株式会社Kyuluxとの次世代有機EL新規化合物に関する共同開発契約の締結に関するお知らせ

2020 年 10 月 14 日
各 位
会 社 名 日 本 曹 達 株 式 会 社
代表者名 代表取締役社長 石 井 彰
(コード番号 4041 東証第一部)
問合せ先 総 務 部 長 竹 内 哲
( TEL 03-3245-6053)



株式会社 Kyulux との次世代有機 EL 新規化合物に関する
共同開発契約の締結に関するお知らせ


当社は、株式会社 Kyulux(本社:福岡県福岡市、以下「Kyulux」)と次世代有機 EL 発光材料
である TADF 向け新規化合物の共同開発契約を締結いたしましたので、お知らせいたします。



Kyulux は、有機 EL ディスプレイなどに用いる次世代材料の開発を行う九州大学発のファブレス
ベンチャー企業です。 有機 EL ディスプレイは液晶に代わるディスプレイとして急成長が続く市場
であり、5G 通信技術の導入に伴い、今後はより一層の高性能化・低消費電力化が求められます。
同社の開発する TADF(熱活性化遅延蛍光)は、レアメタルを一切使用しない環境負荷低減型の
新規材料であり、この TADF を活用した Hyperfluorescence™ は高発色・高解像度・低消費電力
および低コストを同時に実現する発光技術であり、今後さらなる事業拡大が期待されます。

今般の契約締結により、Kyulux が開発した TADF の高性能化・高品質化と、新規化合物の飛躍
的な生産効率向上を目指して共同開発に取り組みます。 当社は長年培った高度な有機材料開発力と
合成ノウハウを活用して、開発された新規化合物の合成を行います。
当社としては、この共同開発は新規事業分野である有機 EL ディスプレイ事業への参入の足掛か
りとなります。

Kyulux 代表取締役社長の安達淳治氏は、次のように述べています。 「次世代有機 EL 材料開発
ベンチャーとして製品開発を続けてきましたが、 製品化を前にして高品質かつ低コストの TADF の
生産が重要な課題でした。 このたび日本曹達という最高の事業パートナーと出会えたことに心より
感謝しています。 今回の共同開発は、TADF の早期量産化を待ちわびる有機 EL ディスプレイ業界
にとっても大きな出来事です。 」

当社は本年 2 月に創立 100 周年を迎えました。 そして 5 月に当社グループの長期経営ビジョン
「かがくで、かがやく。2030」 、ならびに 3 ヵ年の中期経営計画「かがくで、かがやく。Stage I」
を発表いたしました。
同計画では独自技術の深化・融合と外部技術導入のシナジーにより、中核技術の高度化を図り、
新製品の開発と新規事業への進出を目指すこととしており、今般の共同開発契約の締結は、当社が
進めてきたオープンイノベーションの取り組みの成果として、当社グループのさらなる企業価値の
向上に貢献するものです。





【日本曹達について】

日本曹達は、1920 年の創立以来、独自の技術とノウハウを蓄積し、農業、医薬品、特殊化学品など
多岐にわたる分野で高機能・高付加価値の化学製品を提供してまいりました。 また、化学物質を
取り扱う企業として、レスポンシブル・ケアの考え方を常に意識し、環境、安全、健康に配慮した
事業活動を行ってまいりました。 これからも革新的な技術や製品を通じて、 次世代の夢を実現する
豊かな社会の構築に貢献いたします。
詳細は、https://www.nippon-soda.co.jp/ をご参照ください。



【Kyulux について】

2015 年に設立された Kyulux は、有機 EL ディスプレイや照明に用いる次世代材料の開発に取り
組んでいます。 九州大学およびハーバード大学からライセンスを得た技術を基に、Kyulux では
レアメタルに頼ることなく、コストパフォーマンスに優れた、長寿命かつ高純度の発色、さらには
高効率な発光全てを実現する Hyperfluorescence™ / TADF 発光技術を開発しています。
詳細は、https://www.kyulux.com/?lang=ja をご参照ください。



【TADF (Thermally activated delayed fluorescence:熱活性化遅延蛍光)について】

有機 EL ディスプレイの発光層は、電荷の再結合が起こり、有機材料の発光が起こる最も重要な層
ですが、発光層は発光体とホストから構成されており、研究開発の主題となっています。
TADF 発光体は、現行世代の有機 EL 発光体の次の 3 つの主要な挑戦課題を克服します。
・現行の赤と緑の燐光発光体にかわる低コストでレアメタル不使用の発光体
・インクジェット印刷に適した効率的で長寿命な可溶性発光体
・効率的で長寿命な青色発光体
TADF は、九州大学の安達教授と、その研究所である最先端有機光エレクトロニクス研究センター
(OPERA)において開発されました。 TADF の研究は 2009 年に始まり、近年、世界中の学者や
企業による広範囲な研究活動が行われています。



【Hyperfluorescence™ について】

Kyulux の Hyperfluorescence™ は、TADF を蛍光発光材料と組み合わせることで、TADF から蛍光
分子にエネルギー移動させて発光させる技術であり、レアメタルを使用することなく、非常に高効
率的で素子寿命が長く、かつ高色純度の発光を実現しました。



以 上





6305