バイオ事業の日本遺伝子細胞治療学会学術集会における報告

NEWS RELEASE
2022年8月29日
株式会社フコク


バイオ事業の日本遺伝子細胞治療学会学術集会における報告
ライフサイエンス分野への注力



当社のバイオ製品「SphereRing ® (スフェアリング)」
により培養された細胞の臨床に向けた研究成果が、
2022年7月14日に第28回日本遺伝子細胞治療学会学術
集会にて発表されましたのでお知らせいたします。

同学会での当社主催セミナーにおいて、当社の共同研究機関
である金沢医科大学病院再生医療センターの石垣靖人教授より
「SphereRing ® を用いて作製された臨床向け脂肪由来幹細胞スフェロイド ( 1 )
の遺伝子解析」と題した発表が行われました。

石垣教授は変形性膝関節症の治療法として、間葉系幹細胞のスフェロイド
(以下、凝集塊)を患部へ注入する治療を研究されており、SphereRing ® に
よる細胞凝集塊の形成は大きさが均一で再現性が良く、細胞凝集塊の細胞
は、従来の培養法と比較して、組織形成や修復、血管再生の遺伝子発現が
優れており、抗炎症作用等多数のサイトカイン ( 2 ) 産生能が向上したことが
報告されました。

SphereRing®の有用性 製品情報詳細
https://www.fukoku-rubber.co.jp/product/bioindustry.html

SphereRing ® は、iPS細胞の閉鎖型大量培養を目的に開発したリング状のス
フェロイド形成容器です。インキュベータ内に備えたシェーカーで旋回培養
すると大きさが均一の細胞凝集塊を大量に得られ、SphereRing ® のチューブ
と他容器を連結する事で、無菌にて次工程への移送が可能となります。

シャーレ等を用いた従来培養法が持つ、容器底面の中心部に細胞が集まるこ
とで巨大凝集塊を形成し、凝集塊内部の細胞の壊死や増殖率が低下する問題、
また次工程移送時の汚染リスクを、 SphereRing ® は大きく改善しております。
均一な大きさの細胞凝集塊は、組織修復や組織形成に求められており、傷つ
いた臓器の修復や低下した身体機能の回復を目的とする細胞治療の分野にお
いて、採用が大いに期待されている製品です。

<iPS細胞スフェロイドを均一な大きさで大量形成>




SphereRing ® 従来の培養方法
(シャーレ)
SphereRing ® を
用いた場合

なお、当社は同製品について金沢医科大学、東京大学と共同研究を行い、研
究論文 ( 3 ) ( 4 ) 等を通じて、研究成果を報告しております。

(注1)細胞同士が凝集した塊
(注2)細胞から分泌されるタンパク質で生理活性物質の総称。細胞間相互作用に関与し周囲の細胞に影響を与える。
(注3)東京大学の研究成果論文 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/term.3278
(注4)金沢医科大学の研究成果論文 https://www.fukoku-rubber.co.jp/dcms_media/other/cells-11-00337.pdf
NEWS RELEASE
2022年8月29日
株式会社フコク


バイオ事業の展開 ゴムの技術力を活用しライフサイエンス分野で成長

当社は国内トップシェアを誇るワイパーブレードラバーなど工業用ゴム製品の開
発・製造で培った技術力を活かし、1995年よりライフサイエンス分野へ参入。輸液
バッグ、細胞培養バッグ、細胞培養培地、と顧客ニーズに合わせて製品種類を拡大
して参りました。東京大学や金沢医科大学、その他のアカデミアとの研究開発を基
に、細胞培養培地開発や細胞培養およびその評価技術、凍結乾燥技術を確立してお
ります。今後もアカデミアとの共同研究を一層推進し、細胞培養を事業領域とした
製品の開発に努め、社会的ニーズの高まる再生医療の発展に貢献して参ります。

また、2020年9月より液体培地評価技術を基に専用開発した培地を使用し、細胞培養
上清やエクソソーム(5)の製造にも着手しております。スキンケアやスカルプケアの
成分となる「Phicello®(ファイセロ)」(ヒト脂肪由来幹細胞順化培養液)、
「Phisome®(ファイソーム)」(ヒト脂肪間質細胞エクソソーム)、「Phicello Mou
(ファイセロ モウ)」(ヒト毛根細胞順化培養液)を開発し、皮膚用化粧品や頭髪
用養毛料の原材料として採用されております。

現在、当社のバイオ事業の売上規模は、産業機器事業の約15%ですが、この売上を3
年後に2倍、5年後に5倍の規模を目指し拡販を進め、産業機器事業の柱として育成し
てゆく予定です。




ファイセロ モウ配合の
頭髪用養毛料(OEM)




【お問い合わせ】 担当:総務部
〒330-0063埼玉県さいたま市浦和区高砂1-1-1朝日生命浦和ビル2F/3F/8F
Mail:ir@fukoku-rubber.co.jp TEL:: 048-615-4400


(注5)細胞から分泌される約50-150nmの細胞外小胞。細胞間の情報伝達に重要な役割を担う。

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