抗ウイルス薬ブリンシドフォビルによるアデノウイルスに関する国立感染症研究所との共同研究の成果発表について

2022年2月24日
各位

会 社 名 シ ン バ イ オ 製 薬 株 式 会 社
代 表 者 名 代表取締役社長兼 CEO 吉 田 文 紀
(コード番号:4582)
問合せ先 IR 室(TEL.03-5472-1125)


抗ウイルス薬ブリンシドフォビルによるアデノウイルスに関する
国立感染症研究所との共同研究の成果発表について

シンバイオ製薬株式会社(本社:東京都、以下「シンバイオ」 )は、この度、抗ウイル
ス薬ブリンシドフォビル(brincidofovir、以下「BCV」
)について、国立感染症研究所と
の間で継続中の共同研究の成果を論文発表したことをお知らせします。

国立感染症研究所・感染症危機管理研究センター第四室(病原診断室:藤本嗣人室長)、
花岡希先生とシンバイオは、本共同研究を2020年4月に開始し、これまで応答性が不明で
あった血清型を含む17種類の異なる血清型アデノウイルスに関してBCVの抗ウイルス活性
を検証しました。その結果、特に国内において流行性角結膜炎あるいは造血幹細胞移植後
の出血性膀胱炎原因となるD54型あるいはB11型等に対してもBCVは優れた抗ウイルス活
性を示すことが新たに判明し、これらの知見をもとにまとめた論文がこの度Microbiology
Spectrum誌での公表に至りました。詳細は注記(公表論文の概要)をご参照ください。

花岡希先生の研究グループは、これまで国内で発生する多様な感染症の原因となるウイ
ルス・微生物の単離・同定・解析の拠点として研究活動を継続してこられ、特にアデノウ
イルスに関しては世界有数の研究実績を残してこられました。本共同研究ではBCVが有す
る治療薬としての可能性を追求すべく各種アデノウイルスに対する応答性を検証すること
ができました。

吉田文紀社長兼CEOは、「アデノウイルスに対する抗ウイルス薬はこれまで承認された
ものが無く、高い医療ニーズがあります。本共同研究の成果は、現在開発中の造血幹細胞
移植及び臓器移植後の小児のアデノウイルス感染症のみならず、眼科をはじめとする関連
する疾患に対してのBCVのポテンシャルを示唆しております。」と語っています。




以 上





【抗ウイルス薬ブリンシドフォビル(brincidofovir:BCV)概要】
BCVはシドフォビル(cidofovir:CDV、欧米では既承認・販売の抗ウイルス薬、本邦は未
承認)の脂質結合体として新しい作用機序を持ち、CDVと比べて高活性の抗ウイルス効果
の他、優れた安全性を併せ持つことから、広範囲のDNAウイルス感染症(CMV:サイト
メガロウイルス、AdV:アデノウイルス、EBV:エプスタイン・バール・ウイルス、
HV:ヘルペスウイルス、BKV:BKウイルス、パピローマウイルス及び天然痘ウイルス等
ds DNAウイルス)に対して有効な治療方法となり得るものと期待されている。BCV分子
の画期性は、CDVに特定の長さの脂肪鎖を結合することにより細胞内への取り込み効率を
飛躍的に向上させ、細胞内で直接作用する分子に変換され高い抗ウイルス効果を発揮す
る。更には、CDVの深刻な副作用である腎毒性を回避できるため使い易く、今までにない
新規の高活性の抗マルチウイルス薬である。
シンバイオはChimerix Inc.(本社:米国ノースカロライナ州、「キメリックス社」)と
の間で、BCVに関してのグローバルライセンスの権利取得を目的としてライセンス契約を
締結し、本契約の締結により、キメリックス社は天然痘疾患を除いたすべての疾患を対象
として、BCVの開発・販売・製造を含めた独占的権利を、世界全域を対象として、シンバ
イオに対して供与した。

【公表論文の概要:Sensitivity of Human Mastadenovirus, the Causal Agent of
Pharyngoconjunctival Fever, Epidemic Keratoconjunctivitis, and Hemorrhagic Cystitis
in Immunocompromised Individuals, to Brincidofovir】
17種類の異なる血清型アデノウイルスを培養細胞に感染させ、それぞれのウイルスゲノム
DNAの複製を定量PCRにより測定する試験系において、異なる濃度のBCV添加によりそ
の複製が抑制される応答からhalf-maximal inhibitory concentration (IC50) を求めた。そ
の結果、国内において流行性角結膜炎の原因となるD54型が最も感受性が高かった
(IC50=1 nM)のをはじめ、他の型に対しても優れた抗ウイルス活性(IC50=2-7 nM)を
示した。比較対照として検討したcidofovirに比べ平均で2百倍強い活性を示した。
Microbiology Spectrum誌は、米国微生物学会(American Society for Microbiology)が
発行する論文審査のある科学専門誌(peer-reviewed scientific journal)の一つで、該公
表論文は下記URLからアクセスできる。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35171015/

【当社会社概要】
シンバイオ製薬株式会社は、米国アムジェン社元副社長で、旧アムジェン株式会社の実
質的な創業者である吉田文紀が2005年3月に設立した医薬品企業です。経営理念は「共
創・共生」(共に創り、共に生きる)で表され、患者さんを中心として医師、科学者、行
政、資本提供者を「共創・共生」の経営理念で結び、満たされない医療ニーズに応えてゆ
くことにより、社会的責任及び経営責任を果たすことを事業目的としています。なお、
2016年5月に米国完全子会社 SymBio Pharma USA, Inc.(本社:米国ノースカロライナ
州 ダーラム、社長:吉田文紀)を設立しました。





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