マニラ首都圏地域の高架鉄道MRT3号線に、光ファイバー回線や5G携帯電話の基地局を設置するため、鉄道会社と契約を締結

株式会社アイ・ピー・エス
NEWS RELEASE 2019 年 6月 19 日
各位

マニラ首都圏地域の高架鉄道 MRT3号線に、光ファイバー回線や5G
携帯電話の基地局を設置するため、鉄道会社と契約を締結
InfiniVAN,Inc.が、マカティ・オルティガス等の都心を結ぶ、最も乗降客数の多い鉄
道路線に、光ファイバーや携帯電話の基地局など多様な通信設備を設置。マニラでの
通信インフラ整備への投資を進め、法人向けブロードバンドサービスだけでなく、事
業者向けのインフラリース事業もコア事業となるよう推進しています。



1. 合意内容について

2019 年6月 18 日、当社子会社 InfiniVAN 社は、通信回線設備を設置する目的で、高架鉄道 MRT3
号線(注 1)の商業上の開発権が認められている MRT DEVELOPMENT CORPORATION (注2)との
間で、高架鉄道設備上に以下の設備を設置することを内容とする、賃貸借契約を締結いたしました。

1)光ファイバーを最大 8 通信事業者分収容できるマイクロダクトを、鉄道設備内に設置
2)各駅・駅間にマイクロセル(省力型携帯電話基地局)を設置
3)鉄道利用者向けフリーWi-Fi サービスを提供するためのアンテナ等を各駅・駅間に設置


当社では、既に LRT-2 号線に通信回線などの通信設備を敷設し、供用しておりますが、今回さらに 3
号線の敷地使用権を取得したものであります。




写真1
MRT-3 号線 鉄道の様子。
図1 MRT-3 号線 路線図



今回施設の使用権を取得した MRT3号線は、幹線道路 EDSA 沿いに 13 駅あり Pasay 市から Quezon
市を結びます。途中マカティ(国内外の主要企業が拠点を置く、フィリピン最大の都会)やオルティガ
ス(アジア開発銀行をはじめとする主要企業が集まる都会)を通る鉄道です。さらに世界中からバック
オフィス業務が集まる、BPO ビジネスの拠点となっているクバオも通っております。


また MRT3 号線は、North Avenue 駅で、建設中で 2020 年開通予定の MRT7号線(注3)と接続
することになっており、さらに利用者が増加することが予想されております。
MRT3 号線は、1 日平均 40 万人以上が利用しており、東南アジア有数の利用者数を誇ります。




昨日の MRT DEVELOPMENT CORPORATION と InfiniVAN,Inc.との契約締結セレモニーの様子


2.他の通信事業者向けサービスについて

マニラ首都圏地域では、老朽化・未整備の都市インフラの整備をするため、各地で工事が行われてお
ります。例えば道路拡張工事などは、幹線道路を中心に行われております。ただ工事によるケーブルや
水道管の損傷はしばしばみられるので、通信事業者にとっては、他のインフラ整備の工事に影響しない
回線設備が、安定した通信サービスの供給のために必要となっております。特に安定性の観点からは、
通信回線の設置場所としては鉄道が適しており、通信事業者向けに敷地を開発することに需要がありま
す。そのため当社グループでは、鉄道各社と既設の鉄道および今後新設される鉄道の敷地使用権の取得
に向けた交渉を行っております。

そうした中、InfiiVAnN,Inc.は、各都心(CBD)を結び多くの方が利用しているこの MRT3 号線の設
備使用権を、自社で活用するほか、他の通信事業者への提供等を通じたマネタイズを計画しております。

例えば5Gのインフラ設備を整備するために、携帯通信事業者は、基地局の新規設置が必要になってい
ますが、適当な設置場所を見つけることが難しくなっております。一方 MRT3号線は、高架の上を走って
おり、並行する幹線道路 EDSA にいる利用者に対して電波を届けるための基地局を設置するのに適してお
ります。(図 2)現在いくつかの大手携帯通信事業者との間で基地局設置に向けた折衝を行っております。

図2 高架鉄道通信設備活用イメージ




3.InfiniVAN,Inc.のマニラ首都圏地域内ネットワークの構築について

(1)マニラ首都圏地域内の回線敷設の進捗
InfiniVAN,Inc.は、昨年 12 月に LRT2 号線に光回線を敷設し、既にケーブルテレビ事業者へ長期貸与し
ているとともに、現在携帯電話事業者などに設備貸出の交渉を行っております。
同社は、これまで自社の法人向けサービスの提供だけでなく、他の事業者への設備のリースを行うた
め、鉄道事業者及び道路管理者に対して、光ファイバー回線敷設のための交渉をしてまいりました。
マニラ首都圏地域内の EDSA(C4)や C5といった Circumferential Road 等の主要な道路(約 120
㎞)については、先月よりすでに掘削工事に入っております。今回の MRT3号線への回線敷設も、図 3
の環状回線建設のための一環であり、図3の水色の部分(PNR フィリピン国鉄)への回線敷設が完了
することでマニラ首都圏地域内の主要な都心を結ぶ、環状回線を構築することを計画しております。


(2)バックボーン(基幹)回線の意義
計画中の鉄道回線(図 3 水色の路線)への敷設も含めて、この回線敷設工事が完成いたしますと、マ
ニラ首都圏内の中心部に回線が 8 の字状に出来あがり、冗長を持った安定的なサービスを構築すること
が可能になります。(注 4)8 の字の形になるとう回路が複数もつことが可能になり、環状以上に安定し
たネットワークが構築されます。これにより大手通信事業者が都心部で提供しているサービスで使って
いるネットワークと遜色ないものとなり、大手通信事業者と十分競うことができるようになります。
図3 InfiniVAN,Inc.の環状バックボーン回線




この環状バックボーン回線構築は、同社が提供している法人向けサービスの提供エリアを広げるため
のものです。この回線の構築により、都心部(CBD)であるマカティ・オルティガス・ボニファシオグ
ローバルシティ・クバオ地域から発生するデータトラフィックを、一括して安定的に当社グループの拠
点まで運ぶことができるようになります。
またケーブルテレビ会社の多くは、銅線のケーブルでケーブルテレビサービス・ブロードバンドサー
ビスを提供しておりますが、光ファイバーに比べて速度が見劣りすることもあり、光ファイバーへの置
換が課題になっております。しかし電柱の容量が限界にきているところが多く、光ファイバーへの置換
が難航しております。
そこで同社は、ケーブルテレビ会社に対して、この環状回線の光ファイバーをリースし、ケーブルテ
レビ会社が、将来にわたって、安定的かつ高速なブロードバンドサービスを提供できるようにいたしま
す。


今後も InfiniVAN,Inc.は、マニラ首都圏地域で、鉄道・幹線道路への回線への敷設を進め、法人向け
ブロードバンドサービスの提供エリアの拡大を図ります。また事業者への通信設備の貸し出し・通信設
備の置き場所の提供などを通じて収益をあげる計画です。


(注 1)MRT3号線
幹線道路 EDSA 沿いに 13 駅あり Pasay 市から Quezon 市を結び、途中マカティやオルティガス
を通る鉄道。1999 年開業。1 日平均 40 万人以上が利用しており、利用者数は、タイ・バンコク
の BTS に並ぶと言われております。ただ設備が老朽化していること、道路の慢性的な渋滞の緩和
のため輸送力の増強が必要になっております。MRT3号線の改修のために、2018 年 11 月日本
政府は、フィリピン共和国に対する円借款に関する交換公文に署名しております。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_006695.html


(注 2)MRT DEVELOPMENT CORPORATION
1997 年 8 月 8 日にフィリピン交通通信省、
Metro Rail Transit Corporation Limited、
Metro Rail
Transit Development Corporation の 3 者間の合意により、MRT3号線の設備の商業的な開発
を行うことが認められた事業者


(注 3)MRT7 号線
MRT3 号線の North Avenue 駅(マニラ首都圏地域ケソン市)から、San Jose del Monte(ブラ
カン州)までの 22.4 ㎞を結ぶ。マニラ北部の居住地域と 3 号線を介して都心部を結ぶ路線。所有
者は国。運営者はビール最大手サンミゲル社を中心とする財閥(SMC 社)の子会社、SMC Mass Rail
Transit 7, Inc である。
(注4) InfiniVAN,Inc.社の環状のバックボーン回線は、各地にマンホールを設置しており、マンホー
ル内で、その周辺のビルや家屋に引き込むための支線と接続することが可能になっております。
環状回線の内側に、マニラ首都圏地域の世帯数の 6 割以上がありますが、実際に当社のバッ
クボーン回線と各世帯とを接続するには、光ファイバー回線と分配機器を使って接続することが必
要となります。




社名:株式会社アイ・ピー・エス
証券コード:4390
所在地:東京都中央区築地 4 丁目 1 番 1 号 東劇ビル 8 階
代表者:代表取締役 宮下 幸治
本件に関する問い合わせ窓口:IR 室 03-3549-7719
ir@ipsism.co.jp

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