投資家の皆様より多く寄せられた質問と回答(2025年10月)

2025 年 10 月 22 日
各 位
会社名 ラクスル株式会社
代表者名 代表取締役社長 CEO 永見 世央
(コード:4384、東証プライム市場)
問合せ先 上級執行役員 CFO 杉山 賢
(TEL.03-6629-4893)



投資家の皆様より多く寄せられた質問と回答(2025 年 10 月)

日頃よりラクスル株式会社にご興味ご関心をお持ちいただきありがとうございます。直近1か月で投資家の
皆様より多く寄せられた質問とそれに対する当社の回答を、下記の通り開示いたします。


Q1 決算発表後の株価の短期的な動きについて、要因をどのように考えていますか?


株価は複合的な要因で決まるものと認識しております。その上で、市場の皆様との対話を踏まえますと、
今回の計画について、以下 2 つの側面が短期的には評価されにくかった可能性がございます。
・ 第 1 四半期の見通し:今期は期初から「成長加速」を目的として投資を先行させ、特に下期に成果が大き
く表れる計画です。そのため、第 1 四半期は投資により利益成長は小さい一方、成長ペースは前四半期
(4Q)から大きく変わらず、ポジティブな評価につながりにくかったと考えております。しかし、これは
期末に向けた成長加速と通期増益を達成するための戦略的なプロセスです。
・ 通期業績予想と市場コンセンサス:また、当社の EBITDA ガイダンスが市場コンセンサスに届かなかった
ことも、一因として考えられます。これは、利益成長と投資による成長加速のバランスを慎重に検討した
結果です。
当社としては、今回の計画は「成長加速」への明確な意図を持っております。短期的にはマージン拡大が
市場期待に満たない形になりましたが、今後の売上利益の成長をより大きなものにするための投資と位置付
けています。


2026 年 7 月期(FY26)の業績予想において「成長加速」への投資を優先する背景について教えて
Q2
ください。


当社のプラットフォームにおけるクロスセルが順調に拡大していることに加え、営業体制の強化を通じて
中堅・大企業市場に大きな成長余地を確認できたことから、今が投資を加速させる好機であると判断したた
めです。
当社はこれまで通り、利益とキャッシュフローを伴う「Quality Growth」を基本方針としていますが、FY26
においては、拡大する売上総利益を原資とした戦略的投資を実行することで、オーガニック成長率の加速と、
複数サービスを統合した包括的なプラットフォームへの進化を目指します。
FY26 は、EBITDA 拡大よりも成長加速に向けた投資を優先するため、EBITDA の成長率は一時的に抑制されま
す。しかし、この投資拡大は FY26 に集中するものであり、2027 年 7 月期(FY27)以降は再び成長と利益率の向
上を両立させていく計画です。
Q3 成長を加速させるための具体的な投資内容を教えてください。


ラクスルのエコシステム拡大に向けて、主に以下の 3 点に投資を集中します。
・ 営業人員への投資: 大企業向けサービス「ラクスルエンタープライズ」を中心に、全社で営業人員を
倍増する計画です。大企業向け印刷市場は EC 化率が依然として低く、大きな成長機会が残されていま
す。この機を捉え、新規顧客獲得を加速させることが狙いです。販管費分類としては「その他」が増
加、人員のオンボーディング期間中は費用が先行します。
・ マーケティング投資: クロスセル効果の高い商材を中心に、売上に対する広告宣伝費率は前年度と同
水準を維持し、事業成長に伴い投資の実額を増加させ、効率的な顧客基盤の拡大を目指します。
・ テクノロジー投資: エコシステム全体の顧客体験を向上させるための、共通のテクノロジー基盤構築
に投資します。この領域への投資も、売上に対する比率は前年度と同水準を維持し、事業成長に伴い
投資額を拡大する計画です。具体的には、
「共通 ID」基盤を強化することで、お客様が一度のログイ
ンで当社の複数サービスをシームレスに利用できる環境を整備します。これにより、サービス間のク
ロスセルを強力に促進し、プラットフォーム全体の価値を高めます。最終的には、顧客単価(ARPU)
および顧客維持率(NRR)の向上に繋げることが目的です。


Q4 ID 統合やクロスセルの進捗と、プラットフォームの健全性について教えてください。


ID 統合を基盤としたクロスセル施策は順調に進捗しており、その成果として、プラットフォームは極めて
健全な状態です。当社の売上の約 8 割を占める法人顧客において、ネガティブチャーン(既存顧客の利用額
拡大が解約による売上減を上回る状態)を達成しております。
・ ID 統合: クロスセルを促進する基盤として、グループサービスの ID 統合を着実に進めています。2025
年 7 月期には「ダンボールワン」との統合を完了し、今期(FY26)中には「ハンコヤドットコム」な
ど、主要なグループ会社の ID 統合を完了させる予定です。
・ 貢献度と今後の目標:クロスセルは、直近でオーガニック成長率を約 2 ポイント押し上げる効果をもた
らしています。今期の業績レンジの上限で目標とするオーガニック成長率 14%→20%の上昇目標(最大約
5 ポイント)のうち、半分程度をクロスセルによって達成することを目指します。


Q5 今後の M\&A 戦略と資金調達の方針について教えてください。


厳格な財務規律を維持しつつ、潤沢な資金調達力を活用し、サービス拡充とサプライチェーン強化を目的
とした M&A を積極的に推進します。
投資に際しては、EV/EBITDA 倍率 5 倍といった規律を徹底しており、これまでの実績でも平均 4 倍程度と有
利な条件での買収を実行できています。また、買収後の PMI も順調に進捗し、買収前の約 3 倍の EBITDA 貢献
を生むなど、高いシナジーを創出しています。Net Debt to EBITDA 倍率は 0.26 倍と極めて低水準で、資金調
達余力は十分にございます。2024 年 7 月期から 2028 年 7 月期の 5 年間で創出する累計 250 億円以上の事業
キャッシュを原資に、M&A を含む成長投資を積極的に実行していく方針です。


Q6 株主還元(配当・自社株買い)についての考え方を教えてください。


キャピタルアロケーションの方針において 2024 年 7 月期からの 5 年間で最低 25 億円を株主還元を行うこ
ととしており、順調に進捗しています。
・ 配当方針: 現時点では事業への投資を通じた成長を最優先としていますが、株主の皆様への利益還元
も重要と認識しております。そのため、安定的かつ継続的な増配を基本方針とし、各段階利益成長を


上回るペースでの配当成長を目指します。
・ 自社株買い: その時々の株価水準や M&A 等の投資機会を総合的に考慮し、最適な資本配分の一環とし
て機動的に検討してまいります。実行に際しては、株式市場の流動性への影響にも配慮し、慎重に判
断いたします。
・ 「下限」について:25 億円という中期目標はあくまで下限と考えており、事業の利益水準、投資進捗
や機会などによって上回ることがあります。


Q7 中期目標である 2027 年 7 月期の EBITDA 100 億円の達成は可能ですか。


達成は十分に可能であると考えています。
FY26 の通期 EBITDA 目標(下限 72 億円)を達成する際には、オーガニック成長が加速した状態で下期の四半
期 EBITDA は 20 億円を超えると想定しております。これを年間換算しますと 80 億円を超えるペースとなり、
翌年の中期目標である 100 億円が十分に射程圏内に入ってきます。FY27 でさらに成長を上乗せすることで、
目標を達成する計画です。

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