17th Annual WORLDSymposium2021における発表内容のご報告

2021 年 2 月 16 日
各 位




会 社 名 J C R フ ァ ー マ 株 式 会 社
代表者名 代 表 取 締 役 会 長 兼 社 長 芦 田 信
(東証第 1 部 コード番号 4552)
問合せ先 上席執行役員経営企画本部担当 本 多 裕
(TEL 0797-32-1995)

17th Annual WORLDSymposiumTM 2021 における発表内容のご報告
- JR-141 のグローバル第 3 相臨床試験に向けた取り組みおよび
ライソゾーム病治療薬の研究開発の進捗を報告-

当 社 は 、 2021 年 2 月 8 日 か ら 12 日 ( EST ) に 開 催 さ れ た 17th Annual
WORLDSymposiumTM 2021 において、血液脳関門 (以下、 BBB) 通過技術 J-Brain Cargo®
を適用した開発中のライソゾーム病治療薬について、9 件のポスター発表を行いました。

今回、ムコ多糖症 II 型(MPS II 型、ハンター症候群)治療薬として開発中の JR-141[国
際一般名:pabinafusp alfa、BBB 通過型遺伝子組換えイズロン酸-2-スルファターゼ]に関
する複数の臨床試験結果を発表しました。 これらの結果において、 当社は、 脳脊髄液 (CSF)
中のバイオマーカーに対する効果とともに、JR-141 投与による中枢神経症状改善への期待
を示し、ハンター症候群患者に対する早期診断と治療の重要性を強調しました。
その他、下記の内容について発表をしました。
 JR-141 グローバル第 3 相臨床試験の概要
 ハンター症候群モデルマウスに対する JR-141 投与による中枢神経症状への作用
 JR-171(対象疾患:MPS I 型) グローバル第 1/2 相臨床試験の概要
 JR-162(対象疾患:ポンぺ病) JR-441
、 (対象疾患:MPS IIIA 型) JR-446
、 (MPS IIIB
型)に関する非臨床試験結果

当社の代表取締役会長兼社長 芦田 信は、次のように述べています。
「今回の結果は、当社の独自技術である J-Brain Cargo®を適用した BBB 通過酵素による
治療を行うことの意義を強く示唆するものであり、治療法の存在しないライソゾーム病に
おける中枢神経症状に対し不可欠な治療法になると考えています。我々は、日本・ブラジル
において JR-141 の製造販売承認の取得を目指す中で、また、米国や西欧諸国におけるグロ
ーバル臨床第 3 相試験の準備を進める中で、JR-141 が持つであろう効果をさらに明確にで
きることを楽しみにしています。 」

日本およびブラジルで実施した臨床試験において、JR-141 は中枢神経症状を代替するバ
イオマーカーである CSF 中のヘパラン硫酸(HS)濃度を著明に低下させました。また、血
中デルマタン硫酸(DS)濃度は、既存治療酵素製剤による治療を受けていなかった新規治
療症例では低下し、既存治療酵素製剤からの切り替え症例では維持されることが確認され
ました。さらに発達評価では、52 週間の治療期間中、45 名中 39 名の症例において発達年
齢の維持、改善が認められました。また、104 週間の追跡調査では、重症患者と軽症患者ど
ちらにおいても、発達評価における効果が確認されています。
当社はこれまでに得られた非臨床・臨床試験結果により、 日本およびブラジルにおいて既
に JR-141 の製造販売承認申請を行いました。



以下の WORLDSymposiumTM 2021 のプレゼンテーションでは、ハンター症候群患者に対
する JR-141 投与について、新たに得られた結果を報告しています。

【LB-50】A Comparison of Developmental Trajectories in Sibling Cases with Neuropathic
MPS-II Receiving Conventional and Novel Enzyme Replacement Therapies
発表者:Kazuyoshi Tomita, M.D. (Department of Pediatrics, Osaka City University
Graduate School of Medicine, Japan)
ハンター症候群として診断された兄弟例に対する酵素補充療法の症例報告。
兄は 2 歳でハンター症候群と診断され、弟は出生前にハンター症候群と診断された。
兄は診断後まもなく既存薬による酵素補充療法を開始した。弟は生後 1 ヵ月から 1 歳 11 か
月まで既存の酵素補充療法を受け、その後、JR-141 投与に切り替えた。
弟は、CSF 中の HS 値の著明な低下を示すとともに、神経認知面での発達が認められた。
これは、兄の臨床的経過と比較したときに注目に値する。現在 4 歳となる弟は、JR-141 投
与後 42 か月間正常な発育を示している。
上記より、JR-141 投与の有無により兄弟の発育の経過に明確な差異が認められたことは、
ハンター症候群における早期診断・早期治療の重要性を示すとともに、BBB 通過型の酵素
補充療法の有効性を期待させるものである。
Poster: https://ssl4.eir-parts.net/doc/4552/ir_material_for_fiscal_ym6/95193/00.pdf

【242】Therapy for Mucopolysaccharidosis Type II with an Intravenous Blood-Brain Barrier-
Crossing Enzyme (JR-141): Phase III Global Clinical Trial Design
発表者:Sairei So, Ph. D. (JCR)
JR-141 グローバル臨床第 3 相試験デザインに関する報告。
JR-141 の有効性と安全性を評価するため、ハンター症候群患者を対象に、既存の酵素補充
療法を対照群とした、無作為化、評価者盲検試験を実施予定。
本試験では、被験者を、中枢神経症状を有する患者(早期に症状が進展すると予測される重
症患者)と軽症者(症状の進展が緩やかな患者)の 2 つのコホートに分けて登録し、中枢神
経症状と全身症状に対する有効性を評価する。被験者は、JR-141 投与群と既存酵素補充療
法群に無作為に割り付けられ、53 週目の中間解析までは割り付けられた薬剤の投与を受け
る。JR-141 投与による有効性が十分に認められた場合には、54 週目以降、JR-141 投与群
への移行が可能となる。
当社は、2021 年第 2 四半期までに米国、イギリス、ブラジル、ドイツ、フランスにおいて
本試験を開始する予定。
Poster: https://ssl4.eir-parts.net/doc/4552/ir_material_for_fiscal_ym6/95192/00.pdf
【84】Exploration of the Efficacy of Pabinafusp-alfa (JR-141) on Neurocognitive Development
in Hunter Syndrome (MPS-II): 52-week Data from Clinical Trials in Japan and Brazil
発表者:Roberto Giugliani, M.D., Ph.D. (The Federal University of Rio Grande do Sul in
Porto Alegre, Brazil)
日本およびブラジルで実施した JR-141 臨床試験における神経発達評価結果の報告。
日本において JR-141 2.0mg/kg/週投与を 52 週間、ブラジルにおいて 1.0、2.0 または
4.0mg/kg/週投与を 25 週間行い、その後の延長試験において週 1 回の JR-141 投与を続け
ている合計 47 名のハンター症候群患者において、 発達評価の維持または改善が認められた。
いずれの試験においても、 発達スコアの維持や改善、 行動の前向きな変化が認められたこと
から、JR-141 が、ハンター症候群の全身症状に加えて中枢神経症状を改善する可能性が示
唆された。
Poster: https://ssl4.eir-parts.net/doc/4552/ir_material_for_fiscal_ym6/95191/00.pdf

【176】Drug Delivery across the Blood-Brain Barrier and Resultant Reduction of Heparan
Sulfate in the Cerebrospinal Fluid in the Patients with Hunter Syndrome (MPS-II): An
Integrated Analysis of 25-Week Japanese and Brazilian Data on Pabinafusp Alfa (JR-141)
発表者:Torayuki Okuyama, M.D., Ph. D., (The National Center for Child Health and
Development in Tokyo, Japan)
日本とブラジルにおける JR-141 25 週間投与の臨床試験結果の報告。
JR-141 の投与開始後、CSF 中の HS 濃度は著明な減少を認めた。中枢神経症状に対する効
果は、 中枢神経系における基質濃度の減少に起因すると考えられており、 今回の結果により、
CSF 中の HS 濃度が中枢神経症状における有効な代替エンドポイントであること、また、
ハンター症候群における治療効果と予後を予測する有用な臨床的指標となりうることが示
された。
Poster: https://ssl4.eir-parts.net/doc/4552/ir_material_for_fiscal_ym6/95190/00.pdf

【163】Reduction of Heparan Sulfate in the Brain by Pabinafusp Alfa Results in Prevention
of Neurodegeneration and Neurocognitive Impairment in a Mouse Model of
Mucopolysaccharidosis II
発表者:Hideto Morimoto (JCR)
ハンター症候群モデルマウスに JR-141 を投与した際の結果。
JR-141 の長期投与によって、ハンター症候群モデルマウスの脳内 HS 沈着が減少し、これ
に伴って神経変性と中枢神経症状の発症が阻止された。また、CSF 中 HS 濃度は、脳中 HS
濃度と高度に相関したことから、中枢神経症状に対するバイオマーカーとしての有用性が
検証された。
Poster: https://ssl4.eir-parts.net/doc/4552/ir_material_for_fiscal_ym6/95189/00.pdf



当社では、JR-141 以外のライソゾーム病に対する開発品目についても研究開発の進捗・結
果について発表しました。

【99】Phase I/II Clinical Trial Design for a Novel Therapy for Mucopolysaccharidosis Type
I with an Intravenously Administered Blood-Brain Barrier-Crossing Enzyme (JR-171)
発表者:Ryo Higurashi (JCR USA)
JR-171 グローバル臨床第 1/2 相試験の試験デザインに関する概要の発表。
MPS I 型(ハーラー、ハーラー・シャイエ、シャイエ症候群)患者を対象とした JR-171 グ
ローバル臨床第 1/2 相試験は、非盲検他施設共同のグローバル臨床試験として実施する。評
価項目として、安全性、血漿中薬物動態、有効性を設定し、既に被験者への投与は開始して
いる。
Poster: https://ssl4.eir-parts.net/doc/4552/ir_material_for_fiscal_ym6/95188/00.pdf



【94】 Usefulness of Hexose Tetrasaccharide as a Biomarker for Monitoring Glycogen
Accumulation in Peripheral Tissues and Brain in Pompe Disease
発表者:Hidehiko Hashimoto (JCR)
ポンぺ病モデルマウスへの JR-162 投与結果の報告。
JR-162 の投与によって、ポンぺ病モデルマウスの末梢組織と脳に蓄積したグリコーゲンが
減少した。また、尿中及び CSF 中の Hex4 濃度も減少し、それぞれ末梢組織中及び脳中の
グリコーゲン濃度と相関した。これらの結果は、JR-162 のポンペ病に対する治療効果を示
唆するとともに、Hex4 がポンぺ病患者におけるグリコーゲン蓄積を表す有用なバイオマー
カーであることを示唆している。
Poster: https://ssl4.eir-parts.net/doc/4552/ir_material_for_fiscal_ym6/95187/00.pdf

【252】Non-Clinical Evaluation of a Blood-Brain Barrier-Penetrable N-Sulfoglucosamine
Sulfohydrolase in a Mouse Model of Mucopolysaccharidosis IIIA
発表者:Satowa Tanaka (JCR)
MPS IIIA 型(サンフィリッポ症候群 IIIA 型)モデルマウスへの JR-441 投与結果の報告。
JR-441 は、マウス及びサルへ静脈投与すると、BBB を通過し脳に到達することが示され
た。また、MPS IIIA 型モデルマウスへの反復静脈内投与によって、末梢組織と中枢神経系
に蓄積した基質が減少した。このことから、JR-441 の MPS IIIA 型に対する治療効果が期
待される。
Poster: https://ssl4.eir-parts.net/doc/4552/ir_material_for_fiscal_ym6/95186/00.pdf

【103】Non-Clinical Evaluation of a Blood-Brain Barrier-Penetrable α-N-Sulfoglucosamine
Sulfohydrolase in a Mouse Model of Mucopolysaccharidosis IIIB
発表者:Atsushi Imakiire of JCR
MPS IIIB 型(サンフィリッポ症候群 IIIB 型)モデルマウスへの JR-446 投与結果の報告。
JR-446 は、マウス及びサルへ静脈投与すると、BBB を通過し脳に到達することが示され
た。また、MPS IIIB 型モデルマウスへの反復静脈内投与によって、末梢組織と中枢神経系
に蓄積した基質が減少した。このことから、JR-446 の MPS IIIB 型に対する治療効果が期
待される。
Poster: https://ssl4.eir-parts.net/doc/4552/ir_material_for_fiscal_ym6/95185/00.pdf



WORLDSymposiumTM における概要情報は引き続き下記に掲載しています。
https://congress.jcrpharm.co.jp/.(英語サイト)


以 上

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