アニュアルレポート2018

アニュアルレポート 2018
2 0 1 8 年 6 月期
Mission マクロミルグル ープはグロ ー バルなマー ケティング・リサ ー チ
企業です。私たちの使命は、お客様のより良い意志決定を支援す
るために、お客様が心から満足し、感動するサービスを提供する
ことです。そして、利益を追求し、企業価値を高めながら、社員
がそれぞれの可能性に挑戦できる場所をつくっていきます。




Vision 私たちは 、世界に誇れる実行力と、時代を変革するテクノロジ ー
を統合し、唯一無二のグロ ーバル・デジタル・リサ ー チ・カンパ
ニーを目指します。




Values Think New, Think Deep
Act Now, Act Together
Be True, Be Open
Own It, Enjoy It




コー ポレートロゴについて クライアントの矢印
私たちが生み出す革新的なサービスをとおして、お客様のマーケティン
シンボルのモチーフにしたのは「矢印」です。そして、その矢印
グ課題解決にプラスのインパクトを与え 、お客様の進むべき方向をつくり
が四方に広がる様から、マクロミルの頭文字である M」
「 をかた 出します。
どってシンボルマークを構成し 、これを創業よりコー ポレート
マクロミルの矢印
カラーにしてきたマクロミルブルーに染めました。このシンボル 日本国内を中心としたネットリサーチ事業にとどまらず、より広いマー
マークには、2つの意思が反映されています。 ケティング領域で、より広いエリアで、私たちは前進し成長していきます。
A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C . 01




目 次

Snapshot. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 02

投資家の皆様へ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 08

なぜ「唯一無二のグローバル デジタル リサーチ カンパニー」
・ ・ ・ を目指すのか?. . . . . . . . . . . . . . . . 11

経営基盤. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 18

 コーポレート ガバナンス. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 18


 取締役および執行役紹介 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 20

 Our Culture . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 22

会社概要 株式データ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 24


財務セクション. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 25




注意事項
 本レポ ートに記載される業界、市場動向または経済情勢などに関する情報は 、現時点で入手可能な情報に基づいて作成し
ているものであり、当社がその真実性、正確性、合理性および網羅性について保証するものではありません 。
 また 、本レポ ートに記載される当社グル ープの目標、計画、見積もり、予測、予想その他の将来情報については 、本資料の
作成時点における当社グル ープの判断または考えにすぎず、実際の当社の経営成績 、財政状態その他の結果は 、国内外の
経済情勢、企業の動向、他社との競業、人材・パネルの確保、技術革新、為替、その他経営環境などにより、本資料記載の内容
またはそこから推測される内容と大きく異なることがあります。
02 A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C .




S n a p s h ot マクロミルグループの歩み
当社グル ープは2000 年の創業以来 、マーケティング・リサーチ業界の先駆者として市場を切り
拓いてきました。現在、デジタル化が進む世界で、顧客企業のマーケティング・リサーチのニーズに
合わせた、高品質でスピーディーかつ費用効率の高いサービスを提供しています。 ノベーティブな

企業文化、常に向上を目指す姿勢や強固な営業基盤が合わさって、日本におけるアドホック・オンラ
イン・マーケティング市場でNo.1のシェアを獲得し、維持することができています。



世界でNo.1の成長率を持つマーケティング・リサーチ・カンパニー※1
5 年間のCAGR ※2
(2013/6 〜2018/6)




国内プレゼンス伸長期

- 力 強 いオーガ ニック 成 長と、M&A
% を通じて日本におけるプレゼンスの
大幅な伸長を達成


創業~黎明期 買収


- 2000 年にオンライン・マーケティング・リサーチ専業企業として創業
- 業界のパイオニアとして市場をリードする存在に ジョイントベンチャー設立
- 2004 年には東京証券取引所マザーズに上場、 2005 年に東証一部に市場変更



連結売上収益※3 買収
(億円)
















上場

注記
※1 出所:ESOMAR Global Market Research 2013年/2014年/2018年。Macromillは2012年および2013年から2017年にかけての売上収益の4ヵ年および5ヵ年CAGR (年平均
成長率) が同レポートに記載されているlargest 25 global marketing research companiesの中で最大(但しヘルスケアITサービスプロバイダーであるIQVIA (元QuintilesIMS
Health を除く)
※2 2013 年 6 月期から2018 年 6 月期の5 年間売上収益 CAGR( J-GAAPに基づく2013 年 6 月期から2014 年 6 月期およびIFRSに基づく2015 年 6 月期から2018 年 6 月期の年平均
成長率 ) 。5 年間 CAGRは J-GAAPとIFRSに基づき計算されているため 、 必ずしも直接的に比較することが適切でない場合があります (この点については 3 ペー ジの注記 3 を
ご参照下さい)
A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C . 03




グロー バル拡大期


- 2014 年に株式を非公開化し 、 グロー バル
買収 市場での事業拡大に向けて企業体制の再構
築などに取り組むとともに、 デジタル・マー
ケティング領域の強化に着手
- 2014年のMetrixLabと2017年の米Acturus
の買収により海外事業の展開を加速



買収 日 本 に お け るアド ホック・オ ン ラ イ ン・
マー ケ ティン グ・リ サ ー チ 市 場 で No.1
のシェア ※4

市場規模:2017 年度





325 当社財務数値:FY2018/6





No. シェア※4








2014/6 2015/6 2016/6 2017/6 2018/6 会計年度
(F Y )
(IFRS)
株式非公開化 再上場


※3 2001 年6月期から2014 年6月期はJ-GAAPベース 。2015 年6月期からはIFRSベース 。J-GAAPとIFRSは会計基準が異なるため 、必ずしも直接的に比較することが適切でない
場合があります。当社の見解では 、 当社の連結売上収益をJ-GAAPからIFRSに移行する上において特段重要な調整は行っていないため 、 IFRS移行後の2018年6月期までの4事業
年度においても、 適切に売上収益のトレンドを表していると考えています
※4 日本におけるアドホック・オンラインMRの市場シェア = (マクロミル単体および電通マクロミルインサイトの日本におけるオンラインサービス売上収益(FY2018/6)) ÷ 日本マーケ
ティング・リサーチ協会により計算された日本におけるアドホック・オンラインMRの売上収益の合計(2017年度)
04 A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C .




S n a p s h ot マクロミルグループの強み

世界に広がるセー ルスおよびリサーチ体制

主要地域におけるセー ルスおよびリサーチ人員※1(2018 年6月30日現在)


欧州
米国、
ブラジル、

50 100 メキシコ、アルゼンチン



韓国

UAE、インド

4 226 日本





シンガポール、中国



l オフィス
n セー ルス人員数※1
n リサーチ人員数※1



世界 44 拠点、連結従業員数 2,000 人超※2

グロー バル・パネル・
ネットワーク リサーチ人員数※1 年間プロジェクト数


約1 1,000
億 万人 1,000 名以上 35,000 件以上




年間取引社数 顧客の平均取引継続率※3


4,000 社以上 国内 96.5 % グローバル 91.9 %




注記
※1 セー ルス、リサー チ人員はそれぞれセー ルス、 リサー チ業務にコミットしている正規雇用の従業員
※2 正規雇用の従業員数
※3 平均取引継続率(日本) = (前年度にマクロミルのサービスが提供されかつ請求書が交わされ、 当該年度においてもマクロミルのサービスが提供されかつ請求書が交わされた年間売
上収益が1,000万円以上のマクロミル単体の大口顧客数) ÷ (前年度の年間売上収益が1,000万円以上のマクロミル単体の大口顧客数) 。2014年6月期から2018年6月期の5年間
の平均値
平均取引継続率(グロー バル) = ( 前年度にサービスが提供されかつ請求書が交わされ 、 当該年度においてもサービスが提供されかつ請求書が交わされた年間売上収益が10 万
ユーロ以上のMetrixLabの大口顧客数) ÷ ( 前年度の年間売上収益が10 万ユーロ以上のMetrixLabの大口顧客数) 。2016 年6月期から2018 年6月期の3 年間の平均値
A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C . 05




業界トップクラスのオペレーション効率と収益性

従業員一人当たり売上収益※1、2
(千米ドル、直近会計年度※3)













Macromill Nielsen GfK INTAGE Ipsos Cross
(連結※5) Marketing


2,362 46,000 12,926 3,444 16,664 1,414
従業員数※1、4
(FY2018/6) (FY2017/12) (FY2017/12) (FY2018/3) (FY2017/12) (FY2017/12)
出所:会社資料




EBITDAマージン※6、7
(% 、直近会計年度※3)
21.9

21.6
17.8


11.4 10.7 10.6


7.0


Macromill: 調整後EBITDA/ EBITDA

Macromill Nielsen INTAGE GfK Ipsos Cross
(Buy セグメント※8) Marketing
( 百万米ドル)


EBITDA ※2、4、6
(FY2018/6) (FY2017/12) (FY2018/3) (FY2017/12) (FY2017/12) (FY2017/12)

出所:会社資料



注記
※1 臨時雇用を含む
※2 為替レート:1 米ドル=0.83ユー ロ、 米ドル=109.8 円

※3 2018 年6 月30日現在
※4 各会計年度末現在
※5 売上収益、 従業員数いずれも連結数値ベース
※6 Macromill:EBITDA FY2018/6 80 百万米ドル)
( =営業利益 + 減価償却費及び償却費 + 固定資産除却損 + 減損損失
調整後EBITDA (FY2018/6 79 百万米ドル) =EBITDA+マネジメントフィー + 上場関連費用
Nielsen (Buyセグメント) :EBITDA= 営業利益 +(リストラクチャリング関連費用+ 減価償却費 +その他費用)
GfK:EBITDAはGfKの開示資料による
INTAGEおよびCross Marketing:EBITDA=営業利益 + (減価償却費 +のれん償却費)
Ipsos:EBITDA= 売上総利益 - 人件費+ 一般運営費 +M&A 関連無形資産減価償却費) 総減価償却費
( +
適用会計基準や定義の違いなどの理由により、 各社のEBITDAは必ずしも直接的に比較できない場合がある
※7 EBITDAマージン=EBITDA÷売上収益
※8 NielsenのBuyセグメントはマクロミルの事業との類似性が高いため、 比較事例として同セグメントのEBITDAマージンを掲載
Nielsenの同期のEBITDAマージンは30.3%
06 A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C .




S n a p s h ot マクロミルグループのビジネスモデル
顧客のマー ケティング・バリュー チェーンの全ての局面においてマクロミルグループの
リサー チソリューションが活用されている
顧客のマーケティングサイクル
市場理解・商品企画フェーズ 商品開発・効果測定フェーズ


商品化・マーケティング 投
市場理 解 コンセプト開発 効果 検証
プランニング 入



マクロミルのソリューション
広告関連分野
広告表現プリテスト 広告 効果 測定調査
使 用実 態・購買 動向調査 商品開発 最 適化調査
価格 弾力性調査 顧客満足 度(C S)調査
ブランドイメージ 調査 等 コンセプト調査 等 パッケージテスト
販 売 促 進アクティベーション 等 ブランドリフト調査 等


世界 13 ヵ国、 4 拠 点の

グローバルネットワーク




1,000 万人 1 億人
グローバルな 合計 1 億 1, 000 万人の消費者パネル グローバルな
自社 パネル 提 携パネル



当社グループは、顧客のマーケティング・バリューチェーンの全ての 当社グループは顧客のマーケティングの成功に貢献しています。
フェーズにおいて
「消費者の声」を届けることに取り組んでいます。より 当社グループが提供する全てのソリューションは、自社パネルを通じ
具体的には: て得られるデータで裏打ちされています。グローバルで約1,000万人に
・ 顧客企業がどの市場に参入すべきか 達するこの自社パネルとのやり取りは、当社グループおよび顧客企業にとっ
・ どのコンセプトが対象顧客の共感を得られるのか
て、計り知れない程有益なデータと消費者インサイトをもたらしています。
・ どのような新商品を開発するべきか
万が一、この約1,000万人の自社パネルから、プロジェクトに必要な幅や
・ どのような広告クリエイティブ、
販促キャンペーンやプロモーション 深さの消費者インサイトが得られない場合、提携パネルを活用すること
が最良で、それをどのように最適化できるのか が可能です。これにより、追加的に約90ヵ国にまたがる約1億人の消費
といった顧客のマーケティング課題に対する回答を提供しています。 者パネルへのアクセスができることになります。
この独自の強み、包括的なソリューション、そして力強い執行力によって、


当社の顧客
当社グル ープは 、スピー ディー に 、またコスト
効率高く、高品質なソリューションを提供するこ
通信/ エレクトロ コンサル
FMCG/
食品 /飲料 メディア/ 広告代理店 金融機関 ニクス / 自動車 ティング/ とで 、グロー バルな優良クライアントと長期で強
CPG※1
IT テック リサーチ
固な関係を構築しています。当社の顧客基盤は 、
90ヵ国以上、4,000 社以上の顧客から成り立っ
ており、売上収益の約80%は事業会社およびブ
ランドとの直接取引で構成されています。一般
広範な顧客カバレッジ 高い顧客浸透率
• 90ヵ国以上において4,000社超の企業に対する取引 • グローバル・ブランドの上位25社の約60%が当社の 消費材、 、
IT 家電メーカー、自動車、コンサル、
実績 顧客※3
広告代理店に加えて、金融機関との取引も増え
• 70%の大口顧客 ※2 からの売上高が昨年対比で増加
(2017/6→2018/6) つつあり、特定の業界に偏りが無い広範な顧客
基盤を有している点にも特徴があります。顧客
グロー バル・ブルー チップ企業の 顧客との強固な関係 の平均取引継続率は日本で96.5% 、グロー バル
顧客ベース • 大口顧客との平均取引継続率:
日本→96.5%※5 
(日本を除く地域)
で91.9%と極めて高く、大口ク
• FMCG※1 企業上位10社のうち9社が当社の顧客※4
• IT企業上位10社のうち7社が当社の顧客※4 グローバル (日本除く地域)→91.9%※6 ライアントの70%からの売上高が昨年対比で増
加しています。
注記
※1 FMCG = Fast Moving Consumer Goods; CPG = Consumer Packaged Goods (日用消費財 )
※2 年間売上高が1,000 万円または10 万ユー ロ以上の顧客
※3 Millward Brownの“BRANDZ TOP100 most valuable global brands 2018”に基づく。2018 年 6 月期に当社サービスを提供したことのある顧客や 、 社以上のリサー チ

会社を利用している顧客を含む
※4 2018 年 6 月30日時点の時価総額上位 10 企業。業界の定義としてCapital IQの“Primary Industry Classifications”を利用 (FMCG = beverages, food products, and
household & personal product / IT = information technology)
※5 平均取引継続率 (日本 ) = ( 前年度にマクロミルのサ ービスが提供されかつ請求書が交わされ 、 当該年度においてもマクロミルのサ ービスが提供されかつ請求書が交わされた
年間売上収益が 1,000 万円以上のマクロミル単体の大口顧客数 ) ÷ ( 前年度の年間売上収益が 1,000 万円以上のマクロミル単体の大口顧客数 ) 。2014 年 6 月期から2018 年
6 月期の5 年間の平均値
※6 平均取引継続率 (グロ ー バル ) = ( 前年度にサ ー ビスが提供されかつ請求書が交わされ 、 当該年度においてもサ ー ビスが提供され且つ請求書が交わされた年間売上収益が
10 万ユー ロ以上のMetrixLabの大口顧客数 ) ÷ ( 前年度の年間売上収益が10 万ユー ロ以上のMerixLabの大口顧客数 ) 。2016 年 6 月期から2018 年 6 月期の3 年間の平均値
A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C . 07


当社の事業~ マー ケティング ·リサー チとデジタル ·ソリューション
マーケティング リサーチおよびビジネス インテリジェンス
・ ・ デジタル ソリューション



データ分析
マーケティング リサーチ
・ デジタル マーケティング
・ デジタル広告代理店
調査、
コンサルティング




豊富な情報源から収集した多種多様なデータ

意識データ 属性データ 行動データ
ウェブ EC/オンライン
デジタル 広告ログ ソーシャルログ
アクセスログ 決済
訪問/ 人口統計 心理特性
購入理由 満足度
閲覧理由 データ データ 購買/POS
リアル TV視聴ログ GPS/LBS※7
など
データ など




的確な消費者インサイト

当社グループは、オンライン・マーケティング・リサーチとデジタル・ チパネルのデジタル・コンテンツの視聴履歴や、ブランドのウェブサイト、
マーケティング・ソリューションにまたがった事業領域を持っています。 eコマースサイト、ソーシャル・メディア・プラットフォーム、モバイル機器
この二つを組み合わせて提供できることが、グローバルにみても非常に におけるデジタル広告の露出履歴などの行動データを、オンライン・マー
ユニークな当社の立ち位置をつくり出し、当社および当社の顧客企業にとっ ケティング・リサーチ結果に紐づけて、顧客企業にとってより深く、より
て大きな戦略的な意義を生み出しています。 意味のある消費者インサイトを抽出する取り組みをデジタル・マーケティ
当社グループは、主にサーベイなどを通じて消費者パネルの購買意欲 ング・ソリューション
(右上、赤い部分)事業として展開しています。
データ、購買データ、消費行動データを入手し、当社の顧客企業に対して より具体的には、こうしたデジタル・マーケティング・ソリューション
提供する、オンライン・マーケティング・リサーチ
(左上、青い部分)事業 を通じて、顧客企業のメディア戦略・広告クリエイティブ・販促キャンペー
を展開しています。当社グループは、入手したデータから消費者インサイ ンの効果測定や、デジタル・マーケティングおよびクロスメディア・マー
トを導き出すことで、顧客企業のブランド・エンゲージメント、プロダクト・ ケティングの最適化などに向けた、消費者インサイトの抽出と提供を行っ
イノベーション、カスタマーバリュー など、そのビジネスにとって極めて ています。
重要な意思決定を後押ししています。 リアルとデジタルの両領域のデータを統合することで、顧客企業により
一方で今日では、私たちの生活領域は、リアルとデジタルの両世界に広 的確な消費者インサイトを提供することが可能になっており、また、そう
がっています。デジタルの世界では、消費者の行動をデジタル・データと した取り組みが可能であることが当社グループの競合企業に対する差別
してトラックすることが可能です。そのため、当社グループでは、リサー 化要因にもなっています。


業界をリードするワンストップ・ソリューション・ポートフォリオ
主なソリューション
当社グループは、顧客企業に対して、
マーケティング リサーチ

デジタル マーケティング

アドホック データベース
「マーケティング・リサー チ」に係るソ

定量調査 定性調査
リューションのフル・メニュー を一気
購買データ
オンライン マーケティング
・ ・ グループ/ 通貫で提供することが可能な 、ワンス
リサーチ 広告効果測定
デプス インタビュー

家計調査 トップ・ソリューション・ポ ートフォリ
開発
DMP※9
オを有しています。具体的には 、左図
DMP Solution
会場調査 ブランドデータ の通り、オンライン定量調査、定性調
査、デ ータベース、デ ジ タル・マーケ
共同開発 ティング・ソリューションで構 成され
広告プリテスト ています。このポ ートフォリオを通じ
市場機会探索 製品コンセプトテスト “AD - VANCE” て得られる多彩な消費者インサイトと
“SCOUT H&A” “CONTEST” “ACT” インテリジェンスを提 供することで 、
開発
パッケージデザインテスト ブランド競争力診断 ソーシャル メディア分析
・ 顧客企業が抱える幅広く多様なニーズ
“PACT” “B-HEALTH” に対応することが可能になっています。
など ビッグデータ分析
Dashboard
など


※7 位置情報サービス (Location-based Service )
※8 消費者の行動や思惑、 それらの背景にある意識構造を見抜いたことによって得られる 購買意欲の核心」
「 を意味します
※9 デー タマネジメントプラットフォームの略称
08 A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C .




投資家の皆様へ



唯一無二のグローバル・デジタル・リサーチ カンパニー

の創出に向けて
2018 年は私たちにとって 、 ー ガニック成長とM&Aに支えられた好調な一年となり 、
オ 今後の見通しも明るいと考えて
います。今日、グロ ー バルな消費者の関心や行動を理解することが 、顧客企業のビジネスでの成功に 、かつてない程に
欠かせない状況である中で 、私たちはそのニーズに応えるソリューションを持っています。私たちは 、明確な Vision」
「 と
「 Mission 」を掲げ 、自らのコ ー ポレ ート Values 」
「 を認識することで 、顧客の期待を超え続けることにフォー カスし 、
当社グループ事業の成長を継続して達成していきたいと考えています。



これまでの歩みと目指す姿 マーケティング・リサーチ市場を取り巻く環境
私たちが日本において、
「オンライン」
マーケティング・リサー 現在、消費者の関心や行動はかつてない程に複雑になって
チ市場を創出したパイオニアであり、2000 年の創業以来、従 おり、個別化された消費者ニーズを的確に理解することが 、顧
来型マーケティング・リサーチから、オンライン・マーケティ 客企業にとって死活問題になっています。顧客企業が正しい
ング・リサーチへの市場全体のシフトをリードしてきた存在で 意思決定を行い 、成功につながる戦略を策定し執行するため
あると言っても 、決して誇大な表現ではないと思っています。 には、信頼できるデータ、インサイト、そしてインテリジェンス
これに加えて近年、デジタル領域における画期的なソリューショ が欠かせません 。であればこそ 、マーケティング・リサーチに
ンを開発し、マーケティング・リサーチとデジタル・マーケティ 対する需要が、今後ますます大きくなると考えています。
ング・ソリューションにまたがっ た領域における市場の「ディ また、デジタル広告やデジタル・マーケティングも、スピード
スラプター(創造的破壊者)」
との評価を獲得しつつあることを、 感をもって進化し続けると思います。すなわち、顧客企業による
私たちに対する最大の賛辞だと感じています。また、私たちの 消費者へのリーチを考える上では、従来型のメディア・チャンネ
強みのひとつは 、イノベーティブな発想とスピー ディー な意思 ルに加えて、Webサイトやネット動画、モバイル、ソーシャル・
決定に価値を置く企業文化だと考えています。 メディア等を併用したアプローチが欠かせません。顧客企業に
おいても、どんなケースにも通用する万能のアプローチはもは
私たちの強み や存在せず、消費者グループごとに細分化され異なるニーズに
私たちは 、オンライン・マーケティング・リサーチとデジタ 応じたより高度なマーケティング戦略が必要、との認識が高まっ
ル・マーケティング・ソリューションにまたがっ た事業領域を ています。同時に顧客企業は、意思決定と投資を正当化し後押し
もち 、その二つを組み合わせて顧客企業に付加価値を提供で するエビデンス(論拠)も求めています。つまり彼らが必要とし
きるという非常にユニークな立ち位置にいます。その付加価 ているのは、消費者とブランドの関係を高める上で、どの手法が
値とは 、顧客企業のビジネスに係る意思決定に確かな違いを 効果的なのかを示すインテリジェンスだと考えます。当社グルー
もたらす、的確な消費者インサイトを提供することであり、そ プが提供しているオンライン・マーケティング・リサーチとデジ
れこそが当社の持つ競争優位性だと考えています。すなわち 、 タル・マーケティング・ソリューションを組み合わせた商品・ソ
「勝てる」広告キャンペーンの策定から、
「顧客価値向上」のた リューションは 、まさにその把握のためにうってつけの存在で
めの商品イノベーションや開発戦略の立案まで 、顧客企業の あり、進化し続ける今日の経済環境に適合したものだといえます。
ビジネスの成功に向けた意思決定を後押しすることです。その
た め に は 、特 にデジタル 領 域 にお ける厳しい 要 求 に的 確 に 成長戦略と業績目標
応えることが決定的に重要であり、当社グル ープのシステム、 私たちの事業成長の実現に向けて、日本での事業拡大、グロー
ソリューション、オペレーション体制はそのために設計・構築 バル戦略の加速、次世代デジタルソリューション、という3つの
されています。その意味で私たちの強みは、顧客が今日のビジ ゴールを設定しました。これらの3つのオーガニックな成長戦
ネスを遂行する上で求めている 、規模、スピード、コスト要求 略に加えて、地理的/ウォレットシェア拡大、パネルアクセスの
の全てを充たす、高品質なリサーチ・ソリューションを提供で 拡大、テクノロジー/ソリューションの強化の3つの柱をターゲッ
きていることだと考えています。 トにM&Aを通じた成長の機会を引き続き検討していきます。
A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C . 09




スコット・アーンスト
取締役兼代表執行役社長 グロー バル CEO
10 A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C .




こうした成長戦略に基づいて 、2016 年6月期から2019 年6 株主還元と投資家の皆様へのメッセージ
月期にかけて3 年間のオーガニックな連結売上収益を、年平均 私たちのゴ ー ルは 、適切なレベルでの戦略的な投資を続け、
10%で成長させることを目標としています。そのために、グロー 新たなイノベーションを生み出しながら成長することです。当
バル売上収益比率を約30%から約40%に高め 、デジタル売上 社グループは 、効率的なオペレーションの実現による業界トッ
収益比率を約10%から約20%に倍増させることを 、併せて目 プクラスの収益性を誇っており、強いキャッシュ・フロー創出
指したいと思います。 力を持っています。私たちは 、そうして創出したキャッシュを
2018 年6月期 の 連 結 売 上 収 益 は400 億24 百 万 円(前 期 比 将来に向けた成長投資に積極的に振り向け、株主価値の増大
13%増)
となり、グロー バル売上収益は27%増、デジタル売上 を目指す方針です。
収益は50%増となりました。この結果、連結売上収益に占め また同時に 、さらなる負債削減にも注力し 、強固な財務基盤
る割合は 、グロー バル売上収益比率が37% 、デジタル売上収 を築くことが、株主の皆様と私たちの共通の利益の実現に資す
益比率が17%とそれぞれ順調に増加しています。 ると考えています。一方で株主還元については、安定的かつ継
マーケティング・リサーチ業界では、国内外共にオンライン・ 続的な増配を実現する形で、剰余金の配当を行っていく方針で
マーケティング・リサーチの需要が拡大を続けており、マーケッ す。2018 年6月期の1 株当たり配当金は7円とさせていただき、
トの拡大に伴い当社の実績も大きく伸長することが見込まれ 2019 年6月期の1 株当たり配当金は9 円を予定しています。
ます。中でも 、デジタル広告の国内外での急成長を受けて、デ
ジタル・マーケティング・ソリューションが著しく成長を牽引 私たちの旅路を 、共に歩んでくださる皆様に 、心より御礼申
しています。また 、私たちの顧客企業は 、効果的なマーケティ し上げます。私たちは 、適切な市場に非常に良い立ち位置で臨
ングを行うために 、自社デ ータベースを構築し 、ダッシュボ ー み、かつ 、適切なソリューションを 、適切な規模で 、適切なタ
ドをリアルタイムで確認したいという課題を抱えています。さ イミングに持ちこんでいる 、と確信しています。私は 、マーケ
らには、デジタル行動データと実際の消費・購入データが融合 ティング・リサーチとデジタル・マーケティング・ソリューショ
したデータベースに対する需要もあります。 ンにまたがった領域における市場のパイオニア、或いはチャレ
このような事業環境において私たちは 、当社の堅強な事業 ンジャーであり続けることで 、私たちが「唯一無二のグロー バ
基盤を活用し 、引き続きグロ ー バルな売上増加に努めます。 ル・デジタル・リサーチ・カンパニー 」を創出することができる
また 、リサー チ事業の生産性の一層の向上にグロー バルで取 と信じています。
り組むとともに 、適切なコスト管理を通じて安定した利益成
長を図ります。同時に 、当社の重点領域 、とりわけデジタル・
マー ケティング・ソリューション事業において競争力を確立・
維持するために、人材の採用と能力開発への投資も行います。
財務面では 、2018 年 7 月に社債発行を行い 、その調達資金
を外貨建ての既存借入金の早期返済に充当しました 。これに
より 、短期的にはリファイナンスに伴う一次的な費用が発生
しますが 、中長期的にはファイナンス費用の一層の削減につ スコット・アーンスト
ながると考えています。 取締役兼代表執行役社長 グロー バル CEO

2019 年 6 月期の業績は、継続的なオー ガニックな成長に加
えてM&A によるプ ラス の 影 響 を 見 込 んで います。2017 年
10 月に買収した米 Acturus 、2018 年 7 月に買収した株 式 会
社東京サ ー ベイ・リサ ー チが 、2019 年 6 月期から連結化され
ます。この結果 、中期事業計画に基づきグロ ー バル売上収益
比 率および デジタル売 上 収 益比 率の向 上により 、2019 年 6
月期の連結売上収益は464 億円を予想しています。
A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C . 11




な ぜ「唯 一 無 二の
グロー バル・デジタル・
リサー チ・カンパニー 」
を目指すのか?




ANNUAL REPORT 2017
For the Year Ended June 30, 2017
12 A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C .



な ぜ 唯一無二のグロー バル・デジタル・リサー チ・カンパニー 」
「 を目指すの か?

そこに 巨大な市場機会 があるからです


マクロミルの市場機会※1




マーケティング・リサーチ デジタル・マーケティング※2
マーケティング・リサーチ市場規模:2017A 広告市場規模:2017A
CAGR
(実績値ベース)
:2012A-2017A CAGR
(予想値ベース) :2017A-2022E




MR市場規模 グローバル広告費



(CAGR 3%)

億米ドル
※3

5,780
(CAGR 7%)
: ※4
億米ドル

グローバル戦略の
加速




オンラインMR デジタル広告費


180 :
億米ドル
(CAGR 10%)
※3
2,310
(CAGR 15%)
: ※4
億米ドル




グローバル

3 次世代
デジタル戦略
日本



6 億米ドル※5
(CAGR 5%)
: ※3




20 億米ドル※5
(CAGR 3%)
: ※3

日本での
事業拡大


出所:
Global Market Research spending: ESOMAR- Global Market Research (2018/9)
Japan Market Research spending: Japan Marketing Research Association (2017/7, 2018/7)
Ad spending: eMarketer- Worldwide Ad Spending (2018/9)

注記
※1 上記図表は例示を目的としたもので、 市場規模との相関性や各市場における当社グループの収益性を表したものではない
※2 デジタル広告市場全体を表しており、 現時点では当社グル ープが提供していないサ ービスに起因する売上も含む 。当社としてはデジタル広告市場全方位に拡大していく計画は
ないが、デジタル広告市場全体は当社が提供するデジタル・マー ケティング事業と密接に関係するため、 事業の成長性をご理解いただくための参考として掲載している
※3 実績値CAGR:2012 年〜 2017 年
※4 予想値CAGR:2017 年〜 2022 年
※5 為替レート:1 米ドル=110 円
A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C . 13




グロー バルでデジタルなマーケティング・リサーチ企業だけが実現できる成長を目指します
日本のマーケティング・リサーチの市場規模は 、20億米ドルで 特にデジタル・マーケティングの市場規模は急速に拡大してお
年平均成長率3%と徐々に成熟化が進みつつあるように見えますが、 り、グローバルな広告費が全体で 5,780 億米ドル、年平均成長率
そのうちの6億米ドルを占めるオンライン・マーケティング・リサー 7%であるのに対して、デジタル広告費は 、年平均成長率15%と
チ市場は年平均成長率5%と市場全体を上回るペースで成長して はるかに早いペースで拡大しています。Webサイトやネット動画、
おり、今後もこの傾向が続くと予想されます。これまで当社グルー 携 帯 電 話、SNSなどを中心としたデジタル広 告へのシフトが 、
プは 、この日本市場における成長機会を捉えることを重視してき 大きく加速していることがその背景にあります。そうした中で顧
ましたが、唯一無二のグローバル・デジタル・マーケティング・カ 客企業は 、より細分化された消費者ターゲティングと、それに合
ンパニーを目指すことにより、より高い成長性が期待できるグロー わせたより高度で洗練されたマーケティング戦略やキャンペーン
バルな市場機会も併せて追求していきたいと考えています。 を検討する必要があり、それを実現する上で当社グループの提供
グロー バル・ベースでのマーケティング・リサーチの市場規模 するデジタル・マーケティング・ソリューションが活用されるで
は460 億米ドルとなっており、なかでもオンライン・マーケティ あろう中、当社グループの事業の更なる成長が期待できると考え
ング・リサーチ市場は 、年平均成長率10%と大きく成長していま ます。
す。今後も消費者の行動や関心はますます複雑化していく中で 、 当社グループでは、目の前に広がるこうした巨大な市場機会を、
顧客企業は彼らのビジネスにおけるより良い意思決定に役立つ、 ①日本での事業拡大、②グロー バル戦略の加速、③次世代デジタ
信頼性の高いデ ータやインサイト、インテリジェンスを必要とし ル戦略の3つの視点で捕捉することで 、2016 年6月期から2019
ており、マーケティング・リサーチに対する需要はますます拡大 年6月期にかけて年平均成長率10%の連結売上収益の成長を目
するものと考えられます。 指していきたいと考えています。



連結売上収益の成長予測(イメージ)

目標:10% 程度の連結売上収益 CAGR ※6…2016/6~2019/6
グローバル売上収益比率※7 約 30% 約 40%
連結売上収益に占める割合
デジタル売上収益比率※8 約 10% 約 20%
2016/6 実績 2019/6 予測 3

次世代
2 デジタル戦略
グローバル戦略の

加速
日本での
事業拡大




オーガニック成長




2016/6 3 年後


※6 将来見込まれるM&Aや戦略的提携による影響は除外
※7 グロー バル売上収益比率= (日本企業のグロー バル・リサー チおよび海外拠点からの年間売上収益 (いずれも管理会計基準)÷連結売上収益

※8 デジタル売上収益 = (AccessMill, DMP Solutions, ACT Copy, CEなどのデジタル・マー ケティング・ソリューションからの年間売上収益 ( 管理会計基準 )) ÷ 連結売上収益。
当社では 、①デジタル・マー ケティングのみを対象とするソリュー ションであること 、 ②デジタル・メディア、ウェブサイトその他のデジタル媒体のモニタリングまたは分析を
行うものであること 、 ③非サ ー ベイデ ー タであるデジタルデ ー タまたはソーシャルデ ー タを活用するものであること 、 ④顧客に対する納品が 、 Dashboardなどの高付加価値
のデジタル形式で行われること、 のいず れかに該当するマー ケティング・リサー チ・ソリュー ションを、 「デジタル・マー ケティング・ソリュー ション」 に分類している
14 A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C .



な ぜ 唯一無二のグロー バル・デジタル・リサー チ・カンパニー 」
「 を目指すの か?

そこに 巨大な市場機会 があるからです



1 日本での事業拡大



MR市場規模の拡大 更なるオンラインMRの浸透※1 オンラインMRにおける市場シェアの拡大※2

アドホック・オンラインMR 市場の 従来型MRからオンラインMRへのシフト 優位なポジションと強みを活かした
堅調な成長 市場シェア拡大
CAGR
CY2012A-2017A
億円 2,147 3.4%

1,819
CY2009 FY2010/6
オンラインMR
1,475 3.3%
36%
1,296



607 645 672 5.1% 従来型MR


CY 12 13 14 15 16 17
アドホック オンラインMR
・ その他MR
出所:日本マー ケティング・リサー チ協会(2018/7)



広告支出に占めるMR 支出の
割合から見る今後の拡大余地
24.7%
CY2017 FY2018/6

15.6%
12.2% 従来型MR 48% オンラインMR
10.6%

4.9%
2.6%

イギリス フランス ドイツ アメリカ 日本 中国

出所: ESOMAR, Global Market Research (2018/9) 出所:ESOMAR, Global Market Research (2018/9、2010/9)




日本事業は引き続き、当社グループの「ビジョン」の実現に向けた、安定的、持続的、かつ強力な成長エンジンとなります
前述の通り、日本のマー ケティング・リサ ー チ市場の中では 、 社グループは、この変化の恩恵を最も大きく受けることができる、
アドホック・オンライン・マー ケティング・リサ ー チ MR )
( 市場 理想的な立ち位置にいるといえます。
が年平均成長率 5.1%と市場全体を上回るペースで拡大してい オンラインMR 市場における先駆者としての当社グル ープは 、
ます。また 、日本における広告支出に占めるMR 支出の割合は 、 自社で保有する良質な消費者パネル、強固な営業ネットワーク、
他の先進諸国と比較してかなり低い水準にあり、ここにも大き 拡大する顧客基盤 、多彩な商品・ソリューション・ポ ートフォリ
な市場の拡大余地があると考えています。このような環境の下で、 オ、そして 、グル ープ全体に深く浸透しているイノベー ティブな
従来型のMRからオンラインMRへのシフトが加速しており、オ 企業文化を最大限に活用し 、市場シェアを拡大していくことが
ンライン MR 市 場 に お けるリー ディング カンパ ニ ー で あ る当 できると考えます。


注記
※1 オンラインMRの浸透率= (各国におけるオンライン定量調査への支出額) ÷各国におけるMR 支出総額
※2 オンラインMRの市場シェア (FY2018/6)(マクロミル単体および電通マクロミルインサイトの日本におけるオンラインサービス売上収益
= (FY2018/6)÷日本マーケティング・

リサーチ協会により計算された日本におけるアドホック・オンラインMRの売上収益合計 (2017 年度) オンラインMR 市場シェア
。 (FY2010/6)=マクロミル単体のオンラインサー
ビス売上収益(FY2010/6)
÷日本マーケティング・リサーチ協会により計算された日本におけるアドホック・オンラインMRの売上収益の合計 (2009 年度)
A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C . 15




2 グローバル戦略の加速



MR市場規模の拡大 更なるオンラインMRの浸透 市場シェアの拡大

オンラインMRの成長率は MR 支出全体におけるオンラインMR ※1 グロー バルMR 市場シェア
従来型MRを上回る 浸透率※2 の余地
十億米ドル 39.0%
約 31 %
CY2017 (CY2017)
CAGR
28.0%
CY2012A–2017A
Nielsen
2.9%
45.8
14%
39.7
KANTAR
9%
28.0 ‒0.4%
48% Ipsos
4%
28.6 40% 69 %
37% 4%
(CY2017) GfK
30%
20% 21%
16.9 17.9 10.0%
11.2 12.9 13.7
11.1

CY 12 13 14 15 16 17 日本 中国 フランス ドイツ イギリス アメリカ
約 40 %
(CY2009)
オンラインMR※1 従来型MR MR
6位 5位 4位 3位 2位 1位
オンラインMR※1浸透率※2 市場規模

出所: ESOMAR, Global Market Research 出所:ESOMAR, Global Market Research (2018/9) 出所: ESOMAR, Global Market Research
(2018/9) (2018/9、2010/9)




グロー バルなリサーチ企業になることで、より多くの成長機会を取り込むことができます
グロー バルのマーケティング・リサー チ市場は拡大を続けて 2017 年にかけて、Big4と呼ばれる従来型MRを主力サービスと
います。この成 長を支えているオンラインMRは年 平 均 成 長 率 するグ ロ ー バ ル・マー ケティング・リサ ー チ企 業トップ 4 社 の
10.0%と、従来型MRを上回る急速な成長を遂げています。特に、 合計シェアは 、約40%から約31%へと9 ポイント低下しました。
MR 市場規模のトップ5 の国々(アメリカ、イギリス、ドイツ、フラ 当社グル ープに代表される 、迅速で 、柔軟、かつよりコスト競争
ンス、中国)においては 、MR 市場全体に占めるオンラインMRの 力のあるソリューションを提供するプレイヤー に対する認識が 、
浸透率が相対的に低い状況にあり、オンライン・マーケティング・ 顧 客 企 業の間に広まっているためだと考えます。結 果として 、
リサーチに強みを持つ当社グループにとって、大きな市場成長の より多くのマーケティング・リサーチおよびデジタル・マーケティ
機会があると考えます。 ング関連ビジネスとプロジェクトが 、従来型 MR 企業から当社
当社グル ープは 、この市場におけるディスラプター(創造的破 グループの様な新興企業へと移行している状況にあり、今後もこ
壊者)或いはチャレンジャー として、従来型のグロー バル・プレ の傾向は継続すると考えます。
イヤー からの市場シェア奪取を目指していきます。2009 年から


注記
※1 オンライン定量調査のみ算出対象。ESOMAR 資料において除外されているトラフィック測定 、 視聴率測定および定性調査は含まない
※2 オンラインMR 浸透率=各国におけるオンライン定量調査 PCオンライン + モバイル/スマートフォンオンライン)
( に対する支出額÷各国におけるMR 支出総額
16 A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C .



な ぜ 唯一無二のグロー バル・デジタル・リサー チ・カンパニー 」
「 を目指すの か?

そこに 巨大な市場機会 があるからです



3 次世代デジタル戦略



デジタル広告市場の成長 更なるデジタル マーケティング ソリューションの浸透
・ ・

デジタル広告は今後も従来型広告を上回って成長 特に日本における拡大余地は大きい
世界メディア広告市場規模 総売上収益に占めるデジタル・マーケティング・ソリューションの割合(%)
MetrixLab Group セグメント
CAGR Macromill Group セグメント
(日本+韓国)※1
(日本 韓国を除くグローバル)※1

十億米ドル CY2017A–2022E
811.2 7.1% 40.1%
デジタル広告 従来型広告
36.4%


30.3%
576.9 353.3 0.4% 4Y CAGR
(2014/6-2018/6)※2



346.1
+ 88%

457.8 14.7% 9.4%
420.1
380.4
327.3 6.2%
279.6 4.2%
230.8 2.6%
1.1%

CY 2017A 2018E 2019E 2020E 2021E 2022E 2014/6 2015/6 2016/6 2017/6 2018/6 2016/6 2017/6 2018/6

出所: eMarketer, Worldwide Ad Spending (2018/9)



デジタル広告市場の成長に伴って、デジタルに強みを持つマーケティング・リサーチ企業には大きな成長機会が見込まれます
デジタル・テクノロジー の進化により、デジタル広告市場は年平均 MetrixLabでは 、2018 年6月期の売上収益において 、デジタル・
成長率14.7%と、従来型広告市場の年平均成長率0.4%を大きく上 マーケティング・ソリューション事業が占める割合は既に40.1%
回って成長しています。デジタル広告市場が力強く成長するという に達している上、今後も更なる伸長が見込まれます。一方で日本
ことはすなわち、当社グループが提供するデジタル・マーケティング・ においては 、デジタル化の波がまさに到来しているタイミングに
ソリューションについて、より大きな需要が喚起されることにつな あたり、デジタル・マーケティング・ソリューション事業の売上増
がります。より具体的には、デジタル広告のプリテストや効果測定、 加はより著しく、2014 年6月期から2018 年6月期にかけての4 年
データ・マネジメント・プラットフォーム
(DMP)
などを通じて、顧客 間の年平均成長率は88%に達しています。しかし 、同事業セグメ
企業のマーケティング支出の最適化を支援することになります。 ントの売上収益に占める割合は依然として9.4%に過ぎず、今後に
当社グル ープはこれまでに 、顧客企業のニーズを的確に捉えた 向けて継続的かつより大きな拡大余地があります。
デジタル・マーケティング・ソリューションを開発・提供し 、その 当社グル ープは 、今後もイノベーティブで比較優位性のある商
事業拡大を着実に実現してきた実績があります。特に 、欧米にお 品およびソリューション・ポ ートフォリオの提供を通じて、デジタ
いては 、マーケティング領域におけるデジタル化の波が日本より ル・マーケティングに係る事業領域で顧客に選ばれ続ける企業と
も一 段 早く到 来しており、この 地 域で 主 に 事 業 を 展 開している なることを目指します。


注記
※1 Macromill Groupセグメントのデジタル売上÷Macromill Groupセグメントの総売上。MetrixLab Groupセグメントのデジタル売上÷MetrixLab Groupセグメントの総売上。
デジタル・マーケティング・ソリューション:デジタルデ ータやデジタル施策を使っ たマーケティング活動の総称であり、 広告のプレテスト、さまざまなメディア・媒体における
広告効果測定。 ソーシャルメディア分析などを指す。 マクロミルグループでは、 ①デジタル・マーケティングのみを対象とするソリューションであること、 ②デジタル・メディア、 ウェ
ブサイトその他のデジタル媒体のモニタリングまたは分析を行うものであること、 ③非サーベイデータであるデジタルデータまたはソーシャルデータを活用するものであること、
④顧客に対する納品が、 Dashboardなどの高付加価値のデジタル形式で行われること、 のいずれかに該当するマーケティング・リサーチ・ソリューションを 「デジタル・マーケティ
ング・ソリューション」 に分類
※2 日本のデジタル・マー ケティング・ソリューション売上収益の成長を示すCAGRは 、 日本の総売上収益に占める割合に基づき計算されている。2014 年 6 月期はJ-GAAPベース、
2015 年6 月期以降はIFRSベース 。J-GAAPとIFRSは会計基準が異なるため、 必ずしも直接的に比較することが適切でない場合がある。 当社の見解では 、 当社の連結売上収益
をJ-GAAPからIFRSに移行する上において特段重要な調整は行っていないため 、 IFRS 移行後の2018 年 6 月期までの4 事業年度においても 、適切に売上収益のトレンドを表し
ていると考えている
A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C . 17




更なる飛躍を目指して―M&A戦略の3つの柱


当社グル ープは 、 つのオ ー ガニック成長戦略に加えて 、
3 M& A を活用したインオ ー ガニックな成長も目指しています。
これまでのM&Aによる価値創造の実績と統合ノウハウを活かし、今後も3 つの視点からM&Aの機会を追求していきます。




地理的 /ウォレット パネルアクセスの テクノロジー/

シェア拡大 拡大 ソリューションの強化




M&Aおよび戦略的提携の実績

2010年 買収※ 日本 2011年 買収 オランダ 2012年 買収 韓国




Technology /
1 2 3 1 2 3 1 2Solution 3

パネル基盤の倍増 ソーシャルメディア分析機能の獲得 アジアクライアントおよび
パネルへのアクセス獲得


2012年 ジョイントベンチャー設立 日本 2013年 買収 アメリカ 2014年 買収 オランダ






安定収益獲得と新領域へのサービス開発力 アメリカパネルへのアクセス グローバルアクセスおよび
高付加価値ソリューション


2015年 戦略的提携 日本 2015年 戦略的提携 オランダ 2017年 戦略的提携 資本提携
・ 日本
2018年 買収






官公庁案件へのソリューション強化 モバイル分野のソリューションおよび 脳波/生体情報を活用したソリューション
パネル強化 への取り組みを開始
10%持分の取得>51%保有の連結子会社化


2017年 買収 アメリカ 2017年 戦略的提携 資本提携
・ インドネシア 2018年 買収 日本
タイ
ベトナム






アメリカ イギリスにおけるノウハウ、
・ 顧客基盤、 東南アジアクライアントおよび ウォレットシェア拡大機会の獲得とオンライン/
インフルエンサー ソリューションの拡大
・ パネルへのアクセス獲得 オフライン統合ソリューション提供力の強化
第3者割当増資による10%持分
の取得


注記
※ マー ケティング・リサー チ事業のみ
18 A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C .




経営基盤




コーポレート・ガバナンス
コー ポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方 (2) 酬委員会


当社グル ープは 、当社グル ープの役員および従業員に対して日  取締役および執行役の個人別の報酬内容を決定する機関で
常の業務遂行において遵守すべき事項の礎として「マクロミル行動 す。取締役3 名により構成されており、そのうち2 名は社外取
規範」を定めています。
「マクロミル行動規範」 、
は マクロミルの経 締役です。
営理念を根底に、マクロミルにおける全ての役員および従業員(正
社員、契約社員、パート・アルバイト、嘱託社員、派遣社員および (3) 査委員会


出向社員を含む)があらゆる企業活動のなかで 、必要な社会的責  取締役および執行役の業務執行に関する違法性および妥当
任を十分に認識し 、社会倫理に適合した行動をとることがマクロ 性についての監査並びに株主総会に提出する会計監査人の選
ミルの適正かつ健全な発展に必要不可欠であるという方針のもと、 任および解任に関する議案の内容を決定する機関であり 、原
「法令等の遵守」 社会との関係」 人権の尊重」 誠実な企業活動」
「 「 「 則毎月1 回開催されています。監査委員会は 、取締役3 名によ
の各項目について詳細な行動規範を定めています。当社グループは、 り構成されており、そのうち2 名は社外取締役となっています。
「マクロミル行動規範」を基に健全性および透明性の高い経営を実
現すべく、コー ポレート・ガバナンス体制を確立するとともに 、継 業務執行機能
続的な見直しと充実を図っていきます。 ■代表執行役、執行役
当社は、執行役のなかから代表執行役2 名を選任しています。代
コー ポレート・ガバナンス体制の概要 表執行役は 、業務執行最高責任者として当社を代表し 、取締役会
当社は 、適時情報開示を積極的に行うことで経営の透明性と公 の決議に基づき委任を受けた業務を執行します。また代表執行役
正性を高め 、遵法経営を念頭に置きながら永続的利益の追求によ は、取締役会に対し 、業務執行状況および月次決算の状況につい
る企業価値の最大化を図っていきます。また社会環境の変化に迅 て毎月1 回の月次決算に関する報告に加えて、四半期に1 回、業務
速に対応し得る経営組織を構築し維持することおよび当社のステー 執行状況の報告を行っています。執行役は代表執行役を補佐し 、
クホルダー との調和をとりながら、株主重視を意識した経営の舵 業務執行の推進責任および監督責任を負っています。
取りをしていくことで、実効性のあるコー ポレート・ガバナンス体
制を構築することが重要であると認識しています。 ■執行役会
代表執行役および執行役により構成され 、取締役会の決議によ
経営監督機能 り委任を受けた業務執行の重要事項を多数決により決議します。
■取締役会
取締役会は経営の最高意思決定機関として 、毎月1 回以上開催 内部監査および監査委員会監査
され 、当社では 、会社法416 条に規定する専権事項を中心とした 当社は 、内部監査を担当する部署として、内部監査室を設置して
重要事項について決定することとしています。取締役会は 、 名の
6 います。内部監査室には専任の内部監査室長1 名を置き 、全部署
取締役により構成されており、うち4 名は社外取締役です。当社で を対象に監査を実施しています。また、監査委員会は、取締役1 名、
は、次の委員会を設置しています。 社外取締役2 名により構成され 、監査を実施しています。なお 、日
常的な監査については 、監査委員会決議により選任された監査補
(1) 名委員会

指 助者2 名により行われています。監査体制や監査範囲などに関し、
 株主総会に提出する取締役の選任および解任に関する議案 内部監査室と監査委員会および会計監査人は緊密に連携して活動
の内容を決定する機関です。指名委員会は 、取締役3 名から構 しています。
成されており、そのうち2 名は社外取締役です。
A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C . 19




コンプライアンス推進会 コーポレート・ガバナンス体制

当社は 、全社的なコンプライア 株主総会
選任 解任
・ 選任 解任

ンス体制の強化・推進を目的にコ
ンプライアンス推 進 体 制を整 備、 監督
取締役会
取締役の選任・
コンプライアンス最高責任者を代 解任議案の決定
選定 解職

連携
表執行役とし 、法務・総務部門を
管掌する執行役を会長とするコン 監査委員会
指名委員会 報酬委員会 監査
指示
プライアンス推進会を設置してい
ます。コンプライアンス推進会で 監査委員会補助人

は、コンプライアンスに関する方
選任 解任
・ 選定・ 監督 監査
針・施 策の検 討と推 進、コンプラ 解職 会計監査人

イアンス体制の推進と改善、企業 執行 執行役会
指示
理念・企業行動基準の周知徹底と 代表執行役 内部監査室
コンプライアンス推進会
(代表執行役、法務・総務
遵守の総括管理を行っています。 部門管掌執行役、 査監
指揮

委員) 執行役

役員報酬など 指示 報告 監査
経営会議
当社は 、報酬委員会を設置して
指示 報告
おり、取締役および執行役の報酬
担当部署
などの額の決定に関する方針を定
めています。同 委 員 会 は 、 名 の

社外取締役、 名の取締役で構成されており、
1 委員自身の報酬など ■執行役
に関する事項が議論される場合には 、当該委員の出席はできない 執行役の報酬は 、委任された職務において 、求められる役割、
ものとしています。またその決定方法の概要は以下のとおりです。 与えられる権限、果たすべき責任の大きさを勘案し 、他社の報酬
水準に関する調査結果などを考慮した上で 、役位別の報酬基準額
■取締役 を決定します。報酬基準額は 、
「基本報酬」および「業績連動報酬」
取締役の報酬は 、経歴、専門的知識および能力水準、これまで で構成され、役位別にその比率を設定します。基本報酬は定額とし、
の報酬実績、担当する役割並びに他社の報酬水準に関する調査結 業績連動報酬は個人別の財務目標の達成率やミッション達成度な
果などを勘案して、報酬委員会において個人別の報酬額に基づき どの評価項目に対する評価結果に基づき毎期決定します。
決定しています。




2018 年6月期の役員報酬実績
報酬などの種類別の総額(百万円)
報酬などの総額 対象となる役員の
役員区分 (百万円) 基本報酬 ストックオプション 賞与 退職慰労金 員数(名)

執行役 219 159 — 60 — 8
社外取締役 27 27 — — — 3
計 247 187 — 60 — 11
20 A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C .




経営基盤




取 締役および執行役紹介
2018 年 9 月 26 日現在




取締役




水島 淳 ローレンス・ウェバー 入山 章栄 スコット・アーンスト 西 直史 西山 茂




執行役

スコット・アーンスト 佐々木 徹 岡 慎一郎
代表執行役社長 グロー バル CEO 代表執行役副社長 日本担当 執行役副社長 グロー バル CHRO


清水 将浩 ヤン・ウィレム・ゲリッツェン
執行役副社長 グロー バル CFO 執行役副社長 欧米担当
A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C . 21




スコット・アーンスト 1987 年、IVY Fund Group 入社。WPPグループのマーケティング・リサーチ企業である
取締役兼代表執行役社長 グロー バル CEO 、 Kantarグル ープのデジタル・マーケティング・ソリューションの提 供を担うMillward
指名委員 、報酬委員 Brown Digital 最高経営責任者などを経て 、2015 年、当社取締役兼代表執行役 グロー
バルCEOに就任。


西 直史 2004 年、マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。2007 年、ベインキャピタル・プライベー
取締役 、監査委員 ト・エクイティ・ジャパン・LLC 入社。2014 年、当社執行役に就任。2017 年、当社取締
役に就任。


入山 章栄 1998 年、
(株)三菱総合研究所 入社。2013 年、早稲田大学大学院経営管理研究科 准教
社外取締役 独立役員) 指名委員 、
( 、 授に就任。2016 年、当社社外取締役に就任。
報酬委員
選任理由
株式会社三菱総合研究所でのコンサルタントとしての経験および現在の早稲田大学大学
院経営管理研究科の准教授としての研究・教育活動や、企業へのアドバイスなどの実績を
踏まえ 、社外の立場から見た 、健全で透明性のある経営・企業統治へのモニタリング・
アドバイスおよび経営学者としての立場からの企業経営・ガバナンスへのアドバイスを
いただけるものと判断し、社外取締役として選任しています。


水島 淳 2005 年、西村ときわ法律事務所(現西村あさひ法律事務所)入所。2016 年、西村あさひ
社外取締役 独立役員) 監査委員
( 、 法律事務所パートナー弁護士に就任。同年、当社社外取締役に就任。

選任理由
コンプライアンス·ガバナンス体制の強化を図るため 、企業グル ープのコンプライアンス
に関する高い識見と監督能力を有し、また、当社の今後のグロー バル展開を見据えて国際
法務に関する知見を有しており、当社の社外取締役として適任であると判断し、選任して
います。


ローレンス・ウェバー 1981年、Figgie International 入社。2006年、Racepoint Global CEOに就任。2016年、
社外取締役 独立役員) 指名委員 、
( 、 当社社外取締役に就任。
報酬委員
選任理由
デジタル・マーケティング領域に関する豊富な知見や企業経営者としての長年の経営経験
を有しており、グロー バル・デジタル・リサーチ・カンパニー を目指す当社において、経営
力の一層の強化に資すると判断し、社外取締役として選任しています。


西山 茂 1984 年 、監査法人サンワ事務所(現有限責任監査法人トーマツ)入所。2016 年、早稲田
大学大学院経営管理研究科 教授に就任。2018 年、当社社外取締役に就任。
社外取締役 独立役員) 監査委員
( 、

選任理由
公認会計士、早稲田大学の教授としての高度な専門性、職業倫理および監督能力、ならび
に上場企業での社外取締役・社外監査役としての豊富な経験を活かし、特に当社の財務会
計領域におけるガバナンスの強化に資すると判断し、社外取締役として選任しています。
22 A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C .




経営基盤




Our Culture
One Macromill
マクロミルは 、行動指針(Values)の一つとして、 Act Now, Act Together」を掲げています。常にチームワー

クとコラボレーションの精神を忘れず、部門・会社・国境などあらゆる壁を越えて連携することを大切にしており、
そのための文化づくりとして、さまざまな取り組みや制度づくりを推進しています。




1. 社内イントラネット Global NOW」

世 界中の社員へグル ープの“ 今 ”を伝えることをコンセ
プトにした社内イントラネット NOW 」「 Global NOW」
「 と
では、役員・社員が共に活動報告を随時ブログにアップデー
トしています。この 取り組 み は 、一 般 社 団 法 人 経 団 連 事
業サ ー ビス社内広報センタ ー が主催する2017 年度経団
連推薦社内報審査のイントラネット Web )
( 社内報部門に
お いて 総合賞 」
「 を受賞しました 。




2. Global Kick-Off Meeting
半年に一度、グループ全体で Global Kick-Off Meeting」

を実施しています。このキックオフミーティングでは 、グ
ル ープ全体の直近の業績、グル ープのビジョンを実現する
ためのNext Challengeなどが全社員に共有されるほか 、
Valuesを体 現し 、高いパフォーマンスを発 揮した個 人や
チームが表彰される場となっています。




3. Recognition Club
「 Recognition Club」はマクロミルグル ープ全社レベル
での表彰プログラムです。年間を通じてマクロミルグル ー
プに対して大きな貢献をしたチームが各社よりノミネート
され 、グル ープの全役員による選考会を経て、貢献度の大
きかっ たチームを表彰しています。受賞したチームのメン
バー には 、貢献への感謝の意を込めて報奨旅行が授与され
ます。
A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C . 23




4. Talent Exchange Program
マクロミルグル ープ内の国・拠点・会社を越えた人材交
流のために 、短期留学制度を設けており、グル ープ内の相
互理解、ナレッジ共有、また人材開発を促進する機会とし
ています。




5. Global Job Posting Board
マクロミルグル ープ には 業 務 ポジションのグル ープ 内
公募制度があります。グル ープ各社のオープンポジション
は常時社内イントラネットに掲載されており、マクロミル
グル ープ の社 員であれ ば 、誰でも自由 に応 募することが
できます。




6. プレゼンテーションイベント
「わたしのしごと」
マクロミルグル ープでは 、社員が自分の経歴、仕事内容、
身につけてきたスキルなどを他の社員の前でプレゼンテー
ションするイベントが定期的に開催されています。この機
会を通じて、プレゼンテーションする側はこれまでを振り
返り、整理することで成長の実感を得られ 、参加者の側は 、
同僚の仕事ぶりやスキルから自分のキャリアを見つめ直す
機会となっています。この取り組みは、株式会社リクルート
キャリア主催の「グッド・アクション」の受賞をはじめ 、多
数のメディアでも紹介されました。




7. チームビルディングイベント Euphoria
「 (ユーフォリア)」
マ ク ロ ミ ル グ ル ープ の グ ロ ー バ ル 展 開 を 牽 引 する
MetrixLabで は 、年 に一 度 、インドオフィスの 社 員が 中
心となりチ ームビ ルディングを目的とした盛 大 なイベン
トが 催され ます。ダンスや 演 劇 などの パフォー マンスを
チ ームごとに分か れて一日が かりで競い合うこのイベン
トに は 、インド以 外 の オフィスからも多くの 仲 間 が 招 待
され 、国や文 化 、会 社 間を越えたグロ ー バルなグル ープ
間コミュニケー ションの場にもなっています。
24 A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C .




会社概要・株式データ



会社概要(2018年6月30日現在) 株式情報(2018年6月30日現在)
会社名 株式会社マクロミル 発行済株式総数 39,638,700株
本社所在地 〒108-0075 東京都港区港南2-16-1 株主数 4,923名
品川イーストワンタワー11F 上場市場 東京証券取引所 市場第一部
設立年月日 2000年1月31日 証券コード 3978
資本金 880百万円 定時株主総会 9月
従業員数 997名(単体) 株主名簿管理人 みずほ信託銀行株式会社 証券代行部
2,138名(連結) 〒168-8507 東京都杉並区和泉2-8-4




大株主の状況(上位10名、2018年6月30日現在) 株式分布状況(2018年6月30日現在)
持株比率
持株数 (%)
自己株式 国内法人
日本トラスティ サービス信託銀行株式会社
・ 96株 3,996,800株
7,153,500 18.0
(信託口) 10.1%
0.0%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 3,384,000 8.5

株式会社電通 2,930,000 7.4

大和証券株式会社 2,766,100 7.0
外国法人等 国内金融機関
UBS AG LONDON A/C IPB SEGREGATED
合計
1,562,969 3.9 16,117,043株 14,679,000株
39,638,700株
CLIENT ACCOUNT
40.7% 37.0%
GOLDMAN, SACHS & CO. REG 1,119,049 2.8

株式会社コロプラ 1,001,000 2.5

野村信託銀行株式会社(投信口) 814,700 2.1

NORTHERN TRUST CO. (AVFC) RE IEDU 国内個人等 国内金融商品取引業者
UCITS CLIENTS NON LENDING 15 PCT 740,000 1.9
1,785,728株 3,060,033株
TREATY ACCOUNT
4.5% 7.7%
RE FUND 116−CLIENT AC 733,409 1.9

注記 持株比率は自己株式
: (96株)を控除して計算しています。




株価 出来高の推移

株価 出来高
(円) (千株)
3,500 8,000

3,250 7,000

3,000 6,000

2,750 5,000

2,500 4,000

2,250 3,000

2,000 2,000

1,750 1,000

1,500 0
2017年 3 月 2018 年 1 月 10 月

出来高 株価 TOPIX

注記 TOPIXはマクロミルの公開価格
: (1,950円)で指数化しています。
A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C . 25




財務セクション




経営成績、財政状態に関する分析 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 26



連結財政状態計算書. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 30



連結損益計算書 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 31



連結包括利益計算書. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 31



連結持分変動計算書. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 32



連結キャッシュ フロー計算書 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 33
・ . .
26 A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C .




経営成績、財政状態に関する分析




経営成績の概況 当連結会計年度(2017 年7月1日~2018 年6月30日)における世界経済は 、中国を始めとしたアジア
新興国等の経済の先行き 、米国政権の政策運営に関する不確実性、新興金融資本市場の変動の影響等に
ついて不透明感があるものの 、米国、ヨーロッパ地域、アジア地域と世界的に穏やかな景気回復傾向が
続いていると認識しています。一方で日本経済においても、企業収益や雇用環境の改善などを背景に、消
費者マインドの持ち直しが見られ、今後も緩やかな回復が期待される状況にあると考えています。
こうした中で 、2017 年のグロー バルなマーケティング・リサーチ市場は458 億米ドル、そのうち当社
グループが主に手掛けるオンライン・マーケティング・リサーチ市場は179 億米ドルに達し※1、日本のマー
ケティング・リサーチ市場は2,147 億円、そのうちオンライン・マーケティング・リサーチ市場は672 億
円に達する※2 規模となっ たと認識しています。国内、海外共に市場は堅調な拡大を続けており、特にオン
ライン・マーケティング・リサーチが市場全体を上回るペースで成長している中、今後も当社の事業成長
にとって好ましい市場環境が継続するものと期待されます。
このような経済・市場環境の下で当社グル ープは 、国内外においてさらなる多様化やグロー バル化が
進む顧客企業のマーケティング課題の解決ニーズに対応すべく、幅広いマーケティング・リサーチ・サー
ビスのラインナップの拡充を推進すると同時に、消費者パネルから得られる属性、消費・購買、行動、意識、
生体情報等、多種多様で膨大なデータから導かれる高品質で革新的なインサイトを提供することで、引き
続き国内事業の安定的成長の追求、M&Aを含めた海外事業の基盤強化および、特に国内外における企業
のデジタル広告支出の最適化に資するデ ータを提供することを中心としたデジタル・マーケティング分
野の拡充に取り組んできました。
国内においては 、当社グル ープの主要取引先の一つである広告代理店との取引に 、同社の労働環境改
革への取り組みなどの影響による軟調さが残るものの、デジタル・マーケティング関連商材やグローバル・
リサーチ商材の販売が 、上記以外の広告代理店、電機、情報・通信、食料品、金融、自動車といっ たさま
ざまな業界の顧客に対して大きく伸長しました。特に当社単体が前年同期比9.3% 成長となる過去最高の
売上収益(21,918 百万円)を記録するなどグル ープ全体を牽引し 、結果として国内全体は前年同期比で
6.9% 成長し、同じく過去最高となる売上収益(27,448 百万円)
を記録しています。
海外においては 、当社グル ープの中では附帯的な事業と位置付けられる北米におけるパネル提供事業
において 軟 調 さが 継 続 したものの 、グ ロー バ ル なメディア 企 業、FMCG(Fast Moving Consumer
Goods:日用消費財)
メーカー、アルコー ル飲料メーカー、さらに韓国の大手自動車メーカー や電機メー
カー、政府・公共機関などを中心とした取引拡大等がありました。主要外貨の対円為替レートが前年同
期比で上昇したこと、2017 年10月に子会社化した米Acturusの業績が加わったことも追い風となり、海
外の売上収益は前年同期比26.9% 増となる力強い成長を継続し 、国内同様にグロー バル事業においても
過去最高となる売上収益(12,721 百万円)
を記録しています。
一方で費用面では 、第1 四半期においてアジア地域におけるグロー バル・キー・アカウント※3 向け調査
の拡大や売上収益のミックスの変動に伴う外部パネルの調達費用や外注費用の増加があり、また 、海外
事業およびデジタル・マーケティング事業分野の強化のための人員拡充を中心として予定されていたキャッ
チアップ/ 戦略的投資※4 の実施を継続したことに加えて、M&Aを通じて国内外で子会社化した企業の業
績取り込みに伴う費用増などにより 、売上原価および販売費及び一般管理費中の人件費は前年同期比
で増加しました。他方、昨年度計上していた上場関連費用が本年度においてほとんど計上されていない
こと、2017 年3月末に実施したリファイナンスによる金利引下げや為替の好影響があったことなどを受け、
販売費及び一般管理費ならびに金融費用は減少しました。
これらの結果、当連結会計年度の売上収益は40,024 百万円(前年同期比12.7% 増) 営業利益に減価償

却費等を加えたEBITDA
(利払・税引・償却前利益)
は8,660 百万円(同12.5% 増) 営業利益7,607 百万円

A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C . 27




百万円

2017 2018 増減率

売上収益 ¥35,514 ¥40,024 +12.7%
 マクロミルグループ 28,517 30,928 +8.5%
 MetrixLabグループ 6,997 9,095 +28.6%
EBITDA 7,696 8,660 +12.5%
 マクロミルグループ 6,577 7,667 +16.6%
 MetrixLabグループ 1,118 992 –11.3%
税引前利益 5,882 7,372 +25.3%
親会社の所有者に帰属する当期利益 3,706 4,719 +27.4%



(同11.5% 増) 税引前利益7,372 百万円
、 (同25.3% 増) 親会社の所有者に帰属する当期利益は4,719 百万

円(同27.4% 増)
となりました。


セグメントの業績 マクロミルグループ
当社単体、国内子会社および、一部海外子会社が属するマクロミルグル ープにおいては 、前述の通り、
過去最高を記録した国内の売上収益に加えて、韓国における子会社の取引拡大などがあり、セグメント全
体の売上収益が堅調に増大しました。また費用面では、前述のキャッチアップ/ 戦略的投資を行った中で、
コストの増加が大きかっ たものの 、昨年度計上していた上場関連費用が本年度においてほとんど計上さ
れていないことによる影響が大きく、売上原価ならびに販売費及び一般管理費の増加幅は売上収益の
増大に比して限定的でした。
以上の結果、マクロミルグル ープセグメントの当連結会計年度における売上収益は 、30,948 百万円(前
年同期比8.5% 増) EBITDAは7,667 百万円
、 (同16.6% 増)
となりました。


MetrixLabグループ
欧州や北米、中南米、中東およびアジアの一部といっ た地域で事業を展開するMetrixLabグル ープに
つきましては 、前述の通り、北米でパネル提供事業を展開する連結子会社のPrecision Sampleで外部
顧客向け売上収益が軟調な状況が年間を通じて継続したものの 、グロー バル・キー・アカウント向け調査
を中心に、イギリスや北米、東南アジアを中心とした各地域で主力の広告プリテスト商材や広告・キャンペー
ン効果測定商材等の販売が堅調に推移しました。これに加え 、2017 年10月に子会社化した米Acturus
の業績を取り込んだ影響もあり、売上収益は前年を大きく上回って増大し 、過去最高のセグメント売上
収益となりました。一方、費用面では 、海外事業の強化に向けた人員や事業拠点の拡充を力強く推進して
おり、また 、米Acturusの新規連結に伴う費用増等もあって、売上原価ならびに販売費及び一般管理費も
前年同期比で増加しました 。
以上の結果、MetrixLabグル ープセグメントの当連結会計年度における売上収益は 、9,198 百万円(前
年同期比28.6% 増) EBITDAは992 百万円
、 (同11.3% 減)
となりました。

注記
※1 2018年9月にESOMAR(European Society for Opinion and Marketing Research) が発表した ESOMAR Global Market Research

2018」による
※2 2018 年 7 月に一般社団法人日本マー ケティング・リサー チ協会が発表した 「第 43 回 経営業務実態調査」 による
※3 グロー バルに事業を展開し、 調査・マー ケティングに係る多額の予算を有する顧客企業グループのうち、 当社グループのさらなる成長の鍵
となる顧客 (キー・アカウント)として、 グロー バルに営業強化の対象としている企業群のこと
※4 過年度に計上予定の費用であっ たが 、 諸般の事情により実際の計上に至らなかっ たものにつき 、 今年度においてキャッチアップする形で
改めて計上した費用や 、 足許の事業環境の変化などを受けて 、 中期事業計画策定時には想定していなかっ たものの 、 戦略的に計上するこ
ととなった費用。 今年度において合計で400 百万円の計上を予定していたところ、 実際には392 百万円の計上となった
28 A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C .




財政状態の概況 当連結会計年度末の資産については 、75,230 百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,414 百万円増
加しました。これは主に、現金及び現金同等物の増加677百万円、営業債権及びその他の債権の増加2,355
百万円、のれんの増加890 百万円の増加要因などがあったためです。
負債については 、47,762 百万円となり、前連結会計年度末に比べ701 百万円減少しています。これは
主に 、営業債務及びその他の債務の増加 516 百万円、未払法人所得税等の増加 878 百万円などの増加
要因がありましたが 、借入金の減少2,462 百万円、その他の金融負債の減少339 百万円などの減少要因
があったためです。また、結果として当連結会計年度末時点の純有利子負債/ 調整後EBITDA比率は3.19
倍まで低下しています。
資本については27,468 百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,115 百万円増加しました。これは主
に、配当金の支払額425 百万円( 非支配持分への配当金の支払額も含む)がありましたが、当期利益5,170
百万円の発生などがあったためです。


キャッシュ・フロー の概況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、
「資金」という。 は 、
) 前連結会計年度末に比べ
677 百万円増加し 、9,124 百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フロー の状況と
要因は次のとおりです。


営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は、5,610 百万円(前期比122 百万円減)
となりました。
これは主に 、税引前利益7,372 百万円、減価償却費及び償却費1,052 百万円がありましたが 、営業債
権及びその他の債権の増加2,237 百万円、利息の支払額456 百万円、法人所得税の支払額1,267 百万円
などがあったためです。


投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果支出した資金は、2,101 百万円(前期比752 百万円増)
となりました。
これは主に 、有形固定資産の取得による支出357 百万円、無形資産の取得による支出669 百万円、子
会社の取得による支出1,044 百万円などがあったためです。


財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果支出した資金は、2,813 百万円(前期比657 百万円増)
となりました。
これは主に、短期借入れによる収入1,007 百万円がありましたが、短期借入金の返済による支出1,225
百万円、長期借入金の返済による支出2,411 百万円などがあったためです。
A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C . 29




配当政策 当社は 、株主に対する利益還元を重要な経営上の施策の一つとして認識しています。一方で 、将来の成
長投資に必要となる内部留保の充実と、財務基盤の確立、株主への利益還元を総合的に勘案することが
大切だと考えており、当社の資本コストを上回る投資案件がある場合には 、企業価値向上につながる戦
略的投資を実行し 、持続的な売上収益および利益成長を実現することと、それを可能とする健全な財務
基盤の確立を優先することが、株主の皆様との共通の利益の実現に資すると考えています。
従って当社は 、長期的には20% ~30% 程度の連結配当性向を目標としつつ 、当面の間は上記政策に沿
う範囲の中で 、株主の皆様に対して、安定的かつ継続的な増配を実現する形で剰余金の配当を行うことを
基本方針とします。
また当社は 、定款に「剰余金の配当等会社法第459 条第1 項各号に定める事項については 、法令に別段
の定めがある場合を除き 、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める」旨を規定しており、
機動的な配当の実施を可能としています。




今後の見通し 国内外のマーケティング・リサーチ業界において、当社が強みを持つオンライン・マーケティング・リ
サーチに係る顧客ニーズは依然として増加傾向にあり、当社グル ープの業績は順調に拡大していくもの
と思われます。また、国内外の両面で企業のデジタル広告支出の拡大が急速に進展する中、デジタル・マー
ケティング分野におけるリサーチ・ニーズも急速に高まっていくと考えています。それに加えて 、より効
率的なマーケティングに資するため 、リアルタイム性の高いデ ータ提供基盤やデジタル・メディアにおけ
る行動デ ータと、リアルな生活の中での消費・購買デ ータを掛け合わせた統合的なデ ータ活用への需要
も高まっており、当社のデジタル・マーケティング関連事業のもつ付加価値は今後更に増していくと考え
ています。
このような状況の中、当社グル ープは 、引き続き強固な営業基盤を活用しながら、国内外での売上の拡
大に努めていきます。また 、リサーチ・オペレーションに係る生産性改善をより一層進める一方で 、適切
なコスト・コントロー ルを続けることで安定的な利益成長も確保しつつ 、デジタル・マーケティング分野
を含む重点強化領域における比較優位性の確立・維持を目的とした 、優秀な人員採用・育成に関する投
資なども継続する方針です。
また 、当社では2018 年7月に実施した公募社債による調達資金を用いて、足許で金利が上昇しつつあ
る既存の外貨建てローンの期限前弁済などを行うことで、短期的にはリファイナンスに伴う一次的な金融
費用増が見込まれるものの、中長期的な金融費用の逓減を目指す方針です。
加えて、2019 年6月期においては 、2017 年10月に子会社化した米Acturusおよび2018 年7月から子
会社化した株式会社東京サー ベイ・リサーチなど 、M&Aを通じた当社グル ープ業績の押し上げ効果が発
現することも見込まれます。
以 上 の 見 通しを 踏 まえ 、2019 年 6 月 期 通 期 の 業 績 予 想 は 、売 上 収 益 46,400 百 万 円(前 年 同 期 比
15.9% 増) EBITDA10,160 百 万円
、 (同17.3% 増) 業 利 益 8,900 百 万円
、営 (同17.0% 増)
、税引前 利 益
8,300 百万円(同12.6% 増) 親会社の所有者に帰属する当期利益 5,260 百万円
、 (同11.5% 増)を見込ん
でいます。
30 A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C .




連結財政状態計算書
株式会社マクロミル及び子会社
2017年及び2018年6月30日現在


百万円 千米ドル



資産
  流動資産
  現金及び現金同等物 ¥ 8,447 ¥ 9,124 $ 82,540
  営業債権及びその他の債権 6,388 8,744 79,103
  その他の金融資産 100 4 36
  その他の流動資産 548 536 4,849
  流動資産合計 15,485 18,409 166,537
 非流動資産
  有形固定資産 1,034 1,152 10,422
  のれん 46,067 46,957 424,796
  その他の無形資産 6,059 6,605 59,752
  持分法で会計処理されている投資 30 31 280
  その他の金融資産 1,381 1,379 12,475
  繰延税金資産 757 690 6,242
  その他の非流動資産 0 2 18
  非流動資産合計 55,330 56,820 514,022
 資産合計 ¥70,815 ¥75,230 $680,568


負債及び資本
  負債
  流動負債
   借入金 ¥ 2,617 ¥ 2,500 $ 22,616
   営業債務及びその他の債務 2,492 3,008 27,212
   その他の金融負債 137 164 1,484
   未払法人所得税等 877 1,756 15,886
   引当金 989 1,020 9,227
   その他の流動負債 1,838 2,439 22,064
   流動負債合計 8,952 10,890 98,516
  非流動負債
   借入金 36,880 34,534 312,412
   その他の金融負債 917 550 4,976
   退職給付に係る負債 223 190 1,719
   引当金 199 208 1,882
   繰延税金負債 1,213 1,339 12,113
   その他の非流動負債 77 48 434
   非流動負債合計 39,511 36,871 333,553
  負債合計 48,463 47,762 432,079
 資本
  資本金 674 880 7,961
  資本剰余金 11,044 11,312 102,334
  自己株式 (0) (0) (0)
  その他の資本の構成要素 0 (96) (868)
  利益剰余金 8,627 13,165 119,097
  親会社の所有者に帰属する持分合計 20,346 25,262 228,533
  非支配持分 2,005 2,205 19,948
  資本合計 22,352 27,468 248,489
 負債及び資本合計 ¥70,815 ¥75,230 $680,568
注記 日本円金額から米ドル金額への換算は国外の利用者の便宜のために行っており、
: 2018年6月30日の為替レートである1米ドル=110.54円を使用しています。
A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C . 31


連結損益計算書
株式会社マクロミル及び子会社
2017年及び2018年6月30日終了の事業年度


百万円 千米ドル



売上収益 ¥ 35,514 ¥ 40,024 $ 362,077
売上原価 (18,920) (22,372) (202,388)
売上総利益 16,594 17,651 159,680
販売費及び一般管理費 (10,030) (10,031) (90,745)
その他の営業収益 283 42 380
その他の営業費用 (31) (57) (516)
持分法による投資利益 9 2 18
営業利益 6,825 7,607 68,817
金融収益 15 528 4,777
金融費用 (958) (763) (6,902)
税引前利益 5,882 7,372 66,691
法人所得税費用 (1,672) (2,201) (19,911)
当期利益 4,210 5,170 46,770


当期利益の帰属
 親会社の所有者 3,706 4,719 42,690
 非支配持分 504 450 4,071
 当期利益 ¥ 4,210 ¥ 5,170 $ 46,770


1株当たり当期利益 円 米ドル

 基本的1株当たり当期利益(円) ¥ 97.11 ¥ 120.21 $ 1.087
 希薄化後1株当たり当期利益(円) 96.57 115.60 1.046
注記 日本円金額から米ドル金額への換算は国外の利用者の便宜のために行っており、
: 2018年6月30日の為替レートである1米ドル=110.54円を使用しています。




連結包括利益計算書
株式会社マクロミル及び連結子会社
2017年及び2018年6月30日終了の事業年度


百万円 千米ドル



当期利益 ¥4,210 ¥5,170 $46,770


その他の包括利益
 純損益に振り替えられることのない項目
  その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産 164 (35) (317)
  確定給付制度の再測定 (11) 0 0
  純損益に振り替えられることのない項目合計 153 (34) (308)


 純損益に振り替えられる可能性のある項目
  在外営業活動体の換算差額 221 (64) (579)
  純損益に振り替えられる可能性のある項目合計 221 (64) (579)
 税引後その他の包括利益 374 (98) (887)
当期包括利益 ¥4,585 ¥5,071 $45,875


当期包括利益の帰属
 親会社の所有者 ¥4,017 ¥4,641 $41,985
 非支配持分 568 429 3,881
 当期包括利益 ¥4,585 ¥5,071 $45,875
注記 日本円金額から米ドル金額への換算は国外の利用者の便宜のために行っており、
: 2018年6月30日の為替レートである1米ドル=110.54円を使用しています。
32 A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C .




連結持分変動計算書
株式会社マクロミル及び連結子会社
2017年及び2018年6月30日終了の事業年度


百万円
親会社の所有者に帰属する持分
その他の資本の構成要素
その他の
包括利益を通じて 在外営業
公正価値で 確定給付制度の 活動体の 新株 利益 非支配
資本金 資本剰余金 自己株式 測定する金融資産 再測定 換算差額 予約権 合計 剰余金 合計 持分 合計
2016年7月1日時点の残高 ¥100 ¥17,813 ¥— ¥ 0 ¥— ¥(517) ¥129 ¥(387) ¥ (2,461) ¥15,064 ¥1,583 ¥16,647
当期利益 — — — — — — — — 3,706 3,706 504 4,210
その他の包括利益 — — — 92 (5) 224 — 311 — 311 63 374
 当期包括利益合計 — — — 92 (5) 224 — 311 3,706 4,017 568 4,585
新株の発行 574 647 — — — — (72) (72) — 1,149 — 1,149
自己株式の取得 — — (0) — — — — — — (0) — (0)
所有者による労務拠出等 — 850 — — — — — — — 850 — 850
株式に基づく報酬取引 — — — — — — 143 143 — 143 — 143
非支配持分に対する配当金 — — — — — — — — — — (105) (105)
非支配持分との取引 — (831) — — — — — — — (831) — (831)
資本剰余金から利益剰余金への振替 — (7,388) — — — — — — 7,388 — — —
子会社に対する所有持分の変動 — (46) — — — — — — — (46) (40) (87)
利益剰余金への振替 — — — — 5 — — 5 (5) — — —
 所有者との取引額合計 574 (6,769) (0) — 5 — 71 76 7,382 1,265 (146) 1,119
2017年6月30日時点の残高 674 11,044 (0) 93 — (293) 200 0 8,627 20,346 2,005 22,352
当期利益 — — — — — — — — 4,719 4,719 450 5,170
その他の包括利益 — — — (15) 0 (63) — (78) — (78) (20) (98)
 当期包括利益合計 — — — (15) 0 (63) — (78) 4,719 4,641 429 5,071
新株の発行 205 292 — — — — (89) (89) — 408 — 408
自己株式の取得 — — (0) — — — — — — (0) — (0)
株式に基づく報酬取引 — — — — — — 84 84 — 84 — 84
配当金 — — — — — — — — (194) (194) (231) (425)
その他の資本の構成要素から
利益剰余金への振替 — — — (12) (0) — — (13) 13 — — —
子会社に対する所有持分の変動 — (25) — — — — — — — (25) 1 (23)
 所有者との取引額合計 205 267 (0) (12) (0) — (5) (18) (180) 274 (230) 44
2018年6月30日時点の残高 ¥880 ¥11,312 ¥ (0) ¥ 64 ¥— ¥(356) ¥195 ¥ (96) ¥13,165 ¥25,262 ¥2,205 ¥27,468



千米ドル
親会社の所有者に帰属する持分
その他の資本の構成要素
その他の
包括利益を通じて 在外営業
公正価値で 確定給付制度の 活動体の 新株 利益 非支配
資本金 資本剰余金 自己株式 測定する金融資産 再測定 換算差額 予約権 合計 剰余金 合計 持分 合計
2017年6月30日時点の残高 $6,097 $ 99,910 $(0) $ 841 $— $(2,651) $1,809 $ 0 $ 78,044 $184,060 $18,138 $202,207
当期利益 — — — — — — — — 42,690 42,690 4,071 46,770
その他の包括利益 — — — (136) 0 (570) — (706) — (706) (181) (887)
 当期包括利益合計 — — — (136) 0 (570) — (706) 42,690 41,985 3,881 45,875
新株の発行 1,855 2,642 — — — — (805) (805) — 3,691 — 3,691
自己株式の取得 — — (0) — — — — — — (0) — (0)
株式に基づく報酬取引 — — — — — — 760 760 — 760 — 760
配当金 — — — — — — — — (1,755) (1,755) (2,090) (3,845)
その他の資本の構成要素から
利益剰余金への振替 — — — (109) (0) — — (118) 118 — — —
子会社に対する所有持分の変動 — (226) — — — — — — — (226) 9 (208)
 所有者との取引額合計 1,855 2,415 (0) (109) (0) — (45) (163) (1,628) 2,479 (2,081) 398
2018年6月30日時点の残高 $7,961 $102,334 $(0) $ 579 $— $(3,221) $1,764 $(868) $119,097 $228,533 $19,948 $248,489
注記 日本円金額から米ドル金額への換算は国外の利用者の便宜のために行っており、
: 2018年6月30日の為替レートである1米ドル=110.54円を使用しています。
A N N U A L R E P O R T 2 0 1 8 __ M A C R O M I L L , I N C . 33


連結キャッシュ フロー計算書

株式会社マクロミル及び連結子会社
2017年及び2018年6月30日終了の事業年度


百万円 千米ドル




営業活動によるキャッシュ フロー


 税引前利益 ¥ 5,882 ¥ 7,372 $ 66,691
 減価償却費及び償却費 871 1,052 9,517
 金融収益 (15) (528) (4,777)
 金融費用 958 763 6,902
 持分法による投資損益(益) (9) (2) (18)
 営業債権及びその他の債権の増減額(増加) (160) (2,237) (20,237)
 営業債務及びその他の債務の増減額(減少) 28 62 561
 その他 (59) 840 7,599
  小計 7,496 7,323 66,248
 利息及び配当金の受取額 18 11 100
 利息の支払額 (1,120) (456) (4,125)
 法人所得税の支払額 (660) (1,267) (11,462)
 営業活動によるキャッシュ フロー
・ 5,733 5,610 50,751


投資活動によるキャッシュ フロー


 有形固定資産の取得による支出 (422) (357) (3,230)
 無形資産の取得による支出 (585) (669) (6,052)
 子会社の取得による支出 — (1,044) (9,445)
 投資の取得による支出 (94) (185) (1,674)
 投資の売却、償還による収入 16 5 45
 その他 (262) 149 1,348
 投資活動によるキャッシュ フロー
・ (1,348) (2,101) (19,007)


財務活動によるキャッシュ フロー


 短期借入れによる収入 230 1,007 9,110
 短期借入金の返済による支出 (246) (1,225) (11,082)
 長期借入れによる収入 7 — —
 長期借入金の返済による支出 (3,110) (2,411) (21,811)
 新株の発行による収入 1,149 408 3,691
 配当金の支払額 — (193) (1,746)
 非支配持分への配当金の支払額 (105) (231) (2,090)
 その他 (79) (167) (1,511)
 財務活動によるキャッシュ フロー
・ (2,155) (2,813) (25,448)


現金及び現金同等物の増減額(減少) 2,229 696 6,296
現金及び現金同等物の期首残高 6,124 8,447 76,416
現金及び現金同等物に係る換算差額 93 (18) (163)
現金及び現金同等物の期末残高 ¥ 8,447 ¥ 9,124 $ 82,540

注記 日本円金額から米ドル金額への換算は国外の利用者の便宜のために行っており、
: 2018年6月30日の為替レートである1米ドル=110.54円を使用しています。
〒108-0075 東京都港区港南2-16-1 品川イーストワンタワー 11F
TEL:03-6716-0700
https://www.macromill.com/




Printed in Japan

170929