MN-166(イブジラスト)の化学療法誘発末梢神経炎フェーズ2臨床治験に関する良好な結果のCancer Chemotherapy and Pharmacology誌への論文掲載のお知らせ

2020 年 9 月 24 日




各 位
会 社 名 M e d i c i N o v a , I n c
代表者名 代 表 取 締 役 社 長 兼 CEO 岩城 裕一
(コード番号:4875 JASDAQ)

東京事務所代表 副社長
問合せ先 松田 和子
兼最高医学責任者(CMO)
電話:03-3519-5010
E-Mail:infojapan@medicinova.com



MN-166(イブジラスト)の化学療法誘発末梢神経炎フェーズ 2 臨床治験に関する
良好な結果の Cancer Chemotherapy and Pharmacology 誌への論文掲載のお知らせ

2020 年 9 月 24 日 米国 ラ・ホイヤ発 - メディシノバ(MediciNova, Inc.)
(米国カリフォルニ
ア州 ラ・ホイヤ、代表取締役社長兼 CEO:岩城裕一) (以下「当社」といいます。)は、化学療
法誘発性末梢神経炎を適応として実施されたフェーズ 2 臨床治験の良好な結果に関する論文が、
「Cancer Chemotherapy and Pharmacology」誌に掲載されたことをお知らせします。

“Ibudilast for prevention of oxaliplatin-induced acute neurotoxicity: a pilot study assessing
preliminary efficacy, tolerability, and pharmacokinetic interactions in patients with metastatic
gastrointestinal cancer”というタイトルの本論文は、当社とシドニー大学 コンコルド癌センタ
ー教授のジャネット・バーディー医師(以下「バーディー医師」といいます。)との共同治験に関
する論文です。バーディー医師らは、オキサリプラチン化学療法を受ける治験参加者は MN-166
(イブジラスト)を併用投与することで、オキサリプラチン誘発性神経毒性が改善または安定し
ていたことを報告しています。

本臨床治験は、オープンレーベル、クロスオーバー デザインで、オキサリプラチン化学療法治療
を受ける転移性消化器がん(大腸・直腸・結腸がんや上消化器がん)の患者を対象に、オキサリ
プラチンに誘因される急性末梢神経障害を MN-166(イブジラスト)が予防・軽減できるかを評
価したものです。合計 16 人の患者が臨床治験に同意し、そのうち、14 人の患者が 2 クールのオ
キサリプラチン化学療法を完了しました。 (オキサリプラチン化学療法のみ 1 クール Cycle A に
続き、MN-166 を併用治療する 1 クール Cycle B の 2 クール)
このスタディはクロスオーバーデザインであることから、治験参加者自身のオキサリプラチン化
学療法のみの Cycle A が各自のコントロールとして機能しました。

各化学療法クールの 3 日目、および完了時に、オキサリプラチン神経毒性スケール(OSNS) 、ト
ータル・ニューロパチー・スコア(TNSc)、FACT/GOG-Ntx13、NCI-CTCAE スケールなど複数
の方法で神経毒性を評価しました。 (各スケール、スコアに関しては訳注をご参照ください。 )


本論文での発表内容の主なハイライトは以下の通りです。

⚫ 全ての神経毒性評価にわたって、治験参加者のほとんどが MN-166(イブジラスト)治療で
神経毒性の改善または安定(悪化なし)のいずれかであった。


-1-
o OSNS 評価法によると、 人のうち 12 人が両方の化学療法クール
14 (Cycle A 及び Cycle
B)で急性神経毒性症状(グレード 1 または 2)を報告しました。MN-166(イブジラス
ト)の併用治療のクールで、この 12 人のうち 10 人は「悪化なし」 人はグレード 2 か
、2
らグレード 1 に「症状が改善」しました。
o FACT/GOG-Ntx13、TNSc、および NCI-CTCAE によるスコアによると、治験参加
者の大多数は、 化学療法のみクール Cycle A と比較して、 MN-166(イブジラスト)
併用投与のクール Cycle B において、各治療クール 3 日目および治療クール終了時
点でスコアの悪化はありませんでした。

⚫ MN-166
(イブジラスト)の併用投与はオキサリプラチンの薬物動態に影響を示さなかった。

当社代表取締役社長兼 CEO の岩城裕一は次のようにコメントしています。
「化学療法誘発末梢神経炎 (CPIN)のフェーズ 2 治験のポジティブな結果を報告できることを非
常に嬉しく思います。急性神経毒性症状は、通常、オキサリプラチン化学療法の度に再発し、慢
性 CIPN の発症予測に役立ちます。多くの患者は化学療法の継続に従い症状の悪化を経験すると
知られているなか、今回の結果で、特に注目に値するのは、参加者の半数がイブジラスト治療に
より急性神経毒性症状の改善がみられたことです。 」

以 上



(訳注)
オキサリプラチン神経毒性スケール(Oxaliplatin-Specific Neurotoxicity Scale ; OSNS)
症状の持続時間と機能的影響に基づく神経毒性の臨床医による評価方法。グレード 0-3(グレード 0:症状なし、
グレード 1:短時間の感覚異常症状、グレード 2:感覚異常が化学療法クール間で持続、グレード 3:機能障害を
引き起こす感覚異常または異感覚異常)


トータル・ニューロパチー・スコア(Total Neuropathy Score Clinical ; TNSc)
感覚,運動,自律神経症状の程度、ピンプリック検査、音叉を用いた振動感性の検査、筋力検査、深部腱反射、振
動閾値検出検査、腓腹振幅検査、腓骨振幅検査の計 10 項目で評価。


Functional Assessment of Cancer Therapy/Gynaecologic Oncology Group-Neurotoxicity
(FACT/GOG-Ntx13)
Taxane 系化学療法薬の毒性評価にもちいられる。11 項目の総合尺度であり、0~4 点に配点し、最低 0 点、最高
44 点、得点が高いほど末梢神経症状が強いことを示す。


National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events(NCI-CTCAE)
neuropathy subscale
米国国立癌研究所の有害事象の一般用語基準(NCI-CTCAE)神経障害サブスケール臨床診療で最も一般的に使用
される神経毒性評価法。グレード 1-4(グレード 1:症状がない、グレード 2:中等度の症状、グレード 3:高度
の症状、グレード 4:生命を脅かす、緊急処置を要する)



(補足)
抗がん剤による末梢神経障害について
末梢神経障害とは、脳および脊髄から起始し、末梢へ延びる神経への損傷によって引き起こされる一連の症状で
す。これらの末梢へと延びる神経は末梢神経と呼ばれます。癌治療に使用される化学療法および他の薬物のいく
つかは、手足などに感覚を伝える末梢神経に損傷を与えることがあります。この損傷は、化学療法誘発末梢神経障
害(訳注:よく使われる用語は“抗がん剤による末梢神経障害”(CIPN)をもたらし、癌治療の化学療法でよく

みられる副作用です。多くの場合、患者は自身のつま先や指先に「ピンや針で刺されているようだ」と不快を訴え



-2-
ます。化学療法誘発性末梢神経障害は、やむを得えず化学療法の投薬量を減量したり、早期の治療中止につなが
り、癌の転帰に影響し、患者のクオリティ・オブ・ライフや生存に重大な影響を及ぼす可能性があります。4,000
人を超える患者を含むメタ分析によれば、化学療法誘発性末梢神経障害有病率は、化学療法後の最初の 1 ヶ月で
68%、3 ヶ月で 60%、6 ヶ月以上で 30%(
「発生率、罹患率、化学療法誘発性末梢ニューロパチー:系統的レビュ
、Seretny M ら)とされます。長期にわたる神経毒性は、乳癌および/または結腸癌の治療を受
ーおよびメタ分析」
けている患者で最も多いといわれており、増加している癌生存者にとって重要な問題です。


オキサリプラチン誘発性末梢神経障害について
オキサリプラチンは、結腸・直腸・胃・小腸などの消化器癌患者の生存を改善することが示されています。オキサ
リプラチンによる末梢神経障害には、急性発症および慢性の 2 つがあり、血液毒性以外の毒性としては、最も多
くみられるものです。急性の神経毒性はオキサリプラチン投薬中、または投薬後数時間以内に症状が認められる
ことが多いです。薬剤蓄積による慢性の神経障害は、治療薬量を制限したり、患者の日常生活の活動性を制限する
ほど重度になることがあります。これらの神経毒性の発症機序としては、オキサリプラチンにより引き起こされ
る中枢および背根神経節の神経炎症が関与しているといわれています。


MN-166(イブジラスト)について
MN-166 はファースト・イン・クラスの経口摂取可能な小分子化合物で、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)阻
害剤、ホスホジエステラーゼ-4 及び-10 の阻害剤で、炎症促進作用のあるサイトカイン、IL-1β、TNF-a、IL-6 な
どを阻害する働きを有しており、また、反炎症性のサイトカイン IL-10、神経栄養因子及びグリア細胞株由来神経
栄養因子を活性化する働きも認められています。グリア細胞の活性化を減衰し、ある種の神経症状を緩和するこ
とがわかっています。前臨床研究および臨床研究において抗神経炎症作用及び神経保護作用を有することが確認
されており、これらの作用が MN-166 の神経変性疾患(進行型多発性硬化症、ALS など)
、各種依存症、慢性神
経因性疼痛などに対する治療効果の根拠と考えられております。当社は、進行型多発性硬化症及び ALS、薬物依
存症をはじめとする多様な神経系疾患を適応とする新薬として開発しており、進行型多発性硬化症、ALS、薬物
依存などを含むさまざまな疾患治療をカバーする特許のポートフォリオを有しております。


メディシノバについて
メディシノバ(MediciNova, Inc.)は、有望な低分子化合物を様々な領域の疾患の治療薬として新規医薬品の開
発を行う日米両株式市場に上場する製薬企業です。現在当社は、コロナウイルス感染に惹起される ARDS、進行
型多発性硬化症、ALS、薬物依存(メタンフェタミン依存、オピオイド依存など)
、グリオブラストーマをはじ
めとする多様な疾患を適応とする MN-166(イブジラスト)及び NASH、肺線維症など線維症疾患を適応とする
MN-001(タイペルカスト)に経営資源を集中しております。ほかには MN-221(ベドラドリン)及び MN-029
(デニブリン)も当社のパイプラインの一部です。
当社詳細につきましては https://medicinova.jp/をご覧下さい。メディシノバの所在地はアメリカ合衆国カリフォ
ルニア州ラ・ホイヤ、スイート 300、エグゼクティブ・スクエア 4275(電話 1-858-373-1500)です。



注意事項
このプレスリリースには、1995 年米国民事証券訴訟改革法(The Private Securities Litigation Reform Act of
1995)に規定される意味での「将来の見通しに関する記述」が含まれている可能性があります。これらの記述に
は、MN-166、MN-001、MN-221 及び MN-029 の治療法の将来における開発や効果に関する記述などが含まれま
す。これらの「将来の見通しに関する記述」には、そこに記述され、示されたものとは大きく違う結果または事象
に導く多数のリスクまたは不確定要素が含まれます。かかる要素としては、MN-166、MN-001、MN-221、また
は MN-029 を開発するための提携先または助成金を得る可能性、当社の事業または臨床開発を行うために十分な
資金を調達する可能性、将来の臨床治験のタイミング、費用、計画など、臨床治験、製品開発および商品化に付随
するリスクや不確定要素、FDA に対して書類を提出するタイミング、臨床開発及び商品化のリスク、現段階の臨
床治験の結果が必ずしもその後の製品開発の行方を確定するものではない可能性、当局の承認取得の遅延または
失敗の可能性、臨床治験の資金を第三者機関に頼ることによるリスク、商品候補に対する知的財産権に関するリ
スク及びかかる権利の防御・執行能力に関するリスク、製品候補の臨床治験または製造を依頼している第三者機
関が当社の期待通りに履行できない可能性、さらに臨床治験の開始、患者登録、完了または解析、臨床治験計画の
妥当性または実施に関連する重大な問題、規制当局への書類提出のタイミング、第三者機関との提携またはタイ
ムリーな資金調達の可否などに起因する遅延及び費用増大に加え、当社が米国証券取引委員会に提出した 2019 年



-3-
12 月期の Form10K 及びその後の 10Q、8K など届出書に記載されているものも含め、しかしそれに限定されな
いその他のリスクや不確定要素があります。したがって、
「将来の見通しに関する記述」はその時点における当社
の状況を述べているにとどまり、実際の結果または成り行きは、必ずしも予想通りにはならない可能性があるこ
とにご留意下さい。また当社には、この記述に関して、情報の修正または更新を行う義務はありません。




-4-

15592