再生皮膚モデルの活用により、ヘアカラーの刺激抑制技術の開発に成功

News Release
2019 年 3 ⽉ 6 ⽇




再⽣⽪膚モデルの活⽤により、ヘアカラーの刺激抑制技術の開発に成功

〜ヘアカラーの刺激数値化技術を確⽴〜



株式会社ミルボン (代表取締役社⻑・佐藤⿓⼆) は、再⽣⽪膚モデル※1 を活⽤したヘアカラーの刺激抑制技術の開
発に成功しました。再⽣⽪膚モデルとは、表⽪の細胞をシート状に培養して再⽣した⼈⼯の培養⽪膚のことで、再⽣⽪
膚モデルが受けたダメージを数値化し、刺激の正確な評価に活⽤しました。⾒出されたヘアカラーの刺激抑制技術は、
今後のヘアカラー製品に活⽤される予定です。
これらの研究成果の⼀部は、第 18 回 ⽇本抗加齢医学会総会で報告いたしました。


【外部発表】
発表会︓第 18 回 ⽇本抗加齢医学会総会
タイトル︓三次元⽪膚モデルによる⽩髪⽤染⽑剤の⽪膚刺激性評価
著者︓櫻井勇希、宮崎貴成、⻘⼭⽇和、安⽥亜⽮、藤⾕浩治、前⼭健吾、伊藤廉
発表⽇︓2018 年 5 ⽉ 25 ⽇


【研究の背景】
ヘアカラーは世代を問わず多くの⼥性が楽しんでおり、ヘアカラーが美容室へ⾏くきっかけとなる⼥性も少なくありません。
しかしながら、ヘアカラーをする際に頭⽪に刺激を感じる⼥性も存在し、ヘアカラー周期が伸びたり、あるいはヘアカラーの
中断につながる場合もあります。
ヘアカラーの刺激は、⾼齢化の進⾏によって⽩髪染めの機会が増えるとさらに多くの⼥性が感じる不安となることが予
想されます。これを解決することで不安なくヘアカラーを楽しんでいただきたいという思いから、研究チームはヘアカラーと頭
⽪の刺激抑制の研究を⾏ってきました。
ヘアカラーの刺激抑制技術を開発するためには、ヘアカラーの刺激を正確に評価することが必要です。この⽅法として
は、ヘアカラー中に感じた刺激についてアンケート調査をする⽅法があります。しかしながらヘアカラーは連続して施術する
ことができないため、⽐較評価をするためには⼀定期間を空けて評価する必要があります。そうすると、体調や天候などの
違いによって刺激の感じ⽅が変わったり、期間が空いたことでわずかな刺激の差の判別が難しくなったりと正確で迅速な
評価を⾏うことが困難であったため、これに代わる新しい刺激評価⽅法の模索を続けていました。




-1-
【研究の成果】
〜再⽣⽪膚モデルへの着⽬〜
刺激評価⽅法の研究を進めていく中で、研究チームは⽪膚の再⽣医療技術によって開発された「再⽣⽪膚モデル」
に着⽬しました。
再⽣⽪膚モデルとは、表⽪の細胞をシート状に培養して再⽣した⼈⼯の培養⽪膚です。この再⽣⽪膚モデルは、新
規に合成された化学物質の刺激評価等にすでに⽤いられており、これがヘアカラーの刺激評価にも活⽤できるのではな
いかと考えました。実際にヘアカラー中にヒトが感じる刺激と再⽣⽪膚モデルによる評価結果を⼀致させるためには、ヘア
カラー剤と再⽣⽪膚モデルの接触時間や量などの詳細な実験⼿法を最適化する必要がありました。研究チームは約 2
年間研究を重ねて実験⼿法の最適化を⾏い、ヘアカラー中に感じる刺激を再⽣⽪膚モデルによって数値化することに成
功しました。
〜⾒出されたヘアカラーの刺激抑制技術〜
再⽣⽪膚モデルを⽤いた刺激の評価技術を活⽤し、研究チームはヘアカラーの刺激抑制にメドウフォーム油※2 とアプリ
コット油※3 が有効であることを⾒出しました。⼀⽅で、配合することで刺激が強くなる成分の判別も可能となり、こうした
成分を排除しながら、有効なものを厳選する研究の速度が格段に向上しました。これらの研究で得られた知⾒を今後の
ヘアカラー製品に応⽤していきます。


ミルボンでは、多くの⼥性がヘアカラーを楽しみ続けられるよう、⼈にやさしいヘアカラーの実現を⽬指してさらなる研究を
続けていきます。




-2-
《参考資料》




⾓質層

顆粒層
表⽪
有棘層
基底層
A B
図 1 再⽣⽪膚モデル(A)と、断⾯の構造(B)


A︓直径 1cm の専⽤培養容器に、⽪膚表⾯の組織の表⽪がシート状に培養されている。
B︓再⽣⽪膚モデルの断⾯を観察すると、⾓質層、顆粒層、有棘層、基底層からなる表⽪の 4
層構造が再現されていることが確認できる。




ヘアカラー剤の
頭⽪の刺激レベル 高 中 低


再⽣⽪膚
モデルによる評価



⻘︓⾼ダメージ ピンク︓低ダメージ
図 2 再⽣⽪膚モデルによるヘアカラー剤の評価例


頭⽪の刺激レベルがわかっているヘアカラー剤を、再⽣⽪膚モデルを⽤いて評価再⽣⽪膚モデルが受
けたダメージを⾊に変換して、ダメージと頭⽪の刺激レベルが⼀致する評価⽅法を⾒出した。




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《⽤語解説》




150% 刺激強
再生皮膚モデルでの刺激評価




125%

100%

75%

50%

25%

0%


刺激弱




図 3 再⽣⽪膚モデルを活⽤した植物油の刺激抑制効果の評価結果


オイルを配合していないヘアカラー剤に、11 種類の植物オイルをそれぞれ配合し、再⽣⽪膚モデルを⽤いて刺激抑制効果
の評価を⾏った。その結果メドウフォームオイルとアプリコットオイルに刺激抑制効果が⾒出されたとともに、H・I のように刺激
を⾼めてしまう植物油があることも分かった。




※1 再⽣⽪膚モデル︓表⽪の細胞をシート状に培養して再⽣した⼈⼯の培養⽪膚。やけどなど⽪膚の⼤きな損傷部
位への移植治療のために開発された技術であるが、化学物質の⽪膚に対する安全性評価に
も活⽤されている。
※2 メドウフォームオイル︓主にアメリカの牧草地で栽培され、⽩い花をつけるメドウフォームの種⼦から採取されたオイル。
※3 アプリコットオイル︓アンズの種⼦から採取されたオイル。化粧品⽤途だけでなく⾷⽤油としても⽤いられる。




■リリースに関するお問い合わせ先
広報室 東京都中央区京橋 2-2-1 京橋エドグラン
TEL 03-3517-3915 FAX 03-3273-3211
株式会社ミルボン/本社︓東京都中央区、社⻑︓佐藤⿓⼆、証券コード︓4919(東証1部)




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