5G対応、業界最小の誘電正接を有するLTCC用材料の開発-通信の伝送損失を抑制、効率的な通信を実現-

2020 年 8 月 26 日
日本電気硝子株式会社


5G 対応、業界最小の誘電正接を有する LTCC 用材料の開発
~通信の伝送損失を抑制、効率的な通信を実現~


日本電気硝子株式会社(本社:滋賀県大津市 社長:松本元春)は、5G 通信に用いられる部品や
デバイスに適した誘電正接注 1)の低い LTCC 注 2)用材料を開発し、
製品ラインアップを拡充しました。

5G 通信は、高速・大容量、低遅延通信、多数同時接続を可能にする次世代の通信技術として注目
されており、システム構築が急がれています。5G 通信では、ミリ波領域といわれる 28~40GHz の
高い周波数が利用されており、信号を処理する部品やデバイス(例:回路基板、フィルター)には
さまざまな LTCC 基板が使われます。それらにおいては、周波数、誘電正接に比例して信号が減衰
し通信品質が低下するため、特にミリ波のような高周波数の場合、より効率的な通信を実現するに
は低誘電正接の材料を用いて信号減衰を抑制することが必要になります。

この度、当社は、低誘電正接を特長とする3タイプ(低誘電率、高膨張、高強度)の LTCC 用材
料を開発し、販売を開始しました。誘電正接はいずれも従来材料の 1/4~1/2 に抑えられ、信号減
衰の低減に寄与します。これらの製品は、5G の急速な進展により市場ニーズが高まっていた材料で
あり、さらに、より高い周波数を利用するミリ波レーダー部品や 60GHz 帯 WiFi にも有効です。各
製品の特性および使用メリットは、下表のとおりです。

当社はさまざまな電子デバイス向けの特殊ガラスを製造・販売していますが、今回開発した製品
で新たな市場ニーズに対応し、次世代の通信機器の性能向上に貢献してまいります。

<新製品ラインアップと特性>
タイプ 低誘電率タイプ 高膨張タイプ 高強度タイプ (従来品)
ガラスコード MLS-23 MLS-51 MLS-63 MLS-25ES MLS-1000

誘電 28GHz 0.0016 0.0015 0.0014 0.0027 0.0040
正接 40GHz 0.0016 0.0015 0.0015 0.0028 0.0047

比誘 28GHz 3.8 5.4 7.9 4.1 7.7
電率 40GHz 3.8 5.5 7.9 4.1 7.7
熱膨張係数
6.1 9.7 8.7 6.0 6.1
(ppm/℃)
曲げ強度(MPa) 130 160 400 150 274
伝送損失・遅延速度 樹脂基板に近い 業界最高の曲げ
の低減に寄与。イン 熱膨張係数を有 強度で基板の薄
使用メリット ― ―
ダクタ、モジュール し、接合時の信 型化が可能
基板に最適 頼性が向上



※1. 誘電正接:誘電体中の電子が分極するときのエネルギーの指標。誘電正接が小さいほど、電
磁波のエネルギーが熱に変換されにくくなり信号の減衰が抑制される。
※2. LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics。ガラス粉末とセラミック粉末の複合材料で、
1000℃以下の低温で焼結できる。電気伝導率の高い銀導体と同時焼結し、多層化すること
により複雑な高周波部品を製造できる。



<製品写真> <使用例:グリーンシート>




日本電気硝子株式会社 〒520-8639 滋賀県大津市晴嵐二丁目 7 番 1 号
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