世界初「NC(Nano-Carbon composite coat)チタン」の開発および量産化に成功 -トヨタ自動車新型「MIRAI」FCV20年モデルプロジェクト表彰を受賞-

2021 年2月 24 日
各 位
上場会社名 株式会社神戸製鋼所
代表者名 代表取締役社長 山口 貢
(コード番号:5406 東証第 1 部)
問合せ先 コーポレート・コミュニケーション部長
中森 慶太郎
(TEL:03-5739-6010)



世界初「NC(Nano-Carbon composite coat)チタン」の開発および量産化に成功
~トヨタ自動車新型「MIRAI」FCV20 年モデルプロジェクト表彰を受賞~

当社が開発し、世界で初めて量産化に成功した「NC(Nano-Carbon composite coat)チタン*1」
(以
下、NC チタン)が、2020 年 12 ⽉に発売されたトヨタ自動車株式会社(以下「トヨタ自動車」 )の燃
料電池車新型「MIRAI」に採用されました。また、優れた技術により新型「MIRAI」の商品力向上に貢
献したことを評価され、トヨタ自動車より FCV20 年モデルのプロジェクト表彰*2 を受賞しました。

NC チタンが採用された部位は、燃料電池車の発電装置である燃料電池スタック*3 のセパレータ*4 とな
ります。セパレータに使用される素材には耐食性、表面導電性、成形性といった性能が求められてい
ます。

KOBELCO グループは、多様な事業を営む企業の特徴を活かし、素材系事業のチタン圧延材製造技
術、表面処理技術と、機械系事業の真空表面処理技術とその設備技術を融合したシナジー効果によ
り、これらの要求性能を満たした NC チタンの開発に成功しました。

チタンの特長は、鉄鋼材料やアルミなど他の⾦属材料よりも耐食性に優れ、比重は鉄の 60%程度と
輸送機の軽量化の進展に非常に適した金属材料です。このチタンに表面導電性を付与して高耐食性と
の両立を実現したことが、NC チタンの最大の特長です。また、NC チタンはプレス成形にも耐える成
形性も兼ね備えており、圧延コイルに予め NC 表面処理を施しておくことで、プレス成形後の表面処理
が不要となりました。これにより、NC チタンは燃料電池スタックの更なる⼩型・高性能化、ならび
に、お客様における飛躍的な生産性向上にも貢献しております。

KOBELCO グループは、新しい価値を提供し得る要素技術や研究開発体制を備えており、独自の製
品・技術・サービスの提供により、政府が宣言した 2050 年カーボンニュートラルに向けたグリーン社
会へ貢献することは KOBELCO の使命であると考えています。これまでもこれからも、KOBELCO グルー
プは「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人々が夢や希望を叶えられる世界」を実現する
ために、 「個性と技術を活かし合い社会課題の解決に挑みつづけ」ます。

*1…NC チタンとは、当社が開発した「Nano-Carbon composite coat チタン」の略称であり、燃料電
池セパレータに求められる耐食性、表面導電性、成形性等の性能を兼ね備えた表面処理チタン圧
延材である。
*2…プロジェクト表彰とは、トヨタ自動車が手掛けるプロジェクトにおいて、初めて搭載する新開発
部品・資材及びその車両の製造に初めて採用する新開発設備・工法などの優れた技術によって、商
品力向上に貢献した仕入先を表彰する賞。
*3…燃料電池スタックとは、水素と酸素を反応させて電気を取り出す発電装置であり、セパレータ 2
枚 1 組の最小発電単位である“セル”を複数(新型「MIRAI」では 330 枚)組み合わせて構成さ
れている。
*4…セパレータとは、燃料電池内で燃料ガスや空気を遮断する役割を果たす板状の部品であり、燃料
となる水素と酸素を流す流路(=細かな溝)を構成するとともに、発生した電気を流す役割を担
っている。


今回開発した NC チタンの特長は以下の通りです。

1. 開発の経緯

2014 年に発売された初代「MIRAI」のセパレータにも当社の特殊チタン圧延材が採用されていまし
た。この特殊チタン圧延材では、特長である高耐食性を生み出す材料表面の酸化被膜により導電性が
乏しくなるという課題があり、プレス成形後に導電性を付与するための表面処理という工程が必要と
なっていました。

2. 開発した技術

従来からある当社のチタン圧延材製造技術に加え、今回新たに当社が有する表面処理および設備技
術を活用し、チタンの酸化被膜中に導電体であるナノサイズのカーボンを分散含有した表面層を付与
することで、2014 年 2 月にセパレータに最適な「NC チタン」の開発に成功しました。

3. 量産技術の開発

その後 2014 年 11 月より NC チタンの量産技術をトヨタ自動車と共同開発しました。この量産化の
過程においては、当社機械事業部門の真空表面処理技術を NC チタン製造工程に適用し、当社独自の連
続表面処理設備を製作するなど、当社ならではの素材系および機械系事業のシナジー効果を発揮し
て、このたび量産化に成功しました。




燃料電池
スタック


燃料電池車 新型 MIRAI

燃料電池スタック




コイル状の NC チタン




以上

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