当社データサイエンティストによる「ふるさと納税の経済波及効果に関する定量分析資料」公表のお知らせ

2017 年 10 月 12 日


当社データサイエンティストによる
「ふるさと納税の経済波及効果に関する定量分析資料」公表のお知らせ


株式会社チェンジ


株式会社チェンジは、北海道上士幌町(かみしほろちょう)、群馬県中之条町(なかのじょうまち)、鹿児島県志布志市
(しぶしし)、株式会社トラストバンクの情報提供協力のもと、「ふるさと納税」の経済波及効果に関する定量分析を行いましたの
で、分析結果の資料を公表いたします。


ふるさと納税の経済波及効果に関する分析 -上士幌町、中之条町、志布志市を事例として-
概要:http://www.change-jp.com/document/change_furusato_nozei_analysis_abstract.pdf
本編:http://www.change-jp.com/document/change_furusato_nozei_analysis_main.pdf


<本調査の背景>
総務省の調査によれば、平成 28 年度に全国の自治体が受け入れた「ふるさと納税」の総額は 2,844 億円にのぼり、5 年度前
の平成 23 年度に比べて 23 倍と急拡大しています。こうした「ふるさと納税」の規模が急拡大した要因として「返礼品受取を主たる
目的としたふるさと納税寄付」が挙げられています。返礼品に関する賛否を含め、ふるさと納税制度に関して、様々な議論が展開さ
れています。しかし、その大半は、経済理論やデータ分析に基づいておらず、情緒的な議論となりがちです。このため、政府官公庁
向けに RESAS(地域経済分析システム)の普及事業やビッグデータ関連のサービスを展開している当社にて、3 つの自治体に関
する調査に加え、産業連関表および平成 28 年度のふるさと納税寄付受入額と平成 29 年度の政策支出額のデータに基づく
「ふるさと納税」に関する経済波及効果の定量分析を行いました。


<本調査の要約>
3 つの自治体に対するふるさと納税制度に関する定量分析および調査の主要結果は、下記 3 点に要約できます。
(1) ふるさと納税制度は、上士幌町において 13.0%、中之条町において 2.0%~2.6%、志布志市において 2.1%の経済


成長をもたらしており、地域振興に努力している自治体の経済活性化に大きく貢献しています。
(2) 一次支出に対する経済波及効果の比率は「返礼品調達に基づく効果」が相対的に大きく、地域内の原材料を利用する

返礼品および地域に人を呼び込む形態の返礼品は、地域経済の活性化に特に有効です。
(3) ふるさと納税によって得られた政策資金は、将来世代に向けた政策、国際的な文化交流、スポーツ振興などの各自治体
の特色がある事業に活用されており、社会的な価値の創造にも役立っています。


ふるさと納税制度は、上記(1)(2)に示される定量的な効果を測定、把握した上で、(3)の定量化し難い部分を吟味し、その
設計や活用方法を考察する必要があります。




1 平成 20 年~平成 26 年における上士幌町が含まれる十勝振興局管区、中之条町、志布志市に関する経済成長率(道県による推計値)は、

それぞれ-0.2%、2.1%、-0.1%となっており、いずれの自治体も市町全体の平均経済成長率以上の経済活性化効果があったことを示しています。
2 本分析においては、ふるさと納税制度に関連して各自治体が直接支出する金額を一次支出、地域内の取引を経て創出される付加価値額(町内総
生産・市内総生産)の増加分を経済波及効果としています。




--------------------------------------------------------------------------------

【分析内容の概要紹介】

本分析においては、ふるさと納税制度に関連して各自治体が直接支出する金額を一次支出、地域内の取引を経て創出される
付加価値額(町内総生産・市内総生産)の増加分を経済波及効果とします。経済波及効果は、「(a)返礼品調達に基づく効
果」「(b)返礼品調達以外のふるさと納税寄付金の募集費用に基づく効果」「(c)ふるさと納税寄付金によって可能となる政策支出
の効果」を区分して算出し、それらを合算することでふるさと納税制度全体としての経済波及効果とします。
図 1 では、(a+b+c)として表される全体での経済波及効果が、各自治体の市内総生産・町内総生産の変化率[経済成長
率]に与える影響を示しています。ふるさと納税制度がもたらした経済成長率は、上士幌町において 13.0%、中之条町において
2.0%~2.6%、志布志市において 2.1%となっています。特に経済規模が小さい上士幌町では、ふるさと納税制度が極めて大き
い経済成長をもたらしています。ふるさと納税制度がもたらした経済成長率は、図 1 において、参考値として示した平成 20 年度~
平成 26 年度の平均経済成長率を上回っていることから、地域経済にとって大きな貢献があったことが分かります。2%を越える経
済成長をもたらす地域経済の活性化策は他に類を見ず、ふるさと納税制度は我が国の最重要課題の 1 つである地方創生におい
て、中核的な政策になっていることが推察されます。


図 1 ふるさと納税制度が各自治体にもたらした経済成長率


-5%
平成25年における 0% 5% 10% 15%
町内・市内総生産 *
北海道 13.0%
174億円 †
上士幌町 -0.2%

2.0%~2.6%

群馬県
519億円
中之条町 2.1%



鹿児島県 2.1%
1,255億円
志布志市 -0.1%


ふるさと納税による町内・市内総生産の増加率[経済成長率]
【参考】平成20年度~平成26年度の平均経済成長率(道県による推計値)
* 平成25年における町内・市内総生産は、株式会社 価値総合研究所が提供する「地域経済循環分析データ」に基づきます。
† 上士幌町の町内総生産の変化率は公表されていないため、上士幌町が含まれる十勝振興局の管内の経済成長率で代替しています。
‡ 中之条町に関しては「中之条町ふるさと寄附感謝券」の発行額と同額の消費増加と見なす場合を効果の下限、発行額の半額の誘発
消費をもたらしたと仮定する場合を効果の上限として示しています。





図 2 では、3 つの自治体における一次支出と地域内の付加価値額を増加させる比率を(a)(b)(c)の効果で区分して示していま
す。3 自治体では共通して、「(a)返礼品調達に基づく効果」が(b)(c)を上回っており、同一額の一次支出によって地域経済を
活性化させる効果は、返礼品調達が相対的に高いことを示しています。この背景として、上士幌町、志布志市においては地元の
特産物を活用した食料品が主たる返礼品となっていること、中之条町においては中之条町への訪問者の誘発消費を喚起する「中
之条町ふるさと寄附感謝券」を返礼品としていることが挙げられます。地域内の原材料を利用する返礼品や地域に人を呼び込む
返礼品は、地域における経済波及効果が相対的に大きくなる傾向にあります。


図 2 各自治体における一次支出と地域内の付加価値増加額の比率
0% 50% 100% 150% 200%


156%
北海道 27%
112%
上士幌町
106%



125%~187%*


群馬県 38%
120%
中之条町 *
116%~163%




165%
鹿児島県 13%
117%
志布志市
117%



(a)返礼品調達に基づく効果
(b)返礼品調達以外のふるさと納税寄付金の募集費用に基づく効果
(c)ふるさと納税寄付金によって可能となる政策支出の効果

(a+b+c) 3種の効果の合計
* 中之条町に関しては「中之条町ふるさと寄附感謝券」の発行額と同額の消費増加と見なす場合を効果
の下限、発行額の半額の誘発消費をもたらしたと仮定する場合を効果の上限として示しています。



さらには、各自治体では、ふるさと納税寄付金として得られた資金を活用することで、特色ある政策・事業を実施しています。上
士幌町では、保育料や 18 歳以下の医療費の無料化など、子育て世代や将来世代への貢献に注力しています。中之条町では、
ふるさと納税寄付金を中之条ビエンナーレの運営資金に充当することで、国際交流を含めた文化・芸術振興を支援しています。志
布志市は、志布志みなとサッカーフェスティバルが開催される志布志市運動公園の人工芝整備を行うことで、全国のサッカー強豪
校の交流や育成に貢献しています。



--------------------------------------------------------------------------------





■北海道 上士幌町:
http://www.kamishihoro.jp/


■群馬県 中之条町:
http://www.town.nakanojo.gunma.jp/


■鹿児島県 志布志市:
http://www.city.shibushi.lg.jp/


■株式会社トラストバンク:
https://www.trustbank.co.jp/


■株式会社チェンジ:
http://www.change-jp.com/
本社:東京都港区 代表取締役:福留大士
株式会社チェンジは、モビリティ AI、IoT、ビッグデータ、クラウド、セキュリティ、ロボティクスなどのテクノロジーを活用したサービス
及び IT 人材育成サービスを『NEW-IT トランスフォーメーション事業』として展開しております。今回の調査・分析は、
A&I(Analytics & IoT)ユニットが担当しており、当ユニットでは全国の自治体におけるデータの利活用を推進しております。




本件の問い合わせ先:
株式会社チェンジ
東京都港区虎ノ門 3-17-1
Control & Management 担当
メール:ir_info@change-jp.com





12791