株式会社微生物化学研究所との業務提携に関するお知らせ

2021 年 2 月 24 日
各 位
会 社 名 ベルグアース 株式会社
代表者名 代表取締役社長 山口 一彦
(JASDAQ・コード:1383)



株式会社微生物化学研究所との業務提携に関するお知らせ

当社は、株式会社微生物化学研究所(以下、「京都微研」といいます。)との間で、2020年に締結い
たしました植物ワクチンに関する覚書に基づき、業務提携による更なる連携強化を図り、新たな取り組
みを進めておりますことを下記の通りお知らせいたします。
なお、詳細につきましては、添付の資料をご参照ください。





1. 業務提携の背景と理由
ウイルスは、自然界における人や動物の間で突発的に発生して、健康被害や社会的不安を増大させて
おります。農業界においても植物ウイルス病による甚大な被害が出ており、その中でも、キュウリ栽培
において国内のウイルス病による経済損失は、年間50億円以上と推定されております。
京都微研は、研究開発から製造販売までの一貫体制を敷いておりますワクチン専業メーカーであり、
2008年に、同社が開発したキュウリのウイルス病を予防する植物ウイルス弱毒株(以下、「植物ワクチ
ン」といいます。)を、当社においてキュウリの幼苗に接種する方法で、国内で初めて植物ワクチンを
接種したキュウリ苗(ウイルスガード苗ZY)の販売を開始いたしました。また、2011年には同社と共
同研究契約を締結し、さらに、2018年には同社が新たに開発した植物ワクチンを接種した苗(ウイルス
ガード苗CW)の専属販売契約を締結し、以来、植物ワクチン接種苗の安定生産と普及に努めてまいり
ました。
この度の業務提携は、植物ワクチン接種苗の国内外の生産者への安定提供がより一層可能となり、商
品・サービスの拡充と市場の拡大を目的としています。さらに植物ワクチン接種苗は、化学農薬に依存
しない効果的な防除対策を実現させ、周辺の環境、生物や人にも無害であることから、安定的な生産、
品質の向上、価格の安定化及び安全で安心感のある生産物を評価され、キュウリ栽培において混発する
複数種のウイルス病対策に大いに寄与しており、生産者、消費者はもとより、自然環境への貢献も期待
されます。


2. 業務提携の内容
下記の取り組みを行う事で更なる連携を強化していきます。
(1) 当社連結子会社のベルグ福島株式会社において、植物ワクチンの大量製造方法の確立に向け、京都
微研と共同で製造ラインを構築し、2022年からの大量製造・販売を目指します。
(2) 新たにキュウリ向けの3種ウイルス弱毒株を混合した、植物ワクチン接種苗の実証試験を実施し、その
成果を基に2022年からの生産・販売を目指します。
(3) カボチャ栽培での植物ワクチンの開発を目指した実態調査を開始し、有効性が確認できた際には、新
たに植物ワクチン接種苗の開発を行います。
(4) 生産数量の多い中国市場での販売に向け、中国での植物ワクチン接種苗の特許の共同出願を行いま
す。
3. 業務提携の相手先の概要(2021年1月現在)
(1) 名 称 株式会社微生物化学研究所
(2) 本 社 所 在 地 京都府宇治市槇島町二十四16番地
(3) 代表者の役職・氏名 代表取締役 猪狩 康孝
(4) 事 業 内 容 動物用医薬品等の製造販売
動物用・魚用・植物用ワクチンの研究・製造販売・輸出入
畜産動物市場ニーズ、疾病(感染症)・技術・研究動向及び研
究開発分析結果を基に、日本国内のみならず世界を視野に入れた
新規の動物用・魚用ワクチン、植物用ワクチン、動物用薬の開発
に取り組み、基礎から応用までの幅広い研究開発を推進。
牛用ワクチンでは国内トップのシェアを誇り、1994年より公的機
関や大学などと植物ワクチンの共同開発・研究を開始。
2008年にズッキーニ黄斑モザイクウイルスの植物ワクチン、
「“京都微研”キュービオZY-02」を、凍結乾燥製剤として
は世界で初めて農薬登録。
2012年に植物ワクチンの大量散布器を開発し販売開始。
2018年に公的機関や大学などとキュウリモザイクウイルス、スイ
カモザイクウイルス弱毒株を共同開発。


(5) 資 本 金 3,000万円
(6) 設 立 年 月 日 1948年6月
(7) 当社の相手先との関係 資本関係、人的関係、関連当事者への該当状況において、当該事
項はありません。


4. 今後の見通し
本業務提携が当社の当期業績に与える影響は軽微であります。




本件リリースのお問合せ先:総務部 玉川
TEL:0895-20-8231 E-mail:info-berg@bergearth.co.jp
ベルグアース株式会社 〒798-3361 愛媛県宇和島市津島町北灘甲 88-1
http://www.bergearth.co.jp
植物ウイルス病について
CMV+WMV ZYMV+MYSV ZYMV+CMV+WMV




全国のきゅうり栽培では、虫によって媒
介されるウイルスが複数種類発生しており
ます。ウイルス種の中には、推定で年間
50億円以上の経済損失をもたらすものが
あります。

樹勢の低下、果実の変形または株ごと枯
らすなどの被害を及ぼすウイルスに対して、
一部のウイルス種に耐病性品種はあるもの
の、すべてのウイルス種に効果的な防除手
段はありません。
媒介虫とウイルスの種類
アブラムシ アザミウマ
・CMV:キュウリモザイクウイルス ・MYSV:メロン黄化えそウイルス
・WMV:スイカモザイクウイルス コナジラミ
・ZYMV:ズッキーニ黄斑モザイクウイルス ・CCYV:ウリ類退緑黄化ウイルス




発病 症状が出るまで2週間
症状が出るまで2週間 ハサミなどでも拡大

罹病株と分けて作業できる 潜伏期間はハサミに注意できない!

感染したウイルスには、植物体に症状を出すまでの潜伏期間があります。この潜伏期間でさ
えも、ウイルスはハサミなどでの剪定作業によって汁液感染することから、生産者は知らずに
自身で被害を拡大させてしまいます。一度感染してしまうと植物体を治療することは不可能で、
器具の消毒や、ウイルスまたはその媒介虫を侵入させない、増やさないあるいは拡げない対応
策でしかありません。このように防除が難しいウイルス病は、産地に深刻な事態を招きます。
植物ワクチン及び接種苗について
ウイルスの病原性を弱めたまたはなくした弱
製剤 毒株(植物ワクチン)を植物体に接種すると、
同種の病原ウイルスは後から植物体に入れなく
なり病気が起きません。これが植物ワクチンに
よる予防です。その防除効果は高く品種を問わ
ず発揮されるため、生産者は収量性がよいなど
お好みの品種を使って栽培できます。
生産者自ら製剤を準備して苗に接種すること
は可能ですが、植物ワクチンを確実に接種でき
る成功率は低いため、不安定な防除結果につな
がることがありました。
そこで、弊社の苗生産技術と接種技術を組み
合わせ、植物ワクチンを接種した苗を大量生産
し、全国へ供給する体制を整えました。


無接種苗 CW苗




CMVまたはWMVによる
モザイク 100% モザイク 21%

無接種苗 ZY苗




ZYMVによる
モザイク 46% モザイク 5%

実証圃場では、植物ワクチン接種苗を利用することによりウイルスの発病が抑制されま
した。収穫期間は1ヵ月以上延び、収量7割増と大きな成果をもたらした例もありました。

現在、販売している植物ワクチン接種苗は、ZYMV(ズッキーニ黄班モザイクウイル
ス)、CMV(キュウリモザイクウイルス)とWMV(スイカモザイクウイルス)の3種類
が対象で、昨年は約50万本の植物ワクチン接種苗を全国に供給致しました。

今後は、植物ワクチンメーカーである株式会社微生物化学研究所(以下、京都微研)との
連携をさらに強化し、新たなウイルスや他品目に対応した新規植物ワクチンの開発と、そ
の大量製造及び接種の方法を確立することで、ウイルス病に悩む生産者の課題解決に大き
く寄与できるものと考えております。
今後の取り組みについて
1.植物ワクチンの大量製造方法の確立
植物ワクチン接種苗の需要は年々高まっており、需要増に伴った植物ワクチンの大量製造
が必要となっておりますが、現在までに十分な製造ラインは整備されていません。
そのため、植物ワクチンを増殖するための栽培施設と、植物ワクチンの抽出・濃縮を担う
製造ラインを、弊社子会社でありますベルグ福島株式会社に建設し、植物ワクチン接種苗の
供給体制を強化致します。この製造ラインを2022年より稼働させることで、植物ワクチン
接種苗をより安定的に生産し、安価に供給することをお約束致します。




増殖 イメージ




ベルグ福島㈱
植物ワクチンの抽出

2.3種混合接種苗の実証と販売
前述にあるように、現在、キュウリを対象として実用化された植物ワクチンは3種類です
が、接種苗としては1種または2種混合のみであり、3種のウイルスすべての被害を抑えられ
ない状況にあります。そこで、植物ワクチンの3種混合接種苗の生産技術を確立し、接種苗
を植えた圃場にて実証試験を行い、2022年より3種混合接種苗の販売を開始致します。

これにより、アブラムシが媒介する主たるウイルスZYMV、CMV及びWMVの3種を同時
に防除することができ、収量・生産性が高い品種と3種混合接種苗を組み合わせて利用する
ことで、キュウリの高位安定的な生産が可能となります。


作物 作付面積 ウイルス 被害本数 推定被害額

ZYMV 138万本 5億円

CMV+ WMV 223万本 8億円
キュウリ 10,300ha
CCYV 902万本 56億円

MYSV 911万本 56億円
今後の取り組みについて

項目 カボチャ 3.カボチャ向け植物ワクチンの開発を
目指した実態調査
北海道、鹿児島、 国内のカボチャ栽培において、近年
主要産地 ZYMVあるいはWMVなどのウイルスに
長崎、茨城、沖縄
よる被害を見聞きしますが、その詳細は
作付面積 15,200ha よくわかっておりません。そのため、圃
場調査を全国的に実施し、特にZYMVあ
るいはWMVによる被害程度を確認すると
10a当り定植数 500本
共に、対応する植物ワクチンの実証試験
に取り組んでまいります。
定植本数 7,600万本 キュウリと同様に植物ワクチンの有効
性が確認できれば、植物ワクチンの2種
被害程度(仮定) 5% 混合接種苗としての上市を検討し、カボ
チャ栽培においても生産者の収量向上に
需要本数(仮定) 380万本 貢献致します。


4.中国での植物ワクチン特許共同出願
国内にとどまらず、海外においても様々な品目でウイルス病の被害が報告されています。
その中でも中国では、日本と同様にキュウリやトマト栽培にてウイルスが多発している状況
です。
そこで、弊社は2021年に植物ワクチン(CMV弱毒株)の中国における特許出願を、京都
微研と共同で実施致します。今回の出願は、将来の海外事業展開を見据えたタスクとなりま
す。さらに、中国市場に向けて植物ワクチン接種苗の生産・販売体制の構築を検討してまい
ります。


作物 海外での発生 ウイルス

5大陸 アフリカ、アメリカ、アジア、ヨーロッパ及び
TYLCV
オセアニア 71ヵ国
3大陸 アメリカ、アジア及びヨーロッパ 10ヵ国 CSNV
トマト
4大陸 アフリカ、アメリカ、アジア及びヨーロッパ
ToCV
33ヵ国
5大陸 アフリカ、アメリカ、アジア、ヨーロッパ及び
ZYMV
オセアニア 65ヵ国
5大陸 アフリカ、アメリカ、アジア、ヨーロッパ及び
CMV+ WMV
キュウリ オセアニア 131ヵ国
2大陸 アジア及びヨーロッパ 10ヵ国 CCYV

3大陸 アメリカ、アジア及びヨーロッパ 6ヵ国 MYSV
5大陸 アフリカ、アメリカ、アジア、ヨーロッパ及び
ピーマン TSWV
オセアニア 104ヵ国
5大陸 アフリカ、アメリカ、アジア、ヨーロッパ及び
カボチャ WMV+ZYMV
オセアニア 65ヵ国

16504