声帯瘢痕に対するHGF(肝細胞増殖因子)の第III相臨床試験:治験開始について

2022 年 11 月 24 日
各 位
会 社 名 ク リ ン グ ル フ ァ ー マ 株 式 会 社
大阪府茨木市彩都あさぎ七丁目7番 15 号
住 所
彩都バイオインキュベータ 207
代 表 者 名 代 表 取 締 役 社 長 安 達 喜 一
(コード番号:4884 東証グロース)
問い合わせ先 取締役経営管理部長 村 上 浩 一
TEL.072-641-8739


声帯瘢痕に対する HGF(肝細胞増殖因子)の第Ⅲ相臨床試験
:治験開始について

当社は、声帯瘢痕患者を対象に組換えヒト HGF タンパク質製剤(KP-100LI)を投与し、有効性及び安全
性を確認する第Ⅲ相臨床試験(プラセボ対照二重盲検比較試験、以下「本試験」
)を開始しましたことを
お知らせいたします。


当社は、HGF タンパク質を様々な難治性線維性疾患の治療薬として実用化することを目指しており、対
象疾患として声帯瘢痕に着目し HGF タンパク質の医療用医薬品としての開発を進めています。すでに本
試験の治験計画届を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出し、受理されております 2022 年

10 月 24 日付け当社プレスリリース参照)
。今般、PMDA による治験計画届の調査期間が終了し、京都府公立
大学法人(理事長:金田章裕)と治験実施契約を締結しましたので、京都府立医科大学附属病院において
本試験を開始しました。なお、本試験は、京都府立医科大学附属病院のほか国内4施設において実施する
予定です。各施設では契約等の準備が完了次第、順次症例組入れを開始いたします。


【本試験の概要】
対象 声帯瘢痕または声帯溝症患者
治験デザイン 多施設共同ランダム化試験
二重盲検期:KP-100LI またはプラセボの声帯粘膜内投与 (週1回×4回) 、
観察 24 週間
継続期:希望者に KP-100LI を投与 (週1回×4回) 、継続観察 24 週間
年齢 18~75 歳
目標症例数 62 例(各群 31 例)
主要評価項目 二重盲検期の観察期間 24 週目における VHI-10 スコア改善率
治験実施施設 京都府立医科大学附属病院、他4施設を予定


なお、本試験は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による医療研究開発革新基盤創成事
業(CiCLE、研究開発課題:組換え HGF タンパク質を用いた難治性線維症治療薬の開発)の支援を受け実
施いたします。
HGF(Hepatocyte Growth Factor, 肝細胞増殖因子)について
HGF は、成熟肝細胞の増殖を促進する生体内タンパク質として日本で発見されました。その後の研究か
ら、HGF は細胞増殖に加えて細胞運動促進、細胞死抑制、形態形成誘導、抗線維化、血管新生など多彩な
生理活性を有し、肝臓のみならず、神経系、肺、腎臓、心臓、皮膚など様々な組織・臓器の再生と保護を
担うことが明らかになりました。

声帯瘢痕について
声帯瘢痕は、 声帯の炎症 外傷等に起因して声帯粘膜内に線維成分が蓄積することで声帯粘膜が硬化し、

声帯の機能が障害される結果、 重度の発声障害をきたす線維性疾患です。 発声障害により、日常のコミュ
ニケーションすら困難となり、QOL(Quality of Life)の著しい低下を招きます。患者の苦悩は非常に大
きいものの、現時点では有効な治療法は確立されていません。日本における声帯瘢痕の患者数はおよそ
1万人と推定されています 1)。
1) 平成 21 年厚生労働省科学研究費補助金(難治性疾患克服事業) 「声帯溝症の診断治療の確立と、標準
化に向けたガイドラインの作成に関する研究」 (研究代表者:角田晃一、16,17)

VHI-10 について
QOL の観点から音声障害のある患者の自覚的評価尺度として、 「機能的側面」 「感情的側面」 「身体的側
面」から分類される 30 項目を 0~4 点までの 5 段階で評価を行う VHI(Voice Handicap index)- 30 が作
成されました。 その後、評価項目を 10 項目に短縮した VHI-10 が作成され、日本語版については日本音声
言語医学会推奨版として公開されています 2) 。
2)音声障害診療ガイドライン(2018 年版)日本音声言語医学会、日本喉頭科学会編

CiCLE(Cyclic Innovation for Clinical Empowerment)について
「医療分野のオープンイノベーション基盤の形成・強化」や、産学連携で実施する医薬品、医療機器、再
生医療等製品、医療技術などの「医療分野の研究開発」を対象とする AMED 支援事業の一つです。
令和3年度 「医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)(第6回)の採択課題について 」
https://www.amed.go.jp/koubo/17/01/1701C_00001.html

クリングルファーマ株式会社について https://www.kringle-pharma.com/
「難治性疾患治療薬の研究開発を行い、 難病に苦しむ患者さんに対して画期的な治療手段を提供し、 社会
に貢献すること」を企業理念として、HGF タンパク質製剤の医薬品開発を中心に事業を進めています。現
在、神経難病の象徴的疾患である脊髄損傷急性期と ALS(筋萎縮性側索硬化症) 、及び声帯瘢痕を対象に
レイトステージの臨床開発を推進しています。当社は、HGF タンパク質性医薬品の社会実装を通じて新た
な価値を創造し、人々の健康と幸せに貢献してまいります。

以 上

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