出光統合レポート2021

出光統合レポート
企業理念




目次

真 に 働く 1 企業理念、編集方針、目次 価値創造のアプローチ ESG への取り組み
21 出光グループのサステナビリティ
当社が大切にしてきた価値観と ガバナンス
国・地域社会、そこに暮らす人々を想い、考えぬき、働きぬいているか。 企業理念 55 社外取締役メッセージ
価値創造への取り組み
日々自らを顧みて更なる成 長を目指す。 3 歴史・沿革 57 役員一覧
25 カーボンニュートラルへの挑戦
かかる人が集い、一丸となって不 可 能を可 能にする。 5 経営の原点と企業理念 59 コーポレートガバナンス
29 地域創生と次世代事業の
創出に向けた取り組み 65 コンプライアンス
私たちは、高き理想と志を掲げ、挑み続ける。 社長メッセージ 33 デジタル変革の加速 66 リスクマネジメント

7 社長メッセージ
環境
ビジョン実現へのマイルストーン
67 気候変動への対応
中長期的に目指す姿(ビジョン) 35 CFO メッセージ
71 循環型社会への取り組み



Truly inspired
11 2050 年への道筋 72 水・生物多様性の取り組み
13 価値創造プロセス ビジョンの実現に向けた取り組み
15 2050 年までの事業環境 37 2020 年度の事業概況 社会
17 2030 年に向けた基本方針 39 燃料油セグメント 73 人権・サプライチェーンに関する取り組み

43 基礎化学品セグメント 75 人事戦略
How often do we consider the countries and communities we touch, 79 安全の確保
45 高機能材セグメント
and how much empathy do we have for the people living there?
49 電力・再生可能エネルギーセグメント 80 品質管理・品質保証
Are we contemplating what’s best for them and then doing our utmost to act in their interests?
51 資源セグメント
Each day, we must reflect on our actions;
we must strive to do better not only for ourselves, but also for others. 53 研究開発と知的財産の活用
データセクション
When we come together and our efforts are united, we make the impossible possible.
81 数字で見る出光グループ
82 株式情報
With integrity, solidarity, and determination, we will overcome any challenge we face.
83 財務ハイライト

84 非財務ハイライト

85 主要財務データ




編集方針 報告対象範囲 参考ガイドライン 出光統合レポートに関するお問い合わせ先
ステークホルダーの皆さまに、当社グループの 出光サステナビリティレポート(ウェブサイト版) 原 則として、2021 年 9 月末 時 点 の 出 光 興 産 本レポートの編集においては、国際統合報告 出光興産株式会社
詳細
経営および企業活動全体について、より理解を深 持続可能な社会の実現に向けて、当社グルー (株)および出光グループ計 256 社を対象として 評議会 IIRC)
( の国際統合報告フレームワーク、 公式ウェブサイトお問い合わせページ:
めていただくため、
「出光統合レポー 「出光サス
ト」 プが環境・社会・ガバナンスの側面から、どのよ います。ただし、対象が異なる場合はその旨を記載 (気候関連財務情報開示タスクフォース) 経
TCFD 、
出光 https://www.idemitsu.com/jp/contact/
テナビリティレポート」 当社ウェブサイ
、 ト内の「サ うな取り組みを行っているのか理解していただく しています。 済産業省の価値協創ガイダンスを参照しています。
サステナビリティ
ステナビリティサイ を用いて情報発信をしてい
ト」 ことを目的に、出光統合レポートの非財務情報を レポート

ます。 より詳細に掲載しています。 サステナビリティ
報告対象期間 発行時期
サイト 2020 年度 2020 年 4 月 1 日∼2021 年 3 月 31
( 日本語版:2001 年から毎年 1 回発行、
非財務 財務 日)の実績を報告対象としています。なお、対象期 前回発行 2020 年 12 月
出光統合レポート(冊子版) サステナビリティサイト 情報 情報
中長期的な視点から当社グループについて理 環境 社会 ガバナンスの側面から、
・ ・ 幅広いテー 間が異なる場合はその旨を記載しています。また、 英 語 版:2003 年から毎年 1 回発行、
出光
解していただくことを目的に、財務情報・非財務 マについて情報開示を行っています。また、取り組 2021 年 4 月以降の活動内容も掲載しています。 前回発行 2021 年 1 月
統合レポート
情報や当社の目指す姿、事業説明などを掲載し み実績については速報性をもって情報発信してい (本レポート)

ています。 ます。
https://sustainability.idemitsu.com/ja
基本




1 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 2
当社が大切にしてきた価値観と企業理念



歴史・沿革
統合以前の両社の歴史の根底には“仕事を通じて人が育ち、無限の可能性を示して社会に貢献する”
という共通の価値観があり、これが、当社のパーパスであることを再確認しました。



全国 29 店舗が石油配給公団販売店に指定され、

有機 EL 材料の開発開始

有機 EL 素子の発明で平成 30 年度
石油業に復帰 全国発明表彰最高位 「恩賜発明賞」 受賞

東京証券取引所市場第一部に
1953 株式上場
日章丸事件
世界で初めてイランとの 2011 2018 2019 
超小型 EV を活用した MaaS
直接取引で石油製品を輸入
東日本大震災の対応と て、
し 事業の実証開始
門司(福岡県)
で出光商会 創業 石油製品の安定供給への取り組み 特約販売店ネットワークを活用した地
出光商会として北九州の門司で石油販売業をスタート 域サービス提供
震災発生 6 日後には塩釜油槽所を復旧し、

1957 病院などにいち早く燃料を供給


再生可能エネルギーへの挑戦
出光興産 2010 
二又風力開発(株)
への参画 ベ ナム ニソン製油所商業運転開始
ト ・
ガソ ン
リ ・軽油などの石油製品を輸入に頼るベ ナム 国内
ト で、
出光佐三が社是として掲げていた「人間尊重」
の方針
2 カ所目となる製油所を建設し、 ト
ベ ナムの経済発展に貢献 

二又風力
1919 発電所 2021 
満鉄(中国・南満州鉄道)
用の凍結しない車軸油の開発 徳山製油所 竣工 2015 (株)
出光タジマ EV 設立


人の力を結集し 10 カ月で建設するだけでなく、緑地帯を整備し、 土佐グリーンパワー(株)
1940 環境にも配慮
土佐発電所の営業運転開始
出光興産(株)
設立

1964 滝上バイナリー発電所が
1945 提供番組「題名のない音楽会」
放送開始 2020
新エネ大賞の最高ランクとなる
敗戦により国内外の事業消滅 日本の音楽文化の発展に貢献  新コーポレートブランド誕生
「経済産業大臣賞」受賞


コーポレートブランド




1978 SS ブランド

1833 1924 統合新社が発足
マーカス・サミュエルがロンドンに東洋の貝殻を扱う店舗 イギリスより初めて
を開店、これがシェルのトレードマークの起源
タンクローリーを輸入
関東大震災後の供給能力向上
2006 2019 
1893 に努め、ガソリンの普及に貢献 CIS 薄膜太陽電池第一工場「宮崎プラン 竣工
ト」 ベトナムの
日本初となるバラ積み灯油を輸入(灯油の普及) メガソーラー発電所 完工
太陽電池の研究開発を開始
大量輸送、低コストでの輸送を実現し、灯油の普及に貢献
石油に替わる新エネルギーの開発
2010 当社グループとして初の東南アジア
天然ガス発電所 扇島パワーステーション営業運転開始 地域での大規模太陽光発電所の開発
製油所跡地を利用した発電事業を展開


シェルグループが昭和石油(株)
に資本参加 シェル石油(株)
と昭和石油(株)が 2011
昭和シェル石油 合併、昭和シェル石油(株)
発足
1956 東日本大震災直後の復旧支援活動
特約店・協力会社と共にエネルギーの安定供給に尽力
「シェル美術賞」
創設  1994 
日本の美術界の発展に貢献
「第 3 回地球環境大賞」 2015
優秀貢献企業賞 京浜バイオマス発電所の
1977 
(ニッポン放送賞) 受賞 営業運転開始
東亜石油にて世界初の重質油熱分解装置を稼働
オイルのパッケージに紙パックを採用し、
ライジングサン石油(株)
を設立 将来的な白油シフトを見据えた先行投資
環境保全への貢献が評価
パラフィンワックスを輸入しロウソクの製造・販売を開始、併せ
てランプ用灯油の販売にも注力し、 人々の生活に貢献 2002 
「ダイバーシティ※基本方針」
策定
※ 後に「ダイバーシティとインクルーシブネス」
に変更



創業 戦後復興 エネルギー転換期 大競争時代 統合新社が発足

3 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 4
当社が大切にしてきた価値観と企業理念




経営の原点と企業理念


経営の原点




■【経営の原点】 創業者の言葉を創業者の筆跡のままに掲げたものです。一世紀を超えて
は、 「人間尊重」を旨としてき
た歴史の重さ、受け継いでいく思いの強さを内外に示す意図で、未来永劫変わることのない原点として改めて位置
付けました。

企業理念ムービー

本動画の掲載は予告なく
掲載終了する場合がございます
https://movie.idemitsu.com/detail/videos/pick-up/
video/6254933945001

企業理念




真 に 働く
国・地域社会、そこに暮らす人々を想い、考えぬき、働きぬいているか。
企業理念浸透の取り組み
日々自らを顧みて更なる成 長を目指す。
かかる人が集い、一丸となって不 可 能を可 能にする。
新たに制定した企業理念が一人ひとりの従業員に浸透することで、
当社グループの使命、社会的役割を事業を通じて示していけるよう、以下の取り組みを行っています。
私たちは、高き理想と志を掲げ、挑み続ける。
■ 企業理念制定までの検討プロセス、理念に込めた思いをイントラネット動画、グループ報「idemitsu」

社内サイネージへの掲載を利用して説明
■ 企業理念ムービーを制作、タウンホールミーティング、本社サイネージで掲出
■【企業理念】 「人が中心の経営」
は、 という、創業以来大切にし続けてきた信念あるいは哲学を、
「一人ひとりの従業 ■ 社員を対象に認知度アンケートを実施、足元の理解浸透状況を把握
員が日々心すべきこと」 会社として社会に提供する価値を約束すること」
「 として捉え直したものです。当社らしい言 ■ 人事部主催の研修カリキュラムに企業理念について考える時間を設定
葉を選びぬき、簡潔に表現しました。 ■ 取締役・部室長へのインタビュー(動画制作)を実施し社内ポータルサイトに掲出




5 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 6
社長メッセージ

「真に働く」
ことを追い求め、 企業理念の成文化 2030 年ビジョンの策定

会社のカタチを変え、 まず、両社の歴史、
その背景にある思い、
創業者や先人たちが大事にしてきた言葉や
価値観を一つ一つ丁寧に拾い上げる作業
次に、当社が 2030 年時点で到達していたい姿として、2030
年ビジョン「責任ある変革者」を定めました。 100 年超にわたっ

2050 年カーボンニュートラルへ に取り組みました。統合前の旧両社はともに 100 年以上の長い
歴史を持ち、日本のエネルギーセキュリティを支えてまいりました。
て産業や暮らしに不可欠なエネルギーと素材の安定供給という社
会的使命を果たし、地域と共に成長を遂げてきた当社にとって、

挑戦します。 一見すると全く異なる社風を持つと思われる両社ですが、
を通じて人が育ち、
「仕事
無限の可能性を示して社会に貢献する」とい
世界的な気候変動問題、高齢化社会の進展は、
ればならない社会課題です。しかし、
必ず解決しなけ
エネルギーの安定供給の責
う根底に流れる価値観は共通でした。この価値観を体現し、当社 任を放棄してカーボンニュートラルに突き進むのでは本末転倒で

木藤 俊一
出光興産株式会社 の存在意義を示す統合新社としての企業理念の成文化を、多く す。当社は、多様なエネルギーの供給責任を果たしながら、同時
代表取締役社長 の従業員が切望しており、その思いに背中を押される形でプロ に低炭素社会の実現に貢献していく所存です。この考えを表現し
ジェクトを進めました。 たのが、
「責任ある変革者」です。
しかしそれは、想像以上に困難な作業でした。旧両社の言葉は 「カーボンニュートラル・循環型社会へのエネルギー・マテリア
その出身者には馴染みがありますが、他方の出身者に響くとは限 ルトランジション」
、「高齢化社会を見据えた次世代モビリティ&コ
コロナ禍との闘いで自問し続けた 1 年 りません。だからと言ってよそ行きの言葉を並べても共感は得ら ミュニティ」
、「これらの課題解決を可能にする先進マテリアル」と
れません。私たちは、両社の史実や先人たちの足跡に照らして共 いった事業ドメインを通じて、
「地球と暮らしを守る責任」
、「地域
新型コロナウイルス感染症に罹患された方々へお見舞い申し 通の価値観を表す言葉を紡いでいく作業に挑みました。 のつながりを支える責任」
、「技術の力で社会実装する責任」とい
上げるとともに、お亡くなりになった方々に哀悼の意を表します。 そして、
「国・地域社会、そこに暮らす人々を想い、考えぬき、 う つの責任を果たしていく所存です。

また、医療従事者の皆さまや社会生活の維持のために尽力いた 働きぬいているか。日々自らを顧みて更なる成長を目指す。かか なお、当社の企業理念、2030 年ビジョンを広く国内外に発信
だいている全ての皆さまに、心より感謝申し上げます。 る人が集い、一丸となって不可能を可能にする。私たちは、高き する上で、英語表現を工夫してまいりました。
“真に働く” “Truly

昨年は、世界中の人々がコロナ禍によりもたらされた未曾有の 理想と志を掲げ、挑み続ける。 というステー メン
」 ト トに行き着きま Inspired”、
“責任ある変革者” “Your Reliable Partner for a

危機への対応に明け暮れた一年となりました。残念ながら、今な した。このステートメントを一言で表したのが「真に働く」という言 Brighter Future”としており、これまでに述べた当社の思い、 姿
おその闘いは収束の目途が立っておりません。 葉です。
「出光の存在意義は何か 」
? と問われれば、一言で「真に 勢が伝わるように表現しております。
コロナ禍により、世界経済は大きな打撃を受け、石油製品をは 働く」と答えます。企業理念は当社の存在意義、社会への提供価
じめエネルギー需要は大きく落ち込みました。例えば 2020 年度 値を示し、従業員一人ひとりの判断の拠り所となります。我々は 中期経営計画の見直し
のガソリン等の国内石油製品需要は前年比 6 %程度、 ッ
ジェ ト燃 今後もこの言葉を胸に刻み、
「真に働く」ことを追い求め続けてま
料については約 50%、それぞれ減少しました。また自動車やディ いります。 今般、2019 年 11 月に公表した中期経営計画の見直しを実施
スプレイの需要減少等により、潤滑油、機能化学品、電子材料の また、
「人間尊重」を経営の原点と位置付けることにしました。 しました。前述の通り、コロナ禍によって当社の主力の燃料油事
需要・販売は共に減少しました。当社のほぼ全ての事業がコロナ 100 年前に今日の社会を予測することができなかったように、 業は大幅な需要減少に見舞われました。加えて世界各国がグリー
禍の影響を受け、統合新社としての中期経営計画初年度から、大 2050 年、ましてや 2100 年を明確に思い描いて今を経営するこ ンリカバリーを志向する中、日本においても昨年 10 月に 2050 年
きく計画を下回ることになりました。 とは困難です。けれども「人」が育っていれば、意志を受け継い カーボンニュートラル宣言がなされ、これまで以上に脱炭素化が
コロナ禍はいずれ収束します。しかし、私たちを取り巻く事業環 だ従業員たちがその時代を切り拓いていくに違いありません。だ 加速することが想定されます。化石燃料ビジネスを主体とする当
境は従前とは様変わりしています。したがって、この変化を一時 からこそ「人の成長」が何よりも大切であり、利益を上げるための 社が、こうした環境変化に対し高いレジリエンスを発揮し、将来
的な要因として捉え、嵐が通り過ぎるのを待つという姿勢ではな 手段として人を育成するのではなく、事業を通じて人の成長を促 にわたってサステナブルな企業であり続けるために、中長期戦略
く、むしろ、当社の事業やコスト構造、組織体制を徹底的に見直 進するのが当社です。今後カーボンニュートラルに向けて会社の を再構築すると同時に、それぞれの取り組み・打ち手をさらにス
す、言い換えれば「会社のカタチ」を変革していく好機と捉えてお カタチを大きく変えていくことになります。厳しい経営環境の中で ピードアップさせる必要がある、こうした考え方に基づいて見直
ります。 も従業員が安心してチャレンジできるよう、強固な経営体質を維 したものです。
今後どのように会社を変えていくかを考える上で将来の航路を 持し、人が成長する企業にしていくことが社長としての私の役割 2030 年ビジョンの実現のため、 ROIC 経営の実践」
「 、「ビジネ
示す羅針盤が必要となります。そこで、そもそも当社の存在意義 だと考えております。 スプラットフォームの進化」 Open Flat Agile な企業風土醸成」
、「 ・ ・
は何か、当社が取り組むべき社会課題は何か、ということを原点 を 2030 年に向けた基本方針と定め、実行していくことといたしま
に返って再確認することにしました。 した。




7 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 8
社長メッセージ


まず、 ROIC 経営の実践」 コロナ禍、
「 は、 カーボンニュートラル よりイノベーティブに発揮されるよう、働き方改革を推進していま 標を掲げ、製油所・事業所の安全・安定操業を継続し、保安力
シフトという大きな環境変化があり、将来の不確実性が高まって す。既に、多様な価値観に基づく多様な働き方に対応できる制 の向上、安全文化の醸成に取り組んでいきます。
いる中で、資本効率性をより重視し、B/S をより身軽にして、企 度・環境を整備しており、ビジネスシーンに応じて場所と時間を
業としてのレジリエンスを高めることを狙いとしています。ポート 選択する働き方が実現しています。なお、理念・ビジョンの浸透 ガバナンス面
フォリオのマネジメントはもちろん、ROIC を各事業の KPI へ適切 度については、定期的に測定し向上を図っていきます。 コーポレートガバナンスの要である取締役会の更なる充実に取
に落とし込み、成果を的確に評価できるパフォーマンスマネジメン り組んでおります。取締役会の実効性評価を表面的・形式的な
トの手段としても活用してまいります。また投資判断においてはイ DI
& の更なる推進 もので終わらせないよう、丁寧に議論を行い、改善すべき課題を
ンターナルカーボンプライシングも活用しながら、GHG 排出量 抽出しております。例えば、取締役会において実質的な討議の時
のもたらす経済的インパクトを参考情報としても取り入れ、投資 当社が 2030 年ビジョンの実現に向け大きく事業構造を変革し 間を確保すべく、議題の説明等は事前説明に重きを置くよう見直
判断をしてまいります。そして合理化で生み出したキャッシュを、 ていく上で、 Open・Flat・Agile な企業風土醸成」
「 と双璧をな しました。また、社外役員間の意見交換の場として、社外役員ミー
「2030 年ビジョン」で示した 3 つの事業ドメインに大胆に投入し すのが「ダイバーシティ&インクルージョン」の推進です。これま ティングを四半期に一回は開催しております。当社の取締役会
ていきます。こうしたポートフォリオマネジメントの狙いは、既存事 での延長線上に将来を描くことが難しい中で、多様なメンバーの は、独立社外取締役が3分の1以上を占めておりますが、人選に
業の構造転換、エネルギーとマテリアルのトランジションを進め、 強みや個性を活かしたマネジメントが極めて重要になります。多 あたってはスキル・キャリアマ リ
ト ックスにより必要とされる知識・
グループ全体を成長軌道に乗せていくことにあります。ポートフォ 彩な従業員が活き活きと働き、成長し、周囲と化学反応を起こし 経験・能力等を明確にしております。また、多様性の観点から、
リオ転換の構想についての大きな目玉である、apollostation の ながら、新たな価値を共創できるよう取り組んでまいります。その 今回女性取締役をこれまでの 1 名から 2 名に増やしました。独立
「スマートよろずや」 コンビナート全体での CNX
化、 「 (カーボン ためには従業員の健康が何よりも大切であり、ニューノーマル時 社外取締役で構成される指名・報酬諮問委員会においては、
ニュートラル・トランスフォーメーション)センター」化については、 代におけるリモートを組み合わせた働き方やライフスタイルにおけ CEO の後継者計画、CEO・役員の選解任、役員報酬について
本レポートの内容を是非ご覧ください。 る「健康経営」を推進していきます。また、本年 7 月に、今後想定 審議し、取締役会に答申する仕組みを採用しております。代表取
基本方針の 2 つ目は、
「ビジネスプラットフォームの進化」につ される事業構造改革や業容変更によって生じる仕事の変化に一 環境面 締役の業績連動賞与について、財務指標のみならず、ESG を含
いてです。当社はデジタルトランスフォーメーションを鋭意進めて 人ひとりが適応し、自律的なキャリア形成を考える機会を提供す エネルギーの安定供給という責務を果たしながら、積極的に む全社の非財務面での成果を反映するよう見直しました。
まいります。この 4 月に DX 認定を取得、
6月に DX 銘柄に選定さ べく、ライフキャリアサポートセンターを開設しました。女性活躍 CO2 排出量の削減に取り組みます。今後も製油所・工場におけ
れ足場固めは進んでおり、さらに加速をすべく、社内の業務改革 拡大については、女性活躍推進法に関する目標をはじめとして定 る省エネルギー活動をさらに進め、環境配慮型商品やサービスの ステークホルダーへのメッセージ
のみならず、目を外に向け、お客さまあるいはエコシステム・ネッ 量的な目標を設定し推進してまいります。同時に仕事と育児・介 提供・再生可能エネルギー発電の拡大など、事業活動を通じた
トワークに対する価値提供に努めてまいります。また、ガバナンス 護の両立支援制度の拡充を図り、女性だけでなく多様な人材が 排出量削減に取り組んでまいります。 2030 年度に向けた CO2 当社は 2019 年 4 月に昭和シェル石油と経営統合し、今年 3 年
に関しては、取締役会のメンバーを少数かつ経営課題に即した構 活躍できる柔軟な働き方につなげてまいります。 削減目標値を 200 万 から 400 万 に引き上げるとともに、2050
t t 目を迎えました。当社の事業環境に目を向けると、国内石油需要
成とするとともに、重要課題の議論に重きを置いた運営を実現し 障がい者雇用については、障がいの有無に関係なく一人ひとり 年での自社操業に伴う CO2 排出量ネットゼロを目指します。ま の中長期的な減退や、全世界で取り組むべき気候変動問題等、
てまいります。 が持ち味を生かし、仕事を通して社会の役に立てるよう、障がい た、 ューチェーン全体での CO2 排出量削減にも取り組んでま
バリ 当社の事業の持続可能性に大きな影響を与えています。今般成
基本方針の 3 つ目は Open・Flat・Agile な企業風土醸成」
「 者の自立支援・就労機会の提供に取り組んでおり、更なる拡大を いります。なお、TCFD
(気候関連財務情報開示タスクフォース) 文化した企業理念「真に働く」を基軸に、2030 年ビジョン「責任
です。当社の経営の原点は「人間尊重」であります。これまでも 図ってまいります。また、当社は性自認・性的指向・価値観など へ賛同しており、気候変動に関するガバナンス、戦略、リスクと管 ある変革者」の実現に向け、全従業員一丸となって難局に挑んで
「人が中心の経営」
、「人は無限のエネルギー」と申し上げてきまし の多様性を尊重し、一人ひとりが自分らしく、個々の能力を存分に 理、指標と目標を整理した上で開示してまいります。 いきたいと考えております。そして、どのような環境変化に対して
たが、何にも代えがたい当社の経営資源は「人」です。多様な価 発揮できる環境づくりに向けて、積極的に取り組んでまいります。 も、柔軟かつしなやかに対応できる「レジリエントな企業体」とな
値観を持った従業員一人ひとりが、多彩な力を最大限発揮すると 社会面 ることで、今後もエネルギー企業としての社会的使命を果たし続
ともに、共創による化学反応を引き起こすことのできる企業風土、 ESG(環境・社会・ガバナンス)
への取り組みは サプライチェーン全体で持続可能な社会の実現に貢献すること けたいと考えております。
「会社の匂い」をつくり上げることこそが、我々経営陣の責務であ 経営の最重要課題 を目的に、サステナブル調達ガイドラインを昨年新たに策定しまし 当社が今後も社会的使命を果たし、新たな価値を創造していく
ると認識しております。この認識の下、
「理念・ビジョンの浸透」
、 た。また、世界各地域で事業を展開する当社において、人権の尊 ためには、ステークホルダーの皆さまとの協働が欠かせません。
「組織改革」
、「働き方改革」 3 点の取り組みを進めます。
の 当社のサステナビリティを考える上で ESG への取り組みは最 重は事業の根底をなす重要事項と認識しております。 2020 年度 国内外でお取引いただいている全てのお客さま、事業を展開する
このたび成文化した企業理念、新たに策定した 2030 年ビジョ 重要課題の一つです。 SDGs
(持続可能な開発目標)で掲げら は人権デューデリジェンスの取り組みを開始し、国内外の関係会 地域の皆さま、地域に密着した特約販売店、物流や保全の協力
ンをグループ内に浸透させ、組織の基軸を確立し、組織としての れた目標と個々の事業活動を関連付け、重要課題(マテリアリ 社における人権リスクの所在を特定しました。 2021 年度は抽出 会社、産油国をはじめとする国内外のサプライヤー等のビジネス
レジリエンスを高めてまいります。またタテヨコの組織改革を断行 ティ)を明確にして取り組んでおります。特に :エネルギーをみ
「7 したリスクへの対応策を取りまとめ、順次実行してまいります。ま パートナーの皆さま、そして多様なバックグランドを持った従業員
し、積極的な権限移譲、スパンオブコントロールの最適化を推進 んなに そしてクリーンに」
という難題に真正面から取り組み、 考
「 た、エネルギー事業を手がける私たちが社会と共存していくため と共に、
「人の力」を結集して新たな価値創造に挑戦し続けてまい
し、従業員の成長と企業としての成長を両立させてまいります。 えぬき、働きぬき」 一丸となって不可能を可能に」
「 していきたい には、
「安全の確保」 「品質保証」
と が枢要な課題であることは申 ります。これからも永きにわたりご支援を賜りますよう、よろしく
また、多彩な力がよりスピーディーに、よりコラボレーティブに、 と考えております。 し上げるまでもありません。引き続き、無事故への挑戦という目 お願い申し上げます。




9 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 10
2050年
中長期的に目指す姿(ビジョン)



2050 年への道筋
ポートフォリオ転換
先進マテリアル
「真に働く」を追い求め、 次世代モビリティ&コミュニティ
2050 年カーボンニュートラルへ挑戦します。
会社のカタチを変え、
エネルギー・マテリアルトランジション
化石燃料 基礎化学品
・ 再生可能エネルギー、 バイオマス
2030年度経営目標 合成燃料、水素、 アンモニア、バイオケミカル




2030 年
リサイクル / サーキュラー



カーボンニュートラルへの挑戦
2030 年に向けた基本方針 営業+持分利益 ROIC
自社操業に伴う CO2 排出量

ROIC 経営の実践 2,500
(在庫影響除き)
億円 7% (Scope1+2)ネットゼロ

バリューチェーン全体での
Scope1+2のCO2削減量 CO2 排出量削減


ビジネスプラットフォーム Open・Flat・Agileな
▲ 400 万t
の進化 企業風土醸成 ※2017年度比・グループ製油所含む




セグメント 2030 年ビジョン
責任ある変革者
2020年
燃料油
基礎化学品
高機能材 地球と暮らしを守る責任
電力・再生可能エネルギー 地域のつながりを支える責任
資源 技術の力で社会実装する責任
経営指標

営業+持分利益 ROIC


(在庫影響除き)
億円 3 %




価値創造を
企業理念 真に働く
支える基盤 経営の原点


■ 低炭素・脱炭素社会  ■ 高齢化の加速  ■ エネルギー需要構造の変化 
外部環境の変化
■ 技術の進展  ■ ライフスタイルの変化

11 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 12
中長期的に目指す姿(ビジョン)

Outcome
人々の暮らしを支える使命を果たしながら、
価値創造プロセス 未来につなぐべき持続可能な社会を実現


低炭素・脱炭素社会 技術の進展 高齢化の加速
外部環境
ライフスタイルの変化 エネルギー需要構造の変化 Output
人的資本 事業を通じた人の成長 知的資本 先進マテリアル
P.75~78 多様性に富む人材 P.53~54 脱炭素ソリューションの技術開発

当社グループが ■ 気候変動問題への対応 ■ 地域創生 ■ エネルギー安定供給
自然資本 再生可能エネルギー発電の拡大、 財務資本 2030 年度の定量目標
取り組むべき社会課題 ■ 新たな産業の創出 ■ 地域・環境と調和したエネルギー・資源利用 P.20 CO2 削減・資源化  P.20 営業+持分利益(在庫影響除き)

P.25~28
関連する主な SDGs P.50 2030 年再生可能エネルギー総電源開発量 2,500 億円
P.67~72
(累計) 4.0 GW ROIC: 7%
2030 年度 CO2 削減量 2017 年度比)
( :
▲ 400 万 t 製造資本 製造事業所の CNX センター」
「 化
P.26
2050 年までに、自社操業に伴う排出量の
カーボンニュートラル CO2 排出量 ネットゼロ)

社会・ 販売ネットワークの「スマートよろずや」化
重要課題(マテリアリティ) P.22~23 お客さまの CO2 排出量低減に貢献 関係資本 地域社会や社外エコシステムとの価値共創
■ 収益基盤事業の構造改革 ■ 成長事業の拡大 ■ 次世代事業の創出 P.29~32

■ 地球環境・社会との調和 ■ ガバナンスの進化 ■ デジタル変革の加速


将来に向けたポートフォリオ転換 P.20

Input 2021 年 3 月末概要 先進マテリアル
人的資本 人が中心の経営 知的資本 多様な顧客ニーズに応える技術力 次世代モビリティ&コミュニティ
連結従業員数 1.4 万名 特許保有件数(国内+海外) 5,527 件 エネルギー・マテリアルトランジション
平均勤続年数(出光単体) 19 年 4 カ月 研究開発費 205 億円
自然資本 多様な再生可能エネルギー 財務資本 株主資本 11,509 億円
(太陽光、地熱、バイオマス、風力) 自己資本比率 29.1%
再生可能エネルギー総電源開発量(累計)0.5 GW 営業+持分利益(在庫影響除き) 928 億円
ROIC 3% 5 つの事業 P.19,37~38

燃料油セグメント        基礎化学品セグメント        高機能材セグメント P.45~48
P.39~42 P.43~44
製造資本 グローバルな事業展開 社会・ 長年の事業展開で培った顧客基盤
製造事業所アセットとサプライチェーン 関係資本 強固な信頼でつながるビジネスパートナー 電力・再生可能エネルギーセグメント        資源セグメント
P.49~50 P.51~52

グループ製油所 6
(国内) カ所 SS 拠点     約 6,300カ所

(海外) カ所
出光グループ 2021年 9 月末) 118 社
( (国内) 価値創造を加速するための取り組み P.18
グループ石油化学工場 2
(国内) カ所 (海外)138 社

(海外) カ所 ROIC 経営の実践 ビジネスプラットフォームの進化 Open・Flat・Agile な企業風土醸成



2030 年ビジョン 責任ある変革者 P.17~18




価値創造を
企業理念 真に働く
支える基盤 経営の原点

13 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 14
中長期的に目指す姿(ビジョン)




2050 年までの事業環境
2050 年に向けた長期事業環境想定
長期エネルギー需要見通し(アジア太平洋地域) 長期エネルギー需要見通し(日本)
現在、コロナ禍により、当社の主力である燃料油事業は需要減 化石燃料ビジネスを主体とする当社が、こうした環境変化に対
2025 年
少に見舞われています。 2020 年の世界の石油需要は、前年比 し高いレジリエンスを発揮し、将来にわたってサステナブルな企業 化石燃料需要ピークアウト
マイナス 900 万バレル / 日の記録的な減少となりました。また、資 であり続けるために、中期経営計画の見直しを実施しました。前 化石燃料需要
減少継続 2030 年代に
源価格は、景気回復を企図した世界的な金融緩和策により、余剰 回の 2019 年の中期経営計画策定時には、計画の前提を「虹」シ 化 電 化 電
石 2040 年 力 石 急速な EV シフト 力
となった金融資産の受け皿となり、変動幅が拡大しています。 ナリオとしました。しかしながら、
「虹」シナリオは、パリ協定の 2 ℃ 燃 電力需要 5 割増 需 燃 需
一方、グローバルで脱炭素化の動きが大きく進んでいます。例 目標を満たすものではありません。このため、現在の脱炭素化の 料 要 料 要
需 需 2040 年
えば、欧州連合 EU) “グリーンリカバリー”
( は として、コロナ禍 潮流が世界的に著しく加速しようとしている様相を踏まえると、当 要 要 非化石電源比率 80%
2019 年 (内、分散電源比率 20%)
からの経済復興とクリーンエネルギーへの構造転換を組み合わせ 社は、今回、パリ協定の 2 ℃目標を満たす「碧天」シナリオの可能 非化石電源比率 29%
( 内、分散電源比率 6%)
た取り組みを志向しています。米国においても、政権交代によっ 性を強く認識し、事業を行っていくことにしました。
「碧天」シナリ
て気候変動対策への取り組み方針が大きく転換され、パリ協定に オは、世界各国が連帯して行動を開始し、足元からエネルギーシ 2030 年 2040 年 2050 年
化石燃料需要 化石燃料需要 化石燃料需要
復帰するとともに、2030 年時点の CO2 削減目標を、2005 年 ステムの構造転換が進み始めることで、今世紀末の温度上昇を 3割減 6割減 8割減
比 で 50% ∼52% 削 減 へ 引き上 げました。日 本においても、 2 ℃未満に抑えることができるシナリオです。
「碧天」シナリオで
2050 年カーボンニュートラル宣言、2030 年時点の削減目標引 は、例えば、アジア太平洋域内の化石燃料は 2025 年にピークア 2020 2030 2040 (年)
2050 2020 2030 2040 (年)


き上げ 26% → 46% 削減)
( がなされています。 ウトし、国内化石燃料需要は 2019 年比で、2030 年に 3 割減、 化石燃料需要
2040 年に 6 割減、2050 年に 8 割減と見込んでいます。 電力需要




また、長期事業環境想定として、マクロ レンドの一つである人
ト しかしながら、各国の中央年齢の予測では、各国・各地域でタイ
2050 年に向けた長期エネルギー事業環境シナリオ 口動態に着目すると、アジアの人口は予測モデルによって大きな ミングに差はあるものの、いずれの地域においても高齢化が進む
バラつきがあります。足元では景気悪化による世界的な出生率の ことが予想されています。
アジア太平洋地域 低下が見込まれるなど、長期的には不確実な変数が多くあります。
石油需要 シナリオ1 “Squall”

アジア経済高成長
需要増大 石油需要増大ペースが CO2 削減努力を上回ってしまう


シナリオ2 “Cloud” アジアの人口予測 各国の中央年齢予測(中位推計)
需要横ばい (億人) (歳)


アジア経済減速下
需要減少 高位推計
地球環境問題解決が棚上げされてしまう 70
シナリオ3 “Prism” 50
60 世界
劇的な需要減少
中位推計
50 40 日本
より強い環境問題対応への機運に政府・企業が応える
40 中国
シナリオ4 “Azure” 30 インド

低位推計
各国政府がコロナ禍からのグリーンリカバリーを志向 東南アジア
脱炭素化と経済復興を推進

2020 2040 2060 2080 2100 (年) 2020 2040 2060 2080 2100 (年)
(出典:国連 World Population Prospects)
現在 2030年頃 2050年頃

以上より、不透明な将来見通しの中でも、脱炭素化および高齢 社会課題の解決に貢献することが当社の責務と認識し、2030 年
事業環境4 シナリオは当社独自のシナリオですが、 各シナリオに類似する他機関のシナリオとしては、 以下が挙げられます。 化のグローバルトレンドは着実に進展することが想定されます。 ビジョンとして
「責任ある変革者」
を掲げました。事業の脱炭素化、
にわか雨:IEA (国際エネルギー機関) (現行政策シナリオ)
Current Policies Scenario
こうしたことから当社が重きを置くことは、企業体のレジリエンス 地域創生、デジタル変革 DX)
( などを推進し、2050 年に向けて




むら雲:IEA Stated Policies Scenario (公表政策シナリオ)

虹:IEA Stated Policies Scenario と Sustainable Development Scenario の中間 を高めながら、将来顕在化する社会課題に向け着実に取り組み ポートフォリオ転換を進めていきます。

碧天:IEA Sustainable Development Scenario (持続可能な開発シナリオ)
を進めていくことです。そのため、エネルギーの安定供給とともに




15 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 16
中長期的に目指す姿(ビジョン)




2030 年に向けた基本方針 ROIC 経営の実践
2030 年に向けた基本方針

■ 資本効率性を高め、 筋肉質な企業体質を実現することで、 リスク許容
企業体質を筋肉質なものとするために、ROIC Return On

23
0 0年ビジョン 度を向上
Invested Capital:投下資本利益率)を指標として用い、資本効 ■ ポートフォリオマネジメントに加え、 成果を的確に測定するパフォーマ
ンスマネジメントの手段としても活用
2050 年に向けては現時点で不確実な変数が多く、いずれか そこで当社は、
「責任ある変革者」 2030 年ビジョンとして掲
を 率性をより重視していきます。ポートフォリオのマネジメントはもち
■ 投資判断においては、 ICP(インターナルカーボンプライシング)を
のシナリオに決め打ちすることは困難であり、むしろ危険ですらあ げ、カーボンニュートラル・循環型社会へのエネルギー・マテリア ろん、ROIC を各事業の KPI へ適切に落とし込み、パフォーマン 活用
ります。 ルトランジション、高齢化社会を見据えた次世代モビリティ&コ スマネジメントの手段としても活用します。また投資判断において ROIC 経営の実践
一方で、化石燃料をベースに 100 年以上にわたって産業や暮 ミュニティ、これらの課題解決を可能にする先進マテリアル、以上 はインターナルカーボンプライシングも活用し、GHG 排出量の
らしに不可欠なエネルギーの安定供給という社会的使命を果た の事業ドメインで以下の 3 つの責任を果たしていきます。 もたらす経済的インパクトを考慮し、投資判断を行います。
し、地域と共に成長を遂げてきた当社にとって、世界的な気候変 ポートフォリオマネジメント パフォーマンスマネジメント
動問題、高齢化社会の進展は、必ずや解決しなければならない社
ビジネスプラットフォームの進化
会課題です。 事業戦略
当社はデジタルトランスフォーメーションを積極的に進めていま 2030 年に向けた基本方針
す。 2021 年4月に経済産業省 DX 認定」
「 を取得し、当社が「デ
ジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態」 ビジネスプラットフォームの進化
エネルギーの安定供給とともに社会課題の解決に貢献することが当社の責務と認識。
というレベルに達していることが認められました。また同年6月に
DX の加速 (業務改革)
Digital for Idemitsu から

責任ある変革者


私たちは、 は、既存事業の効率化を追求しつつ、業務転換や新規事業創出 for Customer・for Ecosystem(顧客・ネットワーク
に積極的に取り組んでいることが評価され、経済産業省と東京証 価値提供) へ
※ 2021/4/1 DX 認定取得 DX-Ready)

Your Reliable Partner for a Brighter Future 券取引所が 選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄
2021/6/7 DX 銘柄 2021 取得
2021」 以下 DX 銘柄」 に、
( 「 ) 初選出されました。
を 2030 年ビジョンとして掲げ、   ガバナンスの ■ 少数かつ経営課題に即した取締役会メンバー構成、討
高度化 議中心の運営
■ 社外役員が主導する公正透明な指名報酬検討プロセ

地球と暮らしを守る責任: スの更なる充実
カーボンニュートラル・循環型社会へのエネルギー・マテリアルトランジション ガバナンスに関しては、取締役会のメンバーを少数かつ経営課 ■ 海外現地法人含むグループ内部統制成熟度の向上



題に即した構成とするとともに、重要課題の議論に重きを置いた
地域のつながりを支える責任: 運営を行っています。指名報酬の検討プロセスにおいては、社外

高齢化社会を見据えた次世代モビリティ&コミュニティ 取締役を、指名・報酬諮問委員会の議長に据え、一層の公正さ、
透明さを追求しています。また、海外現地法人を含むグローバル
ガバナンスの高度化にも努めています。
技術の力で社会実装する責任:
これらの課題解決を可能にする先進マテリアル
Open・Flat・Agile な企業風土醸成
3 つの責任を事業活動を通じて果たしていく。
当社の経営の原点は「人間尊重」にあり、何にも代えがたい当 2030 年に向けた基本方針
社の経営資源は「人」です。多様な価値観を持った従業員一人ひ
とりが、最大限多彩な力を発揮するとともに、共創による化学反 Open・Flat・Agile な企業風土醸成
応を引き起こすことのできる企業風土をつくり上げていきます。こ
理念・ ■ インナーブランディング展開、社会課題解決挑戦に対
の実現のため、
「理念・ビジョンの浸透」 組織改革」 働き方改革」
「 「 ビジョンの する共感の醸成
の取り組みを進めています。 浸透 ■ 環境変化に迅速かつ柔軟に対応するための基軸の確立



2030 年に向けた基本方針 中長期的な経営環境が極めて不透明な中で、 組織改革 ■ 階層簡素化による意思決定の迅速化、間接部門スリム
いかなる環境変化にも柔軟に対応できるレジリエントな企業を目指す 化による生産性向上
当社は、中長期的な経営環境が極めて不透明な中において、 部室長ワークショ “Jungle”
ップ ■ 積極的な権限移譲による成長機会の充実


いかなる環境変化に対しても柔軟に対応できるレジリエントな企 ROIC 経営の実践 Open・Flat・Agile な企業風土を醸成へ ■ スパンオブコントロールの最適化によるマネジメント


の質向上
業を目指します。 「 Open・Flat・Agile
2030 年ビジョンを実現するため、 ROIC 経営の実践」ビジネ
「 「 な企業風土醸成」に向け、 働き方改革 ■ 多様な価値観・ライフスタイルに応じた就労環境の整
スプラッ トフォームの進化」 Open Flat Agile な企業風土醸成」
「 ・ ・ 、 備、 機会均等の実現
2021 年 7 月、36 名の部 ■ 既存業務改革による知の探索の促進、高付加価値業
この基本方針を 3 本柱として取り組んでいきます。 室 長 が 集まり、2021 年 務へのシフ ト
ビジネスプラットフォーム Open・Flat・Agileな 度の第1回ワークショ “Jungle”
ップ を開催しました。
■ 脱 100 点主義による業務のスピード・質向上、共創
の進化 企業風土醸成 部室長が相互交流を深め、他部門の理解により視野を
促進

拡大し、業務の円滑化・スピードアップ、各部室における
取り組みについて相互研鑽を図りました。


17 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 18
中長期的に目指す姿(ビジョン)




2030 年に向けた基本方針

事業戦略 2030 年度の経営目標
2020 年度 2030 年度
燃料油 apollostation の「スマートよろずや」化
928 億円 2,500 億円

営業+持分利益
基礎化学品 ■ 製油所・事業所体制の見直し、コンビナート全体での CNX ※センター」
「 化 (在庫影響除き)

■ 需要減に先んじた固定費圧縮
■ 精製 / 化学のインテグレーション深化
■ ニソン製油所の収益貢献化 ※ CNX Carbon Neutral Transformation
: ROIC 3% 7%
高機能材 ■ リチウム固体電解質の事業化
■ 電子材料・機能化学品・潤滑油・グリース・機能舗装材・アグリバイオ等
先進マテリアルの開発加速
CO2 削減量※
(Scope1+2) 136 万 t 400 万 t
※ 2017 年度比・グループ製油所含む


電力・再生可能 ■ 太陽光・風力・バイオマスの再生可能エネルギー電源開発拡大
エネルギー ■ 再生可能エネルギーを核とした分散型エネルギー事業の展開 2030 年度の経営目標は、在庫影響を除いた営業 + 持分利益 また、2050 年カーボンニュートラルの中間目標として、2017
■ ソーラーフロンティアのシステムインテグレーターへの業態転換 は 2,500 億円とし、 トフォ
ポー リオマネジメントとパフォーマンスマ 年度比で CO2 の 400 万(Scope1+2)
t の削減を目指します。
ネジメントを通じて ROIC を 7 %に引き上げることで、企業価値の
資源 ■ 石油開発 : 東南アジアガス開発へのシフ 開発技術を活用した CCS への取り組み
ト、 向上を目指します。
■ 石炭 : 鉱山生産規模縮小、低炭素ソリューション事業へのシフ (ブラックペレッ
ト ト・アンモニア)
■ 国内外での地熱事業拡大
将来に向けた事業ポートフォリオ転換
先進マテリアル
リチウム固体電解質・ 電子材料 ・ 機能化学品
2030 年を念頭に置いた各セグメントの事業戦略は、以下の通 電力・再生可能エネルギーセグメントにおいては、再生可能エ
潤滑油・ グリース・機能舗装材 ・アグリバイオ
りです。 ネルギー電源開発拡大に取り組むとともに、ソーラーフロンティア
燃料油・基礎化学品セグメントにおいては、5 項目を重点的に のシステムインテグレーターへの業態転換を進めます。これらを
進めていきます。 apollostation の「スマートよろずや」化は、次 生かしながら分散型エネルギー事業の展開につなげていきます。

世代モビリティ&コミュニティにつながる取り組みです。また、こ 資源セグメントにおいては、石油開発事業は東南アジアガス開 益 次世代モビリティ & コミュニティ

の先見込まれる需要減に先んじた製油所・事業所体制の見直し、 発へシフ していくとともに、
ト これまで培った開発技術を活用して 超小型 EV ・ライフサポート

精製 / 化学のインテグレーション深化、固定費の圧縮を進めると CCS の取り組みも検討していきます。石炭事業においては鉱山
ともに、コンビナート全体での CNX センター」
「 化を推進し、エネ 生産規模を縮小し、ブラックペレット・アンモニア混焼といった低
ルギー・マテリアルトランジションに取り組みます。そして、引き 炭素ソリューション事業へのシフトを推し進め、エネルギーのトラ
再生可能エネルギー・バイオマス・合成燃料
続きニソン製油所の収益貢献化に努めていきます。 ンジションに貢献するとともに、国内外での地熱事業拡大にも取 水素・アンモニア・バイオケミカル
化石燃料・基礎化学品
高機能材セグメントにおいては、リチウム固体電解質の早期事 り組んでいきます。 リサイクル / サーキュラー
業化に取り組み、また、先進マテリアルの開発を加速していきます。




エネルギー・マテリアルトランジション



2020 年 2030 年 2050 年


2030 年に向けた基本方針・事業戦略に取り組み、2030 年ビ EV やライフサポートビジネスが、apollostation のスマートよろ
ジョンを実現し、2050 年に向けて事業ポートフォリオ転換を実現 ずやへの業態転換につながり、次世代モビリティ&コミュニティと
していきます。エネルギー・マテリアルトランジションにより、化石 して成長します。更に、先進マテリアルの開発を鋭意進めていき
燃料・基礎化学品事業は、次世代燃料・マテリアル、サーキュラー ます。
ビジネスに置き換わっていきます。現在取り組んでいる超小型
19 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 20
価値創造のアプローチ



出光グループのサステナビリティ
サステナビリティ方針 重要課題(マテリアリティ)

2021 年、サステナビリティの取り組みを推進させるために、サ り、地球環境と国際社会の重要課題解決に貢献し、次世代により 当社グループは、事業を通じて社会に貢献することを大切にし 認識しています。そこで、長期的視野の下、当社グループが中期
ステナビリティ方針を策定しました。当社グループは、一丸とな 良い未来をつないでいくことを目指していきます。 ています。社会発展に貢献しながら、人々のライフラインを支える 経営計画期間中に優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリ
エネルギーを供給し続けることが使命です。昨今、エネルギー利 ティ)を特定しました。グループ一丸となって、地球環境・社会と
用における環境負荷が大きな社会課題となっており、当社グルー 当社グループの持続的発展を目指していきます。
サステナビリティ方針
プにとって、地球環境・社会との調和は重要かつ喫緊のテーマと
私たちは、
「責任ある変革者」として、
「地球と暮らしを守る」
「地域のつながりを支える」
「技術の力で社会実装する」という つの責任を、
3 事
業活動を通じて果たしていく所存です。
当社グループは、適切に情報開示を行い、ステークホルダーとの真摯な対話・協働に努め、以下の重点方針のもと、企業価値向上と持続可 マテリアリティ 主要な取り組み 関連する主な SDGs
能な企業体を目指してまいります。
■ 燃料油事業の収益追求(統合シナジーの最大化、製油所信頼性の向上)
収益基盤事業の構造改革
環境 P.39∼42
燃料油、化学品を中心とする収益基盤
■ エネルギーと素材の安定供給という社会的使命を果たしつつ、自社のみならず社会のカーボンニュートラル実現に向けて挑み続けます。 ■ ニソン製油所の事業基盤強化 P.42
事業にて、パートナーと協働して強固な
■ 革新的技術開発を進め、事業活動による環境リスクを予め低減し、自然環境の保全と循環型社会の実現に貢献します。 ■ 環太平洋サプライチェーンを生かした成長するアジア需要の取り込み
サプライチェーンを構築し、更なる安定
P.40
社会 性と競争力の強化を実現 ■ 東南アジアガス開発 P.51∼52
■ すべての判断や行動において人権の尊重を最優先し、事業活動における人権への負の影響の防止と軽減に努めます。
■ ダイバーシティ&インクルージョン施策の推進により、多彩な能力を生かし企業としての成長を図るとともに、包摂的な社会の実現に貢献します。
■ 事業規模・領域拡大(中計期間の M&A 1,000 億円規模) P.35∼36
■ パートナーの皆様と一体となって、サプライチェーン全体で持続可能な社会の実現に貢献します。
成長事業の拡大 ■ 高機能材事業営業利益比率 2030 年 30%へ
P.45∼48
■ 自社の経営資源を最大限に活用し、地域社会に寄り添ったソリューションの共創に取り組みます。
世の中での必要性が高まる高機能材、 海外再生可能エネルギーなどの総電源開発量 2030 年 5GW へ




ガバナンス 再生可能エネルギーなど成長分野にお (うち 4GW は再生可能エネルギー) P.50
■ 取締役会における審議の充実を図り、継続的に実効性向上に取り組みます。 ける研究開発を強化し、事業規模・領 ■ ソーラー事業の業態転換 P.49∼50
■ ブラックペレッ (バイオマス燃料)
ト の開発 P.52
■ 環境・人権・労働・安全・腐敗防止等に関する国際規範を遵守します。 域を拡大
■ オープンイノベーショ ンを活用した高機能材の開発強化 P.53∼54
■ 公正かつ誠実な経営を行い、当社にとっての重要なリスクを特定した上で、適切なリスクマネジメントを実施します。


■ 社会の変化、顧客ニーズの多様化、環境負荷低減などを見据えた新たな
次世代事業の創出
事業の創出 P.25∼34
組織の枠組みを超えた技術革新・イノ
サステナビリティ推進体制 ■ SS の次世代業態開発
P.41∼42
取締役会 ベーションを加速し、将来を見据えた新 ■ 分散型エネルギー事業開発 P.49∼50
当社は、サステナビリティの視点を踏まえた経営を実践するた たな事業を創出 ■ サーキュラービジネス
社長 内部監査室 P.44、50、71
め、専任組織であるサステナビリティ戦略室を設置しています。サ
ステナビリティ戦略室は、気候変動や人権などの ESG の課題に 経営委員会
地球環境・社会との調和 GHG 削減の取り組み 2030 年:2017 年比 ▲ 400 万 t-CO2)
■ (
対して部門横断的に関与し、総括を行っています。 取締役 ESG管掌
気候変動リスクなどを踏まえ、低炭素社 P.20、67∼70
ESG の各課題は主管部門が推進し、その進捗状況は、ESG 安全環境本部
会・循環型社会の実現に向けた方策を ■ 当社グループが事業を展開するエリアへの貢献 P.25∼32
サステナビリティ戦略室 安全環境本部長
管掌取締役を通じ、経営委員会で報告されます。経営委員会で (取締役) 推進、かつビジネスパートナー、地域、 ■ ダイバーシティ &インクルージョンの実践 P.75∼78
はサステナビリティに関連する重要な方針や施策について議論 ESG関連部門 従業員とのパー トナーシップの下でダイ ■ 従業員の働きがい向上 P.78
し、その内容は社長に報告され、必要に応じ取締役会に報告され バーシティ&インクルージョンも推進 ■ SDGs の啓発活動 P.23
各部門 関係会社

ています。
このマネジメント体制の下、環境課題、社会課題の解決に貢献 ガバナンスの進化
するとともに、企業の持続的成長に取り組んでいます。 ガバナンス機能の強化を進め、株主を ■ 取締役会の役割機能強化 P.59∼64
はじめ全てのステークホルダーの信頼
を保持
国連グローバル・コンパクトへの署名と取り組み

当社は 2019 年 7 月、人権、労働、環境、腐敗防止に関する
「国 10 の原則を支持し、社員一人ひとりの社会 デジタル変革の加速
連グローバル・コンパク (UNGC) の 10 原則への支持を表明
ト 」 課題解決に対する意識向上を図るとともに、 進化するデジタル技術を駆使し、これまでの ■ デジタル技術の活用による新たな価値創造 P.18、33∼34
しました。併せてグローバル・コンパク ・ネッ
ト トワーク・ジャパン グローバルに展開するエネルギー共創企業 事業プロセスおよび経営を変革し、事業環
(GCNJ)に加入しました。当社は UNGC が提唱する「人権の保 として、事業を通じた持続可能な社会づくり 境や顧客のニーズに即応
護」 不当な労働の排除」 環境への対応」 腐敗防止」
「 「 「 に関わる に、より一層の貢献をしていきます。




21 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 22
価値創造のアプローチ




出光グループのサステナビリティ

重要課題(マテリアリティ)特定プロセス サステナビリティ・ESG に関する社外からの評価   

当社では、多様なステークホルダーの皆さまと共に新たな価値 テリアリティ)を特定しました。マテリアリティは、全社戦略・部門
創造に挑戦し続けるために、優先的に取り組むべきことを長期的 戦略に結び付いており、中期経営計画における重要課題へつな 社外からの評価   
な視野で環境 社会の課題も踏まえて検討し、6 つの重要課題
・ (マ がっています。 当社は、サステナビリティ ESG
・ (環境、社会、ガバナンス)へ うな評価を取得しています。今後もサステナビリティ ESG への

の取り組みを経営の重要課題と認識し、ESG の情報開示やエン 取り組みに力を入れ、企業価値向上につなげていきます。
高 ゲージメントを進めています。その結果、2020 年度は以下のよ
Step 1 課題の抽出 社 社内外のステークホルダーにとっ
GRI スタンダードなど国際的なガイドライン、SDGs や ESG 会 て重要度が高いとされた課題に、

評価機関の評価項目を参照し、当社の事業活動およびそれを お 社会および当社経営への影響など CDP MSCI
通じて関係し得る環境・社会の課題を抽出 け を加味し、以下 6 つに整理しました
る CDP は英 国に本 部を置く非 政 府 組 織 MSCI は世界の投資機関向けに投資判
重 ①収益基盤事業の構造改革 (NGO) です。環境影響を管理するための 断のためのサービスを提供する米国の企業

Step 2 ステークホルダーにおける重要度の確認 度 グローバルな情報開示システムを運営し、 です。 MSCI が各企業の ESGリスクの度
②成長事業の拡大
多様なステークホルダーにアンケート調査を実施、各課題に対 環境課題に関する働きかけを行っていま 合いと、これらのリスクをどの程度適切に
する社内外ステークホルダーにとっての重要度を評価 す。世 界 9,500 社 以 上を対 象に、3種 類 管理しているかを基準に、企業を AAA か

③次世代事業の創出
当社における重要度 高 (気候変動、水、森林)の質問書に対する企 ら CCC」 9段階で格付けを行っています。

④地球環境・社会との調和 業の回答に基づき A ∼ D−の8段階での格 当社は 2020 年度の調査で AA」
「 の格付
Step 3 全社戦略との整合化
⑤ガバナンスの進化 付けを行っています。当社は 2020 年度の けを獲得しています。
中期経営計画と整合を図り、課題の優先順位や妥当性を検証
調査で「気候変動 A−」 水 B」
「 の格付けを
⑥デジタル変革の加速 獲得しています。
Step 4 経営層での議論と決定
社長を委員長とする経営委員会における協議を経て最終決定
日経 SDGs 経営調査 日経「スマートワーク経営」調査
本調査は、SDGs 達成に向けた企業の 本調査は、日経グループが新たな時代
取り組みを SDGs 戦略」 社会価値」 環
「 「 「 に競争力を発揮するための企業経営として
境価値」 ガバナンス」
「 の観点から企業を総 提案する Smart Work 経営」
「 について、
重要課題(マテリアリティ) SDGs の関連性
と 合的に評価するものです。当社は 2020 年 「人材活用力」 イノベーション力」 市場開
「 「
度の調査で★ 4.0 の格付けを取得してい 拓力」の観点から企業を総合的に評価する
当社グループでは、マテリアリティおよびマテリアリティに結び しては、負荷を与え得る可能性を考慮し、対応策を検討するなど
ます。 ものです。当社は 2020 年度の調査で★
付く主な取り組みの推進を通じた SDGs への影響を検討しまし 真摯に取り組んでいく必要があると認識しています。 3.5 の格付けを取得しています。
た。 17 ゴールが相互に関連し合う SDGs に対し、当社グループ
負荷を与え得る可能性があるため対応が必要な領域
は程度の大小はあるものの、全てのゴールに影響すると認識して
います。その中でも特に、事業活動を通じてゴール達成に寄与で SOMPO サステナビリティ・ くるみん
インデックス 当社は課題の分析および具体策の検討
きる領域は、以下の 3 つと考えています。
当社は、ESG への取り組みが評価され、 を行い、仕事と家庭の両立を目指す社員
特にゴール達成に寄与できる領域 SOMPO アセットマネジメント 株 )
( の の活躍支援に向けた行動計画を策定して
当社グループでは、これらの社会課題に与え得る負荷を最小 「SOMPO サステナビリティ・インデックス」 います。 2012 年、2015 年には、厚生労
化、または打ち消すための取り組みを検討していきます。具体的 の構成銘柄に、2012 年から 10 年連続で 働省から子育てサポート企業に認定され、
選定されています。 次世代認定マーク「くるみん」を取得してい
には、石油資源の利用や気候変動リスクにつながる GHG 排出量
ます。
に対し、削減目標を設定し達成に向けた施策検討を進めていきま
ゴール達成に取り組む一方で、達成への推進が資源利用や す。また、プラスチックなどの石油化学製品、ソーラーパネルの再
GHG 排出量の増加などにつながる面もあるため、右の 5 つに対 資源化に向けた検討もグループ一丸となって進めていきます。 健康経営優良法人 2021 DX 認定 / デジタルトランスフォーメーション銘柄
当社の「制度・施策の実行状況」 「組
や 当社は 2021 年4月 日付で DX 認定
1 (経済産業大臣による認定)を取得
織体制」などが評価され、経済産業省が特 しました。当社の取り組みが、DX−Ready の状態、つまり、
「企業がデジ

当社グループの SDGs 理解促進の取り組み に優良な健康経営を実践している企業を顕 タルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態」というレベ
彰する「健康経営優良法人 2021」の大規 ルに達していることが認められました。また 2021 年6月には、経済産業省
模法人部門に認定されました。 と東京証券取引所が選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄
従業員一人ひとりが SDGs を通じた社会課題に対する意識を 分事化し積極的に解決に取り組むための啓発活動を行っていま
2021」 DX 銘柄」 に、
(「 ) 初選出されました。
醸成することで、事業活動と社会課題のつながりをおのずと意識 す。 2020 年度は、社内向け情報媒体などを通じて、SDGs の
し、今後の全社戦略および具体的な施策を検討していく際に、 考え方、SDGs の目的、SDGs と自社事業の関わりなどを周知
SDGs の考え方も反映されるよう理解浸透を進めています。当社 し、SDGs の本質的な理解促進を進めています。
グループの従業員一人ひとりが、SDGs を基に、社会課題を自




23 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 24
価値創造への取り組み



カーボンニュートラルへの挑戦
2050 年カーボンニュートラルへの挑戦 カーボンニュートラルに向けたトランジションプラン

当社は、2050 年までに、自社操業に伴う排出量 Scope1+2)
( のカーボンニュートラル =CO2 排出量ネッ
( トゼロ)を目指します。 カーボンニュートラル実現に向けて、当社は、
「リサイクル」 非
「 これら取り組みについては、地域および他社との連携、有識者
石油資源活用」 石油事業変革」
「 の切り口で、以下に示すトランジ および国からのサポートを受けながら、活動を展開しています。
CO2 排出量 / 除去量 ションプランを描いています。


~技術確立期~ 2030 ~資源確保期~ 2040 ~拡大期~ 2050

排出量 廃プラスチック油化 熱資源回収
リ 廃棄物系油脂
サ 廃プラスチックリサイクル
イ 循環社会確立
ク 排ガス転換技術 廃棄物系原料

(エタノール)
CO2 リサイクル
地域焼却センター

0 バイオエタノール輸入基地 バイオ
資 非 SAF※ SAF 事業拡大 バイオプラスチック
除去量 源 石 バイオエタノール海外製造 プラスチック
活 油

CO2 吸収 アンモニア 水素・アンモニア 水素・アンモニア事業拡大
輸入基地 サプライチェーン構築
2017 年 2030 年 2040 年 2050 年

変 油
革 事 製油所地域連携 高付加価値事業展開 原油精製シフト

カーボンニュートラル社会実現に向けた取り組み
CO2
カーボンニュートラル社会の実現に向け、お客さま・社会が必 所・事業所を下記6つの機能を備えた新たな拠点(低炭素・資源 ネットゼロ
※ SAF:持続可能な航空燃料
要とするエネルギー・素材の供給を、既存事業領域の強化拡大 循環エネルギーハブ)と位置付ける CNX ※構想の具現化に向け
と新規事業領域の早期確立の両面から進めます。並行して製油 たアクションを推進します。
※ CNX Carbon Neutral Transformation

コンビナート全体での CNX センター」
「 化

地域、環境との共創で、カーボンニュートラルな循環型社会を創造する。 実現に向けてカギとなるのは、コンビナート全体での CNX セ
「 また、製油所、事業所の広大な敷地、大型船が着桟できる桟
ンター」化です。つまり、エネルギー製造拠点として長年操業して 橋、タンク群などのユーティリティーは、バイオ燃料基地、水素・
きた製油所を、カーボンニュートラル実現のための拠点に生まれ アンモニアの製造・貯蔵基地、廃プラスチックのリサイクル等、
製油所・事業所を以下6つの機能を有した
CNX 構想 低炭素 / 資源循環エネルギーハブへ転換
変わらせるということです。 CNX センターとして生まれ変わるポテンシャルを有しています。
当社グループの製油所、事業所の従業員は、安全操業のノウ さらに、リチウム電池材料の製造基地、太陽光パネルのリサイ
当社取り組み6分野 ハウを持ち、危険物取り扱いのプロフェッショナルとして、長年、 クル基地としての活用も見込まれます。この強みを再認識しなが
地域と共に歩んできました。 ら、コンビナート全体での CNX センター」
「 化を進めます。
省エネ・消費電力のゼロエミ化 バイオマス燃料の供給拡大

環境配慮型商品・サービスの提供 サーキュラービジネスの拡大 当社が描くCNX センターのイメージ図

再生可能エネルギー発電の拡大 革新的技術の開発・社会実装 2050 年に向けてのエネルギー・マテリアルトランジションの実
現により、コンビナートを起点としたカーボンニュートラルのライフ
既存事業領域 新規事業領域 スタイルをイメージし、取り組みを行っています。


推進体制

2021 年 7 月にカーボンニュートラル対応を主導する 「技術・ ニュートラル達成に向けた取り組みや進捗のモニタリング、およ
CNX 戦略部」 を立ち上げました。技術・CNX 戦略部は、経営企 び経営層による議論、取締役会への報告を総括しています。
画、安全環境、サステナビリティ戦略の各部門と連携し、カーボン
バイオマス 石油 熱 水素 アンモニア CCUS
・ ・ 電気



25 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 26
価値創造への取り組み




カーボンニュートラルへの挑戦

バリューチェーン全体での CO2 排出量削減
アンモニアサプライチェーンの概要
バイオマスや CO2 フリーアンモニア/水素等の原料比率を大 こと、お客さまのニーズを的確に把握しながら、バリューチェーン
幅に引き上げることにより、製油所を低炭素 資源循環エネルギー
・ 全体での CO2 排出量 Scope3)
( 削減にも取り組み、SDGs の 原料調達
ハブ(中心拠点)へと転換していくことを目指します。 7 番目にある、
「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」という
自社操業に伴う Scope1+2 の CO2 排出量削減はもちろんの 難題へ正面から挑戦していきます。 製造 輸送 貯蔵 自社利用


水素
自社の排出量※ お客さまの排出量
アンモニア




販売

生産 輸送 貯蔵 製造 貯蔵 利用



持続可能な航空燃料 SAF)
( 製造を中心とした CO2 資源化による地域の活性化への取り組み
原油 CO2 吸収
当社、東芝エネルギーシステムズ(株) 東洋エンジニアリング
、 環社会モデルに反映させ、事業成立性を評価します。 6 社は本実
低炭素・資源循環 (株)
、(株)東芝、日本C S (株) 全日本空輸
C 調査 、 (株) 6 社は
の 証事業を通し、炭素循環に基づくSAF サプライチェーンの商業化
エネルギーハブ
バイオマス原料 / 燃料 連携して、
「持続可能な航空燃料 SAF) 1」
( ※ を製造する P2C ※ 2 や、地域の活性化の促進に貢献していきます。当社は、SAF の
による炭素循環ビジネスモデルを検討してきました。この取り組 認証制度・規格調査、SAF 混合設備および品質管理の基本計
再生可能エネルギー みが 2021 年 8 月、環境省の委託事業に採択され、今後 6 社は地 画作成の役割を担っています。
アンモニア / 水素 既存アセット 廃プラスチック 電力利用 域のインフラや特徴を生かしてカーボンリサイクルを地域内で実
※ 1 SAF:Sustainable Aviation Fuel
(原材料の生産・収集から燃焼までの過程で、
※ バリューチェーン上の自社排出量 現させ、脱炭素化の促進と地域振興を両立させる検討を行いま
CO2 の排出量が少ない持続可能な供給源から製造されるジェ ト燃料) ッ
す。具体的には、各社が持つ知見・技術や関連するプラント設備 ※ 2 P2C:CCU /カーボンリサイクル技 術の一つである Power to Chemicals
(P2C) 再生可能エネルギーや再生可能エネルギー由来水素等を用いて CO2
は、
等を生かし、CO2 の分離回収から SAF 製造、消費までの全工程
を環境価値の高い有価物に再利用する技術であり、CO2 の排出量削減だけでな
について検討し、得られたデータ・知見を、地域における炭素循
具体的な取り組みの紹介 く、再生可能エネルギーの普及拡大にも大きく貢献する




水素・アンモニアサプライチェーン構築への取り組み 地域での炭素循環社会モデル(イメージ)

植物による
日本政府が 2050 年カーボンニュートラルの実現を宣言するな また、当社は、
(株) と、
IHI 当社徳山事業所においてアンモニア
CO2吸収
か、その具体策の一つとして水素、アンモニアなどのエネルギー サプライチェーン構築に向けた検討に共同で取り組んでいます。
サプライチェーンの構築に向けた官民による取り組みが加速して 徳山事業所の貯蔵施設・石油化学装置などの既存設備を活用し、 排ガスなど
からのCO2
います。当社は、2020 年度、国土交通省のカーボンニュートラ 同事業所のアンモニア輸入基地化、既設ナフサ分解炉等でのア
大気中のCO2 ジェ ト燃料

ルポート検討会に徳山事業所やグループ製油所が参画するなど、 ンモニア混焼実証を検討しています。また、今後、海外からのブ CO2
軽油 繊維

発生施設
水素・アンモニアサプライチェーン構築に向けた検討を進めると ルー・グリーンアンモニアの輸入、コンビナート他近隣事業所へ プラスチック
CO2
ともに、海外からのブルー・グリーンアンモニア調達に向けた他 のアンモニア供給を検討します。
分離回収 P2Cによる 有機
社との協業を検討してきました。中でも徳山事業所は 2014 年に 当社の強みを生かして、世界的にも先進的なアンモニアサプラ
カーボン 材料
原油精製設備を停止し、石油化学原料の製造拠点として石油精 イチェーンを早期に実現することで、カーボンニュートラル社会の CO2
リサイクル
製事業からの転換をいち早く完遂しました。 2021 年 2 月には従 実現に貢献していきます。
来比約 30 %の省エネルギー効果を発揮できる高効率ナフサ分解 電気
炉の稼働を開始し、さらに 2022 年稼働予定のバイオマス発電所 H2
CO
の建設等、脱炭素に向けた取り組みを加速させています。これら 再生可能エネルギー 合成等 CO2
CO2 一酸化炭素 フリー水素
の取り組みは、石油精製事業で従来使用していたインフラを活用 電気分解
することで、効率的に実現しています。




27 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 28
価値創造への取り組み




地域創生と次世代事業の創出に向けた取り組み デジタルエコシステムの広がり

当社グループはグループ内外の資産やサービスをデジタル技 これまでに、スタートアップ企業と連携し、移動式車輌による脳
当社は、社会課題の解決に資する次世代事業の創出を重要な経営課題と位置付け、エネルギーのみな 術で連携し、顧客価値を最大化することに取り組んでいます。 ドックサービスや、パーソナライズフードのデリバリー(シェアキッ
らず、交通、福祉、産業、環境、人材育成、防災防犯、観光の 8 つの切り口で、地域課題に寄り添った 地域の困りごとをさまざまなビジネスモジュール(システムや機 チン)サービスの実証に取り組みました。
ソリューションの共創に取り組んでいます。 能)でつなげて、まとめて解決するよろずやとして、生活者の
QOL 向上と地域の活性化に貢献することを目指しています。
地域の二次交通に関する課題解決につなげ、移動
交通 交通
に関するソリューションを提案します
デイサービス
高齢者や障がい者の「生活の質の向上」 のため、
福祉
観光 福祉 新たなサービスの開発・導入を目指します データ
グリーン
水素
センター
エネルギーのライフサイクルに関する課題を解決
エネルギー
し、地産地消を促進します EV 充電 超小型 EV
MaaS
地域 産業
個別ソリューションの事業化を通じて現地の雇用 ステーション
/MaaS
拡大を目指します VPP
シェア
防災防犯 エネルギー さまざまな実証などを通じサステナブルな環境負 MRI
キッチン
環境
荷低減策の導入を目指します 健康診断

人材 エネルギー・環境分野の教育を通じて持続的に事
育成 業を運営できる人材の育成を図ります
SS 物流 出光 Core 再生可能

防災 拠点 無人配送 エネルギー
防災に関連したソリューションを提案します
防犯
人材育成 産業
移動サービスの利便性を高め、観光振興に貢献い
観光 マルチパーパスモジュール
たします AND
環境 WASH
(洗車) ドローン • オンデマンド
農薬散布 • シームレス
包括的で顧客価値の • パーソナライズ
高いサービスの実現
次世代事業の創出にあたって「スマートよろずや」
、「次世代モビリティ戦略」
、「地域創生ソリューション」
といった 3 つのコンセプトで取り組みを進めています。
次世代モビリティ戦略
「スマートよろずや」
株式会社出光タジマ EV
モビリティとコミュニティの拠点、
「スマートよろずや」構想
2021 年 4 月、当社は(株)タジマモーターコーポレーションと、 金融 石油製品

当社は中期経営計画の見直しにおいて、apollostation ネット 有の課題を解決するエコシステムの構築を目指しています。 次世代モビリティおよびモビリティサービスを開発する(株)出光 給油 電力 次世代

サブスク 一括払い
水素充填  エネルギー
ワークを地域住民の生活を豊かにする新しい時代のよろずやへと OMO Online Merges with Offline)
( 型プラットフォームを タジマ EV を設立しました P.42)
( 。 分割払い 充電 蓄電

マイクロ
進化させることを目指し、
「スマートよろずや」構想を掲げました。 通じて、さまざまなサービスを必要な時に必要な場所へ提供する 出光タジマ EV は超小型 EV の開発・提供だけではなく、車載 決済する 供給する
期間変動 災害時  グリ ド

全国約 6,300 カ所のエネルギー供給拠点と、その運営を担う特 ことによって、地域の困りごとをまとめて解決し、生活者の QOL ソーラー、次世代バッテリーの採用、自動運転開発、グリーンス 貸出し 対応
カーシェア
貸し
約販売店をパートナーとし、社内外の価値共創を通じて、地域固 (Quality of Life)向上と地域の活性化に貢献していきます。 ローモビリティ開発、新たなサブスクリプションやカーシェアモデ 予約 出す
GAS 備える 事故
システム 対応 保険
ルの展開、MaaS に関するデジタルプラットフォームの構築、リサ
双方向デジタル
イクルシステムの開発を進めていきます。 地域広告
音声 プラットフォーム 付加
業務
通知 伝える 適合
つながる する
さらに今後は、系列 SS で展開している電力販売と超小型 EV
嗜好性 カスタム
を組み合わせた新たなサービスの開発、高齢者の運転状況を見 見守りサービス
データ
分析 直す 回収する 向上

守る仕組み、個々の車両を蓄電池と見立てた分散型エネルギーシ 性能維持 バッテリー

ステムの構築、車両・バッテリーのリサイクルシステムなど、新た 機能再生 車両筐体

メンテナンス リサイクル
なモビリティサービスの開発に取り組んでいきます。




ドローンを活用した将来構想

当社はドローンを活用した物流のラストワンマイル実証事業を 将来的には、SS をドローンのメンテナンス拠点とし、ドローン
通じて、物流拠点としての SS の可能性検証に取り組んでいます。 技術の社会実装を支えていく構想を描いています。
ドローン技術は物流に加え、地域の見守り、インフラや各種プ
ラントの点検など、さまざまな領域で活用が期待されています。
29 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 30
価値創造への取り組み




地域創生と次世代事業の創出に向けた取り組み 山口県周南市の木質バイオマス材利活用推進協議会へ参画
~エネルギーの地産地消と林業振興に向け、木質バイオマス材利活用を実証・推進~

2021 年 1 月、当社は、山口県周南市が発足した木質バイオマ
地域創生ソリューション 現状 バイオマス用
製紙用
ス材利活用推進協議会に、協議会委員として参画しました。協議 ■ スギ・ヒノキなどは、幹の太い部分から建築資材や紙な
合板用
ど、製品として価値の高い順に利用
会では、豊富な森林資源とバイオマス発電設備を併せ持つ周南
種子島における取り組み ■ 根元部分や枝条など、他の材で使用できないものをバイ
市の特性を生かし、エネルギーの地産地消と林業振興を目的に、 オマスとして利用することが前提 製材用

~地域課題解決に向けた共同研究~ 価値の高い木に育てるために 45 年以上、手入れが必要
実証実験を通して国産の木質バイオマス材利活用を推進します。


バイオマス用

2020 年 12 月、当社が産学公で共同研究する、鹿児島県種子 いることで、複雑化する種子島の地域課題の解決を図るだけでな 協議会では、周南市市有林の一部において、早生樹を活用し
実証事業
島地域における「資源を循環させる地域イノベーションエコシステ く、他の地域への展開を図り拠点ビジョンを実現します。 た木質バイオマス材生産の実証等を通じ、参加する関係企業・機 ■ 当初から木全体をバイオマスとする森を造林
ム研究拠点」
の取り組みが、国立研究開発法人科学技術振興機構 当社は本取り組みを通じ、参画機関と共創し地域課題解決に 関等が協力し国産材の利用拡大を検討します。早生樹による短 ■ 下刈りや枝打ち、間伐などを省略し、育成コストの低減
バイオマス用
を検証
(JST)が公募する「共創の場形成支援プログラム」の育成型(共 有効なソリューションの実証・展開を目指します。取り組みに当 期間・低コストのバイオマス生産に加え、森林と消費地の近接立 ■ 早生樹のコウヨウザンなど、周南市に適した短期間での
創分野)プロジェクトとして採択されました。 たっては、全国約 6,300 カ所の SS ネットワーク運営により蓄積し 地を生かした運搬費低減が期待できます。また、早生樹への転換 成長が見込める樹種を実証的に育成

本共同研究は、国立大学法人東京大学を代表機関とする複数 た地域課題に関する知見と、地域社会に根差した事業を展開す により森林の循環利用と林業の振興にも寄与します。
の機関と協働で、SDGs に基づくビジョンの実現に向け取り組む る特約販売店との連携を生かし、モビリティ分野や分散型エネル また、本実証実験を踏まえ、早生樹による木質バイオマス材生 おいて旧製油所跡地を利用したバイオマス発電所の建設を進め
ものです。産学公の共創により、バックキャスティングの手法を用 ギー分野等において地域に貢献します。 産を市内他地域へ拡大することを目指すほか、国産の木質バイオ ています。
マス材利活用の方法についても協議していきます。 当社および徳山事業所は今後も周南市と共に、再生可能エネ
当社は、より低炭素なエネルギー供給を目指し、徳山事業所に ルギーの活用とエネルギーの地産地消モデル確立を推進します。
千葉県市原市と包括連携協定を締結
~超小型 EV 等先進技術の活用により環境および地域創生に貢献~
「スマートシティ会津若松」 にオープンイノベーション拠点
2021 年 4 月、当社と市原市は、地域の観光振興や産業振興
「会津創生センター」 を開設
などの地域創生に貢献する分野において連携・協力することを目
~産学官民連携×データ連携基盤・ICT を活用しモビリティ、分散型エネルギー、サーキュラーエコノミー等の分野で協働~
的に、包括連携協定を締結しました。この新たな協定の下、当社
で実証を進めている、超小型 EV を活用したカーシェアリングサー 2021 年 1 月、当社は、ICT(情報通信技術)を活用したまちづ 指します。
ビス「オートシェア」を市原市内でも展開しています。 くりに取り組む福島県会津若松市の ICT オフィスビル 「スマートシ 具体的には、当社の新
当社は、モビリティデータを活用したサービスを提供する株式 ティAiCT (アイク 」ト) 内に、新たな地域サービスモデルの創出を 規事業開発機能を一部移
会社スマートドライブおよび、位置情報ビッグデータと解析技術 目的とするオープンイノベーション拠点「会津創生センター」を開 管し、モビリティ、分散型
を用いた地域活性化支援ソリューションを提供する
(株) ト
ナイ レイ 設しました。 エネルギー、サーキュラー
と協業し、地域の観光資源の最大化を図る取り組みを推進してい 「会津創生センター」は、ICT 活用で先進する会津若松市の エコノミー等の分野でデー
ます。車両の位置データや観光客が発信する SNS データを組み フィールドで、コンピューターサイエンス領域に特化した公立大学 タと ICT を活用した次世代
合わせることで、観光客の移動をスムーズにするための施策や、 法人会津大学、
「スマートシティAiCT」に入居し活動する企業群、 事業につながるプロジェクトを検討、実証します。将来的には、都
隠れた名所・観光スポットに誘導を図る施策などに活用し、市原 当社関係会社である若松ガス(株)をはじめとする地元企業や当 市 OS を活用したデータ駆動型のビジネスモデルを構築し、 ・
安心
市における観光振興に取り組んでいます。 社特約販売店とともに、データ連携基盤(通称:都市 OS) ICT
と 安全・便利で快適なまちづくりと地域雇用の創出に貢献します。
を活用した市民参加型の新たな地域サービスモデルの創出を目

さいたま市とゼロカーボンシティ実現に向けた連携協定を締結
国富町役場で車両管理システムと連携した
2021 年 6 月、当社はさいたま市とゼロカーボンシティ(2050
エネルギーマネジメントシステムの実証実験を開始
年二酸化炭素排出実質ゼロ)実現に向けた再生可能エネルギー
~エネルギーコスト・環境負荷の低減と災害時のレジリエンス向上を目指して~
等の利活用推進に関する連携協定を締結しました。
本協定は、当社とさいたま市が環境・エネルギーの分野で相互 2021 年 10 月、当社は日本ユニシス(株)
、(株)スマー ドライ
ト ことで、国富町役場の電力コストの低減や CO2 排出量の削減に
に連携・協働し、さいたま市内の再生可能エネルギーの利活用を ブとともに、宮崎県国富町の国富町役場の敷地内において、エネ つなげます。また、災害などによる停電時における蓄電池と EV
推進する取り組みで、市内の各家庭で発電した卒 FIT 電力の買 ルギーコストや環境負荷の低減と災害時のレジリエンスの向上に からの電力供給の最適運用の検証および事業モデルの検討も実
い取りや太陽光発電システムのメンテナンスといったサービス展 資するシステムの構築を目的とした実証実験を開始しました。 3 施します。
開を計画しています。また、市内の卒 FIT 電力や市内で発電した 社は、それぞれの知見を活用し、自治体とともにエネルギーの地
再生可能エネルギーを、さいたま市が所有する施設や、当社が新 産地消と低炭素化の実現を目指しています。
ブランド apollostation」
「 として展開するサービスステーションで 今回の実証実験では、
「人と環境にやさしいまちづく として
り」
利用する等の検討を進め、エネルギーの地産地消を推進します。 自然エネルギーの普及に取り組んでいる国富町役場の敷地内に、
併せて、当社関係会社のソーラーフロンティアと NEDO ※が共同 太陽光発電システム、公用車 EV3 台、EV 予約管理・車両情報
研究中の、太陽光パネルリサイクル技術の適用についても検討を 取得を行う車両管理システム、複数の蓄電池・EV 充放電器 /EV
進め、循環型社会「地域循環共生圏」の実現を目指します。 充電器、そして、これらのリソースを遠隔から複合的に制御するエ
※ 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 ネルギーマネジメントシステムを導入し、エネルギー利用の最適化
を図ります。蓄電池と EV の最適な充放電計画を作成し運用する

31 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 32
価値創造への取り組み




デジタル変革の加速 顧客との共創 Digital for Customer)

ビジネスプロセス全体をデジタル技術で変革させ、 既存事業で新たな顧客価値を創造していくためには、当社のア
新たな顧客価値の創造・従業員体験向上へ セットを最大限生かした新たな取り組みが欠かせません。例えば
エネルギー業界を取り巻く事業環境が今後大きく変化していく 2020 年 1 月にデジタル変革室を立ち上げ、複数の実地検証と SS では、お客さまが給油に来てくださるのをただ待っているだけ
ことが予測される中、当社が持続的に成長をするためには、デジ 企業風土醸成に向けた社内啓発を開始しました。 2021 年 7 月 でなく、こちらから情報を発信し、SS を新たな体験ができる場所
タルトランスフォーメーション DX)
( を全てのビジネスプロセスに には部門横断で取り組んでいた BPR 機能を集約し、デジタル・ へと変貌させていく必要があります。
「スマートよろずや」構想に
おいて積極導入し、業務の高度化、新たなニーズに沿ったサービ DTK 推進部としてより一層、新たな社会価値・顧客価値の創造、 ある、apollostation ネットワークを地域住民の生活を豊かにす
スの提供を続けていくことが必要不可欠です。その認識の下、当 従業員体験向上加速を進めていきます。 る新しい時代のよろずやとして、地域固有の課題解決などお客さ
社は 2030 年に向けた基本方針「ビジネスプラットフォームの進 まの多様なニーズに対してベストなタイミングで最適なサービス Human-centered
化」を掲げ、DX の加速の取り組みを進めています。 を提供するために、蓄積されたデータを利活用し、お客さま一人 Trans(X)formation
出光の DX はデジタルの力で
ひとりに寄り添った、サービスを実現していきます。 人の成長を加速させ、 お客さま・地域・社会に貢献する。
ビジネスパートナーとの
企業間連携による共創
共創 大企業、スタートアップ、 従業員との共創 Digital for Idemitsu)

オープンイノベーションなど
Digital for Ecosystem
業務プロセス変革を全社横断的に進めるために、事業部間の れまでの働き方を大きく変えていける」という意識が社員に醸成
顧客との
顧客に対する新たな価値提供 シナジー創出や全体最適化に資する複数の実地検証を 2020 年 されました。 2021 年 9 月末時点でも在宅勤務が可能な職種の
共創 既存顧客のサービスレベル向上 4 月よりスタートし、各成果確認後、スモールスタートを切るなど、 部門においては出社率 30 %未満を継続しています。
新規顧客獲得
Digital for Customer 着実に進捗しています。 企業風土醸成を目的とした社員向けオンラインセミナーを実施

従業員との
また 2020 年 4 月は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴 し、当社の DX 推進の必要性や将来像の説明、社内事例紹介、社
従業員の新しい働き方創造
共創 全社横断 / 業務プロセス変革
う緊急事態宣言の発令などにより、製造技術部門を除く全社の 9 外の有識者とのパネルディスカッションなど、幅広いコンテンツで
による全体最適化 割以上の社員が在宅勤務となりました。 DX という面ではウェブ 全社の変革に向けた取り組みを進めています。
Digital for Idemitsu
会議やペーパーレス化、電子承認システムなどの活用が進み「こ



DX 銘柄 バリュー「5D」
の実践
事例 DX による製油所保全業務の高度化・安全レベル向上の取り組み
経済産業省と東京証券取引所が選定する「デジタルトランス デジタル・DTK 推進部では、社内外のあらゆる価値提供を、
フォーメーション銘柄 2021」に選ばれました。 データによってつないでいき、デジタルビジネス基盤を作ること 社内 DX 案件の一つとして保全業務の変革を対象とし、従 また、本取り組みは、旧来の発注者・受注者の関係ではな
に主眼を置いています。 来と異なるアプローチ(アジャイル デザインシンキング)
・ にて、 く、One Team となってより良い製品を作り続けるという組
その最大化のための専門性の高い DX 人材と、機動力のある 今までの業務のやり方を見直しながら効果検証を行いました。 織風土醸成にもつながりました。
組織体制とを兼ね備え、DX を実行、推進しています。 製油所、関係部門で DX 推進体制を組み、継続した業務プ その後も変革スコープの拡大に向けた検討を開始し、実証
ロセス改善を 100 日単位で実行した結果、修繕費の削減、業 で得られた知見を、他プラントに適用を拡大しています。今後
務効率化による競争力強化の可能性を見いだすことができま も、業務プロセス改善を推進・継続し、事業間を超えたシナ
Design 顧客への提供価値 Digital marketing した。 ジー効果の創出を目指していきます。
● デザインシンキング ● マーケティング
● ビジネスデザイン


マーケティング・
デジタル変革室初の投資案件
サービスデザイン Development 現場の困りごと 具現化
実体験
● アジャイル開発 の可視化 100 日スプリント
● システムエンジニアリング 本番運用開始 2020/10/1 ~


Data science デジタルビジネス基盤 「DX マザー工場」
として DX に取り組んだ千葉事業所の様子
● データサイエンス
DTK(だったらこうしよう)
プロジェクト※
企業風土醸成 ● BPR 推進
Open・Flat・Agile
※ 当社が永続的に発展していくことを目的とした、全社員で
取り組む業務フロー・働き方改革プロジェクト 新たなアプローチ(アジャイル・デザインシンキング)で、迅速な体感へ

ビジネスパートナーとの共創 Digital for Ecosystem)


デジタル変革の目的の一つは、地域社会に資するまったく新し 方面の分野に強みを持つ企業との連携を通じて取り組みを進め
いビジネスを創出することです。しかしそれは、当社だけで成し遂 ていく予定です。 2020 年は企業間連携によるスマートシティを
げることはできません。ヘルスケアや住まい、食品、教育など、多 題材としたプロジェク 「SmartCityX」
ト に参画しました。


33 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 34
ビジョン実現へのマイルストーン



CFO メッセージ
3.中期経営計画期間 2020∼2022 年度)
( の目標

燃料油セグメントにおける統合シナジーの拡大、ニソン製油所 ギー転換、モビリティビジネス関連など、将来の事業ポートフォリ
の収益改善に加えて、資源価格や基礎化学品市況の改善等を織 オ転換に向けた戦略投資に振り向け、1,000 億円は機動的な
込み、セグメント利益(在庫影響を除く営業利益+持分利益)につ M&A 実行のための財源として確保していきます。
いては、2021 年度 1,400 億円、2022 年度 1,750 億円を目標 以上の結果、 フリーキャッシュフロー2,300 億円を確保し、株主
としました。 カ年の中期経営計画期間累計では、当期純利益
3 還元のほか、ポートフォリオ転換のための戦略投資、財務体質強
2,200 億円、セグメント利益 4,100 億円、2022 年度末 ROE8% 化等へ配分していく方針です。
の財務目標達成を目指します。 また、今後いかなる環境変化にも柔軟に対応していくためには
キャッシュバランスについては、固定費削減や、積極的な資産 資本効率を高めることが重要だと考えており、2030 年に向けた
売却によって、償却費と合わせ 8,000 億円のキャッシュインを確 基本方針において ROIC ※ 経営の実践」
「 を掲げました。具体的
保していく方針です。 には 2020 年度末3%から 2030 年度末7%を達成することを目標
出光興産株式会社
取締役常務執行役員 設備投資については、累計 5,700 億円を実施する予定です。 とし、その通過点として、2022 年度末には 4% までの改善を目
CFO そのうち 2,700 億円を、高機能材事業や低炭素燃料へのエネル 指します。
※ ROIC Return On Invested Capital/ 投下資本利益率

酒井 則明
キャッシュイン キャッシュアウト 燃料油・基礎化学品 高機能材
当期純利益 営業+持分利益
(在庫影響除き) (在庫影響除き)
ROE FCF 戦略投資
■「スマートよろずや」 化 ■ リチウム固体電解質
当期利益 ■ CNX センター」
「 化 ■ 潤滑油海外展開
2,200億円 2,700億円 ■ 精製 /化学インテグレーション ■ エンジニアリング
(3 カ年累計) (3 カ年累計) (2022 年度末) (3 カ年累計)
うちM&A財源   プラスチック事業拡大
1,000億円
2,200 億円 4,100 億円 8% 2,300 億円
1.2020 年度 2020 年 4 月∼2021 年 3 月)
( の業績について (主要前提) 単位 2021 年度 2022 年度 操業維持投資 電力・再生可能
償却費等
4,800億円
3,000億円 エネルギー
原油 Dubai〉
〈 $/BBL 60.0 M&A財源
2020 年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に その中で、当社は感染防止対策と併せエネルギーの安定供給 ■ 海外ソーラー
ナフサ〈通関〉 $/t 560
  電源開発
より緊急事態宣言が発令されるなど、第1四半期において大きく を継続するとともに、国内サプライチェーンの競争力強化、働き
石炭〈豪州一般炭〉 $/t 80.0 75.0 フリー 資源
減速しました。その後は経済活動の再開が進められるなかで景気 方改革や DX シフトの加速、コスト削減や投資の厳選など、企業 キャッシュフロー ■ 欧州石油開発
為替〈米ドル〉 ¥/$ 105.0 資産売却等 2,300億円 ■ アジアガス開発
は秋まで緩やかに持ち直しましたが、感染再拡大を受けて年明け 体質強化に向けた取り組みに注力しました。その結果、当社グ 1,000億円 ■ ブラックペレット
■ 地熱

以降は停滞しました。 ループの 2020 年度の売上高は原油価格の下落や販売数量の減
ドバイ原油価格は、春先に急落しましたが、主要国の経済活動 少などにより 4 兆 5,566 億円(前年度比 1 兆 4,892 億円の減少)
4.株主還元について
再開や OPEC プラスの協調減産再開により持ち直し基調に転 になりましたが、セグメント利益(在庫影響を除く営業+持分利
じ、11 月以降は新型コロナウイルスワクチンの普及や米国経済 益)は燃料油セグメントの増益により 928 億円(同 297 億円の増 当社は、株主の皆さまに対する利益還元を重要な経営課題と 当を実施していく方針です。
回復への期待等を受けて上昇基調になりました。 益)
となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、 考えています。この考えに基づき、当中期経営計画期間の 2020 今後はポートフォリオの転換と資本効率を追求することで企業
このような環境において、国内石油製品販売量は、航空便の 長期貸付金評価損や資源事業における減損損失の計上などによ ∼2022 年度は、3 カ年累計の在庫影響除き当期純利益に対し、 価値向上を実現し、株主の皆さまのご期待に応えていきたいと考
運休・減便によるジェ ト燃料需要の大幅な減少に加えて、
ッ 外出 り、在庫影響を除き 297 億円(同 93 億円の減益)となりました。 総還元性向 50% 以上の株主還元、1 株当たり 120 円の安定配 えています。
自粛の影響などによるガソリンの需要減により、全体で前年度を
下回りました。また、資源や基礎化学品の市況下落も加わり、当
社グループの事業環境は大変厳しいものとなりました。 株主還元
(単位:億円) 5.株主・投資家の皆さまとの対話について ■

(億円) 自己株式取得総額 (円)
2019 年度 2020 年度 増減 800 配当総額 160
経営方針や業績に係る適時適切な情報開示を通じて株主・投 1 株当たり年間配当金
売上高 60,459 45,566 ▲ 14,892 700 140
資家の皆さまと対話を重ね、ご意見を経営へ反映していくことが
営業+持分利益 ▲ 262 1,003 +1,265 600 120
(在庫影響除き) (631) (928) (+297) 重要であると認識しています。とりわけエネルギー供給を使命と 500 100

当期純利益 ▲ 229 349 +579 する企業として、財務情報のみならず気候変動への対応を含めた 400 80
(在庫影響除き) (390) (297) (▲ 93) 300 60
非財務情報開示の充実にも、引き続き取り組んで参ります。また、

足元で大きな環境変化が起こる中、中期経営計画の見直し内容 100 20
を含め、当社の今後の方針や戦略につき、今まで以上に積極的
2.中期経営計画の見直しについて

2016 2017 2018 2019 2020 2021 (年度)
な説明機会を設け、お伝えしていきたいと考えています。株主・ (予想)

2019 年 11 月に 2020 ∼2022 年度を対象とする中期経営計 わたってレジリエントな企業であるためには、中長期戦略の再構 投資家の皆さまにおかれましては、今後もご理解とご支援を賜り 2021
年度 2016 2017 2018 2019 2020 (予想)
画を公表しましたが、上述の通り事業環境が大きく変化しました。 築と打ち手のスピードアップが必要と認識し、2021 年5月に「中 たくよろしくお願い申し上げます。
 自己株式取得総額(億円) ー ー 550 120 ー
また、日本政府が 2050 年カーボンニュートラルを宣言するなど、 期経営計画の見直し」を公表しました。
 配当総額(億円) 80 166 200 480 357 357
グローバルな脱炭素化の潮流も加速しています。当社が将来に
 1 株当たり年間配当金
(円) 50 80 100 160 120 120
 総還元性向 %)
( ※在庫影響除き 12 12 97 154 120
■ 財務ハイライト P.83
35 出光統合レポー 2021
ト ■ 主要財務データ P.85∼86 出光統合レポー 2021
ト 36
ビジョンの実現に向けた取り組み



2020 年度の事業概況
売上高・営業+持分利益推移 2020 年度実績概要 主な事業内容


(億円) ■ 売上高 ■ 在庫影響除き ■ 在庫影響込み
売上高 原油の調達、石油製品の精製
燃料油セグメント

60,000
53,797
売上高 48,210
3兆 5,934 億円
■ (サービスステーション)
SS 向けガソリン・灯油・軽油・
(億円)
45,000
35,934 自動車用潤滑油の販売
70,000 68,666 ■ 産業用灯油・軽油・重油などの販売
30,000 営業+持分利益
■ 航空機用・船舶用燃料の販売
60,459 1,500

1,021 1,021 億円 ■ 水素ステーションの運営
60,000


-201 営業+持分利益(在庫影響除き※)

50,000
45,566
-1,500 -1,094 947 億円
P.39∼42 (概算)
2018 2019 2020 (年度)


40,000


(億円) ■ 売上高 ■ 営業+持分利益
売上高 エチレン、プロピレン、ブタジエンなどの
基礎化学品セグメント

7,000
30,000
6,018 合成樹脂原料の製造・販売

(概算)
2019 2020(年度) 6,000
3,290 億円 ■ ベンゼン、スチレンモノマー、 ックスキシレン、
ミ パラキシレンなどの
5,000 4,592
化成品の製造・販売
営業+持分利益 4,000
3,290 営業+持分利益
(億円)
3,000
■ 在庫影響除き ■ 在庫影響込み 3,000
34 億円
2,000

2,291 1,000


2,000 2,183 0
P.43∼44 (概算)
2018 2019 2020 (年度)

1,003
1,000

(億円) ■ 売上高 ■ 営業+持分利益
売上高 自動車用潤滑油、 工業用潤滑油、船舶用潤滑油、
高機能材セグメント

5,000

4,363
グリースの研究開発・製造・販売
-262 4,000
3,938 3,326 億円 ■ エンジニアリングプラスチック、 粘接着基材、誘導品・溶剤
3,326
-1,000
2018 2019 2020(年度) 3,000 の研究開発・製造・販売
(概算) 営業+持分利益 ■ 有機 EL などの電子材料の研究開発・製造・販売


※ 在庫影響について
2,000
130 億円 ■ 高機能アスファルト (機能舗装材)の研究開発・製造・販売
国内石油元売り会社は、 日本のエネルギーセキュリティの ■ 微生物防除剤・土壌改良資材、 畜産関連資材などの
観点から、販売量の約 70 日分の原油・製品在庫を備蓄す 1,000
ることを義務付けられています。そのため、原油価格の変 332 284 研究開発・製造・販売

動による在庫評価損益が業績に大きく影響するため、 在庫 0 ■ 全固体リチウムイオン電池材料の研究開発
影響を除く実質的な収益を記載しご説明しています P.45∼48 (概算)
2018 2019 2020 (年度)



地域別売上高比率
(億円) ■ 売上高 ■ 営業+持分利益
その他 2% 売上高 国内電力の供給、 卸売・小売販売
電力・再生可能

1,500 1,371
1,277
北米 5% 高効率火力発電所の運営
1,237 億円
1,237 ■


エネルギーセグメント
1,200
海外合計
■ 太陽光・風力・バイオマス発電所など
24% アジア・

再生可能エネルギー電源の開発・運営
オセアニア 600
営業+持分利益 ■ 太陽光発電システムの販売
17%

-173 億円 ■ CIS 薄膜太陽電池の研究開発・製造

日本 0
-5
76% -300
-75
-173
P.49∼50 (概算)
2018 2019 2020 (年度)




(億円) ■ 売上高 ■ 営業+持分利益
売上高 石油・天然ガスの探鉱・開発・生産
資源セグメント

4,000

石炭の生産・販売
出光グループ 合計 256 社 3,080 1,720 億円 ■

■ 地熱発電所の運営、 電力および蒸気の供給・販売
国内 118 社 海外 138 社 3,000
2,418 ■ ウランの生産・販売

営業+持分利益
2,000 1,720
欧州 12 社 日本 118 社 47 億円
1,000 885
中東、アフリカ 2社 北米 58 社 418

アジア、
オセアニア 64 社 中南米 2社 0
P.51∼52 © Bo B Randulff - Even Kleppa - Woldcam / Equinor ASA (概算)
2018 2019 2020 (年度)




37 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 38
ビジョンの実現に向けた取り組み




中期経営計画

燃料油セグメントにおいては、生活・経済活動に欠かせないエ サービスステーション apollostation」
「 に関しては、国内の少
ネルギーの安定供給責任を果たすため、事業全体の競争力強化 子高齢化社会を見据えた新たなコミュニティ・モビリティサービス
に引き続き取り組みます。併せて、中長期的な需要減に先んじて、 の拠点として、
「スマートよろずや」化構想の実現に向けて取り組
製油所・事業所体制の見直し、精製 / 化学のインテグレーション みます P.29) これは、
( 。 従来の給油やカーケアサービスのみなら
の深化、固定費圧縮の取り組みを進めていきます。また、世界的 ず、地域のニーズに対応するカーシェアリングや医療、物流、高
な気候変動問題への対応として、化石燃料から GHG 排出量の 齢者向けデイケア等さまざまなサービスを提供する拠点として、


燃料油セグメント
少ないエネルギーへの転換が加速すると予想されています。低炭 SS を進化・変革させることを目指すものです。地方自治体や企
素社会・循環型社会において必要とされるエネルギーの供給拠 業との協業、実証等を通じ、事業モデルの構築に取り組みます。
点として、コンビナート全体での CNX センター」
「 化を推進し 海外では、中期的に石油需要の増加が見込まれるアジア・環
(P.26) バイオ・合成燃料のほか、
、 アンモニア・水素等を含む環 太平洋地域において事業を展開しています。当社持分法適用会
境負荷の少ない燃料への転換(エネルギー・マテリアルトランジ 社 Nghi Son Refinery and Petrochemical LLC NSRP)
( が
■ 国内にバランスよく配置されたグループ製油所 6 カ所)
( および油槽所 35 カ所) トワーク
( ネッ
ション)に向け、事業モデルの構築を進めます。 ベトナムにて運営するニソン製油所については、コロナ禍による
■ 国内第 2 位のシェアを誇る SS
(約 6,300 カ所)
における販売施策の展開
強み 市況悪化などの影響を受け厳しい経営状況が続いており、収益
■ 地域に密着した経営を行う特約販売店との連携・協力体制
貢献化に向けた取り組みに注力していきます。
■ 創業時より培われた経験や技術の蓄積およびバリューチェーンの海外展開




製造資本 2021 年 3 月末時点)

製造・物流における統合シナジー最大化・競争力強化の取り組み TOPICS
グループ製油所
製油所の取り組みについては、製油所間連携体制を強化
原油処理能力 し、統合シナジーの最大化を図るとともに、設備の効率化改
国内 所在地 原油処理能力国内シェア
27%
(万バレル / 日)
造を実施するなど、競争力強化を図っています。千葉事業所
北海道製油所 北海道苫小牧市 (国内第 2 位)

においては、長期的なコスト競争力向上を目的とした投資と
千葉事業所 千葉県市原市 19
して、2020 年の重油直接脱硫装置の効率化改造に続き、
愛知製油所 愛知県知多市 16
2021 年 4 月に流動接触分解装置 FCC 装置)
( の重油分解
四日市製油所
(昭和四日市石油(株)

三重県四日市市 25.5 能力向上 RFCC 化)
( 工事を実施しました。これにより同装置

京浜製油所 の残油処理比率が 35% から 50% に向上し、重質油処理能
神奈川県川崎市 7
(東亜石油(株)
) 力の向上によるコスト競争力の強化とともにグループ製油所
千葉事業所
山口製油所 全体の柔軟なオペレーションに寄与します。
山口県山陽小野田市 12
(西部石油(株)

SS 数国内シェア また、自然災害の増加や、プラントの高経年化、熟練従業 物流においては、内航船の配船計画策定における AI 導入
合計 94.5 (国内第 2 位) 22% 員の減少等に対応するため、製油所・事業所のスーパー認定 の取り組みを進めています。2020 年 6 月に実証実験を行い、
原油処理能力 事業所の認定取得を推進しています。これは高圧ガス保安法 従来、熟練担当者の経験やノウハウに依存していた配船計画
海外 所在地
(万バレル / 日) に基づき、レベルの高い自主保安を推進し、 ップランナーと
ト を 60 分の 1 の時間で策定し、輸送効率を最大約 20 %改善
ニソン製油所 して他事業所の模範と認められた事業所が受ける認定であ できることを確認しました。その後実証実験の対象範囲(製油
(Nghi Son Refinery and ベトナム タインホア省 20
Petrochemical LLC) り、認定を受けることで自主保安における設備の検査方法、 所、油槽所、契約船舶)を拡大するなどして配船計画の精度
合計 20 点検周期、連続運転期間などの自由度が高まり、より柔軟か を高め、2022 年 1 月から AI 配船計画システムを利用した運
つ効率的な製油所運営を行うことが可能となります。高度な 用を開始予定です。今後も燃料油事業以外の部署での同シ
事業環境 リスクアセスメントや AI を活用した先進技術・人材育成など ステムの活用も視野に取り組みを進めます。
の実績が評価され、2021 年 6 月に北海道製油所、および西
2020 年初に起こった新型コロナウイルス感染症の世界的大流 による影響が続きました。 部石油(株)山口製油所がスーパー認定事業所に新たに認定
行による経済活動の低迷により、エネルギー需要が大きく減少し、 中長期的には世界的なエネルギーの脱炭素化が加速すると見 されました。当社グループでは徳山事業所、千葉事業所に続
それに伴い原油価格も大きく下落しました。その後、主要産油国 込まれます。国内では日本政府の 2050 年カーボンニュートラル く認定取得となります。
の協調減産の動き、中国や欧米の景気回復への期待から原油価 宣言に加え、少子高齢化による人口減少や EV 車の普及が見込
格は 2020 年度末にかけて、コロナ禍前の 60ドル / バレル台まで まれていることから、今後の石油製品需要の減少はより加速する
回復しました。国内石油需要について、 ッ
ジェ ト燃料は引き続き厳 ことが予測されます。アジア地域においても、足元では経済成長
しい状況が続いたものの、経済活動の再開等に伴い全体では と人口増加による石油製品需要の増加が見込まれていますが、
2020 年度後半にかけて徐々に回復しました。海外の需要も回復 長期的にはこの世界的な脱炭素化の影響から、需要が減少する
基調が見られる一方、引き続き新型コロナウイルス感染症の拡大 見込みです。


39 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 40
ビジョンの実現に向けた取り組み

燃料油セグメント



サービスステーション SS)
( における販売施策の展開 TOPICS 新カテゴリーのモビリティ提供に向けた超小型 EV の開発 TOPICS

2021 年 4 月よりサービスステーション SS)
( の新ブランド 当社および(株)タジマモーターコーポレーションは、超小 さ、自転車よりも雨風をしのげる移動手段であること、環境に
「apollostation」の展開をスター しました。従来出光興産と
ト 型 EV などの次世代モビリティおよびサービスの開発を行う も優しい等、さまざまなメリ トがあり、
ッ 近距離のみの移動な
旧昭和シェル石油の SS ごとに分かれていたクレジットカード (株)出光タジマ EV を 2021 年 4 月に設立しました。 SS ネッ ど、従来の自動車ほどのスペックを必要としない層へのニー
も新 ブ ランド apollostation card」 統 一され、 楽 天 」
「 に 「 トワーク、および車体に使用されるエンジニアリングプラス ズが年間 100 万台に上ると想定しています。今後は、車両開
「Ponta」等共通ポイントカードや既存決済サービスと合わせ、 チック等の素材を扱う当社、そして車両設計技術を持つ(株) 発・提供に留まらず、SS を起点としたカーシェアリングなど、
全国約 6,300 カ所の SS にて利用可能となりました。 タジマモーターコーポレーションとの協働により超小型 EV を 新たなモビリティサービスの拡大へ向けて取り組みを進めて
今後は、従来のサービスや販売施策へのデジタルトランス 開発し、2022 年に上市を予定しています。 いく予定です。
apollostation
フォーメーション DX)
( を積極展開し、給油やカーサービスの この超小型 EV は、小型で小回りが利く等の運転のしやす
カーライフサポートのロードマップ
さらなる利便性向上および SS での業務改革を進めていきま 高 イ


す。また、お客さまとのつながり・ロイヤリティの強化を目的 ル カーライフサポート 超小型 EV 展開スケジュール 車両スペック詳細(予定)


に、カーリースや車の買取を行う「オートフラッ 「らくらく安
ト」 カーメンテ 買取 リース 2021年 4 月 2,495×1,295×1,765
全長×全幅×全高
車検
出光タジマEV (mm)
心車検」などのサービスメニューも充実させるなど、トータル 固定化 リピート化
・ メンテ
洗車
給油 設立 乗車定員 4名
カーライフサポートの観点でもサービスの充実・拡充を図っ
顧客とのつながり 2022 年 最大出力 15kW
ていきます。  長
車両提供開始 最高速度 60km/h 以下
バッテリー 60V,10kWh
充電時間 8 時間 100V)

DX 施策の展開事例
給電方法 家庭用 100V コンセント
全国の SS ネットワークを活用し、DX を通じた新たな価値提供の取り 利用可能なサービス
組みを進めています。近くの SS で受けたいカーメンテナンスを、スマホ ● 車検 点検
・ ● 洗車
や PC で簡単にネット予約できるサービス PIT in plus」
「 を展開し、2021 ● オイル交換 ● コーティング 近距離・手軽な移動手段へのニーズ
● タイヤ交換 ● その他カーサービス
年 6 月末時点で全国 1,362 カ所の SS で利用可能です。 PIT in plus」

運転に不安がある人や通院 エコツーリズムへの 注 目か
は 24 時間 365 日予約ができ、事前予約で当日は待ち時間なしでスムー などで移動手段が必要な人 ら、便利で自然環境に配慮し
導入SS数 +223 SS
ズにサービスを受けられることから、コロナ禍で利用が急増し、2020 年 からは、天気に左右されない た移動手段のニーズが高まっ
1,362 快適さと安全性が求められて ています。
度は前年比 673 %の予約実績となりました。 SS の現場からも、お客さま
1,139 います。
をお待たせるすることなく丁寧に対応でき、お客さま満足度の向上につな
高齢者やペーパードライバー 観光客
がっていること、また当日の作業予定が事前に把握できるため人員体制
が効率化できた点など、業務改革の面でも評価を受けています。 デリバリー 子供の送り迎え
今後も多様化するお客さまニーズに対して、11 月には新アプリ Drive

デリバリー事業では、小回り 子供の送り迎えで自転車の
On」 リースし、
をリ お客さま一人ひとりに合わせたお知らせやお得情報を 導入開始
が利きながら一度の配達量を 複数人乗りが不安な保護者
お届けするなど、DX を積極的に推進し販売施策を展開していきます。 2018年10月 2020年3月末 2021年6月末 増やしたいというニーズがあ に、小回りが利く移動手段が
ります。 求められています。




apollostation の「スマートよろずや」化に向けた取り組み TOPICS ニソン製油所の収益貢献化に向けた取り組み TOPICS

apollostation の「スマートよろずや」化の取り組みの 1 つ 当社持分法適用会社 Nghi Son Refinery and
として、2021 年6月に全国初の移動式脳ド ックサービスの実 Petrochemical LLC NSRP)
( がベトナムにて運
証実験をスマートスキャン(株)と共同で行いました。これは、 営するニソン製油所について、 0 0年度は安定操
22
SS に MRI を搭載した車両を一定期間停車させ、 地域住民の 業による稼働を継続しました。一方、 0 0年3月
22
方の受診予約をウェブサイ トで受付け、SS まで受診しに来て に発生した原油価格急落に伴う在庫評価損、新型
いただく形で脳ドックサービスを提供するものです。先進的な コロナウイルス感染症の影響によるアジア製品市
予防医療を SS で提供することができれば、近隣に MRI を備 況の低迷等により厳しい経営環境となりました。ニ
えたクリニックがない地域の皆さまへの健康・安全に貢献で ソン製油所の収益貢献化に向け、安全操業・安定
きるものと考え、実証を進めていきます。 ビスを展開する特約販売店、各種サービス展開に知見を持つ 供給を継続するとともに、収益基盤強化(調達・
全国に拠点がある SS は、特に過疎化が進む地域では生活 協力会社、地方自治体との協働などを通じ、
「スマートよろず 保全費の最適化等)の取り組みを進めます。
に欠かせない拠点として重視されており、地域に根付くサー や」化に向けたコンテンツの充実に取り組みます。




41 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 42
ビジョンの実現に向けた取り組み 徳山事業所




中期経営計画

厳しい事業環境が続く中、生活に欠かせない石油化学製品の 送等の体制整備など“精製 / 化学のインテグレーション深化”に取
基礎原料の供給責任を果たしつつ収益基盤の安定化を図るため、 り組み、ガソリン等の石油製品を化学製品へと転換する生産体制
構造改革を進めていきます。その施策として、生産設備の効率化 の構築を進めていきます。
を図り、さらに千葉・周南のコンビナートにおけるパートナーとの さらに、気候変動やプラスチックリサイクルの社会問題に関し
連携を深めることでバリューチェーン全体の強化を図ります。 ては、サプライチェーンを担う当社が取り組むべき重要な課題と
国内の燃料油需要の減少を踏まえては、石油製品から化学製 位置付けています。バイオ原料の活用や廃プラスチックの再資


基礎化学品セグメント
品へのシフトに取り組みます。外部環境変化を精査しつつ、燃料 源化等により、低炭素・資源循環社会の実現に向けた取り組み
油事業とともに全国の製油所・事業所間での効率生産、留分転 を推進します。




構造改革・精製 / 化学のインテグレーション深化の取り組み TOPICS
■ 石油精製と石油化学工業の一体運営を強みとした事業展開
強み ■ 国内トップ規模のエチレン生産能力と、コンビナート顧客各社への供給網 構造改革の取り組みとして、徳山事業所のエチレン製造装 さらに、ENEOS
(株)の知多事業所のパラキシレン製造設
■ エチレン原料の多様性(ナフサ・LPG) 置内にある旧型ナフサ分解炉 2 基の停止、高効率ナフサ分解 備の譲受契約を 2021 年 10 月に締結しました。本件はパラ
炉 1 基の新設を行い、2021 年 2 月に稼働を開始しました。 キシレンの事業拡大だけでなく、ガソリン基材(石油製品)か
エチレン製造の効率化により、従来比約 30 %の省エネルギー らパラキシレン(化学製品)を製造する“ケミカルシフ の具
ト”
効果を実現し、年間約 16,000t の CO2 排出量削減に寄与す 体策となります。
る予定です。
製造資本 2021 年 3 月末時点)

千葉事業所においては、2021 年に実施した定期修理に
主要化学品生産能力※ 1 グループ石油化学工場 て、パラキシレン製造装置で使用する吸着剤を高性能品に更
新しました。この対応により、芳香族留分のうち付加価値の
国内 化学品名 生産能力 t/ 年)
( 国内 所在地
高いパラキシレンの回収率を向上できるほか、吸着の効率化
オレフィン系 エチレン 997,000 千葉事業所 千葉県市原市
により消費エネルギーの低減が可能となり、年間約 7,700t
ベンゼン 822,000 徳山事業所 山口県周南市
の CO2 排出量削減につながります。
アロマ系 パラキシレン 479,000
また、当社持分法適用会社の(株)プライムポリマーにおい
ミックスキシレン 938,000 海外 所在地
ても、生産体制の再構築を進めており、需要構造変化に対応
スチレンモノマー 550,000 パシルグダン事業所
マレーシア ジョホール州 した高機能ポリプロピレン PP)
( の供給体制構築および CO2
(Idemitsu SM Malaysia)
( Sdn. Bhd.)
排出量削減等を目的とし、ポリプロピレン製造装置の新設
海外 化学品名 生産能力 t/ 年)
( ニソン製油所
ベトナム タインホア省
(Nghi Son Refinery and Petrochemical LLC) (2024 年 11 月稼働予定)を決定しました。 徳山事業所・高効率ナフサ分解炉
パラキシレン※ 2 245,700
アロマ系
ベンゼン※ 2 87,750
スチレンモノマー 240,000

※ 1 グループ製油所における生産品も含む
※ 2 持ち分比率に応じた生産能力
プラスチックの再資源化に向けた取り組み TOPICS

当社は 2019 年にマテリアル サーキュラー エコノミー(資
・ ・ スチック油化装置を建設し、同所内の精製・石油化学設備を
源循環経済)ワーキンググループを社内組織として立ち上げ、 用いて新たにプラスチックとしてリサイクル(再資源化)する
事業環境 加盟業界団体における情報収集・政府や産業間との連携、 もので、従来再生困難だった混合プラスチックの再資源化を
対応策の検討・実施に向けて取り組みを進めています。 目指します。 2030 年の基本方針“製油所・事業所体制の見
2020 年度前半は新型コロナウイルス感染症により需要が落ち ていくことが予想されています。一方で、中国を中心とした大型 2021 年5月には、廃プラスチックリサイクル事業の実証検 直し、コンビナート全体での CNX センター」 (詳細は 25
「 化
込んだ中、近年アジアで新増設された大型プラントが稼働したた プラントの新増設も継続し、アジア市場は厳しい事業環境が続く 討について、環境エネルギー(株)と共同で取り組むことにつ ページに掲載) の一環として、
” 商業運転開始に向けて取り組
め供給過多となり、市況は低迷しました。年度後半は、各国の経 と見込まれます。 いて合意しました。本実証は、当社千葉事業所においてプラ みを進めていきます。
済活動再開とともに需要は回復したものの、新型コロナウイルス さらに、気候変動やプラスチックリサイクルへの対応が喫緊か
感染症の流行前のレベルには戻りませんでした。また中長期的に つ重要な社会課題となっており、低炭素化・資源循環システムの
は新興国やアジア地域における人口増加や中間所得者層拡大に 早急な確立に向け、行政・産業界一体となった取り組みが求めら
より、エチレンをはじめ基礎化学品の世界需要は継続して伸長し れています。 収集 油化 再生
廃棄プラス
チック
油化装置 精製・石油化学装置 プラスチック樹脂
環境エネルギー
(株) 千葉事業所




43 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 44
ビジョンの実現に向けた取り組み




製品紹介

商品名 特徴


スタンダード∼プレミアムのラインナップともに主要な粘度をカバーした、
apollostation oil 自動車用エンジンオイル。
省燃費、エンジン保護性能など、 従来の ZEPRO シリーズを踏襲。




EV やハイブリッド車に使用される駆動ユニッ “E AXLE ”
ト の性能向上を


高機能材セグメント
IDEMITSU E AXLE FLUID 図るために開発した専用フルード。減速機の潤滑、クラッチ性能、モーター
冷却性を有する。




油圧作動油やギヤ油など、産業機械向け工業潤滑油を“ダフニー”
ブランド
ダフニー オイル として展開。工作機械の種類、用途、求める性能等に応じた多様な製品 ダフニーブランド製品
事業環境 ラインナップを有する。 “ダフニースーパーハイ ドロ
オイル”

コア技術を駆使した高機能材セグメントの各事業は、国内外の 中長期的には、新興国における経済発展・人口増加に伴う需
堅調な需要に下支えされ推移していたものの、新型コロナウイル 要増、脱炭素化社会に向けた新たな製品ニーズの拡大などによ
ス感染症の世界的感染拡大による経済活動低迷の影響を受け、 り、需要伸長が期待されています。
22
0 0年度は需要が大きく減少しました。その後、経済活動の再
開に伴い、各製品需要は徐々に回復基調にあるものの、コロナ禍 機能化学品
による影響は当面続くと見られています。

■ 最先端の製品に求められる高機能材料の技術開発力
強み
■ 需要地の東アジアを中心としたグローバルな供給体制
中期経営計画

潤滑油・機能化学品・電子材料・機能舗装材・アグリバイオ・ 海外市場での製造拠点新設を進めるなど、グローバルな事業展
機能化学品事業における取り組み
リチウムイオン電池材料などの各製品・材料は、当社が持続的な 開を加速していきます。リチウム電池材料においては、早期事業
社会の実現に貢献できる先進マテリアルと位置付けています。 化に向け引き続き取り組みます。 機能化学品事業においては、自動車・電装部品や情報通信機 SPS 樹脂(商品名ザレック)については、需要地の東南アジアに
今後も各高機能材事業の収益拡大に向け、市場ニーズを捉え 器などに使用される樹脂や紙おむつなど衛生品の粘接着基材で 位置するマレーシアで、 2 製造装置を建設中です。 2022 年度

た新製品の開発に注力していくとともに、需要拡大が見込まれる ある水添石油樹脂など、独自技術を持つ高機能製品を扱ってい 下期の商業運転開始後は現状の約2倍の生産量となる予定で、
ます。事業規模および領域の拡大に向け研究開発に注力すると 併せて販売体制の強化を進めています。水添石油樹脂(商品名ア
ともに、国内およびアジアを中心に、生産設備の新増設を進めて イマーブ)については、中国および東南アジア等海外の需要拡大
いきます。 に 対 応 する べく、台 湾 FPCC 社 Formosa Petrochemical

ポリカーボネート樹脂(商品名タフロン)については、台湾の Corporation)との合 弁 会 社を通じ台 湾で第2装 置を建 設し、
潤滑油 FCFC 社 Formosa Chemicals & Fibre Corporation)
( との合 2020 年度に商業運転を開始しました。
弁事業を通じ、アジア市場での販売を行うとともに、出光独自技 今後は引き続き、外部とのコラボレーションや M&A によるリ
術で開発した高機能グレードの拡販に重点的に取り組んでいます。 ソース獲得なども併せ、事業成長を加速していきます。
■ 世界 28 カ国に展開する製造・販売・研究開発ネットワーク
強み
■ お客さまの現場の課題やニーズに沿った潤滑油の商品開発力
製品紹介

商品名 特徴 用途

潤滑油事業における取り組み
プラスチック中最高の耐衝撃性。 スマートフォンやレンズ、自動車照
タフロン
透明性や表面光沢、難燃性などに 明用等の光学用途、OA やスマー
(PC/ ポリカーボネート樹脂) デイ ムランニングライ
タイ ト
潤滑油事業では、自動車向け潤滑油やグリース、産業機械向 に適合する作動油や、省エネルギー・省資源に資する工業用潤 も優れる高機能樹脂。 トフォン筐体等
(DRL)
け油圧作動油やギヤ油などの工業用潤滑油等を扱っています。 滑油等の更なる需要伸長が期待されています。これらの分野に対
自動車向け潤滑油については、全国の SS にて提供する当社ブ しての研究開発も、加速して取り組みを進めていきます。 ザレック 軽量であるほか、耐熱性、電気特
自動車電装部品、電子レンジや炊
(SPS/ シンジオタクチック 性、耐薬品性、耐加水分解性等に
ランドのエンジンオイルを、SS の 新ブランド展 開に合 わせ また、需要拡大が見込まれる中国を中心としたアジアでの生産・ 飯器などの調理家電等
ポリスチレン樹脂) も優れる高機能樹脂。 自動車部品
「apollostation oil」として 2021 年4月に刷新しました。自動車 販売拠点の拡充を進めており、2020 年 7 月には、世界最大の潤
メーカーなど、グローバルに事業を展開するお客さまに対しては、 滑油需要国である中国の広東省恵州において、同国内2カ所目
無色透明、無臭であるほか、熱安 ホットメルト接着剤の粘着付与剤
高度な潤滑工学を駆使し開発した OEM(相手先ブランド生産) となる潤滑油製造工場の稼働を開始しました。今後は海外におけ アイマーブ
定性、接着性に優れた水添石油樹 (オムツ等衛生材分野にて使用) 、
(水添石油樹脂)
製品を、国内外の製造・販売拠点より提供しています。 る出光ブランド製品の拡大・強化に向けた取り組みも進めていき 脂。 不織布、ポリプロピレン改質材等
オムツ等衛生材

脱炭素化の取り組み進展により、今後普及が見込まれる V等
E ます。


45 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 46
ビジョンの実現に向けた取り組み

高機能材セグメント


電子材料 アグリバイオ
■ 有機 EL 材料で特に技術難易度が高い青色発光材料を中心とした技術力および特許の保有
強み 強み ■ 自然界に存在する微生物を使った、環境にやさしい生物農薬の技術開発力
■ 主要顧客であるディスプレイメーカーへのグローバルな供給体制



電子材料事業における取り組み アグリバイオ事業における取り組み

有機 EL 材料については、電子材料事業の主力製品として事業 生産体制については日本、韓国に次ぐ3拠点目となる中国の四 微生物や植物由来の生物農薬・飼料添加剤を通じて、生産現 じて全国の代理店に販売を開始しました。 2021 年8月には(株)
規模拡大に向けて取り組んでいます。研究開発においては、青色 川省成都において、有機 EL 材料工場を建設し、2020 年 7 月に 場におけるニーズに沿った農畜産資材の開発・販売を進め、食 エス・ディー・エス バイオテックを完全子会社化し、研究開発規
発光材料の優位性を保持しつつ、ディスプレイの省電力化・長寿 商業生産を開始しました。アジア地域における更なる事業拡大に の安全と農業の生産性向上に貢献していきます。 模の拡大、機能性肥料分野等への取り組み強化を進めていきま
命化に貢献する高性能な次世代材料の開発に取り組んでいます。 向け、販売体制の強化、ディスプレイメーカーや開発パートナー 生物農薬分野については事業規模拡大のため、2020 年5月 す。畜産資材ついては海外展開に向けてパートナーとの協業を開
コスト面や省電力、広色域化に寄与する有機 EL 素子である熱活 との関係強化に向けた取り組みを進めていきます。 に、生物防除剤“スワマイ をグループの出光アグリ
ト” (株)を通 始するなど、グローバル展開を加速しています。
性化遅延蛍光 TADF)
( 材料の実用化に向けては、 (株)
東レ と共 酸化物半導体については、ディスプレイ製品の省エネルギー化
製品紹介
同で研究開発を進めています。  や画質向上が期待できる次世代の材料として、引き続き製品化
に向けた開発を進めていきます。 商材 商品名 特徴
製品紹介

商材 特徴 用途
生物防除剤 スワマイト 野菜類の害虫となるコナジラミ類等の天敵、カブリダニを利用した生物防除剤。
技術難易度が高い青色発光に強みを持つ材料
有機 EL 使用製品例
の特許を保有。有機 EL ディスプレイは液晶と スマートフォン・PC・タブレット・TV・
有機 EL 材料
比して、高い色再現性を持つほか、 薄型化が可 車載などの各種ディスプレイの表示材料
テレビ
能であり、省電力という面でも優れる。
画像提供:LG エレクトロニクス カシューナッツ殻液等植物由来の原料などを配合した畜産資材。牛に与えることで、
畜産資材 ルミナップ ®M
抗生物質に頼らず牛のルーメン(第 1 胃)
機能を正常に保つ効果。
既存の酸化物半導体材料よりも高移動度とい スマートフォン・PC・タブレット・TV・
酸化物半導体 う特徴を持ち、テレビ等のディスプレイ製品の 車載などの各種ディスプレイの駆動ス
スマートフォン
低消費電力化や高画質化等が期待される。 イッチ
画像提供:サムスン電子




リチウムイオン電池材料

機能舗装材(高機能アスファルト)
■ 固体電解質の原料(硫化リチウム)
に関する独自製造技術
強み
■ 高性能な硫化物系固体電解質材料の製造および量産プロセス技術


■ 国内唯一の総合アスファルトメーカーとしての技術力や多様な商品ラインナップ
強み リチウムイオン電池材料事業における取り組み
■ 特約販売店との強固な販売ネットワーク

ハイブリッド車や EV 等にも利用されるリチウムイオン電池は、 コスト削減を図ります。また、原料からの一貫生産による安定供
機能舗装材(高機能アスファルト)事業における取り組み 液体の電解質が主要な構成要素となっていますが、現在液体に 給体制の構築に向けて、当社千葉事業所内に商業生産に向けた
代わり固体電解質の実用化に向けた技術革新が進んでいます。 実証設備の建設を進めており、2021 年内に稼働開始予定です。
舗装可能温度を大幅に下げる施工性改善技術や、高耐久・長 スファルトメーカー」として、今後も開発に取り組むとともに、アジ リチウムイオン電池の電解質を固体にすることで、小型化・軽量 本設備は小型量産設備としての機能も有しており、今後は、固
寿命の特性等をもった当社アスファルト製品は、CO2 排出量削減 アや中東のインフラ構築に役立てる活動にも取り組んでいきま 化、充電時間の短縮などの性能向上に加え、発火リスクの低減 体電解質の量産プロセス実証および更なる品質向上、 ト削減
コス
や道路のライフサイクルコスト低減など環境面のニーズからも需 す。 2020 年は、当社グループの昭石化工(株)を通じ、 リピ
フィ など、安全性の向上が期待できます。当社は自社製油所より原料 等を図り、事業化を推進します。 EV 普及に向け期待される全固
要が高まっています。道路から住宅などの防水材、工業用資材ま ンのマニラに防水アスファルトの販売拠点を開設しました。 調達が可能な、硫化物系固体電解質材料の商業生産に向け取り 体リチウムイオン電池のキーマテリアルである固体電解質の早期
で、さまざまな用途のアスファルトを供給する国内唯一の「総合ア 組みを進めています。今後も保有する材料や量産プロセス等に関 事業化により、脱炭素社会に貢献していきます。
連する特許を生かしながら研究開発を加速し、更なる品質向上・
製品紹介

商品名 特徴 ■ 製造プロセス 自社原料・技術・特許の活用領域
製油所
土木・建築用 臨海部など軟弱な地盤地域での建築において、地盤沈下によ
SL コンパウンド
アスファルト る建物構造への影響を防ぐ。 メイブライ ト使用例 脱硫工程
道路の排水性・静音性を高め、雨天時の安全走行や走行音の / 沖縄美ら海水族館
ドレイニッジシリーズ
低減に効果。
リチウム原料 硫化水素 硫化リチウム 固体電解質
道路用付加価値 顔料による多彩な着色が可能。周辺の景観と調和し、かつ劣化
メイブライト
アスファルト しにくい原料を使用。 グランファル ART 使用例

/ 新東名高速道路 LiOH H2S Li2S
ゴム・樹脂を配合した改質アスファルト。渋滞路線において、安
グランファルトART
全性を高めつつ長寿命化を実現。 自社原料 高純度製造プロセス 化学プロセス技術


47 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 48
ビジョンの実現に向けた取り組み 太陽光発電所(岡山・赤磐)




中期経営計画

当社は高効率で環境負荷の低い天然ガス火力発電所のほか、 ル販売からパッケージ化された発電所の販売へと業態転換を図
バイオマス・風力・太陽光などの再生可能エネルギー発電所を保 り、収益構造の改革をしつつ、国内外の太陽光発電所普及のニー
有しており、国内で電力販売事業を展開しています。これら多様 ズに応えていきます。併せて、2030 年以降の結晶シリコン系モ
なポートフォリオで構成された発電所を持つ強みを生かし、電力会 ジュールを含む太陽光パネルの大量廃棄という社会的課題に対
社への卸売り事業のほか、再生可能エネルギー100 %の電力供 しても、供給者として対処すべき重要な課題であると認識し、パ
給など、ニーズに応じた多様な電力ソリューションを開発し、産業 ネルリサイクル事業に向けた取り組みを進めています。


電力・再生可能エネルギーセグメント
向けや一般家庭などのお客さまへの小売り事業を展開していま 中長期的には、
「太陽光・風力・バイオマス等再生可能エネル
す。海外においては、北米におけるガス火力発電事業の推進によ ギー電源の開発拡大」を進め、 2 排出量の削減に貢献してい
CO
り、収益確保のみならず発電所運営や電力自由化市場のノウハウ くとともに、
「再生可能エネルギーを核とした分散型エネルギー事
習得を通じて国内電力事業における競争力強化につなげます。 業の展開」など新規事業の創出、上記業態転換の取り組みを着
関係会社のソーラーフロンティア(株)においては、従来のパネ 実に進めていきます。
■ 再生可能エネルギーを含む自社発電所のポートフォリオと開発・運営ノウハウの蓄積
■ 発電と小売が一体となった事業運営
強み
■ お客さまのニーズに応える多様な電力小売メニュー
■ CIS 薄膜太陽電池を含む太陽電池パネルの研究開発の知見および生産ノウハウの蓄積


再生可能エネルギー電源開発の促進 TOPICS
製造資本 2021 年 3 月末時点)
( 2030 年基本方針の一つに掲げる「太陽光・風力・バイオ 陽光発電を軸に、日照条件や政策などの環境の整った北米・
マスの再生可能エネルギー電源開発拡大」について、再生可 東南アジアを中心に普及を進め、自社保有電源における再生
当社グループ発電能力ポートフォリオ※ 1
能エネルギーの総電源開発量※ 2030 年4GW を目標値とし 可能エネルギーのポートフォリオ比率の引き上げ、CO2排出
発電種別 万 kW て設定し、取り組みを進めています。 2020 年度の開発累計 量の低減に向けた開発に取り組みます。
 太陽光発電国内   10.9 量は 0.5GW となりました。今後も自社開発を強みとする太
 太陽光発電海外 31.3
太陽光発電(小計) ■再生可能エネルギー総電源開発量(累計) ■再生可能エネルギー開発進捗・予定
42.1
バイオマス発電 5.3 2021 年
提供:日本風力開発(株)
4.0GW (岡山) 5.8 万 kW
4 月完工
風力発電 2.0 六ケ所村二又風力発電所 2.0 万 kW(持分容量)
二又風力開発(株)
地熱発電※ 2 0.5 (フィリピン) 3.2 万 kW
2021 年
5 月完工
再生可能エネルギー(小計) 50.0
 ガス火力発電国内 83.1 太陽光発電所 (米国)
2021 年
10.0 万 kW
5 月完工
 ガス火力発電海外 11.0
(岩手)
2021 年
ガス火力発電(小計) 94.1 1.7 万 kW
10 月完工予定
発電能力合計 144.1
0.5GW (米国)
2022 年
7.0 万 kW
0.2GW 1 月完工予定
※ 1 当社保有(出資分)
の発電能力合計
※ 2 地熱発電は資源セグメント内の事業。その他、2.7 万 kW 分の発電用蒸気を電力会社へ供給
京浜バイオマス発電所 4.9 万 kW
バイオマス発電所 (山口)
2022 年度
2019年 2020年 2030年 5.1 万 kW 運転開始予定
(株)京浜バイオマスパワー

事業環境 ※ 1GW=100 万 kW



2020 年初に世界的に流行した新型コロナウイルス感染症によ 変化、新たな生活様式・働き方改革の定着などにより、需要構造
る経済活動の低迷により、工場やオフィスの稼働が低下し、国内 の変化が予測されます。また、特に海外においては、新興国の経
電力需要は一時大きく減少しました。その後経済活動の再開に伴 済発展による電力需要の増加が想定されます。再生可能エネル 再生可能エネルギーを核とした分散型エネルギー事業の展開 TOPICS
い徐々に需要は回復したものの、2021 年1月に、厳冬影響等に ギーについては、世界的な脱炭素化の潮流によるニーズの高まり
分散型エネルギーリソース(自家発電設備、再生可能エネ グリゲーション実証事業が、資源エネルギー庁の補助事業と
より国内電力需給がひっ迫し、卸電力市場が一時的に高騰する はもとより、技術革新の進展や政策支援等による導入加速が想
ルギー、蓄電池、電気自動車など)を活用し、新たなビジネス して採択されました。 2021 年度、3 社が保有する再生可能
など、卸電力市場から電力を仕入販売する事業者の収支は厳し 定されます。国内でも日本政府が 2050 年カーボンニュートラル
モデルとして注目される VPP などの事業開発に向けて取り組 エネルギー発電所を用いて、発電量予測やリソース制御に必
いものとなりました。太陽電池パネルについては、コロナ禍にお を宣言し、エネルギー基本計画において、再生可能エネルギーの
んでいます。 要な技術の実証に取り組むとともに、需給バランス制御に関
いて需要が落ちこむなど影響がある一方、脱炭素化において再 主力電源化が進むことが予測されています。なお、太陽電池を含
2021 年 6 月には、関西電力(株)および(株)関電エネル するビジネススキームの検討を進めていきます。
生可能エネルギーのニーズは高まっており、政府の政策支援など む分散型エネルギーリソースは、バーチャルパワープラン (VPP)
ト ※
ギーソリューションと連携して申請した再生可能エネルギーア
とあわせ、今後の更なる普及が期待されます。 での活用が期待されています。
中長期的には、電力はコロナ禍を契機とした経済活動の動向 ※ ICT 技術により、分散設置されたエネルギーリソースを統合し、発電所と同等の機能
を持たせる技術ならびにビジネスモデル

49 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 50
ビジョンの実現に向けた取り組み




中期経営計画

石油開発事業は権益を保有するノルウェー北部北海地域の油 新技術導入による競争力強化施策を進め、需要家への安定供給
田を中心に原油を生産し、主に欧州地域へ販売を行っています。 に努めます。また、石炭ボイラーの高効率燃焼技術やブラックペ
当事業において安定的な収益を確保しつつ、今後は低炭素社会 レッ ・
ト アンモニアなどの代替燃料を石炭の需要家に対し供給する
においてさらにニーズが高まると予想される天然ガス生産へのシ 「低炭素ソリューション事業」へのシフトに向け、取り組みを加速さ
フトを進めるべく、東南アジア地域でのガス田開発を進めていき せるとともに、オーストラリアでは、鉱山資産を活用した再生可能
ます。 CO2 排出量削減の有力な手段として期待される CCS ※に エネルギー事業やその他オーストラリア現地の事業基盤を活用


資源セグメント
ついても、これまで培った開発技術の活用を含め検討を進めてい し、新事業に徐々にシフトすることを目指します。
きます。 地熱事業については、既存発電所の安全操業に努めるととも

© Bo B Randulff - Even Kleppa - Woldcam / Equinor ASA
石炭事業については、今後、新規鉱区開発や大型投資による に、国内複数地域での新規開発や海外への展開も見据えた活動
増産は行わず、生産・物流・販売が一体となったバリューチェーン を進めていきます。
を持つ強みを生かしつつ、既存鉱山における遠隔自動採炭など、
■ ノルウェーを中心とした 30 年以上のプロジェクト経験および産油国・協業企業との信頼関係
※ Carbon capture and storage:排出される CO2 を回収し、地中や海底などに隔離・貯留する技術。
■ 油ガス田開発分野における豊富な経験を有する人材
強み
■ 石炭生産∼販売までの一貫したバリューチェーンとお客さまとの信頼関係
■ 石炭専門研究機関における知見の蓄積と保有する低炭素ソリューション技術 東南アジア地域での
天然ガス開発の取り組み TOPICS 地熱事業の拡大 TOPICS

天然ガス開発事業について、中期的にはアジアにおけ 大分県にて発電用蒸気の供給を行うほか、地熱発電所
る地産地消型天然ガス開発を目指し、販売ビジネスの開 の運営を行っています。秋田県湯沢市小安地域における
製造資本 2021 年 3 月末時点)

拓とあわせ進めていく予定です。ベトナム南部の海上鉱 地熱発電プロジェクトについては、2021 年 3 月に環境ア
区プロジェクトにおける天然ガス開発については、2020 セスメント確定通知受領および FIT 認定を受けました。
石油・ガス生産量 0 0年度)
(2 2
年 11 月に予定通り生産を開始しました。生産される天然 2026 年の事業化に向け、引き続き開発を進めるととも
名称 所在地 生産量(千 BOE ※ / 日)
ガスはパイプラインを通じ、ベトナム国内に全量を供給し に、国内および海外での地熱資源の検討調査にも取り組
ノルウェー
スノーレ油田 ノルウェー 9.1 ています。 んでいきます。
フラム油田 ノルウェー 9.5
クナル・H ノルド油田 ノルウェー 4.5
ベトナムガス田 ベトナム 0.9
低炭素ソリューション事業の展開 TOPICS
合計 24.0
ベトナム 当社は日本で唯一の総合的な石炭専門研究機関を持つ長年の知見や技術力を生かし、以下の低炭素ソリューションの提供加速
※ BOE= 石油換算バレル Barrels of Oil Equivalent)

に向けて取り組みを進めます。
石炭生産量 0 0年度)
(2 2
インドネシア
名称 所在地 生産量(千 t) ブラックペレット バイオマス燃料混焼率最適化システムの提供
マッセルブルック鉱山 オーストラリア 985 オーストラリア 火力発電所の燃料を石炭からブラックペレットに置き換え 日本郵船グループと出資する郵船出光グリーンソリュー
エンシャム鉱山 オーストラリア 3,853 ることで、ダイレクトに CO2排出量を減らすことが可能です。 ションズ(株)において、石炭火力発電所のボイラーにおける
足元では石炭燃料の 20 ∼30 %をブラックペレットに置き換 バ イオマス 燃 料 の 最 適 な 混 焼 率 を 算 出 するシ ス テ ム
ボガブライ鉱山 オーストラリア 5,074
える混焼実験が成功しています。ベトナムにて建設を進めて 「BAIOMIXTM
(バイオミクス) を開発し、2021 年 8 月に販

マリナウ鉱山 インドネシア 1,203 いたサンプル製造用プラントは 2020 年 8 月に稼働を開始し、 売を開始しました。同社が国内外発電所へ 100 基以上の導
合計 11,115 混焼試験用のサンプル提供を行っています。 2022 年にはベ 入実績があるボイラー制御最適化システム ULTY-V plus」

※ 数値は当社グループの保有権益ベース トナムで年産 12 万 t の商業プラントを稼働予定です。それ以 へ搭載することで、ブラックペレットを含むバイオマス混焼を
降、ベトナムに限らずマレーシア、インドネシアなど東南アジ 最適に自動制御することが可能となります。
アを中心にブラックペレット製造拠点を拡大し、2030 年には
事業環境
200 万 t の供給体制を構築するよう取り組んでいます。
(ブ
新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大により、エネル 中長期的にアジア地域においては原油・石炭のニーズは継続 ラックペレット商品名:
「出光グリーンエナジーペレッ )
ト」
ギー需要は大きく低迷し、原油・石炭等資源価格も一時大きく すると考えられます。一方、グローバルなエネルギーの脱炭素化
下落しました。その後産油国の協調減産や、コロナ禍からの経済 に向けた動きが加速していることから低炭素ソリューションへの
※ ブラックペレッ :木材を粉砕・乾燥し

回復への期待感から原油価格、および石炭価格もコロナ禍前の ニーズが高まっており、水素・アンモニア等の低炭素燃料へのエ て焙煎処理し半炭化したもので、従来
のホワイトペレットに比べて耐水性・粉
レベルに回復しました。 ネルギー転換や石炭需要の減少が見込まれます。 砕性などに優れているバイオマス燃料。
石炭と同様に取り扱うことができ、石炭
と混焼が可能。
ブラックペレット


51 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 52
ビジョンの実現に向けた取り組み




研究開発と知的財産の活用
重要課題(マテリアリティ)
への取り組み 知的財産の活用 研究開発体制

当社は、
「成長事業の拡大」 次世代事業の創出」 地球環境・
「 「 当社グループでは、各事業部と知的財産部とが一体となって知 当社グループの研究開発体制は、コーポレート研究を主管する 社横断組織として、
「研究開発委員会」を設置し、全社研究開発
社会との調和」を重要課題に掲げています。特に次世代事業創出 財活動を行っています。事業部門、研究開発部門と知的財産部 「次世代技術研究所」 各部門にひも付く研究所から構成され
と、 の方向性、戦略および課題に関する事項の検討を行うだけでな
を推進するため、2019 年 11 月に社会課題・顧客ニーズを捉え とが連携して特許や商標などの知的財産の出願・権利化、維持 ており、各研究所において専門的な開発を行っています。また全 く、研究所間の連携も深め、技術力の強化に努めています。
た事業開発を推進する Next 事業室
「 (現:地域創生事業室)、
」 管理および活用を行うことにより、当社グループの事業発展やブ
2020 年 1 月にデジタル活用を推進する 「デジタル変革室 (現:デ ランド価値の向上に貢献しています。
研究分野 研究施設名 国内 海外 取り組み概要
ジタル・DTK 推進部)、 」 そして、2020 年 4 月に技術立脚の事業
開発を推進する 「技術戦略室 (現:技術・CNX 戦略部) を設立
」 知的財産活動の推進 環境・エネルギー研究室 ●
■ GHG削減 資源循環
・ (バイオ燃料 バイオ化学品 CO2資源化)
・ ・ 、
バイオ素材の開発
しました。社会の変化、顧客ニーズの多様化、環境負荷低減など 当社では、幅広い事業分野において、各事業の特性や戦略に
先端有機材料研究室 ● ■ 高機能材料の開発
(有機高分子材料)
を見据えた新たな事業の創出に向け、全社技術の連結化、さらに 合わせて迅速かつ効率的に課題解決を図るべく、各事業部に知
外部技術も積極的に活用し、早期実現を図る戦略を描いていま 財担当部門を設置する体制をとっています。 コーポレート 次世代技術 先端無機材料研究室 ● ■ 高機能材料の開発
(無機材料)
研究 研究所
す。気候変動問題に関する国際的枠組みであるパリ協定の目標 燃料油分野では、2021 年リニューアルされた apollostation ■グループ全体の幅広い分野への高度分析 解析ソリ
・ ューションの提供
解析技術センター ●
達成のためには、技術面でのイノベーションが不可欠です。当社 に関する商標出願等を行い、ブランド価値を守ることに貢献して (計算科学を含む)

グループは長年培ってきた各分野の技術開発力を活用し、気候変 います。また、潤滑油分野の中でも強みを持つ冷凍機油などで 出光興産次世代材料創成
● ■ 次世代材料の創出と基盤技術の強化 拡充

動をはじめとしたさまざまな社会問題の解決に寄与するイノベー は、グローバルな特許網を構築しています。 協働研究拠点

ションをこれからも生み出していきます。 電子材料事業の主力分野である有機 EL 事業では、有機 EL 材 ■ 生産設備の設計∼建設∼運転 品質 保全に関わる技術開発
・ ・
生産技術 生産技術センター ●
料に関連する有用な特許を保有する企業と特定領域の特許を相 ■ 生産プロセスの開発を通じた技術立脚型の新規事業開発支援

■ 2020 年度の研究開発投資額実績 (単位:百万円) 互に利用可能とする提携契約を締結するなど、開発可能な領域 営業研究所 ● ■ 潤滑剤およびトライボロジー
(潤滑に関する技術)
の研究 開発

を拡大しながらビジネスの創出・拡大を図っています。 Idemitsu Lubricants America
研究開発費 20,468 ●
Corporation R&D Center ■ 潤滑剤の地域密着型研究 開発

燃料油 1,947 潤滑油 出光潤滑油(中国)
有限公司 開発センター ● 営業研究所(日本)
をマザー研究所とした潤滑剤の商品 技術のグローバル展開

■ 特許保有件数の推移 ■

■ 海外の現地ニーズに合ったスピーディーな商品開発と技術サービス提供
基礎化学品 0 国内特許保有件数 海外特許保有件数 Idemitsu Lube Asia Pacific Pte. Ltd. 
(件) ●
R&D Center
高機能材 12,357 4,000
セグメント別内訳 日本グリース(株)
 技術研究所 ● ■ グリース、熱処理油、金属加工油等の研究 開発

3,412
電力・再生可能エネルギー 996 3,500 3,304
2,964 2,988 3,079
3,000
■ 石油化学原料の高付加価値化による機能材料開発
資源 187 機能材料研究所 ●
2,473
■ 特殊ポリカーボネート樹脂、機能性コート剤の研究 開発

2,500 2,288 2,276
その他 4,979 2,183 2,115 機能
出光ユニテック(株)
 商品開発センター ● ■ 合成樹脂加工製品の研究開発
2,000 化学品
500 出光ファインコンポジッ (株)

● ■ 顧客ニーズに応える複合材料カスタマーグレードの設計 開発およびその解析

複合材料研究所
オープンイノベーションの推進 0
国内 海外 国内 海外 国内 海外 国内 海外 国内 海外
2016 2017 2018 2019 (年度)
2020 電子材料開発センター ●
電子材料 ■ 有機EL材料の研究 開発

先進マテリアルの開発加速やコンビナートの CNX センター」
「 Idemitsu OLED Materials Europe AG ●
化の実現のために、社外の知を積極的に活用するオープンイノ
■ アスファルトおよびその用途に関する基礎研究および応用研究
ベーションを推進しています。 知的財産権の活用 機能舗装材 アスファルト技術課 ● ■ 高機能アスファルトの開発
① 先進マテリアルの開発加速や製油所・事業所の CNX セン
「 事業活動の多様化に伴い、アライアンス、ライセンス、M&A
アグリバイオ技術課 ● ■ 微生物や天然物に由来する病害虫防除剤、飼料添加物などの開発
ター」化の実現をミッションとする「技術・CNX 戦略部」は、 など、知的財産権を活用する場面が増加しています。当社では、
アグリバイオ
(株)エス・ディー・エスバイオテック
技術領域のオープンイノベーションを統括し、社外連携を加 知的財産部に渉外担当を設置し、相手との交渉や技術契約の締 つくば研究所
● ■ 有用動植物保護、防疫を目的とした安全で有用な製品開発

速・推進するとともに、当社グループが保有する技術を事業 結、デューデリジェンスを通じて事業部門を支援しています。
■ 全固体リチウムイオン電池のキーマテリアルである硫化物系固体電解質材料の
部横断的に連結しています。 材料開発センター ● 開発と製造プロセス開発
② ベンチャーキャピタルが運営するファンドに参画し、国内外の 情報解析 リチウム ■ 次世代電池材料等の開発

電池材料
ベンチャー・スタートアップが持つ技術シーズの探索に取り組 当社グループの知的財産権の強みを生かした当社独自の戦略 ■ 上記固体電解質材料の商業化に向けた大型工業化プロセス開発、設備設計およ
生産技術開発センター ●
んでいます。2020 年 11 月にはスイスのクリーンテック系ベン を描くには、特許情報というビッグデータ、さらには企業情報・業 び建設

チャーキャピタル Emerald Technology Ventures
(本社:ス 界動向等を対象に調査、解析を行うことが重要となります。当社 次世代製品開発課 ●
太陽光 ■ 次世代製品開発に向けた研究開発
イス チューリッヒ)が運営するオープンイノベーションファンド では専属の情報チームを設置し、関係部署と共に IP ランドスケー
「 発電 ■ 結晶シリコン系パネルを含む太陽光パネルのリサイクル事業化に向けた研究開発
ソーラーフロンティア(株)
 国富工場 ●
への出資を行いました。 プ」手法の活用に取り組んでいます。
■ 民間唯一の石炭専門研究機関
③ 2020 年 4 月に東京工業大学に開設した出光興産次世代材料 石炭および
石炭 ・ 環境研究所 ● ■ GHG削減に貢献するバイオマス燃料、
カーボンリサイクル、高効率燃焼技術等、
環境
創成協働研究拠点にて、次世代材料の創成と人材育成に取り 低炭素社会に対応した石炭のクリーン利用技術開発および技術サービス提供

組んでいます。
燃料油セグメント、コーポレート研究 高機能材セグメント 電力・再生可能エネルギーセグメント 資源セグメント


53 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 54
ESG への取り組み
ガバナンス
社外取締役メッセージ



カーボンニュートラル・ 事業ポートフォリオ転換に向けて、
循環型社会実現に向けた 果敢に新しい可能性に挑戦する時
一番手の企業に




社外取締役 社外取締役
橘川 武郎 小柴 満信




カーボンニュートラル・循環型社会実現に向けた 「真に働く」
を率先して実践する 事業ポートフォリオ転換に向けて、 透明性と実効性の高い
一番手の企業を目指す 取締役会運営に取り組む 果敢に新しい可能性に挑戦する時 指名・報酬諮問委員会を目指して
2015 年の国連サミットで採択された 2030 年に向けての SDGs 社外の関係者として初めて取締役会議長に就任することにな 地球温暖化に関する問題意識は世界で急速に高まりました。ま 今般、当社の指名・報酬諮問委員会の委員長を拝命すること
(持続可能な開発目標)は、17 項目のうち 7 番目の目標でエネル り、身が引き締まる思いです。前々議長、前議長のお仕事を受け た、米国のバイデン政権の誕生は地球温暖化対策、特に 2050 になりました。当社は 2021 年度から指名および報酬諮問委員会
ギーについて取り上げています。そこには「エネルギーをみんなに 継いで、活発で明るい取締役会運営に努めてまいります。 年までにカーボンニュートラルを達成するという野心的な目標を を統合し、委員は社外取締役のみで構成されるように改編しまし
そしてクリーンに」と書かれていますが、これは、なかなか難しい 現在、石油業界は、燃料油国内需要の長期的な減退、および 達成するための方策を立案・実行する大きな起爆剤となりました。 た(従来は社外監査役も委員)
。改編の目的は、経営トップの選解
課題です。前段の「みんなに」を実現するためには現状では化石燃 カーボンニュートラルを目指す動きの高まりという、二つの大きな このような世界が早晩来ることは予測できていましたが、当社を 任を含めた経営層のパフォーマンスの評価、および継承を含む重
料を使用せざるをえませんが、後段の「クリーンに」を達成するた 構造変化に直面しています。当社も、先ごろ見直した中期経営計 含む日本の企業はカーボンニュートラルの目標の達成のみなら 要な経営課題について整合性のある議論ができるようにすること
めには化石燃料の使用を抑制しなければならないからです。 画の遂行を足掛かりにして、これらの難題に正面から取り組んで ず、2030 年の地球温暖化ガス排出のほぼ半減目標に向けて事 です。委員会は多様性のある社外取締役メンバーで構成されて
当社は、この難しい課題を解決する一番手になりうる会社です。 いかなければなりません。 業ポートフォリオ転換に苦労しているのが実情です。一方、日本 いますが、代表取締役社長が提案者として諮問委員会に加わる
まず、当社は、暮らしと経済を支える上で必要不可欠な石油製 そのプロセスで最高意思決定機関である取締役会が果たす役 のエネルギーを支える当社が先陣を切ってカーボンニュートラル ことで、執行側の意見がしっかりと諮問委員会の議論に反映され
品や石炭の供給に責任を持ちます。何事も、生きていかなければ 割は、極めて重要です。経営統合から2年。統合の内実を固める 達成の宣言をしたことは、取締役会として高く評価しています。 るように設計されています。経営トップの選解任および業績評価
始まらないからです。 「内向きの時代」は終焉し、統合の成果を武器にして広く社会に このような高い目標を達成するには各事業会社の「技術力」が については諮問委員会メンバーのみで議論する機会を設け、その
一方で当社は、自社操業に伴って排出する温室効果ガスを 打って出る「外向きの時代」が始まろうとしています。2050 年の 鍵となります。さらには従来の事業戦略に囚われない高い視座と 答申を取締役会に上程し、決議するプロセスで透明性と実効性
2050 年までに「実質ゼロ」にすること、つまり「カーボンニュート あるべき姿から現在なすべきことを逆照射するバックキャストの視 勇気ある事業変革を実行する、経営陣のコミ トメン
ッ トとリーダー を担保します。
ラル化」に取り組むとともに、当社製品を使用されるお客さまの排 角と、足元の現実を直視してやるべきことを一つ一つやり遂げる シップが重要となります。当社の先進マテリアル開発や組織のデ 2020 年代の企業経営を俯瞰すると、世界情勢や市場環境の変
出量低減にも貢献していきます。二酸化炭素と水素からカーボン フォアキャストの視角とを、前向きに融合することも求められてい ジタル変革 DX)
( 推進、また、自社の全国に広がるサービスステー 化は今までにないほど不確実性とボラタリティーが高まり、企業経
フリーの合成液体燃料 e-fuel)
( の生産および供給や、燃料を転 ます。 ションを活用した、地方創生につながる次世代モビリティ事業へ 営者の評価は、単なる短期的な業績のみならず持続性 Sustaina-

換することによって現在の石炭火力発電所をアンモニア火力発電 そのためには、取締役会での活発で建設的な議論が必要不可 の挑戦などの地球温暖化問題に取り組む姿勢は高く評価できま bility)や強靭性 Resilience)
( を確保できているかが問われる時
所やブラックペレット火力発電所に変身させることを目指してい 欠です。取締役会は、 真に働く」
「 を率先して実践する場となり、 責
「 す。経営資源は限られており、事業ポートフォリオの転換および 代となります。従って、社外取締役で構成される諮問委員会は、
るのです。 任ある変革者」たちを牽引する機能を果たさなければなりません。 新事業分野の選別が早晩必要となるでしょうが、今は高い目標 経営環境が激変する中、構成メンバーの経験を活かして当社経
当社は、2021 年 5 月に、2020 ∼22 年度の中期経営計画を見 議長としてそれを実現するために全力を尽くすとともに、一社外取 達成に向けて果敢に新しい可能性に挑戦する時ではないかと思 営層のパフォーマンスを客観的かつ公平に評価し、株主の皆さま
直しました。そこで打ち出した製油所を含むコンビナート全体の 締役としてもこれまでにも増して積極的に発言していく所存です。 います。 に納得いただける諮問を取締役会に上程していきます。
「CNX センター」化や apollostation の「スマートよろずや」 リ
化、
チウム固体電解質の事業化、太陽光・風力・バイオマス・地熱な
どの再生可能エネルギー電源の拡大などの方針は、カーボン
ニュートラルへの道を切り開くものです。
このように多くの打ち手を持つことが、当社の大きな特徴であ
り、当社が「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」を実現す
る一番手になりうる根拠は、ここにあります。


55 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 56
ESG への取り組み



役員一覧 2021 年 6 月 30 日時点
※ 取締役会・監査役会出席状況は 2020 年度実績
※ 保有株式数は 2021 年 3 月 31 日時点

取締役 独立社外取締役

代表取締役社長  代表取締役副社長  代表取締役副社長
社長執行役員 副社長執行役員 副社長執行役員 社外取締役 社外取締役
木藤 俊一 松下 敬 丹生谷 晋 橘川 武郎 小柴 満信
■ 保有株式数:26,215 株 ■ 保有株式数:26,398 株 ■ 保有株式数:20,161 株 ■ 保有株式数: ー ■ 保有株式数: ー
■ 取締役会出席状況 ■ 取締役会出席状況 ■ 取締役会出席状況 ■ 取締役会出席状況 ■ 取締役会出席状況
16/16 回 16/16 回 16/16 回 16/16 回 16/16 回
1980年 4月 当社入社 1979年 4月 当社入社 1982年 4月 当社入社 1987年 4月 青山学院大学経営学部助教授 1981年10月 日本合成ゴム株式会社 :JSR株式会社)
(現 入社
2005年 4月 当社人事部次長 2004年10月 当社北海道製油所副所長 2008年 6月 出光エンジニアリング株式会社常務取締役 1993年10月 東京大学社会科学研究所助教授 2002年 6月 JSR株式会社理事 電子材料事業部電子材料第一部長
2008年 7月 当社経理部次長 2007年 4月 当社製造部次長 2011年 4月 当社内部監査室長 1996年 4月 東京大学社会科学研究所教授 2003年 6月 同社理事 電子材料事業部長兼電子材料部長
2011年 6月 当社執行役員経理部長 2010年 4月 当社執行役員徳山製油所長(兼)
徳山工場長 2013年 4月 当社執行役員経営企画部長 2007年 4月 一橋大学大学院商学研究科教授 2004年 6月 同社取締役 電子材料事業部長
2013年 6月 当社取締役(兼)
常務執行役員経理部長 2013年 4月 当社執行役員製造技術部長 2015年 6月 当社取締役(兼)
経営企画部長 2013年 1月 経営史学会会長 2005年 6月 同社上席執行役員 電子材料事業部長兼ファイン系事業担当補佐
2014年 6月 当社常務取締役 2013年 6月 当社取締役(兼)
常務執行役員製造技術部長 2017年 6月 当社常務取締役 2013年 6月 株式会社三菱ケミカルホールディングス社外取締役 2006年 6月 同社常務取締役 電子材料事業部長
2017年 6月 当社取締役副社長 2014年 6月 当社常務取締役 2019年 4月 当社副社長執行役員 2015年 4月 東京理科大学大学院イノベーション研究科 ・(現 東京理科大学大学院経営学研究科)
教授 2007年 6月 同社常務取締役
2018年 4月 当社代表取締役社長 2017年 6月 当社取締役副社長 2020年 6月 当社代表取締役副社長 副社長執行役員
(現) 2017年 6月 当社取締役(現) 2008年 6月 同社専務取締役
2019年 4月 当社代表取締役社長 社長執行役員(現) 2018年 4月 当社代表取締役副社長 現在の担当 社長補佐
: (資源、 ・ ・
企画 渉外 広報、S D 特命事項)
E G、 X、 、 2020年 4月 国際大学大学院国際経営学研究科教授 2009年 4月 同社代表取締役社長
2019年 4月 当社取締役 副社長執行役員 N x フォーラム事務局管掌
et 2021年 4月 国際大学副学長兼大学院国際経営学研究科教授 (現) 2019年 6月 同社代表取締役会長
2020年 5月 公益社団法人石油学会会長(現) 当社取締役
(現)
2020年 6月 当社代表取締役副社長 副社長執行役員(現) 選任理由 2020年 6月 JSR株式会社取締役会長
現在の担当 社長補佐
: (製造技術、石油化学、高機能材、 ・
知財 研究、 2021年 3月 Aホールディングス株式会社社外取締役
(現)
橘川武郎氏は、 過去に社外役員となること以外の方法で企業経営に関与された経験はありません
ベトナムプロジェクト) 2021年 6月 JSR株式会社名誉会長
(現)
が、大学教授としての豊富な経験、幅広い知見および経営学、特にエネルギー産業論の専門家とし
て企業経営に関する充分な見識を有し、 当社の
「社外役員の独立性基準」を満たしていることから、 選任理由
取締役 取締役
社外取締役としての職務を適切に遂行いただけるものと判断しております。 小柴満信氏は、SJ R株式会社にて研究部門、電子材料事業部門に長く携わり、電子材料事業部長を
常務執行役員 常務執行役員 また、 ・
指名 報酬諮問委員会の委員として当社の役員候補者の選定や役員報酬等の決定に対し、客 経て、2009年から同社代表取締役社長および会長を歴任しました。 同氏は、技術分野における高
平野 敦彦 酒井 則明 観的 中立的立場で関与いただきます。
・ い専門性並びに経営者としての豊富な経験および幅広い見識を有しており、 当社の「社外役員の独
立性基準」 を満たしていることから、社外取締役としての職務を適切に遂行いただけるものと判断し
■ 保有株式数:2,786 株 ■ 保有株式数:11,670 株 ております。 また、 ・
指名 報酬諮問委員会の委員として当社の役員候補者の選定や役員報酬等の決
■ 取締役会出席状況 ■ 取締役会出席状況 定に対し、 客観的 中立的立場で関与いただきます。

16/16 回 ー/ー 回

1985年 4月 昭和シェル石油株式会社入社 1985年 4月 当社入社 社外取締役 社外取締役
2002年 9月 同社静岡エリアマネジャー 2010年 7月 当社徳山製油所副所長(兼)
徳山工場副工場長
2004年
2005年
9月 同社本社営業企画部長
3月 同社執行役員本社営業企画部長 リテール販売部長
(兼)
2012年 7月 当社人事部次長
   
(兼)健康保険組合理事長
企業年金基金理事長
(兼)
野田 由美子 荷堂 真紀
2006年 3月 同社取締役 2015年 7月 当社経理部次長 ■ 保有株式数: ー ■ 保有株式数: ー
2009年 3月 同社常務執行役員 2017年 6月 当社経理部長
2013年 3月 同社専務執行役員 2018年 7月 当社執行役員経理部長 ■ 取締役会出席状況 ■ 取締役会出席状況
2014年 7月 ソーラーフロンティア株式会社代表取締役社長 2019年 4月 当社執行役員財務部長 ー/ー回 ー/ー回
2019年 4月 当社常務執行役員 2020年 7月 当社上席執行役員 最高財務責任者
2020年 6月 当社取締役 常務執行役員 (現) 2021年 6月 当社取締役 常務執行役員 C O
F (現)
現在の担当 社長補佐
: (燃料油、 ・
電力 再生可能エネルギー) 現在の担当 C O
: F (経理財務部)調達管掌
、 (調達部) 、 1982年 4月 バンク オブ アメリカ東京支店入社
・ ・ 1992年 4月 日本電気株式会社入社
安全環境本部長 品質保証本部長
・ 1996年 3月 株式会社日本長期信用銀行ロンドン支店次長 トラクチャード ファイナンス部門統括)
(ス ・ 1996年 4月 United Feature Syndicate Inc.日本支社
2000年 1月 PwCフィナンシャル アドバイザリー サービス株式会社 :
・ ・ (現 PwCアドバイザリー合同会社) 2000年 5月 Microsoft Product Development Inc.(現:日本マイクロソフ ト株式会社)
パートナー PPP
( (パブリ ・
ック プライベー ・ トナーシップ)民営化部門統括)
ト パー ・ 2004年 4月 Microsoft Corporation Inc.(米国本社)
2007年 6月 横浜市副市長 2013年 7月 株式会社セールスフォース ドッ ・ トコム購買部長
2011年 1月 PwCアドバイザリー株式会社 :(現 PwCアドバイザリー合同会社) 2014年 4月 コカ コーライーストジャパン株式会社ビジネスマネージャー

取締役(非常勤) 取締役(非常勤) パートナー(インフラ PPP部門アジア太平洋地区統括)
・ 2014年12月 コカ コーラビジネスサービス株式会社取締役

2017年10月 ヴェオリア ジャパン株式会社代表取締役社長
・ 2015年 1月 Coca-Cola Cross Enterprise Procurement Group Operating Committee member
(役員)現)


出光 正和 久保原 和也 2019年 4月 公益社団法人経済同友会行政改革委員会委員長
2020年 6月 一般社団法人日本経済団体連合会審議員会副議長 環境安全委員会委員長
・ (現)
2015年 3月 コカ コーラビジネスサービス株式会社代表取締役社長

2015年 8月 コカ コーラビジネスソーシング株式会社代表取締役社長

2016年 6月 Coca-Cola Cross Enterprise Procurement Group Budget Committee Chair CFO財務責任者)現)
( (
■ 保有株式数:3,411,900 株 ■ 保有株式数: ー ヴェオリア ジャパン株式会社代表取締役会長
・ (現)
2017年 4月 コカ コーラボトラーズジャパン株式会社執行役員調達統括部長

2021年 6月 当社取締役
(現) 2019年 2月 同社執行役員調達本部長
■ 取締役会出席状況 ■ 取締役会出席状況
2019年 6月 同社執行役員調達本部長兼エグゼクティブビジネスマネジメント本部長
16/16 回 16/16 回 選任理由 2019年11月 同社執行役員経営改革本部長兼調達本部長
野田由美子氏は、 国内外の金融機関、 横浜市副市長、 PwCアドバイザリーパートナー等を経て、 2020年 1月 同社執行役員経営改革本部長 (現)
2010年 4月 公益財団法人出光美術館評議員
(現) 2008年12月 弁護士登録、九帆堂法律事務所設立
2020年 4月 コカ コーラボトラーズジャパンホールディングス株式会社 執行役員社長補佐
・ (現)
2017年よりヴェオリア ジャパン株式会社代表取締役社長、
・ 2020年より同社代表取締役会長とし 2021年 6月 当社取締役 (現)
    公益財団法人出光文化福祉財団評議員 2010年 4月 総務省年金記録確認東京地方第三者委員会委員 て経営を担っています。 同氏は、 ファイナンス、グローバル経営、 地方創生に関し、また企業経営者と
2015年12月 日章興産株式会社取締役副社長 2011年 4月 第一東京弁護士会常議員
しての豊富な経験および幅広い見識を有しており、 当社の「社外役員の独立性基準」 を満たしてい 選任理由
2016年 4月 同社代表取締役社長
(現) 2015年 9月 一般社団法人抗認知症薬の
2019年 4月 当社取締役
(現)     適量処方を実現する会監事 ることから、 社外取締役としての職務を適切に遂行いただけるものと判断しております。 また、 ・
指名 荷堂真紀氏は、国内外でシステム開発やマーケティングに従事し、 ・コカ コーラビジネスソーシング
    正和興産株式会社代表取締役 (現) 2016年 6月 株式会社クラステクノロジー社外監査役 報酬諮問委員会の委員として当社の役員候補者の選定や役員報酬等の決定に対し、 客観的 中立
・ 株式会社代表取締役社長等を経て、 2017年よりコカ・コーラボトラーズジャパン株式会社執行役
2020年10月 一般社団法人出光理念研究所代表理事 (現) 2017年 7月 医療法人社団博英会 三宅歯科医院監事(現) 的立場で関与いただきます。 員を務めております。同氏は国際ビジネス、 リテールマーケティング、 の知見、
DX 豊富な経験およ
2021年 4月 一般社団法人出光興産社史 ・ 2018年 3月 日本弁護士連合会代議員
    理念研究所代表理事(現) 2018年 4月 第一東京弁護士会 び幅広い見識を有しており、当社の
「社外役員の独立性基準」 を満たしていることから、社外取締役
    弁護士業務妨害対策委員会副委員長 としての職務を適切に遂行いただけるものと判断しております。 また、 ・
指名 報酬諮問委員会の委
2019年 4月 当社取締役(現) 員として当社の役員候補者の選定や役員報酬等の決定に対し、 客観的 中立的立場で関与いただ

きます。


監査役 独立社外監査役

常勤監査役 常勤監査役 社外監査役 社外監査役
谷田 俊之 吉岡 勉 伊藤 大義 山岸 憲司
■ 保有株式数: 7,075 株 ■ 保有株式数:8,064 株 ■ 保有株式数: 6,453 株 ■ 保有株式数: ー
■ 取締役会出席状況 16/16 回 ■ 取締役会出席状況 ー/ー 回 ■ 取締役会出席状況 16/16 回 ■ 取締役会出席状況 16/16 回
■ 監査役会出席状況 17/17 回 ■ 監査役会出席状況 ー/ー 回 ■ 監査役会出席状況 17/17 回 ■ 監査役会出席状況 17/17 回

1984年 4月 当社入社 1984年 4月 シェル石油株式会社入社 1970年 1月 監査法人 監査事務所入所 1973年 4月 弁護士登録
2009年 7月 当社需給部次長 2002年 9月 同社北海道支社長 1973年 5月 公認会計士登録(登録番号5095) 1997年 4月 東京弁護士会副会長
2010年 7月 当社需給部物流センター所長 2005年 4月 昭石ガス株式会社代表取締役社長 1989年 2月 みすず監査法人代表社員 2004年 4月 日本弁護士連合会事務総長
2013年 7月 当社執行役員物流部長 2008年 7月 株式会社エネサンスホールディングス代表取締役社長 2004年 7月 日本公認会計士協会副会長 2007年 7月 総務省年金記録確認中央第三者委員会委員
2018年 6月 当社監査役(現) 2011年 3月 昭和シェル石油株式会社執行役員経理財務 債権管理部門担当
・ 2007年 8月 公認会計士伊藤事務所開設 (現) 2008年 3月 昭和シェル石油株式会社社外監査役
2015年 4月 同社執行役員石油事業本部首都圏支店長 2009年 4月 早稲田大学大学院会計研究科教授 2009年 4月 東京弁護士会会長 日本弁護士連合会副会長
2017年 3月 同社監査役 2009年 6月 一般社団法人投資信託協会監事 2012年 5月 日本弁護士連合会会長
2019年 4月 当社上席執行役員 2010年10月 公益財団法人日弁連法務研究財団監事 2019年 4月 当社社外監査役(現)
2021年 6月 当社監査役(現) 2012年 1月 日本公認会計士協会綱紀審査会会長
2012年 6月 当社社外監査役(現) ITホールディ
  ングス株式会社 ・ 株式会社)
(現 TIS 社外監査役 選任理由
2014年 6月 株式会社三菱ケミカルホールディングス社外監査役  三菱化学株式会社社外監査役
弁護士としての経験および専門性、人格、見識等を総合的に判断して選任しています。一般株主と
2015年 6月 株式会社三菱ケミカルホールディングス社外取締役
2018年 9月 コーア商事ホールディングス株式会社社外取締役 (現) 利益相反の生じるおそれのない独立性を有しています。

選任理由
公認会計士および大学教授としての経験および専門性、 人格、見識等を総合的に判断して選任し
57 出光統合レポー 2021
ト ています。一般株主と利益相反の生じるおそれのない独立性を有しています。
出光統合レポー 2021
ト 58
ESG への取り組み



コーポレートガバナンス
コーポレートガバナンスの基本的な考え方 することを大切にしています。同時に、多様な知見やバックグラウ 各委員会の概要 ⑤∼⑮経営委員会・リスク経営委員会および各委員会
ンドを持つ独立社外取締役や独立社外監査役と当社の経営の実
当社は、エネルギーの安定供給とともに社会課題の解決に貢献 ①指名・報酬諮問委員会 グループ全体および各執行部門の経営戦略および経営課題の
態や経営を巡る環境を率直に議論し、闊達な意見を真摯に取り入
することが当社の責務と認識しています。そこで、
「責任ある変革 指名・報酬に関わる機能の透明性・客観性を高めるため、取 協議・検討の場として「⑤経営委員会」 「⑥リスク経営委員会」

れ、これからも透明かつ公正な経営を目指します。
者」 2030 年ビジョ
を ンとして掲げ、カーボンニュートラル・循環型 締役会の諮問機関として、独立社外取締役のみで構成される「指 を設置しています。
社会へのエネルギー・マテリアルトランジション、高齢化社会を見 名 報酬諮問委員会」
・ を設置しています。2021 年 7 月より、 ・
指名 「⑤経営委員会」 グループ経営に関わる戦略を立案・検討
は、
据えた次世代モビリティ&コミュニティ、これらの課題解決を可能 報酬にかかる課題について一貫性を持った議論を行うため、指名 するとともに、重要な業務執行の意思決定を円滑かつ適正に行う
にする先進マテリアルという事業ドメインにおいて、
「地球と暮ら コーポレートガバナンス体制の概要 諮問委員会と報酬諮問委員会を一本化しました。 ための審議機関です。下部には業務執行上の専門的リスクを審
しを守る責任」 地域のつながりを支える責任」 技術の力で社会
「 「 当社は、取締役会において経営の重要な意思決定および業務 役員の指名については、社長が提案した取締役・監査役の選 議するための機関として、
「⑦投融資委員会」 ⑧デリバティブ委

実装する責任」という 3 つの責任を果たしていきます。 執行の監督を行うとともに、監査役会設置会社として、取締役会 任・解任に関する株主総会議案、役付執行役員の選任・解任並 員会」 ⑨プロキュアメン
「 ト委員会」 ⑩与信委員会」 ⑪研究開発
「 「
そのために、企業としての社会的責任を果たし、経営の透明性 から独立した監査役と監査役会により、職務執行を監査します。 びにそれらの役位等について、答申します(取締役・監査役候補 委員会」 5 つの専門委員会を設置しています。

を向上させ、健全で持続的な成長を図ることにより、お客さまを 取締役会は、法令、定款、その他当社の規程の定めるところによ の指名を行う際の方針については P.61 に掲載)
。 「⑥リスク経営委員会」 グループ経営に関わるリスクマネジ
は、
はじめ、株主、ビジネスパートナー、地域社会、従業員などのス り、経営戦略、経営計画その他当社の経営の重要な意思決定お 報酬に関する事項については、取締役会の諮問に応じて、取締 メントの事案を審議・決定し、必要に応じ、これをモニタリングす
テークホルダーと良好な関係を構築することを重視しています。 よび業務執行の監督を行います。また、取締役会議長を社長が 役・執行役員報酬の基本方針を踏まえた多面的な検討を行った るための機関です。下部には「⑫リスクマネジメント委員会」 「⑬

コーポレートガバナンス・コードは、株主との対話を通じた会社 務める旨規定していた定款を 2019 年 4 月に変更し、取締役会 うえ、答申します(役員報酬については P.63 に掲載)
。 コンプライアンス委員会」を設置することで、業務リスク事案への
の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を目的としています。 で議長を決定することで、議長と社長の役割を分離し、取締役会 対応強化とリスクの管理方針の検討・立案体制の整備をしていま
■ 指名・報酬諮問委員会の構成
当社は、広く社会で期待され信頼される企業を目指しており、コー の客観性を高めています。なお、今期議長は社外取締役が務め す。⑤経営委員会および⑥リスク経営委員会の委員長は社長が
委員長 社外取締役 小柴 満信
ポレートガバナンス・コードを基本的に順守すべきものと考えて ています。 務めるものとし、その委員については、専門分野や管掌領域の多
社外取締役 橘川 武郎
います。 その他の事項については、業務執行に関する権限を、社長およ 様性を重視した構成とすることで、部門横断的な課題やリスクに
社外取締役 野田 由美子
当社は、2030 年ビジョンに基づき、自ら律し、自ら考え、判断 び部室長に委譲することで、迅速な意思決定を図っています。 ついて、網羅的かつ実効性のある議論を行う体制としています。
社外取締役 荷堂 真紀
その他、グループの情報開示方針に基づいた適時適切な情報
■ 取締役会概要 ■ コーポレートガバナンス体制推移 開示を行うための「⑭情報開示委員会」を設置するほか、J-SOX
議長 橘川武郎(社外取締役) 取締役人数 社外取締役比率 女性比率 ②安全保安諮問委員会・③アドバイザリーボード 対応強化のための「⑮財務報告に係る内部統制評価委員会」を
取締役人数 11 名 (名) (%) 経営の透明性・健全性を維持するため、取締役会または社長 内部監査室内に設置しています。

うち独立社外取締役(比率) 4 名 36%)
( 12 12 の諮問機関として、社外の有識者を委員とする「安全保安諮問委

うち女性(比率) 2 名 18%)
( 10 員会」 アドバイザリーボード」
「 を設置しています。両委員会では、
経営監視の仕組み

任期 1年 当社に対する第三者の視点から忌憚のない意見を傾聴し、経営
42% 50
2020 年度開催数 16 回 8 38%
33%
36% 36% 40 の改善に反映しています。 当社は、経営監視の仕組みとして、取締役会による監督、監査

■ 監査役会概要 20%
30 「安全保安諮問委員会」 取締役会および社長の諮問機関で
は、 役監査、会計監査のほか、専属スタッフからなる各執行部門から
4 18% 20
監査役人数 4名 10% 8% 9% 8%
あり、グループ全体の安全と保安維持のため、保安の強化課題、 独立した社長直轄の「内部監査室」を設置し、
「内部監査規程」に
2 8% 10
うち社外監査役(比率) 2 名 50%)
( 特に技術的な課題に対する諮問機関として設置しているもので 基づく内部監査および「財務報告に係る内部統制評価規程」に基

任期 4年 2016 2017 2018 2019 2020 2021 (年) す。昨今の経営環境の変化により、事業拡大、新規事業、海外展 づく内部統制評価を行っています。内部監査室は国内外の事業
2020 年度開催数 17 回
開等の安全保安の確保の重要性が高まりつつあります。そこで、 所、関係会社の内部監査を実施しています。監査結果は社長、対
事業展開に則したテーマを選択し、都度、有識者から提言がいた 象執行部門の関係取締役および監査役に報告し、必要に応じ社
■ コーポレートガバナンス体制図 だけるよう安全環境本部内に担当ワーキンググループを設け、進 長などは当該執行部門へ指示などを行っています。内部監査によ

株 主 総 会
めています。 り改善点の助言・提案を受けた執行部門は、改善実行計画書を
選任/解任 選任/解任 選任/解任 「アドバイザリーボード」 経営諮問委員会に代わり 2021 年
は、 作成し、内部監査室長へ提出するとともに改善を行います。また、
①指名・報酬諮問委員会
諮問
取締役会
監査
監査役会 監査役
連携
会計監査人
4 月に設置しました。メンバーを社外取締役を含む社外有識者で 内部監査室が必要に応じてフォローアップ監査を実施しています。
②安全保安諮問委員会 答申 構成し、社長の諮問機関とすることで、経営課題に対し社外取締
付議・報告 監督・選任/解任 監査 連携 監査
連携 役などからの提言機会を拡充しました。 2021 年 4 月の開催時は
業務執行 中期経営計画の見直し内容について提言し、今後も必要に応じ 監査役監査
諮問 指示
社長 内部監査室 年に数回の開催を予定しています。 監査役 4 名) 取締役会への出席と定時株主総会に提出す
( は、
③ 答申 報告
アドバイザ ⑤経営委員会・⑥リスク経営委員会
⑮財務報告に係る る事業報告、計算書類および連結計算書類の監査を実施するほ
リーボード 内部統制評価委員会
諮問 答申・報告など ④人事委員会 か、日常的に取締役などの業務執行状況の監査を実施していま
報告
④人事 監督 ⑫リスクマネジメント委員会 ⑬コンプライアンス委員会 コンプライアンス窓口 当社は、執行役員等の適材適所の配置と公平公正な評価の実 す。常勤監査役は、経営委員会などの社内の重要会議に出席す
委員会 指示 ハラスメント窓口 安全環境本部
⑭情報開示委員会 ⑨プロキュアメント委員会 報告
品質保証本部
現および決定プロセスの透明性強化のため、社長の諮問機関と るとともに、部門長、海外店長および子会社社長との面談を通じ
⑦投融資委員会 ⑩与信委員会
⑧デリバティブ 委員会 ⑪研究開発委員会 監督 して人事委員会を設置しています。人事委員会は社長、副社長、 て、社外監査役は、主要部門の往査などを通じて、監査の充実を
指示
報告 諮問 答申・支援 人事管掌役員および社長が指名する役員をメンバーとして、執行 図っています。代表取締役とは、原則として四半期に 1 回ミーティ
監査
各部室・関係会社
役員の選解任、経営委員会メンバーの選任等について協議し、答 ングを開催し、課題の討議の場としています。
グループ従業員
通報
申します。


59 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 60
ESG への取り組み




取締役・監査役候補の指名を行う際の方針 取締役会等の審議事項の概況
取締役候補者の指名について 受け、当社の事業やその課題を熟知し、当社の経営を的確、公正 2020 年度は、中期経営計画の見直しに関して特に重点的に議 にわたり、活発に討議を行いました。最終的には、2021 年 5 月
当社は、取締役会の構成を踏まえた取締役の人材基準につい かつ効率的に遂行できる者を一定数、候補者として指名します。 論しました。具体的には、企業理念の成文化、2030 年ビジョン・ の取締役会での決議を経て、中期経営計画の見直し P.11 ∼

て、これを定めています。 取締役候補者の選任に当たっては、社内外を問わず、各候補 基本方針の策定、事業ポートフォリオの転換などの戦略、さらに 20)を公表しました。また、2019 年度取締役会実効性評価で抽
当社は、取締役会がその役割・責務を果たし、当社グループ 者の能力や知見、パフォーマンスを十分評価した原案を社長が指 は 2050 年カーボンニュートラルへの挑戦などを社外役員との情 出された戦略課題についても討議しました。
の戦略的な方向付けを行うために、取締役会の一員として当社 名・報酬諮問委員会に上程し、取締役会が指名・報酬諮問委員 報共有の場である社外役員ミーティングも活用しながら、複数回
の事業やその課題を熟知する者が一定数必要であること、取締 会の答申を踏まえて決定しています。
取締役会での主な審議事項の一覧
役会の独立性・客観性を担保すること、取締役の知識・経験・ また、指名・報酬諮問委員会は必要と認めた場合、取締役の
能力における多様性を確保することが重要と考え、スキル・キャ 解任につき審議し、結果を取締役会に答申します。代表取締役後 経営・事業戦略 ガバナンス IR・株主還元・株主総会
リアマ リ
ト ックスを作成し、選考の基準の一つとしています。 継者の選解任プロセスの詳細については、引き続き審議を重ね ■ 企業理念の成文化・継承の取り組み P.5 ■ 取締役会実効性評価の実施方法 P.62 ■ 株主還元方針 P.36
■ 2050 年に向けた長期エネルギー事業環境シナ ■ 取締役会の実効性評価結果討議(取締役会の在り ■ 株主との対話向上に向けた株主総会の事前質
それらを踏まえて、取締役会は指名・報酬諮問委員会の答申を ています。
リオの検討 P.15 方・一層充実した議論実現の方策など) P.62 問制度の導入
■ 将来に向けた事業ポー トフォ リオの転換 P.20 ■ 執行役員の選任プロセスの見直し ■ コロナ禍に対応したオンライン参加型の株主総
■ SS 新ブランド apollostation」
「 の展開 P.41 ■ 内部統制システムの基本方針 会の導入
当社が取締役候補者に特に期待する分野
■ ニソン製油所の収益貢献化に向けた取り組み ■ 内部統制システム改善に対する中期的取り組み ■ 株主総会の総括と今後の方向性
環境・社会・
スキル・キャリアマ リ
ト ックス 在任期間 コーポレー ト 国際 デジタル 資源循環・ 営業・販売・ P.42 ■ 海外子会社のガバナンス強化
ガバナンス・ 財務・会計・
フ ロソフ ー・
ィ ィ ビジネス・ 変革・ 地域創生・ 人材開発 リテールマーケ 製造・供給
法務 税務 ■ 新型コロナウイルス感染症の拡大による環境変 ■ 代表取締役の報酬に係る KPI の見直し(非財務要
経営戦略 多様性 テクノロジー エネルギー テ ング

政策
化、経営計画への影響 素の反映) P.63
再任 木藤 俊一 8年 ● ● ● ● ● ■ 上場子会社の今後の在り方 ■ 監査役監査方針
■ 次年度基本計画(収支・投資・資金)
再任 松下 敬 8年 ● ● ● ●

※ 上記は審議事項の一部です。上記以外に、法令や定款などに定められた事項について審議し、必要な決議を行っています。
再任 丹生谷 晋 1年 ● ● ● ●


再任 平野 敦彦 1年 ● ● ● ●


新任 酒井 則明 ― ● ● ● ●
取締役会の実効性評価
評価方法
再任 出光 正和 2年 ● ●
全取締役および監査役を対象としたアンケートを 2020 年 11 アンケートについては、コーポレートガバナンス・コードへの適
再任 久保原 和也 2年 ● ● ● 月に実施し、このアンケートの結果に基づき、取締役会で3回に 合確認の観点に加え、質的充足を目指す観点も踏まえて実施しま
わたって討議する方法で評価するとともに、課題を抽出し、今後 した。項目の設計および回答分析は、外部専門機関の助言を得
再任 橘川 武郎 社外 独立 4年 ● ● ●
の取り組みを議論しました。 て行いました。
再任 小柴 満信 社外 独立 2年 ● ● ● ●

■ 実効性評価プロセス
新任 野田 由美子 社外 独立 ― ● ● ● ●

全取締役・監査役に 課題の抽出と改善に向けた
新任 荷堂 真紀 社外 独立 ― ● ● ● ● 結果を取締役会で討議(全 3 回)
対しアンケート実施 取り組み実施
※ 社外取締役比率 36%
※ ●は、対象取締役に、 特に活躍を期待する分野を示します。対象者の素養・経験の全てを表すものではありません。
■ 評価結果:総じて、取締役会は機能しているとの評価

■ 抽出された課題と今後の取り組み
監査役候補者の指名について 社外役員の独立性基準について
監査役候補者については、適切な経験・能力および必要な財 当社は取締役会が監督機能を発揮するため、当社の「社外役 実効性評価に基づいて当社の取締役会の在り方を議論し、企業価値向上に一層つながる取締役会を目指すことを再確認しました。取締役会
務、会計または法務に関する知識を有することを前提に、常勤監 員の独立性基準」を満たす者の中から多様な知見やバックグラウ は、経営戦略上の中長期の重要な課題について、これまで以上に社外役員を交えた率直な意見交換および討議を行い、将来の意思決定の
査役候補者については当社の事業やその課題を熟知し、当社の ンドも考慮して、当社の経営に有益な助言を行い得る知識と経験 質の向上に努めます。そのために、以下の課題に取り組んでいきます。

監査・監督を的確、公正かつ効率的に遂行することができる者を を有する独立社外取締役および独立社外監査役が、それぞれ取
実効性評価に基づき抽出した取締役会で討議すべき議題について、優先順位をつけて取締役会
選任します。監査役候補者の選任に当たっては、社長が代表取締 締役の 3 分の 1 以上、監査役の半数以上となるよう、候補者とし ① 議題の見直し
にて討議します。
役全員と議論したうえで、常勤 社外を問わず、
・ 各候補者の能力・ て指名することを基本方針としています。
② 社外役員への議論の場拡充・ 社外役員ミーティング等を活用して、中期経営計画の見直しに向けた情報交換や、社外役員と
知見・パフォーマンスを十分評価した原案を、指名・報酬諮問委
情報提供等の充実 事業部室との議論の場を増やし、情報・判断材料の提供を一層充実します。
員会の答申を踏まえ監査役会の同意を得て、取締役会に上程し
ます。 取締役会へ上程される議案のうち、 事前に十分に取締役・監査役へ説明が実施されているもの
③ 運営方法改善による議論活性化 については、取締役会での説明を簡素化する等、 取締役会の運営方法を改善し、企業価値向上
につながる議論が一層できるよう、時間を確保します。

④ 役員の指名・報酬にかかる 役員の指名、報酬について取締役会で十分な審議を行うべく、指名・報酬諮問委員会の審議結
審議の充実 果に加え、審議の重要な論点等も取締役会で共有する等の取り組みを開始しました。



61 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 62
ESG への取り組み




役員報酬
役員報酬の基本方針 報酬水準・報酬構成 2020 年度報酬について ■ 指名・報酬諮問委員会の主な審議事項
当社の取締役および執行役員の報酬は、理念・ビジョンの実 取締役および執行役員の報酬は①固定報酬、②業績連動賞 2020 年度における会社業績指標の目標および実績について
開催時期 主な審議事項
現に向けて、会社業績ならびに中長期にわたる企業価値向上に 与、③業績連動型株式報酬により構成することとしています。標 は、業績連動報酬の目標値を検討する当該年度開始時点におい
代表取締役以外の取締役兼務執行役員の担当分野
つながるものとすること、お客さまをはじめ、社会・環境、株主、 準 支 給 時 ベースにおける割 合は、概 ね ① 70 %:② 15 %:③ て、コロナ禍の不透明な外部環境の中、保守的な目標値設定を 2020 年 4 月
ごとに掲げる目標の評価
ビジネスパートナー、社員などのステークホルダーに対し説明責 15 %となるよう設定しています。役員報酬の決定に際しては、当 判断せざるを得ない状況にあったため、結果として当該目標値に
2020 年 6 月 新設した役位の報酬、役員報酬における中長期課題
任が果たせるよう、透明性・合理性・公正性を備えた報酬体系、 社と独立した関係にあるコンサルティング会社のデータを活用し、 対する実績は超過達成となりました。そのため、2020 年度の業
決定プロセスとすること、この 2 つを基本方針としています。当該 報酬の妥当性を検討しています。また、報酬水準は経営環境の変 績連動報酬の算定においては、期初に設定した目標値(連結営 代表取締役の業績連動賞与への非財務目標導入、
2020 年 8 月
取締役の目標設定
基本方針に基づき、当社の役員報酬制度は、以下の内容として 化や外部調査データなどを踏まえて、適宜・適切に見直すものと 業利益 600 億円、当期純利益 50 億円)は参考値と捉え、指名・
取締役および執行役員の期中退任時の業績連動報
います。 しています。 報酬諮問委員会における議論を経て支給額を決定しています。 2020 年 11 月
酬取り扱い
社外取締役の報酬については、客観的な立場から業務執行の
妥当性を判断するという監督機能を適正に確保する観点から、固 2021 年 2 月 役員報酬水準の確認

定報酬のみの構成としています。
なお、役員の保有する株式について、保有数などの条件設定
役員区分ごとの報酬などの総額
は設けていません。また、クローバック条項も適用していません。
2020 年度の取締役の報酬の総額、報酬などの種類別の総額
および対象となる役員の員数は以下の通りです。

■ 取締役(社外取締役を除く)
および執行役員の報酬体系
業績連動報酬(百万円)
人数 固定報酬 報酬などの総額
約 30 % ③ 業績連動型株式報酬 ※ 区分
(名) (百万円) (百万円)
現金報酬 株式報酬
約 15 % ③ 業績連動型株式報酬 ※

取締役

(社外取締役を除く)
約 30 % ② 業績連動賞与
約 15 % ② 業績連動賞与
監査役
2 62 − − 62
(社外監査役を除く)
① 固定報酬 ① 固定報酬 ① 固定報酬
社外取締役・社外監査役 7 101 − − 101
約 70% 約 70% 約 70%
基本報酬 基本報酬 基本報酬
合計 19 524 43 127 695

下限時 標準時 上限時 ※ 上表には、2020 年 6 月 25 日開催の第 105 回定時株主総会終結の時をもって退任した取締役 3 名を含んでいます。
(計画達成 100% 時)

※ 株式が交付される時期は退任後であり、在任期間中の株価変動により、資産価値が変動する中長期的なインセンティブ

政策保有上場株式
政策保有上場株式の保有方針 政策保有上場株式に係る議決権の行使に関する基準
① 固定報酬 役割に応じて定められた報酬額を月次で支給
当社は、中長期的な取引の維持、拡大のために必要と判断し 当社は、政策保有上場株式に係る議決権について、当社と政
役割や会社業績(当期純利益・連結営業利益)等の達成度に応じて 0∼200% の範囲で変動する設計。 た政策保有株式を保有していますが、 1 回、
年 次の方法で政策保 策保有先双方の企業価値を持続的に向上させるかどうかを基準
代表取締役については中長期的な企業価値向上に資する非財務目標 (中長期的全社戦略課題、ESG、 人材
② 業績連動賞与 有株式の保有の適否を検証し、縮減を進めています。すなわち、 に行使することを方針としています。政策保有先が持続的に企業
育成や組織風土改革など) 代表取締役以外の取締役兼務執行役員および執行役員については、
、 担当分野
(短期インセンティブ)
ごとに掲げる目標(中長期課題への取り組み、人材育成等)
の達成度も含めて評価を行ったうえで、 毎年 6 月 株式保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているかの定 価値を向上できるか否かについては、政策保有先の経営戦略、業
に支給。 量評価および事業安定性向上などの定性評価の両面で精査し、 績などを考慮して判断するものとし、議案の内容によっては、説
取締役会で審議のうえ、売却の適否を判断します。なお、売却と 明を受けたうえで議決権を行使します。政策保有先の議案と当社

③ 業績連動型株式報酬 役員共通で全社業績(当期純利益・連結営業利益)
の達成度に応じて 0∼200% の範囲で変動する設計。 判断した銘柄については、取引先と十分な対話をし、理解を得た の利益が相反する恐れがある場合において、当社は、独立社外
(中長期インセンティブ) 株式が交付される時期は退任後であり、在任期間中の株価により資産価値が変動。 後、株価への影響を考慮して売却を進めています。 取締役、社外の専門家の意見を踏まえて必要に応じて議決権を
なお、2020 年度末時点の政策保有上場株式保有数は、2019 行使します。
当期純利益・連結営業利益 ウェイト 年度末比 4 銘柄減少し 18 銘柄となりました(コーポレートガバナ
取締役および上席以上執行役員 60%:40%
上席未満執行役員
ンス・コード適用前の 2014 年度末比※では 47 銘柄減少)

40%:60%
※ 統合前両社単純合算ベースでの比較




63 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 64
ESG への取り組み



コンプライアンス リスクマネジメント
コンプライアンスに関する考え方 贈収賄・腐敗防止 リスクマネジメントに関する考え方 リスクマネジメントの取り組み
当社グループにおけるコンプライアンスとは、
「法令遵守」 社
「 当社グループでは、コンプライアンス行動規範において、国内 当社グループの事業活動に関わるさまざまなリスクを未然に認 危機対応力の更なる強化
内規程・契約の遵守」はもちろんのこと、法令には違反しない場 外のあらゆる形式の腐敗を防止する旨を定めています。さらに、 知・評価し、リスクに応じた適切な対応を講じることで、経営の安 当社グループは危機対応に関する最上位の規程として「危機
合でも、倫理的、社会的に許されない行為を行わないこと、つま 贈収賄防止について遵守すべき基本的な事項と必要な体制を定 定を図ります。当社グループでは、事業活動に関わるリスクを「業 発生時の対応規程」を策定し、対応方針や危機レベルの捉え方、
り高い倫理観の下、謙虚な態度で自らを律し、誠実に行動するこ め、OECD 条 約、FCPA Foreign Corrupt Practices Act)
( 、 務リスク」 経営リスク」 2
「 の つに分類して対策を推進しています。 連絡系統、対策本部の設置方法などについてまとめています。
とを意味します。 不正競争防止およびその他贈収賄を禁止する各国法令への違反 「業務リスク」 事故、
は、 災害、コンプライアンス違反、業務ミス、 グループ内のリスク関連情報は、発生当初から本規程に基づ
海外・国内を包含する全世界で働く従業員を対象に、一人ひと を未然に防ぐことを目的に、
「贈収賄防止規程」を定め、運用しま 製品の瑕疵、クレーム、環境汚染、システムダウン、テロ、労務問 き発生現場の主管部門および総務部リスクマネジメント課に速や
りが持つべきコンプライアンスマインドの浸透と、それに基づい す。腐敗防止は特に海外拠点におけるコンプライアンスの重要課 題などに代表される業務遂行を阻害して損失のみを生じさせるリ かに共有され、それをリスクマネジメント委員と随時共有するとと
た行動の実践のため、コンプライアンスの遵守とはどのような行 題と位置付けており、具体的な予防措置の重要性を啓発します。 スクです。また、
「経営リスク」 事業活動に関わるリスクのうち、
は、 もに、社会的影響や被害を最小限にとどめるべく、コーポレート
動を指すかを、より具体的に、かつシンプルに分かりやすく示す また、コンプライアンスブックにおいて、贈収賄の禁止(公務員へ 業務リスクを除く利益または損失を生じさせるリスクです。投資 部門を含む関係部門が発生現場のリスク対応の支援または主導
ものとして、2019 年に「コンプライアンス行動規範」を制定しま の贈賄の禁止) 贈答・接待の制限について掲載し、
、 従業員への や財務をはじめとする現在の事業戦略におけるリスクに加え、将 に当たります。
した。行動指針に掲げられた「高潔」にのっとった「コンプライアン 啓発をします。 来想定される事業環境のリスクもこれに含みます。
ス行動規範」を共通概念とし、コンプライアンスファーストの姿勢 事業継続計画 BCP Business Continuity Plan)
( : の
で行動していきます。 反競争的行為の防止 取り組み
当社グループは「独占禁止法遵守規程」にて、私的独占の禁止
■ 国際情勢や経済環境などの変化によるリスク 当社グループは、首都直下地震版、南海トラフ巨大地震版、新
事業を取り巻く外部環境の変化によるリスク(商品市
コンプライアンス推進体制 および公正取引の確保に関する法律、各国競争法およびその他 型インフルエンザ版の BCP を策定しています。各種 BCP に基




関連法令に関して順守するべき基本的な事項と必要な体制を定 況、調達、 ト
カン リー、為替) づく総合防災訓練を毎年実施し、各拠点との連携や課題を確認
コンプライアンス活動を支援・指導するために、リスク経営委
めています。代表取締役社長は、本規程の適切な運用と禁止行
■ 気候変動・環境規制に関するリスク し、実践的な対応力の強化に努めるとともに、BCP の改定に反
員会の下に「コンプライアンス委員会」を設置し、各部門、関係
為の未然防止を図るための統括責任を負い、当社の部門長およ
■ 事業投資に関するリスク 映しています。製油所・事業所・工場などにおいては、各種危機
会社には「コンプライアンス推進責任者」等を設置しています。
び関係会社の社長は事業内容・組織体制・各国情勢・独占禁止
■ コンプライアンスに関するリスク 対応規程類に基づき、拠点全体で防災訓練を定期的に実施して
また、毎年の運用状況を取締役会に報告しています。
法などのリスクなどを慎重に考慮し、本規程を具体化する適切な
■ 知的財産に関するリスク います。
■ コンプライアンス推進体制
自己管理の措置などを講じています。
■ 自然災害・事故などによるリスク また 2015 年度に、内閣府より指定公共機関に指定されたこと
リスク経営委員会 ■ 個人情報管理に関するリスク を受け、
「防災業務計画」を作成、経営統合に伴う改訂版を 2019
当社の税務方針・税務コンプライアンス ■ 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関するリスク 年 12 月に提出しました。指定公共機関として、各都道府県での
委員長 経営委員会で協議の上、
社長が選任
コンプライアンス委員会 当社グループは、税の透明性の確保が、企業が果たすべき重 タンクローリーの緊急車両登録を進めました。
委 員 総務管掌執行役員、総務部長、
法務部長、人事部長、 要な社会的責任の一つであると認識しています。また、事業のグ
内部監査室長、経営企画部長 ローバル化などに伴い、グループにおける税務上の活動が複雑
および委員長が指名する者
かつ多岐にわたる傾向にあることから、グループとして組織化さ リスクマネジメント推進体制 情報管理
事務局 れた対処がより重要であることを認識しています。 リスク経営委員会 情報管理の仕組み
総務部
コンプライアンス相談窓口 内部統制推進課 これらを背景に、当社グループでは、CFO を務める取締役常 取締役会が監督する「リスク経営委員会」が経営リスクを所管 当社グループでは、
「情報セキュリティ基本方針」の下、情報資
各執行部門 務執行役員が税務ガバナンスの責任を担い、以下の「グループ基 し、グループ経営に関わるリスクマネジメント方針の決定とマネジ 産の機密性および情報システムやネットワークの可用性・保全性
本税務方針」を定めるとともに、具体的な取り扱いについて「グ メント状況のモニタリングなどを実施しています。社長が委員長を を確保し、情報技術を利用してお客さまサービスの維持向上に努
各部門 販売部 製造技術部 関係会社
ループ税務規程」および「グループ税務実務指針」などの関連規 務め、執行役員、関係部門長などで構成され、原則として半期ご めています。また、お客さまに関する情報は、当社においては「顧
支店 製油所 事業所 程を定め、各国の税務関連法令を遵守して適正かつ公正な納税 とに開催しています。他の委員会などに対し重要な業務リスクお 客情報管理基準」を定め、適切に収集・利用するとともに、安全
を実施し、適切な開示による税の透明性を高めることで、企業の よび経営リスクに関する報告を随時求めるほか、本委員会の実施 かつ最新の状態で保存し、適切に廃棄します。 
コンプライアンス推進責任者 各部門長および関係会社社長
社会的責任を果たしていきます。 状況について、原則として年 1 回、取締役会に報告しています。 「IT システム利用に関するセキュリティ基準」についての教育と
コンプライアンス推進責任者
コンプライアンス推進担当役職者 して、全ての IT システム利用者(従業員・派遣社員・外部委託先
が任命する者
コンプライアンス推進担当者 コンプライアンス活動の実務担当 ■ グループ基本税務方針 リスクマネジメント委員会 など)を対象にした「情報セキュリティに関する ラーニング」
e を毎
当社グループは、業務リスクへの対応を担当する「リスクマネジ 年実施しています。これにより IT システム利用者に情報管理の徹
(1)税務コンプライアンスの遵守 メント委員会」を設置し、適時、迅速に必要な対策を取ることを通 底を図るとともに、各部門では情報管理自主点検を行い、情報セ
コンプライアンス推進活動
税法などの法令に従い、 グループが行う取引および申 して、業務リスクに関する全社リスクマネジメントを推進していま キュリティの内部監査を毎年定期的に実施しています。また、情
■ 2020 年度の重大なコンプライアンス違反実績 0 件 告・納税業務を適正に行うことが基本であり、 法令に反 す。経営委員会で選任した取締役または執行役員を委員長とし 報漏えい事故が発生した場合は「危機発生時の対応規程」 情報

※ グループ経営に重大な影響を与えるとして開示した違反事例 する行為(租税回避行為)を行ってはならない。
て、総務部門担当役員、総務部長、安全環境・品質保証部長、経 管理要綱」にのっとり対処します。
従業員への意識啓発 理財務部長、法務部長、経営企画部長、人事部長、広報部長な
(2)税金費用の適切な管理
グループ従業員への意識啓発のため以下の取り組みを行っています。 各種税制に留意し、税務リスクの発生を防ぐとともに、 どで構成され、定期委員会は四半期ごとに開催しています。当社
法律上認められた措置を十分に活用し、グループ税務の グループ全体の重要リスクの選定と対策、重要リスク顕在化の兆
■ 社内ポータルサイ グループ報でのコンプライアンス関連
ト、
最適化に努めなければならない。 候や新たなリスクの把握、およびその他業務リスク管理に関する
情報の周知
■ コンプライアンス教育 e ラーニング)
( 事項を審議、その対策の協議や進捗管理を実施し、リスク経営委
■ コンプライアンス行動規範にのっとる、 行動基準を記したコン 員会へ上程する役割と責任を有しています。
プライアンスブックを発刊(日本語版、 英語版、 中国語版)

65 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 66
ESG への取り組み

環境
気候変動への対応
環境に関する考え方 自然資本に関する考え方
当社グループは、経済と環境が調和した持続的発展が可能な 当社グループは、環境・社会と調和を図りながら、新たな価値 CO2 削減目標値 Scope1+2)

社会の構築に貢献するために、エネルギー使用の効率化などをは 創造に挑戦していきます。持続的発展が可能な社会を実現する
じめとした事業活動による環境負荷の低減に取り組んでいます。 ために、さまざまな自然資本(大気、水、土地など)に配慮しなが 指標 1
当社は、2050 年までに、自社操業に伴う排出量 ■ CO2 削減量 Scope1+2)

経営資源を適切に配分・活用し、地球温暖化などの環境問題 ら、当社グループの事業価値も向上させていきます。その中で、 (Scope1+2)のカーボンニュートラル =CO2 排出量
( (万 t CO2)
400 目標ライン
を解決するための先進的な取り組みを積極的に推進し、地球環境 化石燃料を取り扱う企業としては、マテリアリティに掲げている通 ネットゼロ)を目 指すこととし、その 通 過 点として、
の保護に努めています。全ての事業において地球規模および地 り、特に気候変動に注目し、CO2 削減の目標設定を行い、環境 2030 年度までの CO2 排出削減目標を関係会社を含 200

域の環境保全を重要な価値判断の基準と位置付ける環境保全の 負荷低減を進めていきます。 む当社グループ全体を対象範囲に広げ、400 万 にし


方針(出光サステナビリティレポー 2021 P.19)
ト を定め、事業活 ました。化石燃料を主に取り扱う当社において CO2 削
動を遂行しています。 減は最重要課題との認識の下、目標達成に向けて取り 100

組んでいきます。

環境マネジメント体制 2030 年度目標値:▲ 400 万 tCO2 2017 年度比)
( 0
2018 2019 2020 (年度)
範囲:
「本体 + 連結会社」 「グループ関係会社」
に を含む
当社グループは、従来、
「安全・衛生・環境」を経営の基盤と 示などといったリスク管理となります。原則として年 1 回、12 月
(計算式) 目標年度の CO2 排出量 Scope1+2)
= ( -基準年度の CO2 排出量 Scope1+2)

位置付けており、これらの確保・保全の取り組みを推進する「安 に開催する安全環境本部会議において、当社グループの次年度
全環境本部」を設置しています。安全環境本部は、代表取締役社 基本方針などを決定します。 2020 年度実績:▲ 136 万 tCO2 2017 年度比)

長から委任を受けた保安・環境担当役員(取締役)が本部長を務 上記の中期計画や年度基本方針・重点課題の決定に当たって 2020 年度は、製油所・工場における省エネ活動による削減
量が▲ 30 万 、需給計画減少要因による製油所稼働低下に

め、安全衛生環境に関わる最高責任者として本部を統括してい は、前年度までの振り返りや安全衛生環境を巡る社会環境への
伴う CO 2 排出削減量が▲ 106 万 t となりました。
ます。 配慮などを踏まえて原案を作成します。この原案を本部会議で承
本部の役割は、安全衛生環境に関わる中期計画や年度基本方 認し、その後本部長により決裁され、最終的に経営委員会へ報告
針・重点課題の決定、監査などを通じた実績の把握・評価、保安 する仕組みとなっています。なお、経営委員会の指示・意見を反
マネジメントシステム、環境マネジメントシステム(出光サステナビ 映する場合は、本部長が再度決裁します。 モニタリング指標(対象 Scope1、 2、 3)
リティレポー 2021 P.20)
ト の維持 見直し 改善ならびに各部門
・ ・ ・ なお、取締役会は業務執行側からの報告を受け、気候変動を
主要関係会社に対する継続的改善に必要な経営資源の確保の指 含む環境課題について監督を行います。 供給エネルギー低炭素度
指標 2
(エネルギー企業として、社会に供給する「エネルギー単位量当たりの CO2 発生量」
をどれだけ低く抑制できるかを表す指標)

CO2 削減目標値 Scope1+2)
( と 2050 年度目安:▲ 30% 2017 年度比)

モニタリング指標 (対象 Scope1、2、3) CO2 排出量 Scope1+2+3) CO2 削減貢献量※
( -
(計算式)=
社会に供給しているエネルギー量
CO2 削減を考える際には、環境面への貢献だけでは不十分と
認識しています。環境貢献と同時に、将来の低炭素社会への移行 +
2020 年度実績: 0.2% 2017 年度比)

指標 1
を見据えた、より低炭素なエネルギーを供給するという社会面へ 2020 年度は、2017 年度比、エネルギーの構成比率の変化により、+0.2%となりました。

の貢献、ならびに事業ポートフォリオの転換を図りつつ収益を確保
CO2 削減
※ バリューチェーン全体を通じた CO2 削減貢献量
(環境への貢献)
し企業としてのレジリエンスを高めるという経済面への貢献も重 (社会動向を踏まえ、目安レベルを随時見直す予定)

要だと考えています。
こうした考えに立ち、当社グループでは次の3つの指標にて 指標 2 指標 3
指標 3 全社収益の炭素脱却度
CO2 削減の取り組みを評価、管理する仕組みとしています。 (企業全体として排出している CO2 単位量当たりの収益レベル」
「 をいかに引き上げているかを表す指標)
当社グループ
収益
【指標 1:CO2 削減目標値】… 環境への貢献 (計算式)=
CO2 排出量 Scope1+2+3 ※ 2) CO2 削減貢献量※ 1
( -
自社操業 Scope1+ 2)
( に伴う CO2 排出量の削減
本指標は目安値を現時点では定めておらず、社内指標として取り扱っています。
【指標 2:モニタリング指標】… 社会への貢献  エネルギー供給 収益
※ 1 バリ ューチェーン全体を通じた CO2 削減貢献量
(社会への貢献) (経済への貢献)
Scope 3 も含めた、エネルギー供給単位当たりの CO2 削減 ※ 2 Scope3:対象は「カテゴリ11 販売した製品の使用により排出される CO2」


【指標 3:モニタリング指標】… 経済への貢献
Scope 3 も含めた、 2 排出量当たりの収益レベル
CO
インターナルカーボンプライシング
昨今、企業に対しては、さらなる気候変動への対応が求められ 内部炭素価格(インターナルカーボンプライシング)を設定し、
ており、これは当社に対し、リスクと機会をもたらす可能性がある CO2 排出量のもたらす経済的インパクトを算定の上、参考情報と
と考えています。そこで、当社は、事業の低炭素化に向けた社内 して投資判断の材料としています。
議論を活性化するため、新規プロジェクトに係る投資において、


67 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 68
ESG への取り組み



気候変動への対応
「気候関連財務情報開示タスクフォース TCFD)提言への賛同署名
( 」 時間軸
区分 内容 当社の対策
当社は、2020 年 2 月 14 日に、気候関連財務情報開示タスク 短期 中期 長期
フォース Task Force on Climate-related Financial Disclosures、

収益力確保のための体質強化、低炭素ソリュー
以下 TCFD)提言に賛同し、署名しました。
■ 脱炭素社会に向けた化石燃料需要の減少 ● ● ●
ションへのシフト
■ 技術革新に伴うエネルギー価格、資源価格の低
● ● サプライチェーン全体の競争力強化

当社の気候変動関連の情報開示
移行リスク ■ 政府による炭素税の導入 ● ● 政策動向の注視、炭素価格の社内検討
当社グループは TCFD 提言に沿った形で情報開示を行ってい
ます。情報開示のフレームワークを通じて事業における気候変動
■ 石炭事業に対する規制、ダイベストメントの可 鉱山生産規模縮小、バイオマス混焼技術の開発と
● ●
能性 実用化
のリスクと機会を的確に捉え、ステークホルダーへの情報開示を
積極的に行っていきます。 ■ 炭素排出の多い企業に対するブランドイメージ
● ● ステークホルダーとのエンゲージメント強化
の低下

領域 TCFD 提言 当社の開示 掲載ページ ■ 自然災害や海面上昇による沿岸拠点の被害、
● ● ● 装置保全の計画的な強化、計器室移転等の対応
操業への影響
① 気候関連のリスクと機会についての、取締役会による 物理的リスク
■ 気候変動関連のガバナンス体制 P.67
監視体制を説明する。 ■ 異常降水などによるローリー輸送、台風の頻発
● ● ● 供給維持に向けたサプライチェーン強靭化
ガバナンス などによる海上輸送への影響
② 気候関連のリスクと機会を評価・管理する上での経営 ■ カーボンニュートラル社会の到来 ● ● ● 製油所の CNX センター」 炭素活用技術の開発
「 化、
■ 気候変動関連のガバナンス体制 P.67
の役割を説明する。
国内外での多岐にわたる再生可能エネルギー電源
■ 再生可能エネルギーの需要拡大 ● ● ●
の開発
① 組織が識別した、短期・中期・長期の気候関連のリス ■ リスクおよび機会の認識
P.15.70 バイオマス燃料の需要拡大 ブラックペレットの開発と実用化
クと機会を説明する。 ■ リスクと機会に対する対応 ■ ● ● ●


■ アンモニア混焼の技術進展、需要拡大 ● ● ● アンモニアサプライチェーンの構築
② 気候関連のリスクと機会が組織のビジネス戦略および ■ リスクおよび機会の認識 機会
戦略 P.15.70 ■ 省エネルギーに貢献する製品、素材の需要拡大 ● ● ● 次世代素材の開発、固体電解質の事業化
財務計画に及ぼす影響を説明する。 ■ リスクと機会に対する対応
■ 電気自動車のシェア拡大、電動航空機、電気推
③ 2℃以下シナリオを含む、さまざまな気候関連シナリオ
● ● ● 超小型 EV への参画、EV 向け潤滑油の開発
進船舶の実用化
■ シナリオ分析
に基づく検討を踏まえて、 組織の戦略のレジリエンスに P.15,16,20
■ 事業ポートフォリオの変革 ■ 分散型エネルギーシステムの進化、需要拡大 ● ● ● VPP 制御サービスの開発、事業参入
ついて説明する。
■ 地域社会へのエネルギー安定供給 ● ● ● スマートよろずや構想、SS ネットワーク活用
① 組織が気候関連リスクを識別および評価するプロセス ■ 気候変動関連リスクの評価プロセス
P.70 ※ 短期1年未満、中期1 5年、
− 長期5年以上
を説明する。 (各拠点、安全環境本部での評価)
パリ協定の達成を目指す社会においては、当社の主力とする燃 慮型の商品や素材の需要も高まります。社会のニーズに合う製品
■ 気候変動関連リスクの評価プロセス 料油事業の需要減退は避けられない環境と認識します。当社は を開発し販売していくことで、当社グループ全体での収益拡大を
リスク管理 ② 組織が気候関連リスクを管理するプロセスを説明する。 P.70
(経営委員会への報告と評価)
燃料油事業について、供給エネルギーの低炭素化を進めながら 果たし、低炭素社会に適応することで、事業ポートフォリオの変革

③ 組織が気候関連リスクを識別・評価・管理するプロセ 今後もエネルギーの需要に対する供給を行っていきますが、燃料 を実現していきます(将来に向けた事業ポートフォリオ転換 P.20
スが、組織の総合的リスク管理にどのように統合されて ■ 気候変動関連リスクの評価プロセス P.70 油事業における競争力強化を推進し、今後も収益を上げられる体 参照)

いるかについて説明する。 質づくりを進めていきます。 炭素税については導入の検討が進むことが想定されます。当
一方で燃料油需要の減退に対して、再生可能エネルギーは需 社は 2050 年のカーボンニュートラルの中間地点として 2030 年
① 組織が、自らの戦略とリスク管理プロセスに即して、気
要が拡大するという機会が存在します。当社は多岐にわたる再生 に 400 万 tCO2 を削減目標として掲げており、着実に CO2 排出
候関連のリスクと機会を評価するために用いる指標を ■ GHG 排出量削減目標、原単位指標 P.67,68
開示する。 可能エネルギーのメニューを持つ企業としてこの機会を捉えるこ 量削減を実行していきます。また、当社は CO2 の排出を抑制する
とが可能であり、国内外で電源を開発し収益の拡大を図っていき だけでなく、有効活用する技術を開発しています。 CO2 の炭酸
② Scope1、Scope2 および組織に当てはまる場合は
GHG 排出量削減目標、原単位指標 ます。また脱炭素社会の進展に向けては、バイオマス燃料やアン 塩化やカーボンリサイクル技術により、自社のみならず社会全体
指標と目標

Scope3 の GHG 排出量と関連リスクについて説明 P.67.70
■ リスクおよび機会の認識 モニア、水素、ブラックペレットなどの新エネルギー、さらには拡 での CO2 排出量削減への貢献に取り組みます。
する。
大する EV 需要に呼応するグリースや固体電解質のほか、環境配
③ 組織が気候関連リスクと機会を管理するために用いる ■ GHG 排出量削減目標、原単位指標
P.68
目標、および目標に対する実績を開示する。 ■ GHG 排出量削減の実績
リスク管理
気候変動に関するリスクについては安全環境本部と経営企画 また事業部の活動における気候関連リスクは各部門が定期的
部門にて総括し、経営委員会に報告しています。経営委員会の中 に実施している自己診断のチェックシートで把握されており、内部
でリスクを識別、評価し、社長を通じて同委員会から取締役会に 監査による確認と併せて総合的なリスク管理を行っています。
報告される仕組みとしています。
69 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 70
ESG への取り組み



循環型社会への取り組み 水・生物多様性の取り組み
循環型社会に関する考え方 水資源利用に関する考え方
当社グループは、これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄 再生可能な資源は、その再生能力の範囲内で消費し、再生能 水リスクについては、グループ全社のリスクマネジメント体制に ではありませんが、グループ全体に占める取水量比率は 95% 以
の社会を変革するとともに、天然資源の消費を抑制し、環境への 力のない資源については、最大限有効な形で消費するとともに、 おいて、事業を取り巻く外部環境の変化によるリスクや自然災害・ 上となっています。このように水の取り扱いのほとんどが国内で
負荷を可能な限り低減する社会を形成することが、循環型社会実 長期時間軸では使用を抑制しつつ、再生可能な別の資源へシフト 事故などによるリスク、気候変動・環境規制に関するリスクの一 あることから、まずは国内における資源の効率的な利用目的から、
現の目的と考えています。 していけるよう、さまざまな取り組みを推進しています。 部として管理されています。 水資源の循環利用を通じて水使用量の削減を行っています。
環境においては「環境保全の方針」の下で汚染防止、資源の有 当社は、日本以外の必ずしも水資源が潤沢ではない国や地域
効利用、生物多様性の維持などの観点から国や自治体の定める においても、事業を展開しています。世界における水資源の問題
具体的な取り組み事例 基準を下回るよう目標を定め排水処理を行うことなどを環境マネ は深刻化しており、20 億人以上の人類が安全な飲み水を得るこ
当社グループは、各部室で保有している技術をもとに、再生可 具体的には、プラスチックリサイクル、ソーラーパネルリサイク ジメントシステムに組み入れて実践しています。 とができない状況にあるといわれています。このような現状を認
能な資源をできる限り再利用し、事業サプライチェーンの中に取 ルに取り組んでいます。また長期的視点では CO2 を資源として取 特に水資源利用については地球規模での把握に努め、世界資 識し、海外に目を向けた取り組みも開始しました。
り込むことで、持続可能なサーキュラービジネスの実現を目指す り扱うカーボンリサイクルの取り組みを行っています。 源研究所 WRI)
( AQUEDUCT 情報を参考に、事業拠点の水スト 現時点では、水ス レス高地域での事業展開はないものの、
ト 水
検討を社内横断的に進めています。 レス地域の確認を行っています。 という貴重な資源を最大有効活用をするため、最大使用地域で
国内に拠点を置く6 つの事業所・製油所は、水ス レス高地域
ト ある日本において、使用量低減の取り組みを進めています。

ソーラーパネルリサイクル
2020 ∼2023 年度の 4 年間において、NEDO の共同研究事 を確認しています。この処理技術を応用し、結晶シリコン系ソー 製油所・事業所における水の循環利用の強化
業として採択されました。 2030 年以降予測される使用済み太陽 ラーパネルのリサイクルにも取り組んでいきます。今後は、ソー 製油所は当社グループの事業活動の中でも大量の水を使用す 工業用水のリサイクル
電池モジュールの大量廃棄に対する施策として取り組みを行う ラーフロンティア
(株)
の太陽電池工場内に実証プラントを構築し、 る拠点であるため、製油所における水使用量削減に取り組んで
単位 2020 年度
CIS 薄膜太陽電池パネルのリサイクル処理技術は、素材別に分 2023 年度までには目標としたリサイクル技術を連続運転にて実 います。製油所では石油精製の過程で、プロセス流体の冷却用
離・回収することが特徴であり、電池部分に含まれるインジウム、 証する予定です。 に一定量の水(海水・淡水)が必要です。冷却用に使用した淡水 工業用水 取水量 千t 82,074
セレンなどのレアメタル(希少金属) 90% 以上回収できること
を (温水) 空冷式の冷却器に循環させ冷却することにより、
は、 再度、
リサイクル率 % 94
プロセス流体の冷却水として使用することで、自然環境への負荷
低減に努めています。 ※ 集計対象:出光興産および連結子会社
カーボンリサイクル
水を使用する事業者として、これからもより一層の水資源のリ
● 炭酸塩化 ● CO2 資源化
サイクルに努めていきます。
当社は、宇部興産(株) 日揮ホールディ
、 ングス
(株) 日揮
、 (株)、 当社はこれまでに、独自開発した触媒を使ったガス拡散電極を
複数の大学の参画の下、産学協働の取り組みとして、カルシウム 用いて、水と CO2 からの合成燃料や化学品の重要原料である合
などを多く含む産業廃棄物を活用し、火力発電所や工場から排出 成ガス(水素と一酸化炭素)の合成に成功しています。従来、 生物多様性保全の考え方
される CO2 を資 源 へ 転 換する新 技 術 開 発を目 指す CCSU
「 CO2 を一度水に溶かした状態で反応させる方式が多かった中、
地球上には多種多様な生物が生息しており、それら生物が複 生物多様性保全に取り組んでいます。当社グループは、一般社
(Carbon dioxide Capture and Storage with Utilization)研 CO2 をガスのまま直接反応させることができるガス拡散電極を採
雑に絡み合って生態系を形成することで、さまざまな外的変化を 団法人日本経済団体連合会(経団連)の生物多様性宣言に賛同
究会」 2019 年に設立しました。国が地球温暖化対策として
を 用したことが特徴です。 このガス拡散電極を用いた CO2 資源化
吸収し、元の状態に戻す復元機能が備わっているといわれていま し、事業活動と生物多様性との関係性(影響要素)を認識して生
CO2 回収などの技術開発を推進する中、カルシウムなどを多く含 技術において、電極触媒の高性能化・低コスト化・長寿命化な
す。当社グループは、生物多様性条約の目的達成を目指すととも 物多様性保全に取り組んでいます。
む産業廃棄物を活用し、CO2 と反応させて炭酸塩化および高付 どにより、CO2 処理能力をさらに高める開発を進めています。
に「環境保全の方針」のもと、この生態系を次世代に引き継ぎ多
加価値化するという新たな技術開発に取り組んでいます。
様な生物が生息し続けられる環境を維持し、回復することが、企
業の果たすべき重要な使命と認識し、地域との連携を築きながら

カルシウムなどを
多く含む カルシウム
産業廃棄物
イオン
化学品や
生物多様性保全における地域コミュ二ティとの連携
燃料の原料
(合成ガス) 再生可能エネルギー 生物多様性保全の取り組みは 、当該地域の自然との共生とい
CO2
酸素 う観点から当社単独ではなく 、当該地域コミュニティ関係者と連
炭酸
携して取り組みを進めていくことが重要だと認識しています。
塩化


CO2


大量消費 炭酸塩 高付加価値化 ガス拡散電極 (酸化電極)


自然観察会(愛知製油所)




71 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 72
ESG への取り組み

社会
人権・サプライチェーンに関する取り組み
人権の尊重 サステナブル調達
行動指針 出光グループ 人権基本方針 人権デューデリジェンスの実施 サステナブル調達の考え方
当社グループでは全従業員が持つべき心構えや、取るべき行 当社グループは、2019 年に「出光グループ人権基本方針」を 当社グループでは、
「出光グループ人権基本方針」にのっとり、 当社では、適正な調達倫理に基づいた公平公正な調達を行う
動の礎となる「行動指針」 2019 年に制定しました。人が持つ
を 制定し、日本国内はもとより、世界各国で事業を展開するに当た 2020 年度から人権デューデリジェンスを実施しています。まず とともに、ビジネス競争力向上に貢献し、全てのステークホルダー
無限の可能性を信じて、常に高め合いながら成長することを軸に、 り、世界人権宣言ならびに労働における基本的原則および権利 は、国内外の全ての関係会社 241 社 2020 年 7 月時点)
( を対象 に対し誠実な経営を行い、社会と企業の持続的発展を目指して
「自立・自律」 変革」 共創」 健康・安全」 高潔」 5 つの柱で
「 「 「 「 の に関する ILO 宣言に表明されている国際的に認められた人権を に、国際基準に基づき、
「社会」 環境」 労働安全」
「 「 を切り口とし います。この目的を達成するために調達基本方針ならびに調達活
構成しています。 尊重することを宣言しています。また、 「ビジネスと人権に関
国連 た約 80 問の設問を用いてスコアリングを行い、グループ全体の 動に関する一般規程を定めています。
全従業員は行動指針、各種方針の理解浸透に努めるとともに、 する指導原則」にのっとり、人権デューデリジェンスを実施するこ 人権リスクマッピングを実施することで、内在する人権リスクの可 具体的には当社の業務に必要な資材、工事およびサービスを
当社グループの一員であることに誇りを持ち、またその責任を自 とを方針に定め、2020 年から具体的な取り組みを開始していま 能性を可視化しました。 購入または借入する際の調達取引先の選定方針を定め、調達取
覚し、公正で透明性のある企業活動を実践します。 す。加えて、当社グループとして重視する 9 項目の人権課題を明 2021 年度は、前述のリスクマッピングをもとに優先順位付け 引先に当社の調達活動に関する方針を理解していただくことによ
記し、社内での啓発活動を進めるとともに、人権に関する案件を を行い、詳細なリスク調査を実施しています。第一弾として①海 り、サプライチェーン全体で持続可能な社会の実現に貢献するこ
含む行動規範への違反または潜在的な違反に対応するため、役 外の関係会社、②製造拠点を持つ関係会社、③事業規模(従業 とを目指しています。
員と従業員向けの報告相談窓口を設置、ステークホルダーにつ 員数 50 名以上)に該当する 19 の関係会社を選定し、 360 の

自立 自律

自ら考え いても、事業活動への懸念を通報できる窓口を設置しています。 質問で構成された調査票を用い、関係会社ごとに人権リスクへの サステナブル調達ガイドラインについて
行動する
こうした人権に関する一連の取り組みについては随時ウェブサイ 対応状況の調査を行いました。調査票では現地における労働問 企業を取り巻く環境は多様化しており、持続的発展を達成する
共創 変革 ト等で情報開示を行っています。 題に関するリスク評価項目も含め、早期にリスクの所在を明らか ためには一企業だけではなく、サプライチェーン全体を通じて社会
多彩な力を募り、 成長
化学反応を
未来志向で にできる仕組みとしています。第二弾以降も優先度の高い関係会 的責任を果たすよう、各企業が積極的に取り組んでいくことが期
人が持つ無限の 挑戦し続ける
起こす
可能性を信じて、
出光グループ 人権基本方針 社から順次、調査を実施し、事業ごと、あるいは地域ごとのリス 待されています。当社グループは、企業理念および行動指針に基
https://sustainability.idemitsu.com/ja/themes/201
常に高め合う ク対応の傾向を把握すると同時に、各関係会社との対話を通じ、 づき調達基本方針を定め、高潔な倫理観に基づく調達活動を通
現地会社におけるより詳しい実態の把握と必要な対策の立案と じサプライチェーン全体で「持続的発展が可能な社会」を取引先
健康 安全
・ 高潔
すべてにおいて 高い倫理観のもと、
実行を進めていきます。また、新規投資案件は、社会課題リスク と共創します。この責任を果たすべく、国際規格 ISO26000
(社
健康・安全を 謙虚に、誠実に
優先する (不当な労働慣行、人権侵害、不公正な取引)や自然環境リスク 会的責任に関する手引)および ISO20400
(サステナブル調達に
(気候変動、土地・水・天然資源の利用)について投資起案書に 関する手引) SDGs
と、 (持続可能な開発目標) 国連グローバル
、 ・
てチェックを図る仕組みを運用しています。 コンパクトの 10 原則を参考に、①組織統治、②人権、③労働慣
行、④環境、⑤公正な事業慣行、⑥消費者課題、⑦社会貢献の
2019 年度 2020 年度 2021 年度∼
推進体制 観点から、独自のサステナブル調達ガイドラインを策定しました。
人権 人権デューデリジェンス プロセス
当社グループでは 3 つのディフェンスラインの考え方で人権の 人権に関する通報窓口として、グローバル内部通報制度やコン 基本方針 取引先とサステナビリティに関する取り組み状況について情報交
制定 人権リスク 関係会社ごとの詳細リスク調査
取り組みの推進を図っています。 プライアンス相談窓口、ハラスメント相談窓口も設置し、各委員 マッピング PLAN 換を行い、相互のレベルアップに努めています。
リスク明確化
まず、1st ディフェンスラインとして、各関係会社とその主管部 を通じて経営委員会へ報告できる仕組みを構築しています。 傾向の把握

は自主点検で、リスクのチェックを行っています。また、2nd ディ 人権デューデリジェンスについては、サステナビリティ戦略室と 現地会社との対話
DO
推進体制
リスク低減策
フェンスラインとして総務部内部統制推進課やサステナビリティ 主管部室、関係会社が一体となり、順次個別調査を実施中です。 対策の立案と実行 当社グループは、企業理念および行動指針に基づき調達基本
戦略室などコーポレート部門との連携により、自主点検の支援を 調査結果は適宜経営委員会への報告を行う予定です。 CHECK 方針を定め、高潔な倫理観に基づく調達活動を通じサプライ
対策の有効性を検証
有効性の検証
実施しています。 3rd ディフェンスラインとして、社長直轄の独立 チェーン全体で「持続的発展が可能な社会」をお取引先と共創し
組織である内部監査室による定期監査で人権リスク項目のチェッ 進捗状況の報告、 ACTION ていくべく、サステナブル調達ガイドラインに基づき、調達部門が
外部機関による評価 情報開示
クおよびモニタリングを行っています。 中心となって、取引先と緊密な連携をしながら進めています。

■ 体制図 取締役会 サプライチェーン管理の改善
人権デューデリジェンス実施状況 2021 年度上期)

社長 2019 年以降、120 社を超える取引先との面談を実施し、取引
コンプライアンス委員会
経営委員会 リスクマネジメント委員会 2021 年度上期に、まず最も優先度の高い 19 の関係会社を選定し調 先の ESG 活動の推進や改善について対話を進めています。
情報開示委員会 査を実施しました。
人権や環境課題に対する取り組み状況の確認や、SDGs の推
人権デューデリジェンス 報告
① 海外関係会社 ② 製造拠点を持つ関係会社 進、セキュリティ強化の提案等を行い、サプライチェーン全体での
【選定基準】
③ 事業規模(従業員数 50 名以上)
リスク管理の改善を続けています。
社会・環境・安全衛生の 3 分野(約 360 の質問)
サステナビリティ戦略室 主管部室 内部監査室 【調査内容】
で構成された調査票による調査
人権方針周知 監査項目にてチェック
人権デューデリジェンス運用支援 モニタリング
関係会社 下記の点に改善余地があることが判明
自主点検 ① 人権方針の周知徹底
3rd ディフェンスライン 【調査結果】
②「外部向けの苦情メカニズム」 「責任のある調

内部統制推進課 達とその管理」についての取り組み強化
自主点検運用支援
1st ディフェンスライン
上記を含む、早期の対応や改善が必要と思われる項目につ
2nd ディフェンスライン 対応
いて個別に現地会社と確認、対話を行い、リスク軽減の取
グローバル内部通報制度
り組みを実施予定。
コンプライアンス相談窓口
ハラスメント相談窓口
73 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 74
ESG への取り組み



人事戦略
人事戦略の基本的な考え方 D&I 推進のマイルストーン
当社は企業理念「真に働く」のもと「人の育成」という経営の目 心の経営」を支える人事施策を展開しています。当社が創出する 当社はこれまでも、D&I 推進の各種施策を実施してきました。 出し続ける企業を目指し、ダイバーシティ推進を経営戦略と位置
的を実現するために、人の力の無限の可能性を信じ一人ひとりが 新たな価値を通じて社会発展に貢献するだけでなく、併せて従業 2021 年度は、多様な従業員が成長、活躍し、イノベーションを創 付け、より一層取り組みを加速させていきます。
自身の成長に限界を設けず、その能力を最大限発揮するととも 員が自らの人生をより豊かなものにすることを目指しています。
に、組織全体、サプライチェーン全体の総合力を高める「人が中 経営戦略としてのダイバーシティ推進へ

LGBTQ+に関する取り組み

2030 年に向けた人事戦略 女性の更なる活躍推進 経営戦略としての女性活躍へ
企業理念の浸透と実践 2030 年に向けた取り組み 仕事と育児 介護 治療の両立支援の拡充
・ ・ 育児 介護 治療を含む多様なライフ キャ
・ ・ ・ リアの充実を促進
当社の企業理念「真に働く」 「人が中心の経営」
は という価値 2030 年ビジョン「責任ある変革者」の実現に向け、多様な価
旧昭和シェル石油と 障がい者雇用の取り組み 障がい者の活躍の場を拡充
観を軸に、仕事を通じて人が育ち、無限の可能性を示して社会に 値観・個性の発揮を促し、多様な働き方に対応する制度を整備し
出光興産でそれぞれ、
貢献する考えを示したものです。企業理念が社員に浸透し、実践 ていきます。そして環境変化の中でも社員一人ひとりが自律的に シニア社員の活躍推進 シニア社員の成長機会 活躍拡大

D&I 推進施策を実践
がなされることを目指し、各種施策に取り組んでいます。  キャリアを描き成長できる環境づくりを進めていきます。
働き方改革/意識 風土醸成
・ 働き方改革の加速による多様な働き方へのチャレンジ
■ 多様な価値観・個性の発揮
■ 自律的なキャリア形成支援 2019年
(統合)
      2020年      2021年                        ∼2025年
■ 柔軟な働き方の整備


上位概念・影響要素 2030 年に向けた人事戦略
企業理念 企業理念の浸透と実践
多様な人材の活躍推進の取り組み
「真に働く」 女性社員の活躍推進 ありたい姿

2030 年ビジョン
基本的な考え方とありたい姿 ■ 各職場、会議体などの意思決定の場で、複数の女性社
多様な価値観・
「責任ある変革者」 個性の発揮 当社は、女性活躍推進を D&I 推進の重点施策の一つと位置付 員が参画し、自分の意見を持って行動している状態
女性社員
・事業 ROIC 経営の実践 け、女性を含む全ての社員が活き活きと働き、さまざまなステー ■ 年齢、ライフイベントによらず、価値創造に向けてキャ
・仕組 ビジネスプラッ トフォームの進化 リアイメージを持ちながら成長している状態
クホルダーと新たな価値を共創できる企業を目指しています。女
・文化 Open・Flat・Agile な企業風土醸成 自律的な
柔軟な働き方
キャリア形成 性活躍推進においては、女性社員自身と、会社、それぞれの視点 ■ 性別、年齢、ライフイベントによらず公平公正に成長機
社会環境 の整備
支援 会社 会を提供するとともに、挑戦を後押しし、成長に応じて
での「ありたい姿」を右表のように設定しています。
雇用環境等 公平公正に評価を実施している状態



数値目標
D&I 推進 現状 目標
当社グループの D&I 方針 D&I 推進体制 女性役員数(一般事業主行動計画とは別に当社目標として設定) 2 名 2021 年 3 月末)
( 5 名 2023 年 6 月末)

当社グループは、社会が抱える諸課題の解決に向け、多様な 2021 年 10 月に、ESG 管掌の副社長を委員長とする D&I 推
女性役職者数(出光興産雇用社員) 24 名 2021 年 3 月末)

46 名 2023 年 3 月末)
ステークホルダーとともに新しい価値の創造に取り組んでいきます。 進委員会を設立しました。 ※ 27 名(他社出向者含む)


そのためには、多様な視点や価値観、多彩な力を取り入れ、 委員会メンバーは、取締役、人事担当執行役員のほか、多様
学卒採用者の女性比率 24.1% 2021 年 4 月)
( 30% 2023 年 3 月末)

個々の潜在能力を最大限に引き出し、化学反応を起こしていくこ な部門のメンバーで構成しています。また、社外取締役の荷堂真
とが欠かせません。 紀氏をアドバイザーに迎え、より多様な観点で討議します。 有給休暇取得率 69.5% 2020 年度)
( 85% 2023 年 3 月末)


当社グループでは、職務上の地位、雇用形態、年齢、性別、学 委員会では D&I 推進に関する経営課題の抽出や、目標設定、
歴、出身地、国籍、人種、障がい、思想信条、宗教、性的指向、 各種施策の立案、進捗確認を実施します。討議内容については、
性自認、結婚の有無などに基づく差別を根絶し、一人ひとりの個 適宜、役員、部室長と共有・議論するとともに、取締役会に定期 シニア世代の活躍推進
性を活かしお互いを尊重し高め合う「ダイバーシティ&インクルー 的に報告を行います。 当社では年齢にかかわらず活躍できる場を提供したいという考 働くことができる制度へ改定し、60 歳以上の社員には、日常的
ジョン」を積極的に推進していきます。 えから、2021 年度より 60 ∼65 歳の退職年齢選択制度を導入 な協働を通じた後輩の育成、知識 技能の伝承を期待しています。

し、640 名のシニア世代 60 歳以上) 59 歳以下の社員と同等
( が また、退職後のマネープランなどを学びながら 60 歳以降の働き
の等級・評価・報酬体系で活躍しています。さらに 2025 年度に 方について考える機会として、2021 年度から 40 歳以上の社員
■ いかなる差別も撤廃します
は 65 歳まで全員が社員として勤務できる制度を導入します。 を対象に、ライフシフト研修を実施しています。
■ 個人の能力を最大限に発揮できる環境を整備します
希望就労年齢・形態や就労意欲の多様化を背景に、60 歳以
■ 従業員一人ひとりのワークライフバランスを尊重します 降も一人ひとりが力を最大限発揮でき、満足感や安心感を持って
■ 互いの個性を尊重し、高め合い、
チームの力を最大限に発揮できる職場風土をつくります




75 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 76
ESG への取り組み



人事戦略
職場風土改善・やりがい向上
障がい者の活躍推進 LGBTQ + に関する取り組み 中期経営計画における 2030 年に向けた基本方針にも掲げて ■ 職場風土改善・やりがい向上の取り組み
当社は、障がいのある方も能力を発揮して働くことのできる環 当社は、
「人権基本方針」および「ダイバーシティ&インクルー いる、社員一人ひとりのやりがい向上のためには、 Open・Flat・
「 社員のやりがい・誇りにつながる会社の風土醸成

境を整え、活躍する機会を提供する取り組みを行っています。本 ジョン方針」に基づき、LGBTQ+に関するあらゆる差別を認め Agile な企業風土醸成」の実現が必須と考え、さまざまな社内コ 全社課題解決に向けたマネジメント ・ 職場風土の向上に
社員一人ひとりの自律
各部室への働きかけ、全社施策の 向けた関係部室へ
社各部室や全国の各拠点で、環境を整え受け入れると同時に、 ず、性的指向や性自認における多様性を理解し、互いの個性を尊 ミュニケーション施策を展開しています。 モニタリング の働きかけ
的キャリア形成の支援

本社、千葉事業所、次世代技術研究所、徳山事業所では「チーム 重し、高め合い、チームの力を最大限に発揮できる職場環境づく 社員と組織の状況を年に 1 回定量的・継続的に把握し、課題
社内コミュニケーション
就労」型の障がい者雇用も展開しています。  りの取り組みを始めています。 を抽出し施策につなげる「やりがい調査アンケート」 社員と経営
、 充実に向けた全社施策
Next フォーラム
「チーム就労」型とは、複数名の障がい者がチームとなり社内各 具体的には、風土醸成・制度整備・社会貢献の 3 つの活動を 層がさまざまなテーマに関して直接対話・意見交換を行う Next
「 フォーラム委員
(職場代表)を ライフキャリア
通じて職場意見を吸い上げる サポートセンター
部署からの業務を請け負い、全社の生産性向上に寄与する障が 中心に取り組んでいきます。 フォーラム」および「タウンホールミーティング」 個々のキャリア
、 両輪での 個々の悩み・
タウンホールミーティング 組織の活性化・ 課題に一緒に
い者のための働き方です。具体的には、①次世代技術研究所で 支援のための相談窓口である「ライフキャリアサポートセンター」 従業員と経営層との 個々の成長 向き合う

の清掃業務や事務サポート業務、研究所内の温室設備を活用した 外国籍社員の活躍推進 などがあります。これらを両輪で回すことで、組織の活性化と
直接対話の場


花卉(かき) (出光夢農園) ②徳山事業所の
栽培 、 「チーム☆彡き 当社では、35 名の外国籍社員が活躍しており、彼らが安心し 個々の成長を促し、ひいては社員のやりがい・誇りにつながる会 やりがい調査アンケート
らら」による制服管理や社有車管理、事業所の排熱を利用したイ て仕事に打ち込むことができるよう、さまざまな取り組みを進め 社風土の醸成を実現していきます。 社員と組織の状況・課題の把握・モニタリング

チゴ農園の運営と生産物の社員への提供、③大手町本社の「チー ています。その施策の一つとして、外国籍社員の交流・情報交換
ムアルテミス」
による、郵便センター運営、清掃業務、全社ペーパー の場である Global Nakama Initiative GNI)
( を結成し、自由に
2021 年やりがい調査アンケートの概要
レス活動の一環として紙資料の電子化等に取り組んでいます。 意見交換、相談ができる仕組みとして展開しています。現状、外
実施時期:2021 年 7 月下旬~ 8 月上旬 2021 年の特徴:企業理念や 2030 年ビジョンの共感・支持を問う設問、および業務プロセス効率化によ
今後、さらに障がい者の活躍・成長の場を創出するとともに、 国籍社員が日本企業で働くうえで、考え方や習慣が日本人と異 対  象:当社および関係会社 29 社)
( の計 11,896 名 る創出時間と生産性の関係を問う設問を新設しました。2019 年のアンケートから抽出さ
チーム就労も定着させ、障がい者雇用の側面でダイバーシティ& なることが多くあります。この活動を通じ、日本での生活や仕事 回 答 率:95.7%(グループ全体) れた課題に対する、業務プロセスの効率化、経営層発信の強化などによりスコアが向上
※ 以下、出光興産本体の結果 してきています。
インクルージョンを具現化することを目標として取り組んでいき 面をサポートしながら、外国籍社員一人ひとりが働きやすい環境
ます。 づくりを目指していきます。 ■ やりがいを持って働いていると回答した従業員の割合 ■ 年代別の「やりがい・相互信頼・一体感」
カテゴリーのスコア
(%) (%)
80 ■ 2019年 ■ 2020年 ■ 2021年 80 ■ 2020年 ■ 2021年 78

D&I 意識向上の取り組み 72 72 73 74

アンコンシャス・バイアス研修の開催 当社グループは、D&I は一人ひとりの違いや背景などを受け 70 69 70

アンコンシャス・バイアスとは、誰もが持っている「自分自身で 入れ、お互いを尊重することが原点であると認識しています。そ

は気付いていない物ごとの捉え方の偏りやゆがみ」のことです。 こで、社員一人ひとりがアンコンシャス・バイアスに気付き、相手

リスク回避の側面では有効である一方で、無意識に決め付け、相 への理解や職場内のコミュニケーションの向上、イノベーションが
手への押し付けが起きている場合は、職場や個人に対してネガ 生まれやすい風土づくりを目指す方策の一つとして、2020 年度

ティブに作用することもあり、D&I 推進の阻害要因(女性社員な より、役員も含めたアンコンシャス・バイアス研修 e ラーニング、
( 全体 男性 女性 全体 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代以上
どの成長機会や、イノベーションの機会の損失など) ハラスメン
、 対話型ワークショップ、講演会)を全社展開しています。
トの要因の一つと考えられています。 2021 年度は、これら取り組みを継続するとともに、人事部主
体から、各部室、関係会社主体の取り組みへと拡充しています。
ライフキャリアサポートセンター

従業員の健康推進 当社では従来、やりがい調査アンケートを起点とした Next ライフキャリアに関する相談の専門窓口をいつでも活用できる
フォーラム活動を通じて社員の声を吸い上げ、より良い会社づく ことで、社員一人ひとりがライフキャリアに関する悩みや自分らし
■ 経営トップによる健康宣言
りに取り組んでいます。この活動全般を推進している Next フォー いキャリアづくりに自律的に取り組んでいくことを一層支援してい
出光グループは「人が中心の経営」を掲げ、尊重される人材の育成を究極の目的と位置付けています。そして人の力を最大限に発揮し社会に貢献
ラム事務局内に 2021 年 7 月にライフキャリアサポートセンターを ます。
していくことを目指します。
設置しました。
そのためには従業員一人ひとりの健康が必要不可欠です。
「すべてにおいて健康 安全を優先する」
・ を出光グループの行動指針と定義し、
「こころ」 からだ」
「 ともに健康で、活き活きと働ける会社を目指します。 ■ ライフキャリアサポートセンターの位置付け 部室
従業員は自身の健康を意識し自律的に取り組むとともに、会社が積極的に支援し、従業員と会社が一体となって健康な会社を実現します。
出光興産株式会社 代表取締役社長 木藤 俊一 部室長

キャリアコンサルタントの 人事部
立場から、悩みや課題に
健康宣言 きめ細かく支援
■ 健康経営の全体像 人事担当役職者
従業員 面談時間:60 分/回
自律的な健康管理

サポート
セーフティネット 人事権をもたず、守秘性 心理的安全性
・ 直属上司
Nextフォーラム事務局
人事部 関係部室 健康保険組合 が確保された 基本は上司による
ライフキャリアサポートセンター
相談の場として位置付け 支援、MBO 面談、
健康推進 育成・教育・異動 福利厚生・労務 ■ やりがい調査 ■ 特定保健指導・各種健診
■ 職場環境の向上
双方向コミュニケーション 日頃の会話
■ 健康診断、判定基準設定とPDCA ■ 1on1 推進 ■ 勤務管理
■ ス レスチェ
ト ック ■ メンター制度 ■ 多様な働き方 ■ 多様な働き方の促進 衛生委員会 
■ 保健職・産業医の面談 ■ 休務・休職制度 ■ 労働災害の予防
■ セミナー・情報提供
■ 健康経営情報の発信 部下
■ 衛生委員会の運営
■ ESG、
SDG の理解促進



77 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 78
ESG への取り組み



安全の確保 品質管理・品質保証
安全確保の理念と基本方針 年度安全衛生環境基本方針に基づく 品質に関する基本的な考え方 ■ 当社グループの品質マネジメントシステム PDCA サイクル)

「人の安全を最優先に確保するよう、経営資源の適切な配分、 取り組みと実績 当社グループでは、品質に対する基本的な考え方を「製品の安
設備・プロセス・仕事のしくみの維持管理と改善を通してリスク 全性を確保し、人と環境にもたらす影響を最小化するため、提供 コーポレート
品質保証
の低減・排除を行い、事故・災害の撲滅を図るとともに、安全文 2020 年度の安全衛生環境基本方針 する製品・サービスの開発から消費もしくは廃棄に至るまでのラ 基本方針
P
化の醸成に努める。 を安全確保の理念としており、
」 以下の具体 「無事故への挑戦」を継続し、
「重大事故ゼロ」 死亡・休業
「 イフサイクルを考慮した品質保証活動を推進し、顧客満足度の向
的な方針を定めて、当社に関係する全ての人々の健康と安全・ 事故ゼロ」 環境異常ゼロ」
「 を目指す。 上や消費者保護に努めること」と定めています。また、品質に関 改善
安心に努めています。 引き続き、
「命を守るためのルールの徹底」を最重点とし、 する最上位の社内規程である「品質保証基本要綱」では、品質に 事業部門
A

「安全の基本を守り・守らせる」こと、および「仲間への思 関する基本的な考え方となる品質保証方針を以下の通り定めて
いやりと働きかけ」を推進する。 います。 マネジメント マネジメント 基本方針 事業部門への
1. 人の安全の確保 レビュー レビュー 計画 方針展開
A C P D
2. 設備・プロセスの保安
3. 仕事のしくみ・進め方における安全の確保 ■2020 年出光グループの安全・衛生・環境実績 1. お客さまの立場にたった適正な品質の製品とサービス
(協力会社含む) (単位:件) 品質保証活動
4. 経営資源の適正な配分・活用 を提供する。 D
重大事故 0 関係会社の火災事故 2. 環境に配慮した生産活動と製品を実現する。
5. 安全文化の醸成と安全マネジメントの推進
死亡事故 0 (上記重大事故を含む) 3. 安全・安心な製品を提供する。 品質保証
休業災害 27 本部監査
4. 常にコンプライアンスを徹底し、社会的責任を果たす。 C
環境異常 3

安全・衛生・環境への取り組みの推進体制
当社グループは、従来、
「安全・衛生・環境」を経営の基盤と 無事故への取り組み
位置付けており、これらの確保・保全の取り組みを推進する安全 2020 年は重大事故ゼロを達成しましたが、2021 年 6 月にグ 品質管理・品質保証体制 製品安全への取り組み
環境本部を設置しています。安全環境本部は、安全環境本部長、 ループ製油所において、 協力会社員 1 名の方が死亡するという痛 当社グループの品質保証は、各事業部門、関係会社単位とそ 「製品安全規則」に基づき、研究開発から販売に至る各ステー
安全環境副本部長、事業所を主管する部門長ならびにその他安 ましい事故が発生しました。引き続き、守り・守らせる風土の定 れらを統括するコーポレートレベルの 2 つの仕組みから構成され ジで製品の安全性をチェックしています。化学物質に関する各国
全環境本部長が指名する者と事務局で構成されています。代表 着を図り、
「命を守るためのルール」の順守による重篤な人身事故 ています。実際の品質活動においては、この 2 つの仕組みが連携 の規制は頻繁に変化しており、スピーディーかつ確実な対応が求
取締役社長から委任を受けた保安・環境担当役員(取締役)が の撲滅を図っていきます。特に、2021 年度は類似労働災害防止 しながら、グループ全体で品質保証方針の確実な実現を目指し められます。当社グループは、製品に含有される化学物質の有害
本部長を務め、安全衛生環境に関わる最高責任者として本部を の観点で、安全活動に取り組んでいます。 ています。 性情報を管理するツールを 2017 年度に整備して、適用対象部門
統括し、安全環境・品質保証部が事務局を務めています。  の拡大を図りながら、変化する国内外の法規制に確実に対応して
本部の役割は、安全衛生環境に関わる中期計画や年度基本方 安全保安諮問委員会 各事業部門、関係会社における品質管理・品質保証体制 います。
針・重点課題の決定、監査などを通じた実績の把握・評価、安全・ 2005 年以降実施してきた設備構造強化等の地震対応につい 当社グループ内の各事業部門や関係会社では、お客さまや社
衛生・環境マネジメントシステム※の維持・見直し・改善ならび て、2020 年度は、2019 年度に制定した「地震リスクマネジメン 会のニーズを満たす製品およびサービス品質の維持・向上に寄 品質クレーム発生時の対応
に各部門・主要関係会社に対する継続的改善に必要な経営資源 ト指針」のもと、具体的な課題について検討を進めるとともに、従 与する品質管理活動を、商品開発から製造、販売に至る各ステー 製品の安全や品質に関する重大な問題が万一発生した場合は、
の確保の指示などです。  来の取り組みを踏まえ、新たな考え方を反映したとして「新地震リ ジで実施しています。また、各事業部門、関係会社ごとに品質マ 「危機発生時の対応規程」にのっとり、社会的影響や被害を最小
各部門・主要関係会社においては、安全環境担当役職者を選 スクマネジメント指針」に見直しました。 ネジメントシステムが導入され、お客さまに提供する製品・サー 限にとどめるよう対応します。品質に関するクレームやお問い合
任し、管下の事業所を含めた全体の取り組みを管理・推進してい ビス品質を担保しています。なお、当社グループ内の事業部門、 わせは、お客さまセンターで受け付け、内容に応じて当社グルー
ます。  スーパー認定事業所 関係会社における ISO9001 の認証数は 34 件となっています プの関係部門と連携し、迅速に対応しています。なお、全社的な
さらに、各部門・主要関係会社の活動を確認・促進させるため、 当社の製油所・事業所では、保安技術の高度化を踏まえた保 (2021 年 6 月 30 日時点)
。 対応を要する重大な品質事故は、2020 年度は 0 件でした。 
本部長または経営層が現場に出向いて行う安全環境指導・安全 安力の向上策として、先進的な技術の活用、高度なリスクアセス
環境巡回や事務局による安全環境監査を実施しています。特に メント、高度な教育・訓練等に取り組んでいます。その結果、高 コーポレートレベルでの品質保証体制 適切な製品安全情報の表記・表示
当社の製油所・事業所においては、本部長が安全環境指導・安 圧ガス保安法にて高度な保安の取り組みを行っている「スーパー 当社グループ全体の品質面におけるガバナンス強化に向けた 当社グループの製品安全情報については、法律に基づき SDS
全環境巡回を年 1 回実施し、事務局が安全環境監査を年 1 回実 認定事業所」として以下の製油所・事業所が認定されています。 コーポレートの品質保証組織として、品質保証本部を設置してい (安全データシー を発行しています。
ト) なお製品には、GHS
(化
施しています。他拠点については、事業所の安全環境リスク、安 ます。品質保証本部は、取締役会で選任された品質保証担当役員 学品の分類および表示に関する世界調和システム)に従って危険
全環境管理の状況を考慮して頻度を決定し、安全環境監査を実 ■ 徳山事業所 2019 年 9 月 5 日認定)
( (取締役)を本部長、品質に関係する事業部門の部門長、関係会 有害性を分類し表記しています。また、ウェブサイト上で用途や商
施しています。監査により安全環境上の改善点が見つかった場合 ■ 千葉事業所 2020 年 3 月 17 日認定)
( 社の社長を本部員とし、安全環境・品質保証部が事務局を務め 品名から検索し、製品安全情報を閲覧できるシステムを整備して
には、事務局は 1 件ごとに対応計画決定からその完了までをフォ ■ 北海道製油所 2021 年 6 月 29 日認定)
( ています。品質保証本部は、全社的な品質保証活動の方針の制 います。
ローしています。 定、品質マネジメントシステムの維持・見直し・改善など重要事
グループ精製会社では、西部石油(株)山口製油所 2021

また、グループ全体の災害防止のために、より有効な安全・保 項を推進し、各事業部門は方針にのっとり自部門の PDCA サイク
年 6 月 4 日認定)
も認定されています。
安対策の樹立を企図して、取締役会または社長の諮問機関とし ルを回しています。原則として年 1 回開催する品質保証本部会議
て社外有識者を含めた委員などから構成される安全保安諮問委 で、進捗を管理するとともに、当社グループの次年度基本方針な
員会を設置しています。 どを決定します。また、各部門の活動を向上させるため、品質監
※ 安全・衛生・環境管理活動を促進するために、方針と目的・目標を定め、それらを達 査を定期的に実施しています。 
成するために、管理計画の策定、実施、評価およびその改善を継続的に行うしくみ


79 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 80
データセクション

数字で見る出光グループ 会社概要・株式情報(2021 年 3 月末時点)
商号 出光興産株式会社 株式の分布状況

連結売上高 連結従業員数 代表取締役社長 木藤 俊一 個人その他 金融機関
17.00% 30.81%
設立年月日 1940 年 3 月 30 日
4.6 兆円 1.4 万名 資本金
(創業 1911 年 6 月 20 日)

1,683 億円
連結対象会社数 126 社
証券コード 5019
燃料油 外国法人 証券会社
単元株式数 100 株 26.73% 4.15%
原油処理能力 国内燃料油販売量※ 国内 SS 数 ※ 議決権種類株は発行していません。



94.5 万バレル / 日 3,400 万 kL/ 年 6,300 カ所 発行可能株式総数

発行済株式総数
436,000,000 株
297,864,718 株
その他国内法人
21.31%

株主数 81,249 名
原油タンカー 油槽所数 海外燃料油販売量


20 隻 35 カ所 2,300 万 kL/ 年 大株主(上位 10 名) 1 株当たり年間配当金
持株数 持株比率 (円)
※ 2021 年 3 月期よりジェ ト燃料および C 重油のボンド輸出数量を国内燃料油販売量から除外して集計しています。
ッ 株主名 180
(千株) (%) 160

日章興産株式会社 27,119 9.11

基礎化学品 資源 日本マスタートラスト信託銀行株式会社
(信託口) 24,640 8.27 120


Aramco Overseas Company B.V. 23,115 7.76 100


公益財団法人出光文化福祉財団 12,392 4.16 80

株式会社日本カストディ銀行(信託口) 12,351 4.15 60 50
公益財団法人出光美術館 8,000 2.69 40
エチレン生産能力 BTX ※生産能力 原油生産量 一般炭生産量 20
SSBTC CLIENT OMNIBUS ACCOUNT 5,328 1.79

100 万 t / 年 250 万 t / 年 2.4万バレル / 日 1,100 万 t / 年

株式会社三菱 UFJ 銀行 5,142 1.73 2016 2017 2018 2019 2020 (予想)
2021 (年度)

株式会社三井住友銀行 5,142 1.73
※ BTX:化学製品の基礎となるベンゼン・トルエン・キシレンを指します。 三井住友信託銀行株式会社 5,142 1.73

※ 持株比率は発行済株式の総数から自己株式 30,715 株)
( を控除した株数により

高機能材
算出しています。 
持株数の表示単位未満の端数は切り捨て表示しています。

エンジニアリング 潤滑油販売量 アスファルト販売量
プラスチック販売量
株価・株式売買高推移 ■ 出来高    株価

15 万 t / 年 110 万 kL / 年 38 万 t / 年 出来高(千株)
100,000
株価(円)
7,000

粘接着基材生産能力 有機 EL 材料生産能力 アグリバイオ製品販売量 90,000
6,000

7.5 万 t / 年 22 t / 年 1.7万 t / 年 80,000


70,000 5,000


60,000
4,000
電力・再生可能エネルギー 海外 50,000

3,000
40,000


30,000 2,000

発電能力 電力販売量 海外拠点 海外従業員数 20,000


144 万 kW 3,800 百万 kWh 67 拠点 3.3 千名
1,000
10,000

うち、再生可能エネルギー50 万 kW

(再生可能エネルギー比率 35%) 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

2018 年度 2019 年度 2020 年度
2021 年 3 月末データ
記載の数値は概算の表記です。
81 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 82
データセクション

財務ハイライト 非財務ハイライト

売上高 営業利益+持分法投資損益 男女別従業員数推移 従業員の平均勤続年数推移
■ 出光興産 男性 ■ 出光興産 女性 
■ 昭和シェル石油 男性 ■ 昭和シェル石油 女性 出光興産  昭和シェル石油  国内平均値
(億円) (億円) ■ 在庫影響込み ■ 在庫影響除き (名) (年)
4,825 4,917 4,943
80,000 3,000 5,000 25
68,666 2,291 2,183 571 594 588
70,000 20.1 19.6 19.3 19.4
60,459 4,000 20
60,000 2,000 336 20.1 19.3
50,000 45,566 3,000 15
1,003 928 12.1 12.2 12.4 11.9
40,000 1,000 4,254 4,323 4,355

2,000 3,590 10
30,000
20,000 0
1,000 5
10,000 ▲ 262 184
0 -1,000 0 538 0
(概算) 1
2018 ※ 2019 2020 (年度) (概算) 1
2018 ※ 2019 2020 (年度) 2018年 2019年 2020年 2021年 2017 2018 2019 (年度)

7月1日 4月1日 3月31日

※ 2020 年データは出光興産雇用 (社員、 シニア、再雇用、常勤嘱託、 参与) で、 ※ 2020 年度データは 2021 年 3 月 31 日時点の出光興産雇用(社員、シニア、
他社への出向者を除きます。 再雇用、 常勤嘱託、 参与) 他社への出向者を除きます。
で、
※ 出光興産の 2017∼2018 年は 3 月末、昭和シェル石油の 2017∼2018 年は ※ 2019 年度データは、2019 年 7 月 1 日時点です。
12 月末の実績です。 ※ 出光興産の 2017∼2018 年度は 3 月末時点、昭和シェル石油の 2017∼
親会社株主に帰属する当期純利益 有利子負債・ネット D/E レシオ 2018 年度は 12 月末時点のデータです。
※ 国内平均値は、 国税庁 「民間給与実態統計調査結果」 から引用しています。
(億円) ■ 在庫影響込み ■ 在庫影響除き (億円) ■ 有利子負債  ネッ D/Eレシオ (%)


1,200 16,000 1.20 CO2 排出量 Scope1+2 +3)
( 実績推移 コーポレートガバナンス体制推移
945 13,363 13,089
1,000 870 14,000 ■ 出光興産 ■ 昭和シェル石油
(名)
取締役人数  社外取締役比率  女性比率
(% )
1.00 (千 tCO2)
800 12,000 10,772 1.05 1.02 140,000 130,586

600 10,000
0.80 121,209 12 12
390 120,000 12 11 11 70
400 349 297 8,000 0.75 0.60 10

100,000 90,113 87,125 10
200 6,000 50
0.40 80,000 70,902 42%
0 4,000 62,193

36% 38% 36%
33% 40
0.20 60,000 6
-200 2,000 30
▲ 229 20% 18%
-400 0 0.00 40,000 4 20
(概算) 1
2018 ※ 2019 2020 (年度) (概算) 2
2018 ※ 2019 2020 (年度) 8% 9% 8%
20,000 2 8% 10
10%

2017 2018 2019 (年度)
2020 2016 2017 2018 2019 2020 2021 (年)

※ データの集計対象範囲は、 出光興産本体・連結子会社です。
※ 2019 年度以降データは経営統合に伴い集計条件を見直したため、2018 年
総資産・純資産 自己資本比率 度以前の両社データ合算値との連続性はありません。
※ 昭和シェル石油の 2018 年度の実績は 2018 年度決算期変更に伴い、2018
(億円) ■ 総資産 ■ 純資産 (%) 年 1 月 1 日∼2019 年 3 月 31 日の 15 カ月を報告対象としています。
45,000 41,504 31
38,869 39,544 30.3
40,000
29.6
35,000

29.1 労働災害度数率の推移(災害発生の頻度) 強度率の推移(災害の重さの程度)
30,000 29 出光興産(従業員のみ)  出光興産(協力会社員) 出光興産(従業員のみ)  出光興産(協力会社員)
昭和シェル石油(従業員のみ)
  事業所規模 100 人以上全産業平均値 昭和シェル石油(従業員のみ)
  事業所規模 100 人以上全産業平均値
25,000 0.12
28 2.0
20,000
1.95
15,000 13,088 12,006 12,151 27 1.83 1.80
0.10
1.5 1.66
10,000
26 0.08 0.09 0.09 0.09 0.09
5,000
0 25 1.0 0.79 0.06 0.05
(概算) 2
2018 ※ 2019 2020 (年度) (概算) 2
2018 ※ 2019 2020 (年度) 0.68
0.51 0.04 0.03 0.03
0.5 0.30
0.28
0.46 0.02 0.01
0.39 0.00 0.00
0.00
0.0 0.00
※ 1 2018 年度は集計可能なデータにつき、2018 年 4 月∼2019 年 3 月の期間における旧昭和シェル石油と出光興産合算の概算値を掲載しています。 2017 2018 2019 (年)
2020 2017 2018 2019 (年)

※ 2 2018 年度は 2019 年 4 月 1 日時点の BS データを参考値として算出しています。
※ 労働災害度数率とは、100 万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者 ※ 強度率とは、1,000 延べ実労働時間当たりの労働損失日数です。
数です。 ※ 2020 年データの集計対象は、 北海道製油所・千葉事業所・愛知製油所・徳
※ 2020 年データの集計対象は、北海道製油所・千葉事業所・愛知製油所・徳 山事業所・ (株)
プライムポリマー姉崎工場・BASF 出光(株)
・昭和四日市石
山事業所・ (株)
プライムポリマー姉崎工場・BASF 出光(株)
・昭和四日市石 油(株) ・東亜石油 (株)
・西部石油(株)です。
油(株) ・東亜石油 (株)
・西部石油(株)
です。 ※ 事業所規模 100 人以上全産業平均値は、 厚生労働省 「労働災害動向調査」

※ 事業所規模 100 人以上全産業平均値は、 厚生労働省 「労働災害動向調査」
か ら引用しています。
ら引用しています。



83 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 84
データセクション



主要財務データ
統合前各社 5カ年データ 最新データ
出光興産※ 1
(年度) 2014 2015 2016 2017 2018
(年度) 2018 概算)
( 2019 2020
■ 損益計算書  (単位:億円)
■ 損益計算書※ 4  (単位:億円)
売上高 46,297 35,702 31,903 37,307 44,251
売上高 68,666 60,459 45,566
営業利益 ▲1,048 ▲196 1,352 2,013 1,793
営業利益 + 持分法投資損益 2,291 ▲ 262 1,003
経常利益 ▲1,076 ▲ 219 1,400 2,263 1,691
うち在庫影響 108 ▲ 893 75
親会社株主に帰属する当期純利益 ▲1,380 ▲ 360 882 1,623 815
在庫影響除く営業利益+持分法投資損益 2,183 631 928
■ 貸借対照表 (単位:億円)
経常利益 2,365 ▲140 1,084
総資産 27,310 24,021 26,416 29,203 28,903
特別損益 ▲ 557 ▲ 33 ▲ 438
純資産 6,304 5,377 6,199 9,059 8,789
親会社株主に帰属する当期純利益 945 ▲ 229 349
有利子負債 10,062 9,096 10,523 8,936 9,514
■ 貸借対照表※ 5 (単位:億円)
■ キャッシュ・フロー (単位:億円)
資産 41,504 38,869 39,544
営業活動によるキャッシュ・フロー 1,729 2,164 535 1,368 1,510
負債 28,416 26,864 27,393
減価償却費 667 803 702 679 616
純資産 13,088 12,006 12,151
投資活動によるキャッシュ・フロー ▲1,311 ▲ 981 ▲ 2,148 ▲ 899 ▲ 1,223
有利子負債 10,772 13,363 13,089
財務活動によるキャッシュ・フロー ▲ 983 ▲1,056 1,361 ▲ 519 ▲ 202
■ キャッシュ・フロー (単位:億円)
■ 経営指標
営業活動によるキャッシュ・フロー − ▲ 327 1,705
自己資本利益率 ROE)
(      % - - 16.3 22.3 9.5
減価償却費 − 949 982
自己資本比率         % 21.5 20.8       22.1 29.7 29.1
投資活動によるキャッシュ・フロー − ▲1,345 ▲ 1,099
ネット D/E レシオ      倍 1.5 1.6 1.6 0.9 1.0
財務活動によるキャッシュ・フロー − 1,579 ▲ 562
※ 1 出光興産の決算期は 4∼3 月
■ 1 株当たり金額 (単位:円)

昭和シェル石油※ 2 当期純利益 − ▲ 76.31 117.47
(年度) 2014 2015 2016 2017 2018 ※ 3 純資産 − 3,868.68 3,871.69
■ 損益計算書  (単位:億円) 配当金 − 160 120
売上高 29,980 21,776 17,261 20,459 30,829 ■ 経営指標※ 5
営業利益 ▲181 ▲122 464 785 953 自己資本利益率 ROE)
( % − ▲ 2.3 3.0
経常利益                  ▲167 ▲133 478 930 1,011 自己資本比率 % 30.3 29.6 29.1
親会社株主に帰属する当期純利益 ▲ 97 ▲ 275 169 428 391 ネット D/E レシオ倍  0.75 1.05 1.02
■ 貸借対照表 (単位:億円) ※ 4 2018 年度は集計可能なデータにつき、2018 年 4 月∼2019 年 3 月の期間における旧両社合算の概算値を掲載しています。
※ 5 2018 年度は 2019 年 4 月1日時点の BS データを参考値として算出しています。
総資産 11,763 9,577 9,761 10,389 10,406
純資産 2,963 2,433 2,425 2,755 2,834
有利子負債 2,094 1,554 1,376 1,174 1,263 ■ 為替レート ■ ドバイ原油価格 ■ 豪州一般炭価格
(円/USD) (USD/バレル) (USD/t )
■ キャッシュ・フロー (単位:億円)

営業活動によるキャッシュ・フロー 727 748 809 474 748 116 90 140


減価償却費 414 389 369 280 306 112 70



投資活動によるキャッシュ・フロー ▲ 282 ▲ 437 ▲165 ▲ 96 ▲ 505 110 60


財務活動によるキャッシュ・フロー ▲ 281 ▲ 562 ▲ 338 ▲ 380 ▲ 218



■ 経営指標 104 30

自己資本利益率 ROE)
(     % - - 7.6 18.0 15.2 102 20


自己資本比率       % 23.1 23.2 22.7 24.4 25.2 98 0 0

ネット D/E レシオ      倍 0.60 0.62 0.39 0.26 0.28 2018 2019 2020 2021 2018 2019 2020 2021 2018 2019 2020

※ 2 昭和シェル石油の決算期は 1∼12 月
※ 3 2018 年度データは 2018 年 1 月∼2019 年 3 月の 15 カ月分の実績

コーポレートスローガン
※ 本レポートに掲載されている計画、見通し、経営目標などのうち、歴史的事実でないものにつきましては、現時点で入手可能な情報による当社の判断および仮定
に基づいています。実際の業績につきましては、さまざまな要素により、見通しなどと大きく異なる可能性があることをあらかじめご了承ください。 なお、業績に影 太陽神アポロのように一人ひとりを明るく照らし、人と地域、人と社会を
途絶えることなくつなぐエネルギー、出光はその顔になりたい。
響を与える要素には、経済情勢、原油価格、石油製品の需給動向および市況、 為替レートなどが含まれますが、これらに限るものではありません。
という思いを込めて作成しました。




85 出光統合レポー 2021
ト 出光統合レポー 2021
ト 86

689072