潰瘍性大腸炎の体外診断用医薬品「カルプロテクチン モチダ」保険適用のお知らせ

2017 年 6 月 1 日
各位


三洋化成工業株式会社
持田製薬株式会社


潰瘍性大腸炎の体外診断用医薬品「カルプロテクチン モチダ」
保険適用のお知らせ
潰瘍性大腸炎用として日本初、患者の身体的・経済的負担を軽減


三洋化成工業株式会社(本社:京都市東山区、社長:安藤 孝夫、以下「三洋化成」)
と持田製薬株式会社(本社:東京都新宿区、社長:持田 直幸、以下「持田製薬」)は、
三洋化成が 2016 年 10 月 28 日に厚生労働省より医薬品製造販売承認を取得していた潰瘍性
大腸炎の体外診断用医薬品「カルプロテクチン モチダ」が、6 月 1 日付けで保険適用された
ことを報告申し上げます。
「カルプロテクチン モチダ」は、三洋化成および持田製薬が、BÜHLMANN Laboratories AG
(本社:スイス、Schönenbuch、CEO:Dr.Thomas Hafen)が開発し販売している診断薬に
関し、日本国内での独占製造・販売契約を交わして製造販売する体外診断用医薬品です。
潰瘍性大腸炎の体外診断用医薬品として、三洋化成が日本で初めての認可を取得しました。
今回の保険適用を受け、持田製薬を通じて販売いたします。現在、発売に向けて準備中です。
なお、「カルプロテクチン モチダ」は、三洋化成が 4 月 1 日付けで新たに設置した
バイオ・メディカル事業本部として初の製品となります。三洋化成は、今後も様々な
製品化、新技術の創生に努めてまいります。
持田製薬は、潰瘍性大腸炎治療剤「リアルダ」を上市しております。体外診断用医薬品
「カルプロテクチン モチダ」でも潰瘍性大腸炎の医療に貢献してまいります。


【潰瘍性大腸炎について】
潰瘍性大腸炎は炎症性腸疾患に含まれ、大腸の粘膜に慢性の炎症や潰瘍が発生する原因
不明の疾患であり、頻回な下痢と腹痛を伴います。潰瘍性大腸炎は国の難病に指定されており、
根本的治療法は確立されていません。そのため、患者は内科的治療で症状を緩和しつつ
長期間の治療、検査を続けなければならず、外科的治療が必要な場合もあります。
現在の日本の医療現場では、潰瘍性大腸炎の診断や経過観察においては、都度の内視鏡
検査が必須となっています。重症度の判断は、問診や内視鏡を用いてのスコアで判定され
ますが、内視鏡検査には半日程度の時間を要し、また、体内にスコープを挿入することから
患者の身体的、経済的負担も大きいものとなっています。このような状況で、患者の負担が
できるだけ軽く、客観的な数値で結果の得られる潰瘍性大腸炎の検査方法が要望されて
いました。




【「カルプロテクチン モチダ」について】
「カルプロテクチン モチダ」は、患者の便を検体とし、便中に含まれるカルプロテクチン
濃度を測定することで腸管内の炎症の程度を数値で表すことができる試薬キットです(写真 1)

病態把握時における内視鏡検査の回数を減らし、患者の身体的、経済的負担を軽減することが
できるものと考えています。また、測定結果を便中のカルプロテクチン濃度という客観的な
数値として得られるため、治療効果や病状の確認が容易になるものと考えています。




(写真 1)「カルプロテクチン モチダ」


カルプロテクチンとは:
カルプロテクチンは、主に好中球や単球から分泌されるカルシウム結合タンパク質であり、
腸管内の炎症や細菌感染に対して防御的に機能する物質と考えられています。比較的安定で
あり、便中のカルプロテクチン濃度と腸管内の炎症の程度とが相関することから、炎症性
腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)の診断マーカーとして主に欧州で使用されています。


測定原理:
モノクローナル抗体を用いたサンドイッチ酵素免疫測定法を採用しています(図 1)。
採取した便からカルプロテクチンを抽出し、随時試薬を加え各種反応を進めます。測定に
必要な抽出液や各種試薬はすべてキットに含まれています。最終的には、一般的な分光光度計で
吸光度を測定しカルプロテクチン濃度を算出するため、専用の装置は必要ありません。





(図 1)サンドイッチ酵素免疫測定法




【保険適用の概要】
区分 :E3(新項目)
測定項目 :カルプロテクチン(糞便)
保険適用日 :2017 年 6 月 1 日
保険点数 :276 点


【製品の概要】
販売名 :カルプロテクチン モチダ
一般的名称 :カルプロテクチンキット
測定原理 :サンドイッチ酵素免疫測定法
使用目的 :糞便中のカルプロテクチンの測定(潰瘍性大腸炎の病態把握の補助)
製造販売元 :三洋化成工業株式会社
販売 :持田製薬株式会社




以上




<本件に関するお問い合わせ先>
三洋化成工業株式会社 広報部(TEL. 075-541-4312)
持田製薬株式会社 経営企画部広報室(TEL. 03-3358-7211)





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