トウビシ果皮ポリフェノールとルテインによる白内障予防の可能性を示唆

報道関係者各位
2019 年 11 月 26 日
参天製薬株式会社
学校法人 東海大学


トウビシ果皮ポリフェノールとルテインによる白内障予防の可能性を示唆



参天製薬株式会社(本社:大阪市、以下参天製薬)と東海大学農学部バイオサイエンス学科(所在地:
熊本県熊本市)の永井竜児教授らのグループは、ヒシエキス(トウビシ果皮ポリフェノール)とルテイン
の混合摂取が、糖尿病モデルラットにおける白内障(水晶体混濁)抑制効果を示すことを明らかにしまし
た。

白内障は、水晶体の一部または全部が何らかの原因で混濁する加齢性の疾患です。早い人は 40 歳代か
ら混濁が始まり、80 歳代では大部分の人が白内障を発症しますが、糖尿病の進展に伴って早期に発症す
る場合があることが知られています。 その発症機構は解明されていないものの、水晶体混濁の一因として
*1 *2
紫外線による酸化 、糖化 等が報告されています。

参天製薬と東海大学農学部バイオサイエンス学科による共同研究は、 糖化と酸化に着目し、 糖尿病モデ
ルラットに対して、in vitro*3 において、抗糖化作用が確認されているヒシエキスと、抗酸化作用を持つ
ルテインを混合投与することにより、 白内障が抑制されたことを初めて明らかにしました。 本研究から、
ヒシエキスとルテインの摂取が白内障の発症・進行遅延の一助となることが期待されます。
本研究は、2019 年 11 月 12 日の Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition*4 に掲載されまし
た。

目のスペシャリティ・カンパニーである参天製薬と、老化や生活習慣病の予防に貢献する研究を目指す
永井教授らは、この研究が白内障患者さんへの貢献につながることを期待しています。

【研究概要】
加齢に伴い水晶体に AGEs (最終糖化産物:Advanced Glycation End-products)が蓄積することが報告
されている。糖化は多様な反応経路があり、酸化により糖化が促進される経路もある。
本研究では、抗糖化作用が報告されているヒシエキスと抗酸化作用を有するルテインの混合摂取によ
る糖尿病性白内障の予防効果と AGEs の生成抑制効果を糖尿病モデルラットで検討した。
ストレプトゾトシン(STZ) により糖尿病を誘発したラットに、ヒシエキス (2 mg/kg/day) 、ルテイン
(0.4 mg/kg/day)、もしくはそれら混合物を 69 日間摂取させた。試験終了後、水晶体の混濁度評価、液体
クロマトグラフィー‐タンデム型質量分析装置 (LC-MS/MS) を用いて血清中 AGEs の定量を行った。
水晶体の混濁度評価において、糖尿病群では顕著に白内障の発症が認められたが、ヒシエキス、ルテイ
ン混合摂取群では、有意に水晶体の混濁が抑制された(図 1) 。また、血清中 AGEs の定量において、ルテ
イン摂取群では、酸化依存性 AGEs である N - (carboxymethyl)lysine (CML) およびケトン体由来 AGEs

である N-(carboxyethyl)lysine (CEL) は有意に低値を示した。
ヒシエキス (100mg/kg/day) 、ルテイン(10 mg/kg/day)の摂取量を増やした短期間(29 日間摂取)の
試験では、ヒシエキス摂取群及び混合摂取群で血清中 AGEs の生成抑制効果が認められた。
以上の結果より、糖尿病モデルラットにおいて、ヒシエキスおよびルテインは血清中 AGEsの生成を抑
制する可能性が示唆され、水晶体の混濁を抑制する傾向が認められた。また、ヒシエキスおよびルテイン
の併用により有意な糖尿病性白内障の発症抑制が認められた。
*1
酸化:たんぱく質などが酸素と反応し、変性すること。
*2
糖化:たんぱく質が還元糖と非酵素的に反応し変性すること。 糖化が進行すると終末糖化産物(AGEs:
Advanced Glycation End-products)が生じる。
*3
in vitro:試験管などの人工的に構成された条件下
*4
詳細については左記 URL 参照。https://doi.org/10.3164/jcbn.19-34




図 1.水晶体混濁度のグレーディング評価

図 1.水晶体混濁度のグレーディング評価
(A)4 段階のグレーディング。 (B)各群のグレーティング評価。
糖尿病群に対して、ヒシエキス 2 mg/kg/Day+ルテイン 0.4 mg/kg/Day 混合摂取群は有意に水晶体混濁
度が低値であった。 (★P<0.05、★★P<0.01 VS 糖尿病群 Steel-Dwass test)

健常群:Normal (n=8)、糖尿病群:DM (n=8)、ヒシエキス 2 mg/kg/Day 摂取群:DM-TBE2 (n=6)、ルテイン
0.4 mg/kg/Day 摂取群:DM-Lut0.4 (n=8) 、ヒシエキス 2 mg/kg/Day+ルテイン 0.4 mg/kg/Day 混合摂取
群 :DM-TBE2+Lut0.4 (n=6)

【論文題目】
Title : Trapa bispinosa Roxb and lutein ameliorate cataract in type 1 diabetic rats
Authors : Sho Kinoshita, Hikari Sugawa, Tomoaki Nanri, Rei-ichi Ohno, Jun-ichi Shirakawa,
Hikari Sato, Nana Katsuta, Shiori Sakake, and Ryoji Nagai
掲載誌名:Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition



-本件に関するお問合せ先-
参天製薬株式会社 コーポレート・コミュニケーショングループ TEL:06-4802-9360
東海大学 農学部バイオサイエンス学科 永井 竜児 TEL:096-382-1141

6168