豪州でバナジウム事業を推進するVecco社へ過半出資、クリティカルミネラル事業へ本格進出
2024 年 12 月 18 日
各 位
会 社 名 出 光 興 産 株 式 会 社
代 表 者 名 代表取締役社長 木 藤 俊 一
(コード番号:5019 東証プライム市場)
問 合 せ 先 経理財務部 IR 室長 茂 木 大 輔
(TEL : 03 - 3213 - 9307)
豪州でバナジウム事業を推進する Vecco 社へ過半出資、
クリティカルミネラル事業へ本格進出
再エネの利便性を高めるバナジウム・フロー電池のサプライチェーン構築を主導
出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:木藤俊一、以下「当社」)は、出光デベラ
(Idemitsu Debella Pty Ltd、当社出資 100%の出光オーストラリア関係会社)を通じ、豪州でバナジウム鉱山
の開発・バナジウム電解液の製造等を推進する Vecco(ヴェッコ)社(Vecco Group Pty Ltd、本社:ブリスベ
ン)の持株比率を 51%へ引き上げる契約を 12 月 18 日に締結しました。当社は、鉱山開発から電解液製造ま
で一貫したバナジウムのサプライチェーン構築を主導し、豪州を起点とした重要鉱物(クリティカルミネラル)
事業へ本格進出します。
バナジウム電解液の製造の様子(Vecco 社製造設備)
当社は、再生可能エネルギー導入拡大に必要な鉱物を含むクリティカルミネラル事業への参入と知見獲
得を目指し、2022 年から Vecco 社に出資を行ってきました。今回、同事業の長期的な成長と今後の収益拡
大を見込み、同社への過半出資を決定しました。これにより、当社の同社に対する出資総額は 7,500 万豪ド
ルとなります。
最新の IEA 世界エネルギー見通し(IEA World Energy Outlook 2024)では、各国の脱炭素目標に沿っ
て、世界の電力需要は過去 10 年の成長率に比べ、2035 年までに 6 倍の速さで増加すると報告されていま
す。再生可能エネルギーによる発電が約半分を担うと予測されており、脱炭素化と安定した電力システム実
現の両立のため、送電網や電力貯蔵システムへの投資が不可欠とされています。また、COP28 で掲げられ
た 1.5℃目標実現のためには、再生可能エネルギーによる発電容量を 2030 年までに 3 倍にする必要があ
り、1500GW の電力貯蔵容量を確保することが不可欠であるとされています。日本においても、次期エネル
ギー基本計画の策定議論の中で、再生可能エネルギーの主力電源化と、気象等による出力変動対応のた
めの蓄電システムの必要性について議論がなされています。
今後、導入拡大が必要になる蓄電システムの中でも、バナジウムを原料とするバナジウム・フロー電池(以
下「VFB」)は、エネルギーをバナジウム電解液に蓄える仕組みの蓄電池であり、電池容量の拡大(大型化)
が容易、劣化しにくく長寿命、発火リスクがないといった電力系統用の蓄電池に適した特性を有しています。
出力を天候に左右されやすい太陽光をはじめとした再生可能エネルギー電源と組み合わせることで、利便
性を高めることが期待されています。
Vecco 社は、豪州クイーンズランド州でバナジウム鉱山と VFB 用電解液プラントに関するプロジェクト(プ
ロジェクト名:Debella Project、以下「プロジェクト」)を進めています。プロジェクトでは、バナジウムを含む鉱
石の採掘・五酸化バナジウムの精製・VFB 用のバナジウム電解液の製造を行う地産地消型かつ競争力のあ
るサプライチェーン構築を目指しています。その一環として、同社は豪州初となる商業規模のバナジウム電
解液製造施設(生産能力:約 35MWh/年)の稼働を 2023 年 6 月に開始しました。今後は、自社鉱山からの
五酸化バナジウム精製に向け、2025 年前半から豪州内バナジウム鉱山開発に対する詳細 FS(Feasibility
Study:事業化調査)を開始し、2026 年からの採掘施設の建設、および 2027 年からの操業開始を目指しま
す。将来的には、豪州内で精製した五酸化バナジウムを、豪州だけでなく米国等の電解液工場へ輸送し電
解液製造を行うなど、海外への展開も構想しています。
鉱物資源に恵まれる豪州には、バナジウムやリチウムといった多くのクリティカルミネラルが賦存していま
す。当社は、約 45 年にわたり豪州で石炭鉱山の操業に携わってきました。これまで培ってきた人財や、開
発・生産・輸送・貯蔵・出荷に関する知見、豪州政府・現地ステークホルダー・お客様との関係性などの事業
基盤を生かしながら、Vecco 社とともにプロジェクトを着実に進めます。プロジェクトを通し、豪州を起点とした
クリティカルミネラル事業へ本格進出し、米国等も含めた事業展開と再生可能エネルギー導入拡大への貢
献を目指します。
プロジェクト位置図 採掘予定地(ジュリアクリーク)
- 2 -
豪州での契約締結セレモニーの様子(当社・Vecco 社)
■ご参考
豪州でバナジウム事業を推進する Vecco 社へ出資(2022 年 10 月 26 日)
https://www.idemitsu.com/jp/news/2022/221026_1.html
豪州でバナジウム事業を推進する Vecco 社への出資を拡大(2023 年 3 月 24 日)
https://www.idemitsu.com/jp/news/2022/230324_1.html
以 上
- 3 -
6421