「デジタル・トランスフォーメーション戦略(DX戦略)」策定に関するお知らせ

2023年2月10日

  各 位

会 社 名  株 式 会 社  中西製作所
代 表 者 名  代表取締役社長  中西 一真
(コード番号:5941 東証スタンダード市場)
問合せ先 執行役員経営企画室長 吉川 日出行
(TEL 03-6679-3007)




 「デジタル・トランスフォーメーション戦略(DX 戦略)」策定に関するお知らせ 



  当社は、下記のとおり「デジタル・トランスフォーメーション戦略(DX 戦略)」を策定し、本日の
取締役会で決議いたしましたので、お知らせいたします。

  DX戦略の統括責任者として代表取締役社長を、DX推進責任者として経営企画室長を正式
に任命し、当社におけるDX戦略の推進をより具体的かつ明確に行うことを決定いたしました。

  当社では業界に先駆けてデジタル技術の活用と情報革新に取り組んでおり、いち早く社員
にPCとスマートフォンの配布を完了し、基幹システムの革新も実現しました。今後はさらに、この
デジタル技術活用を推進し、厨房機器業界内でのデジタル化推進ナンバーワン企業としての位
置づけをより強固なものとし、事業のあらゆる面を変革して競争上の優位を確立いたします。
 具体的には以下の6つのテーマについて取り組みを進めて参ります。

(1) デジタル技術による生産性の向上
(2) デジタル技術を用いたリアルタイム経営の推進
(3) デジタル技術を用いた多様な働き方のサポート
(4) デジタル技術による新しいマーケティング
(5) 製品・サービス自体のデジタル化の推進
(6) デジタル技術を用いた社員のスキルアップやデジタルリテラシーの底上げ



なお、詳細につきましては、別紙をご覧ください。




以 上
【別紙】添付資料
当社における DX 戦略について


1.はじめに(経営戦略と DX ビジョン)
当社は「切磋琢磨して、斬新なアイデアを提供できる企業⼈となり、良品廉価を持って顧
客に奉仕し、万⼈の⾷⽣活をますます豊かにすることに貢献する」を経営理念に掲げ、「時
代の流れやマーケットニーズを的確につかんだ製品やトータルシステムの開発を進め、こ
れからも⼈々の社会⽣活の多様化に対応した『⾷⽂化のコーディネーター』として、⾷⽣活
に新たな価値を創造する」ことを経営戦略として参りました。
2021年に創業75周年を迎えたことを期に中期経営計画を策定し、2022年7⽉
に公表しました。この中期経営計画では、既存のマーケットにおけるシェアやプレゼンスを
維持しつつ、周辺分野へ販路を拡⼤するとともに、新規市場に対しての製品開発と⼈材育成
を⾏い、競争⼒を強化することを基本⽅針としています。
中⻑期的な施策としては、多様な⼈材が活躍できる環境を整え、⽣産性向上と多様なニー
ズに対応するダイバーシティを推進し、社員満⾜度の向上を通じて、持続的な成⻑と中⻑期
的な企業価値向上を⽬指すこともうたっています。
当社では業界に先駆けてデジタル技術の活⽤と情報⾰新に取り組んでおり、いち早く社
員に PC とスマートフォンの配布を完了し、基幹システムの⾰新も実現しました。今後はさ
らにこのデジタル技術活⽤を推進し、厨房機器業界内でのデジタル化推進ナンバーワン企
業としての位置づけをより強固にし、顧客への提供価値増⼤、競争⼒強化、従業員満⾜を通
じた社会全体への貢献の3つをさらに増⼤させることを DX ビジョンとします。


2.当社における DX 戦略の概要と取組状況
こうしたビジョンの策定に向けて、当社はこれまでに取り組んできたデジタル化と情報
化を加速し、デジタル技術を⽤いて事業のあらゆる⾯を変⾰し、競争上の優位を確⽴します。
具体的には以下の6つのテーマについて取り組みを進めて参ります。
(1) デジタル技術による⽣産性の向上
当社では1981年より基幹業務のシステム化に取組み、オフコン、C/S システ
ム、Web システムを経て2022年6⽉より新業務システムをリリースしました。
当社の業務システムのコンセプトは、
「情報発⽣源⼊⼒」
「複数回⼊⼒の撲滅」
「ペ
ーパーレス化」
「ワークフロー化」であり、特殊性の多い厨房業界の受発注作業にお
ける⼈⼿とミスを極⼩化しております。
当社では、当社内の業務プロセスに留まらずバリューチェーン全体の業務効率化
についてもデジタル技術を⽤いた改善を⾏ってきており、著しい成果も上げており
ます。具体的には当社と取引先となる零細企業間での請求・⽀払業務において、⻑
年当社向けの請求書を代⾏作成し郵送していたものをデジタル化の進展にあわせて




電⼦メールによる PDF 送付へ変更し、その後のペーパーレス化段階では、この請求
書授受作業⾃体を廃⽌しました。
今後は電⼦帳簿保存法対応に伴い、納品書関連をさらに簡略化する予定です。
当社では、電⼦掲⽰板上に設けた提案システムを通じて、総務、⼈事、営業事務、
購買といった間接業務の担当者からの事務改善提案を⽇々吸い上げております。提
案されたアイデアは、デジタル技術に詳しい経営・管理部⾨のスタッフが吟味の上
で採⽤・実⾏を判断され、EUD ツールや電⼦マニュアルなどのデジタル技術を⽤い
て業務変⾰が実現される仕組みが常設化されています。
デジタル技術による⽣産性の向上を⽇々可視化することは、これまで無意識、当
たり前で⾏っていた業務から無駄をそぎ落とし、⼿作業で⾏っている業務のあり⽅
を根本から改善、効率化する良い機会になります。こうした取り組みは今後も継続
し、デジタル社会における効率的な業務遂⾏を妨げるサイロ化、属⼈化の撲滅へつ
なげていきます。


(2) デジタル技術を⽤いたリアルタイム経営の推進
当社では、GoogleWorkspace 上に経営ダッシュボードを構築し、経営層が⽇々リ
アルタイムに全社の経営状況を把握できる仕組みを構築済みです。
経営ダッシュボードでは、案件管理データベースと期間損益シミュレーションを
中⼼に、数年先までの経営予測が出来るようになっています。
経営ダッシュボードの構築にあたり、営業部⾨における案件管理⼿法の統⼀化を
⾏い、営業活動におけるKPIを揃えました。これにより⽇々営業現場が⽤いてい
る報告がそのまま経営層宛に報告・集計されるようになり、報告⽤会議の為の資料
作成の⼿間は10分の1以下になりました。
今後はこの経営ダッシュボードのさらなる⾼度化を図り、⽣産部⾨の数値情報の
提供や、AI やシミュレーション機能を⽤いた予測数字の精度アップを⾏い、より迅
速かつ的確な経営判断を⾏える環境を整えます。


(3) デジタル技術を⽤いた多様な働き⽅のサポート
当社では2015年より社員への携帯電話の配布を始め、2017年にはスマー
トフォンへの切り替えを完了しました。これと並⾏して PC の1⼈1台化も進めリ
モートでの執務環境を整えてきました。経費精算、勤怠管理、ワークフロー、e ラー
ニング、⼈事給与等⼤半の間接業務はデジタル化済みであり、コロナ禍初期にはス
ムーズに在宅勤務を導⼊し、即座に社員の半数以上が在宅勤務へ移⾏しました。
今後も育児や介護等に取組む世代が他の⼈への負荷のしわ寄せを気にすることな
く、各⾃の状況にあわせて適宜希望する勤務形態を選択できるように、クラウド
PBX 化や IP 電話の導⼊による電話番の為の出勤の廃⽌や納品チェック作業のデジ




タル対応等を進めていきます。
当社では、タブレットを⽤いたペーパーレス会議システム、GoogleWorkspace の
共有フォルダ、スケジュール管理システムの会議情報へのアジェンダと配布資料の
登録により、取締役会、本部⻑会(経営会議)をはじめとした会議の多くでペーパ
ーレス化が実現できています。
国内の全拠点との VPN 化、主要拠点の無線 LAN 化も完了していますが、今後は
デジタルワークスタイルの変化にあわせて、東京本社の執務スペースには対⾯での
会議、リモート会議それぞれに適したスペースを新設します。


(4) デジタル技術による新しいマーケティング
5年前にホームページのリニューアルを⾏い、コンテンツを充実させ、広報・PR・
IR 活動を充実させて来ましたが、近年では特に動画を活⽤した会社・製品説明を充
実させています。VR 技術を⽤いた給⾷センター内のレイアウト体験など、IT を駆
使した Web 展⽰会も開催済みです。
当社の⼤型製品の特⻑や構造を判りやすく理解していただくための説明ビデオは
お客様や取引先から好評で、今後発売する新製品については発売開始時に全て動画
での説明を同時公開します。
新卒採⽤の為の会社紹介動画は公開後数年間で既に 1.5 万回以上再⽣されていま
すし、新卒採⽤ムービーも学⽣の間で評判です。2022 年9⽉からは、未来の給⾷セ
ンターのイメージを映像化したコンセプトビデオを YouTube にて公開しています。
コンセプトビデオの制作の際には、社内に独⾃にワーキングチームを組織し経
営トップが⾃ら参加して、会社として進むべき未来の姿を SF 思考で考えました。
当件は SF プロトタイピングの活⽤事例としてネットメディアの記事に取り上げら
れています。
(https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2211/28/news021.html)
当社の主要なマーケティングツールに展⽰会への出展がありますが、当社の機械
は⼤型製品が多いため、展⽰会において全ての機械を展⽰することは不可能です。
この機械の実機をイメージしにくいという課題を解決する為に3D ホログラムを活
⽤した製品紹介システムも導⼊しました。
こうした動画や映像といったデジタル技術による製品紹介は⾔語情報よりも理解
がしやすいことから、今後も英語版のコンテンツも増やしていき海外向けのホーム
ページや展⽰会も充実させていきます。


(5) 製品・サービス⾃体のデジタル化の推進
メーカーとしてデジタル技術を⽤いた製品強化にも取り組んでいます。
既に当社のお客様にあたる外⾷チェーン様向けには店舗カルテシステムを構築し、
店舗内の厨房機器の状態や過去のメンテナンス履歴等をいつでもどこでも把握でき




るデータベースを構築済みです。
外勤・外注要員にはタブレット端末を配布し、クラウド上で電⼦化した社内技術
⽂書、マニュアル、説明書へアクセスさせることでリモートメンテナンスを充実・
⾼度化しております。
今後は⾃社取扱いの全製品に関するデータベースシステムを CRM が核となり整
備・拡充していく計画です。当社の製品は特注品が多いという特徴がありますが、
こうした機械の仕様、設置場所、点検結果、修理や部品交換といった全ての情報を
蓄積してビッグデータ化し、解析結果をもとに製品・部品の改良に取り組みます。
静的なデータベースシステムの整備と並⾏して機械⾃体の IoT 対応も進めていま
す。⾃社独⾃の IoT オープンプラットフォームを構築して、遠隔地にある機械の状
態をモニタリングし、現場に⾏くこと無くリモートにて迅速かつ的確な障害対応を
可能とすると共に、前述のデータベースシステム上のビッグデータと連携させた予
防保全へ繋げていきます。(図「中⻄製作所 IoT-System ビジョン」参照)




(6) デジタル技術を⽤いた社員のスキルアップやデジタルリテラシーの底上げ
当社は業界内では先陣を切って情報武装、システム化を推進して参りました。
部⾨や個⼈の担当業務にあわせて⾃由にカリキュラムを選択できるカフェテリア
⽅式のeラーニングシステムを導⼊し、通勤時間や移動時間に社員が⾃発的にスキ
ルアップできる環境を実現済みです。
特に技術担当者については、各⾃の保有するスキルの棚卸と標準化を進めたスキ
ルマップの作成に着⼿しました。デジタル技術を⽤いてオンラインで管理されるス



キルマップでは、上司が年次ごとの達成レベルをアドバイスするだけでなく、社員
⾃らが不⾜しているスキルを確認してeラーニング等で強化を⾏えるので、社員の
育成計画の幅が広がり育成に要する期間が短縮されると期待しています。
当社は学校への給⾷提供を⽀えるという事業の特性上から、全国の都道府県に拠
点を設けて社員を配置しております。この結果複数の拠点に営業や事務、技術(メ
ンテナンス)といった同じ業務を担当する社員が点在する半⾯、同じ拠点内には同
⼀業務の担当社員が居ないという状況も発⽣しがちです。
こうしたコミュニケーション上の課題をクリアするために、職種別・⽬的別のチ
ャットの活⽤を⾏い、同じ課題や悩みを持つ社員同⼠が全国で連絡を取り相談でき
る場を設けて⽀え合う仕組みを今後も積極的に活⽤していきます。


3.当社におけるDXの推進体制
前述した当社におけるDX戦略上の各⽅策は、当社における年次の部⾨毎の計画内
に、⽬的ではなく⼿段の⼀つとして組み込まれています。
当社経営企画室では、こうした部⾨計画内の DX関連の⽅策を把握し、その計画、実
⾏、効果のモニタリングを⾏ってきました。期待された効果を発揮できていないDX関
連の⽅策については、経営企画室が介⼊して計画の⾒直しや実務の肩代わりを⾏い、達
成までをサポートしています。
2023年2⽉の取締役会にて、代表取締役社⻑を DX戦略の統括責任者、経営企
画室⻑をDX推進責任者として正式に任命し、当社におけるDX戦略の推進をより具
体的かつ明確に⾏うことが決定されました。
DX推進責任者は部⾨計画内のDX関連の⽅策を取り纏め、DX統括責任者を通じ
て毎年1回取締役会に対してその達成状況と成果を指標と共に報告します。当⽂書「当
社におけるDX戦略について」もその際に⾒直しを⾏います。


4.DX推進戦略の達成状況に係る指標
当社においてDX戦略上の各⽅策は⼿段ですので、その戦略実施により⽣じる効果
は最終的には企業収益に現れるものだと考えております。
しかしながら、各⽅策の遂⾏にあたり、進捗状況を確認するためにテーマごとにいく
つかの指標を⽤いてモニタリングを⾏います。
(1) デジタル技術による⽣産性の向上
当社では社内の業務プロセスに留まらずバリューチェーン全体で業務効率化するこ
とについて積極的に取り組んでおりますが、近年この効率化の壁になっているのが、デ
ジタル化の旗振り役である⽇本政府の官公庁指定書式の請求書です。
官公庁から独⾃に指定された書式の請求書を⼈⼿で作成した枚数をカウントし、前
年よりも削減できた数を DX 戦略推進上の進捗管理指標としています。




(2) デジタル技術を⽤いたリアルタイム経営の推進
デジタル技術を⽤いたリアルタイム経営により最終的に得られる効果は、経営環境
の変化やリスク等の早期把握による適時・的確な経営判断による対応と結果予測の精
緻化であると考えています。
したがってこのテーマにおいては、業績に関する予想数値と結果数値のズレ度合い
を指標としてこれをモニタリングします。
(3) デジタル技術を⽤いた多様な働き⽅のサポート
当社ではデジタル化の進展により、社員の働き⽅が多様化され選択肢が増えると考
えています。こうした働き⽅が多様化された環境では、社員は出勤か在宅勤務かの 2 元
論ではなく、各⾃の事情や状況にあわせて⽇々ベストミックスな働く場所や働き⽅の
選択を⾏うと考えています。
したがって、このテーマにおけるモニタリング指標は、年間において時差出勤や在宅
勤務をはじめとする選択的な働き⽅を活⽤した社員数(割合)を⽤いる予定です。
(4) デジタル技術による新しいマーケティング
当社ではデジタル技術を⽤いた新しいマーケティング⼿法を⽤いて実際に営業活動
を⾏っております。したがって、この DX 戦略推進の達成については、デジタルマーケ
ティングにより得た新たなリード(引き合い)件数を指標とします。
(5) 製品・サービス⾃体のデジタル化の推進
現在当社⾃⾝の製品のデジタル化に取り組んでおり、特に IoT 化に⼒点を置いてお
りますので、当社機械の IoT 接続数が重要な指標となります。
(6) デジタル技術を⽤いた社員のスキルアップとデジタルリテラシーの底上げ
当社におけるDX戦略の推進は社会環境の変化もあってトップダウンで急速に進⾏
しています。この結果、最近は急速な業務のデジタル化についてこられない社員も散⾒
されるようになりました。
今後は社員のデジタルリテラシー向上にも⽬を配り、社員に対してIT関連資格の
取得⽀援と取得状況の把握を始めます。社内におけるIT関連資格の取得数を指標と
してモニタリングする予定です。


5.当社におけるサイバーセキュリティに関する対策について
情報セキュリティポリシーおよび情報管理規程に基づく情報セキュリティ対策を継
続実施。サイバー攻撃による事業停⽌やウイルス感染による情報漏洩を経営上のリス
クとして認識し、対応状況を常時監視するとともにリスクの分析・評価を定期的に⾏っ
ています。
■主なセキュリティ対策
◇技術的対策
・不正アクセスやウイルスを検知・防御する仕組みの導⼊




・外部セキュリティベンダーによるネットワーク・セキュリティ監視
・PC へのウイルス対策ソフト・PC 管理ソフトの導⼊
・取締役会向けにペーパーレス会議システムを導⼊
◇組織的・⼈的対策
・セキュリティ教育 E-Learning の定期実施
・従業員を対象にした標的型メール訓練の実施
・毎⽉ 1 回、セキュリティに関するメールマガジンを作成し全社員へ配布


以上





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