3Dプリンターによるコバルトフリーの低熱膨張性合金『LEX-3DP』を開発

2020 年9⽉8⽇
上場会社名 ⽇本鋳造株式会社
代 表 者 代表取締役社⻑ 鷲尾 勝
(コード番号 5609)
問合せ先責任者 取締役 ⼭⼝ 陽⼦
(TEL 044-322-3756)


3D プリンターによるコバルトフリーの低熱膨張性合⾦『LEX®-3DP』を開発
〜持続可能社会の実現に向けて〜


当社はこのたび、3 次元積層技術(以下、3D プリンター)を活⽤することで、コバルト含有率を
極限まで低減させたゼロ熱膨張率合⾦※)の開発に成功し、特許権を取得いたしました。
⾃動⾞の電動化やコロナ禍における通信量の増加に伴い、半導体製造機器⽤に熱変形しない
低熱膨張合⾦(熱膨張率 1ppm/℃以下)の需要は増加しています。
当社は、30 年以上にわたり低熱膨張合⾦(Low Thermal Expansion Material、
LEX®︓社登録商標)の鋳造品を提供してまいりましたが、このたび 3D プリンターによるコバルトフ
リーのゼロ熱膨張合⾦『LEX®-3DP』の開発に成功いたしました。3D プリンターによる急速凝固反
応を活⽤することで⾦属組織が均⼀化され、コバルトを含有しなくともこれまでの常識の延⻑線上で
は予想できない熱膨張率がゼロになる現象を確認いたしました。
従来の低熱膨張合⾦は、鉄とニッケルに加えて約5%のコバルトを主成分としていましたが、本
技術を適⽤することでコバルト含有率を1%以下にしても従来と同様の低熱膨張性を確保できる
ことから、労働安全衛⽣法上の特定化学物質の指定が解除され、⼈体への悪影響が抑⽌されま
す。また、本材料は、引張強度やヤング率などの機械的強度も鋳造品を⼤きくしのぐ性状を⽰して
おり、今後、幅広い⽤途への活⽤が期待されます。
加えて、コバルト鉱⽯資源はサプライチェーン上の⾼リスク鉱物とも捉えられており、そのコバルト含
有率を低減しても低熱膨張性を失わない本技術は、SDGs の達成にも貢献するものであります。
さらに、従来の低熱膨張材料は-30℃程度で低熱膨張性は消失しますが、今回の開発合⾦
は、室温から-196℃まで熱膨張率ゼロであり、航空宇宙分野などへの活⽤も期待されます。
当社は、低熱膨張材料以外にも⼩型から⼤型の製品を取り扱う国内の総合鋳造メーカーであ
り、今後も、新たな技術開発や需要の開拓を図り、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。


※ゼロ熱膨張率=0.00±0.19ppm/℃、1ppm/℃とは 1m ⻑さの材料が温度1℃上昇に
より 1μm 膨張に相当いたします。




本件に関するお問い合わせは、下記にお願い致します。
⽇本鋳造株式会社 素形材営業部 TEL 044 (322) 3756
図 1 LEX®-3DP シリーズにおけるコバルト含有量と熱膨張率の関係




図 2 各製造プロセスによる⾦属組織の⽐較

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