ユーグレナ粉末と野菜粉末の同時摂取が腸内細菌叢と炎症の調整によって肥満状態を改善したことを確認

ユーグレナ粉末と野菜粉末の同時摂取が腸内細菌叢と炎症の調整によって
肥満状態を改善したことを確認
~研究成果がオンライン科学誌『Nutrients』に掲載されました~

2019 年 1 月 31 日
武田コンシューマーヘルスケア株式会社
株式会社ユーグレナ


武田コンシューマーヘルスケア株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 野上麻理、
以下「武田コンシューマーヘルスケア」)と株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、代表取締役
社長 出雲充、以下「ユーグレナ社」)は、このたび、国立大学法人東北大学大学院農学研究科食
品機能健康科学講座食品化学分野の都築毅准教授との共同研究において、微細藻類ユーグレナ(和
名:ミドリムシ)の粉末(以下ユーグレナ粉末)と野菜粉末の同時摂取により、肥満モデルマウス
において抗肥満作用を示唆する研究結果を確認したことをお知らせします。
なお、武田コンシューマーヘルスケアとユーグレナ社は、ユーグレナを配合する新たな製品の開
発可能性を共同で検討する包括的提携契約を締結しています。


■背景と目的
近年、食生活の変化や運動不足に伴い体脂肪が蓄積して肥満に陥る人が増加しています。肥満は、
心筋梗塞や脳卒中の危険因子ととらえられ、その対策が求められています。また、肥満時には脂肪
組織に慢性炎症がおき、全身に悪影響を与えると考えられています。一方、腸内細菌叢が産生する
短鎖脂肪酸が、宿主側の細胞にある受容体を介して肥満を抑えることが明らかになっており、前回
の共同研究*1 では、通常食飼育のマウスにおいて、ユーグレナ粉末と野菜粉末の同時摂取により、
腸内細菌叢*2 の調節を介して内臓脂肪蓄積の抑制作用および抗炎症作用*3 を示すことを報告して
います。
本研究では、高脂肪食を与えた肥満モデルマウスにパラミロン粉末、ユーグレナ粉末、およびユ
ーグレナ粉末と水溶性食物繊維が豊富な野菜(大麦若葉、明日葉、ケール)の粉末の混合物を与え、
通常食飼育マウスにて見られた効果が肥満モデルマウスでも確認できるかどうか評価しました。


■研究内容と結果
マウスを、①通常食を与えたマウス群(以下通常食群)、②高脂肪食を与えたマウス群(以下高
脂肪食群)、③高脂肪食とパラミロン粉末を与えたマウス群(以下高脂肪食+パラミロン粉末群)、
④高脂肪食とユーグレナ粉末を与えたマウス群(以下高脂肪食+ユーグレナ粉末群)、⑤高脂肪食
とユーグレナ粉末と野菜粉末の混合物を与えたマウス群(以下高脂肪食+ユーグレナ粉末+野菜粉
末群)の 5 つに分け、2 ヵ月間経口摂取させました。
その結果、高脂肪食+パラミロン粉末群、高脂肪食+ユーグレナ粉末群および高脂肪食+ユーグ
レナ粉末+野菜粉末群において、精巣周囲脂肪組織重量ならびに総白色脂肪組織重量が有意に減少
しました (図 1 および表 1)
。さらに、高脂肪食+パラミロン粉末群と比較して、高脂肪食+ユー
グレナ粉末+野菜粉末群では有意に総白色脂肪組織重量が減少し、野菜粉末の同時摂取がパラミロ
ン粉末摂取による効果を増強させることが確認されました(図 1 および表 1)





また、高脂肪食+ユーグレナ粉末+野菜粉末群では精巣周囲脂肪組織面積の有意な減少が確認さ
れました(図 2)。
そして、肥満モデルマウスにおいて、高脂肪食+パラミロン粉末群、高脂肪食+ユーグレナ粉末
群および高脂肪食+ユーグレナ粉末+野菜粉末群において、高脂肪食群と比較して血清中の炎症性
サイトカイン*4 である IL-6 の有意な減少を確認しました。さらに、高脂肪食+ユーグレナ粉末群
および高脂肪食+ユーグレナ粉末+野菜粉末群では、高脂肪食+パラミロン摂取群と比較して、
IL-6 減少作用を有意に増強することを確認し、高脂肪食+ユーグレナ粉末+野菜粉末摂取群におい
ては、高脂肪食群と比較して IL-1の有意な減少を確認しました(図 3)。これにより、前回の共同
研究において通常食飼育マウスで得られていた抗炎症作用(炎症性サイトカインである IL-6 およ
び IL-1の有意な減少)を、今回の研究により肥満モデルマウスでも確認できたことになります。
さらに、前回の共同研究で、通常食飼育マウスのユーグレナ粉末の摂取およびユーグレナ粉末と
野菜粉末の同時摂取により、腸内細菌叢が改善することを報告しましたが、高脂肪食を与えた今回
の試験においても、高脂肪食+ユーグレナ粉末+野菜粉末群の混合物を摂取したマウスにおいて、
腸内細菌叢が産生する短鎖脂肪酸(プロピオン酸)の有意な増加(図 4)と、有害菌の減少を確認
しました。
これらの結果より、ユーグレナ粉末と野菜粉末の同時摂取が、腸内細菌叢の改善と炎症性サイト
カインの減少からみられる炎症の抑制を介して抗肥満作用に寄与したと考えられます。なお、本研
究成果は、オンライン科学誌『Nutrients』に 1 月 21 日付で掲載されました。
(Nutrients 誌 https://www.mdpi.com/2072-6643/11/1/204)


武田コンシューマーヘルスケアとユーグレナ社は、引き続き健康維持・増進への貢献を目指し、
ユーグレナ粉末およびユーグレナ粉末と野菜の組み合わせによる機能性の研究を継続してまいり
ます。


*1 前回の共同研究: 2018 年 10 月 12 日付の武田コンシューマーヘルスケア株式会社及び株式会社ユーグレナの共同リリース

https://ssl4.eir-parts.net/doc/2931/tdnet/1635229/00.pdf

*2 腸内細菌叢: ヒトや動物の腸内で一定のバランスを保ちながら共存している多種多様な腸内細菌の集まりのこと

*3 抗炎症作用: 炎症を抑制する作用

*4 血清中の炎症性サイトカイン: 生体内の様々な炎症症状を引き起こすサイトカイン。サイトカインとは生体内で免疫の伝達を

担うたんぱく質のこと



<微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)について>
ユーグレナ(和名:ミドリムシ)は、ワカメや昆布、クロレラと同じ藻の一種で、動物と植物の
両方の特徴を持っており、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など 59 種類の栄養素を
バランスよく含んでいます。なお、ユーグレナ特有の成分でβ-グルカンの一種であるパラミロンは、
近年機能性についての研究が進み、食品や化粧品などのヘルスケア分野などでの活用が期待されて
います。


■武田コンシューマーヘルスケア株式会社について
当社は、武田薬品グループにおけるコンシューマーヘルスケア事業を担う事業会社として、2017
年 4 月 1 日に営業開始しました。
「健康寿命」を延ばしたいという人々の願いを叶えるべく、
「セル
フケア」「セルフメディケーション」の領域で、アリナミン、ベンザ、タケダ漢方便秘薬などのブラ
ンドを通じて、人々のより健やかな生活に一層貢献してまいります。


■株式会社ユーグレナについて
2005 年に世界で初めて石垣島で微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養
技術の確立に成功。石垣島で生産した微細藻類ユーグレナ・クロレラなどを活用した機能性食品、
化粧品等の開発・販売を行うほか、バイオ燃料の生産に向けた研究を行っています。2012 年 12 月
東証マザーズに上場。2014 年 12 月に東証一部市場変更。経営理念は「人と地球を健康にする」。
https://euglena.jp
以上

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