計算が採用されることから、その最新技術を先取りするものです。


熊本地震現地調査でも、宅地の地震を中心とした被害の度合いには地盤による影響が大きかった教訓を踏まえて、
個別宅地における地盤評価に、微動探査の技術を実用化することを目的とした研究を推進いたします。本研究にあた
っては、巨大地震や火山噴火等の災害による被害軽減のための観測・予測技術の研究開発を行っている文部科学省所
管の国立研究開発法人・防災科学技術研究所および、日本初の緊急地震速報システム開発も担当した地震計測機器ト
ップメーカーの白山工業株式会社と地盤総研の間で、共同研究締結の運びとなりました。




熊本県益城町における微動探査テスト事例
微動探査は、戸建て住宅調査で主流のスウェーデン式サウンディング試験の補完として、切り土、盛り土の境界な
ど軟弱地盤の深さと良質地盤との境界の特定や、地震に対する個別宅地単位の揺れやすさや深部構造探査のほか、非
破壊で地盤構造が調査できることから、表層が舗装されている宅地での地盤調査への活用が期待されます。


さらに、微動探査では地盤に加えて既存建物の固有周期を調べることが可能であるため、中古住宅の地盤状況や地
震に対する揺れやすさの個別宅地における評価や、建物と地盤の卓越周期を評価できることから、今後流通が促進さ
れる既存住宅の地盤評価など活用についての研究を進めてまいります。既存住宅の宅地と地盤評価に基づいた不動産
売買、再活用の促進に寄与することで、地盤も良く安全な既存宅地への移住を促進でき、良い地盤のエリアに多く存
在する空き家問題の解消に対しても貢献できることが考えられます。
なお、熊本地震第 3 次調査(2016 年 6 月 15 日~17 日)および先日実施致しました同第 4 次調査(2016 年 9 月 29
日~9 月 30 日)では、先行して熊本県益城町の地震被害が甚大な地点および、熊本市の液状化被害発生地域におきま
して、微動探査の試験的測定を実施いたしました。
これらの結果につきましては、2016 年 10 月 21 日に日本科学未来館(東京都江東区青海 2-3-6)で開催される公益
社団法人地盤工学会・関東支部発表会(GeoKanto2016)で、地盤総研の取締役・横山芳春らにより、下記の論文発表
を実施予定です。


今後は、地盤・建物の被害状況や、地盤のスウェーデン式サウンディング試験結果を踏まえた微動探査のテストを
踏まえて、今後の微動探査による地盤や住宅の調査手法の確立および、微動探査による「地震による揺れやすさ」を
評価するための地盤調査の一般住宅への普及および実用化を目的とした研究開発を推進して参ります。




・地盤工学会関東支部大会 論文発表

横山芳春・佐藤 実・山本 強・先名重樹・平山義治・中井俊樹・井澤俊博・田口 茂,
2016 年熊本地震における戸建て住宅被害の実例~益城町の住宅地盤調査結果と、熊本市の液状化・流動化被害および
微動探査による予察的検討~.第 13 回地盤工学会関東支部発表会梗概論文(CD-ROM)に投稿中。




■共同研究の概要
(ア)研究期間 2017 年 3 月 31 日まで


(イ)研究テーマ 住宅地盤調査分野への利活用を目的とした地盤構造評価システムの開発検討


(ウ)参加研究者 国立研究開発法人 防災科学技術研究所
社会防災システム研究部門災害リスク研究ユニット
主幹研究員 先名 重樹 博士(工学)
研究員 東 宏樹 修士(政策・メディア)
同研究ユニット(兼)レジリエント防災・減災研究推進センター
研究員 内藤 昌平 修士(理学)
社会防災システム研究部門長 災害リスク研究ユニット長
総括主任研究員 藤原 広行 博士(理学)


地盤ネット総合研究所株式会社
取締役 技術開発部長 横山 芳春 博士(理学)
取締役 ネット事業部長 磯野 和幸
執行役員 建築技術品質管理部長 伊東 洋一 一級建築士
技術開発部 研究員 山辺 雅志
技術開発部 研究員 臼岩 拓 技術経営修士
建築技術品質管理部 客員研究員 小林 智浩 一級建築士


白山工業株式会社
代表取締役社長 吉田 稔 理学修士
基盤開発部 部長 平山 義治 博士(理学)
営業本部 防災営業グループ
グループ長 中井 俊樹




<本件に関するお問い合わせ先>
地盤ネットホールディングス株式会社 広報担当
TEL:03-6265-1834 FAX:03-6265-1804 MAIL:jibanir@jibannet.co.jp

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