気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に基づく情報開示のお知らせ

2023年5月15日
各 位
会 社 名 ウルトラファブリックス・
ホールディングス株式会社
代 表 者 名 代表取締役社長 吉村 昇
コード番号 4235 (東証スタンダード)
問 合 せ 先 取締役経営企画部長 高野 美香
電 話 番 号 042-644-6515




気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に基づく情報開示のお知らせ

当社は、気候関連財務情報開示タスクフォース(以下「TCFD」といいます。)提言に基づく情報
開示を行いましたので、お知らせいたします。






1. TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)について
TCFDとはG20 の要請を受け、金融安定理事会(FSB)によって設立された「気候関連財務情報
開示タスクフォース」を指します。2017年6月に最終報告書を公表し、企業等に対して、気候変
動に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標・目標」について開示することを推
奨しています


2. ウルトラファブリックス・グループの目標と取り組みについて
当社グループは、“サステナビリティを重視し、社会へ貢献する“をグループ経営理念の一
つとして掲げています。その中でも気候変動の緩和は最重要課題の一つとして位置づけて諸対
策に取り組むとともに、2023年2月にTCFD提言への賛同を表明し、気候変動が当社グループの
ビジネスへもたらすリスク・機会および対応策について検討してまいりました。その内容を
TCFDの情報開示フレームワークに沿って、別紙の通りまとめましたので、お知らせいたします。
今後も引き続き、企業の継続的な成長と持続可能な地球環境・社会を同時に目指すサステナビ
リティ経営の一環として、気候変動への対応を一層推進し、TCFD提言が推奨する枠組みに沿っ
て適切に情報開示を行ってまいります。



以 上




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ウルトラファブリックス・ホールディングス株式会社
気候関連財務情報開示

ウルトラファブリックス・ホールディングス株式会社(4235)





トップメッセージ




ウルトラファブリックス・グループは、企業が将来にわたって成長し繁栄していくためには、自
社だけではなく自社を取り巻く社会全体が豊かで持続的であることが必要であり、そのためには重
要な社会の構成員として社会課題を解決するための取組を進めることが重要であると考えています。
その意思表明として、「サステナビリティを重視し、社会へ貢献する」をグループ経営理念の一つ
として掲げています。


このたび、サステナビリティに関する重要項目である気候変動への対策を積極的に行うため
TCFD提言に賛同し、提言に基づいた気候変動が事業に及ぼすリスクと機会に対するシナリオ分析
を実施し、関連する情報を開示しました。今後は分析範囲を拡大するとともに、経営戦略への反映
を進め、財務的な影響についてさらに情報開示を充足してまいります。


また、同時にSBTイニシアチブから、温室効果ガス排出量削減目標に関する「Science Based
Targets(科学的根拠に基づく目標)for SMEs」の認証を取得しました。引き続き脱炭素社会実現
に貢献すべく、より一層の気候変動対策を推進していきます。





気候変動に対する基本的な考え方


当社グループでは、サステナビリティを推進するにあたり、顧客、取引先、株主、従業員や地域住民といった全てのステークホ
ルダーからの要請に応えるべく、5つの“P”で表現される重点分野を設定し、それぞれにおけるマテリアリティを特定しています。

ウルトラファブリックスグループにおけるサステナビリティ推進の重点分野

マテリアリティ 個別テーマ
(重要課題)の特定
People •安全で働きがいのある職場の提供
従業員・顧客・地域住民
•多様な人材の受け入れ
(人) の人権尊重
•原料のバイオ・リサイクル化
サステナブルな製品設計
Product 責任ある調達慣行
•製品使用時の消費エネルギーの削減
•CFP削減に向けた製品設計
(製品) 生物多様性の維持
•製品の循環化の推進

Planet 気候変動の緩和 •CO2排出量の削減
•水使用量の削減/再利用
水資源の保護
(地球環境) 廃棄物・有害物質の管理 •廃棄物の削減
•化学物質使用量の削減/回収
Partner •バリューチェーン全体におけるCO2排出量の削減
取引先との相互発展
•バリューチェーン全体における良好な職場環境の
(取引先) 維持改善

Profit 企業市民としての責任
•中長期にわたる企業成長
株主に対する責任
•安定的な株価上昇
(収益) 事業継続性の担保


気候変動については、5つの重点分野のうちPlanet(地球環境)を中心にProduct(製品)やPartner(取引先)に係る重要な課
題として認識しており、当社グループにおけるCO2排出量の削減など、課題解決に向けての諸テーマに取り組んでまいります。


(参考)TCFD提言開示推奨事項の概要




基礎項目 概要 説明
ガバナンス 気候関連リスク・機会に関する組 リスクと機会に対する取締役会の監督体制
織のガバナンス
リスクと機会を評価・管理する上での経営者の役割
戦略 組織の気候関連リスク・機会とそ 短期・中期・長期のリスクと機会
れによる事業・戦略・財務への影
響 リスクと機会が事業・戦略・財務に及ぼす影響

2℃目標等気候シナリオによる影響、組織戦略の強靭性

リスク管理 気候変動リスクの特定・評価・管 気候関連リスク特定・評価プロセス
理のプロセス
気候関連リスク管理プロセス

組織全体のリスク管理への統合状況
指標と目標 気候関連リスク・機会の評価・管 気候変動リスク・機会の管理に用いる指標
理に用いる指標と目標
温室効果ガス排出量(Scope1,2,3)

気候変動リスク・機会の管理に用いる目標及び実績





ガバナンス


当社グループは、各重点分野における課題解決を進めるため、「サステナビリティ委員会」を設置いたしました。当委員会は、取
締役であるChief Sustainability Officerを委員長とし、各関連部門の執行責任者がメンバーとなって、サステナビリティに対する基
本方針の策定・各領域における重要課題への対応方針・目標・推進計画の立案、活動の進捗統括と評価を行います。


当委員会にて特に重要であると判断した内容については、四半期に一回、取締役会および各子会社の取締役等で構成される
Leadership Teamに報告され、中期経営計画の方針・施策・財務目標等にも反映されます。また、ISO14001の環境マネジメントシ
ステムの仕組みを通じても、経営陣が当委員会の活動を管理・監督を行っております。

組織図におけるサステナビリティ委員会
株主総会

選任・解任


取締役会

Chief Sustainability Leadership
Officer Team
(子会社取締役会等)

指示 報告
報告
サステナビリティ委員会



当社取締役の報酬は基本報酬(固定報酬)およびインセンティブ報酬で構成されており、インセンティブ報酬の一部にサステナビ
リティ推進における成果が反映されています。


戦略 : ①シナリオ分析ステップ


複数のシナリオ(下表参照)に基づき、気候変動によってもたらされる事業および財務インパクトへの影響評価を、下記の
ステップに沿って実施しました。
■参照シナリオ
区分 シナリオの概要 分析対象としてのリスクのタイプ 参照シナリオ

4℃シナリオ 気候変動対策が進まず成行きのま 物理的リスクの • IEA
ま気温が上昇し、それによる物理 「急性」「慢性」 World Energy Outlook2020.
的リスク・機会が発生するシナリ Stated Policy Scenario
オ • IPCC RCP8.5
2℃未満 温暖化防止に向けて様々な活動が 移行リスクの • IEA
シナリオ 実施され、脱炭素社会への移行に 「政策・規制」「技術」 World Energy Outlook 2020.
伴うリスク・機会が発生するシナ 「市場」「評判」 Sustainable Development Scenario
リオ Net Zero Emission 2050
• IPCC RCP2.6/SSP2.6

■シナリオ分析ステップ
気候関連リスク・
事業インパクトの定性化 財務インパクトの定量化 対応策の検討
機会項目の列挙


• 気候変動リスク・機会の抽出 • 各シナリオと、特定した重要 • 気候変動リスク・機会に対す
• 重要性の高いリスク・機会の • 既存シナリオの中で関連性の な気候関連リスク る当社戦略のレジリエンスの
評価 深いものを列挙 • 機会と関連パラメータを踏ま 評価
• 重要性の高いリスク・機会に • 気候変動シナリオの設定 え、各シナリオにおける財務 • 現状評価を踏まえた対応策の
関連する評価軸設定 インパクトを分析 検討



戦略 : ②気候変動リスク・機会の種類


気候変動に関連したリスク・機会を下記の分類に基づき抽出しました。


■気候変動リスクと機会の種類
大分類 中分類 主な側面・切り口の例

リスク 政策・法規制リスク GHG排出に関する規制の強化・情報開示義務の拡大等

技術リスク 既存製品の低炭素技術への入れ替え、新規技術への投資失敗等
移行リスク
市場リスク 消費者行動の変化、市場シグナルの不透明化、原材料コストの上昇等

評判リスク 消費者嗜好の変化、業種への非難、ステークホルダーからの懸念の増加等

急性リスク サイクロン・洪水のような異常気象の深刻化・増加等
物理的リスク
慢性リスク 降雨や気象パターンの変化・平均気温の上昇、海面の上昇等

機会 エネルギー源 化石エネルギーリスク低減及び 再エネ率向上による顧客への訴求

製品・サービス 気候変動緩和・適応製品の販売拡大

市場 気候変動を考慮したバイオ材料を用いた製品の拡大





戦略 : ③気候変動リスク・機会の特定


自社に発生するリスク・機会についてインパクトと発生確度の2軸にて評価を行いました。

■気候変動リスクと機会の評価
大 13.保有不動産 8.既存製品の
2.ポリエステル
ポリウレタン
・設備の損壊 売上が減少
価格の上昇


10.原材料の 12.生産拠点 16.バイオ・
15.アニマル
安定供給の 損壊に伴う リサイクル
フリー需要の
悪化、調達 生産能力 素材製品の
高まり
コストの増加 の低下 販売



6.低炭素製品の 7.投資・運用
開発コスト コストの増加
4.代替原材料
パ 9.株価下落 1.税負担額の
開発コストの
投資引き上げ 増加
増加・設備投資
11.水質悪化

14.エネルギー
による
コストの減少
遅延又は停止



3.環境開示
5.燃料光熱費の
対応に
増加
向けた対応
リスク



機会


低 発生確度 高

戦略 : ④財務インパクトと対応策


■気候変動リスクに対する財務影響と対応策
大 中分類 ドライバー 番 事業インパクト 財務影響 当社の対応
分 号


リ 移 政策・ 炭素税導入・炭素税率の上昇 1 当社税負担額の増加 - - 政策動向のモニタリング
ス 行 規制 CO2排出量の削減
ク リ
ス 2 原材料(ポリエステル・ウレタン)価格の上昇 政策動向のモニタリング
ク - - - CO2排出量の削減

製品・原材料に関する 3 環境関連情報の計測・表示の要件化に向けた対応コスト - 環境規制動向のモニタリング
規制対策
4 代替原材料への切り替え 環境規制動向のモニタリング
規制原材料を使用しない新製品開発コストの増加・設備投資 - -
エネルギーミックスの変化 5 燃料光熱費の増加 - エネルギー使用量の削減

技術 低炭素商品への移行 6 低炭素製品開発コストの増加・設備投資 - - 原材料・設備メーカーとの協働

低炭素技術の導入 7 低炭素製造技術の導入に伴う、設備投資ランニングコストの増加 - -
市場 低炭素製品志向の高まり 8 低炭素製品が選好され、当社既存製品の売上が減少 - - - 原材料・設備メーカーとの協働による低炭素製品の開発

評判 ステークホルダーからの 9 株価下落・投資引き上げ 低炭素化推進姿勢のアピール
懸念点の増加 - -
物 慢性 平均気温上昇、降水パターン 10 原材料の安定供給の悪化、調達コストの増加 - - - 複数調達先による安定調達
理 の変化
的 11 干ばつなどによる水不足および水質悪化による製造の遅延又は停止 - - 水使用量の削減

ス 急性 異常気象の発生割合・深刻度 12 生産拠点損壊に伴う生産能力の低下 - - - 事業継続計画の策定
ク の増加
13 保有不動産設備の損壊、設備損壊に伴う事業継続への影響 - - -
機 エネルギー源 再生可能エネルギー源の導入 14 エネルギーコストの減少 太陽光パネルの設置など、再生可能エネルギーの導入
会 物理的リスクに備えBCPを強化 + +
製品とサービス 脱炭素社会への移行の支援に 15 アニマルフリー・軽量・長寿命素材に対する需要の高まり さらなる軽量化・耐久性の向上
貢献 + + +
市場 新規市場へのアクセス 16 バイオ・リサイクル素材を活用した低炭素製品の販売 + + + バイオ・リサイクル素材活用の推進

+,-の数がそれぞれの影響度の大きさを表します。


リスク管理



当社は気候変動に関するリスクを重要なリスクの1つとして位置付け、サステナビリティ委員会においてリスク・機会の特定、
評価、対応策や予防措置を議論・検討してまいります。その中で、特に重要な議題は取締役会に報告いたします。


特定したリスクについてはインパクト、発生頻度から重要性を判断し、重要リスクについてはその対応策を検討、実施を行なっ
てまいります。





指標と目標 -GHG排出量の算出-


当社は2019年度から2021年度までのGHG排出量をGHGプロトコルの考え方に則り算出を行いました。

2020年度 2021年度 2022年度
Scope別排出量
[t-CO₂] [t-CO₂] [t-CO₂]

Scope 1 8,699 12,105 13,125 GHG排出量推移
2,663 3,265 3,173 80,000
Scope 2 ーマーケット基準ー

Scope 2 ーロケーション基準ー 2,615 3,128 3,040




GHG E排出量 [t-CO2]
Scope 3 32,901 54,014 61,894 60,000

Total ーマーケット基準ー 44,263 69,383 78,192
Total ーロケーション基準ー 44,215 69,246 78,059 40,000

2019年度 2020年度 2021年度
Scope3
排出量内訳 排出量 構成比 排出量 構成比 排出量 構成比 20,000
[t-CO₂] [%] [t-CO₂] [%] [t-CO₂] [%]

カテゴリ1 22,763 69 37,273 69 41,005 66

カテゴリ2 279 1 2,009 4 1,796 3
2020年度 2021年度 2022年度
カテゴリ3 412 1 493 1 479 1
カテゴリ4 4,474 14 9,358 17 13,685 22 Scope 1 Scope 2 -マーケット基準- Scope 3
カテゴリ5 760 2 1,071 2 1,202 2
カテゴリ6 38 0 41 0 43 0 マーケット基準・・・・電気購入の契約に基づく排出係数を用いる方法。
カテゴリ7 100 0 106 0 109 0 ロケーション基準・・・同じ系統または市場において系統平均を用いて、
ロケーション基準・・・電力等二次エネルギーからの排出を算定する方法。
カテゴリ9 4,075 12 3,664 7 3,576 6
Total 32,901 100 54,014 100 61,894 100



指標と目標 -目標-


現状を踏まえ当社は以下の目標を掲げます。

GHG排出削減目標
従来より当社グループはCO2削減活動を続けておりますが、この度SBT for SMEsの認定を取得しました。2030年Scope1,2排出量を
2021年比42%減を目標としております。
また、SCOPE3につきましても、排出量を把握し、削減に努めてまいります。

水使用量削減目標
当社は、2025年に2020年比で原単位当たりでの水使用量を20%削減することを目標として掲げております。

2020年度 2021年度 2022年度

水使用量
0.058 0.051 0.046
[t/yard]


廃棄物関連目標
当社は、製造から販売の過程で発生した販売不適合品や返品された製品の生産量に対する比率を3%以下に維持することを目標として
掲げております。

2020年度 2021年度 2022年度

廃棄率
3.15 2.33 3.46
[%]





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