ベンダムスチンのびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対する奏効機序に関する京都大学との共同研究契約の締結について

2021年8月2日
各位

会 社 名 シ ン バ イ オ 製 薬 株 式 会 社
代 表 者 名 代表取締役社長兼 CEO 吉田 文紀
(コード番号:4582)
問合せ先 管理本部 IR 室(TEL.03-5472-1125)


ベンダムスチンのびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対する奏効機序に関する
京都大学との共同研究契約の締結について

シンバイオ製薬株式会社(本社:東京都、以下「シンバイオ」)は、国立大学法人京都
大学との間で、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する抗がん剤として開発
中のBendamustine(以下、「ベンダムスチン」)の奏効機序に関する共同研究契約(以
下「本契約」)を締結したことをお知らせいたします。
シンバイオは本契約に基づき、京都大学医学研究科内科学講座血液・腫瘍内科学(教
授:高折晃史)、錦織桃子講師(リンパ腫研究室)との共同研究を行い、活性化B細胞型
(ABC)-DLBCLを含むB細胞リンパ腫に対するベンダムスチンの奏効機序に関する解析を
行います。
従来よりベンダムスチンは他のアルキル化剤とは交叉耐性を示さず、臨床的にも独自の
有効性が認められることから、リンパ腫に対する治療効果には他のアルキル化剤とは異な
る作用も関与する可能性が示唆されていました。一方、より難治性である ABC-DLBCL
では、NF-κBの恒常的活性化とそれを制御する直鎖状ユビキチン鎖生成酵素複合体
(LUBAC)の関与が示唆されています。本共同研究では、LUBACに関連する作用の解析
を行うことなどにより、ベンダムスチン自身および他のB細胞リンパ腫治療薬との併用に
よる奏効機序を解析します。
錦織桃子講師の研究グループは、これまで様々なリンパ腫あるいはリンパ球増殖症に関
する研究において卓越した研究業績を築いてこられ、最近では、LUBAC活性化がABC-
DLBCL様のリンパ腫発症を促進し他の遺伝子変異蓄積をも亢進させる機序を初めて解明
し、LUBACが新たな治療薬の開発の糸口になる可能性に取り組んでこられました。シン
バイオは、これまでに取得したDLBCLに対するベンダムスチンの奏効データに関する科
学的な理解を深めるべく、京都大学と共同してベンダムスチン自身および他のB細胞リン
パ腫治療薬との併用による奏効機序解析を進めてまいります。
吉田文紀社長兼CEOは、「トレアキシン®が第Ⅲ相試験において難治性のABC-DLBCL
に対しても優れた奏効率を示したことから、NF-κBの活性化とそれを制御するLUBACの
関与が示唆され、この度の京都大学との共同研究により、ベンダムスチンの作用機序の更
なる科学的解明ができれば新しい治療法の開発に役立てることが可能になります。」と語
っています。


以 上





【トレアキシン®(一般名:ベンダムスチン)について】
殺細胞性の抗腫瘍薬であり、1970年代からドイツで使用が開始され、現在50ヵ国以上で
低悪性度非ホジキンリンパ腫(低悪性度NHL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性
リンパ性白血病(CLL)などを適応症として使用されています。国内においては凍結乾燥
注射剤(FD製剤)で、2010年10月に再発又は難治性低悪性度NHL及びMCLを適応症とし
て医薬品製造販売承認を取得した後、2016年8月にCLLに対する効能追加の承認を取得
し、2016年12月に未治療の低悪性度NHL及びMCLに対する効能追加の承認を取得してい
ます。また、2020年9月に「トレアキシン®点滴静注液100mg/4mL」(RTD製剤、Ready-
To-Dilute:溶解不要で希釈するのみの製剤)について、上記のすべての効能において医薬
品製造販売承認を取得しました。さらに、FD製剤及びRTD製剤で、それぞれ2021年3月及
び2021年4月に再発又は難治性DLBCLに対する効能追加の承認を取得しています。
【びまん性大細胞型B細胞リンパ腫についてについて】
びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫(DLBCL:diffuse large B-cell lymphoma)は、
大型で悪性のB細胞性リンパ球がリンパ節や様々な臓器で増殖して悪性腫瘍を形成する疾
患です。悪性リンパ腫の中では最も頻度が高く(30~40%)、発症年齢のピークは 60~
70歳で、患者は高齢者が多く人口の高齢化と共に増加傾向にあると推計されています。化
学療法による治療効果は限られており、化学療法に抵抗性を示す患者あるいは再発性の患
者の予後は極めて悪く、安全で有効な新しい治療薬の登場が期待されています。遺伝子発
現パターンから胚中心型(GCB)-DLBCLと活性化B細胞型(ABC)-DLBCLとに大別される
が、従来ABC-DLBCLの方が難治性であり、ABC-DLBCLではしばしばNF-κBの恒常的
活性化がそうした難治性病態に関与することが知られています。
抗悪性腫瘍剤トレアキシン®点滴静注液剤「RTD製剤」(一般名:ベンダムスチン塩酸
塩)について、リツキシマブ(遺伝子組換え)とポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換
え)との併用療法(Pola-BR療法)における再発又は難治性DLBCLに対する効能・効果及
び用法・ 用量追加(ベンダムスチン塩酸塩として90mg/m2)に係る医薬品製造販売承認
事項一部変更の承認を取得いたしました(2021年4月28日公表)。
【直鎖状ユビキチン鎖生成酵素(LUBAC)とは】LUBAC(linear ubiquitin chain
assembly complex)は,細胞内の直鎖状のユビキチン鎖を生成する唯一の酵素群として知
られ、NF-κBや細胞死制御といった細胞生存や恒常性維持に重要なシグナル伝達系に関
与しています。既承認薬のスクリーニングによりベンダムスチンがLUBACを阻害しうる
ことが報告されました(Cell Chemical Biology 2018, 25:1117)。
【当社会社概要】
シンバイオ製薬株式会社は、米国アムジェン社元副社長で、旧アムジェン株式会社の実
質的な創業者である吉田文紀が2005年3月に設立した医薬品企業です。経営理念は「共
創・共生」(共に創り、共に生きる)で表され、患者さんを中心として医師、科学者、行
政、資本提供者を「共創・共生」の経営理念で結び、満たされない医療ニーズに応えてゆ
くことにより、社会的責任及び経営責任を果たすことを事業目的としています。なお、
2016年5月に米国完全子会社 SymBio Pharma USA, Inc.(本社:米国カリフォルニア州
メンローパーク、社長:吉田文紀)を設立しました。





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