Flavorful Brands 社への追加出資に関するお知らせ

2020 年 11 月 13 日




ハウス食品グループ本社株式会社、Flavorful Brands 社への追加出資に関するお知らせ


ハウス食品グループ本社株式会社(本社:大阪府東大阪市、代表取締役社長:浦上 博史、以下「ハウス食
品グループ本社」)は、Flavorful Brands, LLC(本社:米国カリフォルニア州、President/CEO:Christopher
Lindley、以下「Flavorful Brands社」)に、追加出資を行いました。


【Flavorful Brands 社の会社概要】

名称 Flavorful Brands, LLC

所在地 999 Corporate Drive, Suite 100, Ladera Ranch, CA 92694

President /CEO Christopher Lindley

設立年月日 2017 年 5 月 12 日

事業内容 北米における付加価値野菜ブランドマーケティング事業


【Flavorful Brands 社への出資理由】
当社は、新規事業として“涙の出ないタマネギ”の事業化に取り組んでおり、日本においては「スマイルボール」の名称
で販売しております。この度、有望なマーケットである米国での事業展開におけるパートナーとして、Flavorful Brands
社に追加出資いたしました。
Flavorful Brands 社は、付加価値野菜のブランドマーケティングに特化し、バリューチェーン全体をマネジメントする
ノウハウを持つベンチャー企業です。具体的には、生産者に対する栽培計画支援や、ディストリビューター(販売代理
店)に対するマーケティング支援等を通じて、付加価値野菜のブランドマーケティングを行っております。
当社は、同社への出資を通じて、“涙の出ないタマネギ”「Goldies™」(米国でのブランド名)の早期事業化に取り
組んでまいります。


【追加出資について】
Flavorful Brands 社へは 2019 年 11 月に最初の出資を行いました。2020 年に同社が米国で実施した
「Goldies™」のテストマーケティング結果を踏まえ、追加出資を決定いたしました。
今後は、Flavorful Brands 社の知見を活かし「Goldies™」の北米での定着を図り、さらに両社が保有する強みを
活かした共同取り組みについても検討してまいります。
追加出資後の持分比率は25%となり、同社は当社の持分法適用会社となります。
■“涙の出ないタマネギ”「Goldies™」について
日本で「スマイルボール」として販売されている“涙の出ないタマネギ”は、米国では「Goldies™」というブランド名で展
開しています。ブランド名は英語の「Gold(黄金)」を由来とし、皮が黄金色であることやプレミアム感のあるタマネギで
あることを表現しています。
一般に米国の消費者の間では、玉ねぎの種類によって、スイートオニオン(甘いタマネギ)は生食用、イエローオニオ
ン(黄色いタマネギ)は加熱用と認識されています。「Goldies™」はイエローオニオンでありながら、生食用と加熱用の
両方のシーンで使える、「汎用性」の特徴と、食べた後の口臭も気にならないという特徴を持っており、差別性を持ったプ
レミアム感のある位置づけで展開しています。


【製品特徴】
 品種改良によって、タマネギが持つ涙の出る成分(=辛み成分)の発生を抑えた新しいタマネギです。
 辛みがほとんどないため、生のままで丸かじりするなど、さまざまな食べ方をお楽しみいただけます。
 生で食べる際に水にさらす必要がないので、栄養成分の流失を気にすることなく、タマネギ本来の栄養をまるごと摂
ることができます。
 タマネギを切った時、目にしみることがないため、快適に調理できます。
以上




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本ニュースリリースに関するお問い合わせ先:
ハウス食品グループ本社広報・IR部 03(5211)6039(担当/上原)
本ニュースリリースに関わらず、全ての内容に関するお問い合わせについて、
hf-koho@housefoods.co.jp まで頂ければ幸いです。
<ご参考>

■「スマイルボール(米国のブランド名:Goldies™)」と一般のタマネギの違い
一般のタマネギには、もともとリンゴやナシに近い 10~11 度の糖度があります。
切ったときに発生する辛み成分が甘みを隠し、感じにくくしています。


一般のタマネギ 新タマネギ スマイルボール

一般的なタマネギ 2~5 月限定のみずみずし ハウス食品グループが品種
特徴 ほぼ一年中流通 くて辛みの弱いタマネギ 改良した、辛みがほとんどな
「泉州タマネギ」など いタマネギ

生食したときの
強い 弱い ほぼ感じない
辛み

生食したときの 辛みに隠れて 辛みが弱いので 辛みがほぼないので
甘み 感じない 少し感じる 感じる

水分 約 90% 約 95% 約 90%

糖度 10~11 度程度 5~6 度程度 10~11 度程度

ケルセチン 基準 = 1.0 0.25 程度 1.0 程度

※ケルセチンは、ポリフェノールの一種。タマネギに多く含まれる健康成分として近年注目されています。



■「スマイルボール(米国のブランド名:Goldies™)」ができるまでの経緯
1990 年代~ レトルトカレーの製造時にタマネギとニンニクを炒める
と緑色に変色してしまう現象(緑変現象)が起こ
ることがあり、製造工程のロスを削減するために原
因の解明・解決の研究を始める。
この研究の過程で、タマネギが涙の出る成分を作
るためには、それまでに唱えられていた定説では説
明できないことに気づく。

左:きつね色になった普通のペースト
右:緑色になったペースト
※緑変現象とは・・・
タマネギとニンニクを炒める際に、通常、炒めたものは
きつね色になるが、ある条件がそろうと緑色になって
しまう現象のこと。



2002 年 催涙成分合成酵素(lachrymatory factor synthase:LFS、催涙成分(=辛み成
分)を作り出す化学反応を起こす酵素)の発見。催涙成分ができるには、アリイナーゼ(催
涙成分ができるのに必要な酵素の一つ)と LFS が必要なことを発表(科学誌「Nature」に
掲載)。




【タマネギ催涙成分生成の反応経路】

催涙成分が生成する仕組み(反応経路)がわかったことで、逆にそれを応用して「涙の出
ないタマネギ」ができるのではないかと考え、研究は次のステップへ。

遺伝子組み換えではない手法(重イオンビームをタマネギの種に照射し、育てたタマネギの中
から、催涙性の弱いものを探し育てる)によるタマネギの品種改良をスタート。



2012 年 遺伝子組み換えではない品種改良によって、アリイナーゼの量が非常に少ないタマネギ(ス
マイルボール)を作ることに成功。



2013 年 2002 年の「Nature」掲載論文が評価されて、イグ・ノーベル化学賞を受賞。「タマネギが人
を泣かせる生化学的なプロセスは、科学者が考えていたより複雑であることを、明らかにした」
ことが受賞理由。



2015 年 3 月:日本園芸学会で発表。
10 月:日本において、「スマイルボール」と名付け、数量限定で試験販売。

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