アサシス社が欧米にて実施したARDSに対する治験の二次解析結果のお知らせ

2019 年6月3日
各 位
会 社 名 株 式 会 社 ヘ リ オ ス
代 表 者 名 代 表 執 行 役 社 長 CEO 鍵 本 忠 尚
(コード番号:4593 東証マザーズ)


アサシス社が欧米にて実施した急性呼吸窮迫症候群に対する治験(MUST-ARDS 試験)
二次解析結果のお知らせ

当社は現在、米国 Athersys, Inc(以下、アサシス社と言います。)の創製した幹細胞製品 HLCM051
(MultiStem®)※1 を用いて、日本国内において急性呼吸窮迫症候群(ARDS)※2 と脳梗塞を対象疾患とし
た治験をそれぞれ実施しております。
一方、欧米においては、アサシス社が同製品を用いた ARDS 患者に対する第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(治験名:
MUST-ARDS 試験)を完了し、2019 年1月にはその速報にて、ポジティブな結果が得られた事を発表し
ております。また、その後、2019 年5月に開催されました American Thoracic Society International Conference
(ATS、米国胸部学会)での MUST-ARDS 試験の治験責任医師である Dr. Geoff Bellingan による発表では、
MultiStem 投与群及び非投与群における炎症性サイトカインの反応の差などが示され、MultiStem の一貫
した免疫調整という薬理作用に関する理解が深まりました。


【MUST-ARDS 試験】プラセボ対照二重盲検試験結果(2019 年1月公表済)
MultiStem 投与群 プラセボ投与群
死亡率 25% 40%
VFD(投与後 28 日間のうち人工呼吸器
12.9 9.2
を装着しなかった日数)
投与後 28 日間のうち、ICU 10.3 8.1


上記のうち重症患者の解析結果(同上)
MultiStem 投与群 プラセボ投与群
死亡率 25% 50%
VFD(投与後 28 日間のうち人工呼吸器
14.6 8.0
を装着しなかった日数)
投与後 28 日間のうち、ICU 11.4 5.9


当社が日本国内において実施している ONE-BRIDGE 試験※3では、肺炎を原因疾患とする ARDS 患者
を被験者とし、投与後 28 日間のうち人工呼吸器を装着しなかった日数(Ventilator Free days、以下 VFD と
言います。
)を主要評価項目としております。
そこでこの度、アサシス社の実施した MUST-ARDS 試験結果を用いて、ONE-BRIDGE 試験の被験者に
できるだけ近い被験者群に関する追加解析を行ったところ、以下のように、死亡率、VFD ともに MultiStem
投与群とプラセボ群との差が拡大する結果となりました。



重症かつ肺炎起因性の ARDS 患者の解析結果(新)
MultiStem 投与群 プラセボ投与群
死亡率 20% 50%
VFD(投与後 28 日間のうち人工呼吸器
14.8 7.5
を装着しなかった日数)
投与後 28 日間のうち、 (集中治療室)
ICU
12.0 5.0
にいる必要がなかった日数


今回の二次解析の結果に関して、当社代表執行役社長 CEO 鍵本忠尚は以下のように述べています。
「初期の解析から、当社が現在行っている ONE-BRIDGE 試験の主要評価項目である VFD、そして(主要
評価項目ではありませんが)死亡率のいずれに関しても、MultiStem 投与群で明らかな改善傾向が見られ
ており、重症例でその差が更に開くという事が公表されておりました。加えて今回の二次解析により、当
社が治験組込対象としている肺炎に起因する ARDS の患者さんでは、更にその改善傾向の差が開くとい
う事が分かりました。この解析結果は日本国内での治験の推進によりよい影響を与え、サポートするもの
と期待しております。ARDS は重症例では半数近くの患者さんがあっという間に命を落としてしまう可
能性のある疾患にもかかわらず、いまだ有効な治療法がありません。『生きる』を増やす、爆発的に」と

いう当社のミッションの実現の為にも、一日も早くこの治療法を多くの患者さんに届けられる様、更に一
段気持ちを引き締め経営にあたりたいと思います。



以上


※1 HLCM051
HLCM051 は、 当社は 2016 年1月に、
日本国内における体性幹細胞再生医薬品の開発パイプラインです。
米国のバイオベンチャー企業 Athersys, Inc.と、同社の開発する幹細胞製品 MultiStem®を用いた脳梗塞に
対する再生医療等製品の国内での開発・販売に関する独占的なライセンス契約を締結し、本パイプライ
ンを導入いたしました。さらに 2018 年6月に同社との提携を拡大したことにより、日本における急性
呼吸窮迫症候群に対する開発・販売ライセンスを取得し、開発を開始いたしました。


※2 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
ARDS は、単一の疾患ではなく、基礎疾患や外傷等によって好中球等の免疫系が過剰に誘発され、炎症を
起こすことにより肺が傷害を受け肺水腫となり、その結果、重度の呼吸不全となる症状の総称です。ARDS
診療ガイドラインによると、死亡率は 30~58%と予後が非常に悪い病気です。ARDS に対する治療とし
て、集中治療室で人工呼吸器を用いた呼吸管理を中心とする全身管理が行われます。ただ、人工呼吸器の
使用が長期化すると、患者の予後が悪くなることが知られています。そのため、ARDS はアンメットメデ
ィカルニーズが非常に高く、新たな治療の選択肢が望まれている疾患と言えます。


※3 ONE-BRIDGE 試験
ONE-BRIDGE 試験は、肺炎を原因疾患とする ARDS 患者に対して HLCM051 の有効性及び安全性を検討する
ものであり、非盲検下で、標準治療を対照として実施しております。主要評価項目は、投与後 28 日間のうち



人工呼吸器を装着しなかった日数、組入症例数は 30 例(HLCM051:20 例、標準治療:10 例)
、2019 年4月よ
り被験者組み入れを開始しております。
以上


本件に関するお問合せ先
株式会社ヘリオス コーポレートコミュニケーション室
ir@healios.jp





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