コバルト回収を含めた二次電池リサイクル技術の実証実験に成功

2021年 8 ⽉16⽇


会 社 名 住友⾦属鉱⼭株式会社
代表者名 代表取締役社⻑ 野崎 明
(コード番号 5713 東証第 1 部)
問合せ先 広報 IR 部 草薙 英昭
(TEL. 03−3436−7705)


コバルト回収を含めた⼆次電池リサイクル技術の実証実験に成功
―世界初、リチウム回収可能な可溶性スラグ産出を組み込んだ
新リサイクルプロセスを確⽴−


住友⾦属鉱⼭株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社⻑:野崎 明)は、使⽤済みの
リチウムイオン電池(以下、LIB)等の⼆次電池からニッケルおよびコバルトを回収し⾼純
度化することにより、LIB ⽤正極材の原料として再利⽤できることを実証しました。加えて
世界で初めてとなる独⾃のリチウム回収技術により、使⽤済みの⼆次電池から銅・ニッケ
ル・コバルト・リチウムを再資源化する能⼒を備えた新リサイクルプロセスを確⽴しました。


当社は持続可能な循環型社会の形成を⽬指し、使⽤済みの⼆次電池やその製造過程で発
⽣するスクラップに含まれる⾦属を電池材料として再資源化する⽔平リサイクル※の実⽤
化に取り組んでまいりました。
2017 年には、東予⼯場(愛媛県⻄条市)およびニッケル⼯場(愛媛県新居浜市)におい
て既存の製錬⼯程を活⽤して銅およびニッケルのリサイクルプロセスを実⽤化し、⽇本で
初めて使⽤済み⼆次電池からの「電池 to 電池」の再資源化を実現しました。さらに、2019
年には、既存の⼯程から独⽴した乾式製錬⼯程および湿式精錬⼯程の組み合わせにより、課
題となっていたコバルト回収を可能とする新リサイクルプロセスを開発し、愛媛県新居浜
市に建設したパイロットプラントによる検証を続けてまいりました。


今回、このパイロットプラントのプロセスを最適化し、使⽤済みの⼆次電池等に含まれる
不純物を安定的かつ効率的に分離して、⾼純度のニッケル・コバルト混合液の回収に成功し
ました。さらに、得られたニッケル・コバルト混合液を原料として LIB ⽤正極材を作製し
て評価したところ、その電池性能が、天然資源由来の既存原料から製造したものと同等であ
ることが実証されました。 また、従来は困難とされていた乾式製錬⼯程からのリチウム回
収が可能な可溶性スラグの産出にも成功しており、この世界で初めてとなる独⾃の技術を
プロセスに組み込むことで、使⽤済みの⼆次電池から銅・ニッケル・コバルト・リチウムを
再資源化する能⼒を備えた新リサイクルプロセスを確⽴しました。
これは、2020 年 12 ⽉に欧州委員会が提案した「欧州電池規則案」にも⽰された、使⽤済
み⼆次電池からの資源回収率への対応を⾒据えた技術とプロセスです。


脱炭素社会に向けて、今後⾃動⾞の電動化は世界的にますます進展する⾒通しで、電動⾞
に⽤いられるニッケルやコバルト等の需要は拡⼤しています。しかし、これらは希少⾦属で
あり、資源の産出地域や抽出技術の所在が偏っているなかで、安定供給は重要な課題であり、
これまで以上にリサイクルを活⽤した資源循環が求められています。
「電池 to 電池」の再資源化を実証した今回のプロセスが事業化されれば、国内において
持続可能な循環型社会の形成がより⼀層進み、世界的な資源枯渇に対応する資源循環に貢
献ができるものと期待しています。


今後も当社は、この電池リサイクルの取り組みを通じて、
「2030 年のありたい姿」の重要
課題「⾮鉄⾦属資源の有効活⽤」で掲げている「⾼い技術⼒で資源を⽣み出す企業」の実現
に向けて取り組んでまいります。


※⽔平リサイクル:使⽤済みの製品が資源となり、再び同じ製品として⽣まれ変わるリサイ
クルシステムの総称。「電池 to 電池」も含む。


・再資源化の流れ
※参考
・「2030 年のありたい姿」:達成イメージ




・「2030 年のありたい姿」:11 の重要課題とありたい姿

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