当社の耐放射線性潤滑剤のCERN加速器への搭載実績が、新たに論文化されました

PRESS RELEASE
2022 年4月 14 日
各 位
会社名
代表者名 代表取締役社長 両 角 元 寿
(コード番号 5018 東証プライム)
問合せ先 広報室長 金 澤 智 美
TEL 078 - 303 - 9058
MAIL:mpress@moresco.co.jp


当社の耐放射線性潤滑剤の CERN 加速器への搭載実績が、新たに論文化されました


通常の潤滑剤では機能が保てない、過酷な高放射線環境下での使用を可能とした当社の
耐放射線性潤滑剤「モレスコハイラッド」について、CERN(*1)保有の加速器施設(*2)に
おける潤滑剤選定の方法論と併せて搭載実績が論文化されました。
本論文は、エルゼビア(科学技術系の世界最大規模の出版社 Elsevier B.V.、オランダ)を
通じ、公表されましたので、お知らせいたします。



【論文の概要】
CERN の加速器施設の可動装置の大部分では、潤滑が不可欠です。しかし、高放射線の
被曝環境下のため、通常の潤滑剤では液化/増粘/固化してしまい、施設全体の稼動停止を
誘発する可能性があります。さらに修理や整備のために、人員を高線量環境下に立ち入ら
せる危険も発生していました。この状況は、ビーム強化に伴う放射線の苛烈化で益々深刻
化しています。そのため CERN は、高放射線を発する重要装置の潤滑剤の選定を、稼働阻
害のリスク排除や施設寿命延長のための重要課題として方法論化しました。それに伴い
CERN 実環境の混合線下での潤滑剤使用基準も、以下のように設定されました。
線量 MGy 予想される劣化 推 奨 品
① <0.1 無視できる範囲 汎用品
② 0.1~1.0 中程度~深刻 耐放射線性とされる製品
③ 1~10 中程度~深刻 この線量域での混合線で耐放射線性が実証された特殊製品
④ >10 深刻、機能不全 可能なら有機物潤滑剤を避ける
(MGy = メガグレイ。 グレイは被曝~吸収線量の単位)

「モレスコハイラッド」は先の共同研究(*3)で、最も優秀な 12 MGy に至る耐放射線性が
実証され、耐放射線性潤滑剤の中でも上記③に適合します。その結果、高放射線を発する
次世代ビームダンプ(*4) 等の主要部位へ、搭載が進んでおります。
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0 MGy 1.5 MGy 3.8 MGy 7.6 MGy 11.4 MGy
377 (1/10 ㎜) 365 (1/10 ㎜) 373 (1/10 ㎜) 395 (1/10 ㎜) 380 (1/10 ㎜)

モレスコハイラッド(グリース形態)への放射線(混合線)照射 ~ 被曝量/吸収線量毎の外観と稠度(=硬さ。1/10mm)


次世代ビームダンプは 25t の巨大円筒で、ビームとの最適な位置調整のため、三次元的
駆動が可能な 3 つの担持ジャッキ装置の上に設置されています。ダンプの重量を支えつつ
繊細な位置調整と低トルクを実現するためには、ジャッキ可動部分の潤滑が不可欠です。
しかしジャッキ上部軸受けでは、装置寿命 20 年の間に最大被曝線量が 10 MGy に達する
部分もあり、潤滑剤の劣化が深刻です。そのため、搭載する潤滑剤を慎重に選定する必要
があります。そこに「モレスコハイラッド」は、当該部分に技術的要件を満たし、装置の
連続稼動を可能とする潤滑剤として選定・搭載されました。




次世代ビームダンプ




担持ジャッキ

放射線による損傷・影響に関する知識の継続的な更新は、既存施設の改修や新施設の設
計のために極めて重要です。そのため CERN は、混合線での材料評価に向けた新試験照射
区画を増設し、従来から行われてきたガンマ線のみではない実機条件(*3)での、放射線に
よる潤滑剤の劣化機構の研究を今後も深耕していきます。同時に、高放射線環境下での重
要機器の稼動停止リスク排除に向けた、潤滑剤の最適選択における方法論の研究も継続し
ていきます。また、当社との複数の共同研究も進行中です。


【社会的意義・活動の継続】
当社は、このような耐放射線性潤滑剤の技術によって、過酷な高放射線環境下で稼働す
る機器の安定的な潤滑性の確保に寄与しております。今後もさらに、最先端分野である加
速器や照射医療、原発の安全性向上や廃炉など、様々な放射線環境用途において世界へ貢
献してまいります。
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【論文】(Microsoft Edge もしくは Google Chrome からのアクセスが推奨されます。


https://reader.elsevier.com/reader/sd/pii/S235217912100154X?token=262D6D8F0CB4A17797807170A1DCA0C1E705BA342647F

BB15E2BF1AFE4C3E538F016FE79063ECB513414F45E23AA9CF7&originRegion=us-east-1&originCreation=20220310084340




(*1) 欧州原子核研究機構。世界三大加速器プロジェクトの 1 つ。スイスとフランス両
国境に跨る、全長 27km におよぶ世界最長のシンクロトロン(円形加速器)。ビー
ム強度エネルギーは 450GeV を誇る、素粒子物理学研究施設。(https://home.cern/)




(*2) 陽子等の粒子を亜光速化し高エネルギー状態で任意ターゲットに衝突させ、そこ
で弾き出される素粒子の観察が可能な装置。これにより物質の根源や宇宙誕生時の
物質起源に迫る謎が解明可能。近年、小型の加速器は癌への照射治療にも実用化さ
れつつある。


(*3) 旧来はガンマ線の照射結果のみが指標とされてきた。しかし、放射線の種類差に
よる潤滑剤劣化への影響、例えば混合線とガンマ線の間には大きな差があったこと
を、世界で初めて検証。同時に混合線下での「モレスコハイラッド」の優れた耐放
射線性も立証。
(https://www.moresco.co.jp/news/assets/f68623057488cb6f98824e5227599352c0eaaf00.pdf)



(*4) 不要なビームを遮断して吸収し止める装置。CERN の次世代ダンプは 2019~
2021 年の設備改修で設置され、同時に施されたビーム強化により吸収エネルギー
は旧来ダンプの 4 倍以上と想定される。これにより、ダンプから放出される放射線
量も、さらに増加する傾向にある。



【本件に関する問い合わせ先】

株式会社 MORESCO 耐放射線性潤滑剤 高度専門職 林 義和

TEL/FAX:06-6262-3310/06-6262-3327(大阪) MAIL:hayashi@moresco.co.jp

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