油性ゲルを応用した新製剤の開発に成功

2020 年 10 月 29 日



「油性ゲルを応用した、新製剤の開発に成功」

~油性ゲル中でも安定に水を配合する技術の確立~


株式会社ミルボン(代表取締役:佐藤龍二)は、特定の界面活性剤と油脂の使用によって、従来は困難だった油
性ゲルの構造を安定に保ったまま、水を配合した新製剤の開発に成功しました。油性ゲルとは、液状の油やエタノールな
ど水以外の液体を固めたものを指します。本技術によって従来にはない使用感や操作性を持った新しい製剤を市場に
提供できるようになりました。本研究成果は、日本油化学第 59 回年会(2020 年 11 月 2 日~7 日)にて発表予
定です。
本技術は特許出願済みであり、2020 年 9 月に全国発売した「ドア シャイニースフレ」というスタイリング剤に応用し
ており、今後も様々な新製品に活用していく予定です。


【本技術のポイント】
化粧品製剤の⼀つである"バーム"は、⼀般的に油性ゲルを用いた製剤です。髪や肌にツヤと保湿感を与えることに優
れており、多くの化粧品で用いられています。しかし、バームは油を固めた製剤であり、温度によって粘性が変わりやすく、
季節によって使用感が変わってしまうといった課題があります。過去にミルボンで、特定の油脂の使用によって温度変化が
起こっても、油性ゲルの構造を安定に保持して⼀定の使用感を保つという製剤化技術を開発しました。
(https://www.milbon.co.jp/ir/upload_file/m000/20190408_new_formulation_technology.pdf )
しかし、均⼀に塗布しにくくベタつきやすい、水で洗い落としにくい、などの課題がまだ残っていました。
そこでミルボンはバームの使用感の良さは残したまま、これらの課題をクリアしたいと考えました。その為に従来は困難だ
った油性ゲルにその構造を安定に保持したまま、水を配合するという新しい製剤の開発に挑戦しました。
通常、油脂に水を配合すると乳液やクリームといった製剤になります。しかし、これらの製剤は外観も使用感もバームと
は大きく違い、目指す製剤とは全く異なってしまうため、ミルボンではあくまで油性ゲル中への水の配合に注力しました。
その結果、特定の界面活性剤(トリイソステアリン酸 PEG-20 グリセリル)とヒマワリの種から採取される油脂(ヒマワ
リ種子ロウ)を組み合わせることによって、油性ゲルの構造を安定に保持しながら水を配合することができました。この技
術によってバームの使用感の良さを残したまま、上記の課題を解決し、従来にはなかった新しい製剤を市場に提供できる
ようになりました。


【今後の展望】
今回の技術によって、今後は油性ゲルに様々な水溶性の有用成分を配合できます。つまり、バームの使用感の良さを
残しながら、さらに水溶性成分の様々な機能を追加できるようになります。例えばスタイリング剤でありながら、連日使用
で髪の内部補修ができるヘアケア効果をもった製剤などが挙げられます。この新製剤が持つ特性をいかして、今までにな
い新たな機能を有する製品の開発を今後も推進していきます。




-1-
【補足➀:過酷試験における安定性の確認】
油性ゲルに水を配合した製剤が安定に保たれるかを判断するために、過酷な条件である 50℃に保管して外観観察
による状態の変化を確認しました。(表1)


➁⼀般的な界面活性剤 ③特定の界面活性剤
➀油性ゲル
+ヒマワリ種子ロウ +ヒマワリ種子ロウ
25℃




50℃




外観変化 変化なし 50℃で油脂と水が分離 変化なし

表1:各製剤の外観観察結果(25℃及び 50℃)

その結果、⼀般的な界面活性剤とヒマワリ種子ロウを組み合わせて作成した製剤では、50℃で油脂と水が分離した
のに対し、特定の界面活性剤(トリイソステアリン酸 PEG-20 グリセリル)とヒマワリ種子ロウを組み合わせた今回の新
結果結果
製剤では変化がみられず、油性ゲル製剤と同様の高い安定性を保っていました。


【補足⓶:電子顕微鏡観察による製剤の構造観察結果】
50℃の過酷な条件下でも、新製剤は高い安定性が確認されました。さらに、この製剤が油性ゲル製剤と同様の構造
が保たれているかを精密に確認するために電子顕微鏡観察を行いました。(表2)


➁⼀般的な界面活性剤 ③特定の界面活性剤
➀油性ゲル
+ヒマワリ種子ロウ +ヒマワリ種子ロウ
電子顕微鏡
観察結果




板状構造を形成する 板状構造は形成しない 板状の構造を形成する


表2:各製剤の電子顕微鏡結果
-2-
その結果、油性ゲル製剤では板状の構造を形成していることが確認できましたが、⼀般的な界面活性剤とヒマワリ種
子ロウを組み合わせた製剤には板状の構造は確認できませんでした。
⼀方で、新製剤は、油性ゲル製剤と同様に板状の構造を形成している事が確認できました。
これによって新製剤は油性ゲルの構造を安定に保持したまま、水を配合できていることを精密に確認できました。




■リリースに関するお問い合わせ先
広報室 東京都中央区京橋 2-2-1 京橋エドグラン
TEL 03-3517-3915 FAX 03-3273-3211
株式会社ミルボン/本社:東京都中央区、社長:佐藤龍二、証券コード:4919(東証1部)




-3-

6594